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少年憲兵3



 「むむむ・・・・!?」
「どうかしたのかね?そんな顔をして?もしや不満なのかな?」
「い、いえ!?そ、そんなことはありません!!」
ロッテンマイヤーの問いに、オオガミは敬礼しつつ、否定する。
「ですが・・・どうしてこのような格好をしなければならないのかと・・。それが疑問でなりません」
困惑した表情で、オオガミは答える。
オオガミは黒を基調にした、軍服のような上着に丈の短めの半ズボン、マントに軍帽といった格好をしている。
大太刀こそ背負っていないものの、明らかに、刀剣を擬人化した某オンラインゲームに登場する美少年キャラクターのコスプレだった。
 「説明したはずだが?今日はコスプレ系イベント会場の警備にあたってもらうと」
「それはわかっています。ですが・・このような姿で無くても、警備は出来るのではないのでしょうか?」
「オオガミ分隊長、客に紛れての警備も必要なのは、君もよくわかっているだろう?」
「そ・・それは・・」
「オオガミ分隊長、これも憲兵としての職務の一環だぞ。まさか・・職務を放棄するつもりか?」
「いえ!?そ、そんなつもりは決してありません!!」
「では・・その格好で警備にあたってくれたまえ。よいね?」
「は・・了解です!!」


 (とは言ったものの・・・)
オオガミは思わずため息をつく。
もちろん、仕事である以上、文句を言うつもりは無い。
実際、会場内には、様々なゲームやアニメのキャラクターのコスプレをした来客たちで溢れている。
そういう状況を考えれば、コスプレイヤーを装って警備、というのは間違ってはいない。
しかし・・。
 「キャアアア~~ッッ!!カワイイ~~~!!こっち向いて~~!!」
オオガミが振り向くと、カメラやケータイを構えた若い女性客たちの姿。
オオガミは、資料に書かれていたキャラクターの決めポーズを取ってみせる。
女性たちはさらに黄色い声を上げながら、立て続けにカメラやケータイでオオガミを撮影する。
やがて、満足した女性達が立ち去ると、オオガミは再びため息を吐く。
(まさかこんなに写真を撮られることになるとは・・・)
オオガミはげんなりしそうになる。
手配写真や証拠写真などを連想してしまうせいか、写真を撮られるのはあまり好きではないのだ。
職務である以上、文句を言うつもりは無い。
しかし、あまりにも撮られていると、嫌になってきてしまう。
そんな気分でいたときだった。
 オオガミは会場の片隅で蹲っている少年を見つける。
オオガミと同年代の少年で、悪魔のコスプレなのか、耳の上に赤い曲がった角をつけ、レザー風の短パンには、先のとがった尻尾が付いている。
少年は胸を押さえ、苦しげな息を吐いていた。
「どうしました?」
「うう・・。急に・・気分が・・・」
悪魔コスの少年は、額に脂汗を浮かべて答える。
「救護室へ行きましょう。立てますか?」
「うう・・。何とか・・・」
少年が何とか立ち上がると、オオガミはその手を引いて、救護室へと向かう。
だが、その途中、人気の少ない廊下で、少年はへたり込んでしまう。
 「うう・・。ダメ・・これ以上・・歩けない・・・」
「むむ・・。仕方ない。助けを呼・・・」
オオガミが自分同様、警備をしている部下を呼ぼうと、携帯を取り出したそのときだった。
「う・・うううーーーっっ!!」
突然、少年が苦しみだす。
「どうしました!?」
オオガミは少年に駆け寄る。
直後、少年の目がフラッシュのように光る。
それを見たオオガミは、まるで人形のように立ち尽くす。
 「お前は・・私の・・しもべ・・・操り人形・・・」
「私は・・操り・・人形・・」
少年の言葉を、オオガミはロボットのように、感情の籠らない声で繰り返す。
 「よし・・。では・・コレを持つがよい」
どこから出してきたのか、少年は一振りの日本刀をオオガミに渡す。
「うむ。似合っておるぞ。それで・・一騒動してくるがよい」
少年の言葉に、オオガミは刀を抜いて手にする。
そのまま、フラフラとした足取りで、会場へと戻っていった。


 通報を受けて駆けつけたロッテンマイヤーの目に飛び込んできたのは、抜き身の刀を提げた、オオガミの姿だった。
その周囲では、警備員や変装した憲兵達が、呻いて倒れている。
 「オオガミ分隊長!?何をしているのだ!?すぐにやめなさい!!」
ロッテンマイヤーは毅然とした声で、オオガミに呼びかける。
だが、オオガミはやめる気配は無い。
それどころか、ロッテンマイヤーめがけ、斬りかかった。
 「やむを得んか・・・」
ロッテンマイヤーは、オオガミの斬撃を体捌きでかわす。
直後、身を翻し、オオガミのみぞおちに拳を叩き込む。
屈強なプロレスラーでも気絶するに十分な衝撃に、オオガミはウッと呻いて、そのまま床へと崩れ落ちた。


 それから一時間後・・・・。
本部長室に、オオガミの姿があった。
オオガミはコスプレ衣装のまま、床に正座させられている。
 「本当に・・申し訳・・ありませんでした・・!!」
「謝って済むことではないぞ?よりによって、警備責任者の憲兵が、会場で事件を起こすなどと・・・。どういうつもりだね?」
「す・・すみません・・。自分でも・・わからないのです・・」
オオガミは困惑した表情を浮かべる。
悪魔のコスプレをした少年に出会ったことや、その少年に催眠術を駆けられたこと、それらの記憶は完全に飛んでしまっていたからだ。
「わからない、では済まされんぞ?それ相応の責任は取ってもらわなくてな」
「わ・・わかって・・います・・」
「よい覚悟だ。では・・・自分でお尻を出して、こっちへ来たまえ」
ロッテンマイヤーは膝を軽く叩いて、オオガミに合図をする。
 「うう・・・!?」
オオガミは羞恥に顔を赤らめる。
だが、言われた通り、自分で短パンと下着を降ろし、上司の膝の上にうつ伏せになる。
 「では・・行くぞ。しっかりと反省したまえ」
本部長の言葉に、オオガミは静かに頷く。
その直後、ロッテンマイヤーの手が振り上げられた。


 バッシィィーーンッッ!!
「う・・・!?」
お尻を襲う衝撃に、思わずオオガミは表情を歪める。
バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!あ・・!あく・・!あ・・!」
最初から容赦のない平手打ちに、オオガミは声を漏らしてしまう。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「全く・・君ともあろう者が・・何をやっているのだね?」
お尻を叩きながら、ロッテンマイヤーはお説教を始める。
バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!も、申し訳・・ありま・・せん・・!!ぐ・・!うっ・・!!」
苦悶の表情を浮かべながら、オオガミは必死に謝る。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「謝ればよい、というものではないぞ。そもそも・・何のつもりだ?イベント会場で凶器を振り回して暴れるなどと」
ロッテンマイヤーは厳しい表情で問いかける。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!そ、それが・・・本当に・・わからないんです・・!!気づいたら・・あんな・・ことに・・・!?」
オオガミは困惑した表情で答える。
記憶が無くなってしまっている以上、そうとしか答えようがないからだ。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「それで済むと思っているのか?治安を守る憲兵が、よりにもよって、事件を起こすなど。どうやら・・・弛んでいるようだな」
「ち・・・違・・!?ああーっっ!!」
今までとは違う衝撃に、思わずオオガミは振り返る。
いつの間にか、ロッテンマイヤーはパドルを手にしていた。
 「ほ・・本部長・・!?そ・・それは・・!?」
「オオガミ分隊長・・どうやら大分弛んでいるようだな。今日はコレでしっかりお仕置きしてあげよう」
女神のような笑みを浮かべて、ロッテンマイヤーは宣告する。
直後、パドルがオオガミのお尻に叩きつけられた。
 バッシィィィーーーンンンッッッ!!
「ひ・・ひぃぃぃーーーっっ!!!」
あまりの衝撃に、オオガミは背をのけ反らせ、絶叫する。
バッシィィィーーーンンンッッッ!!
バッシィィィーーーンンンッッッ!!
バッシィィィーーーンンンッッッ!!
バッシィィィーーーンンンッッッ!!
「うわあああ!!ほ、本部長っ!?ゆ、許してくださいっ!!ひぃぃーーっっ!!」
「そうはいかないなぁ。ちょうどよい機会だ。文字通り、性根を叩き直してあげよう」
「そ・・そんなぁぁぁ!!うわあああああ!!」
オオガミの絶望の声と共に、パドルが一回一回、しっかりと叩きつけられる。
その後、長い間、パドルの音が響いていた・・・。


 「ほぅほぅ・・。まぁまぁ面白いことになっておるのう」
ロッテンマイヤーにお仕置きされるオオガミの姿に、老人のような口調で、少年の声が楽しそうに呟く。
声の主はイベント会場にいた、悪魔姿の少年。
少年はビルの屋上に腰を降ろし、オオガミのお仕置きを遠くから見物している。
尻尾はまるで生きているかのようにクネクネと動いており、背中には、会場にいた時には無かったコウモリのような翼が生えている。
その根元をよく見てみると、作り物などではなく、本当に身体から生えている。
そう、少年は本物の悪魔だった。
 「さてと・・・。いい加減に帰っておかんとな。忌々しいあの女めに感づ・・!?」
ハッとした表情を浮かべながら、少年悪魔は振り返る。
「やっと・・見つけたわよ・・!?」
悪魔の視線の先には、20代後半と思しきシスター。
 「勝手に教会を抜け出して・・また悪さを働いていたわね!?」
シスターは怒りの表情を浮かべる。
「うるさい!ワシの勝手じゃろう!?今日こそ、自由の身になるのじゃ!?」
対して、少年悪魔も怒りの声で返す。
目の前にシスターに捕えられ、更生の為と称して、彼女の教会で働かされたりしているからだ。
 「死ねいっっ!!??馬鹿女めが!!」
少年悪魔は掌を向けると、火の玉として、魔力を撃ち出す。
だが、シスターがそれを体捌きでかわす。
直後、少年悪魔の目の前まで、シスターは間合いを詰めていた。
 「しま・・!?」
少年悪魔が後退しようとしたところへ、手首に鈍い打撃が襲いかかる。
悪魔の前腕には、悪魔に効果がある十字架の印を刻みつけた分銅鎖が巻き付いていた。
シスターは少年悪魔の腕を前に引っ張り、体勢を崩したところで、足払いで、悪魔を床に投げ倒す。
 「く・・くそ・・!?」
「さぁ・・帰るわよ。その前に・・・」
シスターは鎖で悪魔の両手首を縛るや、少年悪魔を膝の上に乗せる。
 「貴様!?何するんじゃ!?」
「決まっているでしょう?お仕置きよ」
そういうと、シスターは手袋を嵌めた手を振り上げる。
手袋にも、対悪魔用の十字架の印が刻まれていた。
 バッシィィーーンッッっ!!
「ぐううっ!?やめんかっ!?暴力女っ!!」
「何を言ってるの!?また懲りずに悪さなんかして!!絶対に許さないわよ!!」
シスターは怒りの声と共に、悪魔のお尻を叩く。
その後、シスターの怒りの声とお尻を叩く音、悪魔の反抗する声とが響いていた・・・。


 ―完―

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青き狼たち10(バイオレンスあり)



(バイオレンスありです。許容できる方のみご覧ください)


 「どうした、随分と仏頂面だな?」
「ふん・・。そんなの、当然だろう」
近藤の問いに、マチウスは不機嫌そのものの表情で答える。
 「おい!カンチョウになんて口をきくんだ!?」
マチウスの態度に、思わずカイが言う。
「お前には関係ないだろう、口を出すな。腰巾着!」
「おい!いい加減にしないと・・・」
「何だ?やる気か?」
二人は睨み合い、いまにも喧嘩が始まりそうな雰囲気になる。
 「やめんか二人とも!周りの迷惑に・・!?」
仲裁しようとした近藤の表情に、突然緊張が走る。
そんな近藤の様子に、思わず二人も振り向く。
直後、二人の表情も緊迫に包まれた。
 三人の視線の先にあるのは、ある男の姿。
仕立ての良いスーツを身にまとい、時間をチェックしながらキビキビ行動する姿は、やり手の実業家といった感じに見える。
だが、三人とも男がただの実業家ではないことを知っていた。
 「キヨカワ・・・!?何故ここに・・!?」
思わずカイは呟く。
清川紘八(きよかわこうはち)、それが男の本名である。
清川八郎の子孫にして、中東某国の砂漠地帯のオアシスに拠点を持つ実業家・富豪とは表向きの姿。
その正体は各地の過激派や反社会組織を指嗾し、テロや紛争を巻き起こす、恐ろしい人物であった。
 「あの野郎・・!?」
思わずマチウスは愛用の短銃身リボルバーを抜き放とうとする。
彼の故国アメリカにおいても、清川の援助を受けた組織や人物によるテロが起こっている。
その中で、彼の実家であるハーモニカ社も、警備員やボディーガードとして派遣した社員を失っている。
 「待て!落ち着くのだ!」
「どうして止めるんだ!?アイツが何者か、知ってるだろう!?」
制止する近藤に、マチウスは食ってかかる。
 「気持ちは分かる。だが・・たった一人で、あんな無防備な姿でヤツがいると思うか?」
近藤はマチウスに示すように、チラリと視線をある方向へ向ける。
思わずマチウスもつられて、視線を向ける。
すると、目立たないようにして、ボディーガードらしい男がいることに気づく。
さらに、慎重に周囲を見回すと、他にも数人同様の男達がいる。
 「こんなところで銃撃戦をするつもりか?」
近藤はさらに周囲を見ながら、マチウスに言う。
三人がいるのは高級ホテルのロビー。
こんなところで撃ち合いなどしようものなら、間違いなく無関係な一般人を巻き込んでしまう。
また、犠牲者が出なかったとしても、騒動を起こしたことで警察から咎めを受ける危険性がある。
「わ、わかってる・・!!そこまで僕は馬鹿じゃないさ!?」
近藤の言葉に、マチウスは渋々、拳銃をコートの下に納める。
そのまま、清川を見逃すものの、その目には強い怒りの炎を宿していた。


 数日後・・・・・。
「ハァ・・ハァ・・!!」
ロシア製自動拳銃を握りしめたまま、男は裏通りを必死に走っていた。
 (クソ・・!?何なんだ!?ついてねえ!!)
走りながら、男は舌打ちする。
男は清川のボディーガード役の一人。
先輩格のボディーガードの命令で、買い出しに出た帰りだった。
尾行されていることに気づき、裏通りへと逃げ込んだのである。
 (サツか?それとも・・・・)
尾行者の正体を思わず考えるが、すぐに頭から締め出す。
余計なことを考えていれば、やられてしまう。
清川のボディーガードとして、裏の世界を歩いて来た経験が、それを教えていた。
 男は拳銃を構え、慎重に周囲を見回す。
「!!??」
男は、正面から、こちらへゆっくりと近づいてくる人影を発見する。
 「誰だ!?」
男は拳銃を両手でしっかりと構え、問いかける。
影は黙ったまま、ゆっくりと接近する。
やがて、影の姿がだんだんはっきりしてくる。
 影の正体は細身の若者。
帽子を深めにかぶっているため、顔はわからない。
使い古したロングコートを身にまとい、首には古ぼけたハーモニカを下げていた。
 「貴様・・・!?」
首にかけたハーモニカに、男の表情が強張る。
同時に、影目がけて発砲する。
だが、着弾したのは足元。
咄嗟に撃ったために、有効距離外だったのだ。
 「く・・!」
外したことで、男は焦りに駆られ、さらに二回発砲する。
だが、焦って撃ったために、またも外してしまう。
その間に、ハーモニカを下げた影は十分な距離まで近づいていた。
 男は、影がコートの下に手をやっていることに気づくや、引き金を引こうとする。
同時に、影の手が引き抜かれるや、閃光と共に乾いた音が鳴り響いた。
「ぐ・・・!?」
男は銃を取り落し、左手で右腕を押さえて、路上に座り込む。
ゆっくりと影はリボルバーを構えたまま、男の眼前へと現れた。
 「キヨカワのボディーガードだな?」
マチウスはリボルバーを構えたまま、尋ねる。
「何のことだ?」
「とぼけるな!ネタは上がってるんだ!!」
マチウスは拳銃を握ったまま、グリップの端を男の腹へと叩きつける。
衝撃で男は苦痛の声を漏らす。
 「キヨカワはどこにいるんだ?」
「話すわけ・・ないだろうが!!」
「ふーん・・・。では・・これでどうかな?」
マチウスは男の太ももに銃口を突きつけると、引き金を引く。
「!!!!!」
熱したナイフを突き込まれたかのような苦痛に、男は前進を震わせ、声にならない声を漏らす。
「どうする?ここで頭を吹っ飛ば・・・・」
さらに額に銃口を突きつけ、冷たい声で言いかけたそのときだった。
 突然、マチウスは後ろを振り向く。
同時に立て続けに3度、銃口が火を噴いた。
「「「ぐうわっっ!!」」」
重なり合った悲鳴と共に、三人の男が路上へ倒れる。
三人とも、一発で額を撃ち抜かれ、手に拳銃を握りしめたまま、こと切れていた。
 「もう一度聞く。頭を吹っ飛ばされたいか?」
仲間の呆気ない死に様に、男の気力は完全に萎えていた。
マチウスの問いに、男は素直に白状する。
 「ふん・・。最初から素直に白状すればいいんだ。手間を取らせるんじゃない!」
そう言い捨て、マチウスは去ってゆこうとする。
(舐めやがって!ガキの分際で・・!!)
男はマチウスの背中をジッと見つめる。
ボスの居場所を白状してしまった以上、このまま帰ることは出来ない。
無事な左手で、男は何とか拳銃を拾うと、マチウスの背中に狙いをつける。
 (くたばれ・・!!)
残る全力を込めて、男が引き金を引こうとしたそのとき、マチウスの身体が反転し、銃口が火を噴いた。
額に風穴が開くと同時に、男は路上へと力なく崩れ落ちる。
 「馬鹿な奴だな。何発撃ったか、数えておかなかったのか?」
冷ややかな声で言うと、マチウスはその場を立ち去った。


 さらに数日後・・ある雑居ビル・・・。
銃身の短いマグナムリボルバーを構えたまま、マチウスはゆっくりと階段を上がってゆく。
ボディーガードの話によれば、ビルの所有者である非合法組織の事務所に、清川が来るという。
武器の密売買の商談の為らしいが、それはマチウスにはどうでもよいことだった。
事務所のある階にたどり着くと、マチウスは慎重に廊下を進んでゆく。
やがて、目当ての事務所のドアが見えてきた。
マチウスは、より慎重な足取りで、ドアへと接近してゆく。
だが、不意に足取りが止まる。
 拳銃を構えたまま、マチウスは廊下の床に視線を落とす。
視線の先には、拳銃を握りしめた男が倒れている。
腹は真っ赤に染まっており、息絶えているのは明らかだった。
 マチウスは、致命傷となった腹の傷をジッと見つめる。
腹には大きな穴がぽっかりと開いている。
(ショットガンか・・・)
傷口の様子から、マチウスはそう見当をつける。
マチウスは死体をまたぎ、開いたドアから、事務所へと入る。
 事務所の中は、構成員らしき男達の死体があちこちに転がっている。
いずれも、廊下で倒れていた男同様、ショットガンによる傷が致命傷だった。
(どうなってるんだ?)
訳が分からず、マチウスは困惑する。
ただ、目当ての清川がいないことだけはわかっていた。
「チ・・・!!」
苛立ちのあまり、舌打ちしながら、マチウスは事務所を後にしようとする。
そのとき、微かなうめき声を聞きつけた。
 もしやと思って、声のした方へ駆けつける。
すると、まだ息のある者がいた。
「おい・・キヨカワはどこにいるんだ?」
マチウスは銃口を突きつけて尋ねる。
 「い・・いない・・。しょ、商談が終わったら・・か・・帰った・・・」
「嘘じゃないだろうな?」
マチウスは傷口を踏みつけながら尋ねる。
「ぎゃがががが!!う・・嘘じゃ・・ないぃぃぃ!!??とっぐに・・!帰っ・・たんだぁぁぁああああ!!!がふうっっ!!」
用済みだと言わんばかりに、マチウスはサッカーボールのように男の頭を蹴飛ばして気絶させる。
 (クソ・・!無駄足を踏んだじゃないか!?)
マチウスは清川にまんまと逃げられたことに、むかっ腹を立てる。
この怒りを何かにぶつけずにはいられない。
そんな気持ちを抱いたときだった。
 「ん・・・?」
廊下へ出たマチウスは、薄暗い照明の下できらりと光る何かに気づく。
直後、乾いた音と共に、銃口が火を噴いた。
 「なめるな!」
マチウスは屈んでかわし、同時に撃ち返す。
だが、敵もさる者。
独楽のように動いてかわしつつ、反撃し、その隙に奥へと走り去ってゆく。
 「待て!逃がすか!?」
イライラしているところへ銃弾を食らわされ、マチウスはすっかり頭に血が上ってしまう。
追い詰めて、マグナム弾を全弾ご馳走してやる。
それしか、頭には無かった。
 (どこへ行った!?)
マチウスは獲物を追う猟犬さながらに走る。
追うことばかりに気を取られ、足元への注意など頭からすっ飛んでいた。
 「!!??」
何かが引っかかったように感じた直後、マチウスは顔から飛び込むように、廊下に倒れ込む。
「ぐ・・!?何・・!?」
起き上がったマチウスは、暗い色に塗られて目立たなくしたロープが足元に張られていたことに気づく。
同時に、撃鉄を起こす音が響いた。
ハッとしてマチウスは振り向く。
視線の先にあったのは、ショットガンの銃口。
目が合った瞬間、ショットガンが火を噴いた。
 胴に強烈な衝撃を感じた直後、マチウスの身体が後ろへ吹っ飛ぶ。
(くそぉ・・!!)
吹っ飛びながらも、マチウスはマグナムリボルバーをぶっ放す。
直後、マチウスは確かな手ごたえを感じ取る。
(やった・・!?)
床に倒れながらも、マチウスはほくそ笑む。
だが、遠ざかる足音に、表情が変わる。
 (やり損ねた!?逃が・・!?)
マチウスは起き上がろうとするも、身体が動かない。
(馬鹿!?何をや・・・くそぉ・・!?目の前が・・暗く・・・)
動かない自身の身体に苛立ちつつ、マチウスは視界が暗くなってゆくことに気づく。
やがて、そのまま意識が遠のいていった・・・・。


 目を覚ました瞬間、白い天井が目に飛び込んできた。
「どこだ・・!?ぐう・・!?」
強烈な痛みに、マチウスは思わず自分の身体を見やる。
すると、胴体はまるでミイラのように、包帯が巻かれていた。
 「何だコレは!?ぐう・・!?どうなって・・!!」
「静かにしろ、ここは病院だ」
不意に聞こえてきた声に、思わずマチウスは振り返る。
直後、マチウスの顔が渋ったいものに変わる。
 「何でここにいるんだ!馬鹿親父!?」
ロングコートに、首から古ぼけたハーモニカを提げた父親の姿に、マチウスは嫌そうな顔で言う。
「見舞いだ。これでも父親だからな」
「そんなことはどうでもいいさ!何で・・僕が病院なんかにいるんだ!?」
「ショットガンを食らって、死にかけていたところを、シンセン社のエージェントが保護したんだ。まぁ、そう騒いでいれば、心配はなさそうだな」
「うるさい!出ていけ!?馬鹿親父!!」
マチウスは怒りのあまり、近くにあった本を投げつける。
チャールズはそれを受け止めると、やれやれ、と言いたげな素振りを見せて、病室を後にした。


 その後・・・退院からしばらく経ったある日・・・。
バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!
「くそっ!やめろっ!やめろって言ってるだろうっ!!」
肌を打つ音と共に、マチウスの怒りの声が響く。
 バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!
「やめろ、ではないだろ。全く・・何を考えている、この馬鹿息子が」
力強い平手打ちを容赦なく息子のお尻に降らせながら、父親はお説教をする。
 バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!
「う、うるさいなぁ!テロリストの親玉を捕まえようとしただけだろう!それの何が悪いんだ!!」
「勝手なことをするな。軽はずみな振る舞いで、危うく死にかけたんだぞ?コンドウ達にどれだけ迷惑をかけたのか、わかっているのか?」
「うるさいって言ってるだろう!馬鹿親父!!いい加減にしないと、本気で怒るからな!!」
マチウスは父親のお説教に、反省するどころか、逆切れする。
 「やれやれ・・・。反省の色なしか・・」
ため息をつくと、父親はさらに平手を振り下ろす。
バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!
「やめろっ!やめろって言ってるだろーっ!馬鹿親父っ!やめろっ!やめないかーっ!!」
さらに続く平手打ちに、マチウスは反抗し続ける。
その後、長い長い間、マチウスの反抗的な声と、お尻を叩く音が響いていた・・・。


 同じ頃、アメリカ西部の某都市郊外・・・・。


 トニーは戦々恐々とした表情で、ジッと目の前の相手を見つめる。
視線の先には、メキシコ人を思わせる褐色の肌をした、葉巻をくゆらせた男の姿があった。
男の名はジャン・ラモン・ヴォロンテ。
アメリカ西部を主要な活動範囲とする犯罪組織『フランク・ファミリー』の主要幹部の一人である。
 「ボ、ボス・・!つ、次こそは・・!?」
「『次』だと?トニー、貴様に次があると思ってるのか?」
再度のチャンスを乞うトニーに、ジャンは冷徹な目で見つめる。
トニーはジャンの組織の殺し屋。
ショットガンの使い手として知られている。
 「言ったはずだぞ。汚れ物が二つあるから、きちんと始末しろとな。それを・・一つ始末しそこないやがって!!」
ジャンは怒りをあらわにする。
汚れ物とは、マチウスが乗り込んだ組織、そしてマチウス自身。
ファミリーそして彼自身の意向として、殺害を命じたのだ。
だが、マチウスの方は失敗した上、おめおめと逃げ帰ってきたのである。
 「わ、わかっています!で、ですから・・・今度こそ・・!!」
「まぁいい・・。チャンスをくれてやらんでもない・・・・」
意外なボスの反応に、一瞬トニーは怪訝な表情を浮かべる。
だが、ガラケーを取り出したジャンの姿に、表情が強張る。
 「ボス・・!?ま、まさか・・・」
ジャンはガラケーを開くと、オルゴールのような曲を流す。
「おい、何をしている?時間が無いぞ。逃げてみろ。見事逃げたら・・もう一度・・やらせてやる」
最後まで聞かないうちに、トニーは逃げ出した。
 トニーは走りに走る。
その間、ジャンはジッとガラケーのメロディに耳を傾ける。
やがて、曲が終わると同時に、ジャンはズボンから大型のリボルバーを抜き出す。
逃げるトニーの背中に狙いをつけると、ジャンは一回、引き金を引く。
銃口が火を噴くや、トニーの身体が硬直し、そのまま倒れ伏す。
直後、体格のいい男達が現れ、死体を持ち上げると、車のトランクへと放り込んで、走り去っていった。


 ―完―

不二子の逆襲・その後(SO2&テイルズ・ルパン三世より/ティア・不二子)



(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにした、SO2&テイルズ・ルパン三世共演パロです。許容できる方のみご覧ください)


(やっぱり・・諦めるなんて出来ないわ!)
ティアの恥ずかしい写真を見やりながら、不二子は心の中で言う。
仕事の邪魔をしたティアにはお仕置きをしてやったが、それで鬱憤が晴れたわけではない。
泥棒の不二子にとっては、目当ての宝を見事盗み出すことこそ、屈辱を晴らすことになるのだから。
(外から盗もうとしたら失敗したのよ。だったら・・・・)
不二子は素早く計画を組み立てる。
計画を練り上げ終えると、不二子はアジトを後にした。


 それからしばらく経ったある日・・・・・。
「悪いですね、わざわざ来てもらって」
「別に構わないわ。仕事の依頼だと聞いたのだけれど?」
エルレインの言葉に、ティアはそう尋ねる。
 「ええ。これから話します。不二子、いらっしゃい」
エルレインの言葉と共に、眼鏡にスーツ姿の、いかにも偉い人の秘書といった感じの女性が現れる。
その顔を見た瞬間、ティアはハッとする。
目の前にいたのは、不二子だったからである。
 「どうしました?」
「い、いえ、な、何でもないわ!」
ティアは平静を装う。
 「では、不二子、説明をお願いします」
「わかりました、では・・・」
不二子はいかにも秘書らしく、資料と共に、依頼内容の説明を始める。
ティアは目の前の不二子に飛びかかりたくなるのを必死に抑える。
 「と、いうわけです・・。引き受けていただけますか?」
「わかったわ。では、準備があるから、失礼するわ」
そういうと、ティアは執務室を後にした。
 (まさか・・!秘書として潜り込んでるなんて・・!?)
誰もいないところで、ティアは驚きのあまり、ため息をつく。
(でも・・チャンスだわ!あんな目に遭わされて・・・)
ティアは無意識にお尻をさすりながら、不二子から受けた理不尽なお仕置きを思い返す。
(見てなさい・・!今度は・・私が泣かせてあげるわ!)
ティアは闘志を燃え上がらせながら、その場を後にした。


 数十分後・・・。
「コレと・・コレね・・・」
棚から資料を取り出しては、不二子はメモと照合する。
打ち合わせに必要な資料を取ってくるよう、エルレインに言いつけられたのだ。
 (いたわね・・!)
ティアは資料棚の陰に隠れ、不二子の様子をジッと伺う。
不二子は資料探しに集中しているためか、こちらに気づいている様子はない。
ティアは慎重に、不二子へと近づいてゆく。
やがて、もう少しで背後を取れる距離まで来たときだった。
 突然、不二子がティアの方へと振り向く。
ハッとした瞬間、小型のスプレーが突きつけられる。
中身が噴きだしたと思う間もなく、ティアは強烈な眠気に襲われ、床へと崩れ落ちた。


 「ん・・?」
「あら?やっとお目覚めかしら?」
頭上からの声に、ティアは思わず振り返る。
 「あなた・・・!?」
「ふふ、覚えていたようね?」
怒りに満ちたティアの表情に、不二子は笑みを浮かべる。
「忘れるわけが無いでしょう!?っていうか、何なのよコレは!?」
ティアは両手首を紐で縛られた上、ソファに腰かけた不二子の膝の上に乗せられていることに気づく。
 「決まってるでしょう?お仕置きしてる間に、暴れられたら大変じゃない」
「お仕置き・・!?まさか・・!?」
今の自分の体勢から、ティアは不二子の意図を察する。
「ええ、そうよ。今からたっぷり、お尻を叩いてあげるわ。この前みたいにね」
不二子は笑みを浮かべて、宣告する。
 「ふ、ふざけないでっ!?ちょっとっ!やめなさいっ!!」
抵抗しようとするティアだが、格闘能力は不二子の方が上。
押さえつけられたかと思うと、お尻をむき出しにされてしまう。
 「あら、さすがに治ったみたいね」
「う・・うるさいわね・・!?」
からかうような口調に、ティアは屈辱を抑えかねて言う。
「まぁいいわ。もう一度、真っ赤にしてあげるわ。覚悟なさい」
不二子は笑みを浮かべながらいうと、手を振りかぶった。


 バッシィーンッッ!
「く・・!?」
(何をしているの!?情けない真似をするんじゃないわよ!?)
危うく声を出しかけた自身を、ティアは叱咤する。
同時に、ティアは必死に声を押さえつける。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
弾けるような音が間髪入れずに響き、ティアのお尻に赤い手形が浮かび上がる。
「・・!・・!・・!・・・!・・!」
声を出すまいと、ティアは必死に耐える。
平手打ちを耐えながら、ティアの身体が屈辱で微かに震える。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「ふふ・・。何ともイイ恰好ねぇ。膝の上でお尻だけ丸出しなんてねぇ」
「う・・うるさ・・い・・わね・・!く・・!」
からかうような不二子の発言に、ティアは言い返すも、苦痛に顔を歪める。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「いい年をして、小さな子供みたいにお尻ペンペン、もう本当に恥ずかしいわねぇ。情けないと思わないのかしら?」
「う・・うるさいわね・・!あ・・あなたが・・してるん・・でしょう・・!?」
不二子の理不尽な物言いに、ティアは反発する。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「あなたが悪いのよ。性懲りも無く、私の邪魔をしようとするからよ」
「な・・何よ!泥棒のく・・うっ!くぅ・・!うっく・・!」
反発するティアだが、不二子の容赦ない平手打ちに、苦悶の声を漏らす。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「いや・・!くぅ・・!いや・・!もう・・ううく・・・!」
不二子の平手打ちの嵐に、だんだんティアは苦痛の声を漏らす。
お尻も、全体が赤く染まっており、だんだんと色が濃くなってゆく。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「いや・・!くぅ・・!やめ・・やめて・・!いや・・!」
「『やめて』ですって?ダメよ。性懲りも無く、また私の邪魔しようとしたのよ。まだまだ、許してなんかあげないわ」
「そ・・そんな・・!?」
絶望の声を漏らすティアに、不二子はクスリと笑みを浮かべる。
同時に、平手打ちに、さらなる勢いを込める。パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「いやっ!いやあっ!やめて・・!いやあっ!許して・・!痛っ!いやあっ!痛ああっ!許し・・いやぁぁ!!」
その後、少なくとも優に百を数える平手打ちが、ティアのお尻に振り下ろされた・・・。


 「ううう・・・!?」
「ほら!ちゃんと立ちなさい!お尻を隠したらダメよ!」
不二子は定規でお尻をピシピシと叩きながら、ティアに命令する。
ティアは屈辱に身を震わせつつ、真っ赤なお尻をあらわにした姿で、壁際に立つ。
 「ちゃんと顔もこっちに向けるのよ。そう・・そのまま・・」
羞恥を必死に堪えながら、ティアは命令された通り、お尻を出したまま、振り向いた姿勢をとる。
その姿を、不二子はスマホで幾度も撮影する。
 「ふふ、面白いモノが撮れたわね。もし、また懲りずに私の邪魔をしようとしたら・・コレをネットでばら撒いてあげるわ。嫌なら、大人しくしていなさい。いいわね?」
ティアは屈辱感と怒りで、キッと不二子を睨みつける。
不二子は勝利の笑みを浮かべ、ティアを見返すと、満足した様子でその場を後にした。


 「遅いですよ?一体、何をしていたのです?」
満足した様子で戻った不二子を待っていたのは、エルレインの怒った顔だった。
「も、申し訳ありません!資料探しに手間取ってしまいまして・・!」
謝りながら、不二子は自身の迂闊さを後悔する。
ティアのお仕置きに夢中になり、打ち合わせの時間を忘れてしまっていたからだ。
 「それが理由になると思いますか?時間に遅れるなど、社会人として許されないことです。罰として、お尻を叩いてあげます。さぁ、お尻を出しなさい」
「そ・・そんな・・!嫌です・・!」
思わず不二子は拒否する。
 「嫌だと言うのですか?出来ないのならば、辞めてもらっても構わないのですよ、こちらは」
「う・・・!?」
不二子は言葉に詰まる。
お尻を叩かれるのは嫌だ。
しかし、秘書を辞めてしまえば、今までの苦労が水の泡。
それは困るし、もっと嫌だった。
 「わ・・わかり・・ました・・!受けます・・・!」
「ならば、自分でお尻を出して、膝に乗りなさい。出来ますね?」
「は・・はい・・・」
不二子は屈辱に身を震わせながらも、自分でお尻を出し、エルレインのそばへ行く。
だが、足が止まってしまう。
 (ふふ・・。さすがに、屈辱のようですね・・)
ジッと立ち尽くし、膝を見つめ、悶々とした様子の不二子に、エルレインは密かに笑みを浮かべる。
(さぁ、どうします?わざわざ潜り込んだ苦労を、ここで台無しにしますか?)
心の中で、エルレインは不二子に問いかける。
実は、不二子の正体や目的について、全部知っていた。
知っていて、わざとこの罰にしたのである。
 「どうしたのです?出来ないのならば、辞めますか?」
「い・・いえ・・!出来ます・・!」
「ならば、早くしなさい」
エルレインの言葉に、不二子は唇を噛む。
言われた通り、エルレインの膝にうつ伏せになるも、屈辱に身を震わせる。
 (目的の為に堪えましたか。でも、屈辱感はたっぷりのようですね。そうでなくては、面白くありません)
屈辱で一杯な不二子の姿に、エルレインは密かに意地悪な笑みを浮かべる。
(それでは・・せいぜい、楽しませてもらいましょうか。女盗賊さん)
密かに笑みを浮かべたまま、エルレインは不二子を押さえつける。
同時に、ゆっくりと、もう片方の手を振り上げた。


 パアシィーンッッ!
「う・・・!?」
弾けるような音と共に、ジィーンと痛みがお尻全体に走る。
衝動的に、不二子は声を漏らしそうになる。
(何やってるのよ!?恥ずかしく無いの!?)
思わず声を漏らしかけた自身を、不二子は叱咤する。
パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!
平手打ちが続けて振り下ろされる中、不二子は懸命に声を押し殺す。
そんな不二子の姿に、エルレインは満足げに微笑む。
 パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!
「全く・・・いけない子ですねぇ・・・」
お尻を叩きながら、エルレインはお説教を始める。
といっても、反省させるためのものではない。
羞恥心を煽り立てて、辱めるのが目的だった。
 パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!
「時間厳守は社会人として、当たり前のことですよ?そんな基本的なこともわかっていないのですか?」
お尻を叩きながら、エルレインは言葉でも責める。
 パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!
「く・・!申し訳・・ありま・・せん・・!資料探しに・・手間取って・しまい・・まして」
平手打ちが間断なく叩きつけられる中、不二子は必死に謝る。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「そんなのが、理由になると思っているのですか?全く・・社会人としての、自覚が無い証拠です!そんなだらしない娘には、子供のお仕置きで十分です!」
エルレインは手を振るう勢いを強めて叩く。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!うく・・!あく・・!うっく・・!申し訳・・ありま・・くぅぅ・・!あう・・!」
必死に謝る不二子だが、お尻を叩かれる苦痛に、身を悶えさせる。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「おやおや?お尻をフリフリしていますねぇ?恥ずかしくないのですか?みっともない真似をして」
エルレインは羞恥を煽り立てるため、言葉でも責めたてる。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!言わないで・・下さ・・く・・!ひっう・・!」
不二子は羞恥に顔を赤らめ、懇願する。
バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「それに・・お尻が真っ赤ですねぇ。これでは、まるでお猿さんのお尻ですねぇ。とても大人の女性のお尻には見えません。みっともなくて、恥ずかしくて、私なら、とても人前には出れません」
叩かれ、赤く染め上がってゆくお尻を見やりながら、エルレインはさらに辱める。
屈辱に不二子は言い返したくなるが、それを必死に堪える。
カッとなって言い返せば、藪蛇だし、それもまた恥ずかしいからだ。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!ひぅ・・!あく・・!エルレイン様・・!お許し・・下さ・・!ああう・・!」
「なりません!あなたのような悪い子な秘書は、しっかり躾けてあげます!覚悟なさい!」
「そんな・・!く・・!あくぅ・・!」
その後、長い長い間、お尻を叩く音と、不二子の苦悶の声、エルレインの言葉責めが続いていた。


 「くぅぅ・・!」
不二子は羞恥と屈辱感の入り混じった表情を浮かべ、ジッと立っていた。
むき出しにされたお尻は、万遍なく真っ赤に染め上がっており、火が付いたかのように熱い。
背中には、『待ち合わせの時間に遅刻したので、エルレイン様にお尻を叩かれました』という恥ずかしい札を下げられていた。
 「ホホ、何ともみっともない姿ですねぇ」
「く・・!エルレイン様が・・なさったんじゃ・・ないですか・・」
不二子は思わず恨めし気な視線を送る。
 「あなたが約束の時間に遅れたのが、そもそもいけないのでしょう?」
「そ、それは・・・」
エルレインの言う通りのため、不二子はぐうの音も出なくなる。
 「子供みたいにお尻ペンペンされる、お尻はサルみたいに赤くなる、お尻だけ丸出しにした上、札まで下げた恥ずかしい姿で立たされる・・・。恥ずかしいでしょう?屈辱でしょう?これに懲りたら、二度とするのではありませんよ?」
「わ・・わかって・・います・・!二度と・・いたしません・・!」
恥ずかしさと悔しさに、不二子は身を震わせる。
そんな不二子の姿に、エルレインは満足げに笑みを浮かべ、不二子をジッと見つめていた。


 ―完―

青き狼たち5(BL・バイオレンス)



(BL・バイオレンスありです。許容できる方のみご覧下さい)


 カイがいつものように、道場内の雑巾がけをしていたときだった。
「お出かけですか、カンチョウ?」
カイは近藤に、怪訝そうに尋ねる。
今日は外出の予定は無かったはずだからだ。
 「うむ、実は急に出なくてはいけない羽目になってな」
「そうですか、俺もお伴します」
「いや、今日は俺だけでいい」
「ですが・・・」
近藤の言葉に、カイは困惑する。
師の手には刀と木刀が提げられている。
近藤の武道家・エージェントとしての腕前を必要とする要件なのは明らかだった。
である以上、弟子そして部下として、残るというわけにはいかない。
 「気持ちはありがたいが、今日は内密の用件でな。俺以外の者は来ないでもらいたい、とのことなのだ」
「そうですか・・。お気をつけて」
「ああ、留守を頼むぞ」
近藤はそういうと、待っていた車に乗り込み、道場を後にした。


 数時間後・・・。
殺人犯や暴力団関係者など、危険な囚人が数多く収容されている某刑務所。
その周囲には警察車両が何台も連なって停車しており、完全武装した警官隊が、いつでも突入できる体勢を整えている。
何とも物々しい雰囲気があたりを覆っている中、新たな車が停まり、中から近藤が降りてくる。
近藤は現場を指揮している警官たちとしばらく話をする。
その後、持ってきた刀を腰に差し、木刀を手にすると、刑務所の中へと足を踏み入れた。


 「は・・・はぼわっ!?」
「ぶべらっ!」
「あべしいいっ!!」
「たわらばっ!!」
奇妙な悲鳴と共に、囚人たちが床へ崩れ落ちる。
囚人たちは鋸やハンマーなどの作業道具、或いはテーブルや椅子の足などを手にしていた。
 「くそっ!相手はたった一人だ!やれ!押しつぶせぇぇぇ!!」
先に倒された仲間たち同様、作業道具やテーブルの脚などを武器代わりに持った囚人たちが、近藤めがけて、どっと襲いかかる。
その数、数十名。
まさに、人の波といわんばかりのものだった。
 だが、近藤は逃げない。
それどころか、両腕を大きく広げ、受け止める体勢を取る。
今にも囚人の一団が近藤を押しつぶすかと思われた瞬間、囚人側の動きが止まる。
 「!!??」
囚人たちは目を疑う。
たった一人に、数十人もの突撃が、止められてしまったのだから。
「むううんっっ!!」
気合と共に、近藤は囚人たちを押す。
 「うわああっっ!!」
衝撃で囚人たちはドミノのように、倒れ或いは体勢を崩す。
そこへ、近藤が木刀を振るって斬り込む。
木刀が意志を持ったかのように、縦横無尽に動き、囚人たちを打ち倒してゆく。
囚人たちは、あるものは立ち向かおうとし、また別の者は逃げ出そうとする。
その混乱に、ぶつかり合い、或いは武器を仲間にぶつけてしまい、さらに混乱がひどくなる。
ようやく静かになったころには、囚人たちは皆床にのびるか、逃げ出してしまっていた。
 疲れも見せず、近藤はさらに奥へと進んでゆく。
やがて、何やら奇妙な臭いが漂ってくる。
「これは・・・!?」
目の前に広がる光景に、近藤は顔をしかめる。
作業場らしき、広い空間内には、あちらこちらに囚人が倒れている。
囚人たちはいずれも全裸、もしくは下半身裸、というあられもない姿。
股間はベタベタと汚れており、まるでミイラのように痩せ、肌の色も気味悪く変色してしまっている。
 「ハアッ!アアッ!!アアあンッッ!!」
不意に、妖しい声が室内に響く。
声のした方を振り向くや、近藤の表情は、さらなる嫌悪感で覆われる。
「イッイ・・!もっと・・!突き上げ・・!」
「はっ!はっ!はっ!はああっ!!」
刺青が背中全体に入った、ヤクザらしい囚人の腹の上に、新緑を思わせる緑色の髪を持つ、雪のように白い肌の美青年が跨っている。
美青年の最奥部はヤクザの肉杭を銜え込み、これでもかと吸い上げる。
 「ああっ!もう・・我慢・・出来な・・!!」
ついに美青年が絶頂に達し、青年自身から欲望を吐き出す。
直後、全精力を吸い尽くされたヤクザが、うめき声と共に、息絶えた。
 「何だーっ!もう死んじゃったのかー!ちぇっ!もっと根性あるかと思ったのに~!つまらないな~!」
美青年は詰まらなそうに、こと切れたヤクザを蹴飛ばす。
 「って・・・フフフ、お客さんの到着だねぇ。お待たせ~」
全裸、しかも下半身が汚れた姿のまま、美青年は近藤の方を振り向き、話しかける。
「待ってなどいない・・。何のつもりだ?源・シャナ・クーロ?」
近藤は不快感や嫌悪感を堪えながら、美青年ことクーロに呼びかける。
 「何のつもりだって?決まってるじゃないか、アンタをここへ呼び出すためさ」
ビキニパンツと左右にスリットが入った腰布を身に着け、どこから手に入れたのか、日本刀を手にして、クーロは笑みを浮かべて言う。
「そのために・・こんな騒ぎを引き起こした、というのか?」
「そうさ・・!砂漠の国でアンタに無様に尻を叩かれ・・、そしてアンタの仲間にここへぶち込まれた・・!その屈辱・・・!忘れたことは・・無かった・・!!」
クーロは怒りに顔を歪める。
 「そのために・・囚人を扇動し、騒ぎを起こさせたと?」
「その通り。看守や警官風情に僕を止められるわけが無い・・・。警察に泣きつかれて、アンタが出てくる・・思った通りさ・・!ハハハハハ!!」
作戦が図に当たり、クーロは哄笑する。
 「そのために・・こんなことをしたか・・!?」
「どうせ囚人じゃないか。死んだって迷惑はかからないし、国にとってもそれだけ使う税金が減るんだ。むしろ、国に礼を言ってもらいたいくらいだよ」
近藤の怒りをワザと煽るつもりなのか、クーロは悪びれもせず、そんなことを言い放つ。
 「いいだろう・・!貴様のその根性・・!叩き直してやる!来い・・!!」
クーロの態度に、嫌悪感よりも怒りが勝り、近藤は木刀ではなく、刀を抜き放つ。
「ウフフフ、いいねぇ!存分に・・楽しもうじゃない!!」
刀を抜いた近藤に、クーロは笑みを浮かべ、舌なめずりしながら、刀を構える。
 互いに刀を構え、二人はジッと睨みあう。
先に動いたのはクーロ。
床を蹴ったかと思うや、目の前まで接近する。
 ガキインッッ!!
硬い音と共に、刀と刀がぶつかる。
いわゆる鍔迫り合いの状況に、互いに相手を押し合う。
刃がギチギチと音を立て、互いに位置を入れ替えながら押し合う。
だが、だんだんに近藤の方が押してゆき、クーロは後退し始める。
 「くっ!」
クーロは再び床を蹴って飛び上がる。
飛び上がりながら、刀を横にして回転し、斬りかかる。
「甘いっ!」
近藤はクーロの剣を受けたかと思うと、ぐるりと剣を回転させる。
それに伴って、クーロは空中で振り回される。
 「そうはいかないさっ!」
クーロはそう言うと、体勢を建て直し、同時に近藤の顔面目がけて蹴りを繰り出す。
とっさに近藤は片手で受ける。
クーロは同時にもう片方の足で、近藤の刀を横殴りに蹴る。
パキンッ!という音と共に、刀が中途から折れてしまう。
 「ならばっっ!!」
近藤は折れた刀を振り上げ、クーロの刀目がけて叩きつける。
思いきり叩きつけた衝撃で、クーロの刀もボッキリとへし折れ、使えなくなる。
互いに、折れた刀を捨てると、素手で構えて、ジッと睨みあう。
 芋虫がゆっくりと這うように、二人は1センチ、また1センチと接近する。
だが、痺れを切らしたのか、クーロは思いきり床を蹴って、一気に接近してきた。
「ハッ!ハッハッハッ!」
クーロはパンチの連打で近藤を攻める。
近藤は鍛え上げられた腕で受け止め、或いは攻撃を受け流す。
腕で受けながらも、足の方でクーロを攻め返す。
しかし、クーロも負けずに、手で攻めながら、足を巧みに動かして近藤の足技を防御する。
そんな膠着状態が続いていたが、不意に近藤に僅かに隙が生まれる。
 (今だっ!!)
クーロはサッカーボールを蹴り上げるかのような、強烈な蹴りを繰り出す。
頭上高く吹っ飛ばし、空中攻撃へ持っていく算段だった。
だが、蹴りは近藤に受け止められてしまう。
(罠・・・!?)
クーロは一瞬、ハッとする。
隙を見せて攻撃を誘い、反撃技へ持っていくつもりだったのだ。
近藤の手がクーロの身体を捕まえたかと思うや、手足に電撃のような痛みが走る。
いわゆるツボを押さえられたのだ。
「ぐ・・!?うう・・・!?」
激痛に四肢はヘニャヘニャとなってしまい、クーロは床にうつ伏せに倒れてしまう。
 「クソ・・・!僕の・・負けだ・・!!」
苦痛に顔を歪め、不本意極まりない表情ながらも、クーロは敗北を認める。
「クソォ・・!これで・・二度目だ!つくづく・・思い知ったよ・・!アンタの・・強さに!?悔しい・・!悔しい・・!でも・・でも・・嬉しい!!」
屈辱感と怒りに、同時に喜びに満ちた表情をクーロは浮かべる。
 「アンタくらいさ・・!本気で・・僕と・・戦えるのは・・・!!格闘家・・兵隊・・殺し屋・・ヤクザ・・!名のある奴らと戦った・・!でも・・満足できなかった・・!!だが・・だが・・アンタとの戦いは・・ハァァ!!負けた・・悔しい・・だけど・・!嬉しい・・!ハハ・・ハハハハ!!楽しかった!!ハハハハ!!」
クーロは狂気の入った喜びの笑い声を上げる。
 「言いたいことはそれだけか、小僧?」
対して、近藤は嫌悪感や不快感の籠った、冷ややかな声で返す。
「おやおや?僕を殺すのかい?戦場ならともかく・・ここは日本国内なのを忘れたのかい?」
自分を殺せないことを、クーロはからかってみせる。
 「殺しはせん・・。だが・・躾はしてやる!!」
そういうと、近藤はクーロを膝に載せる。
「おいっ!?何をするんだ!?やめろっ!馬鹿っ!」
腰布を捲られ、愛用のビキニパンツに手をかけられ、クーロは慌てる。
あっという間にパンツを降ろされ、女性と見まがう、形の整った、雪のように白くて美しいお尻があらわになる。
同時に、近藤は狂気の美青年のお尻めがけ、手を振りかぶった。


 バッシィーンッッ!!
「うく・・・!!」
弾けるような音と共に、お尻に鈍い痛みが走る。
バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!
「く・・!くそ・・!やめろ・・!くぅ・・!やめ・・!!」
クーロは屈辱に顔を歪める。
 「黙れ・・!!躾と言ったはずだ・・!!」
近藤は嫌悪感を堪えながら、叩き続ける。
叩いている方の腕は嫌悪感や不快感のせいか、ジンマシンが浮き出ている。
 バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!バーンッ!
「くそっ!やめ・・やめろ・・!やめ・・う・・!あっ・・!ああっ!ああう・・!?」
クーロの抗議の声が、やがて妖しい声へと変わってゆく。
同時に、近藤は膝の上に違和感を覚える。
おかしい、と思いつつ、手を叩きつけたそのときだった。
 「あ・・あああーーーーっっっ!!!」
クーロは背をのけぞらせ、絶叫する。
同時に、近藤は膝の上に糊でもぶちまけたかのような感覚を覚える。
 (まさか・・!!)
思わず近藤はクーロを膝から押しのける。
近藤の膝の上は、クーロの欲望の証で、ベタベタに汚れてしまっていた。
 「な・・・!?」
あまりの事態に、近藤は愕然とする。
同時に、これまで堪えていた嫌悪感と不快感が限界を超えてしまう。
直後、クーロの鳩尾に打撃を叩き込んでいた。


 数か月後・・・ある朝・・・。
目を覚ますと同時に、近藤は短刀を突き出す。
「フフフ、随分な挨拶だねぇ」
「黙れ。さっさと退け」
ビキニパンツ一丁でのしかかろうとしているクーロの腹に切っ先を突きつけ、近藤は不機嫌そうに言う。
 「ハイハイ、まだ僕もこの世に未練があるからねぇ。言う通りにしますよ」
ニヤリと笑みを浮かべ、布団の上からどくクーロに、近藤は憮然とした表情を浮かべる。
「クーロ・・その格好は何だ?」
短刀をしまいつつ、ビキニパンツ一丁というあられもない姿のクーロに、近藤は不快そうな表情で尋ねる。
 「ふふ、もしかして欲情したかい?だったら・・味わってみるかい?」
クーロはお尻の方を向け、淫らに振って誘いをかける。
「俺にそっちの趣味は無い!また、尻を叩かれたいのか?」
「おーこわ!さすがにこの年で尻を叩かれるのは嫌だねぇ。いや、アンタみたいに強くて逞しくて、男の魅力に溢れたのになら・・尻を叩かれて躾けられるのも・・でも・・やっぱり悔しいし・・。ふふ、どうせ尻を虐められるのなら、アンタ自身を僕の尻にぶち込んでくれる方が嬉しいなぁ」
クーロは近藤の下半身を見やりながら言う。
 「いい加減にしろ・・!他の門人達も起きているはずだ!朝の掃除に行って来い!」
「はーいはーい、わかってますよ!つれないお師匠様」
神経を逆なでする笑みを浮かべて、クーロはようやく部屋を後にする。
「おい!ちゃんと服は着ろ!!」
苛立たしげな声で、近藤はクーロに言う。
クーロは聞いているのかわからない返事で返して、その場を去る。
 (全く・・!とんだものを押し付けられたものだ・・!!)
近藤はため息をつく。
あの後、気絶させたクーロを拘束した上で、警察に引き渡した。
クーロの件はそれで終わったと思っていた。
だが、そうは問屋が下ろさなかった。
 というのも、クーロの常人離れした能力や歪んだ性格振りに、日本中の刑務所が収監を拒否してしまったのだ。
実際、凶悪犯を数多く収監し、警備も厳重な刑務所で、あんな騒ぎが起きたのだ。
他の刑務所でも起きない保証は無いし、万が一の際、脱走を許してしまったら取り返しのつかないことになる。
困り果てた警察や裁判所は、近藤に弟子として預けることにしたのである。
近藤としても迷惑な話であったが、確かにクーロを刑務所に収監しておけるとは思えない。
他の刑務所でも同じことを繰り返す危険はあり得る。
悩んだ末、クーロを預かり、近藤の元で監視並びに教育、ということになったのである。
 (愚痴を言っても仕方ない。引き受けてしまったのだから・・・)
そう思いつつも、頭が痛くなってきそうな近藤だった・・。


 ―完―

リオンの反省(SO2&テイルズより:スタン/リオン、共演パロ)



(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにした、SO2&テイルズ共演パロです。許容出来る方のみご覧下さい)


 「ちょっとっ!もっとしっかり洗ってよ!?」
「ご、ごめんっ!こんな感じかい?」
スタンは謝りながら、カイルの背中を洗う。
 「痛っ!痛すぎるよっ!もう少し優しくしてよ!?」
「ご、ごめんごめんっ!!」
スタンは今度は力を加減して、背中を洗う。
 「ど、どうだい、カイル?」
スタンは恐る恐る尋ねる。
「うーん、まぁいいかなぁ」
「そ、そう・・よかった・・・・」
安堵するスタンに、カイルは普段なら絶対に言わないことを言う。
 「父さん、今夜はお酒飲んでみたいな~」
「え!?ダ、ダメだよ!ま、まだカイルは15歳じゃないか!」
さすがにスタンは厳しい表情になる。
 「やだ!飲んでみたいんだってば!!」
「ダ、ダメだよ!?」
あくまでもダメだと言うスタンに、カイルは責めるような表情を浮かべる。
「父さん、何でも言うこと聞くって言ったじゃないか?嘘だったの?」
「ち、違うよっ!う、嘘なんか言ってないよ!?」
慌てて言い訳するが、カイルは怒った表情のまま。
 「嘘じゃないか!何でも俺の言うこと聞くって言ったじゃないか!だったらお酒飲ませてよ!?」
「わ、わかったよ。の、飲ませてあげるからさ」
「絶対だよ!こんなお尻にしたんだから、ちゃんと責任取ってよね!!」
カイルはそう言って、スタンに自分のお尻を突きつける。
そのお尻は見事なまでに真っ赤に染め上がっていた。
そう、お仕置きをされたことにすっかり拗ねてしまい、スタンは何でもカイルの言うことを聞くと約束してしまったのだ。
普段なら酒を飲もうなどとすれば間違いなくお仕置きモノだが、お仕置きで痛い思いをさせた負い目があるため、逆らえないのである。
「わ、わかってるよ。ちゃんとお酒は用意するよ」
ため息をつくスタンを見ながら、カイルは勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。


 「はぁ~~っ。やっと・・寝てくれたぁぁ・・・・」
安堵のため息をつきながら、スタンは寝室を後にする。
朝からずっとカイルのワガママを聞き通し、休む暇も無かった。
 「あれ?どうしたのさ、そんな仏頂面して?」
リビングで、好物のプリンを食べながら仏頂面のリオンに、思わずスタンは声をかける。
 「そんな顔にもなるだろう。おい!何を考えてる!?子供に酒なんか飲ませて!?」
顔を合わせるなり、リオンはスタンを咎めるように言う。
「ご、ごめんっ!カ、カイルと約束しちゃったし・・。何でも言うこと聞くって・・」
「理由になるか!明らかに法律違反だぞ!?」
この世界でも未成年の飲酒は法律違反。
カイルに飲ませるなど、とんでもないことである。
 「わ、わかってるんだけどさぁ。あんなにお尻叩いて泣かせた後だからつい・・・」
「何を弱気なことを言ってる。そもそもカイルが悪さをしたから、尻を叩いたんだろうが!」
「そ、そうだけどさ、でも、やっぱり、か、かわいそうじゃないか」
「それで何でも言うこと聞いて酒まで飲ませるのか!いい加減にしろ!お前はカイルを甘やかしすぎだ!?」
今日一日のスタンのやり方に、リオンはそう言う。
 「う・・。そ、そうかもしれないけどさ・・」
「『かもしれない』じゃないだろう!酒だと!?そんなこと言いだしたら、パドルか鞭で叩いてやったらどうなんだ?」
「ちょっ!そ、それはかわいそうだって!?」
鞭などと言いだしたリオンに、思わずスタンは反論する。
 「馬鹿か。未成年の飲酒は明らかに犯罪だ。たっぷり痛い目を見せて、身にしみて反省させる必要があるだろう」
「それは虐待だよ!リオン、厳しすぎるよ!?」
「何を言っている。そもそもお前が毎日甘やかしてばかりいるから、あんなワガママにカイルが育つんだ!?鞭でも使ってしっかり躾けたらどうなんだ?」
「な、何てこと言うんだい!?リオンはカイルが可愛くないのかい!?鞭で叩いたらお尻壊れちゃうじゃないか!?」
「そうも言いたくなる。ああまでワガママで馬鹿なカイルには、鞭の一つや二つも必要だ」
「リオンッ!幾ら何でも厳しすぎるよ!」
カイルの躾を巡る議論はだんだんとヒートアップしていく。
 「スタン、お前にはちゃんとカイルを躾ける気があるのか?甘やかしてばかりだろう!」
「リオンこそ厳しすぎるよ!そんな風にしたら、それこそカイルがグレて不良になるよ!」
「お前が甘やかしすぎるからだろう!そのせいで・・どれほど僕が苦労させられたかと・・」
「リ、リオン・・?」
ただならぬリオンの雰囲気に、スタンは危機感を抱く。
 「そうだ!元はといえば、スタンのせいだろう!目障りなんだ!僕の前から消えてしまえ!?魔神煉獄殺!貴様らに何がわかる!!」
「え・・う、うわあああっっ!!」
突然、リオンに秘奥儀を食らわされ、スタンは吹っ飛ばされてしまう。
 「は・・!?」
気絶したスタンを目の前に、リオンは我に返る。
「んも~っ!うるさいなぁ!眠れないって・・・・」
騒ぎを聞きつけ、寝ぼけ眼をこすりながらカイルがやって来る。
だが、気絶して倒れたスタンを尻目に、文句も止まる。
 「父さんっ!リオンさんっ!?ど、どうしたの!?っていうかどうしよう!?」
大好きな父親が怪我をして床にノビている姿に、カイルは慌てる。
「慌てるな!カイル、ボーマンを呼んで来い」
「え?リ、リオンさんは?」
「いいから早く呼んで来い!ボヤボヤするんじゃない!!」
応急処置に取りかかるリオンを尻目に、慌ただしくカイルはボーマンを呼びに、家を飛び出した。


 それからしばらく経ったある日・・・・。
「お疲れ様です、今回の報酬です」
「すいません、ありがとうございます」
スタンはナ―ルに礼を言って、クエスト報酬を受け取る。
 「もう怪我はよろしいようですね」
「ええ、すいません、ご心配かけました」
「いえ、構いませんよ。誰にでもあることですから」
「ありがとうございます。それじゃあ、失礼しますね」
スタンはそう言うと、執務室を後にする。
 「ここにいたのか」
ちょうど執務室を出たところで、リオンが声をかけてくる。
「あれ?リオン、クエストかい?」
「いや。お前に話がある。ちょっと来い」
「いいよ。クエストは終わったし」
そんな会話を交わすと、二人は自分達のゲストルームへと向かう。
 「で、話って何だい?」
部屋に入ると、スタンは尋ねる。
「今、話す。その前に、怪我はどうなんだ?」
「ああ、もう大丈夫だよ」
「そうか。まぁお前のことだから、大したものでは無かっただろうがな」
「あれ?心配させちゃったかい?」
「ふん、心配などするか。治ってなければ目覚めが悪いだけだ」
無愛想な態度で、リオンはそう答える。
 「まぁいい。あのときは・・・僕も・・やり過ぎた」
「いいんだって。俺だってムキになっちゃったし」
「まぁいい。肝心なのはここからだ。その・・僕に・・お仕置きを・・して・・くれないか・・・」
心なしか、声が小さくなりつつも、リオンはそう頼む。
 「え?そ、空耳かな?お、お仕置きしてくれって・・?」
スタンは思わず尋ねる。
「空耳じゃない!何度も言わせる気か!?」
「わわっ!ご、ごめんっ!?」
カッとなったリオンに、スタンは謝る。
 「で、でも・・どうしてだい?ま、まさか・・お、お仕置きが好きになった・・とか・・じゃ、な、ないよね?」
妙な世界に目覚めたのかと、思わずスタンは心配になる。
「そんなわけないだろう!?いい加減にしろ!?もう一度病院送りにしてやろうか!?」
怒りのあまり、リオンは剣を構える。
 「わわわっ!ご、ごめんっ!お、落ち着いてってば!?」
「お前が興奮させてるんだろうが!?」
「ご、ごめん。で、でもさ、どうしてなんだい?変な趣味を覚えたわけじゃないのに・・・」
「ふん・・・。ケジメをつけたいだけだ。お前に怪我をさせたからな」
「そ、そうなんだ・・・・」
リオンがおかしな趣味を覚えたのでは無いとわかり、スタンは安堵する。
 「全く・・・僕を何だと思ってる!?」
「ご・・ごめんごめん!」
「まぁいい。言い争いなんかしていても、意味は無い。やるのか?やらないのか?」
「わ、わかったよ。リオンがそこまで言うなら、やるよ」
「ふん・・・。ならいいんだ」
リオンはそう言うと、机に手をつき、お仕置きを受ける体勢になる。
 「リオン・・・本当にいいんだね?」
恐る恐るスタンは尋ねる。
「しつこいぞ。やるならさっさとやれ」
「途中でやめてくれって言われても出来ないよ。それでもいいのかい?」
「いいと言ってる筈だぞ?僕を馬鹿にしてるのか?」
リオンの言葉に、スタンは覚悟を決める。
スタンはリオンの上着の裾を捲り上げ、ズボンを降ろしてお尻をあらわにする。
 「じゃあ、行くよ。いいね?」
「いちいち言うな!やるなら、さっさとやれ!!」
苛立つように言うリオンに、スタンは片手でリオンの身体を押さえる。
そして、もう片方の手をゆっくりと振り上げた。


 パアシィーンッッ!!
「く・・・!」
弾けるような音と共に、リオンのお尻に赤い手形が浮かび上がる。
痛みに、一瞬顔をしかめるも、すぐに表情を戻す。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
力強い平手が叩きつけられるたび、リオンの身体が強ばる。
そのたびに、声を出すまいとリオンは口をつぐむ。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!」
声こそ出さないものの、リオンは苦痛に表情を歪める。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「リオン・・・ダメじゃないか・・・人に怪我なんかさせちゃ・・・」
セネルやカイルにしているのと同じように、スタンはお尻を叩きながら、お説教を始める。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「・・ぅ・・・・ぁ・・・・く・・・・ぁ・・・・ぅ・・・・」
辛くなってきたのだろう、リオンの口から微かに呻き声が漏れ始める。
お尻もだんだん、赤みが増してきていた。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「リオンの言うこともわかるよ。確かに、甘やかしてるよね、俺は」
お尻を叩きながら、スタンはお説教を続ける。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「く・・!う・・・・!く・・・!あ・・・!く・・・・!」
苦しさが増してきたのだろう、リオンの呻き声がさらにはっきりしたものになる。
同時に、足元が少しふらついてきた。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「リオン、辛くなってきたんじゃないかい?」
お尻を叩きながらも、スタンは気づかいを見せる。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「く・・・!余計な・・心配は・・しなくて・・いい・・!!」
リオンは後ろを振り向き、ムッとした様子で反論する。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「でも、足元がふらついてるじゃないか。無理はしちゃダメだよ」
お尻を叩かれるだけでも辛いのだ。
立ったまま受けているのだから、なおさら大変なはず。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「何とも・・ない・・!余計な・・心配は・・く・・!!」
言い返そうとするが、足に力が入らなくなり、リオンは赤いお尻を出したまま、床に座り込んでしまう。
 「やっぱり辛いんじゃないか。無理したらダメだよ」
「む、無理なんかしていない!た、立てる・・・!!」
リオンは持ち前のプライドから、立ち上がろうとする。
だが、やはり辛いのだろう、途中まで立ち上がりかけるも、お尻の痛みに再びへたり込んでしまった。
 「もう・・仕方ないなぁ・・」
困ったように呟くと、スタンはリオンを抱き起こす。
「おいっ!何をするんだっ!?」
いきなり抱き起こされ、リオンは抵抗する。
「ごめん。楽な姿勢にするからさ」
そういうと、スタンはベッドの縁に腰かけ、リオンを膝の上に載せる。
 「じゃあ、続きだよ。いいかい?」
「ふん・・やるんなら・・さっさとやれ!!」
せめてプライドを保とうと、リオンは無愛想な態度を取る。
それを見たスタンはゆっくりと手を振り上げた。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「く・・!ぐぅ・・!くっ・・!くぅ・・・!」
ベッドのシーツを掴み、リオンは必死に耐える。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「でもさ、厳しすぎるのもよくないだろう?それはリオンが一番よく知ってるじゃないか?」
お尻を叩きながら、スタンはそうリオンに言う。
リオンは子供の頃、父親から非常に厳しく辛い躾を受けていた。
皮肉屋でどこかひねくれたような性格・言動はそこに起因している。
 パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「リオンだって、カイルにそんな辛い思いはさせたくないだろう?俺だってそうだよ。だから、出来るだけカイルは伸び伸びとさせてあげたいんだよ」
「ふん・・!そ、それで・・甘ったれの馬鹿に育ったらどうする?一人で何も出来ない、それじゃ・・生きてけ・・ない・・だろうが・・・!?」
お仕置きの痛みに、荒い息を吐きつつ、リオンは言う。
 「そうだね。リオンの言うことも正しいし、わかるよ。でもさ、幾ら何でも、人に暴力振るうのはよくないよ。相手が俺だからよかったけどさぁ」
「だ・・だからこうして素直にお仕置きを受けてるだろう!?そ、それでいいだろう!?」
リオン自身、大人げないことをしてしまったという気まずさや罪悪感もあるため、ムキになって言う。
 「そうだね。でも・・ちゃんと反省の形は見せて欲しいかな」
「か・・形・・?」
「うん、リオン、悪いことをしたら『ごめんなさい』、そう言うものじゃないかい?」
一旦お尻を叩く手を止めて、スタンは尋ねる。
 「く・・!ふ、ふざけるな!?な、何を言ってる!?」
リオンは思わず突っぱねようとする。
恥ずかしくて、やりたくないからだ。
 「リオン、気持ちは分かるよ。昔からの付き合いだしさ。そういうのを嫌なのもわかってるよ。でも、それでもやって欲しいんだ。反省の形をちゃんと見えるようにしてくれないと。そうじゃないと、本当に反省したことにはならないだろう?」
「く・・・・!!こ、今回だけだぞ・・!!」
悔しそうな表情を浮かべつつも、さすがに自分が悪いと思っているのだろう、リオンはそう言う。
「うん、今日だけでいいよ」
「く・・!仕方ない・・!言う通りに・・してやる・・。ご・・ごめ・・ごめん・・なさい・・・・」
羞恥に顔を真っ赤にしつつ、リオンは謝る。
「よかった。よく、謝ってくれたね。じゃあ、お仕置きは終わりだよ」
そういうと、スタンはお尻を叩く手を下ろした。


 「く・・・!?」
「ごめん、沁みたかい?」
思わず辛そうな表情をしたリオンに、スタンは心配そうに尋ねる。
 「こんなの・・どうってことはな・・く・・!!」
「もう~、相変わらず意地なんか張って。痛いなら痛いって言ってくれってば」
「そんなみっともない真似が出来るか!?そもそも、お前なんかに手当てされてるのだって恥ずかしいんだ!?」
薬を塗られながら、リオンは反論する。
 「仕方ないじゃないか。リオン、自分でやろうとするし。それじゃあ却って辛いよ?」
「うるさいっ!余計な御世話だっ!!」
「はいはい。頼むから大人しくしててくれるかな」
反論するリオンにそう言いながら、スタンは薬を塗る。
 「ゴメン、リオン」
「何だ、いきなり?」
「いつも俺のせいで苦労かけてるよね。ちゃんと俺がカイルを叱れれば、苦労かけなくて済むんだけど。嫌な役目押し付けてゴメン」
薬を塗りながら、スタンはリオンに謝る。
 「謝る必要は無い。僕が勝手にやってることだ。悪いと思うなら、少しはお前も根性を据えてカイルの躾をしろ」
「出来るだけ努力はするよ。まぁ、すぐには無理だろうけどさ」


 後日・・。
パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!パアーンッ!
「わあああーーーんっっ!!フィリアさんっ!ごめんなさーいっっ!!」
お尻を叩く音が響く中、カイルは必死に謝る。
 「そうはいきませんっ!カイルさんっ!スタンさんの弱みにつけ込んでお酒を飲むなんてっ!何てことをしてるんですかっ!!」
お尻を叩きながら、フィリアは厳しくカイルを叱る。
約束を盾に、スタンに酒を用意させて飲んだことがバレてしまい、フィリアから叱られているのだった。
 「うわ~んっ!と、父さんにたっぷり甘えたかっただけだってばー!!」
「だからってお酒はいけません!!スタンさんまで法律違反になるんですよ!!」
「ごめんなさいっ!二度としないからー!!フィリアさんっ!許してー!ごめんなさいっ!!」
「いけません!今回のカイルさんは本当に悪い子ですね!まだまだお仕置きします!」
「そんなぁぁーーっ!うわぁーんっ!父さんっ!リオンさんっ!助けてー!!」
カイルが泣き叫ぶ中、フィリアの平手の音が響き続けた。


 ―完―
プロフィール

山田主水

Author:山田主水
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