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レラの奇妙な物語2(ナコルル/レラ)



(サムスピを題材にした二次創作です。許容できる方のみ、ご覧下さい)


 レラとナコルルがそれぞれ、夢の中でお互いをお仕置きする、という不思議な経験をした後のこと・・・。


 山道を連れ添って歩く、ナコルルとレラの姿があった。
未だ、お尻の痛みが残っているのか、二人の足取りはやや重い。
「レラ・・・少し休んだ方がいいんじゃないかしら?」
時々お尻を押さえそうになるのを堪えるレラに、ナコルルがそう声をかける。
 「別にこれくらい、どうということは無いわ。大丈夫よ」
ナコルルの問いかけに、レラはそう答える。
「そうかしら・・。辛そうだけれども・・・」
自分がレラのお尻を叩きすぎた、その罪悪感があるからか、ナコルルは余計に心配になる。
だが、それが逆にレラを苛立たせる。
「大丈夫だと言っているでしょう?ナコルル・・・余計なお世話よ」
「ご・・ごめんなさい・・・」
苛立った声で言うレラに、ナコルルは謝る。
ナコルルの様子に、レラも少し言い過ぎたと思ったのか、口調を少し和らげて言う。
「まぁ、休憩にするつもりではいたから、ここで少し休みましょう」
レラの言葉に、ナコルルは安堵した表情を浮かべる。
 「ナコルル、貴女は食事の用意をしてちょうだい。私は水を汲んでくるわ」
レラはナコルルにそう言うと、水筒を用意して、その場を後にした。


 その後・・・・。
「ナコルル、貴女、料理が上手いのね。おいしいじゃない」
「そうかしら?あまり、意識したことはないのだけど」
食事を終えたレラとナコルルは、そんな会話を交わす。
「おいしいわよ。リムルルもよく貴女のご飯がおいしいと言っていたわ」
「そう・・。何だか照れるわね」
レラの言葉に、ナコルルも照れた表情を浮かべる。
 「レラ・・・。そろそろ薬の時間だわ」
「そう・・・。恥ずかしいけど・・お願いするわ」
「ええ」
レラはそういうと、おもむろに、ズボンを降ろす。
ズボンの下から、腫れと赤みが残るレラのお尻が姿を現した。
レラはお尻を出すと、ナコルルの膝の上に乗る。
ナコルルも荷物の中から、塗り薬を取り出す。
ナコルルは自分の指に薬をつけると、レラのお尻に塗り始めた。
 「う・・・!?」
薬が沁みるのだろう、レラは思わず苦しげな声を漏らす。
「レラ、大丈夫かしら?」
「これくらい・・平気よ。さぁ、早くやってちょうだい」
レラの言葉に、ナコルルは出来るだけ早めに、薬を塗り終える。
 「これで・・いいわ。ナコルル・・・今度は貴女の番よ」
「え・・えぇ・・・」
レラの言葉に、今度はナコルルが自分のお尻を出して、レラの膝の上に乗る。
 「レラ・・・・。お願いするわ・・・」
「ええ・・。わかっているわ」
レラも、薬を出すと、おもむろにナコルルのお尻に塗り始める。
「きゃ・・!痛・・・!?」
薬が沁みるからか、ナコルルは思わず声を漏らしてしまう。
 「ナコルル・・・少しくらい我慢なさい」
「ご・・ごめんなさい・・う・・・!?」
ナコルルは耐えようとするが、思わず声を漏らす。
同時に、お尻を無意識に震わせてしまう。
 (もう少し・・・我慢できるといいのに・・・)
そう思いつつ、レラはナコルルのお尻に薬を塗ってゆく。
(それにしても・・・綺麗なお尻だわ)
薬を塗りながら、レラはナコルルのお尻を思わず見つめる。
(リムルルのお尻は可愛い感じだけれど・・ナコルルの方がお姉さんだから・・やっぱり綺麗だわ・・・・。って何を考えているの!?)
ナコルルのお尻を見ているうちに変なことを考えてしまった自身を、レラは思わず叱咤する。
 「レラ・・どうしたの?」
薬を塗る手が止まっていることに気付き、ナコルルは怪訝な表情を浮かべる。
「何でも無いわ」
(怪しまれたかしら?)
そう答えるも、レラは思わずそう心配する。
平静を装って、レラは再度薬を塗りだす。
 「う・・・!あ・・!痛・・!?」
ナコルルはお尻の痛みを必死に堪える。
(痛みに耐えてる姿が・・意外と可愛いわね。お尻を・・叩いてみたら・・・)
レラは不意にそんな誘惑にかられる。
(何を考えているの!?リムルルのときを忘れたの!?)
レラは自分の邪な考えを叱咤する。
だが、理性は欲望に屈服してしまう。
不意にレラは、薬を塗っていた手を思いきり振りかぶった。
 バッチィィィンンンン!!
「きゃあああ!!」
突然、それも不意打ちにお尻を叩かれ、ナコルルは絶叫する。
(しまったわ!?)
レラが後悔するも、時既に遅し。
奇妙な霧が再びあたりを、あっという間に覆い尽くした。


 「やっぱり・・・こうなるのね・・・」
以前の夢で見た場所に、レラは思わずため息をつく。
前回同様、レラはナコルルの膝の上にうつ伏せに乗せられていた。
 「レラ・・・。こうなった以上・・覚悟はいいかしら?」
「わかってるわ。ナコルル・・・せめて・・早めに終わらせて頂戴」
ナコルルの問いかけに、レラはため息をつきつつ、そう答える。
それを聞くと、ナコルルはレラのズボンを降ろす。
あっという間に、未だ赤みの残るレラのお尻が姿を現した。
 「く・・・さすがに・・・恥ずかしいわ・・・」
覚悟はしていても、真っ赤なお尻を出され、レラは羞恥に顔を赤くする。
「そうね・・・。でも・・・レラ、行くわよ!!」
ナコルルはそう言うと、ゆっくりと手を振りかぶった。


 パアアアンンッッッ!!
「ああ・・・!?」
未だに腫れや痛みが残るお尻にはキツい平手打ちに、レラは思わず悲鳴を上げる。
パァンッ!パシンッ!ピシャンッ!パアアンッ!
「う・・!あ・・・!う・・・!うぅ・・・!」
再びお尻に与えられる痛みに、レラは苦痛の声を漏らす。
 パァンッ!パシンッ!ピシャンッ!パアアンッ!パァンッ!パシンッ!ピシャンッ!パアアンッ!
「レラ・・・。貴女・・・リムルルだけじゃなく・・・私のお尻にまでイタズラするなんて・・・何を考えているの?」
ナコルルは厳しい声で、レラに問いかける。
もちろん、平手を振り下ろしながら。
 パァンッ!パシンッ!ピシャンッ!パアアンッ!パァンッ!パシンッ!ピシャンッ!パアアンッ!
「ご・・ごめんなさい・・!!お尻の痛みに耐えてる貴女が・・何だか可愛くて・・・・。つい・・・もっと・・可愛い姿を・・・」
バアッチィぃンンン!!
「きゃあああ!!」
ナコルルの強烈な平手打ちに、思わずレラは背をのけ反らせる。
 「レラ!貴女、前にもそうして、リムルルにイタズラしたんでしょ!!」
痛みにのけ反ったレラに、ナコルルはさらに厳しい声で叱りつける。
「ご・・ごめんなさい・・!!」
「レラ・・・。貴女にはこの前以上に反省が必要だわ。今日はそう簡単に許しません!!」
ナコルルはそういうと、平手にさらに力を込める。
 バッチィィィィィンンン!!
「んんん!!??」
ナコルルの強烈な平手打ちに、思わずレラは苦痛の声を漏らす。
「レラ・・・一回叩くごとに、謝りなさい。いいかしら?」
「わ・・わかったわ・・・」
レラは涙目になりつつ、返事をする。
 バアッシィィンンン!!
「く・・!!ナコルル・・ごめん・・なさい!!」
レラは言われた通り、ナコルルに謝る。
バアッシィィンンン!!
「きゃああ!!ナコ・・ルル・・・ごめんなさい・・!!」
バアッシィィンンン!!
「痛ああ・・!!ナコルル・・・ごめん・・なさい!!」
レラは厳しい平手打ちに悲鳴を上げながら、必死にナコルルに謝る。
少なくとも、百を数えるまで、ナコルルの平手打ちとレラの『ごめんなさい』があたりに響いていた・・・・。


 「ううう・・・!?」
「レラ・・・大丈夫?」
薬の痛みに顔を顰めるレラに、ナコルルは思わず声をかける。
現実世界に戻ってきたレラのお尻は、倍近く腫れ上がり、真っ赤な手形が並んで浮かび上がっている。
 「平気よ・・。これくら・・うう!?」
レラは言いかけたところで、再び薬の痛みに声を漏らす。
「レラ、無理したらダメよ。どう見ても、ひどいお尻なのよ」
「貴女が・・・したのでしょう?」
ナコルルの言葉に、レラは恨めし気な声で言う。
 「それは・・・申し訳ないわ。でも・・貴女が悪いでしょ?」
「わかっているわ・・。やらしいことして・・・ごめんなさい・・・」
自分が悪いのはわかっているからか、レラは素直に謝る。
「何だか・・・手のかかる妹がもう一人出来たみたいだわ・・」
「リムルルと一緒にしないで欲しいわね・・・」
ナコルルの言葉に、レラは思わずそんなことを言う。
何だか子供扱いされているようで恥ずかしい。
 「レラ・・・。もう女の子のお尻にイタズラしてはダメよ。そんなことをしたら、またお仕置きよ」
ナコルルはレラの頭を優しく、軽く叩きながら言う。
「わかっているわ・・・。もう・・言わないで・・」
レラは羞恥に思わず声を震わせる。
 (全く・・・・散々だわ・・・・。でも・・・こんな形でナコルルと触れ合うとは思ってもいなかったわ・・・・)
今の状況と、お互いの関係に、レラは何とも言えないものを抱いていた・・・。


 ―完―

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女神の企み、戦士の受難(女神/ショタ戦士)



 我々が暮らす世界とは別の世界・・・。
そのある場所でのお話・・・・。


 かつて、神殿だったと思しき、大きな廃墟。
その中の、崩れかけた廊下を進む、小さな影があった。
影の正体は一人の少年。
 少年は12~13歳、黒曜石のように艶のある黒髪と同色の瞳の持ち主。
少年らしい細身のすらりとした身体を、動きやすい半袖の上着と短パンに身を包んでいる。
動きやすさを重視しているのだろう、身に着けた防具も、胴の正面と左右脇だけを守る腹当と額を守る鉢金といった最低限のものだけだった。
腰には、いわゆる日本刀式の刀と短い脇差を差している。
 少年の名はイクサ。
放浪の少年剣士である。
「ここだな・・・・」
イクサは一旦立ち止まり、奥をジッと見つめる。
かつては扉があったが、今はすっかり朽ち果てているため、内部の様子が、はっきりと見てとれた。
奥には、女神の像が建っているのが見える。
 イクサは慎重に周りの様子を確認する。
この手の遺跡には、自分と同様に宝物を狙う輩や、廃墟を住みかとするモンスターが潜んでいるものだからだ。
堂内に、他の気配が無いことを確認すると、ようやく、中へと足を踏み入れる。
それでも、左手は鯉口を切っており、いつでも抜き打ち出来る体勢を崩さない。
 「あれか・・・」
イクサは女神像の額をジッと見つめる。
両手を高く掲げ、右手には豊穣の象徴であるアシの束を、左手には幅広の刀を握りしめている。
その額には、真っ赤な宝石がはめ込まれている。
この宝石が、イサの目当てだった。
 「確かに・・・見事だな・・・」
宝石や装飾品にはあまり興味は無かったが、それでも感嘆の声が出るほど、素晴らしいものだ。
「いつまでも眺めてて仕方ない。さっさと済ませるか・・・」
そう呟くと、イサは脇差を抜いて、宝石を取り外しにかかる。
しっかりとはめ込まれていたため、時間がかかったが、それでも難なく取り外すことが出来た。
 「さてと・・・」
イクサは自身が入って来た、入口を見つめる。
いつの間にか、入口は光の障壁で塞がれ、出られなくなっていた。
さらに、目の前の女神像が震動し、像全体に亀裂が走る。
無意識に、イクサは後ろへ、抜き打ちの体勢のまま下がる。
 やがて、女神像の表面が全て剥がれ落ちる。
像の下から現れたのは、一匹の魔物。
形は人間の女性だが、全身が蛇を思わせる鱗に覆われている。
蛇のように縦長の瞳孔をした目に、大きく裂けた口には鋭い牙が並んでいる。
噛まれたら、間違いなく肉を引きちぎられるだろう。
右手には、トゲを植え込んだ棍棒、左手にはナタのように分厚い刀を手にしていた。
 「やっぱり出たな・・・・」
イクサは呟く。
たいてい、こういう場所には、宝を守るための番人やトラップが設置されているもの。
剣士として、各地を放浪し、己の腕を頼りに生きている以上、よく遭遇する事態だ。
だから、慌てはしない。
 「さあ・・・。さっさと来い!!早く仕事を終わらせたいんでね」
イクサは腰から刀を抜き放ちながら、怪物に言う。
バリヤーで入口が塞がれている以上、逃げることは出来ない。
怪物を倒すしか道は無かった。
 怪物は、侵入者の方を見つめると、鼓膜が破れそうな咆哮を上げる。
直後、武器を振りかぶって、襲いかかって来た。


 魔物はあっという間に、イクサの目の前に迫って来た。
同時に、右手の棍棒を思いきり振り下ろしてきた。
イクサはそれを見切って、横にかわす。
棍棒は鈍い音と共に、床に叩きつけられる。
棍棒を床に叩きつけ、伸びきった怪物の腕めがけて、イクサの刀が振り下ろされた。
 肉や骨が断ち切られる鈍い音や感触を感じた直後、棍棒を握りしめたまま、怪物の右手が肘下あたりから、ドサリと床へ落ちた。
直後、怪物は苦痛と怒りの混じった咆哮を上げる。
直後、切断された方の腕を思いきり、イクサ目がけて薙ぎ払う。
とっさのことにイクサは避けきれず、吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。
 「ぐ・・!!さすがに・・・効いたな・・・」
背中に受けた衝撃に顔を顰めつつ、イクサは立ち上がる。
間髪入れず、残った左腕で、魔物は刀を振り回して襲いかかって来る。
咆哮と共に振り下ろされ、薙ぎ払われる刀を、イクサは巧みに動き回ってかわす。
ときどき、完全にはかわしきれず、手傷を負うが、急所はかわし、堂内を巧みに走り回って、魔物の攻撃をかわし続ける。
魔物は完全に興奮し、激昂しているためか、右手の切断面からの出血が増えていることに気づいていない。
逃げ回り、かわし回っているうちに、だんだん、魔物の動きが鈍くなり、息遣いも荒くなってくる。
(今だ!!)
イクサは踵を返し、気合と共に、怪物目がけ、突進する。
対して、魔物も、左手の刀を振り下ろして、迎撃にかかる。
二つの刃が途中で交差し、互いに敵の身体へと襲いかかった。
 「甘いっっ!!」
魔物の刀がイクサの身体に達するより僅かに早く、イクサの刀が、魔物の肩口からヘソあたりにかけて、魔物の身体を切り裂く。
直後、魔物の刀がイクサの鉢金に命中する。
防具のおかげで頭を割られずには済んだものの、鉢金は完全に砕け散る。
その衝撃で、頭もクラクラする。
頭に受けた衝撃で倒れそうになるのをこらえ、イクサは魔物をジッと見下ろす。
魔物は、完全に絶命していた。
 イクサは入口の方に振り向く。
入口を塞いでいた、光の障壁は消えていた。
 「それじゃあ・・・さっさと・・おさらばするか」
イクサは床に落ちている宝石を取り上げようとする。
そのとき、突然、拍手の音が聞こえて来た。
 「誰だ・・・!?」
思わずイクサは拍手のした方を振り向く。
すると、古代風の裾の短い白い衣を身にまとった女の姿があった。
 「うむ・・。実に・・見事じゃ・・!!」
女は魔物の死体を見やると、笑みを浮かべて言う。
「何者だお前は!!」
イクサは魔物の血がついた刀を、謎の女に突きつける。
 「控えよ!!我こそはアシュタルテ!大地の女王であるぞ!!」
イクサの言葉に、女は怒りながら、名乗る。
アシュタルテ。
かつて、この世界にて、広く信仰を集めていた、豊穣を司る大地の女神。
だが、今は忘れ去られ、辺境地帯の少数民族の間で信仰されているのみ。
 「残念だけど・・僕はアシュタルテの信徒じゃない。この宝石を持って帰らないとならないんでね。邪魔するなら・・・容赦はしないっっ!!」
イクサはそういうと、女神に斬りかかろうとする。
 「愚か者めが・・・!!」
女神の身体から閃光が放たれた直後、イクサの鎧と刀が砕かれ、吹っ飛ばされる。
「ぐ・・!?な、何を・・した・・・!?」
「神の力で、そなたに金縛りをかけただけじゃ。さて・・・。わらわの戦士にする前に・・教育が必要じゃのう」
そういうと、アシュタルテはイクサを膝の上にうつ伏せに乗せる。
さらに、イクサの短パンを降ろし、お尻をあらわにした。
 「何をする!?やめろ!!」
「ダメじゃ。神に対する敬意というものを、教えてやろう」
女神はそう言うと、片方の手でイクサの身体を押さえつけ、もう片方の手を振り上げた。


 バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!
「く・・!な、何をする!?やめろ!!やめろって!!」
容赦なくお尻に落とされる平手の嵐に、イクサは表情を歪め、抗議する。
 「貴様、それが神に対する敬意だと思っておるのか?」
「黙れ!僕はお前に仕える気は無い!!離せ!!」
「そうはいかぬ。お前を我の戦士とする。我の復権の為、大いに働いてもらうそ」
「ふ、ふざけるな!!」
イクサは当然ながら、怒りの声を上げる。
 「そうか。ならばその強情、いつまで持つか、試してやろう」
女神は残酷な笑みを浮かべると、再び手を振りかぶった。
バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!
「く・・!くぅ・・・!だ、誰が・・お前・・などに・・!?」
バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!バッシィィィンン!!
「ぐうあ・・!うっく・・!ああっ!ぐっ!ひぃう・・!!」
激しい平手打ちに、少年のお尻はどんどん赤く染まってゆく。
 「どうじゃ?我のしもべになると、誓約するか?」
「こ・・断る!!うわああ!!ぐっ!あああああ!!!」
「強情じゃのう。まあよい、時間は幾らでもあるゆえな」
女神はそういうと、そのまま、イクサのお尻を叩き続ける。
その後、長い間、お尻を叩く音と、イクサの苦悶の声が響き続けた・・・。


 「く・・!」
イクサは荒い息と共に、目を覚ます。
お尻にたき火が燃えているような熱さを感じつつも、ようやくのことでイクサは立ち上がる。
 「本当に・・強情な童じゃ・・・。だが・・気に入った。我の・・戦士とする」
「断る!!」
「それは無理じゃ。そなたの身体を見よ」
女神の言葉に、イクサは全身を見やる。
いつの間にか、お尻や四肢に、蛇を思わせる刺青が刻み込まれている。
 「これは・・・!?」
「我との誓約の証じゃ。これで・・我のしもべ。お前は・・我に逆らうことは出来ぬ」
「く・・・!?」
気絶している間に、自分の意思とは関わりなく、誓約と結ばされ、しもべにされてしまったのだ。
こうなっては、もう彼女に従うしか無かった。
 「さてと・・・。まずはどうするかのう・・・」
困惑するイクサを尻目に、アシュタルテは楽しそうな笑みを浮かべていた。


 ―完―

少年憲兵3



 「むむむ・・・・!?」
「どうかしたのかね?そんな顔をして?もしや不満なのかな?」
「い、いえ!?そ、そんなことはありません!!」
ロッテンマイヤーの問いに、オオガミは敬礼しつつ、否定する。
「ですが・・・どうしてこのような格好をしなければならないのかと・・。それが疑問でなりません」
困惑した表情で、オオガミは答える。
オオガミは黒を基調にした、軍服のような上着に丈の短めの半ズボン、マントに軍帽といった格好をしている。
大太刀こそ背負っていないものの、明らかに、刀剣を擬人化した某オンラインゲームに登場する美少年キャラクターのコスプレだった。
 「説明したはずだが?今日はコスプレ系イベント会場の警備にあたってもらうと」
「それはわかっています。ですが・・このような姿で無くても、警備は出来るのではないのでしょうか?」
「オオガミ分隊長、客に紛れての警備も必要なのは、君もよくわかっているだろう?」
「そ・・それは・・」
「オオガミ分隊長、これも憲兵としての職務の一環だぞ。まさか・・職務を放棄するつもりか?」
「いえ!?そ、そんなつもりは決してありません!!」
「では・・その格好で警備にあたってくれたまえ。よいね?」
「は・・了解です!!」


 (とは言ったものの・・・)
オオガミは思わずため息をつく。
もちろん、仕事である以上、文句を言うつもりは無い。
実際、会場内には、様々なゲームやアニメのキャラクターのコスプレをした来客たちで溢れている。
そういう状況を考えれば、コスプレイヤーを装って警備、というのは間違ってはいない。
しかし・・。
 「キャアアア~~ッッ!!カワイイ~~~!!こっち向いて~~!!」
オオガミが振り向くと、カメラやケータイを構えた若い女性客たちの姿。
オオガミは、資料に書かれていたキャラクターの決めポーズを取ってみせる。
女性たちはさらに黄色い声を上げながら、立て続けにカメラやケータイでオオガミを撮影する。
やがて、満足した女性達が立ち去ると、オオガミは再びため息を吐く。
(まさかこんなに写真を撮られることになるとは・・・)
オオガミはげんなりしそうになる。
手配写真や証拠写真などを連想してしまうせいか、写真を撮られるのはあまり好きではないのだ。
職務である以上、文句を言うつもりは無い。
しかし、あまりにも撮られていると、嫌になってきてしまう。
そんな気分でいたときだった。
 オオガミは会場の片隅で蹲っている少年を見つける。
オオガミと同年代の少年で、悪魔のコスプレなのか、耳の上に赤い曲がった角をつけ、レザー風の短パンには、先のとがった尻尾が付いている。
少年は胸を押さえ、苦しげな息を吐いていた。
「どうしました?」
「うう・・。急に・・気分が・・・」
悪魔コスの少年は、額に脂汗を浮かべて答える。
「救護室へ行きましょう。立てますか?」
「うう・・。何とか・・・」
少年が何とか立ち上がると、オオガミはその手を引いて、救護室へと向かう。
だが、その途中、人気の少ない廊下で、少年はへたり込んでしまう。
 「うう・・。ダメ・・これ以上・・歩けない・・・」
「むむ・・。仕方ない。助けを呼・・・」
オオガミが自分同様、警備をしている部下を呼ぼうと、携帯を取り出したそのときだった。
「う・・うううーーーっっ!!」
突然、少年が苦しみだす。
「どうしました!?」
オオガミは少年に駆け寄る。
直後、少年の目がフラッシュのように光る。
それを見たオオガミは、まるで人形のように立ち尽くす。
 「お前は・・私の・・しもべ・・・操り人形・・・」
「私は・・操り・・人形・・」
少年の言葉を、オオガミはロボットのように、感情の籠らない声で繰り返す。
 「よし・・。では・・コレを持つがよい」
どこから出してきたのか、少年は一振りの日本刀をオオガミに渡す。
「うむ。似合っておるぞ。それで・・一騒動してくるがよい」
少年の言葉に、オオガミは刀を抜いて手にする。
そのまま、フラフラとした足取りで、会場へと戻っていった。


 通報を受けて駆けつけたロッテンマイヤーの目に飛び込んできたのは、抜き身の刀を提げた、オオガミの姿だった。
その周囲では、警備員や変装した憲兵達が、呻いて倒れている。
 「オオガミ分隊長!?何をしているのだ!?すぐにやめなさい!!」
ロッテンマイヤーは毅然とした声で、オオガミに呼びかける。
だが、オオガミはやめる気配は無い。
それどころか、ロッテンマイヤーめがけ、斬りかかった。
 「やむを得んか・・・」
ロッテンマイヤーは、オオガミの斬撃を体捌きでかわす。
直後、身を翻し、オオガミのみぞおちに拳を叩き込む。
屈強なプロレスラーでも気絶するに十分な衝撃に、オオガミはウッと呻いて、そのまま床へと崩れ落ちた。


 それから一時間後・・・・。
本部長室に、オオガミの姿があった。
オオガミはコスプレ衣装のまま、床に正座させられている。
 「本当に・・申し訳・・ありませんでした・・!!」
「謝って済むことではないぞ?よりによって、警備責任者の憲兵が、会場で事件を起こすなどと・・・。どういうつもりだね?」
「す・・すみません・・。自分でも・・わからないのです・・」
オオガミは困惑した表情を浮かべる。
悪魔のコスプレをした少年に出会ったことや、その少年に催眠術を駆けられたこと、それらの記憶は完全に飛んでしまっていたからだ。
「わからない、では済まされんぞ?それ相応の責任は取ってもらわなくてな」
「わ・・わかって・・います・・」
「よい覚悟だ。では・・・自分でお尻を出して、こっちへ来たまえ」
ロッテンマイヤーは膝を軽く叩いて、オオガミに合図をする。
 「うう・・・!?」
オオガミは羞恥に顔を赤らめる。
だが、言われた通り、自分で短パンと下着を降ろし、上司の膝の上にうつ伏せになる。
 「では・・行くぞ。しっかりと反省したまえ」
本部長の言葉に、オオガミは静かに頷く。
その直後、ロッテンマイヤーの手が振り上げられた。


 バッシィィーーンッッ!!
「う・・・!?」
お尻を襲う衝撃に、思わずオオガミは表情を歪める。
バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!あ・・!あく・・!あ・・!」
最初から容赦のない平手打ちに、オオガミは声を漏らしてしまう。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「全く・・君ともあろう者が・・何をやっているのだね?」
お尻を叩きながら、ロッテンマイヤーはお説教を始める。
バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!も、申し訳・・ありま・・せん・・!!ぐ・・!うっ・・!!」
苦悶の表情を浮かべながら、オオガミは必死に謝る。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「謝ればよい、というものではないぞ。そもそも・・何のつもりだ?イベント会場で凶器を振り回して暴れるなどと」
ロッテンマイヤーは厳しい表情で問いかける。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!そ、それが・・・本当に・・わからないんです・・!!気づいたら・・あんな・・ことに・・・!?」
オオガミは困惑した表情で答える。
記憶が無くなってしまっている以上、そうとしか答えようがないからだ。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「それで済むと思っているのか?治安を守る憲兵が、よりにもよって、事件を起こすなど。どうやら・・・弛んでいるようだな」
「ち・・・違・・!?ああーっっ!!」
今までとは違う衝撃に、思わずオオガミは振り返る。
いつの間にか、ロッテンマイヤーはパドルを手にしていた。
 「ほ・・本部長・・!?そ・・それは・・!?」
「オオガミ分隊長・・どうやら大分弛んでいるようだな。今日はコレでしっかりお仕置きしてあげよう」
女神のような笑みを浮かべて、ロッテンマイヤーは宣告する。
直後、パドルがオオガミのお尻に叩きつけられた。
 バッシィィィーーーンンンッッッ!!
「ひ・・ひぃぃぃーーーっっ!!!」
あまりの衝撃に、オオガミは背をのけ反らせ、絶叫する。
バッシィィィーーーンンンッッッ!!
バッシィィィーーーンンンッッッ!!
バッシィィィーーーンンンッッッ!!
バッシィィィーーーンンンッッッ!!
「うわあああ!!ほ、本部長っ!?ゆ、許してくださいっ!!ひぃぃーーっっ!!」
「そうはいかないなぁ。ちょうどよい機会だ。文字通り、性根を叩き直してあげよう」
「そ・・そんなぁぁぁ!!うわあああああ!!」
オオガミの絶望の声と共に、パドルが一回一回、しっかりと叩きつけられる。
その後、長い間、パドルの音が響いていた・・・。


 「ほぅほぅ・・。まぁまぁ面白いことになっておるのう」
ロッテンマイヤーにお仕置きされるオオガミの姿に、老人のような口調で、少年の声が楽しそうに呟く。
声の主はイベント会場にいた、悪魔姿の少年。
少年はビルの屋上に腰を降ろし、オオガミのお仕置きを遠くから見物している。
尻尾はまるで生きているかのようにクネクネと動いており、背中には、会場にいた時には無かったコウモリのような翼が生えている。
その根元をよく見てみると、作り物などではなく、本当に身体から生えている。
そう、少年は本物の悪魔だった。
 「さてと・・・。いい加減に帰っておかんとな。忌々しいあの女めに感づ・・!?」
ハッとした表情を浮かべながら、少年悪魔は振り返る。
「やっと・・見つけたわよ・・!?」
悪魔の視線の先には、20代後半と思しきシスター。
 「勝手に教会を抜け出して・・また悪さを働いていたわね!?」
シスターは怒りの表情を浮かべる。
「うるさい!ワシの勝手じゃろう!?今日こそ、自由の身になるのじゃ!?」
対して、少年悪魔も怒りの声で返す。
目の前にシスターに捕えられ、更生の為と称して、彼女の教会で働かされたりしているからだ。
 「死ねいっっ!!??馬鹿女めが!!」
少年悪魔は掌を向けると、火の玉として、魔力を撃ち出す。
だが、シスターがそれを体捌きでかわす。
直後、少年悪魔の目の前まで、シスターは間合いを詰めていた。
 「しま・・!?」
少年悪魔が後退しようとしたところへ、手首に鈍い打撃が襲いかかる。
悪魔の前腕には、悪魔に効果がある十字架の印を刻みつけた分銅鎖が巻き付いていた。
シスターは少年悪魔の腕を前に引っ張り、体勢を崩したところで、足払いで、悪魔を床に投げ倒す。
 「く・・くそ・・!?」
「さぁ・・帰るわよ。その前に・・・」
シスターは鎖で悪魔の両手首を縛るや、少年悪魔を膝の上に乗せる。
 「貴様!?何するんじゃ!?」
「決まっているでしょう?お仕置きよ」
そういうと、シスターは手袋を嵌めた手を振り上げる。
手袋にも、対悪魔用の十字架の印が刻まれていた。
 バッシィィーーンッッっ!!
「ぐううっ!?やめんかっ!?暴力女っ!!」
「何を言ってるの!?また懲りずに悪さなんかして!!絶対に許さないわよ!!」
シスターは怒りの声と共に、悪魔のお尻を叩く。
その後、シスターの怒りの声とお尻を叩く音、悪魔の反抗する声とが響いていた・・・。


 ―完―

青き狼たち10(バイオレンスあり)



(バイオレンスありです。許容できる方のみご覧ください)


 「どうした、随分と仏頂面だな?」
「ふん・・。そんなの、当然だろう」
近藤の問いに、マチウスは不機嫌そのものの表情で答える。
 「おい!カンチョウになんて口をきくんだ!?」
マチウスの態度に、思わずカイが言う。
「お前には関係ないだろう、口を出すな。腰巾着!」
「おい!いい加減にしないと・・・」
「何だ?やる気か?」
二人は睨み合い、いまにも喧嘩が始まりそうな雰囲気になる。
 「やめんか二人とも!周りの迷惑に・・!?」
仲裁しようとした近藤の表情に、突然緊張が走る。
そんな近藤の様子に、思わず二人も振り向く。
直後、二人の表情も緊迫に包まれた。
 三人の視線の先にあるのは、ある男の姿。
仕立ての良いスーツを身にまとい、時間をチェックしながらキビキビ行動する姿は、やり手の実業家といった感じに見える。
だが、三人とも男がただの実業家ではないことを知っていた。
 「キヨカワ・・・!?何故ここに・・!?」
思わずカイは呟く。
清川紘八(きよかわこうはち)、それが男の本名である。
清川八郎の子孫にして、中東某国の砂漠地帯のオアシスに拠点を持つ実業家・富豪とは表向きの姿。
その正体は各地の過激派や反社会組織を指嗾し、テロや紛争を巻き起こす、恐ろしい人物であった。
 「あの野郎・・!?」
思わずマチウスは愛用の短銃身リボルバーを抜き放とうとする。
彼の故国アメリカにおいても、清川の援助を受けた組織や人物によるテロが起こっている。
その中で、彼の実家であるハーモニカ社も、警備員やボディーガードとして派遣した社員を失っている。
 「待て!落ち着くのだ!」
「どうして止めるんだ!?アイツが何者か、知ってるだろう!?」
制止する近藤に、マチウスは食ってかかる。
 「気持ちは分かる。だが・・たった一人で、あんな無防備な姿でヤツがいると思うか?」
近藤はマチウスに示すように、チラリと視線をある方向へ向ける。
思わずマチウスもつられて、視線を向ける。
すると、目立たないようにして、ボディーガードらしい男がいることに気づく。
さらに、慎重に周囲を見回すと、他にも数人同様の男達がいる。
 「こんなところで銃撃戦をするつもりか?」
近藤はさらに周囲を見ながら、マチウスに言う。
三人がいるのは高級ホテルのロビー。
こんなところで撃ち合いなどしようものなら、間違いなく無関係な一般人を巻き込んでしまう。
また、犠牲者が出なかったとしても、騒動を起こしたことで警察から咎めを受ける危険性がある。
「わ、わかってる・・!!そこまで僕は馬鹿じゃないさ!?」
近藤の言葉に、マチウスは渋々、拳銃をコートの下に納める。
そのまま、清川を見逃すものの、その目には強い怒りの炎を宿していた。


 数日後・・・・・。
「ハァ・・ハァ・・!!」
ロシア製自動拳銃を握りしめたまま、男は裏通りを必死に走っていた。
 (クソ・・!?何なんだ!?ついてねえ!!)
走りながら、男は舌打ちする。
男は清川のボディーガード役の一人。
先輩格のボディーガードの命令で、買い出しに出た帰りだった。
尾行されていることに気づき、裏通りへと逃げ込んだのである。
 (サツか?それとも・・・・)
尾行者の正体を思わず考えるが、すぐに頭から締め出す。
余計なことを考えていれば、やられてしまう。
清川のボディーガードとして、裏の世界を歩いて来た経験が、それを教えていた。
 男は拳銃を構え、慎重に周囲を見回す。
「!!??」
男は、正面から、こちらへゆっくりと近づいてくる人影を発見する。
 「誰だ!?」
男は拳銃を両手でしっかりと構え、問いかける。
影は黙ったまま、ゆっくりと接近する。
やがて、影の姿がだんだんはっきりしてくる。
 影の正体は細身の若者。
帽子を深めにかぶっているため、顔はわからない。
使い古したロングコートを身にまとい、首には古ぼけたハーモニカを下げていた。
 「貴様・・・!?」
首にかけたハーモニカに、男の表情が強張る。
同時に、影目がけて発砲する。
だが、着弾したのは足元。
咄嗟に撃ったために、有効距離外だったのだ。
 「く・・!」
外したことで、男は焦りに駆られ、さらに二回発砲する。
だが、焦って撃ったために、またも外してしまう。
その間に、ハーモニカを下げた影は十分な距離まで近づいていた。
 男は、影がコートの下に手をやっていることに気づくや、引き金を引こうとする。
同時に、影の手が引き抜かれるや、閃光と共に乾いた音が鳴り響いた。
「ぐ・・・!?」
男は銃を取り落し、左手で右腕を押さえて、路上に座り込む。
ゆっくりと影はリボルバーを構えたまま、男の眼前へと現れた。
 「キヨカワのボディーガードだな?」
マチウスはリボルバーを構えたまま、尋ねる。
「何のことだ?」
「とぼけるな!ネタは上がってるんだ!!」
マチウスは拳銃を握ったまま、グリップの端を男の腹へと叩きつける。
衝撃で男は苦痛の声を漏らす。
 「キヨカワはどこにいるんだ?」
「話すわけ・・ないだろうが!!」
「ふーん・・・。では・・これでどうかな?」
マチウスは男の太ももに銃口を突きつけると、引き金を引く。
「!!!!!」
熱したナイフを突き込まれたかのような苦痛に、男は前進を震わせ、声にならない声を漏らす。
「どうする?ここで頭を吹っ飛ば・・・・」
さらに額に銃口を突きつけ、冷たい声で言いかけたそのときだった。
 突然、マチウスは後ろを振り向く。
同時に立て続けに3度、銃口が火を噴いた。
「「「ぐうわっっ!!」」」
重なり合った悲鳴と共に、三人の男が路上へ倒れる。
三人とも、一発で額を撃ち抜かれ、手に拳銃を握りしめたまま、こと切れていた。
 「もう一度聞く。頭を吹っ飛ばされたいか?」
仲間の呆気ない死に様に、男の気力は完全に萎えていた。
マチウスの問いに、男は素直に白状する。
 「ふん・・。最初から素直に白状すればいいんだ。手間を取らせるんじゃない!」
そう言い捨て、マチウスは去ってゆこうとする。
(舐めやがって!ガキの分際で・・!!)
男はマチウスの背中をジッと見つめる。
ボスの居場所を白状してしまった以上、このまま帰ることは出来ない。
無事な左手で、男は何とか拳銃を拾うと、マチウスの背中に狙いをつける。
 (くたばれ・・!!)
残る全力を込めて、男が引き金を引こうとしたそのとき、マチウスの身体が反転し、銃口が火を噴いた。
額に風穴が開くと同時に、男は路上へと力なく崩れ落ちる。
 「馬鹿な奴だな。何発撃ったか、数えておかなかったのか?」
冷ややかな声で言うと、マチウスはその場を立ち去った。


 さらに数日後・・ある雑居ビル・・・。
銃身の短いマグナムリボルバーを構えたまま、マチウスはゆっくりと階段を上がってゆく。
ボディーガードの話によれば、ビルの所有者である非合法組織の事務所に、清川が来るという。
武器の密売買の商談の為らしいが、それはマチウスにはどうでもよいことだった。
事務所のある階にたどり着くと、マチウスは慎重に廊下を進んでゆく。
やがて、目当ての事務所のドアが見えてきた。
マチウスは、より慎重な足取りで、ドアへと接近してゆく。
だが、不意に足取りが止まる。
 拳銃を構えたまま、マチウスは廊下の床に視線を落とす。
視線の先には、拳銃を握りしめた男が倒れている。
腹は真っ赤に染まっており、息絶えているのは明らかだった。
 マチウスは、致命傷となった腹の傷をジッと見つめる。
腹には大きな穴がぽっかりと開いている。
(ショットガンか・・・)
傷口の様子から、マチウスはそう見当をつける。
マチウスは死体をまたぎ、開いたドアから、事務所へと入る。
 事務所の中は、構成員らしき男達の死体があちこちに転がっている。
いずれも、廊下で倒れていた男同様、ショットガンによる傷が致命傷だった。
(どうなってるんだ?)
訳が分からず、マチウスは困惑する。
ただ、目当ての清川がいないことだけはわかっていた。
「チ・・・!!」
苛立ちのあまり、舌打ちしながら、マチウスは事務所を後にしようとする。
そのとき、微かなうめき声を聞きつけた。
 もしやと思って、声のした方へ駆けつける。
すると、まだ息のある者がいた。
「おい・・キヨカワはどこにいるんだ?」
マチウスは銃口を突きつけて尋ねる。
 「い・・いない・・。しょ、商談が終わったら・・か・・帰った・・・」
「嘘じゃないだろうな?」
マチウスは傷口を踏みつけながら尋ねる。
「ぎゃがががが!!う・・嘘じゃ・・ないぃぃぃ!!??とっぐに・・!帰っ・・たんだぁぁぁああああ!!!がふうっっ!!」
用済みだと言わんばかりに、マチウスはサッカーボールのように男の頭を蹴飛ばして気絶させる。
 (クソ・・!無駄足を踏んだじゃないか!?)
マチウスは清川にまんまと逃げられたことに、むかっ腹を立てる。
この怒りを何かにぶつけずにはいられない。
そんな気持ちを抱いたときだった。
 「ん・・・?」
廊下へ出たマチウスは、薄暗い照明の下できらりと光る何かに気づく。
直後、乾いた音と共に、銃口が火を噴いた。
 「なめるな!」
マチウスは屈んでかわし、同時に撃ち返す。
だが、敵もさる者。
独楽のように動いてかわしつつ、反撃し、その隙に奥へと走り去ってゆく。
 「待て!逃がすか!?」
イライラしているところへ銃弾を食らわされ、マチウスはすっかり頭に血が上ってしまう。
追い詰めて、マグナム弾を全弾ご馳走してやる。
それしか、頭には無かった。
 (どこへ行った!?)
マチウスは獲物を追う猟犬さながらに走る。
追うことばかりに気を取られ、足元への注意など頭からすっ飛んでいた。
 「!!??」
何かが引っかかったように感じた直後、マチウスは顔から飛び込むように、廊下に倒れ込む。
「ぐ・・!?何・・!?」
起き上がったマチウスは、暗い色に塗られて目立たなくしたロープが足元に張られていたことに気づく。
同時に、撃鉄を起こす音が響いた。
ハッとしてマチウスは振り向く。
視線の先にあったのは、ショットガンの銃口。
目が合った瞬間、ショットガンが火を噴いた。
 胴に強烈な衝撃を感じた直後、マチウスの身体が後ろへ吹っ飛ぶ。
(くそぉ・・!!)
吹っ飛びながらも、マチウスはマグナムリボルバーをぶっ放す。
直後、マチウスは確かな手ごたえを感じ取る。
(やった・・!?)
床に倒れながらも、マチウスはほくそ笑む。
だが、遠ざかる足音に、表情が変わる。
 (やり損ねた!?逃が・・!?)
マチウスは起き上がろうとするも、身体が動かない。
(馬鹿!?何をや・・・くそぉ・・!?目の前が・・暗く・・・)
動かない自身の身体に苛立ちつつ、マチウスは視界が暗くなってゆくことに気づく。
やがて、そのまま意識が遠のいていった・・・・。


 目を覚ました瞬間、白い天井が目に飛び込んできた。
「どこだ・・!?ぐう・・!?」
強烈な痛みに、マチウスは思わず自分の身体を見やる。
すると、胴体はまるでミイラのように、包帯が巻かれていた。
 「何だコレは!?ぐう・・!?どうなって・・!!」
「静かにしろ、ここは病院だ」
不意に聞こえてきた声に、思わずマチウスは振り返る。
直後、マチウスの顔が渋ったいものに変わる。
 「何でここにいるんだ!馬鹿親父!?」
ロングコートに、首から古ぼけたハーモニカを提げた父親の姿に、マチウスは嫌そうな顔で言う。
「見舞いだ。これでも父親だからな」
「そんなことはどうでもいいさ!何で・・僕が病院なんかにいるんだ!?」
「ショットガンを食らって、死にかけていたところを、シンセン社のエージェントが保護したんだ。まぁ、そう騒いでいれば、心配はなさそうだな」
「うるさい!出ていけ!?馬鹿親父!!」
マチウスは怒りのあまり、近くにあった本を投げつける。
チャールズはそれを受け止めると、やれやれ、と言いたげな素振りを見せて、病室を後にした。


 その後・・・退院からしばらく経ったある日・・・。
バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!
「くそっ!やめろっ!やめろって言ってるだろうっ!!」
肌を打つ音と共に、マチウスの怒りの声が響く。
 バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!
「やめろ、ではないだろ。全く・・何を考えている、この馬鹿息子が」
力強い平手打ちを容赦なく息子のお尻に降らせながら、父親はお説教をする。
 バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!
「う、うるさいなぁ!テロリストの親玉を捕まえようとしただけだろう!それの何が悪いんだ!!」
「勝手なことをするな。軽はずみな振る舞いで、危うく死にかけたんだぞ?コンドウ達にどれだけ迷惑をかけたのか、わかっているのか?」
「うるさいって言ってるだろう!馬鹿親父!!いい加減にしないと、本気で怒るからな!!」
マチウスは父親のお説教に、反省するどころか、逆切れする。
 「やれやれ・・・。反省の色なしか・・」
ため息をつくと、父親はさらに平手を振り下ろす。
バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!バシィンッ!
「やめろっ!やめろって言ってるだろーっ!馬鹿親父っ!やめろっ!やめないかーっ!!」
さらに続く平手打ちに、マチウスは反抗し続ける。
その後、長い長い間、マチウスの反抗的な声と、お尻を叩く音が響いていた・・・。


 同じ頃、アメリカ西部の某都市郊外・・・・。


 トニーは戦々恐々とした表情で、ジッと目の前の相手を見つめる。
視線の先には、メキシコ人を思わせる褐色の肌をした、葉巻をくゆらせた男の姿があった。
男の名はジャン・ラモン・ヴォロンテ。
アメリカ西部を主要な活動範囲とする犯罪組織『フランク・ファミリー』の主要幹部の一人である。
 「ボ、ボス・・!つ、次こそは・・!?」
「『次』だと?トニー、貴様に次があると思ってるのか?」
再度のチャンスを乞うトニーに、ジャンは冷徹な目で見つめる。
トニーはジャンの組織の殺し屋。
ショットガンの使い手として知られている。
 「言ったはずだぞ。汚れ物が二つあるから、きちんと始末しろとな。それを・・一つ始末しそこないやがって!!」
ジャンは怒りをあらわにする。
汚れ物とは、マチウスが乗り込んだ組織、そしてマチウス自身。
ファミリーそして彼自身の意向として、殺害を命じたのだ。
だが、マチウスの方は失敗した上、おめおめと逃げ帰ってきたのである。
 「わ、わかっています!で、ですから・・・今度こそ・・!!」
「まぁいい・・。チャンスをくれてやらんでもない・・・・」
意外なボスの反応に、一瞬トニーは怪訝な表情を浮かべる。
だが、ガラケーを取り出したジャンの姿に、表情が強張る。
 「ボス・・!?ま、まさか・・・」
ジャンはガラケーを開くと、オルゴールのような曲を流す。
「おい、何をしている?時間が無いぞ。逃げてみろ。見事逃げたら・・もう一度・・やらせてやる」
最後まで聞かないうちに、トニーは逃げ出した。
 トニーは走りに走る。
その間、ジャンはジッとガラケーのメロディに耳を傾ける。
やがて、曲が終わると同時に、ジャンはズボンから大型のリボルバーを抜き出す。
逃げるトニーの背中に狙いをつけると、ジャンは一回、引き金を引く。
銃口が火を噴くや、トニーの身体が硬直し、そのまま倒れ伏す。
直後、体格のいい男達が現れ、死体を持ち上げると、車のトランクへと放り込んで、走り去っていった。


 ―完―

不二子の逆襲・その後(SO2&テイルズ・ルパン三世より/ティア・不二子)



(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにした、SO2&テイルズ・ルパン三世共演パロです。許容できる方のみご覧ください)


(やっぱり・・諦めるなんて出来ないわ!)
ティアの恥ずかしい写真を見やりながら、不二子は心の中で言う。
仕事の邪魔をしたティアにはお仕置きをしてやったが、それで鬱憤が晴れたわけではない。
泥棒の不二子にとっては、目当ての宝を見事盗み出すことこそ、屈辱を晴らすことになるのだから。
(外から盗もうとしたら失敗したのよ。だったら・・・・)
不二子は素早く計画を組み立てる。
計画を練り上げ終えると、不二子はアジトを後にした。


 それからしばらく経ったある日・・・・・。
「悪いですね、わざわざ来てもらって」
「別に構わないわ。仕事の依頼だと聞いたのだけれど?」
エルレインの言葉に、ティアはそう尋ねる。
 「ええ。これから話します。不二子、いらっしゃい」
エルレインの言葉と共に、眼鏡にスーツ姿の、いかにも偉い人の秘書といった感じの女性が現れる。
その顔を見た瞬間、ティアはハッとする。
目の前にいたのは、不二子だったからである。
 「どうしました?」
「い、いえ、な、何でもないわ!」
ティアは平静を装う。
 「では、不二子、説明をお願いします」
「わかりました、では・・・」
不二子はいかにも秘書らしく、資料と共に、依頼内容の説明を始める。
ティアは目の前の不二子に飛びかかりたくなるのを必死に抑える。
 「と、いうわけです・・。引き受けていただけますか?」
「わかったわ。では、準備があるから、失礼するわ」
そういうと、ティアは執務室を後にした。
 (まさか・・!秘書として潜り込んでるなんて・・!?)
誰もいないところで、ティアは驚きのあまり、ため息をつく。
(でも・・チャンスだわ!あんな目に遭わされて・・・)
ティアは無意識にお尻をさすりながら、不二子から受けた理不尽なお仕置きを思い返す。
(見てなさい・・!今度は・・私が泣かせてあげるわ!)
ティアは闘志を燃え上がらせながら、その場を後にした。


 数十分後・・・。
「コレと・・コレね・・・」
棚から資料を取り出しては、不二子はメモと照合する。
打ち合わせに必要な資料を取ってくるよう、エルレインに言いつけられたのだ。
 (いたわね・・!)
ティアは資料棚の陰に隠れ、不二子の様子をジッと伺う。
不二子は資料探しに集中しているためか、こちらに気づいている様子はない。
ティアは慎重に、不二子へと近づいてゆく。
やがて、もう少しで背後を取れる距離まで来たときだった。
 突然、不二子がティアの方へと振り向く。
ハッとした瞬間、小型のスプレーが突きつけられる。
中身が噴きだしたと思う間もなく、ティアは強烈な眠気に襲われ、床へと崩れ落ちた。


 「ん・・?」
「あら?やっとお目覚めかしら?」
頭上からの声に、ティアは思わず振り返る。
 「あなた・・・!?」
「ふふ、覚えていたようね?」
怒りに満ちたティアの表情に、不二子は笑みを浮かべる。
「忘れるわけが無いでしょう!?っていうか、何なのよコレは!?」
ティアは両手首を紐で縛られた上、ソファに腰かけた不二子の膝の上に乗せられていることに気づく。
 「決まってるでしょう?お仕置きしてる間に、暴れられたら大変じゃない」
「お仕置き・・!?まさか・・!?」
今の自分の体勢から、ティアは不二子の意図を察する。
「ええ、そうよ。今からたっぷり、お尻を叩いてあげるわ。この前みたいにね」
不二子は笑みを浮かべて、宣告する。
 「ふ、ふざけないでっ!?ちょっとっ!やめなさいっ!!」
抵抗しようとするティアだが、格闘能力は不二子の方が上。
押さえつけられたかと思うと、お尻をむき出しにされてしまう。
 「あら、さすがに治ったみたいね」
「う・・うるさいわね・・!?」
からかうような口調に、ティアは屈辱を抑えかねて言う。
「まぁいいわ。もう一度、真っ赤にしてあげるわ。覚悟なさい」
不二子は笑みを浮かべながらいうと、手を振りかぶった。


 バッシィーンッッ!
「く・・!?」
(何をしているの!?情けない真似をするんじゃないわよ!?)
危うく声を出しかけた自身を、ティアは叱咤する。
同時に、ティアは必死に声を押さえつける。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
弾けるような音が間髪入れずに響き、ティアのお尻に赤い手形が浮かび上がる。
「・・!・・!・・!・・・!・・!」
声を出すまいと、ティアは必死に耐える。
平手打ちを耐えながら、ティアの身体が屈辱で微かに震える。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「ふふ・・。何ともイイ恰好ねぇ。膝の上でお尻だけ丸出しなんてねぇ」
「う・・うるさ・・い・・わね・・!く・・!」
からかうような不二子の発言に、ティアは言い返すも、苦痛に顔を歪める。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「いい年をして、小さな子供みたいにお尻ペンペン、もう本当に恥ずかしいわねぇ。情けないと思わないのかしら?」
「う・・うるさいわね・・!あ・・あなたが・・してるん・・でしょう・・!?」
不二子の理不尽な物言いに、ティアは反発する。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「あなたが悪いのよ。性懲りも無く、私の邪魔をしようとするからよ」
「な・・何よ!泥棒のく・・うっ!くぅ・・!うっく・・!」
反発するティアだが、不二子の容赦ない平手打ちに、苦悶の声を漏らす。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「いや・・!くぅ・・!いや・・!もう・・ううく・・・!」
不二子の平手打ちの嵐に、だんだんティアは苦痛の声を漏らす。
お尻も、全体が赤く染まっており、だんだんと色が濃くなってゆく。
 パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「いや・・!くぅ・・!やめ・・やめて・・!いや・・!」
「『やめて』ですって?ダメよ。性懲りも無く、また私の邪魔しようとしたのよ。まだまだ、許してなんかあげないわ」
「そ・・そんな・・!?」
絶望の声を漏らすティアに、不二子はクスリと笑みを浮かべる。
同時に、平手打ちに、さらなる勢いを込める。パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!パシンッ!
「いやっ!いやあっ!やめて・・!いやあっ!許して・・!痛っ!いやあっ!痛ああっ!許し・・いやぁぁ!!」
その後、少なくとも優に百を数える平手打ちが、ティアのお尻に振り下ろされた・・・。


 「ううう・・・!?」
「ほら!ちゃんと立ちなさい!お尻を隠したらダメよ!」
不二子は定規でお尻をピシピシと叩きながら、ティアに命令する。
ティアは屈辱に身を震わせつつ、真っ赤なお尻をあらわにした姿で、壁際に立つ。
 「ちゃんと顔もこっちに向けるのよ。そう・・そのまま・・」
羞恥を必死に堪えながら、ティアは命令された通り、お尻を出したまま、振り向いた姿勢をとる。
その姿を、不二子はスマホで幾度も撮影する。
 「ふふ、面白いモノが撮れたわね。もし、また懲りずに私の邪魔をしようとしたら・・コレをネットでばら撒いてあげるわ。嫌なら、大人しくしていなさい。いいわね?」
ティアは屈辱感と怒りで、キッと不二子を睨みつける。
不二子は勝利の笑みを浮かべ、ティアを見返すと、満足した様子でその場を後にした。


 「遅いですよ?一体、何をしていたのです?」
満足した様子で戻った不二子を待っていたのは、エルレインの怒った顔だった。
「も、申し訳ありません!資料探しに手間取ってしまいまして・・!」
謝りながら、不二子は自身の迂闊さを後悔する。
ティアのお仕置きに夢中になり、打ち合わせの時間を忘れてしまっていたからだ。
 「それが理由になると思いますか?時間に遅れるなど、社会人として許されないことです。罰として、お尻を叩いてあげます。さぁ、お尻を出しなさい」
「そ・・そんな・・!嫌です・・!」
思わず不二子は拒否する。
 「嫌だと言うのですか?出来ないのならば、辞めてもらっても構わないのですよ、こちらは」
「う・・・!?」
不二子は言葉に詰まる。
お尻を叩かれるのは嫌だ。
しかし、秘書を辞めてしまえば、今までの苦労が水の泡。
それは困るし、もっと嫌だった。
 「わ・・わかり・・ました・・!受けます・・・!」
「ならば、自分でお尻を出して、膝に乗りなさい。出来ますね?」
「は・・はい・・・」
不二子は屈辱に身を震わせながらも、自分でお尻を出し、エルレインのそばへ行く。
だが、足が止まってしまう。
 (ふふ・・。さすがに、屈辱のようですね・・)
ジッと立ち尽くし、膝を見つめ、悶々とした様子の不二子に、エルレインは密かに笑みを浮かべる。
(さぁ、どうします?わざわざ潜り込んだ苦労を、ここで台無しにしますか?)
心の中で、エルレインは不二子に問いかける。
実は、不二子の正体や目的について、全部知っていた。
知っていて、わざとこの罰にしたのである。
 「どうしたのです?出来ないのならば、辞めますか?」
「い・・いえ・・!出来ます・・!」
「ならば、早くしなさい」
エルレインの言葉に、不二子は唇を噛む。
言われた通り、エルレインの膝にうつ伏せになるも、屈辱に身を震わせる。
 (目的の為に堪えましたか。でも、屈辱感はたっぷりのようですね。そうでなくては、面白くありません)
屈辱で一杯な不二子の姿に、エルレインは密かに意地悪な笑みを浮かべる。
(それでは・・せいぜい、楽しませてもらいましょうか。女盗賊さん)
密かに笑みを浮かべたまま、エルレインは不二子を押さえつける。
同時に、ゆっくりと、もう片方の手を振り上げた。


 パアシィーンッッ!
「う・・・!?」
弾けるような音と共に、ジィーンと痛みがお尻全体に走る。
衝動的に、不二子は声を漏らしそうになる。
(何やってるのよ!?恥ずかしく無いの!?)
思わず声を漏らしかけた自身を、不二子は叱咤する。
パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!
平手打ちが続けて振り下ろされる中、不二子は懸命に声を押し殺す。
そんな不二子の姿に、エルレインは満足げに微笑む。
 パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!
「全く・・・いけない子ですねぇ・・・」
お尻を叩きながら、エルレインはお説教を始める。
といっても、反省させるためのものではない。
羞恥心を煽り立てて、辱めるのが目的だった。
 パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!
「時間厳守は社会人として、当たり前のことですよ?そんな基本的なこともわかっていないのですか?」
お尻を叩きながら、エルレインは言葉でも責める。
 パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!パシィンッ!
「く・・!申し訳・・ありま・・せん・・!資料探しに・・手間取って・しまい・・まして」
平手打ちが間断なく叩きつけられる中、不二子は必死に謝る。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「そんなのが、理由になると思っているのですか?全く・・社会人としての、自覚が無い証拠です!そんなだらしない娘には、子供のお仕置きで十分です!」
エルレインは手を振るう勢いを強めて叩く。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!うく・・!あく・・!うっく・・!申し訳・・ありま・・くぅぅ・・!あう・・!」
必死に謝る不二子だが、お尻を叩かれる苦痛に、身を悶えさせる。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「おやおや?お尻をフリフリしていますねぇ?恥ずかしくないのですか?みっともない真似をして」
エルレインは羞恥を煽り立てるため、言葉でも責めたてる。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!言わないで・・下さ・・く・・!ひっう・・!」
不二子は羞恥に顔を赤らめ、懇願する。
バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「それに・・お尻が真っ赤ですねぇ。これでは、まるでお猿さんのお尻ですねぇ。とても大人の女性のお尻には見えません。みっともなくて、恥ずかしくて、私なら、とても人前には出れません」
叩かれ、赤く染め上がってゆくお尻を見やりながら、エルレインはさらに辱める。
屈辱に不二子は言い返したくなるが、それを必死に堪える。
カッとなって言い返せば、藪蛇だし、それもまた恥ずかしいからだ。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「く・・!ひぅ・・!あく・・!エルレイン様・・!お許し・・下さ・・!ああう・・!」
「なりません!あなたのような悪い子な秘書は、しっかり躾けてあげます!覚悟なさい!」
「そんな・・!く・・!あくぅ・・!」
その後、長い長い間、お尻を叩く音と、不二子の苦悶の声、エルレインの言葉責めが続いていた。


 「くぅぅ・・!」
不二子は羞恥と屈辱感の入り混じった表情を浮かべ、ジッと立っていた。
むき出しにされたお尻は、万遍なく真っ赤に染め上がっており、火が付いたかのように熱い。
背中には、『待ち合わせの時間に遅刻したので、エルレイン様にお尻を叩かれました』という恥ずかしい札を下げられていた。
 「ホホ、何ともみっともない姿ですねぇ」
「く・・!エルレイン様が・・なさったんじゃ・・ないですか・・」
不二子は思わず恨めし気な視線を送る。
 「あなたが約束の時間に遅れたのが、そもそもいけないのでしょう?」
「そ、それは・・・」
エルレインの言う通りのため、不二子はぐうの音も出なくなる。
 「子供みたいにお尻ペンペンされる、お尻はサルみたいに赤くなる、お尻だけ丸出しにした上、札まで下げた恥ずかしい姿で立たされる・・・。恥ずかしいでしょう?屈辱でしょう?これに懲りたら、二度とするのではありませんよ?」
「わ・・わかって・・います・・!二度と・・いたしません・・!」
恥ずかしさと悔しさに、不二子は身を震わせる。
そんな不二子の姿に、エルレインは満足げに笑みを浮かべ、不二子をジッと見つめていた。


 ―完―

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山田主水

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