悪魔姫の祝杯・番外編2 奸計の果てに



 バチィンッ!バシィンッ!バッチィンッ!
「いやああっ!ごめんなさいっ!許してごめんなさいっ!!」
「ダメでしょうっ!!全くっ!ワガママ言うなんて、悪い子なんだから!!」
仮設闘技場に、レティッツイアの悲鳴と、ルフトハンザの叱る声が響き渡る。
レティッツイア軍ではお馴染みの祝杯の儀。
名誉ある執行役に選ばれたのは、ルフトハンザ。
ルフトハンザは容赦なく、女主人のお尻に、赤い花びらを刻みつける。
お尻を真っ赤に染め上げ、幼児のように泣き叫ぶ悪魔姫の姿に、会場に集まった将兵たちは熱狂する。
 「・・・・・・・」
そんな中、一人、不機嫌な表情を浮かべる女の姿があった。
女は黒曜石のような長い黒髪と尖った耳、褐色の肌を持つ、手の込んだ衣装と鎧を着た、高貴な雰囲気を纏った、美しいダークエルフ。
トゥエイの森を根拠とするダークエルフ・スガハラ族の族長、レドベルグである。
 レドベルグは、苦々しげにルフトハンザを見つめる。
(くそ・・・!!また・・奴に・・・先を越された!!)
レドベルグは、憎しみの籠った視線をルフトハンザに向ける。
レドベルグとルフトハンザは、しばしば手柄を巡って、競争する立場にあった。
だが、いつもあと一歩というところで、ルフトハンザに先を越されてしまう。
今回も、もう少しで敵の城へ一番乗り出来るはずだったのを、ルフトハンザに先乗りされてしまったのだ。
 (おのれ・・・!?絶対に・・タダでは済まさんぞ!!)
勝利の余韻に浸り、女主人のお尻を真っ赤に染め上げるルフトハンザを見つめながら、レドベルグはそんな決意を固めていた。


 「なるほど・・。それで私を呼んだわけですね」
魔導士のような黒いローブに身を包んだ、眼鏡の似合う知的な美貌のダークエルフが、レドベルクに、そう言う。
彼女はルドベルグの参謀兼相談役を務めるネルスベルクス。
憎いルフトハンザを痛い目に遭わせる策を考えるように、と呼び出されたのだ。
 「そうだ!お前なら何かいい考えがあるだろう!!」
「無いこともありませんが・・・。ご主人様はルフトハンザをどういう目に遭わせたいのですか?」
「そうだな・・。この間の贖罪の儀・・。あれは素晴らしかった。久しぶりに・・胸が晴れた!!」
レドベルグは、贖罪の儀で公開お仕置きされたルフトハンザの姿を思い返し、溜飲の下がった表情を浮かべる。
「つまり・・ご主人様は、ルフトハンザが公開お仕置きされるような策を考えろ、ということですね?」
「そうだ!出来るか!?」
「ええ。策はあります。ですが・・・」
「何だ?嫌だというのか?」
部下が拒否するのかと思い、レドベルグは不機嫌な表情になる。
 「ご命令とあらば、策を実施します。しかし・・もしこのもくろみがばれれば・・・贖罪の儀に出るのは我々ということにもなりかねません。それでも・・やりますか?」
「聞くまでも無い!!で、どのようにやるのだ!?」
「わかりました。では・・・」
ネルスベルクスは策の内容を、女主人に説明する。
 「なるほど!?それは良い策じゃ!!それならば必ずや・・あの憎き眼鏡女の尻は真っ赤に染まることになろう!!」
「では・・策を実行してよろしいですね?」
「もちろんだ!!ふふふ・・。ザマを見ろだ!ルフトハンザ!!」
部下の問いに、レドベルグは邪悪な笑みを浮かべて、答えた。


 それからしばらく経ったある日・・・・。
ルフトハンザが、自身の陣地内で部下達と軍議をしていたときだった。
「第9親衛隊である!!」
突然、レティッツイアの紋章に数字の9を組み合わせた独特の紋章を身に着けた女悪魔兵達が、踏み込んできた。
彼らはレティッツイア直属の兵士達。
ルフトハンザら古参の将軍達でも、遠慮を迫られる存在である。
 「これは第9親衛隊の皆様、どうなされました?」
ルフトハンザは冷静な態度で応対するも、緊張を隠せない。
親衛隊の中でも、第9親衛隊は、軍内の取り締まりにあたる、いわゆる憲兵隊。
彼らがやって来る、ということは、何らかの違法行為や失態を疑われているということ。
現に、以前贖罪の儀を受けることになったときも、彼らがやって来て、姫からの呼び出しや、闘技場への連行が行われたのだ。
 「ルフトハンザ将軍!!貴官を敵勢力との内通の疑いにより、連行します!!」
「な・・何かの間違いではありませんか!?私がそのようなこと・・するはずが!!」
「言い分があれば、取り調べで聞きましょう。まずは、我々に同行してもらいます」
「わかり・・ました・・」
ここで歯向かうのは得策ではない。
やむなく、ルフトハンザは手早く部下に指示をして動揺を抑えると、親衛隊の兵士達に連行されていった。
 数時間後・・・。
「そうか。ルフトハンザは親衛隊に連行されたか」
部下からの報告に、レドベルグは笑みを浮かべる。
「ネルスベルクスよ、さすがだな。見事にお前の策が当たったな」
「それほどでもございません。ただの偽手紙ぐらいですから」
レドベルグの褒め言葉に、ネルスベルクスはそう返す。
ネルスベルクスの策。
それは、ルフトハンザが敵対勢力と内通している精巧な偽手紙を作り上げること。
それによって、ルフトハンザに敵との内通という罪をかぶせること。
 「これで・・奴は再び、公開尻叩きの刑になるのは決まったな」
「それだけではすまないでしょう。内通の罪ともなれば」
「どう転ぶにせよ、目障りなヤツが消えるのは、喜ばしいことだ。やつさえいなければ、これからは私の一番手柄は言うまでもない。ハハハ!!」
レドベルグは今後のことを想像し、勝利の笑いを上げる。
 「ところで・・偽手紙を書いたやつはどうする?」
「ご心配なく。既に手は打ってあります。もう既に永遠に黙っているは・・・・」
ネルスベルクスがそう言いかけたところに、部下のダークエルフ兵が駆け込んでくる。
 「どうしたのです?」
部下の慌てた様子に、ネルスベルクスは不審を覚える。
「た、大変です!!口封じの為に派遣した兵士が・・・しくじりました!?」
「どういうことです!?」
「実は・・」
兵士の説明によれば、刺客役の兵士が標的を襲おうとしたそのとき、待ち伏せていた第9親衛隊の兵士達に、捕えられたという。
どうやら標的は別件で第9親衛隊に既に逮捕されており、その際、ネルスベルクスの一件も白状していたという。
 「ネルスベルクス!?どういうことだ!?」
「そんな!?私が失敗するはずが・・!!」
二人が愕然としていると、複数の足音が近づいてくる。
ハッとして入口の方を振り向くや、第9親衛隊の兵士達が踏み込んできた。


 数日後・・・。
陣地内の仮設闘技場に、レドベルグとネルスベルクスの姿があった。
二人並んで、うつ伏せでお尻を突き出した姿で、台に拘束されている。
もちろん、お尻はTバック式の下着で大事なところを隠した以外は、むき出しにされている。
拘束台の脇には、二人がルフトハンザを罠にかけた罪状を書いた札が立てられている。
 「皆の者!よく集まってくれた!感謝するぞ!!」
レティッツイアがマイクで皆に呼びかけると、将兵らから歓声が上がる。
「さて・・・。本日集まってもらったのは他でもない!!この者達のことだ!?」
レティッツイアは台に拘束されている二人を指さす。
 「こやつらは・・・ある罪を犯した!!裏切りの罪だ!!奴らは・・嫉妬から・・ルフトハンザ将軍に、いわれなき内通の罪をかぶせようとしたのだ!!」
姫の言葉に、会場は怒りの声に包まれる。
「裏切りの罪は・・何よりも重い!!よって・・・今より、この二人の贖罪の儀を執り行う!!」
レティッツイアの言葉に、観客達は興奮の渦に包まれる。
同時に、大きなパドルを手にした、第9親衛隊の兵士達が現れた。
 兵士達は、パドルを構えて、レドベルグとネルスベルクスの脇に立つ。
「ちょっと!待ちなさいよ!?そんなもので叩くつもり!?」
兵士達の持つパドルを見て、レドベルグは恐怖に駆られる。
パドルは非常に大きく、コブなどの苦痛をより強める附属品もこれ見よがしについているからだ。
 「当然であろう。そなたの罪は軽くは無い。しっかりと、罪を贖うがよい」
「ふ、ふざけないでよ!?わ、私は悪くないわ!?あの眼鏡女が悪いのよ!?」
「ご主人様・・。それは逆効果ですわ・・・」
レティッツイアの言葉に、レドベルグは抗議の声を上げる。
主人の言葉に、ネルスベルクスは、ため息をつきながら言う。
 「反省の色なしか・・。その方がやりやすいがな・・。始めよ」
レティッツイアは手を振り下ろして、兵士達に合図を送る。
それを見た兵士達は、パドルを振りかぶった。


 バッシィー―ン!!
「きゃあああ!!」
「ひぃぃぃん!?」
パドルが容赦なく、ダークエルフ主従のお尻に叩きつけられる。
ビダァンッ!ババジィンっ!バッジぃンッ!ビッダァンッ!
 「な、何をするのよっ!?やめなさいよっ!!痛あっ!!きゃああ!!」
「ひいいぃんっ!ご、ご主人様!お、お助け下さいいい!!」
お尻を叩かれる苦痛に、レドベルグは悲鳴を上げ、ネルスベルクスは主人に助けを求める。
 「この馬鹿!何が『お助け下さい』よ!?お前のしくじりのせいで、こうなってるのよ!?」
「ご、ご主人様の命令では・・ひぃん!?ありま・・せんかぁぁ!!私は・・命令に・・従っただけ・・!!す、全てはご主人様の罪です!!わ、私は悪くありません!!」
「ネ、ネルスベルクスううう!!!あ、あなた主人を売るつもりいいい!!!」
部下の言葉に、レドベルグは怒りの声を上げる。
 バシィンッ!ビダァンッ!バビィンッ!ビッダァンッ!バアッジィンッ!
「そもそもご主人様のせいじゃないですかああ!!きゃあああ!!わ、私ごときが・・逆らえるわけが・・!!ご、ご主人様が命令しなければ・・私だって・・しませんでしたああ!!ですから・・私の罪じゃ・・無いですうう!!!」
「貴様ああああ!!家来の癖に・・主人を売る気いいいい!!!わ、私は族長なのだぞ!!!い、生きて帰ったら、し、死ぬまで尻叩きの刑にしてやるからあああ!!!」
「どうぞご自由にいいいい!!ど、どうせあなたなんか族長でなんかいられないんだからあああ!!!い、今更だけど、あ、あんたなんかに仕えた私が馬鹿だったわあああ!!ど、どうせならルフトハンザ様に仕えればよかったわあああ!!!!」
ネルスベルクスは、お尻を叩かれながら叫ぶ。
 「そなた・・・本心か?ルフトハンザに仕えればよかった、と思うのは?」
レティッツイアはネルスベルクスに尋ねる。
「お、思います!!こ、これからはルフトハンザ様の為に尽くしますうう!!で、ですから、お、お許し下さいいい!!」
「ふぅむ・・・。よかろう。私に考えがある・・・。お前はこれ以上の贖罪を免じてやろう。台から降ろしてやれ」
「あ・・ありがとうございますうう!!!」
ネルスベルクスは台から解放され、歓喜の涙を流す。
 「ど、どうしてあなただけ!?ず、ずるいわ!!!」
懲罰から解放されたネルスベルクスに、レドベルグは憤慨する。
「あの愚かな策士ぶった眼鏡娘には・・ルフトハンザの手で報いを与えてやった方が面白かろうからな。それだけだ。貴様は・・私自身の手で、罪を贖わせてやる」
レティッツイアは微笑を浮かべる。
次の瞬間、レティッツイアは兵士からパドルを受け取る。
そして、自ら、レドベルグのお尻に、パドルを叩きつけた。
 バッジィィィンンン!!!
「いったあああああいいいいい!!!!」
パドルの容赦ない一撃に、レドベルグは絶叫する。
 ビダァンッ!バアジィンッ!ビッダァンッ!バアジぃンッ!
「ひぃんっ!も、もう嫌あああ!姫様あああ!!お、お許し下さいいいい!!も、もうルフトハンザに悪だくみなんかしませんからああ!!」
「そのようなこと、当然だ。貴様の行為は・・・何よりも許しがたい!!貴様は・・族長の地位を取り上げてやる!!領土の森も没収だ!!そして・・お前自身は、私の尻叩き奴隷にしてやる!!」
「そ・・そんなああああ!!」
レドベルグは絶望の声を上げる。
尻叩き奴隷。
その名の通り、主人の気晴らしの為に、尻を叩かれる姿を見せる奴隷である。
レティッツイア軍では、大きな罪を犯した将兵に対し、贖罪の儀を受けた上で誰かの尻叩き奴隷にするという罰があった。
 「領地も兵士も献上しますうう!!ですから尻叩き奴隷だけは・・・!!」
「ダメだ。私が何よりも信頼するルフトハンザを罠にかけようなどと・・!!貴様の尻には、私が生きている限り、地獄を味あわせてやる!!」
悪魔姫の怒りの強さに、レドベルグは絶望の淵に落とされる。
「ああ、安心しろ。お前一人ではないぞ。お前の配下のあの眼鏡のダークエルフ。あやつも後で尻叩き奴隷にしてやる。まぁ・・あやつのほうはルフトハンザにくれてやるがな。直接、ルフトハンザをはめようとしたのはあやつじゃ。ちょうどルフトハンザに仕えればよかったと言っておったしな。だから、ルフトハンザに仕えさせてやろう、尻叩き奴隷として」
絶望を感じさせる笑みを浮かべて、レティッツイアは言う。
そんな悪魔姫に、レドベルグは戦慄する。
バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!バジィン!
その後、長い長い間、闘技場にパドルの音と、レドベルグの悲鳴が響き続けた。


 その後・・・。
バシィンッ!バジィンっ!ビッダァンッ!
「きゃあああ!ルフトハンザ様ああ!お許し下さいいいい!!」
肌を打つ音と共に、ネルスベルクスの悲鳴が響き渡る。
ネルスベルクスはお尻がむき出しになった尻叩き奴隷専用の衣装を着せられ、ルフトハンザの膝に乗せられて、お尻を叩かれている。
 「ダメよ。今日はあなたの真っ赤なお尻と泣き顔がとっても見たい気分なのよね。もっと私を楽しませなさい」
ルフトハンザは非情な笑みを浮かべて言う。
尻叩き奴隷は、尻を叩かれることで、主を楽しませるのが務め。
主人の気分次第で叩かれるのだ。
 「おお!やっているな!!」
そこへ、レティッツイアが現れる。
レティッツイアは鎖付きの首輪を付けられ、尻叩き奴隷専用の衣装を着せられたレドベルグを連れている。
 「姫様、いかがなさいました?」
「ふむ、そこの尻叩き奴隷と一緒に、こやつの尻を叩いて楽しもうと思ってな。どうだ?」
「それはよい考えかと。さぁ、姫様こちらに」
ルフトハンザは、自身の場所を女主人に譲り、自分はネルスベルクスを膝に乗せて、脇に座る。
レティッツイアはルフトハンザがいた場所に腰を降ろし、レドベルグを膝に乗せる。
「よし・・。では二人で悲鳴のハーモニーを聞かせてもらうぞ」
レテッッツイアはそういうと、レドベルグのお尻に手を振り下ろす。
同時に、ルフトハンザもネルスベルクスのお尻を叩きはじめる。
その後、部屋には二人のダークエルフの悲鳴とお尻を叩く音がこだましていた。


 ―完―


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悪魔姫の祝杯・番外編 ルフトハンザの贖罪



 切り立った崖が左右から迫る狭い峡谷。
左右の崖上では、ルフトハンザ率いる女悪魔軍が、待ち構えていた。
「もうすぐですわ・・・。私の計算通りならば」
ルフトハンザは指で眼鏡の位置を直しながら、笑みを浮かべる。
間もなく、敵軍の大将とその護衛達が、この峡谷を通るはず。
戦場から敗走する途中の彼らを、ここで待ち伏せ、仕留める。
そうすれば、彼女たち悪魔軍の勝利。
 「ふふ・・・。一番手柄は私のもの・・・。祝杯の儀に出るのは・・私・・ですわ!!」
ルフトハンザは、祝杯の儀で主のお尻を叩く自身の姿を思い浮かべ、興奮する。
だが、その栄誉を得るためには、何としても敵軍の大将を討ち取るか、捕えねばならない。
ルフトハンザは興奮を押さえ、ジッと、通り道の様子を双眼鏡で伺う。
やがて、馬を必死に走らせる一団の姿があった。
全員、敵軍の印を鎧や上着に描いている。
その中でも、ひときわ立派な鎧を着た敵を、じっとルフトハンザは見つめる。
 「あの鎧・・・。間違いないわ!!」
ルフトハンザは笑みを浮かべる。
事前の調査で、敵軍の大将のものだとわかっているからだ。
「十分・・引き寄せるのです・・・・。そして・・・今です!!」
ルフトハンザの命令と共に、崖上から、丸太や石が転がり落ちてゆく。
丸太や石は、敵軍に向かって襲いかかる。
鈍い音や悲鳴と共に、敵軍は落とされた丸太や石の下敷きになった。
 「よし・・・!!行きなさい!!」
ルフトハンザの命令と共に、峡谷に兵士達が降りてゆく。
ルフトハンザ自身、護衛の兵士達と共に、罠の犠牲になった敵の元へと向かう。
 「間違いなく・・事切れております」
部下の報告に、ルフトハンザは頷く。
ルフトハンザは慎重に、敵軍の大将に近づく。
自ら剣を取り、ルフトハンザは、自身で敵の鎧の隙間に切っ先を突き入れた。
 「確かに・・絶命していますね。では・・・」
ルフトハンザは敵将のマスクに手をかける。
(これで・・今回の祝杯の儀は私のもの・・!!)
勝利を確信した笑みを浮かべつつ、ルフトハンザは敵将のマスクをはぎ取る。
だが、直後、表情が変わった。
 「違う!?誰なのコイツは!?」
顔を見るや、ルフトハンザは叫ぶ。
敵将ではない、全然別の者の顔だったからだ。
 「他の死体も確認しなさい!!今すぐ!?」
部下達は主の命令に、急いで他の死体のマスクや兜をはぎ取る。
だが、どれも敵将のものではない。
せめてその側近のものでは無いかと、必死に顔を確認するが、側近のものらしい顔も無い。
 「どういう・・こと・・?」
思わぬ事態に、ルフトハンザの表情が強ばる。
そのとき、伝令役の悪魔が駆けつけて来た。
伝令の報告に、ルフトハンザの表情が、まるでこの世の終わりでも来たかのようなものになっていた。


 レティッツイアの天幕・・・。
ルフトハンザは女主人の目の前に、正座させられていた。
「ルフトハンザよ。本当なのか?敵にまんまと出し抜かれ、逃げられたというのは?」
静かな、だが怒りを隠せないレティッツイアの声に、ルフトハンザは震えあがりそうになるのを必死に堪え、答える。
 「はい・・!申し訳ありません!!敵は影武者を使い・・我らの罠から逃げおおせました」
ルフトハンザは脂汗が出そうになりながら、答える。
伝令からの報告。
それは、敵はルフトハンザの罠を事前に察知していたこと。
それを逆用し、影武者達を用いて罠にかかったように見せかけ、ルフトハンザ達が気を取られているうちに、変装して戦場から逃げ出していたこと。
つまり、罠にかけるつもりが、逆にこちらが罠にかかってやられてしまったのだった。
 「ルフトハンザよ。勝利は目前であった・・・。だが・・・そなたの失態で・・・今日の勝利は叶わぬものとなった・・・」
静かだが、沸々と湧き上がる怒りを滲ませる声に、ルフトハンザは身を震わせそうになる。
目前にした勝利を逃すことほど、悪魔姫の怒りを燃え上がらせるものは無いからだ。
 「申し訳ございません!!私の失態にございます!!どんな・・罰でも・・覚悟しております!!」
ルフトハンザは土下座して、謝る。
「その言葉・・・。本心か?」
「はい・・!!誓って・・!!」
「ならば・・・。今夜、贖罪の儀を執り行う。もちろん、主役はそなたじゃ。良いな?」
「贖罪の儀・・・!?そんな・・!!」
「嫌か?」
「いえ!贖罪の儀・・確かに・・行います!!」
「ならば・・・今は戻ってよい。せいぜい・・・儀式に備え、覚悟をしておくことじゃ!!」


 その日の夜・・・・。
以前、祝杯の儀が行われたときと同じように、仮設の闘技場が陣地内に設置されていた。
だが、祝杯の儀のときとは違い、観客席には怒りのオーラが満ちている。
闘技場中央の椅子の傍らには、ルフトハンザの姿があった。
 ルフトハンザは両手に水の入ったバケツを持たされ、首から札を下げさせられている。
札には『勝利を逃す失態をした悪い子』と、ラテン文字で書かれていた。
 やがて、花道から、レティッツイアが現れる。
レティッツイアの姿に、観客である将兵たちの興奮が高まる。
レティッツイアはゆっくりと、ルフトハンザと椅子の方へ進んでゆく。
やがて、レティッツイアは椅子の前までやって来ると、将兵たちを見回した。
 「皆の者!!いつも勝利の為に奮闘、感謝するぞ!!」
主人の声に、観客達は興奮の声を上げる。
「今夜・・・本来なれば、祝杯の儀を執り行うはずであった。そなた達に・・この私の血のように赤く染まった尻を・・・私の涙を捧げられるはずであった!!だが・・・」
レティッツイアは怒りと悲しみのない交ぜとなった声で叫ぶ。
 「ある者の失態により・・その勝利は遠のいた!!皆の者!!勝利が・・・叶わなかったのじゃ!!これほどの恥が・・あろうか!!」
悪魔姫の演説に、将兵たちの同意と怒りの籠った声が観客席を覆い尽くす。
 「その失態をしたのは・・他でもない!!幾度もわが軍の勝利に貢献してきたはずの・・ルフトハンザ将軍じゃ!!」
自身の名を呼ばれ、ルフトハンザはギクリとする。
観客席からは、怒りの籠った視線が、嫌というほど投げつけられる。
 「ルフトハンザ・・・」
「は・・はい・・!!」
主君の呼びかけに、ルフトハンザは必死に応える。
 「自身が失態を犯したのは・・認めるな?」
「み、認めます・・!!勝利を逃し・・姫様とわが軍の栄光を飾れず・・申し訳・・ございません・・!!」
「ならば・・・贖罪の儀を受ける覚悟があるな?」
「あります・・!!どうか・・姫様の手で・・私の失態を・・罰して・・下さいませ」
「良い覚悟じゃ。ならば・・これより・・贖罪の儀を執り行うぞ!!」
そう宣告すると、レティッツイアはルフトハンザを引き寄せる。
直後、椅子に腰かけ、ルフトハンザを膝の上にうつ伏せに乗せる。
ルフトハンザはTバック式のパンツを履かされているため、お尻は既に丸出し状態だった。
「さぁ・・・。そなたの罪・・いまより、たっぷりと償わせてやる」
冷徹な声でレティッツイアは宣告する。
同時に、ゆっくりと手を振り上げた。


 ビッダアアアアアンンンンン!!!
「いやあああああ!!!!」
凄まじい勢いの平手がルフトハンザのお尻に命中する。
お尻の骨が砕けるかと思うほどの衝撃に、ルフトハンザは絶叫する。
 バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!
「いやあああ!!お、お許し下さい!!きゃあああ!!痛あああいいいい!!」
お尻に与えられる、とても耐えがたい打撃に、ルフトハンザは絶叫する。
当然、我慢など出来るはずも無く、両足をバタバタと動かしている。
 バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!
「許せるものか!!我らの勝利は目前だったのだぞ!!それなのに・・・そなたの失態で逃してしまったのじゃぞ!!」
レティッツイアは怒りを燃え上がらせて、ルフトハンザのお尻を叩く。
 バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!
「も、申し訳ございませんんん!!に、二度と・・このような失態は・・い、いたしません!!きゃああああ!!!痛いっ!痛い痛い痛い~~!!」
激しくお尻を叩かれる苦痛に、ルフトハンザは恥も外聞もなく泣き叫び、許しを乞う。
そんなルフトハンザの姿に、観客席では興奮の声が上がる。
 贖罪の儀。
祝杯の儀と並び、レティッツイア軍の重要な儀式。
失態を犯した部下が、その罪を贖うため、兵士達の前で、姫自身の手によるお尻叩きの罰を受けるというものだ。
 バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!
「ごめんなさいっ!ごめんなさいごめんなさい!レティッツイア様ごめんなさい!!」
皆に見られている羞恥もかなぐり捨て、ルフトハンザは許しを乞う。
既にルフトハンザのお尻は、濃厚なワインレッドに染め上がっている。
 「そう簡単には許さぬぞ!!次は・・炎にて懲らしめてやろう!!」
レティッツイアがそういうと、その手が燃え盛る炎に包まれる。
今度は炎に包まれた手が、ルフトハンザのお尻を責め立てる。
 バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!バシィィィンン!!ビダァァァンンン!!バァァァンンン!!
「痛っ!熱いっ!お、お尻が焼けちゃう!!姫様あああ!!ほ、本当に反省してますからああああ!!!お許し下さいいいいい!!!」
「ならぬ!!この程度で我の・・いや、勝利を逃した将兵らの怒りが収まると思うておるのか!?まだまだ許さぬぞ!!」
「そ・・・そんなあああああ!!!いやああああああ!!!」
絶望の声を上げるルフトハンザに、容赦なく炎をまとった平手打ちの雨が降り注ぐ。
その後、熱狂の渦に包まれる中、ルフトハンザへの地獄のお尻叩きは、長い間続けられた・・。


 数日後の朝・・・・。
 「うう・・・・・・・」
ルフトハンザは涙を堪え、レティッツイアの天幕へと向かってゆく。
数日前に叩かれたお尻は、未だ倍以上に腫れ上がり、ワインレッドを越えた色に染め上がっている。
炎によるお尻叩きも受けた為、火傷まであるから、歩くたびに布がお尻に擦れて痛い。
だが、それでもルフトハンザは女主人の元を目指す。
 「姫様・・!!ルフトハンザ・・・ただいま・・参りました・・!!」
荒い息を吐き、痛みを堪えながら、ルフトハンザは主君に言う。
「感心じゃ。今日も来ておるな。では・・贖罪カードを出すがよい」
「は・・はい・・!!」
ルフトハンザはおずおずと、カードを差し出す。
カードは一か月分の出欠表にようになっており、三日分のスタンプが押してある。
レティッツイアは今日の日付を確認すると、ハンコを押す。
 「では・・今日の贖罪を始めるぞ」
「は・・はい・・!!」
レティッツイアの言葉に、ルフトハンザは自ら服を捲り、お尻を出して、主人の膝の上にうつ伏せになる。
 「ふふ・・・。感心じゃな。さすがルフトハンザじゃ」
「わ、私は・・子供では・・ございません・・!!」
頭を撫でられ、ルフトハンザは羞恥に顔を赤らめる。
 「まぁよい。今日の贖罪を始めるぞ。良いな?」
「は・・はい・・!姫様・・・。どうか・・私の・・・お尻を叩いて・・お仕置きを・・して下さいませ・・・!!」
羞恥に顔を赤らめつつ、ルフトハンザは主君にそう言う。
 贖罪の儀は、一日では終わらない。
最初の一日だけは、公開でのお尻叩きの罰を受ける。
その後は、姫自身より言い渡された日数、姫の元へ通い、お尻叩きの罰を受ける定めとなっていた。
ルフトハンザの場合は一か月の贖罪を言い渡されている。
カードの出欠表が一か月なのは、そのためだった。
 部下の言葉に、レティッツイアは満足げな表情を浮かべる。
その後、お尻を叩く音と、ルフトハンザの『ごめんなさい』が天幕に響きわたっていた・・。


 ―完―

悪魔姫の祝杯



 魔界・・・悪魔や鬼をはじめとする、様々な魔物たちが暮らす世界・・・。
辺境の、とある岩山の中腹にそびえる石造りの館。
その大広間に、この地の支配者たちが集まっていた。
 いずれも屈強な体格をした大男。
ただし、首から上は、虎や狼、熊といった肉食の猛獣。
彼らは猛獣系獣人族の族長たち。
虎の族長を盟主として、この山を含む周辺の山岳地帯を領土として、支配していた。
 彼らは、一様に不機嫌な表情を浮かべている。
その原因は、卓上の地図にあった。
地図は彼ら獣人族の領地のもの。
領内の村が詳細に書かれており、それぞれ、赤もしくは黒のチェスの駒が置いてある。
黒の駒は彼ら族長たちの支配下にあることを、赤い駒は敵の支配下に入ったことを示している。
地図の上では、赤い駒の方が9割を占めている。
 「ったく・・どういうことだ!?」
明らかに敵方に圧倒されている状況に、虎族長は怒りをあらわにする。
「貴様ら!!何をしていた!?何故、こんなにも奴らに攻め取られてるんだ!!」
「す、すまん・・。あっという間に調略の手が伸びておったようでな・・・」
「気づいた時には・・・多くの村が寝返っておったわ・・。敵方にな・・」
仲間の他の族長たちの弁解に、虎族長の苛立ちはさらに募る。
 「馬鹿者があああ!!!それで済むかあああ!!どう見ても囲まれてるだろうがああ!!貴様ら俺を殺す気かああああ!!!!」
怒りのあまり、虎族長は声を荒げ、テーブルに激しく拳を叩きつける。
敵方に入った村は、どれも族長たちの館や砦をしっかりと包囲した状態になっている。
特に、今彼らがいる虎族長の館は、水も漏らさぬ包囲陣が敷かれていた。
もはや逃げることは叶わない。
 「くそ!くそくそくそくそくそ!!どうすりゃあいいんだ!!」
「こうなったら・・・もはや降参し・・・ごぼおっ!!」
隣にいた熊族長の顔面に、虎族長の鉄拳が叩き込まれる。
 「馬鹿野郎!!今さら降参できるか!?」
「し・・しかし・・・」
族長たちがそんな会話を交わしていたときだった。
 突然、広間のドアが乱暴に開かれる。
と同時に、鎧や槍などの武器で武装した悪魔たちが突入してきた。
全員、女である。
「き、貴様ら・・!?」
族長たちは表情をこわばらせる。
この女悪魔たちこそ、今まさに彼らの領土を攻めている敵だったからだ。
 「ふふふ、全員、揃っていますわねぇ。おあつらえ向きですわ」
女達の中から、隊長らしき悪魔が現れる。
眼鏡が似合う、いかにも頭脳派といった感じの、女だった。
「殺してはなりません。生かして捕えるのです!!後のお楽しみがありますからね」
「ふざけるな!!」
隊長の言葉に、族長たちは激高し、剣を抜き放って打ちかかる。
族長たちが悪魔達にあと一歩で切っ先が届きそうな距離まで近づいたそのとき、足元が突然、光り出す。
族長たちはハッとして、足元を見やる。
いつの間にか、足元に魔法陣が発動していたのだ。
族長たちが気づいた時には、魔法陣から現れた太く頑丈な鉄鎖により、全員、拘束されていた。
 「何の策も無く、無謀に踏み込むような愚かな真似はいたしませんわ。あなた達のような脳筋とは違ってね」
隊長の女悪魔は皮肉の籠った笑みを浮かべて、族長たちに言う。
「ふふ・・。では、参りましょう。あなた達には、今夜の宴のゲストを勤めてもらわなくてはね」
ゾッとする笑みを浮かべて、隊長は言う。
その笑みに、拘束された族長たちは、悪い予感しかしなかった。


 その夜・・・・。
悪魔軍の陣地に設置された、仮設の闘技場。
その中に、族長たちの姿があった。
族長たちはそれぞれ、鎧や剣・槍などを身に着けて、武装している。
その前には、一人の女悪魔が立ちはだかっていた。
 女悪魔は、外見的には20代後半くらい。
燃え盛る炎のような見事な赤色の長髪に、見事な褐色の肌に、均整の取れた身体の持ち主。
ビキニ風の黒いブラとハイレグ・Tバック式のきわどいパンツに、黒いロングコートといった格好が、より煽情性を高めていた。
彼女こそ、悪魔軍の総帥にして魔王の娘たる悪魔姫・レティッツイアであった。
 「どうした?わらわがそんなに恐ろしいのか?」
レティッツイアは無防備な体勢で、族長たちに言う。
露骨に嘲弄の籠った声に、族長たちは怒りの声を上げ、一斉に打ちかかる。
レティッツイアは最初に襲ってきた族長の剣をかわすと、相手に接近し、族長の顔に手をかざす。
姫の手が光ったと思うや、光が爆発し、族長の頭はキレイに吹き飛んでいた。
 「さぁ・・・。次は誰から死にたい?」
美しいがゾッとする笑みを浮かべて、レティッツイアは問いかける。
「い、一斉にかかれ!!幾らヤツが強くても、数で押せば!!」
虎の族長の声と共に、残りの族長が、悪魔姫めがけ、一斉に襲いかかる。
 「無駄じゃ。愚か者共めが・・・・」
レティッツイアは嘲弄の笑みを浮かべる。
直後、背中に生えている、六枚の大きな蝙蝠羽が、巨大な鎌に変わる。
同時に、鎌が残りの族長たちに、まるで蛇のように動いて、襲いかかる。
次の瞬間、族長たちは全員、バラバラに切り裂かれ、闘技場の地面を自らの血で、朱に染めていた。
 「皆の者!我らに歯向かった愚か者共は、それにふさわしい末路を遂げたぞ!!」
レティッツイアの言葉に、観客の兵士達から歓声が上がる。
「さて・・・。座興は終わった。いよいよ・・・これより・・勝利の祝杯の儀を執り行う!!今回の儀の参加資格者は・・・・ルフトハンザ将軍じゃ!!」
歓声と共に、族長たちを捕えた、眼鏡の女悪魔が現れる。
 「ルフトハンザよ・・。見事な手柄じゃ。よくぞ・・・あの愚か者共を捕えた。こたびの勝利は・・・そなたの功績ぞ!!」
「姫様・・!!もったいないお言葉にございます・・!!」
レティッツイアの言葉に、ルフトハンザは感激の表情を浮かべる。
 「よって・・・そなたに最高の栄誉を今日、与える。そなたが・・・祝杯の儀を執り行うがよい!!」
「ああ・・・!!私が・・祝杯の儀を!!喜んで!!」


 一時間後・・・・・。
闘技場の中央、全ての観客席からよく見える位置に、豪奢な椅子に座った、ルフトハンザの姿があった。
そして、その前に、正座したレティッツイアの姿があった。
 「さぁ、レティッツイアちゃん、今回はどんな悪いことしたのかしら?皆に、ちゃんと言いなさい」
ルフトハンザは女主人の顎を上げて、尋ねる。
「は・・はい・・。私は・・先日・・朝・・起きなくてはいけない・・時間なのに・・・寝坊・・して・・しまい・・ました・・。しかも・・・起こしに来た・・兵士に・・・八つ当たりをして・・・怒りに任せて・・・乱暴して・・しまいました・・・」
「まぁ・・。そんな悪い子だったのねぇ。だったら・・・悪い子はどうなるか、わかってるわね?」
「は・・はい・・・。わ、私は・・悪い子・・でした・・。ですから・・皆の前で・・・お尻・・ペンペンの・・お仕置きを・・されます・・。ルフトハンザ様・・。お、お仕置きを・・お願い・・いたし・・ます・・」
「なら・・お膝の上にいらっしゃい」
ルフトハンザの言葉に、レティッツイアは羞恥に顔を赤らめる。
だが、それでも抵抗すること無く、素直に部下の膝の上に、うつ伏せになった。
 「ふふ・・・。良い子ね。でも・・・そう簡単には、許してなんかあげないわよ」
ルフトハンザは笑みを浮かべると、Tバック式の下着を履いたままの主人のお尻を撫で回す。
「あん・・!?」
お尻を撫でられ、思わずレティッツイアは身を震わせる。
 「あら?恥ずかしいのかしら?」
「は・・はい・・!恥ずかしい・・です・・!!」
部下の問いに、悪魔姫は羞恥に顔を赤らめて、答える。
「あなたが悪い子だったからでしょう?さぁ・・皆にお仕置きを見てもらって、しっかり反省するのよ」
そういうと、ルフトハンザはゆっくりと手を振り上げた。


 ビッダァアアアアンンン!!!!
「きゃあああああ!!!!」
思いきりお尻を叩かれる音と共に、レティッツイアの悲鳴が上がる。
 バシッ!バァンッ!ビダァンッ!バアンッ!バアシィンッ!
「きゃあっ!いやっ!痛あっ!痛いっ!やあああん!!」
お尻を叩かれるたび、悪魔姫は、小さな子供のように、悲鳴を上げ、両足をバタつかせる。
 バシッ!バァンッ!ビダァンッ!バアンッ!バアシィンッ!バシッ!バァンッ!ビダァンッ!バアンッ!バアシィンッ!バシッ!バァンッ!ビダァンッ!バアンッ!バアシィンッ!バシッ!バァンッ!ビダァンッ!バアンッ!バアシィンッ!
「『痛いっ!』じゃないでしょっ!!暴れるんじゃありません!!」
悲鳴を上げ、手足をバタつかせる主君を叱りながら、ルフトハンザは容赦なく、お尻を叩き続ける。
 「だ、だってえ・・。お尻・・痛い・・・」
バッチィィンンン!!!
「きゃあああ!!!」
レティッツイアが泣き言を言うや、容赦ない平手打ちが、お尻に襲いかかる。
 「痛いのは当たり前です!!あなたが悪い子だったんだから!!そんな悪い子のうちは、許してあげません!!しっかり、反省しなさい!!」
バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!
ルフトハンザは、無慈悲な平手打ちを、雨あられと、姫のお尻に叩きつける。
悪魔姫のお尻は、赤い手形が幾重にも刻みつけられ、だんだんと赤く染め上がってゆく。
 バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!
「きゃああ!!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!!」
お尻を叩かれ、両足を幼児のようにバタつかせながら、レティッツイアは必死に謝る。
バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!
「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!もう、部下に乱暴しませんっ!!寝坊もしませんからっっ!!許してっ!!ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!」
お尻を叩く音が響く中、レティッツイアは必死に許しを乞う。
だが、許されるはずも無く、お尻はどんどん赤く染まっていく。
 「ああ~~~っ!姫様の真っ赤なお尻・・・本当に・・綺麗だわ・・!!」
「あの普段は高慢な姫様が・・子供のようにお仕置きされてるなんて・・・。でも・・可愛いわぁ!!」
「ルフトハンザ様が羨ましい!!私もああして・・姫様をお尻ペンペンしたいわぁ!!」
「それは私よ!!次のいくさでは・・絶対に手柄を立ててやるわ!!」
観客席では、将兵たちのそんな会話が、至るところで繰り広げられている。
 祝杯の儀。
レティッツイア率いる女悪魔軍が、勝利を祝って行う儀式。
その内容は、その日の戦いで、一番の手柄を立てた者から、レティッツイアが公開でお尻叩きのお仕置きをされるというもの。
 普段は高慢なレティッツイアが、小さな子供のように、お尻を叩かれる。
そんな恥ずかしい姿を、自身の将兵たちに見られる。
何とも倒錯的な儀式だが、レティッツイア本人をはじめ、全将兵にとって、戦の後の何よりの楽しみとなっていた。
 バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!バシンッ!!バシンッ!!バチンッ!!ビダンッ!!バアシィンッ!!
「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!もう二度としませんからあああ!!許してっ!!ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!」
お尻を叩く音と共に、レティッツイアの悲鳴と『ごめんなさい』が闘技場に響きわたる。
その姿に、観衆は大きな興奮に包まれていた・・・。


 数時間後・・・・・。
「ああ・・!こんなにも・・赤く・・そして・・熱い・・!!」
鏡に映し出された真っ赤に腫れ上がった自らのお尻と、お尻に感じる熱感に、レティッツイアはうっとりした表情を浮かべる。
 (何と・・素晴らしい赤色・・腫れ具合も・・!!思い出すだけで・・また・・興奮しそうだ・・・)
お尻を叩かれていたときのことを思い返し、レティッツイアは密かに興奮を覚える。
高慢で他人を人とも思わない彼女だが、その一方で、お尻を叩かれてお仕置きされることに悦びと興奮を覚える、被虐的な一面も持っていた。
(次のいくさでは誰が私の尻を叩くことになるのか・・楽しみだ)
鏡に映る自分の真っ赤なお尻を見つめながら、悪魔姫はそんなことを考えていた・・。


 ―完―

少年憲兵4



 「どうしたんだい?キョロキョロしてさ?」
不意にあたりを見回したオオガミに、一緒に歩いていた青年神父が、怪訝な表情を浮かべて尋ねる。
神父は20歳くらい、腰まで届く金髪の持ち主で、明るい感じの整った面立ちをしている。
彼の名はエルヴィン。
オオガミの管轄区域内に教会がある縁で、オオガミと親しい間柄であった。
 「いや・・。気のせいのようです。すみません」
「そ、そう?なら、いいんだけどさ」
「それより、早く教会に戻りましょう。これから、用意もありますでしょう?」
「そ、そうだね!皆も待っているし!!」
エルヴィン神父はハッとした表情を浮かべると、買い物袋を抱えて、急ぎ足になる。
オオガミも、買い物袋を抱え、あとへついていった。
 「いやぁ、いつもすみませんねぇ。色々とお世話になってしまって」
「いいのです。これも憲兵の職務の内ですから。すみません。巡回がありますので、失礼いたします」
オオガミは敬礼をしながら、神父に言う。
そして、その場を去っていった。
 「あれ・・?」
エルヴィンは、何かが落ちていることに気づく。
「これは・・」
拾ったものをエルヴィンはジッと見つめる。
拾ったのは、憲兵隊のマークが入ったボタン。
恐らく、制服から取れてしまったのだろう。
 (届けてあげないと!?まだそんな遠くには行ってないはずだし!!)
神父はそう呟くと、ボタンを持って、道路の方へと出る。
すると、少し距離はあるものの、オオガミの後ろ姿を発見する。
思わず、エルヴィンが声をかけようとしたときだった。
 突然、オオガミ目がけて、車が突っ込むように走って来る。
気付いたオオガミは、脇へ避けようとする。
だが、車はオオガミに対し、さらに勢いを増して迫って来る。
直後、鈍い音と共に、オオガミの小柄な身体が吹っ飛ばされた。
 「!!!???」
目の前で起こった事態に、神父は愕然とする。
思わず声を上げようとするが、あまりの驚きに声が出ない。
その間に、車から目出し帽をかぶった男が降りたかと思うと、呻いているオオガミの頭を、砂を詰めた革製の棍棒で殴りつける。
オオガミが完全に気を失うと、放り込むように、後部座席へと乗せる。
そして、そのまま猛スピードで走り去った。
ようやく神父が我に返ったときには、車は完全に姿を消してしまっていた。


 「ぅう・・・・」
オオガミは目を覚ますと、ガンガンと頭が割れるような感覚を覚える。
(この痛みは・・?そうだ!?確か・・・)
オオガミは車にはねられた上、降りて来た男に、棍棒で殴りつけられたことを思い出す。
(つまり・・・私はさらわれた・・誰に・・?何の為に?)
そのことを考えていた、まさにそのときだった。
 不意に、扉が開く音が聞こえてきた。
思わずオオガミは顔を上げる。
なお、オオガミはうつ伏せの状態で、台に拘束されている。
 「お前は・・・!?」
現れた男の顔を見るなり、思わずオオガミは声を上げる。
「フフ・・覚えていてくれましたか?オオガミ分隊長殿?」
「忘れるものか・・!?そうか・・お前だったか!?ヤッツイオ!?」
オオガミは不快感を込めて、ヤッツイオを見つめる。
ヤッツイオはオオガミの部下の一人だった。
だが、犯罪組織に、金銭と引き換えに、捜査情報を流していた。
その不正がバレ、当然のことながら、懲戒免職となった。
 「その台詞・・そっくりお返ししましょう・・・」
ヤッツイオは鞭を舌なめずりしながら、言う。
その目には、憎しみの炎が宿り、キャンプファイヤーのように燃え上がっていた。
 「そうか・・・。私への・・復讐か・・!?」
「そうです・・!!ふふふ・・。今から・・あなたに・・この上もなく・・恥ずかしくて、惨めな思いをさせてあげましょう!!」
ヤッツイオはオオガミの背後に回る。
そして、オオガミのズボンに手をかけると、おもむろに引き下ろす。
おかげで、オオガミの小ぶりなお尻があらわになってしまった。
 「ふふ・・!!無様ですなぁ。己がクビにした男の前で、こんな恥ずかしい格好とはねぇ」
元部下の嘲笑に、オオガミは顔を赤らめる。
だが、言い返したりはしない。
ヤッツイオを喜ばせるような真似はしない。
そう考えているからだ。
 「さてと・・。では・・ショータイムと行きましょう!!」
ヤッツイオはそう言うと、鞭を振り上げる。
そして、オオガミのお尻目がけ、振り下ろした。


 バッシィーンッッ!!
「・・・!!」
鞭の強烈な打撃が、オオガミのお尻に叩きつけられる。
思わずオオガミは、苦痛に顔を歪める。
同時に、声を押し殺す。
ヤッツイオなどに、屈服しない。
そう決意しているからだ。
ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!
「クク・・!フフ・・!ヌフフ・・!!」
ヤッツイオは、オオガミの小さなお尻に、容赦なく鞭を叩きつける。
 ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!
「どうだ・・!どうだ・・!どうだ・・!小僧・・!!」
怒りと憎しみを込めて、ヤッツイオは、鞭を振るい続ける。
鞭はオオガミの小さなお尻に、容赦なく蚯蚓腫れを刻みつけてゆく。
やがて、蚯蚓腫れは幾重にも重なり、オオガミのお尻を赤く染めはじめる。
 ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!
「・・ぅ・・・ぁ・・・っ・・・か・・・ぁ・・っく・・あ・・っ・・う・・!?」
さすがに、耐えきれなくなり、オオガミの口から、苦痛の声が漏れ始める。
だが、声を漏らしてしまいながらも、オオガミは耐えようとする。
 ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!
「苦しいか!?痛いか!?ならば・・無様に泣き叫んで、許しを乞うてみるがいい!!」
ヤッツイオは憎悪に満ちた声で、鞭を叩きつけるように振るう。
 ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!
「くっ!あっ!くぅああ!だ、誰が・・お・・お前などに・・!?くっ!あくっ!ううくぅ!?」
狂ったように叩きつけられる鞭の嵐に、オオガミは苦悶の声を上げ続ける。
だが、それでも、必死に耐える。
憲兵としての誇りが、オオガミを支えていた。
ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!
「くそっ!くそくそくそっ!くそくそくそっ!!」
怒りに任せ、ヤッツイオは鞭を振るい続ける。
鞭の音と、オオガミの苦悶の声が、部屋に響き続けた・・・。


 「くっ!強情なガキめが!!」
ヤッツイオは怒りに任せ、床に鞭を叩きつけるように投げ捨てる。
オオガミのお尻は皮膚が破れて血が滲み、惨憺たる有様になっている。
捨てられた鞭も、血で赤く染まっていた。
オオガミは目尻に涙を浮かべ、荒い息を吐いている。
だが、それでも、ヤッツイオに、許しを乞うことはしていない。
 「クソ!クソッ!?イチイチ癇に障るガキだぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!」
ヤッツイオは完全にキレてしまい、口調も変わる。
「泣きもしねぇ!許しも乞わねえ!!ムカつく!ムカッツク!イケすかねええええ!!!!!!!!!!!」
ヤッツイオは床を何度も何度も踏みつけ、叫ぶ。
「こうなったら・・・!!」
ヤッツイオは狂気に駆られた表情で、拳銃を取り出す。
拘束されたオオガミに狙いを定め、引き金を引こうとする。
 ドンッッ!!
突然、ドアが開く音が聞こえてきた。
ハッとして、ヤッツイオはドアの方を振り向く。
同時に、乾いた音が部屋に響く。
 「ぐ・・・!?」
右腕を撃ち抜かれ、ヤッツイオは銃を取り落し、膝をついて、床に座り込む。
直後、拳銃を構えたロッテンマイヤーが、武装した憲兵達を引き連れ、突入してきた。
 「ほ・・本部・・長・・」
「よかった・・。生きていたか・・・」
ロッテンマイヤーはオオガミの方を見て、安堵の表情を浮かべる。
直後、ヤッツイオの方を振り向くが、そこには鬼気迫るロッテンマイヤーの姿があった。
 「貴様・・!逆恨みの挙句に・・このような所業・・・。ただで・・済むと思うなよ」
その表情と声に、ヤッツイオは恐怖を覚える。
咄嗟に、腕の苦痛も忘れ、逃げ出そうとする。
だが、ロッテンマイヤーの出した足に引っかかり、転んでしまう。
 「どこへ行く?そうだ。お前が牢に行く前に・・・・はなむけだ!!」
ロッテンマイヤーはヤッツイオを立たせた直後、ボクシングの構えを取る。
「ドラララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ!!!!!!!!!!」
どこぞの少年漫画のような、裂帛の、長い掛け声と共に、ロッテンマイヤーの両拳が、嵐となって、ヤッツイオに襲いかかる。
「や・・ヤッダバア――――――ッッッッッッ!!!!!!!!!!」
漫画チックな断末魔と共に、ヤッツイオは壁に叩きつけられ、気絶する。
ヤッツイオの顔面は、拳の嵐で滅茶苦茶に腫れ上がっており、実の親が見ても、判別不可能かと思うほど、変わり果てていた。
「ふん・・!下種め!!」
ボコボコにされたヤッツイオに怒りと侮蔑の目を一瞬くれると、ロッテンマイヤーはオオガミの元へと向かう。
 「分隊長・・・大丈夫か?」
「ほ、本部長・・申し訳・・ぐ・・!?」
「無理をするな。それにしても・・ひどい目に・・」
拘束を外しながら、ロッテンマイヤーは、オオガミが力尽きて、気を失ったことに気づく。
ロッテンマイヤーはブランケットでオオガミを包み込み、安堵の息を吐きながら、抱きかかえて、その場を後にした。


 ―完―

後輩社員の躾け方(M/M)



 「ハァ~~ッ、疲れたぁぁ・・・・」
そんなボヤキを呟きながら、貴広(たかひろ)は店のテーブルに突っ伏す。
「お疲れ様、面倒な客で大変だったよな」
疲れ果てた様子の貴広に、匠(たくみ)は頭を撫でながら、労いの声をかける。
 「うー!子供扱いしないで下さいよ、匠先輩―!!」
先輩である匠の振る舞いに、思わず貴広は口をとがらせて不満の声を上げる。
160センチ程度という、成人男性としては小柄な体格、童顔っぽい顔立ちが災いして、子供のように見えてしまっていた。
 「悪かった悪かった、ついつい見た目が子供っぽいっていうか、小動物っぽいからさ」
「うう~~っ!?悪かったですねー!!匠先輩とはどうせ違いますよー!!」
貴広は匠を恨めし気な目で見つめながらぼやく。
学生時代、剣道部のエースとして鳴らしただけあり、180センチもの長身に無駄なく引き締まった身体、男らしさを感じさせる顔つき、どれも貴広とは対照的だ。
ついつい、コンプレックスを刺激させてしまいそうになる。
 「それは悪かった。俺が謝る。この通り」
「まぁ・・匠先輩がそう言うなら、許してあげますよ」
手を合わせて謝る匠に、ようやく貴広は機嫌を直す。
 「まぁともかく、今日はお疲れ様。無事終了を祝って、一杯といくか」
「さんせーい!!」
そんなやり取りを交わしながら、二人は飲み始めた。
 数時間後・・・・。
「匠先輩、お疲れ様でした~」
タクシーを降りて、手を振りながら、貴広は匠に挨拶する。
「お疲れ様、遅くなって悪かったな」
「イイんですよ~。匠先輩と飲むの好きですし~」
「それより・・明日は大事な取引があるのは忘れてないよな?」
「わかってますよ~。匠先輩、心配性なんだから~」
「それならいいんだけどな。遅刻するんじゃないぞ」
「だーいじょーぶですって。じゃあ、失礼します~」
まだ、酒が残っている声や表情で返しながら、貴広はアパートへと向かっていった。


 翌日・・・・。
「くぅぅぅ・・・すーぴぃぃぃ・・・・」
貴広は寝息を立てて、すっかり寝入っていた。
布団は横へ吹っ飛んでおり、手足をだらんと伸ばしている。
「んん・・匠せんぱぁい・・。もう・・飲めない・・ですぅぅ・・・」
横へ転がりながら、匠と飲んでいる夢でも見ているのか、そんな寝言を言う。
そんなところへ、傍に置いているスマホから、着信メロディが鳴り出した。
 「あ~、匠先輩からだー!?」
メロディから着信の相手を察するなり、すぐに出る。
「はい、もしもし、貴広です~。どうしたんですか?匠先輩?」
『どうしたんですか、じゃないだろう?今、何時だと思ってるんだ?』
スマホの向こうの匠の声に、最初は笑顔で出た貴広だったが、すぐ表情が変わる。
思わず目覚まし時計を見てみると、遅刻確定の時刻になっていた。
 「ど、どどどどどうしよ!?す、すすすみません!!今から行きます!!」
『何を言ってる!!今から出てきても間に合わないだろ!事故でも起こされたらそれこそ一大事だ!!取りあえず・・○○時にいつもの喫茶店に来い!!』
「わ、わかりました!!」


 その日の夕方・・・・。
貴広は匠のマンションにいた。
あの後、言われた時刻に、外回りで休憩に使う喫茶店で、匠と合流した。
幸い、匠のおかげで取引は無事に済み、会社の方にも、貴広の失態がバレずに済んだ。
だが、仕事が終わって退社した後、話があると、匠のマンションへ連れて行かれたのだ。
怒られるのは間違いない。
そう思い、貴広は戦々恐々としていた。
 「貴広・・」
「は・・はいっ!?何です!?匠先輩!?」
思わずビクッと飛び上がりそうになりながら、貴広は返事をする。
 「自分のしたことが・・・わかってるか?」
「す・・すみません!?寝坊して・・・匠先輩に・・迷惑・・かけました・・!?」
「俺だけじゃないだろ?会社にも大きな損害を与えるところだったんだ。下手すれば責任問題になるところだったんだぞ?」
「う・・ごめんなさい・・・」
貴広はシュンとなりつつ、謝る。
 「謝ればいい、ってもんじゃない。それなりの罰は受けてもらうからな」
「ば、罰?な・・何ですか?」
貴広は恐る恐る尋ねる。
非常に嫌な予感がしたからだ。
 「そうだなぁ・・・。お尻ペンペンって、どうだ?」
「え?じょ、冗談ですよね?」
思わず表情が強ばりながら、貴広は尋ねる。
「冗談だと思うか?」
匠は真剣そのものの表情で尋ねる。
その表情に、貴広は本気だと悟る。
 「ま、待ってくださいよ!?た、確かに俺が悪かったですけど・・。でも・・そんな・・子供じゃあるまいし・・!?」
「貴広・・。さすがに俺も怒ってるんだぞ?素直に来ないと・・かなりヒドイ目に遭うぞ?」
「ひ・・!?」
匠の雰囲気に、貴広は恐怖で飛び上がりそうになる。
同時に、冗談では無く、本気だとも悟る。
 「さてと・・。貴広・・俺の膝に来い」
「そ・・そんな!?む、無理です!?」
「やれやれ・・。仕方ないな・・」
ため息をつきながら、匠は貴広ににじり寄る。
貴広は逃げようとするが、匠は先手を打って、貴広を取り押さえてしまう。
 「うわあっ!?匠先輩っ!?は、離して下さいっっ!!」
「馬鹿を言うな。お仕置きだって言っただろう?しっかり、反省しろよ」
貴広を押さえて膝の上に乗せながら、匠はそう宣告する。
そして、貴広のお尻目がけ、手を振り下ろした。


 バッシィィィーーーンンンンッッッ!!!
「うわああっっっ!!!!」
ズボンの上からでも強烈な衝撃に、思わず貴広は悲鳴を上げる。
 パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!
「わあっ!?匠先輩っ!?痛っ!?痛いですってばー!!」
お尻を襲う痛みに、思わず貴広は悲鳴を上げる。
 「おぃおぃ、言ったはずだぞ。お仕置きだって」
パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!
そう言いながら、匠は後輩のお尻に手を振り下ろし続ける。
「そ、そんなこと言ったってっ!?ひいっ!ひゃあっ!痛ああっ!ひゃああっっ!!」
貴広は悲鳴を上げながら、両足をバタつかせる。
 パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!
「全く・・。貴広・・昨日、ちゃんと言ったはずだぞ?今日は大事な取引だから、遅刻するなって」
貴広のお尻を叩きながら、匠はお説教を始める。
パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!パアンッ!
「ひぃん・・!ごめんなさい・・!忘れてた・・わけじゃ・・ないんで・・・すぅぅ!!」
「なら、余計悪いだろう!!そんな悪い子は、こうだ!!」
匠はそう言うと、貴広のズボンを降ろしてしまう。
おかげで、貴広のお尻はボクサーパンツ一丁になってしまう。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「うわっ!?ひっ!?匠せんぱぁいっ!?さっきより痛いんですけど~~!!??」
「お仕置きなんだから、痛いのは当たり前だろ?さっきまでのは序の口だ。これからドンドン行くからな!」
「そ・・そんな~~っっ!!ひっ!痛っ!?痛ああっ!!」
パンツの上からのさらに強烈な平手打ちに、貴広は背をのけ反らせる。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「俺が何とか取り繕ったから、何とかなったけどな、下手したら退職モノかもしれなかったんだぞ!?全く・・!!」
「ひぃん・・!ごめんなさぁい!?も・・もう・・しません・・からぁぁ!!」
「『もうしない』のは当然だろう。こういうのは最初が肝心だからな。仕上げと・・行こうか」
そういうと、匠はパンツに手をかける。
 「せ、先輩っ!?そ、それだけはっ!?は、恥ずかしいですぅぅぅ!!」
「恥ずかしいのもお仕置きのうちだ。身に沁みて、反省しろよ」
匠は非情にもそう宣告すると、パンツを降ろしてしまう。
おかげで、赤く染まった、貴広の裸のお尻がむき出しにされる。
 「いやぁぁぁ!?」
貴広は悲鳴と共に、両手で顔を覆う。
ちょっとかわいそうにも思ったが、ここで手を抜けば却ってよくない。
同じ過ちをしないように、しっかりと躾けなければいけない。
その考えと共に、匠は手を振り下ろす。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「ひいいっ!?ごめんなさいっ!ひいいーっ!ごめんなさいっ!?匠先輩っ!?やめてぇぇーーっ!!ひぃぃーーっっ!!ごめんなさーいっっ!!」
裸のお尻に容赦ない平手打ちが振り下ろされる中、必死に貴広は謝り続ける。
その後、長い間、貴広の悲鳴とお尻を叩く音が、部屋に響いていた・・・。


 「うぅぅう・・痛ぃぃ・・・・」
ソファの上でうつ伏せになった姿で、貴広は呟く。
真っ赤に腫れ上がったお尻は、冷たいタオルで冷やされている。
 「痛いよな?この痛み・・忘れるなよ?」
「忘れようったって、忘れられませんってばー!!」
「それでいいんだ。もう・・二度とやるなよ?さすがに俺だって、二度目はかばえないからな」
「うう・・。すみません・・。匠先輩に迷惑・・かけました・・・」
「わかってくれればいいんだ。尻の痛みが少し落ち着いたら、何か食いに行くか?」
「やったぁ!さすが匠先輩―!大好きです~~!!」
お尻の痛みも吹っ飛んだような笑顔の貴広に、匠は安堵の表情を浮かべていた。


 ―完―

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