嘘の代償6(封神より:楊/玉、神父兄弟パロ)
(封神を題材にした二次創作で、神父兄弟パロです。許容出来る方のみご覧下さい)
(暇だなぁ・・・・)
玉鼎はベッドの上でボーッとしていた。
楊ゼンは用があって出かけているので、玉鼎が留守番をしているのである。
参拝者もいないし、ミサやその他の儀式もないので、暇を持て余していた。
楊ゼンがいれば何かしらやるべきことを見つけるので、何か仕事をしている状況になるのだが、あいにく今は玉鼎一人。
うるさい楊ゼンがいないということで、最初は嬉しそうだったが、こうも何もすることがないのも困ったものである。
(何か・・・ないものか・・・)
暇をつぶせるものがないものかと考えているうちに、ふと玉鼎はあることを思い出す。
すぐにも飛び上がって地下へゆくと、やがてある部屋の前にたどり着いた。
中へ入って見回すと、酒瓶を置いた棚が並んでいる。
ミサ用のワインや来客用の酒類などを保管するための地下室だ。
その中で玉鼎はある棚に近づくと、おもむろに一本取り出した。
(これだこれ・・・・)
瓶を取り出すと、玉鼎は友人の太公望の顔を思い浮かべる。
この酒は太公望からのもらいもの。
太公望が酒好きなためか、よく贈り物として色々な酒をもらっていた。
(太公望の事だから・・・きっと・・・)
玉鼎は想像するだけで、思わず喉を鳴らしそうになる。
酒好きなだけあって、太公望の舌はかなり肥えている。
友人へのお裾わけや贈り物でも、かなり上質な物をくれることが多かった。
もっとも、付き合わされて結構飲まされたりすることもあるが。
(楊ゼンもいないし・・・ちょっとくらいなら・・・)
玉鼎はそう考えると、栓を抜きにかかる。
昼間から酒を飲むなどという行為は、楊ゼンが許すわけも無い。
いつもだったら、間違いなく怒られる。
しかし、楊ゼンは出かけている。
少しくらいなら、うまく誤魔化せるだろう。
そう判断したのだ。
栓が抜かれると同時に、香りが鼻を突く。
その香りに思わず玉鼎はそのままゴクゴクと飲みだしていた。
「ふわあ~~っ。気持ちいい~~~っっっ」
喉越しや味の良さに、玉鼎はあっという間に飲み干してしまう。
すっかり酒に飲まれてしまった玉鼎は、いい気分になって空瓶を放り出し、さらに栓を抜いて飲みだしたり、或いは手当たり次第に、近くにあるものを取っては投げたり振り回したりしていた。
おかげで酒瓶やら何やらがどんどん散乱する。
「そうだ~。こうしてやれ~~~」
不意に玉鼎はそんなことを言ったかと思うと、今度は礼拝堂の床掃除に使うモップを持ってきた。
そして、それを手にしたかと思うと、地下室内で振り回し始めた。
「それそれ~~。どうだどうだどうだ~~~~~っっっ」
酔っぱらった勢いで、玉鼎はぶんぶんモップを振り回す。
当然、モップはあちらこちらで棚や瓶に命中し、その勢いで酒瓶が床へ落下する。
無論、落下した瓶は床にたたきつけられた衝撃で割れ、破片や中身が飛び散って、さらにひどい様相を呈していた。
しかし、それでも玉鼎のご乱行は留まらず、汗だくになって疲れ果てるまでの間、酒瓶が割られ続けた。
「し・・・・しまった・・・・」
汗だくになった姿で、玉鼎は茫然としていた。
今やすっかり酔いは醒め、その表情は恐怖に歪んでいる。
(まずい!まずいまずいまずいまずいまずいまずいぞ!何とかしないと!!)
玉鼎は必死になって考える。
このままではまた絶対にお尻を叩かれる。
それだけは嫌だった。
(どうすれば・・どうすればいい!!)
玉鼎は必死に誤魔化す手段を考える。
(そうだ・・!!)
ようやく玉鼎は何かを思いつくと、急いで地下室を飛び出した。
向かった先は玄関。
靴箱から適当な靴を取り出して履き替えると、玉鼎はまず靴底にたっぷりと泥をつける。
泥をつけてから玉鼎はまず、教会の裏口に向かうと、そこからワザとベタベタと泥の足跡を残しながら、勝手口から中へ入ってゆく。
そして地下室まで行き、また裏口まで戻っていった。
(よし・・これで・・・)
足跡をつけ終わると、ようやく玉鼎はホッとする。
(これで泥棒の仕業に見えるな・・・)
偽装工作を終え、玉鼎がホッとしたときだった。
「ただいま帰りましたよー、兄さーんっ」
不意に楊ゼンの声が聞こえてきた。
慌てて玉鼎は弟のもとへ駆けつける。
「た、たた大変だっ!楊ゼンッ!」
「どうしたんですか?」
兄のただならぬ様子に楊ゼンは怪訝な表情を浮かべる。
「泥棒だっ!泥棒に入られたんだっ!!」
「ええ!本当ですか!?」
「とにかく見てくれッ!!」
玉鼎は楊ゼンを引っ張るように地下へと連れてゆく。
「これは・・・・」
地下室の凄まじい有様に、楊ゼンは思わず言葉が途切れる。
「ちょっと買い物をしに出た隙に・・・入られたみたいなんだが・・・」
「それは災難でしたね。とにかく警察に・・・」
そこまで言ったところで、ふと楊ゼンはあることに気づく。
「どうしたんだ、楊ゼン?」
「兄さん・・どうしたんですか?靴が何だか汚れてらっしゃいますけど?」
「え?」
弟の言葉に思わず玉鼎は靴を見やる。
すると、偽装工作用の靴を履きっ放しだったことに気がついた。
(し・・しまった!?)
玉鼎は後悔するが、後の祭り。
動揺が如実に顔に出てしまい、楊ゼンははっきりと疑念を抱く。
「兄さん・・・何か隠してませんか?」
「ち・・違うっ!何も隠してない!!」
必死になって否定するが、それが逆に隠していることを明らかにする。
「兄さん・・・正直に言って下さい」
「何も隠してなんかないっ!」
「では、ちょっと足跡を合わせてみてくれます?」
楊ゼンの言葉に玉鼎は言葉に詰まる。
そんなことをすれば、バレるのは間違いなかった。
「どうしたんです?さぁ、早くして下さい」
「だ・・だって・・・・」
「さぁ・・・早くして下さい。何も隠してることがないなら出来るでしょう?」
容赦なくそう言いやる楊ゼンに、玉鼎は踵を返すと、逃げ出そうとする。
「どこへ行くんですか!」
だが、それを予期していた楊ゼンは後ろから首根っこを掴む。
「離してくれ!!」
必死に叫ぶ玉鼎だが、楊ゼンが離すわけもなく、そのまま部屋の方へと連行されていってしまった。
「なるほど・・・・そういうことでしたか・・・」
玉鼎から本当の事を聞き出すと、椅子に腰かけたまま、楊ゼンはハァ~ッとため息をつく。
「よ・・楊ゼン・・。ちゃ、ちゃんと・・話したんだから・・・お・・お仕置きは・・」
必死になって許しを乞う玉鼎だったが、楊ゼンは厳しい目を向ける。
「何を言ってるんですか。真昼間からお酒なんて、いけないことなのはわかってるはずでしょう?」
「ちょ・・・ちょっとだけ!ちょっとだけのつもりだったんだ!だ・・だから・・!!」
「ダメです。しかも酔っぱらってあんなに物を壊したり、しかも嘘までついて誤魔化そうなんてして。許しませんからね」
弟の宣告に、玉鼎は一目散に逃げ出そうとする。
だが、逃げるいとまもなく捕まえられ、そのまま左側から倒れ込むように膝に載せられてしまった。
兄を膝に載せると、楊ゼンは慣れた手つきで、神父服の裾を捲り上げ、ズボンを降ろしてお尻をあらわにする。
「ヤダ・・・。楊ゼンっ・・・やだぁ・・・」
「ダメです。きちんと反省して下さい」
楊ゼンは玉鼎にそう言うと、右手で背中を押さえ、左手にしっかりと息を吐きかける。
「さぁ、行きますよ。覚悟はいいですか?」
「いいわけないじゃないかっ!やめてくれっ!」
この期に及んでもまだそんなことを言う玉鼎だったが、楊ゼンが聞き入れるわけもない。
そのまま楊ゼンは左手を振り上げると、兄のお尻めがけて振り下ろした。
パアッシィィ~~ンッッッ!!
「う・・・・!!」
弾けるような音と共にお尻に痛みが走る。
玉鼎は思わず息がつまったような声を漏らした。
ピシャ~ンッ!パア~ンッ!パチィンッ!ピッシャ~ンッ!
「うぁ・・あっ・・あぅ・・・あっ・・・」
平手が叩きつけられ、赤い手形が玉鼎のお尻に浮かび上がる。
肌を打つ音と共に、玉鼎の口から呻き声が漏れた。
パアチィンッ!パアンッ!パンッ!ピシャアンッ!パアチィンッ!パアンッ!
「ちょ・・よ、楊ゼンっ!やめ・・痛っ!痛ぁっ!やめ・・やめっ!」
玉鼎はお尻を叩かれる痛みに声を上げながら、弟に呼びかける。
だが、楊ゼンはそれを無視して平手を振り下ろし続ける。
パアンッ!パンッ!パチィンッ!ピシャアンッ!パアアンッ!パシィンッ!
「痛っ!よ、楊ゼンっ!やめてくれ!聞こえてないのか!?」
思わずカッとなりながら玉鼎は振り返って抗議する。
「聞こえてますよ」
楊ゼンはお尻を叩きながら、淡々とした口調で言う。
「だ・・だったら・・何で・・・」
不平そうに問う玉鼎に、楊ゼンは言い聞かせるように言う。
「兄さん・・・僕はお仕置きだと言ったはずですよね?」
「そ・・それが・・どうしたんだ・・・」
「兄さん・・・どうしてお仕置きされてるんですか?兄さんが悪い子だったからでしょう?」
「う・・・だ・・・だって・・・」
「だってじゃありません。悪いことをしたらお仕置きなのは兄さんだってわかるでしょう?」
「でも・・痛いんだぞ・・・」
「痛くて辛くなければお仕置きにならないでしょう?まったく・・・」
呆れながら、楊ゼンはお仕置きを再開する。
パアンッ!パンッ!パシィンッ!ピシャアンッ!パアアンッ!パンッ!
「うっ・・うく・・あっ・・あぅ・・ああっ・・・」
甲高い音と共に赤い手形が重なり合い、玉鼎のお尻を少しずつ赤く染めてゆく。
「全く・・・昼間からお酒なんか飲んで・・・」
パアンッ!パシィンッ!ピシャアンッ!パアアンッ!パチィンッ!ピシャンッ!
お尻を叩きながら、楊ゼンはお説教を始める。
「ひっ・・!あっ・・!ひぐっ!あっ・・!ああっ!」
玉鼎は両脚をバタつかせ、両腕も揺らすかと思えば、手を握り締めたりする。
お尻の赤みが増してゆくと共に、顔も上気して赤くなり、目尻に涙を浮かべる。
「ひ・・!ひぃんっ!痛っ!痛ぁぁ・・痛ぁぁいっっ!!」
ピシャアンッ!パアアンッ!パアチィンッ!パンッ!パアンッ!パシッ!パアンッ!
乾いた音が響き、玉鼎のお尻に容赦ない苦痛を与え続ける中、玉鼎は苦痛に声を漏らし、涙を流し続ける。
「しかも・・酔った挙句に・・あんなに滅茶苦茶にして・・・」
今回のことはかなり怒っているのか、お仕置きとお説教をしながら、だんだん表情が険しいものへと変わってゆく。
「しかも・・・あんな偽装工作までして・・・それが神父のやることですかっ!!」
パアンッ!パンッ!パシィンッ!ピシャアンッ!パアアンッ!
「ひっ・・!あぐっ!あっ!ひぐっ!ひぃぃんっ!!」
今までよりずっと強烈な平手打ちを叩きつけられ、玉鼎は身体を強張らせ、反射的に足を上げ、片手を握りしめた。
「何するんだっ!!痛いじゃないかっ!!」
玉鼎は振り返って抗議する。
「兄さん・・・さっきも言ったはずですよ?お仕置きだって?」
「うるさいっ!何だってお仕置きなんかされなきゃいけないんだっ!!」
玉鼎は不満極まりないといった様子で叫ぶ。
「兄さん・・・まさか本気でそんなこと言ってるんですか?」
「だったら何だって言うんだ!ちょっと酒飲んだぐらいでそんなに言わなくていいだろう!そもそもお前がいつもうるさいからじゃないか!それに・・・お前がお尻なんか叩かなければそんなことしなかったんだ!それなのに・・・何でこんなことされなきゃいけないんだ!離してくれッ!!」
「いい加減にしなさいっ!!」
ビッダァァ~~~~ンッッッッ!!!
「ひぎぃぃぃぃ!!!!」
さらに激しい平手打ちを叩きつけられ、玉鼎は背をのけ反らせて悲鳴を上げる。
「自分が悪いのに・・・全然反省していないどころか・・・逆ギレ・・・。本当に・・悪い子ですね・・・」
「よ・・楊ゼン・・?」
「そんな・・・悪い子は・・絶対に・・許しません!!」
そうつぶやくや、楊ゼンは思い切り手を振り上げた。
ビッダァァァ~~~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~ッッッッ!!!!
「ひぃぃーーっ!!ぎひっ!ひっ!ひっひっ!うわあぁぁーーっっ!!!」
豪雨のような平手の嵐に、玉鼎は幾度も背をエビのようにのけ反らせ、バタ足の練習かと思うほどに両脚をバタつかせながら悲鳴を上げる。
「ひいいっ!痛っ!痛いぃぃ!!楊ゼンっ!やめっ!やめてくれっ!!」
必死に頼む玉鼎だったが、完全に怒っている楊ゼンは容赦ない。
「何を言ってるんですか。自分が悪いのに、勝手なことばかり言って。そんな兄さんはこの程度じゃ許しませんからね」
「そ・・そんな~~~っっっ!!!!」
絶望の声を上げる玉鼎だが、お仕置きは容赦なく続く。
その後、長い間激しい平手打ちの音と玉鼎の悲鳴が室内に響きわたった。
「ひぃん・・ひっぐ・・うぇ・・・あぐぅぅ・・・」
力尽きたと言わんばかりにぐったりした様子で、玉鼎は苦しげな声を上げる。
お尻は今や濃厚なワインレッドに染め上がり、ちょっと触っただけで、火傷しそうに思えるぐらい熱くなっていた。
「ひぃん・・もう・・やめ・・やめて・・くれ・・・。わた・・私が・・悪かった・・・からぁぁ・・・・」
「反省しました?」
楊ゼンは一旦お尻を叩く手を止めて尋ねる。
「した・・・してる・・・だから・・・・」
「だったら、何が悪かったか言えますか?」
「ひぃん・・。か・・勝手に・・酒・・・飲んだ・・・」
「そうです。それから?」
「酔っぱらって・・・もの・・壊した・・・」
「後は?」
「ひぃん・・お仕置き・・嫌で・・誤魔化そうと・・したぁ・・・」
「そうです。でも・・・もうひとつ、ありますよ」
「え・・?ええと・・?」
玉鼎は必死に考える。
だが、幾ら考えても思い浮かばない。
「わからないですか?」
楊ゼンの問いかけに玉鼎はギクリとして、思わず叫ぶ。
「ひぃぃぃ!!た、頼むっ!ちゃんと反省してるからっ!だからもう叩かないでくれっ!!」
(怖がらせちゃいましたね・・・)
玉鼎の取りみだした態度に楊ゼンは反省すると、兄を抱き起こす。
「兄さん・・・・。地下室の様子からすると・・・一気飲みしたり、ガラスが散乱してる中を走り回ったりしたでしょう?」
「あ・・あぁ・・」
「そんなことしたら、危ないのはわかりますよね?」
「あぁ・・・」
「幸い、怪我も何も無かったようですが・・・下手したら怪我したり、急性アルコール中毒でしたよ。わかりますか?」
「心配・・して・・くれたのか・・・?」
「当たり前じゃないですか。兄弟なんですから」
「す・・すまない・・・」
「いいんですよ。わかって下されば」
そういうと、ようやく楊ゼンはホッとした表情を浮かべた。
「ちょ・・太乙っ!もっと優しく・・・」
「はいはい。こうかい?」
太乙はもう少し力を抜いて薬を塗る。
「それにしてもまた思い切りやられたもんだねぇ・・・・」
ワインレッドに染め上がったお尻に、太乙は感心するように言う。
「そうだろう!相変わらずひどいんだ!お尻はヤダって言ってるのに!!」
「それは君が悪いんだろう・・」
「太乙までそんなこと言うのか!バカッ!」
「兄さん・・そんなこと言うものじゃないですよ」
太乙にまでそう言う玉鼎に、思わず楊ゼンはたしなめる。
「すみません、ワガママな兄さんで」
「別にいいさ。そんなのはわかってるからね。相変わらず君も大変みたいだねぇ」
「ええ、そうですねぇ」
楊ゼンは苦笑しながら返事をする。
「まぁでも大事な兄さんですから」
苦笑しつつも、楊ゼンは愛情の籠った目を玉鼎に向ける。
そんな楊ゼンに気づかず、玉鼎は相変わらずむくれた表情を浮かべていた。
―完―
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