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海賊とバレー少年2(Jスターズより:エース/日向)



(Jスターズビクトリーバーサスを題材にした二次創作です。BLありです。許容できる方のみご覧ください)


 「バレーやんの!?そのシューズ、バレーの!?」
相手チームのサポートメンバー・黒子テツヤの姿に、思わず日向翔陽は叫ぶ。
「僕はバスケをやってます。そもそもこれはバスケのシューズです」
日向の言葉に、黒子は困った表情で答える。
 「俺、モンキー・D・ルフィ、海賊王になる男だ!」
「白ひげ海賊団二番隊隊長、火拳のエースだ」
日向の仲間のルフィ・エースがそれぞれ名乗りを上げれば
「死神代行、黒崎一護だ」
「今からすんのは王の処刑だ!行くぜ、ベル坊っ!」
「おあだっ!!」
黒子側でも、一護・男鹿&ベル坊が名乗り返す。
やがて、それぞれのチームが入り乱れて、戦い始めた。


 それからしばらく経ったある日・・・・。
「おぃ、どこ行くんだ?」
出かけようとする日向に、エースは声をかける。
「あっ、すみません。トレーニングに行ってきます」
「一人か?」
「いえ、黒子とです」
「黒子?またか?」
エースはそういう。
先日、戦ったことがきっかけで、日向と黒子は仲良くなっていた。
そのため、チーム同士でアドレス交換などもしている。
「はい。あっ、すいません!黒子からメールが!すぐに行きますっ!」
エースにそう断ると、日向はあわただしく出ていく。
「おーいっ!トレーニングはいいけどなー、遅くなるんじゃねえぞ!変質者とかいるからなー!って聞いてんのかー?」
慌ただしく待ち合わせ場所へ向かう日向に、エースは大きな声でそう呼びかけた。
 「ん、エース、日向の奴どうしたんだ?」
そこへルフィが現れて尋ねる。
「やっと起きたのか?日向ならトレーニングに行ったぜ、黒子テツヤとな」
「黒子?誰だったか?」
「おぃおぃ、メルアド交換しただろ?まぁ、影が薄いから忘れるけどな」
「まぁいっか。エース、腹減った!」
「何言ってんだ!飯の前に掃除だ掃除!白ひげ海賊団だったら、そんな甘くねえぞ!」
「えー、メンドくせえなぁ~っ」
ブツブツ言いながらも、朝飯の為、やむなくルフィはエースと一緒に部屋の掃除を始めた。


 数時間後・・・・。
「ハァ・・・。疲れたぁ・・・」
「そうですね、ここまでにしておきましょう」
タオルで額の汗を拭いながら、黒子は日向に言う。
 「俺、まだ大丈夫だけど・・」
「日向君、無理は禁物です。やり過ぎて、身体を壊したら、元も子もありませんよ。エースさん達に迷惑をかけてもいいんですか?」
「わ、わかったよ。何か・・俺より大人だよなぁ」
「そんなことないと思うんですけど・・・・。それより、帰る前にどこかで一休みしましょう」
「そうだよな。疲れたしな」
そんな会話を交わしながら、二人はトレーニングを切り上げ、その場を立ち去った。
 「へーっ、黒子ってそんな強豪チームにいたんだ、中学の頃。いいなぁ、俺の中学、そんな強くなかったしなぁ」
「でも、それぞれが才能があり過ぎて、強すぎたことが原因でチームがバラバラになってしまいました。幾ら強くても、勝っていても、全然楽しくなかったです」
「ご・・ごめん!嫌なこと、聞いちゃった?」
中学時代の辛い思い出を話す黒子に、日向は謝る。
「いいんですよ。そうだ、日向君のことも聞かせて下さい。チームのことでも何でも」
「うーん・・そうだなぁ・・・」
考え込みながら、日向はチームメイトのこと、中学時代のこと、自分がバレーボールを始めたきっかけ、などを話す。
対して、黒子もバスケへの情熱や今のチームメイトのことなどを話す。
話がだんだん盛り上がり、二人はいつの間にか、何時間も話し込んでいた。
 「ハァ~ッ、やっぱり、黒子と話してると楽しいなぁ」
「僕もです。種目は違っても、球技に情熱を傾ける者同士、通じるものがあるのかもしれませんね」
お互い、満足した表情で、相手に言う。
「また一緒にトレーニングしてくれよな」
「望むところです。僕も負けませんよ。ですが・・日向君、さっきから携帯が鳴っているみたいですよ?」
「え?まさか!?」
慌てて日向は携帯を確認する。
案の定、着信はエースからのもの。
時刻を確認してみれば、門限を過ぎてしまっていた。
 以前、山田太郎にさらわれたときの一件(『海賊とバレー少年』参照)により、日向はエースから門限を言い渡されていた。
それを破れば、エースから厳しくお仕置きされてしまう。
 「ごめんっ!俺、帰らないと!?」
さっきまでの楽しい気分は完全に吹っ飛んでしまう。
慌てて、日向は店を飛び出す。
「え!?日向君っ!そんなに慌てたら・・・!?」
怪我をしますよ、そう黒子が声をかけようとしたそのときだった。
 「ムキキーーーーッッッ!!」
突然、物陰から何者かが猛烈な勢いで日向めがけて飛び出してくる。
「う、うわあっ!?」
まともに突撃をくらってしまい、日向は衝撃で吹っ飛び、気を失う。
気を失った日向を担ぎ上げると、犯人は日向をそのまま連れ去った。
 「大変です・・!!」
一部始終を見ていた黒子は携帯を取り出す。
「ああ!すいません!エースさん!日向君が!はい!実は・・・」
黒子は簡潔に見ていた事実を話す。
「わかりました。黒崎さん達にも知らせます」
それだけ言うと、黒子は仲間の元へと急いで戻っていった。


 「ううん・・・・」
「何だ、やっと起きやがったのかー?」
不満げな声に、日向の意識が戻る。
「あ・・・!!お前は!?」
目の前に立つ山田太郎の姿に、思わず日向は声を上げる。
「クククク・・久しぶりだなぁ、クソガキぃ・・」
山田太郎は邪悪な笑みを浮かべて言う。
 「な、何のつもりだよ!?」
「決まってんだろ!よくもこの俺様に恥をかかせてくれたな!絶対に許さんぞ虫けら共!」
太郎は、日向に怒りを燃やしながら叫ぶ。
 「それでだ・・貴様に最高の恐怖と屈辱を味あわせてやるよ、クソガキ・・・。おぃ!お前ら!仕事だぞ!」
太郎が呼ぶと、核戦争後の世界で暴れていそうな、モヒカン頭の無法者たちが現れる。
無法者たちの、自分を見つめる異様な目つきに、日向は嫌悪感と嫌な予感を覚える。
 「な、何だよこいつら!?」
「こいつ等か?核戦争後の世界で暴れてる悪党どもだよ。まぁ、ほかの連中と違って男色趣味、わけてもお前みたいな小柄で可愛いタイプが好みだってな」
「ま・・まさか!?」
逃げようとする日向だが、無法者たちにうつぶせに押さえつけられる。
 「やめろっ!やめろよっ!?」
抵抗するが、悲しいかな、平和な現代日本の一般高校生には、暴力が支配する世界の無法者たちには力では叶わない。
無理矢理にお尻を突き上げさせられ、ズボンを降ろされてしまう。
「や、やだっ!嫌だっ!?」
お尻にいきり立ったものを宛がわれ、絶望の声を日向が上げたそのときだった。
 突然、どこからともなくバスケットボールが飛んでくる。
そのボールに皆が視線を逸らされた瞬間、日向の姿が消えてしまう。
「な・・ガキはどこに行った!?」
「貴様ら何逃がしとるんじゃあああ!」
突然消えた日向に、無法者たちと太郎は戸惑う。
「大丈夫ですか!?日向君!?」
「く、黒子!?」
一方、物陰では黒子が日向に声をかけていた。
「ど、どうして?」
「エースさんと黒崎さんに連絡して、助けに来ました。静かにしていて下さい。日向君がうっかり騒げば、気づかれてしまいます」
その言葉に、日向は黙る。
太郎たちは必死に探すも、黒子の影の薄さが幸いし、全く気付かれていない。
その隙に、黒子は日向を連れてその場を逃げ出す。
 「火銃ッ!」
「悪魔の咆哮(ゼブルブラスト)ッッ!!」
「ゴムゴムのバズーカッ!」
「月牙天衝(げつがてんしょう)っっ!!」
日向と黒子が逃げた直後、4連発の火の玉、長く伸びるパンチ、火炎放射、衝撃波が一斉に襲いかかり、無法者たちと太郎を吹っ飛ばす。
 「ムキ-ッ!?誰だぁぁぁ!?」
怒りに燃える太郎の前に、ルフィ・エース・男鹿・一護が立ちはだかる。
「またテメェか。懲りねえ奴だな」
「やかましい虫けら共ぉぉぉ!ここで会ったが百年目っ!貴様らは皆殺し!バレー小僧はゲイ向けの店にでも売り飛ばしてやるわぁぁぁ!!」
太郎は山賊行為で得た金銭で雇った無法者共を呼び出し、ルフィたちに襲いかかる。
ルフィたちはそれぞれ拳や刀を構え、迎え撃った。


 「く・・くそ・・まさか・・!?」
全身にあざやコブを拵えた、ボロボロの姿で、虫の声で太郎は地面に崩れ落ちる。
雇った無法者達も悉く地面に倒れてのびていた。
 「なぁ、こいつらどうする?」
「警察に突き出すのが筋だろうな」
ルフィの問いに一護がそういう。
「普通はそうだな。だが、あいにく俺たちは海賊だ。男鹿も警察とはあまり関わりたくはねえだろ?」
「まぁな。俺もいわゆる不良だからな」
「それなら、逃げられないように縛って、警察に通報するか」
一護の提案に、エースたちもそれならと同意する。
逃げられないように縄でしっかり縛り上げた後、一護が匿名で警察に通報する。
一行は物陰から、警察が駆けつけ、太郎と無法者たちを逮捕したのを確認すると、その場を後にした。


 「怪我はねえか?」
「あ・・はい、大丈夫です・・・」
エースの問いに、落ち着きを取り戻した日向は答える。
「なら、何よりだ」
日向の返事に、エースは安堵の表情を浮かべる。
だが、すぐに厳しい表情に変わる。
 「日向・・・前に言ったはずだよな?遅くなるなってな」
「ご・・ごめんなさい・・。黒子と話してたら・・つい、楽しくて・・・」
「気持ちはわかるけどな、理由にはならないぜ。日向、ケツ出しな」
エースは膝を叩いて、お仕置きの合図をする。
 「エ、エースさん!?ご、ごめんなさい!は、反省してますから・・!!」
日向は無意識にお尻を押さえて飛び退いてしまう。
「ダメだ。それとも・・俺が無理矢理に乗せねえとダメか?数増えるぞ?それでもいいのか?」
「うわあーっ!そ、それだけはっ!」
慌てて日向はエースの膝に乗る。
 「全く・・世話焼かせやがって・・・」
ため息をつきながら、エースは日向のお尻を出す。
「うう・・・!あまり・・痛くしないで下さい・・・」
既に涙目になりながら、日向は懇願する。
「馬鹿、痛くなきゃ意味ねえだろが。痛い目見て、反省しろよ」
エースはそういうと、思いきり手を振り上げた。


 バッシィーンッ!!
「うわあっっ!!」
力強い音と共に、お尻に強烈な痛みが走る。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「うわあっ!痛っ!痛いっ!痛ああっ!」
強烈な平手打ちに、日向は悲鳴を上げる。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「エースさんっ!痛ああっ!ひいいっ!痛いです~っ!ひえーっ!」
お尻の痛みに耐えきれず、日向は両足をバタつかせる。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「当然だろうが。お仕置きなんだからよ。それより、何でお仕置きされてんのか、わかってるのか?」
日向のお尻を叩きながら、エースは尋ねる。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「ひいっ!ごめんなさい・・!お、俺が・・門限・・破った・・から・・です・・!ひいっ!痛あっ!」
苦痛に悶えながらも、日向は必死に答える。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「そうだ。で・・何で俺が門限を決めたんだったか、覚えてるか?」
「く・・!お・・俺が・・遅くまで帰らなくて・・襲われた・・から・・・」
「そうだ。前にあの変なサル小僧に捕まって、危ない目に遭ったよな。忘れてねえよな?」
「忘れて・・ません・・・!!」
「なら・・・どうして、早く帰ろうと思わなかったんだ?」
「ご・・ごめんなさいっ!黒子と話してたら・・楽しくて・・つい・・うわあっ!!」
弁解の途中で思い切り叩かれ、日向は絶叫する。
 「馬鹿野郎!気持ちはわかるけどな、門限までにはきっちり帰れ!早く帰ってれば、あんな目に遭わずに済んだかもしれねえんだ!黒子が携帯で知らせたからよかったものの・・下手すりゃ今度こそヒデェ目に遭わされてたんだぞ!?」
海賊ゆえに、無法者達の残酷さはよくわかる。
日向のようなあどけない少年は、悪党たちの残虐性を煽って、より酷い目に遭わされる危険も十分にあるのだ。
 「ご・・ごめんなさい・・!も・・もう・・二度と・・破りません・・から・・」
「そりゃあ当然だ。身に染みてそう思ってもらわねえとな。だから・・本気で行くぜ」
「え・・ひ、ひぃぃーーーっっ!?」
恐怖のあまり、日向は逃げようとする。
だが、しっかりと押さえ込まれ、再び平手が襲いかかる。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「ごめんなさいっ!ごめんなさーいっ!二度と門限破りませんからーっ!ごめんなさーいっ!」
その後、長い間、日向の悲鳴と謝る声が響いていた。


 「うぅぅぅうう・・・・」
ボロボロと涙を零して日向は泣いていた。
お尻はまるで熟れすぎたトマトのようになっており、火拳をくらったかと思うほどに熱い。
「反省したか?」
「しま・・しました・・・!門限破って・・迷惑かけて・・心配かけて・・ごめん・・なさい・・」
「分かりゃあいいんだ。ったく・・・」
エースは日向を抱き起すと、お尻を撫でてやる。
 「よかったぜ、無事で。何かあったら、バレー部の連中だって心配するだろ?」
「はい・・。ごめんなさい・・う・・あぅ・・・・」
お仕置きされて疲れたのか、日向は大きな欠伸をする。
直後、そのまま寝てしまった。
 「おぃおぃ、このまま寝るか普通?」
エースはそうぼやきつつも、起こすことなく、そのまま見守っていた。


 ―完―

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ツナの嫉妬(Jスターズより:剣桃太郎/ツナ)



(Jスターズビクトリーバーサスを題材にした二次創作です。許容出来る方のみご覧下さい)


 ツナがハンコックと別れ、再び剣・ケンシロウらとチームを組んでしばらく経った頃のお話・・・・。


 「ぐぬっ!ぐぬうっ!」
鈍い音と共に、マグマを纏った拳が、剣桃太郎に叩き込まれる。
そのたびに、剣の呻き声が漏れる。
「ワシはマグマじゃあっ!くたばらんかいっ!!」
赤犬は左腕をマグマで巨大化させ、渾身のストレートを叩きつける。
衝撃で、剣は試合場の端まで吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。
 「マフィアなんぞと手を組むような悪党は・・・灰すら残らんようにしちゃる!覚悟せいや!!」
赤犬は怒りを燃え上がらせながら、剣へと迫る。
海軍の中でも一番苛烈で過激な正義を掲げる赤犬にとって、マフィアも海賊と共に、滅ぼすべき悪。
そのマフィアのボス候補とチームを組む剣も、決して許せぬ存在だった。
「これでしまいじゃあっ!!」
起き上がりを狙い、赤犬が剣に止めを刺そうとしたそのときだった。
 突然、脇から猛烈な炎が襲いかかる。
「ぐおおおおっっ!!」
炎を浴びせかけられ、赤犬は吹っ飛ぶ。
 「桃っ!」
「ハァ・・助かったぜ・・ツナ」
駆けつけたツナに、剣は礼を言う。
同時に、剣は体勢を立て直す。
そして、二人同時に、赤犬めがけて突進した。


 「男塾に死という文字はあっても、敗北という文字は無い!」
地面に倒れ伏す赤犬を尻目に、剣は勝利を宣言する。
「ハァ・・・ハァァ・・・・」
その傍らで、死ぬ気モードが解除されたツナは、地面にへたり込んでしまう。
 「おぃ、大丈夫か?」
疲れきった様子のツナに、思わず剣は声をかける。
「な、何と・・うう・・疲れ過ぎて・・足に力が・・・」
立ち上がろうとするも、疲労困憊で、足に全く力が入らない。
 「仕方ねえ。ちょっと我慢しろよ」
「え?うわあっ!?」
突然、ツナは抱き上げられ、声を出してしまう。
剣はツナを抱き上げると、背中におんぶする。
「船に戻るまで、少し辛抱しろ」
そういうと、剣はツナをおんぶしたまま、歩きだす。
 「ご・・ごめんなさい、剣さん・・」
背中の上で、ツナは謝る。
「謝る必要なんかねえ。仲間に何かありゃあ、手を貸すのは当然だろ」
「でも・・足引っ張ってるし・・・」
「何言ってんだ。へたばるほど、戦ったってことだ。それに・・・お前だって、俺を助けてくれただろ?お互い様だぜ。だから、気にするな」
「ありがとう・・・・」
剣の心遣いに、ツナは礼を言う。
 「桃!桃ではござらぬか!?」
突然の声に、ツナ、剣ともに振り向く。
すると、頬に刀傷のある侍の姿があった。
 「おお!?剣心か!?久しぶりだなぁ!」
緋村剣心の姿に、剣は嬉しそうな表情になる。
「だ、誰?」
知らない顔に、ツナは怪訝な表情になる。
 「ああ、ツナは知らないんだったな。コイツは緋村剣心、以前の俺の仲間だ」
「そ・・そうなんだ・・。あ・・俺、沢田綱吉・・です・・」
「沢田殿でござるな。拙者は緋村剣心、しがない流浪人でござるよ」
剣と剣心は再会を喜び合い、しばらく世間話をする。
 「名残惜しいでござるが、拙者もいかねばならぬでござるよ。失礼するでござるよ」
「俺もだ。また、会おうぜ」
互いに言葉を交わすと、二人は別れた。


 (剣さん・・楽しそうだったなぁ・・・)
部屋で一人物思いにふけりながら、ツナは剣心と話していたときの剣の様子を思い返す。
(そりゃあ以前の仲間に久しぶりに会えたんだから、当然なんだろうけど・・・・)
その気持ちはわかるものの、同時にツナは悔しく思う。
胸の奥底から、暗く、苦いものがこみ上げてくる。
やがて、思いつめたような表情を浮かべると、ツナは静かに部屋を後にした。
 「桃、ツナを知らないか?」
「いや、知らねえ。どうかしたのか?」
ケンシロウの問いに、怪訝に思って剣は問い返す。
「いつの間にか、船からいなくなっている」
「何?」
ケンシロウの言葉に、剣も眉を顰める。
 「何か・・嫌な予感がするな・・」
「俺もだ。探しに行く」
「手伝うぜ」
二人はそう言葉を交わすと、船を後にした。


 「あと・・頼まれたものは・・・」
剣心は買い物籠を提げたまま、メモをチェックする。
薫から頼まれた買い物の途中なのだ。
 「!!??」
突然、剣心は殺気を感じる。
ハッとして振り向いた直後、灼熱のビームが襲いかかる。
咄嗟に、剣心はステップで脇に退いてかわす。
だが、買い物籠もろとも、商品が丸焼きになってしまう。
「おろっ!?薫殿に怒られてしまうでござる!?」
灰と化した買い物に、ショックを受けたのもつかのま、犯人が現れる。
 「おぬしは・・!?先程の!?」
ツナの姿に、剣心は思わず声をあげる。
「緋村剣心だな・・・」
ツナは普段とは違った、暗く思いつめた声で呟く。
額には炎が燃えている。
だが、普段の戦いで燃える死ぬ気の炎とは異なり、墓場に出る人魂のような、暗く青い炎だった。
 「お前には・・消えて・・もらう・・!?Xバーナーッッ!!」
普段の真っ赤な灼熱の炎では無く、どす黒い、闇が具現化したような炎のビームが剣心に襲いかかる。
 「く・・!?やむを得んでござるな・・」
剣心は愛用の逆刃刀を構える。
争いは好まないが、こうなっては戦うしかない。
抵抗の意思を見せる剣心に、ツナは再び、黒い炎のビームを放った。


 「何だ・・!コイツは・・!?」
目の前に広がる光景に、思わず剣は声を漏らす。
店や民家が、破壊され、瓦礫と化している。
 「桃!あれを見ろ!」
ケンシロウが指した方向を見るや、剣の表情がさらに強ばる。
暗い炎を額に宿したツナが、剣心を追い詰めているのが見えたからだ。
 「く・・・!?」
満身創痍の姿で、剣心は逆刃刀を構える。
「加減は無しだ!ここでぶちのめすっ!!」
ツナは突進したかと思うや、空中で剣心にパンチやキックの乱舞を叩き込み、吹っ飛ばす。
 「ケンシロウ!」
「わかっている」
二人は顔を合わせると、互いに構える。
剣は刀を納め、抜刀の体勢に。
ケンシロウは両腕を大きく半回転させるように動かし、天破の構えを取る。
そして、二人同時に、ツナに狙いを定めた。
 「無限一刀流、心眼剣ッッ!!」
「北斗神拳奥義!天破活殺っっ!!」
抜刀と共に斬撃が、指先から闘気がツナめがけて飛んでゆく。
「うわああっ!!」
二人同時の攻撃に、さすがのツナも吹っ飛び、ダウンする。
 「桃、ケンシロウ殿!?」
剣達の姿に気づき、剣心は声をかける。
「剣心、大丈夫か?」
「拙者も剣士でござる。これくらい、何でもないでござるよ」
「そうか。すまなかった、俺の仲間が迷惑をかけた」
「俺からもすまない」
剣、ケンシロウは共に剣心に謝る。
 「別に気にしていないでござるよ」
「だが、ケジメはつけさせてもらいたい。一緒に来てくれるか?」
「わかったでござるよ」
気絶したツナを抱きかかえた剣達と共に、剣心もその場を後にした。


 「あれ・・?」
目を覚ましたツナは、船内の寝室にいることに気づく。
「目が覚めたか?」
「あれ?剣さん、ど、どうして?」
「俺が聞きたいぜ。何故、勝手に船を降りた」
「あ・・・!?」
ツナは思い出す。
剣心のことを考えているうちに、暗い感情に囚われ、船を降りてしまったことを。
 「ご・・ごめんなさい・・・」
「『ごめんなさい』じゃねえだろ?何故、そんな真似をした?しかも・・剣心を襲いやがって。答えろ」
「そ・・それは・・・」
ツナは言葉に詰まる。
剣が、剣心と楽しそうに話をしていたのが悔しかった、などとはとても言えないからだ。
 「ご・・ごめんなさい・・。そ、それだけは・・・」
「それで済むと思ってんのか?」
「ご・・ごめんなさい・・。だけど・・い、言えないよ・・」
「そうか、なら、仕方ねえな」
そういうと、剣はツナを引き倒す。
気づいた時には、ツナは剣の膝の上に乗せられていた。
 「うわっ!?つ、剣さんっ!?何するの!?」
「決まってんだろ、仕置きだ。覚悟しろよ」
ズボンを降ろしながらそう言うと、剣はツナの身体を押さえる。
そして、もう片方の手を、思い切り振り下ろした。


 バッシィーンッ!
「いっ・・たぁぁぁ!!」
強烈な平手打ちに、ツナは思わず苦痛の声を漏らす。
 バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!
「うわあっ!痛っ!痛ああっ!痛いっ!痛いっ!」
あまりの痛さに、ツナは両脚をバタつかせる。
 バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!
「こんバカッ!一体何やってんだっ!!」
容赦ない平手打ちを叩きつけながら、剣はお説教を始める。
 バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!
「勝手にいなくなりやがって!探したんだぞ!?」
バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!
「ご・・ごめんなさぁいっ!は、反省・・してる・・からぁぁ・・!」
両脚をバタつかせながら、ツナは謝る。
始まって間もないというのに、ツナのお尻は全体が赤く染まりだしている。
 バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!
「反省すんのは当然だろが!しかも・・・剣心を襲いやがったな!?何を考えてんだ!?」
「ひぃぃん・・!そ・・それは・・・」
再び、ツナは言葉に詰まる。
恥ずかしくて、言えないからだ。
 「ご・・ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!二度と・・しない・・からぁ・・!」
「二度としねえのは当然だろ?それより・・何故だ?何故、剣心を襲った?」
剣は一旦、お尻を叩く手を止め、尋ねる。
今まで共に戦って来て、ツナの性格はわかっている。
争いを好まず、臆病と思われるほど大人しい性格だ。
何か、事情があるはず。
理由次第によっては、これ以上叱るつもりは無かった。
 「ご・・ごめんなさい・・。それだけは・・・言いたく・・ないよ・・」
「なら、せめて、剣心に謝れ」
「う・・!ごめんなさい・・。それも・・嫌だ・・・」
「何だと?ツナ、いい加減にしろよ?さすがに俺もマジで怒るぜ?」
怒りの滲みでた剣の声に、ツナは背筋が寒くなる。
 自分が悪いことは、ツナ自身がよくわかっている。
子供みたいな嫉妬心なのはわかっている。
だが、それでも、剣心に謝るのは嫌だった。
 「うう・・!ごめんなさい・・。話したくないし・・緋村さんにも・・謝りたく・・ない・・・・」
「本気で言ってんだな?」
「うう・・!ほ、本気だよ!」
怯えそうな声で、だが、それでもツナは抵抗する。
 「そうか・・。じゃあ、俺も・・許すわけにはいかねえ」
剣はそう言うと、愛用のハチマキを取り出す。
「はぁあああ!気功闘法・硬布拳砕功!!」
剣は気合いと共に、ハチマキに気を込める。
あっという間に、ハチマキは硬い剣と化す。
 バシーンッ!
「ひ・・ひいいいいっっっ!!!」
闘気で武器と化したハチマキの平たい部分を叩きつけられ、ツナは絶叫する。
 バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!
「うわあああんっ!痛っ!痛いいいい!!」
闘気を注入したハチマキでのお尻叩きに、ツナは絶叫する。
 バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!バシィーンッ!
「こん悪ガキッ!文字通り、根性叩き直してやる!」
「うわあああーーんっ!許してーっ!ごめんなさいーっ!く、悔しかったんだってばーーーーーーーっっ!!」
耐えきれず、ついにツナは白状する。
 「は?どういうことだ?」
ツナの言っていることがわからず、剣は思わず尋ねる。
「ひぃん・・!つ、剣さんが・・ひ、緋村さんと・・た、楽しそうに・・話してて・・そ、それが・・・ぐす・・悔し・・くて・・・・」
「おぃおぃ、久しぶりに昔の仲間と会ったから、世間話しただけだぜ?」
「ぐす・・!わ、わかってる・・。だ・・だけど・・い、今の・・仲間は・・俺なのに・・そ・・そう思うと・・ぐす・・!お、俺の・・勝手なヤキモチ・・なのは・・わかってるけど・・でも・・でも・・悔しくて・・!ご・・ごめん・・なさい・・・。ちゃ、ちゃんと・・お仕置き・・受けるから・・。幾ら叩いても・・いいから・・見捨て・・ないで・・」
「馬鹿野郎っっ!!」
バッチィィィーーーンンンッッッ!!
「うわあああんんっっ!!」
思い切り叩かれ、ツナは絶叫する。
 「見捨てるワケねえだろ!仲間をよ!」
「ご・・ごめん・・なさい・・・」
「ツナ、お前は俺の仲間だ。仲間は決して、見捨てねえ。どんな悪ガキだろうとな。だから・・安心しろ」
「ごめんなさい・・。そして・・ありがとう・・」
ツナは痛みと安堵で涙を浮かべながら、抱きつく。
剣も、それに答えて、ツナをしっかりと抱きしめた。


 「ツナ、わかってんな」
「う・・うん・・・」
剣に促され、ツナはドアをノックし、中へ入る。
ドアの向こうでは、手当てを終えた剣心の姿があった。
 「おろ?お主は・・」
「あ・・あの・・ご、ごめんなさいっ!」
ツナは勇気を出して、剣心に謝る。
 「本当に・・ごめんなさいっ!あ、謝っても、許してなんかもらえないかもだけど・・ご、ごめんなさい・・!!」
ツナは必死に謝る。
「ツナ殿、もう十分に反省しておるようでござるな。拙者には、それだけで十分でござるよ」
「よ・・よかった・・うぅ・・・・」
剣心に許してもらえたことに、ツナはホッとし、そのまま床にへたり込んでしまう。
 「おぃおぃ、また、へたばってんのか?」
「ご・・ごめんなさい・・。安心・・したら・・力・・抜けちゃって・・・」
「仕方ねえな。行くぞ、ツナ」
剣はそう言うと、ツナを抱き上げる。
そして、自分の部屋へとツナを連れていった。


 ―完―

海賊とバレー少年(Jスターズより:エース/日向)



(Jスターズビクトリーバーサスを題材にした二次創作です。許容出来る方のみご覧下さい)


 「ほよよ?あんたチビッこいね」
則巻アラレの言葉に、バレーボール用ユニフォーム姿の少年、日向翔陽が思わずカッとなる。
「チビって言った方がチビなんだぞ!コラァ!!」
日向はアラレに、怒りをぶつける。
「大暴れするぞ!エース!」
「お前と二人で戦うのは久しぶりだなぁ、ルフィ」
日向がアラレにカッとなるのを尻目に、チームメイトのルフィ、エースがそんなかけ合いを繰り広げる。
やがて、お互いのチームが入り乱れて、戦いが始まった。


 「日向~、まーだ、怒ってんのか~?」
ムスッとしている日向に、ルフィは尋ねる。
「べ、別に怒ってなんかないよ」
「そうか~?まだ、ヘソ曲げてる感じだぜ~?別に勝ったんだからいいじゃんかよ。チビなん・・痛ってぇーっ!!何すんだよっ!エースッ!」
エースの拳骨に、ルフィは頭を押さえて、文句を言う。
 「こんバカッ!人が気にしてることを言うんじゃねえ!すまねぇ、悪気は無いんだよルフィは。だが、デリカシーってヤツがないんでな・・・」
エースは日向に謝りながら、ルフィのフォローをする。
「い、いいんですよ。別に・・悪気があるわけじゃないから・・」
そう言いつつも、どこか日向は不機嫌そうだった。


 (そりゃあ・・コレばっかりは・・個人の努力じゃどうしようもないけどさぁ・・・)
日向は部屋でため息をつく。
ジャンプ力などの身体的能力ならば、特訓で伸ばすことは出来る。
しかし、身体の成長は本人にはどうにもならない部分も多い。
 「あーあ・・・。身長を伸ばしてくれる魔法の道具でも無いか・・!?」
思わず愚痴をこぼしかけたそのとき、日向はハッとした表情になる。
次の瞬間、日向は携帯を取り出すと、ネットにつないで、必死に検索を始めていた。


 数日後・・・。
「おぃ、どこ行くんだ?」
船を降りようとする日向に、エースは声をかける。
 「あっ、すいません。少しランニングしてきます」
「特訓か?」
「はい、そんなものです」
「別に構わねえけどな。暗くなるまでに帰って来いよな?」
「わ、わかってます。ちゃんと携帯も持ってますから、何かあったら、連絡して下さい」
そう言うと、日向は船を降りて、ランニングを始める。
だが、やがて、仲間達や船が見えなくなると、日向はランニングを止める。
 「ええと・・確か・・・・」
日向は携帯で、地図を呼び出す。
呼び出した地図を見ながら、日向はどこかへと向かっていった。


 「ここだ・・・!」
日向は目的の場所にたどり着くと、嬉しさの籠った息をつく。
目の前には、大きな川だか湖が広がっている。
(ネットの噂じゃ・・ここにドラゴンボールがあるかもって・・)
目の前の光景を見ながら、日向は呟く。
そう、日向はドラゴンボールを探しにやって来た。
もちろん、神龍の力で、身長を伸ばしてもらうためだ。
(でも・・広くて、深そうだなぁ。気をつけないと・・)
日向はユニフォームから、水着に着替えると、慎重に水の中に入っていった。
 一時間後・・。
「だめだーっ!見つからないっ!?」
日向はグッタリした様子で、叫ぶ。
懸命にドラゴンボールを探したが、中々見つからないのだ。
「はぁぁ・・。噂なんか当てにした俺が馬鹿だったなぁ」
徒労に終わりそうな雰囲気に、日向はため息をつく。
 「あれ?」
不意に空を見上げて、日向は暗くなっていることに気づく。
同時に、カバンから携帯の着信音がひっきりなしに鳴っていることも。
慌てて日向は携帯を取り出して開く。
 「やば・・・!?」
日向は顔色が変わる。
エースから、早く帰って来いと、何度も着信が入っていたからだ。
「マズイ!怒られる・・!!うわあっ!?」
慌てて立ち上がった直後、後頭部を鈍い痛みが襲う。
そのまま、日向は地面に崩れ落ちた。


 「ううん・・?」
目を覚ました日向が最初に感じたのは、地面と縄の感触だった。
「え?何だよコレッ!?」
縛りあげられた上で、地面に転がされている事態に、日向は声をあげる。
 「あーん?やっと起きやがったのか~?」
聞こえてきた声に、日向は振り返る。
そこにいたのは、パンツ一丁という格好をした、サルのような雰囲気の少年。
 「な・・!だ、誰だよ!?」
「この俺様を知らねえのか!?天下一のかぶき者、山田太郎様じゃーっ!!」
山田太郎は叫ぶように言う。
「は?誰?聞いたことないけど」
日向は首を傾げる。
「クソガキーッ!俺様を知らねえだと!!」
太郎は機嫌を損ね、日向を足蹴にする。
 「うわっ!やめろよっ!痛っ!痛いっ!」
「っておっと・・。ヤベェヤベェ。商品に傷つけたらマズイよなぁ」
「しょ、商品?」
日向は嫌な予感を覚える。
「おーう、そうよ。最近はBLだの腐女子だのが流行ってる世の中だからなぁ。テメェみてぇなガキが高く売れるんだよ。テメェらみたいなガキ同士を絡ませて、生BLショーとかいうのをやってる店もあるからなぁ。ケッケッケッ!」
太郎はまさに悪人な笑みを浮かべて言う。
太郎の言葉に、日向は背筋が寒くなる。
 「ヘッヘッヘ・・。テメェなら人買い商人共に高く売れるぜー。せいぜい、どこかの店でたっぷりケツ可愛がってもらいなぁ」
日向は太郎の邪悪な笑みに、背筋だけでなく、お尻にも悪寒が走る。
 「さーてと・・じゃあ、行くか。立ちや・・・」
「火銃ッッ!!」
突然、どこからか、火の玉の連射が太郎を撃つ。
直後、何かが伸びてきたかと思うと、日向をかっさらう。
 「ルフィ!エースさん!?」
仲間の姿に、思わず日向は声をあげる。
「中々帰ってこねえと思ったら・・。それにしても、まさかこんなところで会うとはなぁ」
「貴様らぁ!ここで会ったが百年目!絶対に許さんぞ虫けら共おおお!!」
太郎はエースとルフィの姿に、怒りの炎を燃やす。
以前、ある山で山賊まがいの行為をしていた際、ルフィ達を襲って返り討ちにされたことがある。
その恨みを晴らそうとしているのだった。
 「それはこっちの台詞だ!よくも日向を・・!」
「もう一度返り討ちにしてやるぜ」
「ぶっころしてやるー!!」
直後、三人が入り乱れて、戦いが始まった。


 「ちくしょーっ!覚えてやがれーっ!!」
「馬鹿野郎!テメェみたいなヤツ、覚える値打ちもねえよ!」
捨て台詞を吐いて逃げる太郎に、エースはそう返す。
 「日向、怪我はねえか?」
「あ・・。だ、大丈夫・・・」
心配して尋ねるルフィに、日向はそう返す。
 「そっか。よかった。って安心したら、腹減ったなー。エース、メシ食おうぜ!」
「その前に日向を連れ帰んのが先だろうが。それまで我慢しろ」
「えーっ、俺、腹ペコだってーの」
「また悪党に日向がさらわれてもいいのか?油断は禁物だ」
「そうだよな。仕方ねっか」
エースの言葉にルフィも納得する。
二人で、日向を守りながら、船へと戻っていった。


 「あの・・ルフィは?」
「心配ねえよ。たらふく食ったら、寝ちまいやがった。それよりお前、怪我とかは無いのか?」
「あ・・はい・・。大丈夫です・・・」
「確かに、見たところ傷は無いようだな。なら・・やっても大丈夫か」
「え?何をやるんです?」
エースの言っている意味がわからず、日向は尋ねる。
「決まってんだろ、お仕置きだ」
「え?お、お仕置き!?な、何でですか!?」
エースのお仕置き宣言に、日向は思わず声を上げる。
 「当たり前だろ?皆に心配と迷惑かけやがって。そんな悪ガキはお仕置きだ。覚悟しな」
身の危険を感じ、日向はとっさに得意の変人速攻を繰り出そうとする。
だが、それをエースに読まれ、取り押さえられてしまう。
 「うわっ!やめてっ!?」
思わず抵抗するが、相手は歴戦の海賊。
膝の上に押さえつけられ、下着ごとハーフパンツを降ろされて、お尻を出されてしまう。
 「ちょ、ちょっとっ!何する気なんですかー!?」
「ガキのお仕置きといったら、尻叩きに決まってんだろ。行くぜ」
エースはそう言うと、手を振りかぶった。


 バッシィーンッ!
「い・・!?」
(痛ったああーっ!?ボールがぶつかったのより痛い~~!!)
強烈な打撃に、日向は呻き声を漏らす。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「く・・!ひっ・・!ひぃう・・!うっ・・!ひぃ・・!」
叩かれるたびに、日向は声を漏らしてしまいそうになる。
しかし、それを必死に耐える。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「う・・!あう・・!く・・!あく・・!あぅ・・!あぅく・・!」
日向はベッドのシーツを必死に掴み、身を強張らせて耐える。
 「全く・・。何やってんだ!この馬鹿っ!」
バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
日向のお尻を叩きながら、エースはお説教を始める。
既に日向のお尻は、ほんのり赤く染まりだしていた。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「う・・!ああ・・!くぅあ・・!あっく・・!ああっ!」
辛くなってきたのだろう、日向の表情が苦痛で歪みだす。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「暗くなる前に帰って来いって、俺は言ったはずだぜ?なのに暗くなっても、帰ってこねぇ。何度連絡しても、返事も無えとはなぁ」
お尻を叩きながら、エースはお説教を続ける。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「す・・すいません・・。ドラゴンボールを・・探し・・てて・・・。気づかな・・くて・・・」
「ソイツも見逃せねえ。日向、出かける時、ランニングって言ったよな?どうして、正直に言わなかった?」
「うう・・!だ、だって・・恥ずかしくて・・!身長伸ばしたくて・・ドラゴンボールを・・なん・・ひぃぃぃーーっっ!!」
今までで一番キツい一撃を食らわされ、日向は悲鳴を上げる。
 「馬鹿野郎!仲間に嘘をつくんじゃねえ!それでどうなった?あんな悪党に捕まって、危うく売り飛ばされるところだっただろうが!?」
バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
強烈な平手打ちを叩きつけながら、言葉でも厳しく日向を叱る。
 バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!バシーンッ!
「ご・・ごめんなさいっ!まさか・・あんなことに・・!」
「この世界には悪党や外道も多いんだ!それに・・・あんな深い川だか湖に素人が潜りやがって!溺れたらどうするつもりだ!」
「ご・・ごめんなさいっ!は、反省・・してますっ!迷惑かけて・・心配かけて・・ごめんなさい・・!二度と・・しませんからっ!!」
許して欲しくて、日向は必死に謝る。
 「んなことは当然だろ?俺のお仕置きは、『ごめんなさい』の後が本番だ。本当に二度としねえよう、身に沁みて反省しろよ」
そう言うと、エースは足を組む。
おかげで、日向の赤くなったお尻が、高く突き上げられる。
そのお尻目がけて、最後エースの手が叩きつけられた。
 バッシィーンッ!
「ひいいいいっっ!!」
今までよりさらに強烈な平手打ちに、日向は絶叫する。
 バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!
「ひいいいっ!痛あああっ!エースさんっ!ごめんなさぁぁいいいっ!!」
日向は年頃の少年のプライドも羞恥心もかなぐり捨てて、許しを乞う。
だが、エースは厳しく叩き続ける。
その後、日向の謝る声と、お尻を叩く音が響き続けた。


 「うっう・・うぅうぅう・・・・」
恥ずかしさもプライドもかなぐり捨てて、日向は泣いていた。
お尻はサルのように真っ赤に染まっている。
触ると火傷するかと思うほど、熱くなっていた。
 「ごめんなさい・・。エースさん・・ごめんなさい・・・」
泣きながら、日向は必死に謝る。
「反省したか?」
「しま・・しました・・!二度と・・皆に・・迷惑や心配・・かけません・・から・・!」
「隠し事とかもしねえな?」
「し・・しません・・!ちゃんと・・話し・・ます・・!」
「なら、俺から説教することはもうねえ」
そういうと、ようやくエースは手を降ろす。
そして、日向を抱き起こした。
 「痛いか?って、聞くまでもねえか」
赤く染まった日向のお尻を撫でてやりながら、エースは言う。
「うう・・痛いです・・。でも・・・」
「ん?どうした?」
「い、いえっ!な、何でも無いです!」
日向は恥ずかしそうに顔をそむける。
同時に、日向はしっかりとエースに抱きつく。
エースは日向を抱きしめながら、お尻を撫でてやっていた。


 ―完―

海賊女帝の屈辱(Jスターズより:/ツナ・ハンコック)



(Jスターズビクトリーバーサスを題材にした二次創作です。許容出来る方のみ、ご覧下さい)


 「それじゃあ、またいつかな」
「また、どこかで会おう」
「二人ともありがとう。俺も忘れないよ、二人のことは」
沢田綱吉は、剣桃太郎、ケンシロウとそれぞれ言葉を交わして、別れる。
別のメンバーと新たにチームを組むことになったのだ。
名残惜しいが、既に決まったこと。
新たな仲間と会うため、それぞれの道を行く。
 「あ・・!ここだ・・!」
やがて、ツナは新たな仲間との待ち合わせ場所に到着する。
「あ・・」
ツナは既に来ていた仲間を見るなり、思わず声が止まる。
(うわ・・!?凄い美人!?)
そこにいたのは、セクシーな姿をした、美しい女性。
ツナも年頃の男の子。
思わず心ときめきそうになる。
(こんな綺麗なお姉さんとチームなんて・・ラッキーかも・・)
そう思ったそのときだった。
 「遅いぞ!?このわらわを待たせるとは!?」
ボア・ハンコックはツナを見るなり、怒鳴りつける。
「うわわっ!ご、ごめんなさいっ!!」
ツナは思わず謝る。
 「謝って済むと思うか!?わらわは海賊女帝、ボア・ハンコックであるぞ!?」
(ええーっ!?か、海賊なのー!?)
ハンコックの名乗りに、ツナは震えあがる。
「まぁまぁ、海賊女帝とか言ったか?コイツはまだガキなんだ。ガキに本気で怒るなんて、大人げないんじゃないのか?女帝なら、多少の間違いは許す度量も必要じゃないのか?」
ツナのピンチに、リボーンがとりなすように言う。
「赤ん坊の分際で・・!ふん、まぁよい。せいぜい、わらわの手足として、奉仕するのだぞ!!」
ハンコックは不機嫌そうに言うと、歩きだす。
 「ハァ~ッ、助かったぁ・・。ありがとう、リボーン・・・」
「これくらい、自分で切り抜けられるようになれ」
「わかってるよ。ハァ・・美人な人と組めてラッキーかも、って思ったのが甘かったなぁ」
「これ!いつまでグズグズしておるのだ!早く来ぬか!?」
ぼやくツナに、苛立った口調で、ハンコックが言う。
これ以上怒らせてはまずい。
ツナは、慌ててハンコックの元へついていった。


 「何じゃ・・コレは?」
有無を言わせない口調で、ハンコックは、床に正座しているツナに尋ねる。
ハンコックが指差した先には、割れた花瓶があった。
「ご、ごめんなさい・・!そ、掃除してたら・・う、うっかり・・!」
ツナは震えながら謝る。
そんなツナの答えに、ハンコックの表情が険しくなる。
 「『うっかり』じゃと!わらわの花瓶を・・許さぬ!ツナ!仕置きじゃ!そこのテーブルに手をつけ!」
「ひいっ!ご、ごめんなさいっ!わ、わざとじゃ・・!!」
謝るツナだが、ハンコックが許すはずもない。
 「許さぬ!逆らうつもりか!?」
「ひいい!」
これ以上の怒りを招かないよう、ツナは言われた通り、テーブルに手をつき、ハンコックにお尻を差し出すように立つ。
ハンコックは、ツナのズボンを強引に降ろし、無理やりお尻をあらわにする。
そして、いかにも痛そうな鞭を手にすると、ツナのお尻目がけて、振り下ろした。
 バッチィーーンンンッッッ!!
「ひぎぃぃぃぃぃ!!!!!」
いきなりお尻の最奥部、もっとも敏感で弱いところを鞭で思い切り叩かれ、ツナは姿勢を崩してしまう。
 「何をしている!誰が座ってよいと言った!!」
ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!
座り込んでしまったツナのお尻に、ハンコックは容赦なく鞭を振るう。
 「ひぃぃーっ!ごめんなさいっ!すぐ、立つからーっ!」
ツナは必死に立ち上がると、鞭の跡のついたお尻を差し出す。
「わらわに逆らう不届き者め・・!その罪、身を以って、購うがいい!」
ハンコックは怒りに任せて、鞭を振るう。
 ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!
「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいーっ!ごめんなさいーっ!」
その後、怒りに燃えるハンコックの鞭の音、ツナの悲鳴や謝る声が響いていた・・・。
 翌日・・・。
「何じゃ、この食材はっ!!」
ツナが買ってきた食材を見るなり、ハンコックは床に投げ捨ててしまう。
「こんなものっ!わらわにふさわしいと思うのか!?」
「で・・でも・・僕のお金じゃ・・こういうのしか・・」
ツナは必死に弁解する。
ハンコックの命令で買い物に行ってきたのだが、傲慢で自己中心的なハンコックがお金を渡すはずもない。
やむなく、自分の持ち金で買える食材を買って来たのである。
だが、いかにもそこらのスーパーで売っているセール品な食材に、ハンコックが怒ってしまったのである。
 「わらわを馬鹿にしおって・・!許さぬ!!」
ハンコックはまた、鞭を取り出すと、ツナのお尻を叩きだす。
ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!
「うわああんっ!ごめんなさいっ!許してっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!!」
服の上からでも過酷過ぎる鞭打ちに、ツナは必死に許しを乞う。
 ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!ビシーッ!
「許さぬ!昨日に続いて、今日もわらわを侮辱しおって!下僕の分際で!」
怒りに任せ、ハンコックはツナをこれでもかと鞭打つ。
ようやく鞭が止まったときには、ズボンも下着も切り裂かれ、赤く染まった、所々血まで滲んでいるお尻が、破れたところから姿を見せていた。
 「買い直してまいれ!むろん、そなたの金でな!!」
「は・・はい・・。ぐす・・・」
泣きたくなるのを必死に堪え、ツナは部屋を後にした。


 「うっう・・・。お尻・・熱いぃぃ・・・」
ツナはお尻の熱さに泣きそうになりながら、通りを歩いていた。
(でも・・どうしよう・・。俺のお金じゃ・・無理だよ・・・)
ツナはハンコックが普段の食事で食べている食材を思い出しながら、ため息をつく。
とても、自分が買えるようなものではない。
 (でも・・またスーパーのなんか買っていけば・・・)
間違いなく、また鞭でお尻を叩かれる。
しかし、ハンコック好みの食材は自分には買えない。
にっちもさっちもいかず、困り果てたそのときだった。
 不意に、ツナは誰かにぶつかってしまう。
「ご、ごめんな・・あっ!?」
「おぅ、ツナか。久しぶりだな」
剣桃太郎は、ツナの姿に、笑みを浮かべて声をかける。
 「う、うん。久しぶりだね。そっちの人が・・新しい仲間?」
ツナは一緒にいる、凛とした雰囲気の女子高生を見ながら尋ねる。
「ああ、黒神めだかだ。めだか、元の俺の仲間で、ツナだ」
「箱庭学園生徒会長、黒神めだかだ。よろしく頼む」
「よ・・よろしく・・沢田・・綱吉・・です。ツナって・・呼ばれてます」
ツナはめだかに挨拶をする。
 「あの、ご、ごめんなさい。か、買い物があ・・!?」
挨拶を済ませて去ろうとしたところで、ツナは立ちくらみを覚える。
「おい!?どうし・・・!?」
剣が声をかけようとしたところで、ツナの視界がブラックアウトした。


 目を覚ましたツナの目に飛び込んで来たのは、これまた知った顔だった。
「気づいたか?」
「ケ、ケンシロウさん・・。どうして・・?」
別れたはずのケンシロウに、思わずツナは尋ねる。
「俺やめだかと組んでるんだよ。ってか、こっちの台詞だぜ。一体、新しい仲間とどうなってんだ?」
一緒にいた剣が、ツナに尋ねる。
 「だ、大丈夫ですよ。う、うまくやってますから」
ツナは思わず嘘をつく。
奴隷のようにこき使われ、ことあるたびに鞭でお尻を叩かれるなど、あまりにもみじめで言えない。
それに、言えば二人のことだ。
烈火のごとく怒って、ハンコックの元へ殴りこみに行くかもしれない。
ひどいことをするといっても、ハンコックは仲間だ。
今の仲間と、以前の仲間が自分のせいで傷つけあうのを見るのは嫌だった。
 「何言ってんだ。その傷だらけの尻見せられて、信じられるワケねえだろ?」
「ツナ・・今の仲間に、何をされている?」
「だ、大丈夫です。ほ、本当に・・」
「ツナ、正直に・・」
思わず剣がツナに詰め寄ろうとした、そのときだった。
 「ここか!?ツナめがおるのは!?」
突然、見知らぬ声が聞こえてきた。
同時に、ツナが怯えた表情になる。
そのツナの変化を、剣もケンシロウも見逃さなかった。
 ドンッッ!!
乱暴にドアが開かれると同時に、ハンコックが部屋へと入って来た。
「ひぃ・・・!?」
明らかに怒っているハンコックに、ツナの怯えは頂点に達する。
 「ツナ!?こんなところで油を売っておったのか!?」
「ご・・ごめんなさい・・!わざとじゃ・・!!」
謝るツナだが、ハンコックの表情はさらに険しくなる。
 「不届き者!用も果たさずに、サボりおって!まだ、鞭が足りぬようじゃの!?」
ハンコックはツナのお仕置きに使う鞭を取り出す。
「や、やだーーーっ!?鞭はやめてーーー!!」
怯えた悲鳴と共に、ツナは剣とケンシロウの背後に隠れる。
 「貴様ら!どかぬか!?」
ツナとの間に立ちはだかる剣とケンシロウに、ハンコックは命令する。
「お前にこの子を渡すわけにはいかん」
「同感だ。テメェみたいな暴力女にツナを渡すかよ」
ケンシロウは拳を、桃は剣を構えて、ハンコックと対峙する。
「おのれ・・!わらわに逆らうか!?」
二人の態度に、ハンコックは怒りをあらわにする。
(ま・・マズイッ!?)
ツナは焦る。
自分のせいで争いが起こるという、最悪の事態になってしまったからだ。
 「ま、待って!剣さん!ケンシロウさん!やめて!?」
「ツナ!何言ってんだ!こんな女といることはねえ!?」
「そうだ、お前のためにはならん!」
止めに入るツナに、剣とケンシロウは言う。
このままハンコックといれば、ツナはお尻を叩かれ続けて死んでしまうかもしれない。
仲間を誰よりも大切にする剣達が、それを許すはずが無かった。
 「ありがとう・・。心配してくれて・・。でも・・ハンコックは今の俺の仲間なんだ!剣さん達が、俺のせいで、今の仲間を傷つけるのは、見たくないんだ!?」
「ツナ・・・!く・・・!?」
剣もケンシロウも苦悶の表情を浮かべる。
仲間を思うツナの気持ちは、誰よりもよくわかるからだ。
ハンコックの横暴からツナを守りたい。
だが、自分達が戦えば、ツナを悲しませる。
 「ふふ、どうやらわらわの勝ちのようじゃな。ツナ、行くぞ!帰ったら、覚悟するがよい!」
ツナを思うが故に手を出せない剣達に、勝利の笑みを浮かべて、ハンコックがツナを連れてゆこうとしたそのときだった。
 「待て!その喧嘩、私が買おう!」
突然、黒神めだかが現れ、そう宣言する。
「めだか!余計なことするんじゃねえ!?コイツは俺達との問だ・・・・」
「剣、ケンシロウよ。男塾総代、北斗神拳伝承者ともあろう者達が、女を殴るつもりか?」
「「く・・・!?」」
めだかの言葉に、二人は言葉に詰まる。
「それに・・お前達が戦えば、ツナは悲しむぞ?それは本意ではあるまい?」
めだかは、二人に尋ねる。
 「やむを得ん・・。めだか、お前に任せよう」
「仕方ねえ。お前さんの言う通りだ。わかった!この喧嘩、お前さんに預ける!」
ケンシロウ、剣の順でめだかにそう答える。
 「決まりだな。では、ハンコックとやら、そのツナを賭けて、私と勝負してもらおう!私が勝てば・・ツナは私がもらおう!負けた時には・・好きに連れて帰るがいい!」
「わらわと勝負しようとはいい度胸じゃ・・!後悔するがいい!!」
めだかの言葉に、ハンコックは闘志を燃え上がらせる。
互いに、床を蹴って、相手めがけて襲いかかった。


 「ば・・馬鹿な・・!わらわが・・!?」
ハンコックは信じられない、と言わんばかりの声で言う。
「決まりだな!では・・ツナは私がもらおう!まさか・・海賊女帝ともあろう者が、自らの言葉を守れぬ、などということはなかろうな?」
ハンコックのプライドを挑発するように、めだかは言う。
めだかのそんな態度に、ハンコックはムッとして、思わず言ってしまう。
「わらわを馬鹿にするでない!そんな小僧、くれてやるわ!好きにせい!惜しくも何ともないわ!!」
「決まりだ!剣、ケンシロウ、ツナを連れていってやってくれ」
「ふん、言われるまでもねえぜ」
剣はそう言うと、ケンシロウと共に、ツナを別の部屋へと連れてゆく。
 「ふん・・!あんな役立たず、いなくなって、却ってせいせいしたわ!わらわは・・帰るぞ!」
悔しさを隠すためか、ハンコックはそんな捨て台詞と共に、去ろうとする。
 「待て!そうはいかんぞ!」
「何じゃ!?もう、用は無かろう!?」
「そちらにはなくても、私にはあるのだ」
「何を・・くっ!?」
身体が傾いだかと思うや、目の前に床が迫る。
 「な・・何をする!?」
「決まっているだろう?お仕置きだ?」
めだかはそう言うと、手を振り下ろした。


 バッシィーンッ!?
「!!??」
突然、お尻に痛みが走る。
(な、何なのじゃ!?)
事態がわからず、ハンコックは混乱する。
パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!
混乱するハンコックを尻目に、お尻にたて続けに、痛みが走る。
まさかと思って振り返ると、めだかの手がお尻に振り下ろされているではないか。
 「き、貴様!な、何をしているのじゃ!?」
「言ったはずだぞ?お仕置きだとな」
めだかはそう言うと、お尻を叩く。
 パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!
「ふ、ふざけるでない!な、何故、わらわがお仕置きなどされねばならぬのじゃ!?」
ハンコックは怒りの声を上げる。
 パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!
「何故だと?決まっているだろう?ツナに理不尽な暴力を振るったのだぞ、お前は?」
お尻を叩きながら、めだかはお説教を始める。
 パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!
「ふ、ふざけるでない!役に立たぬ下僕をわらわがどうしようと、わらわの勝手であろう!貴様ごときに何故、そんなことを言われねばならぬ!?」
めだかのお説教に、ハンコックは反論する。
その反論に、めだかの表情が険しくなる。
 「貴様・・本気でそんなことを言っているのか?ツナは仲間だろう?」
「貴様こそ寝ぼけたことを言うでない!あのような役立たずの愚か者が仲間などと!?ああいう者は、わらわの下僕ですら、身に余る名誉というものじゃ!わらわの手足として、使ってやっているだけでも、ありがたいと思えというものじゃ!?」
「貴様・・・!許さんっっ!!」
怒りのあまり、めだかの髪の色が赤へと変わり、乱神モードになる。
同時に、もの凄い勢いで手が振り下ろされた。
 バッシィィーーーンンンッッッ!!!
「あああっっっ!!??」
あまりの苦痛に、ハンコックは悲鳴をあげてしまう。
バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!
「く・・!おのれっ!やめよ・・!やめぬか!?わらわを・・誰だと・・!?」
「許さぬ!ボア・ハンコック、人を人とも思わず、あまつさえツナを苦しめた己の振舞いを、身を以って反省するのだ!」
そういうと、めだかはさらにハンコックのお尻を叩き続ける。
 バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!
「く・・!やめいっ!やめぬか!こんなことし・・ひいっ!ひいいっ!痛っ!痛い・・!ひぃぃ・・!痛いっ!?」
叩かれている間に、耐えきれなくなってきたのだろう、反抗の言葉が悲鳴へと変わってゆく。
 バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!
「どうだ?痛いか!?お前はこの苦しみをツナに味合わせていたのだぞ!?どれだけ自分が理不尽なことをしていたのか、わかるか!?」
乱神モードで強化した平手打ちの嵐を、めだかは嫌というほど浴びせる。
 バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!
「いやああっ!もう・・いやぁぁぁ!許し・・ひいいっ!いやあっ!?やめてぇぇ!?」
プライドも意地もかなぐり捨て、ハンコックは泣き叫ぶ。
バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!バンバンバンッ!
「ダメだ!二度とせぬよう、しっかりと躾けてやる!覚悟するのだ!」
「そんなぁぁ!いやぁぁぁああああああ!!!」
その後、長い間、ハンコックの悲鳴が響き続けた。


 「どうだ、少しは楽になったか?」
お尻に氷袋を載せて寝ているツナに、剣は尋ねる。
「う・・うん・・。何とか・・・」
ツナの返事に、剣もケンシロウも僅かに表情を崩す。
 「剣さん・・ケンシロウさん・・ごめんなさい・・。俺のせいで・・また・・迷惑かけて・・」
「気にすんな。仲間だろうが」
「そうだ。それより・・今は眠るがいい」
「うん。ありがとう・・二人とも・・」
二人が見守る中、ツナは静かに眠り始めた。


 「おのれ・・!わらわにあのような恥辱を与えおって・・!決して忘れぬ!許さぬ!」
手下の海賊たちに手当てされながら、ハンコックはめだかへの怒りと復讐の炎を燃やす。
「そうじゃ・・!今度会ったならば、石にした上で粉々に・・・うっ!?」
薬が沁みたのだろう、ハンコックは呻き声を上げる。
 「も、申し訳ありません!」
手当てをしていた部下が謝る。
だが、ハンコックが許すはずもない。
 「おのれ!不届き者め!?こうしてくれるわ!」
ハンコックは部下を石化させる。
直後、自慢の足技で、石になった部下を粉々に砕いてしまう。
 「何をしている!?手当てを続けよ!?」
同僚の哀れな末路にハッとしたのもつかの間、我に返った海賊たちは、必死に主の手当てを再開していた。


 ―完―

ツナ、バンカラに叱られる(Jスターズより:剣桃太郎/ツナ)


(Jスターズビクトリーバーサスを題材にした、二次創作です。許容出来る方のみご覧下さい)


 「えーと・・こっちだったよね・・・」
沢田綱吉は、地図を確認しながら、呟く。
「ツナ、あまりマゴマゴするな。時間に遅れるのはマナー違反だぞ?」
「わかってるよ、でも、どんな人たちなんだろ?俺とチーム組む人達って?」
リボーンの注意にそう返しながら、不安げにツナは呟く。
今から行く場所で、チームを組む者たちと顔合わせをすることになっているのだ。
だが、どういう相手なのかわからないため、不安なのである。
 「今からそんな顔してても仕方ないぞ。約束の時間までに行くのが優先だぞ?」
「だからわかってるよー!あっ!あそこだっ!!」
ようやく待ち合わせの場所に気づき、ツナは走る。
 「どうやら、既に先客がいるようだな」
「あの人た・・・!?」
ツナも先客の姿に気づく。
だが、直後、ツナの表情が強ばる。
 いたのは二人の男。
いずれも、筋骨たくましい屈強かつ強そうな体格をしている。
一人は昔のツッパリのような、長い学ランを身にまとい、肩に日本刀を担いでいる。
もう一人は、胸に七つの傷がある男。
(な、何―っ!?す、凄く怖そうなんだけどー!?)
二人の見た目や雰囲気に、すっかりツナは圧倒されてしまい、言葉も出なくなってしまう。
 「遅いな・・。時間はとっくに過ぎてんぞ?」
剣桃太郎は腕時計を見ながら、呟く。
「おかしいな・・・」
剣の言葉に、ケンシロウも同意する。
最後の一人が、ここに来るはずなのだ。
 「ん?何だ、お前?何の用だ?」
不意に、剣はツナの姿に気づく。
「え?あ・・あの・・その・・!?」
ツナは答えようとするが、上手く言葉が出ない。
 「おい?何だ?言いたいことがあるなら、はっきり言えって。男だろ?」
「剣・・お前のその見た目と雰囲気のせいだろう?」
「おぃおぃ、ケンシロウ、お前だって似たようなモンだろう?」
ケンシロウの言葉に、剣はそう返す。
 「おぃ、ツナ、しっかりしろ。どうやら、俺達の仲間らしいぞ」
見かねたのだろう、リボーンが助け舟を出す。
「ん?お前が最後のメンバーか?」
「え・・?あ、は、はい・・。さ・・沢田綱吉・・ツ、ツナ・・です・・・」
「まぁ何だか俺やケンシロウの時代の連中に比べると、頼りなさそうだなぁ。まぁいいぜ。俺は剣桃太郎、よろしくな」
「俺の名は・・ケンシロウ・・」
「あ・・は・・はい・・」
(っていうか、大丈夫なのー!?ヒバリさんより、怖そうな人達なんだけどー!?)
剣とケンシロウの雰囲気に、ツナはそんなことを思わずにはいられなかった。


 それから数日後・・・。
「ゴムゴムの・・ジェットガトリングーーッッッ!!」
「うわああっっ!!」
ルフィの強烈なラッシュでツナは思い切り吹っ飛ばされる。
 「そりゃあっ!!火銃っっ!!」
ツナが受け身を取って立ったところへ、エースが指先から炎を発射して狙い撃つ。
その隙にルフィが素早く接近し、ツナへコンボを決めてゆく。
(マ・・マズイ・・!?)
ツナは焦燥に駆られる。
このままでは、KOされてしまう。
だが、集中攻撃で逃げるに逃げられない。
そのまま、倒れるかと思ったそのときだった。
 「あたっ!あたっ!あたあーっっ!!」
「うわっ!うげっ!」
気合いと共に、駆けつけたケンシロウが、ルフィに連続攻撃を決めたのだ。
「北斗神拳奥義ッ!天破活殺ッッ!!」
ケンシロウはさらに、闘気を飛ばして、ルフィを吹っ飛ばす。
 「やりやがったなっ!火・・・」
「させるかっ!!硬布拳砕功ッッ!!」
エースがケンシロウを撃とうとしたそのとき、サポート役の剣が、闘気を注入したハチマキでエースを斬りつけ、吹っ飛ばす。
 「あ・・ありがとう・・ケンシロウさん・・桃さん・・・」
「礼などいい。今は、目の前の敵だ」
「ツナ!気合い入れ直してかかれ!!」
礼を言いかけるツナに、ケンシロウと剣はそれぞれ、そう言う。
ツナは体勢を立て直すと、ケンシロウと共に、ルフィ達へと立ち向かっていった。


 また・・別の日・・・。
「もうやだーっ!英語なんてーっ!」
「甘えるんじゃねえ、英語もまともに出来なきゃ、ボンゴレのボスにはなれねえぞ」
英語の教科書相手に音を上げるツナに、リボーンがそう言う。
 「何だ、何騒いでんだ?」
そこへ、騒ぎを聞きつけたのか、剣が現れる。
「悪い、ツナに英語の授業をしてたんだ。コイツ、全然ダメなんでな」
「なるほど・・。よし!俺も協力しよう!」
「ええーっ!?」
ツナは思わず声を上げてしまう。
こんな見るからに昔のヤンキ―みたいな人に、教えられるのか?
出来ないと、怒鳴ったり殴ったりするのでは?
そんなツナの不安を尻目に、剣が教え始める。
 (え・・!?嘘・・凄く・・わかる・・!?)
ツナは自分でも驚く。
剣の教え方がとても上手いのだ。
 「ホレ、頭に入っただろ?」
「ほ・・本当だ・・」
ツナは教科書の英文の意味や発音がすっかり理解出来ている自分に、驚きを隠せない。
 「お前、ナカナカ上手いな」
リボーンも桃の教え方、英語を巧みに操る語学力に舌を巻く。
「まぁ男塾は不良の集まりなんでな。何せ、高校なのに九九とかやってんだぞ」
「そうなの!?」
剣の母校である男塾の学力に、ツナは衝撃を受ける。
「それだけに、仲間に教えるのとかも結構大変だがな。まぁ、こんなところで役に立つとはな」
「あ・・ありがとう・・桃さん・・」
「気にすんな。仲間だからな」
礼を言うツナに、剣はそう言うと、部屋を後にした。


 (誤解してたな・・・。俺・・・)
剣とケンシロウのことを思い返しながら、ツナは心の中で呟く。
見た目が怖そうなので、怖い人とばかり思っていたのだ。
だが、その裏には、人を思いやる優しさがあることに気づいていた。
ケンシロウも、剣も、仲間であるツナがピンチになれば、必ず駆けつける。
さらに、剣は、勉強が出来ないツナのために、リボーンと共に、勉強にも付き合ってくれている。
 (見た目だけで怖い人って決めつけちゃって・・いい人たちなのに・・・)
ツナは自分の振舞いを反省する。
「ツナ、どうした?そんな顔して?」
ツナの態度に気づいたのか、リボーンがそう尋ねる。
 「うん、何か・・ケンシロウさんや桃さんに・・世話になってばかりだなって・・」
「そうだな、もう少ししっかりしろだな」
「わ、わかってるよ!!も・・もう、遅いから寝るよっ!!」
バツが悪いのか、そんなことを言うと、ツナはベッドへ入っていった。


 「うう・・!しまった・・!」
ツナは足首をさすりたくなるのを、必死に堪える。
(俺の馬鹿!ベッドから転がり落ちて、捻挫しちゃうなんて!?)
ツナは自分のうかつさを罵りたくなる。
寝ぼけてベッドから落ちてしまい、その際に足を怪我してしまったのだ。
 (マズイ・・!今日は俺が戦う番なのに・・!?)
ツナは焦燥感に駆られる。
今日は自分がメインの闘士として、戦うことになっている。
だが、この足では、満足に戦うことは出来ない。
 (代わってもらうしか・・!いや、そんなこと出来ない!?)
自分の不注意で、他のメンバーに迷惑をかけたくは無い。
(幸い・・三人とも買い物で出かけてるし・・。何とか誤魔化せるかも・・!!)
ツナは以前に、リボーンから習った応急手当の仕方を必死に思いだしながら、足の手当てに取りかかった。
 「おぃ、大丈夫なのか?」
「え?な、何が?」
剣の問いに、ツナは思わず聞き返す。
 「どこか調子でも悪いのか?」
「な・・何でも無いよっ!!ぜ、全然大丈夫だよ!!」
ツナはわざと飛び跳ねたりしながら、アピールしてみせる。
本当は、歩くのも辛いが、迷惑をかけたくないため、必死に誤魔化す。
 「ならいいが・・・。っと、来やがったな!!」
納得していないながらも、対戦相手の姿に、剣はすぐ意識を切り替える。
ツナも死ぬ気モードになり、戦闘準備を整える。
直後、ツナと剣は敵めがけて、斬り込んでいった。


 (俺の・・馬鹿・・!?)
一人部屋に籠ったまま、ツナは沈んでいた。
(結局・・足引っ張って負けちゃうなんて・・!!何やってるんだよ!?)
試合を振り返り、ツナは自分を責める。
足を怪我したことが災いし、集中して敵に狙われ、ツナがKOを取られて、負けてしまったのだ。
申し訳なくて、仲間に顔向け出来なくて、たまらない。
ツナはだんだん、暗い気持ちに支配されてゆく。
やがて、暗い感情で満たされたツナは、そのままフラフラと、部屋を後にした。
 「ん・・?」
素振りをしていた剣は、ツナの姿に声をかけようとするが、何だか様子がおかしいことに気づく。
思わず、そのまま追いかけると、ツナはどんどん、街の方へと出てゆく。
やがて、橋までやって来ると、欄干にもたれかかり、ジッと川を見つめている。
 (おい・・!まさか・・!?)
嫌な予感がした直後、ツナは川へ飛び込んでしまう。
(やりやがった!!)
とっさに、剣もツナを追って、川へと飛び込み、引き上げる。
(クソ・・!?息してねえぞ!!)
そのことに気づくと、剣は必死に人工呼吸を始めた。


 「あれ・・?」
「気がついたか?」
目を覚ましたツナの視界に、最初に飛び込んで来たのは、安堵したような剣の顔だった。
 「俺・・確か・・・川に・・・」
「そうだ。飛び込んだ。だから、俺も飛び込んで、引き上げた」
「そ・・そうだったんだ・・。ごめんなさい・・・」
「全くだ・・。こんバカッッ!!」
剣に思い切り怒鳴られ、ツナは縮み上がる。
 「ご・・ごめんなさい・・!!ってうわあっ!?」
突然、ツナは剣の膝に引き倒される。
直後、下着ごとズボンを降ろされ、お尻を出されてしまう。
 「うわあっ!?な、何するのっ!?」
「決まってんだろ!仕置きだ!覚悟しろよ!!」
そう言うと、剣は手を振りかぶった。


 バッシィーンッ!!
「ひいいっ!!」
激しい音と共に、ツナのお尻に衝撃が走る。
 バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!
「うわあああっ!痛いっ!痛いよおおっ!!」
骨まで響きそうな打撃に、ツナは悲鳴を上げる。
 バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!
「うわあんっ!剣さんっ!やめてぇっ!痛いっ!うあああんっ!痛あいっ!」
「馬鹿野郎っ!仕置きだってんだろうが!馬鹿な真似しやがって!!」
泣き叫ぶツナに、剣は叱りながら、容赦ない平手打ちを落としてゆく。
 バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!
「ぐす・・!だって・・俺のせいで・・負け・・ちゃっ・・うわあっ!!」
「それがどうしたってんだ!?負けたなら、修行をすればいいだろが!!それだけの話だ!!ウジウジしやがって!!」
ツナのお尻を叩きながら、剣はお説教を続ける。
 バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!バッシィーンッ!
「うう・・!でも・・・うわあんっ!!」
「いつまでもウジウジしてんな!俺らに悪いと思うなら、修行でもしろ!?どうしても死にたいのか?だったら・・このままケツ叩き続けて、死なせてやってもいいんだぞ?」
「そ・・そんなの、ヤダーーーッッ!!」
想像したのだろう、ツナはこの苦しみがずっと続く恐怖に身を震わせる。
 「おい、もう死のうなんて気は失せたか?」
剣はお尻を出したままのツナを抱き起こすと、抱きしめる。
「も、もうないよっ!こ、こんな苦しい死に方なんて、い、嫌だよ!?」
「飛び込み自殺だって苦しいぞ?おぼれ死ぬんだからな。全く・・ヒヤヒヤ・・させやがって・・・・」
「ごめんなさい・・。心配・・かけたね・・・」
安堵したように言う剣に、ツナは謝る。
「わかりゃあいい。ちょっと待ってろ」
剣はツナを一旦、ベッドにうつぶせに寝かせる。
その後、救急箱を取って来た。
 「う・・!剣さん・・!い・・痛いぃぃ・・!?」
「これくらい我慢しろ。お前さんも男だろ」
そう言いながら、剣は薬を塗っていく。
 「うう・・・!まさか・・お尻・・叩かれるなんて・・」
ツナは羞恥で顔を赤くする。
「コレに懲りたら、負けたからって馬鹿なこと考えんなよ」
「わ・・わかってるよ!も、もう・・しないよっ!!」
羞恥で顔を赤くしたまま、ツナは答える。
「ならいい。そのまま、休みな」
そう言うと、剣は部屋を後にした。


 「ツナが戻って来たそうだな?」
部屋を出た剣に、ケンシロウが尋ねる。
「ああ、負けたのを気にして、川に飛び込んだ。別に命に別条は無い」
「そうか・・・」
剣の言葉に、ケンシロウはホッとする。
 「全く・・・。世話が焼けるな・・。おかげで・・放っておけないぜ・・・」
「そうだな・・・」
剣とケンシロウは、そんなことを言い合う。
 「どこへ行く?」
「狩りだ。傷の回復に効果のある獣がいるらしい・・・」
「偶然だな。俺も、そう思ったところだ」
そう言うと、二人して、ツナのための、狩りへと今度は出かけていった。


 ―完―

プロフィール

山田主水

Author:山田主水
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