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契遼州物語8(ショタ/ショタ)



 その日、いつものように、近方が、管轄区域内の巡回を終えて、戻って来たときのことだった。
「どうした?何をソワソワしている?」
近方は留守番の兵士達が、落ち着かない様子なのを、すぐに察知する。
 「あっ!隊長!お帰りなさいませ!!」
兵士の一人が敬礼しつつ、急いで挨拶する。
「『お帰りなさいませ』ではない。どうしたのだ?何かあったのか?」
「す、すみません。実は、隊長を訪ねてお客様がいらっしゃいまして。総督室にて、お待ちしております」
「何?誰だ?」
近方は怪訝な表情を浮かべる。
来客の予定など、無いはずだからだ。
 「まさか・・・佐々原か?」
近方は思わず嫌そうな表情を浮かべて、尋ねる。
アポも取らずに来るような失礼な輩といったら、まず思い浮かぶ相手だからだ。
「いえ、佐々原様ではありません。実は・・・」
兵士の一人が、恐る恐る近方に、来客の名を告げる。
「何!?まさか・・・冗談では無かろうな!?」
「そ、そんな・・滅相も無い!!本当です!!」
近方の問いに、兵士は必死に答える。
「おやおや?どうしたのです?随分と・・騒がしいようですが・・・」
近方と兵士達のやり取りを聞きつけたのか、近方達とは別の声が、人影と共に現れた。
 現れたのは、近方と同年代の少年。
天然パーマ気な艶のある緑髪と、同色の瞳が印象的な、おっとりさと高貴さのない交ぜとなった雰囲気の持ち主だ。
おっとりげな感じが余計に中性的な美しさを、強調している。
 「入雲宮様!!」
少年の姿に、近方は思わず敬礼する。
少年は、扶桑国の王家である人皇(じんのう)家の一人、いわゆる皇族だ。
名は入雲宮(いるものみや)。
扶桑国開拓地の主要都市・大順(だいじゅん)に数年前に創建された、契遼神宮(きつりょうじんぐう)の神主を務めている。
契遼神宮は、開拓地の総鎮守として創建され、また人皇家の祖先神を祀る国家的な宗教施設の為、皇族の一人である入雲宮が、神主に任命・派遣されている。
 「何故このようなところに・・・!?神宮の方はどうされたのですか!?」
近方は思わず尋ねる。
少年ながら、入雲宮には、神宮の主として、様々な務めがある。
ここに来る余裕など、無いはずだ。
 「ああ・・・。それですか・・・。実はその・・・・」
入雲宮は、気まずそうな表情を浮かべ、語尾がはっきりしなくなる。
近方は部下の方を振り向くと、二人だけにするように命令する。
部下達が出てゆき、二人きりになると、近方は厳しい表情で、入雲宮と向き合う。
 「入雲宮様・・・・務めをサボって、出て来ましたね?」
「す・・すみません・・!!その通り・・です!!許してください!!」
入雲宮は必死に頭を下げて、謝る。
 「やはり・・・。何故、そんなことをされたのです!?」
近方は出来るだけ声のトーンを抑えつつ、尋ねる。
「ごめんなさい・・・。あまりにも公務が忙し過ぎて・・・本当に・・すみません・・・」
「宮様が大変なのは、よくわかっております。しかし・・・公務を放棄するのは・・いかがなものでしょう。それに・・・・その為に、迷惑を蒙る者もいるのですよ?」
「わ・・わかっています・・。少ししたら・・・ちゃんと戻ります・・・」
「わかっていただければ、よろしいです。神宮の方には、私の方から、うまく説明しておきますから」
「ああ・・。いつもすみません・・。感謝します」
近方の言葉に、入雲宮は、安堵の表情を浮かべる。
 「ですが・・・。入雲宮様のしたことを、見逃すわけにはゆきません。お仕置きは・・受けていただきますよ」
「わ・・わかり・・ました・・・・」
入雲宮は、自分でズボンを降ろして、お尻を出すと、おずおずと近方のもとへとゆく。
近方は、椅子に腰を降ろすと、お尻を出した入雲宮を、自身の膝の上に乗せた。
 「では・・・始めます。しっかり・・・反省して下さい」
近方はそう言うと、ゆっくりと手を振り上げた。


 バッシィィィンンン!!!
「あ・・・!?」
お尻を叩かれ、入雲宮は、思わず声を漏らす。
 バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!
「あ・・!う・・・あぁ・・!い、痛・・」
続けてお尻に落とされる平手に、宮は、苦しげな表情を浮かべる。
 「入雲宮様・・・・。全く・・貴方は何をしているのですか・・・」
宮のお尻に平手を落としながら、近方はお説教を始める。
バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!
「大変なお立場なのは、わかっております。時には・・全て、投げ出したくなるのも、無理からぬことでしょう」
宮のお尻を叩きながら、近方は察するように言う。
バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!
「う・・・ひぅ・・・!痛・・・!うう・・!痛あ・・・!?」
お尻を叩かれる苦痛に、宮は脂汗を流す。
 バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!
「されど・・・宮様のしたことは、許されることでは・・ありません!!宮様が、こうして職務を投げ出したことで、多くの者に迷惑がかかるのです!!それを・・おわかりですか!?」
近方は平手の勢いを強めつつ、入雲宮に、お説教する。
 「ひぃう・・・!ご、ごめんなさい・・・!!皆には・・ちゃんと・・謝ります・・!!」
入雲宮は、涙を流しながら、近方に謝る。
「謝るだけでは、不足です!一番大事なコトは、何ですか?」
宮のお尻を叩きながら、近方は問いかける。
「ひっう・・・!も、もう・・務めを投げ出したり・・しません・・!!約束・・・します!!」
「その言葉・・・嘘ではありませんね?」
「もちろんです!神かけて・・・誓います!!」
「わかっていただけて・・何よりです・・。ですが・・・」
近方は一旦、言葉を切ると、思いきり手を振り下ろす。
 バッシィィィぃンンンン!!!
「うわああああ!!!!!!」
とびっきりの一撃に、入雲宮は背をのけ反らせて、絶叫する。
 「もし、約束を破った際には・・この程度のお仕置きではすみませんよ。よく・・覚えておいて下さい」
近方の言葉に、宮は必死に頷く。
それを見ると、近方はようやくお尻を叩く手を止めた。


 「宮様・・・。大丈夫ですか?」
真っ赤にお尻に氷嚢を載せた宮に、近方は思わず声をかける。
「大丈夫です。それより・・貴方には、迷惑をかけました。すみません」
「いいのです。まぁ・・・宮様、どうしても・・・というときには、私にご相談ください。私で出来ることなら・・・力になります」
「ありがとう、その気持ちに感謝します。しかし・・・私も、もう戻らねばなりません。皆に迷惑や心配をかけましたしね」
「では・・私もお供します。宮様お一人で行かせるわけにはいきませんから」
近方はそう言うと、お尻を仕舞った宮を支えつつ、共にその場を後にした・・。


 ―完―

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契遼州物語7(ショタ/ショタ)



 山の中腹にある荒れ寺。
その山門をくぐり、境内に足を踏み入れた者がいた。
現れたのは近方。
近方は、周囲を警戒しながら、本堂へと進んでゆく。
近方は、誰にも邪魔されることなく、本堂の奥、本尊を安置している祭壇の前まで、やって来た。
 「やっほ~、ソウちゃん。待ってたよ~~」
祭壇の上には、手足を縛られた佐々原の姿。
「『やっほ~』ではないだろう。おめおめと・・さらわれるなど!!只信、恥を知れ!!」
近方は思わず、怒りの表情を浮かべる。
近方がこの場所に現れた理由。
賊にさらわれた佐々原を救出するためだ。
嫌いではあっても、親戚そして同じ治安隊の隊長である以上、見過ごすわけにはいかない。
それだけに、反省の色の見られない佐々原の態度に、思わず苛立つ。
「わかってるよ~!お仕置きもお説教も、後でちゃんと受けるからさ~。今は助けてよ~~」
ヘラヘラした佐々原の態度に、近方は苛立ちを隠せない。
それでも、怒りを堪え、佐々原の縄を軍刀で切ってやる。
 「ありがと~、さすがソウちゃん!愛してるよ~~!!」
佐々原は満面の笑顔で抱きつく。
「うるさい!黙れ!離れろ!!変態!!どこを触っている!?」
頬ずりどころか、どさくさに紛れてお尻まで触って来る佐々原に、近方は怒りの鉄拳をお見舞いする。
 「うう~!痛いなぁ、ソウちゃん、愛が重いよ~~!!」
「黙れ!?いい加減にせんと、斬るぞ!?」
近方は怒りのあまり、サーベルの柄に手をかける。
直後、近方は本堂の入口の方を振り向いた。
 いつの間にか、入口の前に、人影が立ちはだかっている。
全身、黒づくめで、目以外は隠しているため、正体もわからない。
体格はかなり良く、黒づくめの服越しでも、隆々とした筋肉が見てとれた。
黒装束の人物は、近方に対して、殺気を隠そうともしない。
手には、分厚く幅広の刀を手にしている。
 「貴様・・!何者だ!?」
近方は居合の構えのまま、黒装束に問いかける。
黒装束はそれには答えず、刀を振り回しながら、近方に襲いかかって来た。
 真っ向から振り下ろされる黒装束の刀を、近方は横に回り込むように動いてかわす。
かわしながら、近方は黒装束のがら空きの胴に、抜き打ちを浴びせる。
だが、刀が胴に当たった直後、金属のぶつかる音と共に、刃が弾かれた。
間髪入れずに、黒装束が刀を横なぎに斬りつけてくる。
近方は敵の刀をかわしつつ、斬りつけた部位をジッと見つめる。
黒装束の裂け目からは、鎖帷子がチラリと見えた。
 (やはりな・・・。刀の手ごたえからもしやとは思ったが・・)
敵がしっかりと防具を付けていることを、近方は確信する。
ならば、刃は敵の身体には通らない。
もっとも、それで動揺する近方ではないが。
 敵は間髪入れず、刀を振り回し、近方を攻め立てる。
近方は、サーベルを相手の刀に合わせることなく、右に左に逃げながら、ギリギリの間合いでかわし続ける。
やがて、少しずつ、黒装束の息が、焦りと苛立ちで、荒くなってくる。
そこで、近方はさりげなく、敵が打ち込める隙を見せる。
隙を見せるや、黒装束は、真っ向から近方の頭めがけ、刀を振り下ろしてくる。
近方は、それをギリギリまで引きつけてから左に回り込むように動いてかわす。
かわすと同時に、近方は黒装束の左足に、足払いをかける。
足払いを食らった黒装束は、宙に足を投げ出すようにして、床に倒れる。
倒れた黒装束の頭に、近方は間髪入れずに、渾身の蹴りを叩き込む。
ウッといううめき声と共に、黒装束はそのまま、気を失った。
 「こやつは・・・」
黒装束の覆面を取った近方は、そう呟く。
以前、壊滅させた匪賊の幹部だった男だ。
手入れの際に、根城にはいなかったため、行方を追っていた相手だった。
 「なになに、ソウちゃん、知ってるヤツ~?」
「以前、壊滅させた賊の一人だ。手配書が治安隊に回っているはずだぞ?」
「ああ、そうだったっけ~?覚えてないな~~~」
「只信・・貴様、本当に隊長としての仕事をしているのか?」
手配書が回っているはずの賊のことを知らない様子の佐々原に、近方は思わずイラッとする。
 「ごめんごめん、後でちゃんと調べとくからさ~~。機嫌直してよ~~」
「只信・・・。帰ったら・・覚悟しておけ」
ヘラヘラした表情を浮かべる佐々原に、近方は不機嫌な声で、そう言った。


 数時間後・・・・。第七治安隊の隊長室。
不機嫌な近方と、対照的にニコニコしている佐々原の姿があった。
「只信・・・どうして呼ばれたか、わかっているな?」
「もっちろん~、僕との愛を・・育むためでしょ?」
「全く違う!!只信とそういう気は全くない!!」
佐々原の言葉を、近方は全力で否定する。
 「え~、じゃあ何なのさ~?」
「只信・・・!!お仕置きだ!!」
近方はそう言うと、佐々原の手首を取る。
あっという間に、佐々原は引き倒されたかと思うと、近方の膝の上に乗せられていた。
同時に、下着ごと短パンを引き下ろされ、お尻をむき出しにされてしまう。
「行くぞ・・只信。覚悟しろ!!」
近方はそう言うと、ゆっくりと手を振り上げた。


 バアジィィンンン!!
「ああああんんん!!??」
近方の強烈な平手打ちに、佐々原は背をのけ反らせ、悲鳴を上げる。
バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!
「きゃあんっ!ひぃんっ!痛あっ!ひぃうんっ!?」
(ああ・・・!ソウちゃんの膝の上で・・・ソウちゃんの手で・・お尻・・叩かれてる!?)
佐々原はお尻を叩かれる苦痛に身をよじり、悲鳴を上げながら、そう心の中で呟く。
 バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!
「あああんっ!きゃあひぃんっ!ひぃうんっ!ひっいっ!いいっひぃんっ!?」
(さすがソウちゃん!容赦ないお仕置きだね!?痛いいいい!!で、でも・・幸せえええ!!!???)
苦痛に悶えながら、佐々原は悦びを覚える。
痛みと引き換えに、近方の手の感触を自らのお尻に感じ、佐々原は興奮する。
 バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!
「この馬鹿者!馬鹿者!!貴様・・一体何をやっているのだ!?」
近方は怒りを燃やしながら、佐々原のお尻を容赦なく叩く。
バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!
「治安隊の長ともあろう者が、おめおめと賊に誘拐されおって!!恥を知れ!!」
「ああんん!痛いいいい!ソウちゃんごめんなさい!!ごめんなさい~~!!あああん!?」
お尻を叩きながら叱りつける近方に、佐々原は両足をバタつかせながら、謝る。
謝る佐々原の声には、どことなく嬌声が混じっていた。
バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!バッジィンッ!ビッダァンッ!バアッアンッ!バアジィンッ!
「ごめんなさいっ!ああ・・!?ああああーーーー!!」
近方の平手打ちをお尻に受けている最中、佐々原は興奮のあまり、達してしまう。
膝の上に異様な感触を覚えた近方は、思わず佐々原を床に投げ出してしまう。
 「た~だ~の~~~ぶ~~~!!??何だコレは!!!!!」
膝の上に残った佐々原の興奮した跡に、近方は怒りを燃え上がらせる。
「ソウちゃん!不可抗力だよ!?ソウちゃんにお尻叩かれたら、興奮しちゃうんだから!!」
「この・・変態めが!!もう・・許さん!!」
近方は怒りのあまり、軍刀を抜き放つ。
(ヤバい!!!)
咄嗟に佐々原は、ズボンを履きながら、逃げ出す。
 「待たんか只信!!成敗してくれる!!」
「幾らソウちゃんでも、打ち首はお断りだよ!!」
佐々原はそう叫びながら、逃げ出す。
その後を、軍刀を振りかぶった、怒りの近方が追いかけていった・・・。


 「ハァ~~~。大変な目に・・遭ったなぁ・・・・」
ようやく近方を撒いて、自身の駐屯地に帰った佐々原は安堵の息を吐く。
(切り捨てられそうになったのは想定外だけど・・・ソウちゃんに・・たっぷりとお尻叩かれたのは・・やっぱり良かったなぁ・・)
佐々原は鏡に映る自身の真っ赤なお尻を見ながら、ウットリする。
近方を何よりも愛する佐々原にとっては、近方からのお尻叩きは、何よりも幸せを感じられるものだった。
 (たまには・・誘拐されてみるのもオツだね!!)
佐々原はそんなことを思いながら、ジッと鏡に映る自分のお尻を見つめていた・・。


 ―完―

契遼州物語6(ショタ/ショタ)



 「あれか・・・・。赤蓮教(せきれんきょう)の寺院は・・・」
双眼鏡を当てた姿で、近方は呟く。
双眼鏡に映るのは、赤い蓮の旗を掲げた、壮麗な寺院。
最近、勢力を広げている赤蓮教のものだ。
 寺院を見つめる、近方の表情は険しい。
赤蓮教は、反外国を掲げ、契遼州各地で外国人を襲撃している。
扶桑国開拓地も例外ではなく、しばしば彼らの襲撃を受けている。
彼ら赤蓮教の手にかかり、命を落とした開拓者や治安関係者は数知れない。
 ふと、近方は懐から、数枚の写真を取り出す。
写真に写っているのは、第七治安隊の隊員達。
いずれも、赤蓮教の手にかかって、殉職した者達だ。
 (もうすぐだ・・!!お前たちの無念を晴らすぞ・・!!)
写真に向かって、近方は心の中で、叫ぶように言う。
(だが・・・・)
直後、近方は懐中時計を取り出し、時刻を確認する。
(遅いな・・・。合流時間は過ぎているぞ・・・)
近方は怪訝な表情を浮かべる。
今回の作戦は、第八治安隊との共同作戦。
佐々原率いる第八治安隊と合流の上、突入することになっている。
 (何をしているのだ?いい加減なやつではあるが・・・)
いけ好かないいとこの顔を思い浮かべ、近方は険しい表情を浮かべる。
そのとき、従卒が近方の元にやって来た。
 「どうした?」
「はっ!第八治安隊の佐々原隊長からの通信が入っております!!」
「何?とにかく、繋げ」
「はっ!!」
すぐに部下が通信装置を用意する。
 「ハッロ~、ソウちゃ~~んっっ!!」
スイッチを入れるなり、佐々原の声が受話器から聞こえてくる。
「何のつもりだ?もうとっくに合流予定時間は過ぎているぞ?」
近方は苛立ちをおさえて、尋ねる。
「それなんだけどね~~。ごめんね~~。実はさ~、進軍ルート間違えちゃってさ~。思いきり迷っちゃったんだよね~~」
「は!!!???」
佐々原の言葉に、近方は開いた口が塞がらなくなる。
 「ふざけるな!!貴様!!任務を何だと思っている!!」
「そうは言ってもさ~。ね、ね、お願い!助けてよ~!いとこのよしみでさ~!ソウちゃんの愛を待って・・・」
近方は怒りと呆れのあまり、受話器を叩きつけるように切る。
 「あの・・馬鹿イトコめ・・!!」
心底からの怒りを込めて、近方は吐き捨てるように、呟く。
「どういたしますか?見捨てるわけにも・・・」
「わかっている!?だが・・・任務を放り出すわけにはいかん!!通信の発信地はわかっているのか?」
「はい。×××地点です」
「仕方ない・・・。この辺の地理に精通した者と通信係、その護衛の者達を連れて、迎えに行け。他の者は全員、今より、寺院に突入せよ!!」
「はっ!!了解いたしました!!」
従卒が命令を伝えに行くと、近方は不機嫌な表情を浮かべる。
 (馬鹿者め・・!!嫌がらせのつもりか・・?)
佐々原の性格を思うと、そんな疑いも、近方は抱きたくなる。
(とにかく・・今は寺院の制圧が第一だ!!こんなところでグズグズしているわけにはいかん!!)
佐々原への怒りを覚えつつも、気持ちを切り替え、近方はその場を離れた。


 「さぁ!!赤蓮の子らよ!!神聖な国土を汚す、禽獣(きんじゅう)共に裁きを下すのだ!!」
祭壇の上から、一人の少年が、信徒達に呼びかける。
少年は、教団のシンボルである赤い蓮を描いた僧服に身を包み、飾りのついた杖を掲げている。
この少年こそ、教祖である善賢太師(ぜんけんたいし)・遼角(りょうかく)であった。
 祭壇の下には、囚われた、外国人の少年達の姿。
全員、お尻をあらわにした姿で、台に拘束されている。
それぞれの台の脇には、トゲの付いた大きなパドルを持った、筋骨たくましい信徒が立っている。
少年達を、このパドルで、死ぬまで尻打ちするつもりなのだ。
 「さぁ!今こそ・・・裁きの時ぞ!!やれい!!」
壇上から、杖を掲げて、遼角が命令を下す。
その命令を受けて、信者たちが、パドルを振り下ろそうとした、そのときだった。
 ドンッ!ドンッ!ドンッ!!
数回、何かがぶつかる音がした後、ドアが破壊され、扉が開いた。
「第七治安隊である!!開拓地襲撃並びに、暴行・殺人等の罪により、逮捕する!!神妙にせよ!!」
部下を引き連れ、突入した近方は、赤蓮教の一党に、そう宣告する。
 「おのれ・・・!!禽獣共の頭の一人か!!赤蓮の子らよ!!まずはこやつ等から先に、裁きを下すのだ!!」
「抵抗する気か!?やむを得ん!!全員、取り押さえよ!!」
遼角、近方、それぞれの命令と共に、兵士達と、信者たちがそれぞれ武器を構えて、ぶつかり合う。
怒号や火花、悲鳴が飛び交う中、近方は遼角目がけて、突き進む。
そうはさせじと、信者たちは刀や手斧などの武器を構え、近方に殺到する。
 「邪魔だ!!のけいっっ!!」
近方は鞘に納めたままの軍刀を右に左に振るって、押し寄せる信者たちを次々と吹っ飛ばして行く。
あっという間に、近方は遼角の元にたどり着く。
と同時に、近方は抜き放った軍刀を遼角に突きつけた。
 「ここまでだ!!神妙に縛に着くがいい!!」
近方は遼角の喉元に切っ先を突きつけて言う。
「動くな!!武器を捨てよ!!さもなくば、教祖の命は無いぞ!!それでもよいか!!」
軍刀を突きつけながら、近方は信徒たちに向かって言う。
 「ふふ・・・。我を人質に取らんとするか・・。禽獣にしては頭が回るのう」
「黙った方が良いぞ?貴様の命は私が握っているのだぞ?」
「そう思うか?浅はかな・・・。あれを見よ!!」
遼角はそう言うと、別の方角を指さす。
近方は切先を突きつけて警戒しつつも、遼角の指さした方向を見やる。
 「やっほ~。ソウちゃん~~~」
ヒラヒラと、佐々原は近方に向かって、笑顔で手を振る。
台に拘束された姿で。
しかも、ご丁寧にも、信徒達が槍を向け、いつでも佐々原を刺し貫ける体勢を取っている。
近方が教祖に刃を降ろせば、佐々原もただでは済まないのは、明らかだった。
 「只信!?何をしている!?」
「いっや~。それがさぁ、迷ってるところをさぁ、こいつらに捕まっちゃったんだよね~~」
「笑いながら言うことか!!!この愚か者!!」
近方は怒りの声を上げる。
暴徒を鎮圧するためにやって来たはずなのに、逆に捕えら、人質にされるなど、とんでもない失態だ。
もし、遼角が居なければ、自分が斬り捨てたいほどだ。
 「さぁ・・・。どうする?我を討つか?禽獣の頭よ?」
遼角は余裕を感じさせる表情を浮かべて、近方に問いかける。
「く・・・!?」
近方は表情を歪める。
いけ好かないと思っていても、佐々原はいとこにして同僚。
見捨てることは出来ない。
 「やむを得ん・・!!友軍を見捨てるわけにはいかぬ・・!!私の負けだ・・!!お前たちに・・・降伏しよう・・!!」
近方は無念の声と共に、軍刀を降ろし、遼角を解放する。
 「良い判断だ、禽獣の頭よ。赤蓮の子らよ!!この獣の頭をまずは牢に連れてゆけい!!」
「く・・!!」
すっかり立場逆転した近方は、怒りと無念に表情を歪めつつ、信徒らに拘束される。
直後、捕虜用の牢へと、連行されていった。


 数日後・・・・・。
祭壇の前に、近方の姿があった。
軍服姿のまま、上半身うつ伏せで、ズボンを降ろされてお尻を突き出した体勢で、台に拘束されている。
 「赤蓮の子らよ!!よく見よ!!神聖な国土を荒らす、禽獣共の頭を捕えたぞ!!」
遼角の言葉に、集まっていた信者たちから、歓声が上がる。
「く・・!?」
さらしものにされる屈辱と怒りに、近方は顔を歪める。
 「皆の者、よく聞くがよい!!今から・・この禽獣の頭に、天の裁きを下す!!神聖な国土を荒らし、天の声を聞こうとせぬ愚か者共の末路、よく見届けるがよい!!」
遼角は信徒たちに向かって言うと、自ら、パドルを手に取る。
 「さぁ・・!!ケダモノ共の頭よ!!天の裁きを受けるがよい!!」
そう叫ぶと共に、遼角は近方のお尻目がけ、パドルを振り下ろした。


 バッチィィィンンン!!
「ぐ・・・!!」
激しい打撃音と共に、パドルが近方のお尻に叩きつけられる。
骨まで響きそうな強烈な打撃に、思わず近方は表情を歪め、声を漏らす。
 (馬鹿者!!何をしている!?テロリスト共の前で、無様な姿を見せる気か!!)
近方は自身を叱咤する。
お尻を叩かれて、泣き叫ぶなどという、情けない姿を見せることなど、決してできない。
何としても耐え抜かねば。
その思いが、今の近方を支配していた。
 バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!
「さぁ!どうだ!汚らわしい禽獣め!!」
遼角は興奮した声で、パドルを近方のお尻に振り下ろす。
バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!
「異国の禽獣の分際で!!我らの神聖な国土を荒らしおって!!さぁ!幼児のように泣き叫ぶがよい!!」
遼角は叫びながら、パドルを何度も叩きつける。
 バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!
「・・・!・・・!・・・!?・・・!!」
容赦なく振り下ろされるパドルが、近方のお尻を、赤く染めてゆく。
近方は必死に耐えるが、パドルを打ちつけられるたび、表情を苦痛で歪める。
 バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バシィンッ!バジィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!
「ええい!!何故、泣き叫ばぬか!!ケダモノなら、ケダモノらしく泣いてみよ!!」
遼角はパドルを叩きつけながら、言う。
 「あいにくだな・・。私は・・貴様ら等には・・くぅ・・はぁ・・・く・・屈さぬ!!き、貴様・・ぐう!?達の・・思い・・通り・・うぐ!!ならぬ・・ぞ!!」
苦痛に顔を歪め、苦悶の声を漏らしながら、近方は遼角に言い放つ。
「おのれ・・!!禽獣の分際で!!ならば・・我が力、受けてみよ!!!」
遼角が怒りの声を上げると同時に、パドルが炎に包まれる。
「ふはははは!!!貴様の尻を焼き尽くし、責め殺してくれるわ!!」
炎を纏ったパドルを、遼角が振り下ろそうとした、そのときだった。


 突然、轟音と共に、壁が崩れ落ちる。
「な・・何だ!?」
思わず、信徒達が声を漏らすや、寺院のあちこちで轟音や叫び声が上がる。
 「大師様!!一大事です!!捕虜の奴らに逃げられました!!」
「何!?おのれ!?見張りは何をしておったのだ!?」
信者の報告に、遼角は怒りの声を上げる。
その間にも、爆発音や悲鳴はさらに増え、寺院内の混乱は深まる。
そんな中、不意に天井から、大きな影が拘束台の前に飛び降りた。
 着地と同時に、影から閃光が数度、迸る。
直後、近方を拘束していた手足の錠が切断される。
錠前が切断されるや、近方は拘束台から、転がり落ちるように、床へ逃れる。
 「く・・!!」
床へ降りた際にお尻をぶつけ、思わず近方は苦痛に表情を歪める。
「ふふ、お尻をぶつけて痛がるソウちゃん、とっても可愛いなぁ」
「くだらんことを言うな!!そもそも・・貴様のせいでもあろうが!!」
日本刀式の軍刀を手にして笑みを浮かべる佐々原に、近方は不機嫌な声で返す。
影の正体は佐々原。
遼角たちが近方に気を取られている隙を突いて、牢から脱出した。
そして予め潜入させておいた部下や密偵らを使って騒ぎを起こし、近方を救出しに来たのである。
 「ええい!!赤蓮の子らよ!!ボヤボヤしている間は無いぞ!!ケダモノ達を、今度こそ討ち取るのだ!!」
遼角の命令と同時に、信徒達が刀や棍棒、手斧などを振りかざして、二人に殺到する。
「甘いっっ!!」
少年らしい高い声と共に、近方は佐々原から受け取った、愛用のサーベル式軍刀を抜き放つ。
直後、大きな×の字の閃光が幾重にも重なって、突進してきた信者たちを吹っ飛ばした。
 「「「「「「ぐうわあああ!!!」」」」」」
悲鳴と共に、信者達は上着や武器を切り裂かれた姿で、床に倒れる。
「さすがソウちゃん!!強くてカッコいい!!ソウちゃんになら、抱かれる方もイイね~!!」
「そのうるさ・・い口を・・しばらく・・閉じていろ!!遼角を・・ぐ!?今度こそ・・捕えるぞ!!」
お尻の痛みに表情を歪めつつ、近方は佐々原に言う。
「了解~。愛しいソウちゃんの為なら・・絶体絶命の危機も乗り切っちゃうものね~~」
佐々原は笑顔を浮かべると、近方と並んで立ち、軍刀を構える。
「おのれ~~~!!禽獣の分際で我らを侮るか!!もう許さぬ!!切り刻んで、細切れにするのだ!!」
遼角の怒りの声と共に、信者たちがどっと、二人目がけて、押し寄せた。


 一時間後・・・・。
「ば・・・馬鹿な・・!?この我が・・禽獣・・如きに・・!?」
放心した表情を浮かべながら、遼角は床に倒れる。
 「ハァ・・・!ハァ・・ぐ・・!?やっと・・・倒し・・たか・・・」
「おかげで・・随分疲れたよね~~」
荒い息を吐き、両肩を上下させながら、近方と佐々原はそんなことを言う。
二人の周囲には、撃退された信者たちが、気絶した状態で、ゴロゴロと転がっていた。
 「く・・!?」
近方は苦痛に表情を歪め、思わず床に片膝をつく。
「うわ!?ソウちゃん!?大変!!お尻が・・!!??」
佐々原は近方の後ろ姿に、思わず声を上げる。
パドルで散々に叩かれた後、戦いで激しい動きをしたために、傷口から血が滲みだし、ズボン越しにお尻を血で赤黒く染め上がっていたからだ。
 「こんなもの・・!!どうという・・こは・・ない!!ぐ・・!!」
近方は軍刀を杖代わりに、無理矢理に立ち上がる。
「でも・・!!せめて・・・じゃあ僕に支えさせて!!」
そういうと佐々原は、近方を脇から支える。
だが、その直後、空いている方の手が、近方のお尻に伸びた。
 「只信!?何だこの手は・・!!」
「ご、ごめん!!つい・・ソウちゃんのお尻・・触りたくて・・・」
その言葉に、近方の怒りが爆発する。
「いい加減にしろ!!この・・変態めが!!!!!!」
直後、佐々原の目の前で、十字型の閃光が迸る。
同時に、佐々原は吹っ飛ばされ、気を失った。


 さらに数日後・・・。
バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!
「ああんっ!?ソウちゃんっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!謝るから許して~~~~~!!」
容赦なくお尻を叩く音が響く中、佐々原の許しを乞う声が、部屋にこだまする。
近方の膝の上に乗せられ、むき出しにされた佐々原のお尻は、怒りの近方の手により、真っ赤に染め上げられていた。
 「『ごめんなさい』で済むか!!貴様の失態で、危うく皆死ぬところだったのだぞ!!この程度で許されると思うな!!」
バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!
「ひゃあああああんんん!!ごめんなさいいい!!」
怒りの近方の声と共に、平手の嵐が、佐々原のお尻に降り注ぐ。
 (お尻痛い~~~!!でも・・大好きなソウちゃんの膝の上に乗せられて・・・ソウちゃんの手でお尻ペンペン・・!!何だか・・興奮しちゃう!!)
お尻を叩かれながらも、佐々原はそんな感慨を抱く。
バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!
「今日は絶対に許さん!!覚悟しろ!!」
「いやああん!!ソウちゃんごめんなさい~~!!」
(痛いけど・・!!でも・・・悪くない・・かも!!)
佐々原はお尻を叩かれる苦痛に悶えながらも、密かに悦びで興奮する。
その後、長い間、お尻を叩く音が響いていた・・・。


 「もう・・ソウちゃん・・・本当に・・容赦ないんだから・・」
鏡に映る赤く染め上がったお尻、お尻に感じる業火のような熱さ、それらに佐々原はそんなつぶやきを漏らす。
 「でも・・ソウちゃんが公開お尻ペンペンされるところも見れたしな~。やっぱりお尻ペンペンされるソウちゃんはカワイイなぁ!!それに・・ソウちゃんになら・・お尻ペンペンされるのも・・・悪くないかも・・!!」
自らの真っ赤なお尻を見つつ、佐々原はそんなことも呟いていた・・・。

 ―完―

契遼州物語5(/ショタ)



 平原地帯の真っただ中に、その丘はあった。
草で覆われているが、所々、石壁が見えている。
丘は、古代の墳墓。
誰の墓かはわかっていない。
その墳墓に、ゆっくりと、近づいてゆく、複数の人影があった。
人影は、治安隊の制服と装備を身に着けている。
先頭には、近方の姿もあった。
 近方と、兵士達は、慎重に、墳墓へ近づいてゆく。
全員、緊迫した表情を浮かべている。
ある程度、接近したところで、一行の歩みが止まった。
 「ここが○○○墳墓だな?」
近方は、案内人に尋ねる。
案内人の地元民は、緊張と恐怖に満ちた表情で頷く。
この墳墓は、地元では、呪われた場所として、知られているからだ。
現に、盗掘者や調査隊などが、何度もこの場所で、行方不明や不審な死亡事故に遭っている。
案内人も、相当高額の案内料を提示され、ようやく案内することにしたほどだ。
だが、これ以上は幾ら金額を提示されようが、銃で脅されようが、近づくつもりは無い。
近方も、それを理解していた。
 「もう一つ、尋ねる。確かに・・ここに、博士が来たのだな?」
近方の問いに、案内人はそうだと答える。
「よし・・・。お前は案内人と一緒に、ここに残れ」
近方は、部下の一人に、そう命令する。
 「いいか。もし・・・朝になっても、私が戻らなければ、お前たちは戻り、本部へ報告せよ」
近方は、案内人と居残りの部下にそう命令する。
「では・・他のものは私と共に、ついて来い。行くぞ!!」
近方は愛用の軍刀を構えて、命令を下す。
そして、自身が先頭に立って、墓へと、進み始めた。


 「これは・・・・!?」
中に踏み込んだ近方は、思わず、声を上げる。
左右に、非常に色彩豊かな壁画が、ずっと並んでいたからだ。
 「コレは・・・スゴイですね」
後について、踏み込んだ部下が思わず、感嘆の声を上げる。
「馬鹿者!!こんなものの・・・どこが素晴らしいというのだ!?」
対して、近方は不快極まりない、と言わんばかりの表情を浮かべている。
壁画は全て、少年への尻叩きを題材にした内容だったからだ。
近方にしてみれば、悪趣味でしかない。
そのうち、嫌悪感で、壁画を破壊してしまいそうだ。
 「壁画はどうでもよい!我々の目的は、博士を探し出すことだ!!行くぞ!!」
半ば自身の嫌悪感を吹き飛ばす為に、近方がそう叫んだときだった。
「た、隊長!!」
不意に、部下の一人が声を上げ、何かを指さす。
部下が指さした方向には、何者かが、うずくまっている。
 うずくまっているのは、探検服姿の少年。
全身、傷だらけで、所々、血がにじんでいる。
「あ、あれは!?博士では無いですかああああ!!!!」
部下達は、思わず声を上げる。
傷だらけでうずくまっている少年こそ、彼らが探し求める博士だったからだ。
咄嗟に、新人の兵士が、博士に駆け寄ろうとする。
 「待て!!何かおかしい!!」
近方は、部下を制止しようとする。
だが、間に合わず、新人の部下が、博士の傍へたどり着いた、そのときだった。
 突然、博士の全身から、光が四方八方に目がけて、放たれる。
放たれた光は、兵士たち目がけ、飛んでゆく。
近方は危険を感じ、伏せて、辛うじてかわす。
兵士達も同様にしようとするが、それよりも先に、光を受けてしまう。
光を受けた兵士達は、全員、気を失って、崩れ落ちる。
 「貴様・・!!何者だ!!博士ではないな!!」
近方は軍刀を構えて、尋ねる。
「フフフ・・・。さすがにわかったか。では・・・我が姿・・・特別に見せてやろう」
再び、博士の姿の相手から、光が迸る。
近方は、空いている方の手で、目をかばいつつ、様子を伺う。
やがて、光が消えると、声の主が、姿を現した。
 現れたのは、近方と同年代の少年。
壁画に描かれているのと同じ、古代の遊牧民の衣服と兜、動きやすい鎧に身を包んでいる。
「お前は・・!?壁画の・・!?」
近方は、思わず目を疑う。
目の前に立っているのは、壁画に描かれている人物とうり二つだったからだ。
 「そうだ。我こそ、この墓の主・・・紅丘単于(こうきゅうぜんう)である」
「紅丘単于・・・!?貴様が・・・!!」
近方の表情は、さらに嫌悪感に歪む。
紅丘単于(こうきゅうぜんう)とは、契遼州の古代史に登場する、伝説の王。
美しい少年への尻叩きを好んだ、倒錯的な嗜好の持ち主として、知られている。
実際、征服した土地や部族から、美しい少年を集め、尻叩きハーレムを作り上げ、倒錯した快楽の日々に耽っていた、と伝説や史書に語られている。
 「では貴様は・・あの汚らわしい趣味の王の・・亡霊だというのか!?」
「まぁ、そういうことになろう。ここは我の墓・・・。我にとっては・・城に等しい。先日も・・・学者らしき子供が・・墓に勝手に入ってきたのう・・。そういえば・・」
亡霊の言葉に、近方はハッとする。
 「貴様!!博士はどうした!?まさか・・手にかけたのか!?」
近方は切先を突きつけて、王の霊に尋ねる。
「安心せよ。生きておる・・。だが・・・我の墓に勝手に入った罪は贖ってもらっているがのう」
単于の霊は指をパチンと鳴らす。
すると、壁に幻が現れた。
 「な・・・!!??」
近方は幻を見るなり、思わず声を漏らす。
博士が台に拘束され、鎧を着た骸骨に、鞭で尻を叩かれているからだ。
 「貴様!?」
近方は思わず、怒りの刃を単于に向けて、振り下ろそうとする。
「おっと・・。その童がさらにひどい目に遭っても良いのか?」
「く・・・!!??」
亡霊の言葉に、近方はハッとする。
今の状況では、博士は人質に取られているのも同じだ。
 「貴様・・・!?何が望みだ!?」
「フフフ・・・。我が何を求めているか・・・おいおいそなたにはわかっているのではないか?」
亡霊は近方に、いやらしい視線を向けながら言う。
近方は、王の霊が、自分のお尻を求めていることに、気づいた。
 「貴様・・・!?下劣だな・・!?」
「何とでも言うがよい。だが・・・あの童がどうなるかは、そなた次第・・・」
「く・・・!!わ、わかった!!私の尻を・・お前に差し出そう!!代わりに・・・博士を解放してくれ!!」
近方は、必死に、叫ぶように言う。
 「フフフ・・・。いい判断だ。いいだろう。あの童は・・・解放してやろう」
再び、王の霊は指を鳴らす。
すると、幻の中から、博士の姿が一瞬、消える。
直後、案内人と外に残った兵士の目の前に、博士が空中から飛び出すように現れるところが見えた。
突然の事態に、兵士達は驚くも、博士をすぐに保護する。
博士が無事に解放された姿に、近方は、安堵の息を吐く。
 「さて・・・。今度はお前だ。まさか・・・我との約束、破ろうなどとは・・思うてはおらぬな?」
「わ・・わかっている・・!!」
近方は屈辱に身を震わせながらも、単于の霊の元へ行く。
 「ふふ・・・。愛い奴じゃ。さぁ、我の膝に来るがよい」
王の霊は、いつの間にか現れた椅子に腰を降ろすと、膝を軽く叩いて、近方に言う。
「く・・・!?」
近方は、屈辱に身を震わせる。
こんな変質者に、自分のお尻を差し出すなど、本当なら願い下げだ。
だが、博士の解放と引き換えに、差し出すことを約束した。
向こうが守った以上、こちらも破ることは出来ない。
嫌悪感に身を震わせながら、近方は亡霊の膝の上に、うつ伏せになる。
 「ふふふ・・・。素直でよろしい・・・。しかし・・・コレが後の世の戦装束か・・・。随分、我の世とは変わったのよのう」
近方の軍服を見ながら、単于の霊はそんなことを言う。
「く・・!やるなら・・さっさと・・始めたらどうなのだ!?」
「ふふふ・・。急くな急くな。それにしても・・服の上からでも形の良い・・見事な尻をしておるのう」
単于はにやけながら、近方のお尻を撫で回す。
 「く・・・!!??」
お尻を撫で回される嫌悪感に、近方は身を震わせる。
(馬鹿者!?声などあげるな!?)
思わず声を漏らしてしまった自身を、近方は叱咤する。
お尻を撫で回される不快感と嫌悪感を、近方は必死に堪える。
 (我に弱みを見せまいとするか・・・。さすがじゃ)
そんな近方の態度に、単于は満足げに笑みを浮かべる。
やがて、亡霊は近方のマントと上着の裾を捲りあげ、下着ごと短パンを降ろす。
 「おお・・・!?コレは・・実に素晴らしい!?」
むき出しにされた近方のお尻に、単于の霊は感嘆の声を上げる。
 「ふぅむ・・・。形といい、肉付きといい・・感触といい・・・。まさに我が理想通りの、少年の尻であるな」
単于はいやらしい手つきで撫でまわしながら、感嘆の声を上げる。
 「く・・!?耳が腐るようなことを・・言うな・・!?く・・!うく・・!?」
お尻を触られる嫌悪感を必死に耐えながら、近方は抗議する。
「王に対し、無礼であるな。まぁ・・その分、楽しませてもらうとしよう」
亡霊はニヤリと笑みを浮かべる。
直後、思いきり、手を振りかぶった。


 ビッダァアアアンンンン!!!!
「!!!!!」
平手が叩きつけられると同時に、棒で殴られたかのような衝撃が、近方のお尻に走る。
 バァチィンッ!バァシィンッ!ビバダァンッ!!
「・・・!・・・!・・・!?」
容赦のない平手打ちが、幾度も近方のお尻に叩きつけられる。
近方は、必死に声を押し殺し、耐え忍ぶ。
 (ふふ・・・。声を出すまいとしておるな。童ながら、さすがよの)
平手打ちに必死に耐えている近方の姿に、単于の霊は、感心した様子を見せる。
(今の世のいくさ人も、中々良き性根をしておる・・・。じゃが・・・)
単于の霊は、邪悪な笑みを浮かべる。
(そんなだから・・・幼児のように、泣きわめかせてみたくなるのじゃ)
単于はサディスティックな情欲を掻き立てられる。
直後、単于の手は青い炎に包まれる。
直後、炎に包まれた単于の手が、近方のお尻に襲いかかった。
 バッチィィィンンンン!!!
「くううううう!!!!????」
打撃と同時に、炎で焼かれたような苦痛が、お尻に襲いかかる。
(な・・何だ!?)
近方は思わず振り返る。
すると、メラメラと燃える青い炎に包まれた亡霊の手が見えた。
 「貴様・・!?何だそれは・・?」
「我が妄念の炎ぞ。クク・・・。恐ろしいなら、平手でたたいてやってもよいがのう」
意地悪な笑みを浮かべて、王の霊は言う。
「そ・・そんなもの・・恐ろしくも何とも無い!!」
「よいのか?これで叩かれると、痛いぞ?熱いぞ?」
「そんなものを・・私が恐れると思ったら、間違いだ!!」
(私のバカ・・!?何故そんなことを・・!?)
心の中で、近方は自分を罵りたくなる。
自分で自分の首を絞めてしまったのは、明らかだったからだ。
しかし、みすみす相手のいいように動かされているのはわかっていても、こんな変態に屈服した態度を見せるのだけは、嫌だった。
 「ふふ・・。ならば、我が手をたっぷりと味あわせてやろう」
亡霊は邪悪な笑みを浮かべると、手を振りかぶる。
バシンッ!バチンバチンッ!ビダァンッ!バァァンンッッ!!
「くうう・・!!うっく・・!ああう・・!?ああぐうう!!」
近方のお尻に、亡霊による打撃と炎が、容赦なく襲いかかる。
バチンッ!ビダァンッ!バァシィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!
「どうじゃ?我が一つ叩くたびに『ごめんなさい』と言えば、許してつかわそうぞ」
「ふ・・ふざけるな!?そんなことをするくらいなら・・尻が壊れた方がマシだっ!!」
「ならば・・是非も無し・・・」
その直後、平手の嵐が振り下ろされる。
その後、長い間、お尻を叩く音と、近方の苦悶の声が、墳墓内に響いていた・・・。


 「なかなか・・・強情な童であったな・・・」
気を失い、床に倒れ伏した近方を見下ろしながら、単于の霊は呆れと感嘆の入り混じった声で呟く。
近方のお尻は痛々しい程に赤く染め上がり、火傷の跡も残っている。
顔には、苦痛で脂汗が浮かんでいる。
近方が受けた苦痛が、どれほどのものか、しのばれる姿であった。
 (これだけ痛い目に遭いながら・・・頑として、我に屈服せなんだ・・・。まことに・・大した童じゃのう)
単于は、近方に感嘆の視線を向ける。
 「見事に・・我が尻打ちに耐えた・・。褒めてとらす・・。これは・・褒美じゃ」
単于はそう言うと、自らの副葬品である、短刀を近方の手に握らせる。
「この童を・・・丁重に、外に運び出してやれ。外でこの者の家来が待っておるようじゃからの」
単于の命令と共に、骸骨の兵士達が、丁重に、近方を墓の外へ運び出していった・・・。

 ―完―

契遼州物語4(ショタ/ショタ)



 ビシッ!ビシイッ!バシッ!ビシッ!
「う・・!く・・!くぅ・・!う・・!くぅ・・!!」
鞭の音と共に、苦悶の声が、近方の口から洩れる。
近方は上半身うつ伏せに、台に拘束されている。
短パンを降ろされ、むき出しにされたお尻には、痛々しい鞭の跡が、幾重にも刻み込まれている。
中には、血がにじんでいるところもあった。
 ビシッ!ビシイッ!バシッ!ビシッ!バアシィンッ!ビシッ!バアシィンッ!
「く・・!くぅ・・・!うく・・・!うっあ・・・!!」
容赦なく近方のお尻に鞭が叩きつけられ、蚯蚓腫れをさらに増やしてゆく。
「どうだ!!どうだ!!もっと・・もっと苦しめ!!このっ!!このおっっ!!」
憎しみに彩られた声が、近方のお尻へ、容赦ない鞭の雨を降らせる。
フード付きの長いマントで、身体を覆っているため、近方と同程度の身長であることしかわからない。
 ビシッ!ビシイッ!バシッ!ビシッ!バアシィンッ!ビシッ!バアシィンッ!ビシッ!ビシイッ!バシッ!ビシッ!バアシィンッ!ビシッ!バアシィンッ!ビシッ!ビシイッ!バシッ!ビシッ!バアシィンッ!ビシッ!バアシィンッ!
「どうだ?辛いか?苦しいか?慈悲を乞うなら・・・楽にしてやるぞ?」
一旦、鞭を振るう手を止めると、優越感に満ちた声で、マントの人物は、近方に問いかける。
 「く・・・!貴様のような輩に・・屈服など・・せん!!」
近方は、気丈にも、拷問者を睨みつける。
「く・・!イチイチ癇に障る・・・!!これでもかっ!!これでもか!!」
ビシッ!ビシビシビシッ!ビシビシビシッ!!ビシビシビシッ!!ビシビシビシッ!!ビシビシビシッ!!ビシビシビシッ!!
マントの人物は怒りに燃え、近方のお尻に、鞭の雨を降らせる。
鞭は容赦なく肌を切り裂き、近方のお尻を血に赤く染める。
近方は、必死に声を押し殺し、鞭の嵐に耐える。
だが、幾ら打たれても、近方が屈服する様子は見られない。
 「く・・!!強情な・・奴だな・・!!」
マントの人物は、鞭を投げ捨てながら、苛立ちの声で、呟く。
「まぁいい・・!後で・・もっと締め上げてやる!!せいぜい・・楽しみにしているがいい!!」
吐き捨てるような声で言うと、マントの人物は、部屋を後にする。
後には、お尻を真っ赤に染められ、疲れ果てた近方が残された。


 「くそ・・・・!!」
苛立ちと共に、拷問者はフード付きマントを、ベッドに叩きつけるように脱ぎ捨てる。
マントの下から現れたのは、近方と同年代の少年。
黒を基調にした、コート状の軍服とヴェスト・軍帽が、軍人であることを示していた。
金色の髪に赤い瞳が、北方の大帝国の出身であることを示していた。
 少年の名はユーリ・アレクサンダー。
契遼州の北方に位置するルース帝国の出身である。
ルース帝国も、契遼州に、自国の開拓地を持っている。
その開拓地駐屯軍に、少年ながら指揮官の一人として、所属している。
 「近方め・・!!あれだけ痛めつけても・・泣き叫びもしないとは・・!!相変わらず癇に障る・・・やつだ!!」
ユーリは怒りに、表情を歪める。
以前、ユーリは、扶桑国の開拓地を混乱させるため、工作員を送り込んだ。
しかし、送り込まれた工作員は、近方の手により悉く検挙され、作戦は失敗に終わった。
そのことで、近方に対して恨みを抱くようになった。
 その恨みを晴らすため、ユーリは息のかかった馬賊達を使い、近方を誘拐した。
そして、扶桑国開拓地内に設けられた隠れ家に監禁し、恨みを晴らすために、責め抜いていた。
 (く・・!!一休みしたら・・今度は血まみれになるまで、尻を鞭打ってやる!!)
苛立ちの炎を燃やしながら、心の中で、そんなことをユーリが呟いていたときだった。
 不意に、ドアをノックする音が聞こえて来た。
「誰だ?」
考え事を邪魔され、不機嫌な声でユーリは尋ねる。
 「えへへ、俺ですよ、ユーリの旦那、ごきげんよう」
そう言葉をかけながら、露天商のなりをした男が現れる。
男は、ユーリの息がかかった馬賊団の頭目。
この男の一味に、近方を誘拐させ、ここに監禁したのである。
 「どういうつもりだ?しばらく、ここには顔を出すな、と言っておいたはずだぞ?」
男の姿に、ユーリは不機嫌な表情を浮かべる。
扶桑国側に自分達の犯行がばれないよう、しばらく出入り禁止にしたはずだからだ。
 「へへ、ソレはわかってます。ちょっとだけ、時間を割いてもらえればいいんで。そうしたら、すぐ退散しますわ」
「なら、手短に済ませろ。何の用だ?」
「へえ。実は・・・この間の近方の件ですがね・・。もう少し、報酬上乗せして欲しいんですがねぇ」
「貴様・・・。いい度胸だな?」
ユーリは目が笑っていない笑みを浮かべる。
 「いえね、あっしは構わないんですよ。ただね、あっし達も、無傷ってワケにはいきませんでしたんでねぇ。何せ・・あの近方ですからねぇ。あっしも子分達の手前がありますんでねぇ」
「怪我をした分、追加で支払えと?」
「そいつは旦那のお心次第ですけどねぇ。ですが・・ご承知いただけねえとなると・・・。もしかしたら、子分共がお恐れながら・・と扶桑国の奴らに・・・・」
やんわりした態度に、男はさりげなく脅迫を入れる。
「わかった。支払ってやる」
そう言うと、ユーリは引き出しから、何かを取り出す。
取り出したのは、回転式拳銃。
「!!!!」
ユーリの意図を読み取り、とっさに、男は逃げようとする。
身を翻しかけたところで、ユーリの銃口が火を噴く。
 「が・・・!?」
脇腹に銃弾を喰らい、苦悶の声と共に、男は床へ倒れ込んだ。
苦痛に顔を歪め、撃たれた脇腹を押さえつつ、男はドア側へ、這ってゆこうとする。
「誰が逃がすか。この下郎」
ユーリは怒りに歪んだ表情を浮かべながら、男に銃口を向ける。
怒りに任せて、引き金を引くや、男の顔が朱に染まる。
「くそ・・!下賤な盗賊の分際で・・・!!」
ユーリは怒りに任せ、死体と化した男を何度も踏みつける。
ようやく怒りが収まると、ユーリは呼び鈴を鳴らして、部下を呼ぶ。
「こいつをさっさと片付けておけ。目障りだ!!」
部下達が、急いで死体を運び出すと、ユーリは苛立った表情のまま、椅子に腰を降ろす。
 (くそ・・・!!たかが野盗風情が・・!!この鬱憤・・近方にぶつけてやる!!)
そんなことを考えると、ユーリは慌ただしく部屋を飛び出した。


 その少し前・・・。
近方が囚われている部屋の、天井板が、ゆっくりと、静かに動く。
やがて、子供一人が通れるほどの隙間が出来たと思うや、何かが床に落ちるように、飛び出した。
音も立てず、静かに近方の脇に着地すると、それはゆっくりと立ち上がる。
 現れたのは、一人の少年。
天井裏に潜んでいたためか、着ている労働着が、所々汚れている。
「すみません、駆け付けるのが遅れてしまいまして」
少年は、現地民の言葉で、近方に謝る。
現地民の密偵である。
 「いや。構わん。拘束を外してくれるか?」
「了解です」
少年密偵は、そう返事をすると、拘束を外しにかかる。
慣れた手つきで、あっという間に、近方の手足を自由にした。
 「すまんな」
「いえ。これくらい。あと・・取り上げられた軍刀もこちらに」
そう言うと、密偵は近方に軍刀を手渡す。
 「突入の用意は出来ているか?」
軍刀を受け取ると、近方は密偵に尋ねる。
「はい。あと、1,2分で突入します」
「よし。ならば・・行くぞ!!」
近方は軍刀を抜き放つと共に、部屋を飛び出す。
密偵も、回転式拳銃を構え、後に続いていった。


 「何だ!?何の騒ぎだ!?」
近方に鬱憤を晴らそうと部屋を出たところで、ユーリは部下達が慌ただしい様子なのに気づく。
「一大事です!!ここが扶桑国治安隊の奴らに嗅ぎつけられました!!」
「何だと!?どういうことだ!!」
部下の報告に、ユーリは思わず叫ぶように言う。
「何故かはわかりません!!ですが、奴らに嗅ぎつけられたのは確かです!!既に、治安隊が突入してきています!!」
「この馬鹿!?だったら応戦しろ!!」
ユーリはカッとなって、部下の顔面を拳銃で殴りつける。
 「は・・!!す、すみません!!」
「ボヤボヤするな!!さっさと行けっっ!!」
ユーリの剣幕に押され、部下は慌ててその場を去る。
 (こうしてはいられん!!早く脱出せねば!!)
ユーリは慌ただしく、走り出す。
目指したのは隠し通路。
こういう時の為に、脱出用に用意しておいたものだ。
やがて、通路の入り口にたどり着く。
扉を見つけ、ユーリの表情には、安堵が浮かぶ。
だが、すぐに、その表情は絶望に変わった。
 「ユーリ・アレクサンダー!!逃がしはせぬぞ!!」
軍刀を構えた姿で、近方はドアの前に立ちはだかる。
「く・・!!どけっっ!!」
ユーリはカッとなり、引き金を引く。
銃口が火を噴くと同時に、近方目がけ、銃弾が襲いかかる。
近方は軍刀を一閃する。
直後、甲高い音と共に、銃弾が叩き落された。
ユーリはすかさず、二発目を発砲しようとする。
だが、それより先に、近方が一気に間合いを詰める。
直後、鈍い衝撃をみぞおちに感じると共に、ユーリはゆっくりと、膝から崩れ落ちた。


 バアシィーンッッ!!
「うわあああ!!や、やめろおおお!!馬鹿者がぁぁああ!!!」
肌を打つ音と共に、ユーリの怒りの声が響き渡る。
ユーリは軍服の短パンを降ろされ、お尻を丸出しにされた姿で、近方の膝の上に乗せられている。
 パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!
「やめろ、ではない。人のことを逆恨みした上に、誘拐・暴行など・・。恥を知るがよい」
ユーリのお尻を叩きながら、近方はお説教をする。
 パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!
「う、うるさい!!僕は、自分の仕事をしていただけだぁぁあ!!それを・・お前が邪魔するからだっっ!!」
「自分の仕事をしているのは、お前だけではない。私も・・己の仕事をしたまでだ」
平手を振り下ろしながら、近方はユーリにそう言う。
 パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!
「やめろっ!ひいいんっ!痛ああっ!やめろっ!くううっ!僕にこんなことし・・ひいいいっ!!ぎゃあああ!!やめてっ!ひいいっ!やめてぇぇぇ!!痛あああいいい!!」
ユーリは耐えきれなくなり、泣きはじめる。
パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!パシンッ!パァンッ!ピシャンッ!パァンッ!パアシィンッ!ピシャンッ!
「きゃああ!ひぃぃぃ!いやっ!いやぁぁぁ!痛ああああ!!」
その後、小一時間に渡り、ユーリへのお仕置きは続いた。
ようやくユーリが解放されたときには、ユーリのお尻は猿のように、真っ赤に染め上がっていた・・・。


 その後・・・・。
「997・・・998・・999・・1000っっ!!」
1000を数える声と共に、軍刀がピタリと止まる。
直後、近方は苦痛に顔を歪め、思わずお尻をさする。
 (やはり・・。まだ、痛いか・・・)
お尻に感じる鈍い痛みに、近方は思わず歯噛みする。
監禁されている間、ほぼ毎日、お尻を鞭打たれていた。
救出されてまだ数日、お尻の傷は、とても全快には程遠い。
(だが・・こんな痛みなどには負けておられぬ!!)
近方はキッと宙を見つめる。
そして、再び軍刀を振り始めた。


 「く・・!?こんなに・・なってる・・!!」
鏡に映るお尻を見つめながら、ユーリは怒りに表情を歪める。
未だに腫れが引かないため、お尻は赤みが残っている。
 (くそ・・・!!僕の作戦を邪魔した挙句に・・こんな屈辱まで・・!!)
自身の所業を棚に上げ、ユーリは屈辱と怒りの炎を燃え上がらせる。
(覚えていろ・・!!次こそ・・・永遠に尻打ち奴隷にしてやるからな!!)
近方の顔を思い浮かべ、憎悪の炎を燃やしながら、ユーリはそう決意していた。


 ―完―

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