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言えなくて・・・(好きしょより:七海/クリス、BL要素あり)



(好きしょを題材にした二次創作で、BL要素ありです。許容出来る方のみご覧下さい)


 「どうしたんですか?クリスくん?」
七海は心配そうな表情で尋ねる。
「え?何がですか?ドクター?」
クリスはキョトンとした表情で七海に問い返す。
 「最近顔色が悪いですよ?まさかまた前みたいに無理してるんじゃないですか?」
「そ、そんなことありませんっ!?ちゃ、ちゃんと毎日寝てますよ!」
クリスは首を左右に振って否定する。
「そうですよねぇ。私や羽柴くんにあんなに叱られたんですからまた同じようなことするとは思えませんよねぇ」
「うう・・言わないで下さいよ・・・思い出しただけで・・恥ずかしくなっちゃいます・・」
クリスは赤面しながら呟く。
以前、体調が悪いのに無理をしたものだから倒れて皆を心配させてしまったことがあり、その際、空や七海にきつくお仕置きされてしまったことがあった。
お仕置きの恥ずかしさや痛さは今でも覚えている。
 「ならいいんですけど・・・一応熱でも測っておきましょうか?」
「だ、大丈夫ですから!あっ!もう帰らないと!?し、失礼しますっ!!」
そう言い置くと、まるで逃げるようにしてクリスは出て行った。


 (危なかった・・・バレちゃう・・・ところ・・・だった・・・)
教会に帰ったクリスは学校でのことを思い出しながらホッと安堵の息をつく。
(でも・・・どうしよう・・。このままじゃ・・・ドクターに・・・いずれ・・・バレちゃう・・・・)
クリスは深刻な表情を浮かべてうつむく。
(どうすれば・・・・抑え・・られるんだろう・・・。こんなこと・・・他の人には・・・話せないし・・・・)
ため息をつきながら、クリスは誰よりも慕っている存在である七海の事を思い浮かべる。
最初は普通に七海の姿を思い浮かべていただけだが、やがて様相が変わってくる。
 (ダメ!?何てこと考えてるの!!ダメだってば!!)
クリスは必死に理性を働かせようとするが、やがてこらえきれなくなると、教会内のトイレに駆け込んだ。
 鍵をかけて閉じこもると、クリスはゆっくりと、神父服の裾を捲り上げ、ズボンを降ろして自分の器官を握る。
「ハァ・・・ドクター・・・ドクター・・・」
七海のことを思い浮かべながら、クリスは自身の欲望器官をしごき出す。
同時にもう片方の手をお尻の方へと走らせると、指を最奥部に入れ、前後を自身の手で刺激し始めた。
 (最低だ・・・僕・・・)
後始末をしながら、クリスは自己嫌悪に陥っていた。
(神父になる身なのに・・・。こんなことして・・・・それも・・ドクターを・・・こんなことの・・・対象に・・・・。それも・・毎日・・・。それで・・ドクターに・・心配かけるような・・・ことまでして・・・)
見習い神父の身でありながら、こんなことを、しかもかけがえの無い存在であるはずの七海をそういう目で見ている。
自分が浅ましい人間に思えてたまらず、しかもこのことが原因で七海に心配させているかと思うと、情けなくて、恥ずかしくてたまらない。
 (どうしたら・・・・いいんだろう・・・)
対処法がわからず、またことがことだけに誰にも相談できない。
深刻な表情で浮かべてうな垂れながら、クリスはトボトボと礼拝堂の方へ戻っていった。
 (う、ううう嘘っ!?どうしてっ!?)
礼拝堂に戻って来るや、クリスは愕然とする。
いつの間にか長椅子の一つに七海が座っていたのだ。
 「ド、ドクター・・・な、何で・・・・」
「どうしても気になりましてねぇ。様子を見に来たんですよ」
(そ、そそそそそんなっ!?ど、どうしよう!?)
予想もしなかった事態にクリスはパニクってしまう。
 「クリスくん・・・何か悩みでもあるんですか?でしたら相談に乗りますよ」
七海はそう声をかけてくる。
「だ、大丈夫です!?ほ、本当に何でもありませんから!?」
「そうは思えませんよ?さぁ、無理をしないで話して下さい」
七海はそう言ってクリスに近づこうとする。
 「だ、ダメですッッッ!!!」
とっさにクリスは七海を突き飛ばしてしまった。
七海はビックリした表情で尻もちをつく。
(あ・・・!?)
クリスは自分が仕出かしたことに目を丸くする。
いてもたってもいられず、クルリと七海に背を向けると、そのまま奥の方へ走りだしてしまった。
 「あっ!待って下さいっ!!」
慌てて七海は追いかける。
(ど、どうしよう!?追いつかれちゃう!?)
必死に廊下を走りながらクリスは考える。
捕まれば様子がおかしい理由を問われることは間違いない。
七海相手に隠し通す自信などクリスにはない。
となれば、自分が七海に対してとても口には言えないようなことを考えたり、そのことで破廉恥なことを連日のようにしていることがバレてしまう。
そんな自分の恥ずべき姿を知られたくない。
(どこに・・・どこに・・・隠れれば・・)
七海から逃げられる場所をクリスは必死に考える。
だが、そのとき、不意に足を滑らせてしまった。
 (あっっ・・!!!)
心の中でしまったと思ったときには既に遅い。
足が浮いたような感覚を感じた直後、後頭部に鈍いが強い衝撃をクリスは感じる。
目から火花が飛び出たような感覚を覚えたかと思うと、そのまま周囲が真っ暗になり、意識が飛んでしまった。
 「あっ・・!?クリスくんっ!!」
追いついた七海はクリスが仰向けに倒れて目を回していることに気づく。
起こしてみれば後頭部にはタンコブ。
すぐにもクリスを抱き抱えてその場を後にした。


 目を覚ましたクリスの目に最初に飛び込んできたのはホッとしたような七海の顔だった。
「クリスくん、目が覚めたんですね」
「あ・・ドクター・・痛・・・・」
クリスは後頭部に痛みを感じる。
 「無理をしてはいけませんよ。思い切り頭を打ってしまいましたからね」
「頭を・・・」
そこまで言いかけて、七海から逃げ出し、その際に転んだことを思い出した。
周りを見回してみると、病室なのが見て取れる。
「念のため、入院して検査してもらいますから。とにかく・・・今はゆっくり休むことですよ」
「は・・はい・・・・」


 その後日・・・。
クリスが教会の庭を掃いていると、七海がやって来た。
「あ、ドクター、こんにちは」
「こんにちは、クリスくん。調子はどうですか?」
「あ、大丈夫です。ただコブが出来ただけだったそうですから」
「そうですか。それはよかったです。あ、実はちょっと話したいことがあるんですけどいいですかね?」
「ええ、構いませんよ」
クリスはそういうと、七海を教会の奥へと案内していった。
 自分が使わせてもらっている部屋へやって来ると、クリスは七海にお茶を出しながら尋ねる。
「それで・・・お話って何ですか?」
「ええ・・。実はここ最近のクリスくんのことなんですよ」
七海の言葉にクリスは思わず表情が強ばる。
 「クリスくん・・・。何か・・・私に隠してますよねぇ?」
微笑みながら尋ねるが、怒りのオーラをクリスは感じていた。
「一体何を隠しているんですか?正直に話してくれます?」
クリスはゴクリと息を飲み、冷や汗を流す。
だが、本当の事は絶対に言えない。
 「す・・すみません・・。ド、ドクター・・・そ・・それだけは・・・」
冷や汗を流しながらも、クリスは勇気を振り絞って拒否する。
「どうしても言わないつもりですか?最近・・クリスくんの様子がおかしくて・・・どれだけ心配したか、わかってますか?」
七海の言葉にクリスは心が痛む。
散々心配させておきながら、訳を話そうともしない。
最低だと思われてしまうだろう。
でも、どうしても言えなかった。
「す・・すみません・・」
「そうですか・・・。正直に話してくれれば少しは考えるつもりでしたけど・・・では・・仕方ありませんねぇ・・・・」
七海はそういったかと思うと、おもむろに手を伸ばし、クリスの手を掴んだ。
 「ど、ドクター・・・な・・何を・・・」
クリスは恐る恐る尋ねる。
「ふふ。もうわかってるんじゃないですか?クリスくん、人に心配かけるような悪い子はどうされるんでしたっけ?」
「お・・お仕置き・・・ですか・・?」
恐る恐るクリスが尋ねると、七海は笑顔のまま、死刑宣告でも下すかのように言いやる。
「そうですよねぇ。悪い子はうんとお尻をぶたれるんでしたよねぇ。覚悟はいいですか?」
クリスは思わず頷く。
七海に心配させてしまった自分が悪いと思っているし、それにとても逆らえる雰囲気では無かった。
 「わかってるなら自分でちゃんと来れますよね?」
七海の問いにクリスは再び頷くと、椅子に腰かけた七海の膝にうつ伏せになる。
七海はクリスの神父服を捲り上げ、ズボンを降ろしてあっという間にお尻をむき出しにしてしまった。
 「うぅ・・・・」
お尻があらわになるや、クリスは恥ずかしさに顔を赤らめる。
「では行きますよ。いいですね?」
「は・・はぃ・・・」
恥ずかしさを感じながらも、クリスは返事をする。
それを見ると、七海は左手でクリスの身体を押さえ、右手を振りあげた。


 パアシィィ~~ンッッッ!!!
「あっ・・!!」
弾けるような音と共にお尻にジワリと痛みが広がってゆき、思わず声が漏れてしまう。
 ピッシャ~ンッ!パアッシィ~ンッ!パッアァ~ンッ!パッチィ~ンッ!
甲高い音と共にクリスのお尻にほんのり赤い手形が浮かび上がってゆく。
クリスは声を出すまいと口を噤み、七海のズボンの裾を掴む手に力を込める。
 「まったく・・・いけない子ですね・・・・。クリスくんは・・・」
お尻を叩きながら、七海はお説教を始める。
パアッシィ~ンッ!ピッシャ~ンッ!パッアァ~ンッ!パアッチィ~ンッ!
「人を心配させるのは・・・・いけないことですよ・・・・」
ピッシャ~ンッ!パアッシィ~ンッ!パッチィ~ンッ!ピッシャ~ンッ!
「・・ぁ・・っ・・・く・・・ぁ・・・・」
叩かれているうちに痛みが増してきたのか、クリスの口から微かに苦痛の声が漏れだした。
 「それなのに・・・。隠しごとなんかして・・・・」
バッシィ~ンッ!バッアァ~ンッ!バッチィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!
「う・・くぅ・・あく・・あくぅぅ・・・」
冷静なように見えても、やはり怒っているからか、七海の平手打ちはだんだんと勢いを増してくる。
それに伴ってクリスの苦痛も増し、声も表情も苦しげなものへと変わっていった。
 「それで・・どれだけ・・・・私が心配したか・・・わかっていますか?」
バッシィィ~ンッ!ビッダァァ~ンッ!バアッジィ~ンッ!ビッダァァ~ンッ!
「く・・ひぃ・・・す・・すみません・・・ドクターぁぁ・・・は・・反省・・・・してます・・・・」
「それは当たり前でしょう?それより・・・どうしたんです、本当に?訳を教えて下さい」
七海は一旦、お尻を叩く手を止めて尋ねる。
何か相応の理由があるのはわかる。
だから、それを知りたかった。
 「え・・・そ・・それは・・・」
クリスは再び口ごもってしまう。
あまりにも恥ずかしくて、浅ましくてとても言えない。
 「どうしても・・・言ってくれないつもりですか?」
七海は静かに問いかける。
「す・・すみません・・。こ・・これだけは・・・たとえ・・・ドクター・・でも・・」
「やはり・・そうですか。クリスくんの様子から・・・・素直に話してくれることは無いとは・・・想像していましたけど・・・」
七海は失望のため息をつきながら言う。
「す・・すみません・・・」
クリスは謝りながら罪悪感が沸いてくる。
七海が心底、自分の事を心配してくれているのは痛いほどわかっていた。
しかし、だからといって、とても話せるような内容では無い。
罪悪感を抱きながらも、クリスは隠し通すつもりだった。
 「ですが・・・。私も・・・このまま・・・引き下がるつもりは・・ありません」
「え・・?ドクター・・・?」
クリスは恐る恐る振り返り、七海の顔を見つめる。
「クリスくん・・・。今日は・・・どんなことをしてでも・・・話してもらうために来たんですよ・・。そう・・・・どんなことを・・してでも・・・」
そういうや、七海はクリスを抱き起こしたかと思うと、ベッドの方へ運んでゆく。
 「ド・・・ドクター・・?な・・何を・・・」
クリスはそう尋ねかけるが、七海の雰囲気がいつもとは違ったものであることを感じ取り、思わず黙ってしまう。
 「ふふ・・・こういうことですよ」
七海は笑みを浮かべながらそういうと、おもむろにクリスをベッドにうつぶせに寝かせる。
直後、布団や枕を腹の下に入れ、お尻を高く上げた体勢を取らせたかと思うと、手早く紐で両手を拘束してしまった。
 (え・・・!?)
クリスは我が目を疑う。
七海がこんなことをするとは思わなかったからだ。
さらに七海はバッグを持って来たかと思うと、以前クリスにきついお仕置きをしたときに使ったヘアブラシを取り出す。
(ま・・まさか・・・・・)
クリスはブルブルと全身が震えてくる。
ブラシでお仕置きされた時の事は忘れようと思って忘れられるものではない。
 「ふふ・・・わかったみたいですねぇ・・。さぁ・・・行きますよ」
七海はそういうと、既に真っ赤に染まっているお尻へ、容赦なくブラシの背を振り下ろした。
 ビッダァァァァ~~~~ンンンッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッ!!!
「きゃあああああんっっっ!!痛あああああいいいいいいいっっっっ!!!」
ブラシの嵐にクリスは絶叫を上げる。
 「やああっ!やめてっ!ドクターっ!お願いですっ!許して下さいっ!!」
クリスは必死になって七海に許しを乞う。
「何を言ってるんですか。隠しごとなんかして、心配かけるような悪い子はたとえクリスくんでも許しませんからね。正直に話してくれるまでぶってあげますからね」
「そ・・そんなっ!きゃ、きゃあああんんんっっっ!!」
ブラシの嵐と共に再びクリスの悲鳴が響く。
お尻に固いものを叩きつける音とクリスの悲鳴や許しを乞う声が室内にこだました。


 「ひぅ・・・ううくぅ・・ひっううう・・・・」
ボロボロと涙をこぼしてクリスはしゃくり上げていた。
お尻は今や三周りは大きく腫れ上がっており、濃厚なワインレッドに染め上がっている。
 「さてと・・・・クリスくん・・・どうします?」
七海はいったん、手を止めると、ピタピタと軽くクリスのお尻をブラシの背で触れ出す。
「まだ・・・話してくれないと・・・考えてしまいますよ。そうですねぇ・・・・とっても熱いお灸をお尻に据えてあげましょうか・・・・それとも・・・皆の目の前でもっと痛い道具でお尻をぶってあげましょうかねぇ・・・・」
(ほ・・・本気で・・怒ってる・・・なんて・・ものじゃ・・・)
クリスは恐怖で悪寒が走る。
今の七海なら本気でやりかねない。
「ひ・・ひぃーん・・・は・・・話し・・ますぅ・・話し・・ますからぁ・・。だ・・だから・・もぅ・・叩かないでぇ・・下さいぃぃ・・・・」
恐怖や痛みで限界になっていたクリスはもう堪えきれず、ボロボロ泣きながら言う。
「やっと・・・話す気になって・・・くれましたね・・・」
七海はホッとした表情を浮かべると、ようやくブラシを持つ手を降ろした。


 「そういう・・こと・・だったんですか・・・」
七海はクリスの話に、ようやく得心がいったという表情を浮かべる。
「ひぃ・・ひぃん・・・。ドクターのこと・・・そ・・そんな風に・・見てる・・だ・・なんて・・・知られたくなくてぇぇ・・ひぃん・・・」
(却って・・・悪いことしてしまいましたね・・)
七海は泣いているクリスの姿を見ながら反省する。
 クリスにしてみれば、七海を対象にそういうことを考えたり、そういった行為をしているということ自体がとんでもないことだろう。
とても他人に、ましてや自分に話せなかったのも無理はない。
「お・・お願いです・・い・・幾らでも・・怒っても・・叩いても・・・いいですから・・だ・・だから・・お願い・・嫌わ・・ないでぇぇ・・・」
泣きながらそう言うクリスに、七海は思わず両手を伸ばすと、クリスを抱き締める。
 「ど・・ドクター・・?」
不意に抱きしめられ、キョトンとしながら、クリスは思わず問いかける。
「大丈夫です・・・。そんなこと・・少しも・・・思いません・・から・・・」
「ほ・・本当・・ですか?やらしい・・やつとか・・・思ったり・・・」
「思いませんよ。ねぇ、クリスくん。ちょっと・・・顔を向けてくれませんか?」
クリスは怪訝に思いながら七海の方に顔を向ける。
直後、七海の顔がグッとアップになったかと思うと、唇に奇妙な感触を覚える。
 (え・・?)
状況が理解できず、目を瞬かせていると、さらに口腔内に何かが侵入してきて自分の舌に絡んでくるではないか。
(嘘っ!?まさか!?)
ようやくクリスは自分がキスされていることに気づく。
やがて、七海はボーッとしているクリスから唇を離した。
 「ド・・ドクター・・?」
「ふふ。わかりました?」
「も・・もしかして・・・」
「ふふ。クリスくん。安心していいんですよ。私も・・・クリスくんのこと・・」
「ほ・・本当・・ですか?」
「ええ。慕ってくれるクリスくんが可愛くて・・・・だから・・・もう悩まなくて大丈夫ですよ」
「ふえぇ・・・ドクターぁぁ・・・・」
クリスは涙を浮かべると、七海に抱きつく。
 「色々悩ませてしまったみたいですね。もっと早く打ち明けてあげればよかったですね」
七海はそういうと、愛しさを込めてクリスを抱きしめた。


 ―完―
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theme : 二次創作(BL)
genre : 小説・文学

心配かける子には・・・(好きしょより:空&七海/クリス)



 「おい、大丈夫かよ?」
羽柴空はクリスの顔を見るなり、そう尋ねてきた。
「え?何がですか?羽柴さん?」
クリスは怪訝な表情を浮かべて尋ねる。
「何がって顔赤いぜ?風邪じゃないのか?」
空は赤く上気したクリスの顔を見ながら心配そうな表情を浮かべる。
 「大丈夫ですよ、別に熱とかありませんし・・・」
「ならいいんだけどよ・・。無理しないで後でなな・・・」
そこまで言いかけて羽柴はハッとした表情を浮かべる。
いきなりクリスが崩れ落ちたかと思うとそのまま床へ倒れてしまったのだ。
 目を覚ましたクリスの目に飛び込んで来たのは保健室の白い天井だった。
「あれ・・?ここは?」
「あ、目ぇ覚めたんだな」
不意にベッド脇に座っていた空が起きたクリスに声をかける。
 「あれ?羽柴さん、何でここに・・・」
「いきなりぶっ倒れたから七海ちゃんところに運んできたんだよ」
「そ、そうだったんですか・・。す・・すみません・・」
「別にいいって。おーい、七海ちゃん、クリス気がついたみたいだぜ」
羽柴は表の方で書類と睨めっこしている七海に声をかける。
 「あぁ、気づいたんですね、クリス君」
「あ・・ドクター・・すいません。迷惑かけちゃって・・」
「別に気にしてませんよ。でも念のため、早退した方がいいですからね。羽柴くん、送ってってくれますか?」
「わかった。んじゃ、荷物取ってくるわ」


 それから数日後・・・学校が休みのある日・・。
クリスはいつものように自分が見習神父として勤めている教会の庭を掃除していた。
箒を動かしながらふと顔を上げると、見なれた顔がやってくるのが見えた。
 「おーい、クリス~」
「あっ、羽柴さんにドクター、こんにちは」
「こんにちは、クリスくん」
互いに挨拶をすると、クリスは二人を中へと案内した。
 「はあ~っ。うまいなぁ、これ」
「そうですか。満足してもらえたようでよかったです」
空がクリスが出した紅茶を褒めると、クリスは嬉しそうな表情を浮かべる。
 「その様子だともう身体は大丈夫みたいですね、クリスくん?」
「はい、ドクターや羽柴さんのおかげです」
「なら一安心だな。なっ、七海ちゃん」
「ええ。そうですねぇ」
すっかり元気なクリスの姿を見ると、空も七海も安堵した表情を浮かべる。
 「ところで・・今日はどうしたんですか?」
「そうそう。すっかり忘れるところでしたね。実はクリスくんに話があったんですよ」
「話?何ですか?」
「とっても大事な話なんですよねぇ・・・ねぇ、羽柴くん」
七海はにこやかな笑みを浮かべたまま、空に呼びかけるように言う。
空も同意するかのように頷くと、クリスの方を向いた。
 「なぁ、クリス。俺達と三人だけで話したいんだけど大丈夫か?」
「えぇ。大丈夫ですよ。何なら僕が使わせてもらってる部屋の方に行きましょうか?」
「そっちの方がいいかな、七海ちゃん?」
「そうですねぇ。私達にとってもクリスくんにとってもその方がいいでしょうからね」
七海の言葉に思わずクリスは怪訝な表情を浮かべる。
だが、空達の言った通りにクリスは自分が寝泊まり用に使っている部屋へと二人を案内していった。


 「あの・・話って何ですか?」
部屋へ二人を案内すると、クリスはおずおずと二人に尋ねる。
何だか七海達の雰囲気が普段と違うような感じがしたのだ。
 「クリスくん・・それはですねぇ・・この間のことですよ」
「この間のことといいますと・・・?」
クリスが尋ねると、今度は空が口を開いた。
「熱出して倒れたときのことだって。覚えてるだろ?」
「あ・・・」
あのときのことを思い出し、クリスは思わず声を漏らす。
 「あ・・あのときは・・すみません・・。ご迷惑・・かけてしまって・・」
クリスは恐縮した体で二人に謝る。
「別にそれは構わねえって。だけどよ、一つ聞きたいんだけどよ、あの日、全然おかしいとか思わなかったのかよ?」
「あの・・それは・・・」
クリスは口ごもってしまう。
その様子を見た七海は畳みかけるように尋ねる。
「クリスくん・・・気づいてましたね?」
「え・・あの・・そ・・そんな・・こと・・・」
「だったら私の目を見てちゃんと言えます?」
七海はにこやかな、だが目は笑っていない表情でクリスの顔をジッと見つめる。
それを見てダメだと思ったのだろう、観念した表情を浮かべて答えた。
 「す・・すみません・・。実は・・朝から・・何だか変な感じは・・・」
「馬鹿っ!!だったら何で素直に言わなかったんだよ!?」
思わず羽柴は声を上げる。
「い・・言うと・・心配・・かけちゃうかなと・・・」
「そうやって無理してぶっ倒れたらもっと心配かけるだろうが!!」
「ご・・ごめんなさいっ!!」
クリスは恐縮の体で必死に空に謝る。
 「羽柴くん、感情的になったらいけませんよ」
「そ・・そうだよな・・。わ、悪い、ビックリさせちまって・・・」
七海にたしなめられ、空は落ち着きを取り戻す。
 「さてと・・それじゃ本題に入りましょうかね。クリスくん、身体が悪いのわかってるのに隠してたんですよね?」
「は・・はい・・」
「そうやって隠し事したり・・・それで倒れて皆に迷惑かけたり心配させたり・・・いいことだと思います?」
「いえ・・・」
「そうですよねぇ。そういうのは悪い子のすることですよね?」
七海にそう言われると、クリスは押し黙ったまま、七海をジッと見つめる。
 「ふふ・・クリスくん・・悪い子はどうなると思います?」
「え・・あの・・・ドクター?」
クリスは七海の言いたいことが掴めず、途方に暮れた表情を浮かべる。
「悪い子は・・お仕置きされるんですよ、ねぇ、羽柴くん?」
七海は同意を求めるように空の方を見やる。
「あ・・あの・・お仕置きって・・何ですか?」
「ふふ・・。覚えてませんか。前、同じように無理して倒れたときのこと?」
「あ・・・」
クリスは顔を真っ赤にしてしまう。
以前、同じように体調が悪いのに無理して倒れてしまったとき、七海からお尻を叩かれてお仕置きされたのだ。
その痛さと恥ずかしさは今でも忘れてはいない。
 「どうしたんです?まさか嫌なんですか?」
「い・・いえっ!そういうわけじゃ・・・」
「ならちゃんと受けられますよね?」
七海にそう問われ、クリスは頷くしか無かった。
心配かけた自分が悪いのはわかっていたからだ。
 「七海ちゃん、俺が先でいいか?」
「ええ。構いませんよ」
「サンキュ、七海ちゃん」
短く相談をまとめると、空はクリスの方を振り向く。
「んじゃ、わかってるよな?」
「は・・はい・・・」
ベッドの縁に腰かけた羽柴が軽く膝を叩いて促すと、クリスは恥ずかしさと恐怖で身体を震わせながらもおずおずと空のもとへ行く。
一瞬、ためらいを見せたものの、覚悟を決めてうつ伏せになったクリスの頭を撫でるように手を置くと、空は口を開く。
 「よくやれたな。でも・・優しくは出来ないからな。覚悟してくれよ」
クリスが頷くと空は神父服の裾を捲り上げ、ズボンを降ろしてお尻を出す。
左手でクリスの身体を押さえると、空はゆっくりと右手を振り上げ、お尻目がけて思いっきり振り下ろした。


 バシィンッ!!
「く・・!!」
最初から強くお尻を叩かれ、思わずクリスは苦痛の声を漏らす。
真っ赤な手形がお尻に浮かび上がったかと思う間もなく、さらに空の平手がクリスのお尻へと叩きつけられた。
 バシッ!バアンッ!バチィンッ!ビダァンッ!バアシィンッ!
「ったくっ!何やってんだよ!!」
怒りの混じった声で空はお尻を叩きながらお説教を始める。
バシンッ!バアシンッ!ビダンッ!バッチィンッ!
「・・ぅ・・・っ・・・ぁ・・・っ・・・」
クリスは声を押し殺して耐えようとするも、空が激しくお尻を叩くせいだろう、堪え切れずに声を漏らしてしまう。
 「体調悪いってわかってんなら何だってちゃんと俺や七海ちゃんに言わないんだよ!!馬鹿っっ!!」
バッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!バッチィ~ンッ!
「ひゃっっ・・!!痛っ・・あうっ!す・・すいません・・・」
お説教しているうちにさらに感情が高ぶったからか、空のより強烈な平手打ちにクリスは悲鳴を漏らし、謝罪の言葉が口をついて出る。
 バッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!
「そんで挙句の果てにぶっ倒れたりなんかして!!俺や七海ちゃんがどんなにビックリしたと思ってんだよ!!」
空はバシバシと容赦なくクリスのお尻を叩きながらさらにお説教を続ける。
かなり強く叩いているせいだろう、既にお尻は赤くなっている。
 「ひぃん・・!は・・羽柴さぁん・・ごめ・・ごめんなさい・・」
さすがに苦しいのだろう、目尻に光るものを浮かべながらクリスが謝る。
バアシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!ビッシャ~ンッ!バッシィ~ンッ!
「『ごめんなさい』は当たり前だろ!ったく無茶して心配かけやがって!クリスのバカっ!!」
ビッダァ~ンッ!バッジィ~ンッ!ビッシャ~~ンッッ!!
「きゃあんっ!ひぃぃんっ!痛ぁあっっ!!」
今までよりずっと強烈な平手打ちにクリスは空の膝の上で背をのけぞらせ、飛びあがりそうになる。
 空は額や手にジワリと汗を浮かべ、一息つくと、一旦手を止めてクリスに尋ねる。
「反省・・したか?クリス?」
「はぁ・・はあ・・し・・してます・・。し・・心配かけて・・ごめんなさい・・。羽柴さん・・・」
「よしよし。よく言えたな。さすがクリスだな」
空はそういうとクリスを抱き上げて膝の上に載せる。
 「ケツ・・痛えよな?大丈夫か?」
空はクリスの赤くなったお尻を優しくさすりながら尋ねる。
「いえ・・。大丈夫です・・。それより・・心配かけて・・ごめんなさい・・」
「わかってくれりゃいいよ。でもな、悪い、クリス。実はまだ終わりじゃないんだよな・・」
「え・・?どういうことですか?」
思わずクリスは怪訝な表情を浮かべる。
 「クリスくん・・・羽柴くんが言いませんでした?心配したのは羽柴くんだけじゃありませんよ?」
七海の言葉に思わずクリスは振り向いた。
ゆっくりと立ち上がったかと思うと、七海が空に抱えられたクリスの方へと近づいてくる。
 「クリスくん・・・私だってビックリしたり・・心配したりしたんですよ。わかってます?」
「す・・すみません・・。ドクター・・」
「だから・・私からもお仕置きですよ。いいですね?」
「は・・はぃ・・」
にこやかだが有無を言わせない雰囲気にクリスは頷くしかなかった。
 「羽柴くん、クリスくんをそこの机にうつ伏せにしてくれませんか?」
「へ・・膝じゃないのかよ、七海ちゃん?」
空は思わず怪訝な表情を浮かべる。
自分同様、膝の上に載せてお仕置きすると思っていたからだ。
「えぇ・・。今日は膝じゃないんですよ」
笑みを浮かべながら言った七海の姿に羽柴はギクリとする。
(七海ちゃん・・マジで怒ってる・・・)
空にはにこやかな七海からひしひしと怒りのオーラが出ているように見えた。
 「どうしたんです、羽柴くん?早くしてくれませんか?」
そう呼びかけられると、空は慌ててクリスを抱え、言われた通りにクリスを机にうつ伏せにし、お尻を突き出したポーズを取らせた。
 既に赤くなったお尻の傍に立つと、七海は静かにクリスに呼びかける。
「では・・行きますよ。覚悟はいいですね、クリスくん?」
「は・・はい・・ドクター・・」
何だか普段と七海の雰囲気が違うことを感じ取ったのか、無意識にクリスは身体を震わせ、机の縁を掴む両手にギュッと力を込める。
空はベッドの縁に腰かけたまま、固唾を呑んで様子を見守っていると、何やら七海がバッグを引きよせ、ゴソゴソと中を探り出した。
音が聞こえたせいだろう、再びクリスの身体が震え、赤いお尻にキュッと力が入るのが見える。
やがて七海はバッグからそれを取り出した。
取りだされたものを見るや、空は我が目を疑う。
まさかと思っている空を尻目に、それをしっかりと握りしめて手を振り上げたかと思うと、クリスのお尻目がけて思いっきり振り下ろした。


 バアッチィィ~~~~ンンンンンッッッ!!!
「きゃあああんんんっっっ!!!」
空のよりも比べ物にならないほど強烈な打撃にクリスは絶叫に近い悲鳴を上げ、背をのけぞらせた。
(何!?何で叩いてるの!?)
思わず後ろを振り向くや、クリスは目を大きく見開く。
 「ど・・ドクター・・そ・・それは・・?」
「ああ?これですか?ふふ、皆に心配かけた悪い子にしっかりお仕置きしようと思って用意したんですよねぇ」
にこやかな笑みを浮かべたまま、七海は持っていた大きなブラシを示す。
「さぁ・・クリスくん・・。しっかりと反省させてあげますからね。覚悟して下さい」
微笑みを浮かべたままクリスの身体を押さえると、七海は再びブラシを振り上げた。
 バアッシィィ~~ンンンッッッ!!
バァンバンバチィンバアンバシンバンバンバンバァンバンバンバンッッ!!
「きゃあんっ!きゃんっ!うわぁぁんっ!痛あっ!きゃあんっ!痛いっ!」
普段の穏やかな感じからは想像できないほど凄まじい勢いで七海はクリスのお尻にブラシの背を叩きつける。
大きく硬い木製ブラシは骨にまで響くのでは思えるほどの衝撃をクリスのお尻に与えた。
 バアッシィ~~ンッ!!
バンバンバンバンバァンバンバンバンバンバンバンッッ!!
「ひゃああんっ!痛あっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいドクターっ!」
クリスは泣きながらも必死に謝る。
「『ごめんなさい』は当たり前でしょう、クリスくん?どれだけ私は羽柴くんが心配したと思ってるんです?」
七海はやや冷ややかな感じで話しながら、一見静かに、だがこれ以上ないほどの勢いでブラシの嵐をクリスのお尻へと降らせる。
 「うわぁんっ!!心配かけてごめんなさぁいっ!!もぅ・・しませぇんっ!!」
苦痛のあまり、全身を震わせ、目尻に涙を浮かべて謝るも、七海はブラシを振るう手を止めようとしない。
「クリスくん・・。これで何回目です?もう三回目でしょう?」
バシバシと容赦なくお尻を叩きながら、七海はお説教を続ける。
「前にも・・連日徹夜なのに無理して倒れたり、体調悪いのに無理して倒れてるじゃないですか。忘れちゃいました?」
「そ・・そんな・・ことは・・ひぃんっ!!痛あっ!きゃあっ!ドクター・・痛あっ!」
「覚えてたならどうして正直に言ってくれなかったんです?その結果、どうなりました?ねぇ、クリスくん?」
静かに問いかけながら、クリスのお尻をさらに濃厚に染めてゆく七海の姿に空は戦慄に似たものを感じる。
 (七海ちゃん・・・怒ってるなんて・・もんじゃねえ・・・)
自分も無茶をして七海にお仕置きされたことはあるから、一見優しそうだが七海のお仕置きは厳しいのは知っている。
だが、そのときとは比べものにならないくらい七海が怒っているのが否応なしに伝わってきた。
 「ひっ・・!!ごめ・・ごめんなさいっ!!ごめんなさいドクターっ!!」
「謝ればいいってものじゃありませんよ、クリスくん?何度も心配させて、叱ってもわかってくれない子には徹底的にお仕置きしてあげますからね」
七海は恐ろしいことを言うと、さらに容赦なくお尻を叩き続ける。
必死に許しを乞うクリスの声とブラシを叩きつける音が部屋の中に響き渡った。


 「ぐ・・・ぐひぃん・・ひっく・・えっぐ・・・」
クリスはしゃくり上げながらボロボロと涙をこぼす。
今や全身ぐったりとしており、額や手の甲にはじわりと汗がにじんでいる。
お尻は今や濃厚なワインレッドに染まった上、一回りか二回りくらい大きく腫れ上がっていた。
 「ひぐ・・うぇん・・ごめ・・ごめんなさぁいい・・・・」
ボロボロ泣きながらもクリスは必死に謝る。
「反省しましたか、クリスくん?」
ようやくブラシを止めると、七海は尋ねる。
 「ひっく・・し・・しましたぁ・・・。し・・心配かけて・・ごめ・・ごめんなさい・・」
「どうやら反省してるようですね。それじゃあ許してあげましょうか」
七海はそう言うと、ようやく道具をしまう。
そしてクリスを起こしたかと思うと椅子に腰を下ろし、クリスを膝に載せた。
 「大丈夫ですか、クリスくん?お尻・・痛かったでしょう?」
すっかり普段の感じに戻った七海は優しい声で尋ねながら、ワインレッドに染め上がったクリスのお尻を優しく撫でてやる。
「いえ・・。僕の方こそ・・心配かけたり・・・して・・ごめんなさい・・」
「わかってくれればいいんですよ。でも、くれぐれも身体は大事にして下さいね」
「はぃ・・ドクター・・」
クリスは七海にそう返事をすると、抱きかかえられたまま空の方を振り向く。
「羽柴さんにも・・心配かけちゃって・・本当にごめんなさい・・」
「別にいいって。わかってくれればさ。それより、ケツ痛えだろ?七海ちゃん、タオルとか持ってきた方がいいよな?」
「そうですねぇ、お願い出来ますか、羽柴くん?」
「ああ。待っててくれな」
羽柴はそういうと、部屋を出て行った。


 ―完―

theme : 二次創作(BL)
genre : 小説・文学

オイタも過ぎると・・・(好きしょより:水/祭)



 (注:好きしょを題材にした二次創作です。BL・鬼畜要素ありです。許容出来る方のみご覧ください)


 (誰だ・・・?)
廊下を歩きながら水都は誰かの視線を感じていた。
(羽柴か・・・?)
最初はそう思ったが、どうも感じが違う。
羽柴空は頭より身体が先に動くタイプだ。
 だが、自分を観察しているものはどこか違う。
むしろ慎重に自分を観察しているように思える。
歩きながら水都はさりげなく視線を廊下の窓の方へ向ける。
廊下の窓には水都や廊下を行く生徒達の姿が映る。
それを利用して自分を観察してる者の正体を突きとめてやろうというわけだ。
 やがて視線の主が窓を通して姿を現す。
見えたのは長い金色の髪。
祭だ。
窓を通して見る祭は、うまく物陰に姿を隠してこちらの様子を伺っている。
手にはデジカメらしいものを持っている。
 (なるほど・・・)
祭が持っているものを見て、水都は薄笑いを浮かべる。
祭は写真好きだ。
そして、ただ写真が好きなだけでなく、それで人の秘密を撮ることもしている。
空がしばしば祭の頼みを聞く羽目になるのも、一つにはそのせいだった。
(おおかた私の弱みを握ろうとでもいうつもりだろうが・・・。そうはいかんぞ)
再び、薄く笑みを浮かべると水都は気づかない振りをしてそのまま歩き続けた。


 (よし・・・気づいてないみたいだな・・・)
うまく水都の後をつけながら、祭はしめたというような表情を浮かべる。
今まで空をはじめとして色んな人間の面白そうなところ(撮られた方にしてみれば弱みだろうが)を写真に収めてきた。
だが、水都は手ごわく、今までそういうチャンスが来なかった。
だが、それだけに祭としてはかえって闘志をかき立てられたのだろう、水都の弱みを握ってやろうとしているのだった。
後をつけていると、やがて水都は数学教諭室へ入ってゆく。
 数学教諭室へ入ってゆくのを見届けると、祭は慎重にドアへ近づいてゆく。
恐る恐る顔をドアに近づけると、音を立てないように慎重にドアを開ける。
そして僅かな隙間から中を覗いてみた。
 (あれ・・?)
室内を覗くなり、祭はおかしなことに気づく。
水都の姿が見えないのだ。
(そんな・・・確かに見たのに)
意を決して、祭はさらにドアを開ける。
そして首を突っ込めるだけの隙間をつくると、慎重に頭を入れた。
直後、後頭部に鈍い衝撃が走る。
ウッと呻いて祭はそのまま倒れそうになるが、水都は片手で襟を後ろから掴んで支える。
部屋に入ると同時に水都はドアの脇に身をひそめ、姿が見えなくて不審に思った祭が入ってくるのを待ち構えて後頭部を殴りつけたというわけだ。
 「ふふ・・・目覚めてからは・・お楽しみだぞ・・」
水都はニヤリと笑みを浮かべると、気絶した祭をそのまま教諭室へ運び入れた。


 ゆっくりと目を覚ました祭におぼろげながら飛び込んできたのは床板のタイルだった。
(あれ・・・?)
怪訝に思う祭は思わず身体を揺り動かす。
すると腹の下に何かの感触があることに気づいた。
 「ククク・・・気がついたようなだな」
突然、頭上から嫌な感じの含み笑いが聞こえてきた。
水都の声だ。
「み・・水都・・先生・・?」
思わず祭が尋ねるように呼びかける。
 「何だその顔は?私の後をつけていたんだろう?」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら水都は言った。
「そ・・それより・・何で・・・こんな・・格好・・なんですか?」
祭はギリギリまで首を左右に振りかえりながら尋ねる。
ソファに腰かけた水都の膝の上にうつ伏せに乗せられていたからだ。
 「ククク・・・気づかんのか?羽柴とは違って馬鹿ではないと思っていたが・・。やはり羽柴同様しょせんは子供か、お祭君は」
「なっ!!ば、馬鹿にしないで下さいっ!僕はもう子供じゃありません!!」
幼いころの呼び名で、嘲弄するかのように言われたためだろう、思わず祭はカッとして叫ぶように言う。
「なら何をされるかおおかたわかっているんじゃないのか?ククク・・・」
「そ・・それは・・・」
祭はプイと顔をそむけると、そのまま押し黙ってしまう。
 本当は何をされるかわかっていた。
以前、空が水都にお仕置きと称してお尻を叩かれているところをたまたま目撃してしまったからだ。
そして、祭自身、以前小遣い稼ぎのつもりで七海の隠し撮り写真を売っていたのがバレてしまい、七海にきつくお仕置きされたこともあった。
それでもそんな恥ずかしい目にあわされるなどということを思いたくも信じたくもないのが強いのだろう、何も言えなかった。
 「フフフ・・・本城・・・どうやらわかってはいるようだな」
祭の態度でそう気づくと、ニヤニヤしながら水都は話しかける。
祭は何も言わないが、ブルブルと全身が小刻みに震えている。
屈辱感を感じていることに気づくと、水都は満足そうな表情を浮かべる。
「ククク・・・いつまでもこのままというのも辛いだろう。始めてやろう」
そういうと水都は制服のズボンを降ろしにかかった。
「あっっ・・!!何を・・!!」
思わず祭は手を動かそうとする。
だが、その前にぴしゃりと水都に手を叩かれてしまった。
「ふふん、お仕置きは裸の尻にするものだと決まっているだろう?」
「そ・・そんな・・。お・・お願いです・・。そ・・それだけは・・・」
震える声で祭は懇願する。
「聞けんな。これもお仕置きのうちだ。諦めるんだな、本城」
「そ・・そんな・・・」
絶望的な表情を浮かべて呟く合間に、水都は祭のズボンを膝まで降ろしてしまう。
あっという間に年頃の少年らしい引き締まった適度に弾力がある、そして女性顔負けに綺麗なお尻が姿を現した。
 「ほほぅ・・・これはこれは・・・」
水都はまるで美術品でも眺めるようにしげしげと祭のお尻を見つめる。
(き・・気持ち・・悪い・・・)
祭はまるで痴漢に覗かれているかのような感覚を覚え、身震いする。
しばらく祭のお尻を眺めていたかと思うと、水都はおもむろに左手をお尻に乗せたかと思うと、ゆっくりと撫で回し始めた。
 「ひ・・!!」
痴漢のような気色悪い感触に祭は背をのけ反らせる。
「や・・やぁだぁっ!!」
思わず祭は両手を後ろへ伸ばすと、お尻を庇おうとする。
そこへ水都は容赦なく尻たぶを掴むと、思い切り捻じ上げるようにしてつねった。
 「や・・・!!み・・水都・・先生・・い・・痛い・・!!」
「何をしている?お仕置きだと言っただろう?本城、お前は素直に罰も受けられないのか?」
「ち・・違います・・でも・・・」
「いいわけはいい・・。よくわかった・・。それならこちらにも考えがある・・」
水都はそういうと、祭の両腕を後ろ手に背中へ縫いつけるようにして右手で押さえつけてしまう。
「ふふん・・これでかばえまい。さて・・・・お仕置きの時間だ。たっぷりと・・・自分の浅はかさを・・・後悔することだな・・・」
ピタピタと軽く尻をはたきながら宣告したかと思うと、水都はゆっくりと左手を振り上げる。
そして祭のお尻目がけて、思いっきり振り下ろした。


 パアッシィ~~ンッッッ!!
「くぅ・・!!」
肌を打つ甲高い音と共に、祭は苦痛の声を漏らし、身体を強張らせた。
ピシャアンッ!パアチィンッ!パアアンッ!パアシィンッ!
祭は声を漏らすまいと必死に口を噤む。
 「おやおや?泣いてたまるかとでも思っているのか?ふふん、子供っぽいプライドだな」
「そ・・そんなんじゃ・・・・」
祭はそう言いかけるが口を噤む。
水都の言うとおりだったし、何か言えばそれを認めることになるからだ。
「やはりそうか。ふふん、本城、無理をする必要はないぞ。泣きたければ素直に泣くがいい。それが子供というものだ」
お尻を叩きながら、水都は嬲るかのように祭にそう言いやる。
子供扱いされ、祭は恥ずかしさと悔しさと情けなさで涙が滲みそうになる。
だが、泣いたら本当に子供のようだと思い、必死で泣くまいとする。
しかし、屈辱感と情けなさは拭いようもなく、両肩を熱病患者のようにブルブルと震わせた。
 (ククク・・・こたえているようだな。だが、そんな意地がいつまで持つかな?)
意地の悪い笑みを浮かべると、水都はお尻を叩く手により勢いを込める。
パアシィ~ンッ!ピシャア~ンッ!パッア~ンッ!パッチィ~ンッ!
「ぁ・・・ぅ・・・ぁ・・・っ・・・」
耐え切れなくなってきたのだろう、祭の口から微かだがうめき声が漏れ始めた。
ピシャア~ンッ!パアシィ~ンッ!パッチィ~ンッ!パッアァ~ンッ!
「それにしても・・・羽柴ならともかく・・・・」
パアシィ~ンッ!ピシャア~ンッ!パッチィ~ンッ!ピシャア~ンッ!
「う・・・く・・あ・・・うぅ・・・」
「お前が私に手を出そうとは・・・意外だったぞ・・ククク・・・」
ピッシャ~ンッ!パアッシィ~ンッ!パッアァ~ンッ!ピッシャ~ンッ!
「くぅ・・うぅ・・あっ・・くぁぁ・・・」
祭のうめき声が大きくなり、表情も苦しげなものに変わってゆく。
お尻も平手が叩きつけられるたびに赤く色づいていった。
 「それも・・よりによって・・・私の弱みを握ろうとは・・・いい度胸だな?」
バシッ!バアンッ!バチンッ!ビダァンッ!
「あっ!痛あっ!くっ!痛いっ!」
水都は不意に感情を爆発させたのか、容赦のない平手打ちを叩きつける。
 バアシィンッ!バチンッ!ビダァンッ!バッアァンッ!
「ひっ・・!痛・・!ひぃんっ!ひっ!」
祭はジワリと涙を浮かべ、苦痛に身をよじる。
バシンッ!バチンッ!バアンッ!ビダァンッ!
「痛ぁっ!で・・出来・・心・・だったんです・・痛っ!」
「出来心だと?そういえば許してもらえるとでも思っているのか?舐められたものだな」
水都は容赦のない平手打ちを叩きつけながら言う。
 「ひぃんっ!!そ・・そんな・・つもりは・・痛っ!ご・・ごめん・・なさい・・・」
「ククク・・・甘いな、本城。謝った程度で許してもらえるなどとは思わないことだな・・」
水都のその言葉に祭は身を強張らせる。
本気で水都が怒っていることを悟ったのだ。
 「クク・・・そうだ。いいことを思いついた・・・」
突然、水都はお尻を叩く手を止めたかと思うと、一旦、祭を膝から降ろす。
降ろされた祭は、赤く染まったお尻をむき出しにしたまま、ソファに寄りかかるようにして床に座り込んだ。
 (な・・何をするつもり・・何だろう・・?)
お尻の痛みに両肩を上下させ、荒い息を吐きながら、祭は水都の様子をジッと見守る。
水都は何やら室内を動き回っていたかと思うと、手に何かを提げて戻ってきた。
水都が持っていたのは、デジカメ・携帯用の小型プリンター。
さらに、水都はプリンターをソファ前のテーブルに置いたかと思うと、祭から取り上げたデジカメを別の机に置く。
ちょうど、叩いてる最中の祭のお尻がしっかりと撮れる場所だった。
さらに、別のデジカメを祭の顔が撮影できる場所へ置いた。
 (ま・・・まさか・・・)
祭は水都の意図におぼろげながら気づき、身体を震わせる。
「どうやら感づいたようだな?フフフ・・・・」
「せ・・先生・・・そ・・それだけは・・・」
はっきりわかるほどに身を震わせる祭に対し、水都は眼鏡をかけ直すようなポーズと共にニヤリと笑みを浮かべて言う。
「駄目だ、これもお仕置きのうちだ。己の愚かさをたっぷりと反省するがいい。ククク・・」
水都はそういうと再び祭を膝に載せてソファに腰かける。
そして両腕を後ろ手に右手で拘束すると、再び左手を振り上げた。
 バアッシィ~ンッッ!!
バンバンバンパァンパンパンバンバンバンパンパンパンパァンパァンッッッ!!
「ひいいっ!きゃひぃっ!ひぃひぃんっ!ひゃああんっっ!!」
まるで集中豪雨のような凄まじい勢いで平手打ちが祭のお尻へと降り注ぐ。
容赦なく襲いかかる打撃の嵐に祭は苦痛で身をよじり、背をのけぞらせた。
「痛っ!痛あっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!」
祭は必死に謝り許しを乞う。
だが、水都は祭の悲痛な声を無視して平手の雨を降らし続けた。


 「うっえ・・ひっひぃん・・・うぇええん・・・・」
しゃくり上げ、ボロボロと涙をこぼしながら祭は泣いていた。
お尻は今や濃厚なワインレッドに染め上がっており、焼けた石炭のように熱を放っている。
ズボンは足首までずり落ちており、足全体にジワリと汗がにじんでいる。
顔は涙でグショグショに濡れ、頬は赤く上気し、口元からはよだれまで垂れていた。
 「フフフ・・・見るがいい・・よく撮れているぞ」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら、水都は周りにばら撒くようにして持っていたものを落とした。
ヒラヒラと宙を舞うように落ちたのは写真。
あるものは真っ赤に染め上がったお尻が、またあるものはそのお尻にまさに平手が叩きつけられた瞬間が、さらに別のものには泣き叫ぶ祭の表情が映されている。
 「う・・うぅ・・・そんな・・・うわぁん・・・」
写真に映し出された恥ずかしい姿に祭はさらに泣いてしまう。
「ククク・・・どうだ?いい出来だろう?猿のように赤くなった写真好きのお祭君?」
水都は赤く腫れ上がったお尻をヒタヒタと軽くはたきながら、嘲笑するように話しかける。
「ひっく・・ごめ・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・ごめんなさぁぁいい・・・」
祭は小さな子どものようにボロボロと涙をこぼしながら必死に許しを乞う。
 「『ごめんなさい』だと?人の弱みを握ろうなどとしておいて、その程度で許してもらえるとでも思っているのか?どうやらまだ叩かれ足りないようだな?」
含み笑いを浮かべると、これ見よがしにさらにヒタヒタと水都は祭のお尻を軽くはたいた。
(ま・・まだ・・許して・・くれない・・・)
祭は目の前が真っ暗闇になったような、絶望的な表情を浮かべる。
無意識に震える肩にその恐怖を感じ取ったのだろう、水都はニヤリとサディスティックな笑みを浮かべる。
そして、聞えよがしに口を開いた。
 「やはり反省が足りないようだな・・・。しかし・・・尻叩きというのも芸がないなぁ、そうは思わないか、お祭君?」
水都の問いかけるような口調に祭はギクリと身を強張らせる。
(な・・何を・・する・・つもり・・?)
恐怖に表情を歪めながら、祭は耳を研ぎ澄ませ、水都の言うことを一つも聞き洩らすまいとする。
「フフフ・・・。この・・・真っ赤に染まった尻に特大のお灸を据えてやるのもいいかもしれんな・・」
(う・・嘘でしょ!?そ・・そんな・・こと・・されたら・・)
信じられない思いに祭は思わず振り向こうとする。
 「それとも・・イチジク浣腸でもしてやる方がいいか?いや・・いっそ・・両方ともしてやるというのもいいかもしれんな・・・」
水都が宣告する新たなお仕置きに祭は戦慄する。
恐怖がもはや極限にまで達していたのだろう、祭の足の間から生温かい湯気が生じ、何やら匂いのする液体が滴り落ちる。
 「ふ・・ふえーん・・・・」
まるで幼児返りでもしたかのように、祭は泣きじゃくり始めた。
「浣腸もお灸もいやぁぁ・・・ごめんなさぁい・・・も・・もぅ・・二度と・・しま・・しませぇぇん・・・」
「本当だな?」
「や・・約束・・しますぅぅ・・ごめ・・ごめん・・なさぁい・・・」
祭がそれだけ言うと、ようやく水都は満足したような笑みを浮かべる。
「ククク・・・いいだろう・・。今回はこの辺で勘弁してやろう・・。だが・・・」
水都はそういったかと思うと、最後に思いっきり平手を叩きつけた。
 バアッチィ~~~ンンッッッ!!!
「うわぁぁぁんんんっっっ!!痛ぁぁぁいいいい!!!」
祭は身をよじって悲鳴を上げる。
「もしまた・・私の弱みを握ろうなどという真似をしたら・・・今回の倍は叩いた上に浣腸とお灸もしてやろう。その上で恥ずかしい写真や画像をネットに流してやろう。わかったな?」
「ひぃ・・!!ぜ、絶対に・・しませんん!!」
祭は恐怖のあまり再び身を震わせながら誓う。
それを見ると水都はようやく祭を解放してやった。


 それからしばらく経ったある日・・。
水都が廊下を歩いていると祭の姿が見えた。
よく見てみると、どうやらまた懲りずにカメラを手にしている。
水都は微かに口元を歪めると、何食わぬ表情で祭の横を通り過ぎる。
そして、すれ違いざまに耳許に囁いた。
 「お仕置きしてやろうか?猿みたいに真っ赤な尻のお祭君?」
祭はギクリと身を強張らせて振り返る。
表情は恐怖に慄き、両手でお尻を庇うような仕草を見せたかと思うと、慌てふためいてその場から逃げだした。
水都は満足げな笑みを浮かべると、何事もなかったかのようにその場を立ち去った。


 ―完―

theme : 二次創作(BL)
genre : 小説・文学

覗きの代償(好きしょより:水/空)



 (注意)BLゲームが題材です。ちょっとだけBL要素が入っています。ですので、苦手な方はご遠慮下さい。

 (うわぁ、痛ってぇだろうなぁ・・・)
保健室の扉の前、僅かに開いた隙間から中を覗きこみながら、羽柴空は思わず、心中でつぶやいた。
部屋の中では、友人のクリスが、保健医の七海にお仕置きされている。
無理をした末に倒れ、空や七海に心配をかけた罰に、七海の膝の上でお尻を叩かれているのだ。
空の目には、たっぷりと叩かれ、熟れたスモモのように真っ赤に腫れ上がったクリスのお尻が、はっきりと映っていた。

 「何をしている?」
不意に、背後から声がした。
(この声・・・まさか・・・)
空は嫌な気配を背後に感じる。
恐る恐る後ろを振り返ると、空は露骨なまでに嫌な表情を浮かべた。
「ゲッ・・・水都・・・」
そう、彼の背後に見えたのは、端整だがどこか意地の悪い水都の顔。
この学校に務める教師の中でも、一番嫌な奴の一人だ。
「くくく・・・覗きとは悪趣味だな・・・」
「好きでやってるんわけじゃねえよ・・・」
空は渋々という感じでいう。
授業が終わったので、クリスの様子を見てこようと、保健室に向かったのだ。
ところが、保健室ではお仕置きの真っ最中。
さすがに入るわけにもいかないので、やむなくドアの前でお仕置きがやむのを待っているのである。
とはいえ、中の様子も気になるので、ドアが少しだけ開いているのを幸い、覗いていたのであった。
「覗いた上に教師に向かってその態度はよくないな、羽柴・・・」
(何だよ・・・。やばげな空気だぞ)
空は身の危険を感じ、思わず後ずさる。
「それより何でこんなとこにいるんだよ!?」
「そんなことはどうでもいいだろう。それよりも覗きの上に教師に暴言とは・・・。これは躾が必要だな・・・」
水都は嫌な笑みを浮かべると、両手で空を捕まえてしまう。
次の瞬間、空は水都の肩の上に担ぎ上げられていた。
「おい!何すんだよ!」
「決まっているだろう。教諭室でたっぷりと躾をしてやる。お前のような小猿には必要だからな。本当の小猿みたいに真っ赤にしてやるから、楽しみにしているがいい・・・」
「ばかやろうっ!降ろせっ!この陰険鬼畜教師っっ!!」
空は必死で抵抗するが、水都には全く通用しない。
肩に担がれたまま、空は水都に数学教諭室まで連れてゆかれてしまった。

 「はーなーせっ!離せよっ!この陰険サド!鬼畜っ!!」
教諭室のドアの向こうからは、空の悪態が、声が枯れんばかりの大声で聞えてきた。
空はソファに腰かけた水都の膝の上に、うつ伏せに乗せられている。
水都はしばらくニヤニヤと笑みを浮かべていたが、空のズボンに手をかけると、あっという間に降ろしてしまう。
ズボンの下からは、健康的な肌をした、引き締まった空のお尻が姿を現した。
「くくく・・・。相変わらずいい尻をしているな」
セクハラまがいの発言をすると、水都は空のお尻を撫で回す。
空の背筋を冷たい悪寒と屈辱感が走りぬけた。
(冗談じゃねえよ!何で男にケツ触られなきゃなんねえんだよ!?)
 この水都という教師はそういう趣味の持ち主である。
特に空に目をつけているらしく、しばしば『お仕置き』と称して、その手の行為を行っていた。
「やめろって言ってんだろっ!この変態教師っ!」
空は上半身を後ろに振り向かせると、水都を殴ろうとする。
だが、空の拳は水都にあっけなく受け止められてしまった。
「教師に悪態をついた上に暴力を振るうとは・・・。これは相当きつい『お仕置き』が必要だな」
水都はそういうと、これ以上ないくらい嫌な笑みを見せつける。
(やっべぇ・・・)
空は思わず後悔した。
この後ろくでもないことになるのは、目に見えていたからだ。
だが、水都に腰をしっかり押さえつけられ、逃げるに逃げられない。

 バアアンッッ!
いきなり、強烈な衝撃が空のお尻を襲った。
「痛ってえええっっっっ!!!!!」
思わず空は飛び上がりそうになり、悲鳴をあげる。
「ちくしょおっ!何で叩いて・・・」
後ろを振り向くや、空の言葉が途切れた。
水都の手には、定規、それも50センチ近くはある、幅広の金属製のものが握られていたからだ。
「って何使ってんだよっ!!」
思わず空は大声を出す。
意地の悪い水都の性格を考えれば、道具を使う可能性があるのは十分に予想できた。
だが、まさか金属製の定規などという代物を使うなどとは思ってもいなかった。
「見てわからないのか?定規だが」
「そんなんわかってんだよっ!まさかそれでケツ叩く気かよ!?」
「決まっているだろう。礼儀のなっていない、馬鹿な小猿はこれぐらいしないと覚えないだろうからな・・・」
「ってふざけんなこのっ・・・・」
空は抗議しようとするが、言葉が途切れる。
水都が再度、定規を振り下ろしたのだ。

 バンッ!バシッ!バアアンッ!バチィンッ!バアンッ!
「バカッ!やめろっ!このサドッ!鬼っ!陰険教師っっ!」
バシッ!バアアンッ!ビッタァンッ!バアアンッ!
「ふふん・・・口の減らない小猿だな・・・」
水都は楽しげな表情で言う。
彼にとっては、空が謝るよりも、悪態をついていてくれている方が都合がよかった。
その間、好きなだけお仕置きが出来るし、何よりも空のように反抗的な少年が散々抵抗した末に、屈服し、泣いて許しを請う様を見るのが楽しみなのだ。
バシッ!バアアンッ!パンッ!バシィッ!
「ぎゃあっ!ひいっ!やめろっ!やめろって!この馬鹿教師っっ!!」
空はあらん限りの罵詈雑言を水都にぶつける。
逆効果なのがわかっていても、そうせざるを得なかった。
水都に許しを請うのは嫌だったからである。
「ふっ・・強情だな・・」
バシッ!パアンッ!パチンッ!バアアンッ!
「ちくしょおっ!離せっ!離せよぉっ!この鬼畜眼鏡っ!陰険っ!」
バシッ!バアアンッ!バチィンッ!パアアンッ!
「ふふふ・・・謝るつもりはないのか?」
「だ・・誰がお前なんかに・・・」
空はお尻を叩かれながらも、気丈に言い返す。
最も、息は乱れ、目にはかすかに涙が溜まり、お尻は既に真っ赤に染まり、倍近くに腫れ上がっている。

 「それなら・・・謝れるようにしてやらんとな・・・」
水都はにやりと笑うと、ソファの上で足を組みかえる。
片膝をもう一方の足で組むような体勢にしたのである。
途端に、空はお尻を天井に向かって突き上げるような体勢に変わる。
「ちょ・・ちょっと待てよ・・・。まさか・・・」
途端に空の顔色が青くなる。
この体勢はお尻が上に突き出されることにより、痛みの感覚が増すのである。
「ふふふ・・・行くぞ・・・」
「おい!ちょっと待て!やめろっ!」
空が叫ぶが、水都はお構いなしに定規を振り下ろした。
 バッシイイ――――――ンンンッッッッ!!!!
「ってぎゃアア~~~~~~~~っっっっっ!!!!!」
今までとは比べ物にならない苦痛に、空は背中を思い切り仰け反らせ、絶叫する。
バッチィーンッ!バアアアンンッッ!バチィィィ!ビシリィィィ!
「うぎゃああ~~~。い、い、痛えっっ!!痛えええ~~~~~」
お尻を襲うあまりの痛みに、空は金切り声を上げて叫んだ。
「こら、暴れるんじゃない」
水都はそういうと、バタバタと激しく動く空の手足にも定規の一撃をくれてやる。
「ふふふ・・。どうだ?いい加減に謝ったらどうだ?『ごめんなさい。二度としません。だから許して』とでも言えば、やめてやってもいいんだぞ?」
「だ・・誰が・・言うかよ・・・」
空は荒い息遣いをしつつも、何とか言った。
「ふふん、強情な奴だ」
バシィィィィ!
「~~~~~~~ッッッッッ!!!!」
水都の再度の一撃に、空は声も出ない。
「ふふふ・・・お前の強情さに敬意を表して・・・あと50発、特別ボーナスでくれてやろう」
水都は嫌味な笑顔を浮かべながら、死刑宣告にも等しいことを空に言い放った。
「って何考えてんだこのサド教師!も、もう離・・・・」
そこまでで空の言葉は途切れた。
後は、肌を激しく打つ音、悪態や絶叫、嘲弄するような嫌味な声、などが入り混じって室内に響き渡った。

 「い・・痛ってぇよぉ・・・。くっそう・・・水都の奴・・・」
一時間後、廊下を歩く空の姿があった。
どことなく前かがみになり、お尻をさすりながら歩いている。
ようやく、さっき水都から解放されたのだ。
意地になって謝らなかったため、先ほどまで嫌というほど叩かれていたのである。
おかげで、お尻は火がついたように熱く、一歩歩くたびに焼け火箸でつつかれたかのような痛みが走る。
そのたびに、表情が痛さでゆがみ、時折すれ違う生徒が怪訝な表情を浮かべて空をみやった。

「あっ。羽柴さん!」
不意に、聞き覚えのある声が聞えた。
空が正面を見やると、少し離れたところにクリスが立っている。
「あれ?クリスじゃんか?身体、大丈夫か?」
「はい、ドクターのおかげですっかり大丈夫です」
「そりゃよかったな」
クリスの笑顔を見た空は、すっかり気分が変わる。
「あの、どうかなさったんですか?前かがみになってらっしゃいますけど?」
「な、何でもねえよ。ちょっとケツどっかにぶつけただけだって」
慌てて空はごまかす。
水都にお尻を叩かれていたなど、恥ずかしくていえないからだ。
「それより、クリスこそ大丈夫かよ?七海ちゃんにケツ叩かれてたんだろ?」
「どうしてご存知なんですか?」
クリスはびっくりした表情を見せる。
(やべ!余計なことしゃべっちまった)
後悔したが、もう遅い。
「あ、ああ。実はたまたま前を通ったら声が聞えてさ・・・。実は俺も前、無理して七海ちゃんに怒られてさ・・・」
「何だ、そうだったんですか」
「それより、帰りさぁ、どっかよらね?広夢がいいとこ教えてくれたんだよ」
「ごめんなさい。僕、すぐ教会に帰らないといけないんです」
「そうか。じゃ仕方ないよな」
二人はそういうと、別れる。
クリスが去るのを見送ると、空も歩き出した。
「とりあえず、七海ちゃんのとこ行かねぇと・・。ケツが痛くてまともに歩けねえし」


  ―完―


theme : 二次創作(BL)
genre : 小説・文学

トラワレテ・・・(好きしょより:水都/祭 アダルト・鬼畜要素あり)



 (注:BL・鬼畜・アダルト要素ありです。許容出来る方のみご覧下さい)


 「く・・っ・・やめろよっ!」
バシィッ!パアンッ!パチィンッ!パアンッ!
恥辱と怒りの籠った声と共に肌を打つ音が数学教諭室に響き渡る。
「ふふふふふ・・・まるで子猿だな・・・・」
水都は羽柴空の真っ赤に染まったお尻を見やりながら、嘲笑するように言う。
「う・・うるせえよ・・・もうやめろよ・・」
「そうはいかんな。反省の言葉が出るまではしっかりと躾けてやろう。クククククク・・・」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべると水都は空のお尻に平手を落とし続ける。
 (ん・・・?)
空のお尻を叩きながら、水都はあることに気がついた。
ドアが微かに開いているのだ。
しかも誰かが覗いているらしい。
 (誰だ・・・?)
空のお尻を平手でさらに赤く染めながら水都はドアをジッと見つめる。
すると長い綺麗な金色の髪が見えた。
(本城か・・・)
水都は髪の色からそう判断する。
(大方羽柴のことが心配にでもなったか・・?)
水都は今の状況からそう見当をつける。
(そうだ・・・)
ふと、ある考えが浮かんできた。
すぐにその考えを検討し、悪くないと考える。
(やってみるか・・・)
「フフフフフ・・・・・」
考えを決めると同時に水都は薄気味の悪い笑みを浮かべた。


 (どういうことなんだろ・・・・・)
数学教諭室のソファに座ったまま、本城祭は自身に問いかけていた。
放課後、校内放送が流れたかと思うと数学教諭室へ呼ばれたのだ。
 (もしかして・・・覗いてたのがバレたのかな・・・)
祭は呼び出しの理由を考えているうちにそのことに思い至る。
空が水都に呼び出しを受けたので気になった祭はこっそり後をつけたのだ。
そして空がお仕置きされているところを目撃してしまった。
 最初は驚いた祭だったが、すぐにちょっとしたイタズラ心が沸いてきて持っていた携帯で撮影しようとした。
だが、どうも水都がこちらを見ているように感じたので、すぐにその場を去った。
(バレてないとは思うけど・・・でも・・・もしかしたら・・・)
万が一の場合を考えると祭の表情が変わってくる。
無意識のうちに祭はお尻に両手を伸ばしていた。
 ガラララ・・・。
突然、ドアが動く音がした。
祭がハッとした表情で振り向くと、水都が入ってきた。
 「ククク・・・ちゃんと来ていたようだな・・・。いい子だ・・・」
水都は眼鏡を指で押さえたまま、笑みを浮かべて言う。
「あ・・あの・・水都先生・・・何か・・用ですか・・?」
平静を装いつつも、どこか緊張を隠せない声で祭は尋ねる。
「ククククク・・・それは本城・・お前自身がよくわかっているんじゃないのか?」
水都はニヤリと笑みを浮かべて言う。
その言葉に祭はギクリとしかけた。
 (や・・やっぱり・・・)
唇を震わせながら、祭は水都に見抜かれていたことを知る。
「な・・何のことですか?」
だが、心とは裏腹に否定の言葉が口をついて出た。
 (な・・何してるんだ!僕の馬鹿!?)
祭はとっさの嘘にハッとしてしまう。
こんな嘘で水都を誤魔化せるわけがない。
だが、言ってしまった以上、これで通すしかなかった。
「おや?否定するのか?」
「し・・知らないです・・ぼ・・僕は・・」
祭は後悔しつつも必死で否定を続ける。
 「ククク・・・本城・・・。嘘も大概にしておいた方がいいと思うが?」
水都は嫌な感じを与える笑みを浮かべながら言う。
その表情に祭は思わず肌が粟立ってしまう。
 (どうしよう・・・どうしたらいいんだ?)
冷や汗を流しながら祭は必死に考えを巡らせる。
考えを巡らせながら祭は水都の様子をジッと伺っている。
「う・・嘘じゃないです・・・」
「ククク・・。あくまでもしらを切るつもりか?ならやむを得んな・・・」
そう言ったかと思うと水都はゆっくりと立ち上がる。
嫌な予感を覚えた祭は本能的にドアに向かって走っていた。
 「あ・・っ!!!」
ドアにたどり着くなり、祭は声を上げた。
しっかりと鍵がかかっていたからだ。
「ククク・・。こんなこともあろうかと鍵をかけておいたからな」
背後から迫る水都の声にハッとして祭は振り返る。
「さて・・・お仕置きの時間だ・・・。覚悟してもらおうか」
そういうと水都は祭に向かって手を伸ばす。
 「あ・・っ」
祭が気付いたときには腕をしっかりと掴まれ、引き寄せられてしまっていた。
引き寄せると同時に水都は祭の顎を掴み、クッと持ち上げる。
祭の表情は水都に対する恐怖で強張っていた。
 「せ・・先生・・ごめん・・なさい・・・」
何とか許してもらおうと祭は必死に謝る。
「今さら遅いな。フフフ・・・たっぷりと躾けてやろう」
水都はそう言うとソファに腰かけながら祭の腕を引っ張った。


 (え・・?)
祭は突然、目の前に床が迫っていることに気付いた。
同時にお尻に外気が触れる。
まさかと思って振り向いてみたら、何と膝の上にうつ伏せにされた上に今にもお尻を出されようとしているではないか。
「ちょ・・何してるんですかぁ!?」
「お仕置きの準備に決まっているだろう?」
何を言っているのだと言わんばかりの表情で水都は平然と答えた。
「ま・・まさか・・・お尻・・叩くんですか・・?」
「決まっているだろう?昔から悪い子にはお尻ペンペンと相場が決まっているからな」
水都はニヤリと笑みを浮かべて宣告する。
 (そ・・・そんな・・・嘘・・・お尻ペンペンだなんて・・・)
祭は恥ずかしさに身体を震わせる。
(確かに・・悪いのは・・僕だけど・・・でも・・でも・・・お尻叩かれるだなんて・・幾らなんでも・・・恥ずかしすぎる・・・)
祭は情景を想像したのか顔を真っ赤にする。
 (クククク・・恥ずかしがっているようだな・・・)
水都は祭の反応に満足げな様子を見せる。
(だが・・こんなものは序の口だ・・。たっぷりと可愛がってやろう・・・)
水都はそういうと祭のお尻に手を伸ばした。
 「きゃあっ!ひゃあんっ!」
突然、お尻を気色悪いものが這いずる感覚に祭は声を上げる。
(な・・何っ!?)
祭が後ろを振り返るや、水都の手が祭のお尻を撫で回していた。
「せ・・先生・・・や・・やめて・・・くだ・・・」
「駄目だ。これもお仕置きのうちだ、本城」
冷たい声で水都は言うと祭のお尻をねちっこく撫で回す。
 (や・・嫌・・気持悪いっっっ!!!)
余りの気色悪さに祭りは今にも吐きそうな表情になり、同時にジンマシンが出そうになる。
「クククククク・・・」
薄気味悪く笑いながら水都は祭のお尻を撫で回し続ける。
気色悪さに祭が打ち震えている姿を水都はニヤニヤと楽しそうに眺めている。
だが、ようやく飽きたのか、やっと手を止めた。
 (た・・・助かった・・・)
祭はホッとしかけるがそれは一瞬だけのことだった。


 バアッチィィィンンンンン!!!
突然、お尻に強烈な衝撃が走った。
不意の出来事に祭は息が詰まりかける。
(何が起きたの?)
一瞬、祭は理解出来なかった。
だが続けて甲高い音が響き、お尻に痛みが走ってようやく我に返る。
 (お尻・・ぶたれたんだ・・・)
途端に羞恥がこみ上げてくる。
だが、恥ずかしさに浸っている場合ではなかった。
 バシィィィン!ビダァァァンン!バアッチィンッ!バァァアアンン!
「ひゃっ・・!くひっ・・!あっ・・!ひゃあんっ・・!」
水都が祭のお尻に平手を叩きつけるたびに祭は声を上げる。
(痛い・・・!熱い・・・!)
水都の手が叩きつけられるたびに祭のお尻に手形が刻みつけられ、お尻は赤く染まってゆく。
そのたびに電撃のような鋭い痛みが走り、サウナの床のようにお尻が熱くなる。
 「ひいっ・・!ひんっ・・!ぐぅっ・・!ひゃあっ・・・!」
祭は水都のズボンの裾を両手でしっかりと掴み、何とかお仕置きに耐え抜こうとする。
「ククク・・・本城・・・わかるか?見事な赤だぞ?まるで子猿だなぁ・・・」
水都は祭の羞恥心を煽るように言う。
祭は耳まで真っ赤になり、両肩を震わせる。
 「おやおや?一丁前に恥ずかしがっているのか?ふぅむ・・それではまだ余裕があるようだな」
水都はお尻を叩きながらも考え込むかのように言う。
(何を言いたいんだ?)
水都の口調に嫌な予感を覚えた祭は思わず警戒する。
「そんな余裕があるうちは反省していないだろうからな。もっとキツク躾けてやろう」
楽しそうな声で水都はそう言ったかと思うと何かを取り出す。
そしてそれを握ったまま思いっきり祭のお尻に叩きつけた。
 バァジィィィィィンンンンンンンン!!!!
「うわぁぁぁああっっっっっっ!!!!!!」
余りにも容赦の無い打撃に祭は絶叫に近い悲鳴を上げる。
(何!?何なの!?一体!?)
恐怖に駆られて祭は振り返る。
すると金属製の定規を水都が握っているのが見えた。
 「せ・・先生・・・それは・・・?」
震える声で祭が尋ねると、水都は楽しそうに言う。
「ふふ。見てわからないのか?」
「ま・・まさか・・それで・・叩くんですか・・?」
「決まっているだろう。クククク・・・」
「あ・・いやっ!!」
本能的に祭は逃げ出そうとする。
だが、抵抗も空しく水都に捕まり、引き戻されてしまった。
 バアジィ~ンッ!ビダァ~ンッ!バッチィ~ンッ!バシィ~~ンンッ!
「きゃひぃんっ!ひゃあんっ!はあひぃんっ!ひゃあっ!」
定規が祭のお尻を容赦なく打ち据えるたびに祭の身体が跳ねそうになる。
「やめっ・・・先生・・やめてっ・・!」
バアジィィンンンンン!!!
「やだっ・・痛いっ・・ひぃんっ!」
祭は必死で水都に懇願しようとするが、水都はそれを無視して容赦なく祭のお尻を叩き続ける。
 「やあっ・・!もう・・やだあっ!」
祭はもはや恥も外聞も無く泣き叫ぶ。
いつの間にか祭の目尻には光る物が滲んでいた。


 「おや?これはどういうことだ?」
突然、水都は何かに気付いてお尻を叩くのを中断する。
何だかわからないもののお仕置きが中断されて祭はホッとしたが、次の瞬間、太ももの間に手が滑り込んでくるのに気付くや、思わず悲鳴を上げかけた。
 「これは不思議だな・・。尻を叩かれているというのにココが固くなっているぞ?」
水都は立ちかけた祭のそれを弄ぶように触りながら囁くように言う。
「ククク・・。本城・・・どうやらお前は尻を叩かれて気持ちよくなるMだったようだな?」
「へ・・変なこと言わないで下さいっ!僕はそんな変態じゃありません!」
あまりの言葉にさすがの祭も抗議の声を上げる。
 「そうかな?では試してやろう」
水都はそう言うや、祭のお尻を思い切り鷲づかみにする。
「ひ・・ひぃぃぃぃ!!!!!」
真っ赤に腫れ上がり熱まで持ったお尻を捕まれたため、鋭い痛みがお尻全体に走る。
余りの痛さに祭は背を仰け反らせ、目尻に再び涙を浮かべる。
散々に痛めつけられたお尻を掌で嬲りながら水都は手をお尻の最奥部へ走らせる。
奥へ手を差し入れたかと思うと、指二本を思い切り菊蕾から祭の中へ突き入れた。
 「う・・あ・・・あうわ・・・」
祭は気色悪さと痛みが入り混じった奇妙な表情を浮かべる。
(これは・・・)
水都は指を祭に挿入するや、ニヤリと笑みを浮かべる。
(程よくきつく・・・温泉のように熱い・・・素晴らしい・・・)
 「や・・ひぃ・・気持悪い・・痛いぃ・・先生・・・やめて・・・」
祭は哀れをもよおす声で哀願する。
だが、それは水都の嗜虐心を燃え上がらせただけだった。
 ヌチュ・・ズチュ・・ズヌヌ・・・。
水都はわざと指を動かしてみる。
「ひっ・・!やあっ!ひゃあんっ!」
祭は嫌悪感に声を上げるが、身体の方は別の反応を示していた。
立ちかけだった祭自身が堅くそそり立ったのだ。
「身体は正直だな・・。嫌がっていても反応しているぞ?」
祭の羞恥を煽り立てるように水都は囁く。
「フフフ・・・とんだ淫乱子猿だな・・・。それなら別のお仕置きをくれてやろう」
水都はそう言うと祭を起こす。
起こしたかと思うや、祭は両脚を支えられて思いっきり持ち上げられる。
 (な・・何が始まるの・・・?)
祭が疑問に思う間もなく下からジッパーを下ろす音が聞えてくる。
(ま・・まさか・・・・)
最悪の可能性を思い浮かべると同時に一瞬、身体がグッと浮いたかと思うや思いっきり落下した。


 ズウウウウウンンンンン!!!!!
「あ・・・あぁぁあああぁぁああああああ!!!!!!」
落下の衝撃と共に焼けた杭をお尻に打ち込まれたのような強烈な衝撃が尾てい骨から脳天まで駆け抜けた。
 「ぐ・・さすがに・・キツイな・・・」
自身を無理矢理に祭の奥に飲み込ませた水都はその締めつけに顔を顰める。
ギッギッ・・・ギッギッギッ・・・。
ぎこちない音と共に水都は祭の身体を上下させ始めた。
「ひっ・・ひぎぃぃぃぃ!!!あ・・あひゃひぃん・・・!!」
祭は苦痛の声を漏らし、目を剥きそうになる。
 (た・・・たまらないぞ・・これは・・・)
苦痛に悶える祭とは対照的に水都は至福の表情を浮かべていた。
温泉にでも入っているような祭の内部の熱さに強烈な快楽を感じているのだ。
激しく祭を責めながら水都は祭の器官に触れる。
そして自身で祭のお尻を責めながら祭自身をさすってやる。
 「あ・・は・・あれ・・?」
苦痛の中で祭は快感が生じてくるのを感じ取る。
(な・・何だろう・・変な・・感じ・・・)
苦痛と快感が入り混じった奇妙な感覚に祭は陶酔したような表情を浮かべる。
(もう・・何だって・・いいや・・・)
理性を放棄したかのようなことを心中で呟くや、祭は奇妙な感覚に自身を全く委ねてしまった。


 「もっと・・もっとぉ・・・」
四つん這いになり、どこか壊れた表情を浮かべた祭はむき出しにしたお尻を水都に向けて艶めかしく振りながらねだっていた。
 お仕置きの日から祭は水都に囚われの身となってしまい、連日にわたって調教された結果、水都の奴隷というべき存在になり果ててしまったのである。
「先生・・・もう・・我慢・・出来ない・・お尻・・虐めてぇぇ・・・」
空や直が見たらショックを受けてしまいそうな淫らな表情を浮かべて祭はねだり続ける。
「ククク・・・それならソファにうつ伏せになってもらおうか」
水都の命令と同時に祭はソファにうつ伏せになる。
同時に水都に向かってお尻を突き出すようにして差し出した。
「いい子だ。ご褒美にたっぷりと可愛がってやろう・・」
祭が期待に満ちた表情で背後の水都を振り返ったまま見つめていると、水都は鞭を取り出して祭のお尻目がけて振り下ろす。
鋭い音と共に鞭がお尻に叩きつけるや、祭は歓喜の声を上げてクネクネと妖しく色っぽい動きでお尻を動かした。


 ―完―

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