仕事サボり(封神より:聞/紂)
(注:封神を題材にした二次創作です。キャラのイメージが原作と異なっている可能性があります。許容出来る方のみご覧下さい)
「陛下!どこですか!陛下」
聞仲は主君に呼びかけながら廊下を歩いていた。
「よぉ、どうしたんだよ?」
そこへ部下と共に巡回していた黄飛虎が現れる。
「飛虎か・・・。実は書類を持って陛下のところへ行ったのだがいつの間にかいなくなってしまっていたのだ・・。全く・・どこへ行かれたのやら・・・・」
「あ~。そりゃ大変だなぁ。ついでだから俺も見回りしながら探すわ」
「そうか。すまんな飛虎」
「別にいいって。んじゃ、俺はまだ見回りがあるんでな」
そういうと飛虎は兵士と共にその場を離れる。
聞仲も主君の姿を求めながら宮殿内を探し続けた。
それからしばらく経った頃・・・朝歌内の色街でも一番の店は、いつも以上に賑やかだった。
「踊るアホウに見る阿呆~~~。同じアホなら踊らにゃソンソンっ!!」
どこかの島国の民謡そっくりの歌と共に太鼓や琵琶の弦が激しく曲を奏でる。
同時に目にも艶やかな着物を着た芸者や太鼓持ちの芸人などが踊っていた。
「どうどすえ?若旦那、楽しゅうおすかぁ?」
芸者の一人がお酌をしながら若旦那なる客に声をかける。
「おお、楽しいぞ。何だか余・・じゃなかった・・私も仲間に入りたくなってきたな」
若旦那と呼ばれた客は芸者にそう答えた。
よく見てみると若旦那は紂王。
だが、富裕な商家の若旦那といった感じの格好をしていた。
聞仲の目を盗んで城下の色街へ遊びにきているのだ。
宮殿内では聞仲がいて派手に騒いで遊ぶなどということは出来ないし、こういう場所の方が気兼ねなく騒げる。
そこで、聞仲の目を盗んで街へ遊びに出てきたというわけだった。
「なら仲間に入りゃんしいなぁ。踊らにゃあ損どすぇ」
「それもそうだな。ようしっ!」
紂王は上着を脱ぐと芸人達の中に入り込み、一緒に騒ぎ始めた。
(ふぅ・・・楽しかったなぁ・・・)
陽も暮れかけた頃、紂王はトボトボと歩きながら色街でのどんちゃん騒ぎを思い返していた。
(聞仲がいなければ・・宮殿でも出来るのだが・・・。またしばらくどこかへ出張にならないか・・・)
宮殿でも遊びたくて、ついつい紂王はそんなことを考えてしまう。
そうしている間にも、紂王は小さな門の前へやってくる。
宮殿内で死者が出たときなどにのみ使われる門だ。
「あ!陛下!」
門番達は王の姿を見るや、敬礼する。
「堅苦しい挨拶はよい。それより・・聞仲は・・どうだ?」
「陛下を探してらっしゃるところです」
「街で遊んできたことはバレてはないのだな?」
「はい。宮殿内にいると思いこんでらっしゃいます」
「よし・・・。よくやった。では・・・開けてくれ」
門が開くと紂王は宮殿内に入る。
「さてと・・。どう言い訳したものかな・・・」
「何を言い訳するのです?」
不意に背後から声が聞こえてきた。
(ま・・まさか・・・)
思わず紂王は悪寒が走る。
物心ついたときから、毎日聞いている声だ。
聞き間違えるわけなどない。
ゴクリと息を飲みながら、恐る恐る紂王は後ろを振り返る。
すると、絶対に顔を合わせたくない人物が立っていた。
「ぶ・・聞仲・・」
「おかえりなさいませ、陛下」
聞仲はニコリともしないで言う。
「そんな・・どうして?」
「もしや外に行かれたのでは、という可能性も考えられましたので警備の者達を問い詰めてみたのです。どうやら陛下より私の方が怖いと見えたようですね。門番達が話してくれました」
やられた。
紂王はそう思った。
最初から有無を言わせぬ証拠を押さえるつもりだったのだ。
「さて・・陛下・・」
主君に呼びかけたかと思うと、聞仲はしっかりと王の身体を掴む。
「な・・何を・・する・・つもりだ・・聞仲・・」
恐怖に息を飲みながら紂王は家来に尋ねる。
「お話を伺わせていただきましょうか。じっくりと・・・」
その言葉を聞くや紂王は身を翻して逃げようとした。
「どこへ行くのです!逃がしませんよ!」
「いやだぁぁ!離してくれ~~~~聞仲~~~!!」
「なりません!さぁ!いらっしゃい!」
聞仲は問答無用で紂王を引っ立てる。
紂王は必死で抵抗するが、聞仲はそれをものともしないで自分の執務室へ連れて行った。
執務室の固い床の上に正座させられた状態で、紂王はジッと聞仲の様子を伺っていた。
「なるほど・・・。遊びたいばかりに政務をサボった挙句・・・宮殿を抜け出して街へ行っていた・・・そういうわけですね?」
家臣の問いに紂王は黙って頷く。
しばらくの間、沈黙が室内を支配していたが、やがて恐る恐る紂王が口を開いた。
「ぶ・・聞仲・・お・・怒って・・る?」
「怒ってないとお思いですか?」
聞仲の問いに紂王は怯んでしまう。
その答えは誰よりもよく知っていたからだ。
だが、聞仲が恐ろしくてとても口を開くことなど出来なかった。
突然、聞仲がゆっくりと立ち上がった。
それを見るや、紂王の表情に恐怖が浮かぶ。
無意識に紂王は立ち上がると、一歩また一歩と後ずさる。
「よ・・よせ!聞仲!よ、余が悪かった!だ・・だから・・・」
「なりません!今日のことは・・・絶対に・・許しませんよ・・」
「い・・・嫌だぁぁぁ!!」
叫んだかと思うと、紂王はドアに向かって走ろうとする。
だが、聞仲は紂王の手首をしっかりと掴むと、椅子の方へ引きたててゆく。
「嫌だぁぁぁ!!衛兵!衛兵ぃぃ!余を助けるのだぁぁぁ!!」
「無駄です。私がいいと言うまで誰も来てはならぬと言いつけてあります。助けは来ませんよ、陛下」
「そんなぁぁ!!いやぁぁ!!膝に載せないでぇぇぇ!!」
紂王は半狂乱になって叫ぶが、聞仲は構わず椅子に腰かけながら主君を膝の上に載せてしまう。
同時に上着を捲りあげ、ズボンを下ろすとお尻があらわになった。
二人も子供がいるにも関わらず若々しいせいか、お尻も形がよく、雪のように白くてきれいだった。
「聞仲ぅぅ!!余が悪かったぁぁ!!もう二度としないからぁ!お尻叩かないでぇぇ!!」
紂王はまるで子供返りしたかのように必死に叫ぶ。
幼い頃から紂王が悪さをしたときは聞仲がお尻を叩いてお仕置きをしてきた。
そのため、聞仲からのお尻叩きが紂王にとって最も怖いものだった。
必死に叫ぶ紂王を尻目に右手で背中を押さえると、聞仲は左手に丹念に息を吐きかける。
そしてゆっくりと左手を振り上げたかと思うと、主君のお尻目がけて思いっきり手を振り下ろした。
バアッチィィィンンン!!!
「きゃあああんんっっ!!」
最初から容赦のない一撃に紂王は悲鳴を上げ、背をのけぞらせた。
バアッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バアジィ~ンッ!バアァ~ンッッ!
「ひゃあんっ!きゃあんっ!ひぃぃんっ!ぎゃひぃんっ!」
激しい平手打ちの音と共に紂王の悲鳴が室内に響き渡る。
ビッダァ~ンッ!バアッシィ~ンッ!ビバァッジィ~ンッ!バッアァ~ンッ!
「きゃひぃんっ!ぶ、聞仲っ!痛いぃぃ!ひゃあんっ!」
あまりの痛さに思わず紂王は泣きごとを言う。
「痛くて当然です、お仕置きなんですから!」
ビッダァンッ!バアッシィ~ンッ!ビバッジィ~ンッ!バッアァ~ンッ!
聞仲は主人の泣きごとには構わず、お尻に平手を叩きつける。
まだお仕置きが始まってそんなに経っていないはずなのに、紂王のお尻はもう赤みを帯び出していた。
ビッダァ~ンッ!バッジィ~ンッ!バッアァ~ンッ!ビッシャア~ンッ!
「全く何をやってらっしゃるんですか!」
激しい平手打ちを王のお尻にくれてやりながら、聞仲はお説教を始める。
バアッジィ~ンッ!バッアァ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バアッシィ~ンッ!
「僅かな隙にいなくなったと思ったら・・・」
ビッダァ~ンッ!バアッシィ~ンッ!バアッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!
「ひぃ~んっ!やぁぁ!痛いぃぃ!ひゃあんっ!」
紂王は泣き叫びながら手足をバタバタ動かす。
「勝手に宮殿を抜け出した上に芸者遊びなどして!!」
ビッダァ~ンッ!バアッシィ~ンッ!ビッバダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!
「仕事はサボる!行方不明にはなる!皆にどれだけ迷惑かけたと思ってらっしゃるのですか!そんな風にお育てした覚えはありません!!」
元々厳格なくらい真面目な聞仲はサボりなどには手厳しい。
しかも、ただサボったのみならず勝手に宮殿を抜け出して行方不明になったせいで紂王を捜すために人手を動かさなければならなかったし、王がいないおかげであちこちの部署で仕事が滞ってしまった。
そういうこともあり、今日の聞仲は普段以上に怒っていた。
「うわぁぁぁんん!!だってぇ・・・遊びたかったぁぁ!!わぁぁんんん!!」
激しい平手打ちのせいか、つい本音を紂王はポロリと漏らしてしまう。
「だってではありませんっ!全く!!」
いささか呆れ気味な様子で聞仲は紂王のお尻を叩き続ける。
「うわぁぁぁんん!!も、もうやだぁぁ!!」
そう叫んだかと思うと、紂王は部下の膝からはい出そうとする。
だが、聞仲は右手に力を込めると引き戻してしまう。
「やぁぁぁぁ!!聞仲ぅ!離して~~~!!」
紂王は泣き叫びながら必死に抵抗する。
「まだお仕置きは終わりではありません!反省してらっしゃらないのですか!」
「わぁぁぁんん!だって痛いぃぃ!もうやだぁぁ!!」
「お仕置きだと言っていますでしょう!大人しくしてください!!」
「やだぁぁ!!痛いのはもうやだぁぁ!!それに余は子供じゃない~~~!!!お尻なんか叩くな~~~~!!!」
半分ヤケになっているのか、紂王は本音を叫ぶ。
「遊びたいからと仕事をサボったり勝手に外に出るのは子供と同じです。そんな陛下には子供のお仕置きで十分です」
「わあ~んっ!聞仲の鬼っ!悪魔っ!サドっ!大年増のヨボヨボ鬼畜ジジイっっ!!」
紂王は泣き叫びながら幼稚園児レベルの悪口を言いまくる。
「陛下・・・それは・・本心ですか?」
「うわぁんっ!離してくれないなら幾らでも言ってやるぅぅ!!聞仲のハゲーッ!!大年増っ!鬼畜~~!!お澄まし屋の鬼ババ仙人~~~!!」
「よくわかりました・・・陛下が全然反省してらっしゃらないのは・・・」
静かな声で聞仲が呟くように言った。
その口調に思わず紂王は背筋が凍りつくような感覚を覚える。
「ぶ・・聞仲・・?」
恐る恐る振り返ってみた聞仲の表情はまるで能面のように無表情だった。
だが、紂王には聞仲の怒気がひしひしと感じ取れた。
「そんな陛下には・・・もっとお仕置きが必要ですね」
聞仲の宣告に本能的に紂王は逃げようとする。
だが、万力で押さえつけられたような感覚を背中に覚えたと同時に、聞仲の左手が再び振り下ろされた。
バアッシィ~~ンッッッッ!!
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッッッ!!!
「きゃひいいいんんっっ!!痛いぃぃぃぃぃ!!!」
まるで集中豪雨さながらの平手打ちの嵐に紂王は背筋をのけ反らせ、激しく手足を動かしながら悲鳴を上げる。
「うわぁぁぁんん!!ごめんなさあいい!!謝るから許してぇぇぇ!!」
あまりの痛さに紂王はとうとう謝る。
「駄目です!!反省するどころか暴言を吐くような方は徹底的に懲らしめて差し上げます!覚悟なさい!」
「そ・・そんなぁぁ~~~~~っっっ!!」
反省の見られない態度が火に油を注いでしまったことに、紂王は絶望的な悲鳴を上げる。
その後、激しく肌を打つ音と紂王の悲鳴が響き渡った。
(あー・・・まだ勘弁してやらねえのかよ・・・)
中庭に面した窓からこっそり執務室の様子を伺うと、思わず飛虎はそう呟いた。
既に紂王のお尻は濃厚なワインレッドに染め上がっており、大泣きしているせいで頬もすっかり上気して赤く染まっていた。
バアッチィ~ンッ!!
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッッ!!
「ごめんなさいっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい~~~!!」
紂王は許してもらいたくて必死に謝るが、完全にお怒りモードの聞仲は手加減など忘れたかのように容赦なく叩いている。
(このままじゃ陛下が持たねえな・・仕方ねえ・・・)
飛虎はそう判断すると廊下の方へ回り込んだ。
「うわぁ~んっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさい~~~!!」
泣き叫びながら紂王は両手を腫れ上がった真っ赤なお尻に回し、お尻をかばおうとする。
「陛下!何をしているんですか!手を離しなさい!」
聞仲は叱りつけるが、これ以上お尻を叩かれたくない紂王は手でお尻を庇う。
業を煮やしたのか、聞仲は右手を動かして後ろ手に紂王の両手を拘束してしまった。
「やだぁぁぁ!!叩かないでぇぇ!!」
「どうして大人しく出来ないんですか!まだ反省してないんですか!」
「わぁぁぁんん!してるぅぅ!だから謝ってるじゃないか~~!!」
「でしたら素直にお尻を出せるでしょう!庇うんじゃありません!」
「そんなこと言ったってお尻痛いぃぃ!!もぅやだぁぁ!!許してぇぇ!!」
紂王が泣きながら叫んだとき、ドアが開く音がした。
「おい!もうその辺にしとけって!!」
踏み込むように入るなり、飛虎はそう聞仲に呼びかける。
「飛虎・・・。たとえお前でも陛下との話が済まないうちは入ってこないようにと言っておいたはずだが?」
「そりゃわかってるけどよ。もう許してやれって!これ以上叩いたら陛下の尻、壊れちまうぞ!!」
必死な飛虎の口調に、さすがの聞仲もやや頭を冷やす。
「確かに・・・これ以上は陛下も無理だろうからな・・・」
「だろ?」
「わかった・・。お前がそう言うのなら・・・」
聞仲は一旦言葉を切ったかと思うと、再び紂王に話しかける。
「陛下・・・反省・・出来ましたか?」
「したぁ・・してるぅぅ・・ごめんなさい・・・ごめんなさい~~~!!」
許してもらいたくて、紂王は叫ぶように言う。
「信じましょう。もう二度とサボったり城を抜けて皆に迷惑かけたりしないと約束出来ますか?」
「する・・サボりもしない!城を抜けたりもしないぃぃ!」
「わかりました・・・。なら・・お仕置きは・・終わりです・・・」
そういうと、ようやく聞仲はお尻を叩く手を止めた。
「あーん、あーん・・お尻痛いー・・あーんあーん・・」
「陛下・・・泣きやんで下さい・・お願いですから・・・」
聞仲は困った表情を浮かべ、膝の上に座っている紂王をなだめていた。
お仕置きは終わったものの、すっかり紂王が子供返りしてしまい、離すに離せない状況になってしまったのだ。
「飛虎・・・どうにかならないか・・・?」
困った聞仲は思わず飛虎に助けを求めるように視線を向ける。
「そう言ってもなぁ・・・・」
飛虎も子供どころか赤ちゃん返りな紂王に思わず頭を悩ましてしまう。
だが、そのときふとあることを思いついた。
「聞仲・・・抱っこして添い寝でもしてやれ!」
「は!?何を言ってるんだ!?」
突然の飛虎の言葉に、思わず聞仲はアホの子のような表情を浮かべる。
「こりゃ・・・天祥が叱られて愚図ってるときに使う手なんだが・・抱っこして添い寝とかしてやると落ち着いて、機嫌も治るんだよ!そうしてやれ!」
「それは子供だからだろう!陛下は大人だぞ!」
「今の陛下は子供と変わんねえって!そうしてやれ!」
「わ・・わかった・・・」
聞仲はぎこちない様子で紂王を抱っこすると、そのまま立ち上がる。
「陛下・・陛下・・」
「あーん・・・お尻痛いー・・・えーん・・」
「もう大丈夫ですよ、さぁ・・・一眠りいたしましょう」
出来るだけ優しい声で言うと、仮眠用に置いてあるベッドに抱っこしたまま添い寝する。
そのまましばらく聞仲は紂王をあやしていたが、やがてスヤスヤと寝息を立てて寝入ってしまった。
「驚いた・・・本当に大人しくなられたな・・・」
「な、俺の言った通りだろ?」
「さすがに四人も子供がいるだけのことはあるな」
「まぁな。それより・・・たまには息抜きくらいさせてやれよ。それと・・ときどきは構ってやった方がいいぞ。そうしねえと人間持たねえもんだし、陛下だって寂しいからな」
今までの子育ての経験からか、そんなアドバイスを飛虎はする。
「わかった・・・そう心がけてはみる・・・」
―完―
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