マルコ神父6(BL要素あり)
(BL要素ありです。許容出来る方のみ、ご覧下さい)
(何だって・・・・来てしまったんですかね・・・・)
マルコ神父はハァ・・とため息をつくとあたりを見回す。
周りは観客席になっていて、大勢の観客が集まっている。
周囲の観客に入り混じり、マルコ神父は眼下の会場をジッと見つめる。
会場は畳をずらりと敷き並べられ、6つほどのブロックに分けられ、それぞれのブロックが一つの試合場となっており、6会場同時並行で試合が行われている。
行われているのは柔道の試合。
白と青、二種類のカラーの道着で分かりやすくした選手達が、互いに組み合っては激しく技をかけ合っている。
(スポーツに・・・興味が無いわけではないですけど・・。こんなののどこが面白いんでしょうか)
理解不能と言いたげに、マルコ神父は心の中で呟く。
(全く・・・ネド神父のせいですよ・・・)
マルコ神父は心の中でそう呟きながら、ここに来ることになった元凶の顔を思い浮かべていた。
事の起こりは一週間ほど前・・・・。
「何ですか?これは?」
「ん?柔道大会のチケットだが?」
マルコ神父はネド神父が自分に渡したものを見やるや、そう言う。
「字を見ればわかりますよ。何だってこんなものを寄こすんですか?」
「お前さんに来てもらうためさ」
「は?何故私がこんなもの見なくてはいけないんです?」
「俺が出るからな。お前さんに俺のカッコいいところ見せてやるよ」
「はぁ?何考えてるんですか?私はそんなもの見ませんよ!」
「そうかな~?最近、俺のこと気になってしょうがないって感じだがな~~?」
ニヤニヤと意地の悪げな笑みを浮かべてネド神父は言う。
「妙なこと言わないで下さい!?全く!!」
「ふふん。相変わらず素直じゃないな。だが・・楽しみにしてるからな~~」
ネド神父はいつも通りマルコ神父に不意打ちのキスをするや、そのまま立ち去ってしまう。
あとには、不意打ちのキスに、顔を真っ赤にしているマルコ神父一人が取り残されてしまった。
(何を馬鹿なこと言ってるんですか!?気にしてなんか・・・気にしてなんかいるわけないでしょう!!)
マルコ神父は必死に否定する。
だが、この通り来てしまっていた。
(ネド神父の事が気になるからじゃありませんよ!!チケット無駄にするのがもったいないだけですからね!!)
半ば自分に言い訳するかのように、マルコ神父は心の中で呟いた。
(というか・・・どこにいるんですか?出ていなければ意味がないでしょう!?)
マルコ神父は目を皿にしてネド神父の姿を探す。
やがて、一番端の試合場に、青い柔道着姿のネド神父が出てくるのが見えた。
(あそこですか・・・。え?)
マルコ神父は白い道着姿の対戦相手を見やる。
現れたのは2メートルはありそうで、筋肉ダルマといった感じの男。
「ちょ・・明らかに体重の差とかありすぎじゃないですか!?」
ネド神父と比べ、マルコ神父は思わず声に出してしまう。
「ん?知らんのか?あそこの試合場は無差別級だぞ?」
マルコ神父の言葉を聞きつけたのか、隣に座っていた男がそう教える。
「な・・・無差別!?」
慌ててマルコ神父は会場に来た時にもらったプログラムだか何だかの冊子を渡される。
確かに、ネド神父のいる試合場は無差別クラス、で大会参加者の届け出の名簿も無差別クラスで出されていた。
(ちょ・・・幾ら何でも・・・無謀でしょう!?あんな大きな相手・・・)
マルコ神父は対戦相手を見やりながらさすがに心配になる。
相手は2メートルもある大男で、しかも余程喧嘩慣れでもしているのか、傷跡らしいものまである。
ハラハラしながらマルコ神父が見ている間にも、試合は始まってしまう。
ネド神父と対戦相手が向き合ったかと思うや、二人してガッチリと組み合った。
(ああ!?やっぱり!?押されてる!?)
敵は力に任せるようにしてグイグイとネド神父を押し崩しにかかる。
ネド神父も抵抗しようとするが、グングンと後ろへ引いてしまう。
「あああっ!何やってるんですか!?このままじゃやられますよ!?」
いてもたってもいられなくなり、マルコ神父は叫んでしまう。
「神父さん・・・青いやつの方が心配かな?」
不意に隣に座っている男が話しかけた。
「あ・・いや・・そういうわけでは・・・」
マルコ神父は慌てて否定する。
ネド神父の事が心配だなどと他人に思われたくなかったのだ。
「まあ大丈夫さ。青い方のは・・・どうやら大した役者みたいだからな」
「は・・?何を?」
「まぁ見てればわかるがな」
そう言われ、落ち着きを取り戻したマルコ神父は再び試合を見始める。
ゴリラのようにいかつい対戦相手が、自分の勝ちを確信し、技を仕掛けにかかる。
だが、直後、ネド神父が逆に押し返した。
まさかと言いたげな表情を相手選手が浮かべた瞬間、ネド神父はあっという間に相手の懐に入り込んでしまう。
次の瞬間、大男の身体が宙に舞い上がり、見事な背負い投げで畳に投げ飛ばされていた。
(すごい・・・・・・・・)
マルコ神父は、ネド神父の見事な背負い投げに感嘆の表情を浮かべる。
柔道の事は全く知らないマルコ神父だったが、自分よりもズッと大きな相手を見事なフォームで投げ飛ばしたその力量に感嘆せずにはいられなかった。
(何だって・・・・こんなものを・・・)
マルコ神父はスポーツドリンクのペットボトルを見つめながら、困惑していた。
あの後、ネド神父の試合を何度か見たが、いずれもが見事な一本勝ち。
最初は全く興味の無かった試合なのに、いつの間にか引き込まれてしまっていた。
やがて、休憩時間になったので、ドリンクでも買おうかと思ったのだが、そのとき、不意にネド神父に差し入れでもしようかという気持ちになったのだ。
(やっぱり・・・ネド神父のことが気になって・・?違う違う!ただ疲れてると思ったからドリンクの一本でも持っていこうと思っただけですよ!?絶対にネド神父の事なんか気にしてません!!)
マルコ神父は必死に否定する。
冊子を見ながら選手控室の近くまでマルコ神父が来たときだった。
(あ・・・いましたね・・)
ネド神父は出入り口の近くに立っている。
声をかけようとしたが、よく見ると2、3人ほど誰かが周りを囲んでいる。
囲んでいるのはいずれもマルコ神父と同じくらいか、もう少し年下の若者達。
若者達は熱心にネド神父に話しかけ、中にはサインをもらおうとしたりもしている。
ネド神父もどうやらまんざらでもない様子で、ニヤニヤしながら言葉を返していた。
(何ですか・・・あんなだらしない顔して・・・)
途端にマルコ神父は不機嫌な表情になる。
自分くらいの年の青年達に囲まれ、鼻の下を伸ばしているのが何ともムカムカしてたまらないのだ。
(え?ちょっと待って!?何で・・・怒ってるんですか私は!?)
そこまで考えてマルコ神父はハッとする。
別にネド神父が自分以外の若い男と話すのは本人の自由のはずだ。
だが、マルコ神父はそんなネド神父の姿にイライラしてたまらない。
(そんな・・・まさか・・・本当にネド神父の事が・・気になってたまらないってことですか!?違う!?そんなことあるわけないでしょう!?違う違う違う!!)
マルコ神父は一人で百面相し始める。
だが、否定しようと思えば思うほど、却って気にせずにはいられなくなってしまい、否応なしに若者達に囲まれているネド神父に視線が向いてしまう。
それで鼻の下を伸ばすネド神父が目に入り、イライラがメラメラと炎のように燃え上がって来る。
やがて、マルコ神父のイライラは限界を超えてしまう。
持っていたペットボトルを振り上げたかと思うや、ネド神父めがけて投げつけてしまっていた。
「うわっっ!!」
だが、ペットボトルは狙いを外れ、近くにいた若者に危うく当たりそうになる。
(しまった!?何てことを・・・・)
マルコ神父は自分の行為にハッとしてしまう。
同時に、ネド神父もマルコ神父に気がついた。
お互い、相手をジッと見つめ合う。
瞬きするほどの短い時間を置いて見つめ合った直後、何を思ったかマルコ神父は踵を返すや、走りだしてしまった。
「おい!待て!」
慌てて柔道着姿のネド神父が追いかける。
マルコ神父は必死に走るが、鍛え上げられたネド神父の身体能力に叶うわけもなく、しばらくすると追いつかれてしまった。
「おい!ちょっと待て!!」
ネド神父はマルコ神父の手首を掴んで引き止める。
「何するんですか!離して下さい!」
マルコ神父は抗議するが、ネド神父がそれを承知する訳もない。
「そういうわけにはいかないんだよ・・・。ちょっと来てもらうぞ・・・・」
「ちょっと!何を・・・」
マルコ神父はそれでも抗議しようとするが、ネド神父はマルコ神父をどこかへ引っ立てて行ってしまった。
「ここなら・・・大丈夫そうだな・・・」
ネド神父はある部屋にマルコ神父を連れて入って来ると、室内を見回して呟く。
室内には畳んだ椅子が並べられている。
物置として使われている部屋のようだった。
誰かが入ってこないように鍵をかけると、ネド神父はおもむろに椅子を広げて腰かけた。
「さてと・・・・マルコ・・・」
「な・・何です・・・?」
マルコ神父はネド神父と向き合うと、緊張した面持ちで尋ねる。
「何故・・・あんな真似をした・・?」
(ど・・どうすれば・・・。私にだって・・・わからないのに・・・)
ネド神父の問いにマルコ神父は困惑してしまう。
自分にだって何であんなことをしでかしたのか、わからないのだから。
「おぃ・・・どうした?何故答えないんだ?」
黙ったまま、答えようとしないマルコ神父にネド神父はやや苛立ちを見せる。
「何故・・・言わなければいけないんです・・」
ようやく返事をしたマルコ神父だったが、それは何とも状況を悪化させるものだった。
「何・・・?マルコ・・・。自分が仕出かしたことがわかってるのか?」
さすがにネド神父もいつもよりズッと厳しい表情を浮かべながら尋ねる。
(確かに・・・私に非があるのは・・わかってる・・でも・・・)
マルコ神父は自分が悪いことは心の中ではわかっていた。
だが、自分でもわからない何かが心の中で大きな渦を巻いている。
それが、ネド神父に対して強い反発を引きだし、いつもとは比べ物にならない強情な態度を取らせていた。
「あなたには関係のないことですよ。あなたに問い詰められたくありません」
「いい加減にしろ!あんなもの投げつけて、もし人に当たったらどうするんだ!当たり所とか悪ければ怪我だってしたかもしれないんだぞ!!」
「そんなこと・・・私は知りませんよ・・・」
マルコ神父は苛立ちを抑えかねた表情を浮かべると、そっぽを向く。
どうしても、今回はネド神父に頭を下げる真似はしたくなかった。
「わかった・・・。それなら・・・こっちも・・それなりの対応はさせてもらうぞ」
静かな声で言ったかと思うと、ネド神父はゆっくりと立ち上がる。
とっさにマルコ神父は危険を感じて下がろうとするが、それよりも早くネド神父がマルコ神父の手を押さえこみ、グイッと引き寄せた。
あっという間に、マルコ神父は椅子に腰を降ろしたネド神父の膝の上にいつものように載せられてしまう。
同時に神父服の裾を捲りあげられ、ズボンを降ろされてお尻をむき出しにされてしまった。
「何するんですか!?」
マルコ神父は振り向くや、キッと睨みつけながら抗議する。
「お仕置きに決まってるだろうが。分かりきってるだろう?」
「離して下さい!どうして私がお仕置きされなければいけないんです!!」
「ふざけるな!あんなことしておいて自分は悪くないとでも言うつもりか!?」
珍しく反抗的で、自分の非を認めないマルコ神父に、さすがにネド神父も苛立った声で言う。
自分に非があることはわかっていつつも、ネド神父への苛立ちゆえにそれを認められず、マルコ神父は反抗するかのように顔をそむける。
それを見ると、ネド神父はいつものようにマルコ神父の身体を押さえつけ、右手を振り上げた。
パアア~~ンッッ!!
「くぅ・・・!!」
弾けるような音と共にお尻に鈍い痛みが走り、マルコ神父は思わず苦痛の声を漏らす。
白いお尻に赤い手形が浮かび上がったかと思うと、間髪いれずに二発目が振り下ろされた。
パアア~ンッ!パアシィ~ンッ!ピシャア~ンッ!パアア~ンッ!パッシィ~ンッ!
マルコ神父は声を漏らすまいと口を一文字に引き結び、ネド神父の道着のズボンの裾をギュッと握りしめてこらえようとする。
ピッシャ~ンッ!パッアァ~ンッ!パッシィ~ンッ!ピッシャ~ンッ!
「全く・・・!何をやってんだ!」
いつものようにお尻を叩きながら、ネド神父はお説教を始める。
ピッシャ~ンッ!パアッアァ~ンッ!パッシィ~ンッ!ピッシャ~ンッ!
「・・ぅ・・・っ・・・ぁ・・・っ・・・」
平手打ちが振り下ろされるたびに痛みがお尻に走り、肌を少しずつ赤へと染めてゆく。
マルコ神父は耐えようとするが、痛みはだんだんと増し、こらえきれずに口から微かに声が漏れ始めた。
「人にものなんぞ投げやがって!怪我でもしたらどうする気だ!?そんなこともわからんのか!?」
バッシィ~ンッ!バッアァ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッジィ~ンッ!
「く・・あく・・・ぅくぅ・・・あぅ・・・」
平手打ちの勢いはさらに強くなり、マルコ神父の表情はより苦しげなものへと変わってゆく。
「だ・・・だったら・・何だって・・言うん・・・です・・・・」
苦痛に両肩を上下させながら、それでも反抗的な態度でマルコ神父は振り向いて答える。
「本気で・・・言ってんのか?」
ネド神父は平手を一旦止めて、マルコ神父に尋ねる。
「だったらどうだというんです!そもそも・・どうしてあなたにこんなことされなくてはいけないんですか!!いい加減に離して下さい!!」
「そうか・・。なら・・・わかった・・・」
ネド神父は低い声で呟くと、両脚を組む。
おかげで既に赤く染め上がっているマルコ神父のお尻がグッと突き出された。
本能的にマルコ神父はネド神父の柔道着ズボンの裾をより強く握りしめる。
今までの経験からこの後のことはよくわかっているからだ。
バアッジィィ~~~~ンッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッ!!
「うわああっ!うぐああっ!ひわうああっっ!!」
お尻に降り注ぐ豪雨のごとき平手打ちにマルコ神父は背をのけぞらせ、悲鳴を上げる。
「今日は本気で怒ってるからな!この程度じゃ許さんぞ!!」
叫びながらネド神父は平手打ちの嵐をマルコ神父のお尻に降らせる。
苦痛の声と激しい平手打ちの音が入り混じり、室内に響き渡った。
「くぅ・・あぅ・・うっあぁう・・・・」
全身にびっしょりと汗を浮かべ、精も根も尽き果てたかのような表情を浮かべ、マルコ神父はネド神父の膝の上でぐったりとしていた。
目尻には涙を浮かべ、お尻は濃厚なワインレッドに染め上がり、触っただけで火傷しそうだと錯覚するほど熱くなっている。
「どうだ・・・?ちっとは・・・謝る気になったか・・?」
お尻を叩く手を止め、ネド神父はマルコ神父に尋ねる。
「い・・嫌・・です・・・絶対に・・・」
マルコ神父のあくまでも頑なな返事と態度に、ネド神父は青筋を立てそうになる。
(何だって・・・こんなに・・強情なんだ・・・)
怒りを堪えつつも、ネド神父は困ってしまう。
マルコ神父のプライドの高さはよく知っている。
しかし、それでも今回はあまりにも強情すぎる。
「おぃ・・・一体・・どうしたんだよ・・。何だって・・・そんな・・強情なんだ?このままだと・・・お前・・・壊れるぞ?」
さすがにネド神父も心配になって言う。
これ以上お仕置きするわけにはいかないからだ。
「何故・・・あなたが・・・そんなこと・・・よく・・言えますね・・?」
振り返り、苦痛に涙を浮かべつつも、怒りを堪えかねているマルコ神父の表情に、ネド神父はあることを察する。
「おぃ・・・もしかして・・・俺に何か・・・言いたいことがあるのか?」
「は・・何を言ってるんですか!?そんなこと・・・」
「どうかな?お前さん、俺にムカついてんじゃないのか?俺のせいだと言いたげだからな」
その言葉に、マルコ神父は再び顔をそむける。
だが、その仕草が、ネド神父の言うことを認めていた。
「おい・・・言いたいことがあるなら言ってみたらどうだ?俺だっていつまでもダンマリ決め込まれたらどうにもならないんでな」
「だったら・・・言いますよ・・・」
そういうとマルコ神父はゆっくりと振り返り、キッと睨みつけながら口を開いた。
「あなたのせいですよ!あなたが・・・鼻の下伸ばして・・・さっきの子達と楽しそうに話したりするから!そのせいで私はおかしくなったんですよ!!何故だかわからないけど・・凄くイライラして・・・でも原因がわからない!!おかげでますますイライラする!!それで・・もう・・どうにもならなくなって・・・!!一体何なんですか!!どうしてあなたを見ていて私がこんな気持ちにならなきゃいけないんですか!!全部あなたのせいでしょ!!それなのに・・・こんな風にお尻叩かれて!!もうやってられるかって言いたいですよ!!」
全てをぶちまけるようにマルコ神父はまくし立てた。
その勢いにネド神父はしばらくポカンとする。
「くははは・・・はははは・・・はははは・・・・」
突然、ネド神父は大笑いしはじめた。
「な・・!何がおかしいんですかっ!失礼なっ!!」
大笑いしだしたネド神父にマルコ神父は思わずカッとなる。
「いや、すまんすまん。だが・・・まさか・・・うくくく・・・・」
ネド神父は笑いを堪えようとするが、どうにも止まらない。
「一体・・・何なんですか・・・」
わけがわからず、マルコ神父は不機嫌な表情を浮かべる。
「すまんすまん。だが・・・お前さん結構鈍いんだな」
「だから一体何なんですか!?」
「わかったわかった。今教える。いいか・・・お前さんのは・・・『焼きもち』ってやつだよ」
「は・・・?今・・・何と?」
マルコ神父は聞き間違いかと思って聞き返す。
「だから、お前さんあの若い奴らと、鼻の下伸ばしてた俺に『焼きもち』妬いたってことだよ」
「!!!!!!!!!!」
ようやく理解したマルコ神父は愕然とする。
「いや~。それにしても・・・・マルコが焼きもち焼くたぁなあ。俺のことがますます好きになってるってことだなぁ。よかったよかっ・・・」
ビッダァァァ~~~~~~ンンンッッッ!!!!!!
調子づいてにやけた表情を浮かべているそのとき、突然強力なビンタがネド神父にもろにヒットする。
「ぶ・・・・」
さすがにネド神父も予想外の事態に食らってしまう。
「変な冗談言わないで下さいよっ!」
いつの間にか膝から降りていたマルコ神父はネド神父にビンタを叩きこみ、そう叫ぶやそのまま脱兎のごとき勢いで出ていってしまった。
「おい・・・どこへ・・・。まぁいいか。確実に・・俺の事好きになってるみたいだからな・・・。フフフ・・・完全に俺の事・・好きになるのが・・・楽しみだ」
逃げられてしまったものの、マルコ神父の気持ちを知ることが出来たのが嬉しいせいか、ニヤニヤとネド神父はしまりのない顔を浮かべていた。
「痛たた・・・・・」
飲料用の冷水タンクやドリンクの自販機が置かれているエリアで、顔を顰めてうずくまりながらマルコ神父はお尻をさする。
(走ったのは・・・まずかったですね・・・)
ビックリしたあまり部屋から飛び出し、ここまでたどり着いたが、そこでようやくお尻の痛みを思い出し、蹲っているところだった。
全く手当てもしないで走ったのだから、当然お尻が痛くてたまらない。
(もう・・・帰った方がいいですよね・・・。歩くのは辛いですけど・・・)
お尻をかばいながらのため、不自然な体勢でマルコ神父は歩き出す。
(それにしても・・・私が・・焼きもち?まさか・・・そんな・・馬鹿な・・・)
マルコ神父はネド神父の言葉を思い出すや、必死に否定する。
(からかってる・・だけですよね?)
そう思おうとしたが、何かが違うようにも感じる。
考えれば考えるほど、またわからなくなってきた。
「ああ~~~っ!一体何なんですか~~~~!!!」
思わずマルコ神父は叫んでしまう。
だが、次の瞬間ハッとする。
通行人がビックリした表情で見ていることに気付いたのだ。
ゆでダコのように真っ赤な顔になったかと思うや、再びマルコ神父は猛烈な勢いでその場から逃げだした。
―完―
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