仮病と小細工(封神より:乙/普、現代パロ)
(封神を題材にした二次創作で、現代パロものです。許容出来る方のみご覧下さい)
バッチィィ~~ンッッッ!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッ!!
「うわああ~~んっ!許してってば燃燈~~~~!!!!!」
礼拝堂の長椅子に腰かけた燃燈の膝の上で、普賢は両脚をバタつかせて泣き叫ぶ。
たっぷりとお仕置きされたのだろう、お尻は倍近く腫れ上がり、見事なワインレッドに染め上がっている。
「許してじゃない!また懲りずに仕事サボって!しかも嘘泣きで騙そうとして!!そんな悪い子は絶対に許さないからな!!」
「うわああ~~~んっっ!!二度としませぇぇ~~~んっっっ!!」
「それはもう何度も聞いた!今日という今日は許さないぞ!!」
怒り心頭といった様子で、燃燈は普賢のお尻をバシバシ叩く。
いつものように仕事をサボって近所の子供達と遊んでいたのがバレ、さらにこれもいつも通り嘘泣きを駆使して罰を軽くして逃げようなどと小細工を弄したものだから、燃燈の怒りをさらにかき立て、さらに厳しいお仕置きの真っ最中だった。
(うわあ~~んっ!?どうしよ~~~!!このままじゃお尻壊れちゃうよ~~)
あまりに厳しいお仕置きに普賢が絶望しかけたときだった。
「ふげ~ん、いるか~い?」
不意に買い物袋を提げた太乙が教会内へ入って来た。
「おや?太乙か?どうしたんだ?」
バシバシと普賢のお尻に平手を振り下ろしながら、燃燈が話しかける。
「ちょっとリンゴをもらったんだけど一人で食べるには多すぎるからお裾わけに来たんだけど・・・取り込み中だったかな?」
太乙はお仕置き中の二人の姿を見ると、気を利かせるつもりか、リンゴの袋を別の長椅子に置いて立ち去ろうとする。
「うえ・・・うえぇぇ~~~んっっ!!太乙ってば~~~!!!助けてよ~~~!!」
普賢は出て行こうとする太乙に向かって泣きながら助けを求める。
「こら!太乙に助けを求めるんじゃない!!」
ビッダアアアアンッッッ!!
燃燈は普賢を叱りつけると、思いっきりお尻に平手を叩きつける。
「うっわああ~~~んっ!!痛いよぉぉ~~~っ!!お尻壊れちゃうよ~~~!!」
普賢は全身を激しく動かし、大泣きしてみせる。
太乙はブルブルと全身を震わせたかと思うと、クルリと二人の方を振り向いた。
「燃燈、もう許してあげないかい?」
「太乙!何を甘いことを言っているんだ!!」
「だって本当に痛いよ、この状況じゃ。普賢だってさすがに反省してるだろうし。ねぇ、普賢?」
「してるっ!してるよぉぉ~~~~!!!!」
普賢は泣きながら必死に太乙に訴えかける。
「ほら、普賢もこう言ってるんだし。許してあげなよ」
「仕方ないな・・。そこまで言うなら・・・」
太乙にこう言われては燃燈も無視できず、ようやくお仕置きの手を止める。
「うえええ~~~んっっ!!太乙~~~~」
普賢は燃燈の膝から解放されると、お尻を出したまま太乙に抱きつく。
「よしよし、大丈夫かい?」
「ふえええ~~んっ!痛いって言ってるのにぃぃ・・・燃燈がいっぱいお仕置きした~~~~~~~!!!」
「痛かったねぇ。今、手当てしてあげるよ」
太乙は普賢を慰めながら奥の部屋へと連れて行った。
しばらくすると、太乙が戻って来る。
「普賢は?」
燃燈が尋ねると、太乙が口を開いた。
「寝室で休んでるよ。結構泣いてたけど、手当てしたら落ち着いたよ」
「そうか・・。しかし、太乙、甘すぎるぞ、お前は」
「そう言われてもねぇ・・・。どうも普賢の涙には弱いんだよねぇ・・」
太乙は苦笑する。
普賢は太乙達より年が離れているせいか、末っ子の弟のような存在として皆に可愛がられている。
中でも、太乙がその筆頭で、ついつい普賢には甘くなりがちだった。
「お前に厳しくしろといっても・・・難しいだろうが・・・本当に可愛いと思うなら叱るのも愛情だと思うが」
「耳が痛いねぇ・・。出来るだけ・・気をつけるよ・・・」
数日経ったある日・・・。
「うぅ・・・まだ・・痛いなぁぁ・・・」
神父服の上からお尻をさすりながら、普賢は辛そうな表情を浮かべる。
(ったく燃燈のバカ!!いつもいつも馬鹿力で叩くんだから!おかげでしばらくお尻が痛くてたまらないんだからね!!)
心の中で普賢は文句を言う。
元々力が強い上、お仕置きのときは怒っているからかなり痛い。
特に普賢の場合、小細工を弄して墓穴を掘り、さらに厳しいお仕置きをされてしまうパターンが多いため、何日もお尻の痛みに顔を顰める羽目になることが多かった。
(あ~あ・・・こうもお尻が痛いと・・・仕事なんて嫌になって来ちゃうなぁ・・・)
普賢はそんなことを考える。
一度サボりの虫がうずき出すと、それが盛んに活動をはじめ、ますますサボりたくなってくる。
(でも上手くやらないと・・・また燃燈にバレでもしたらお尻の骨粉砕されちゃうよ)
普賢はバレずにサボれる手が無いか、考える。
「こんちは~、普賢神父~~」
そんなとき、不意に聞きなれた声が聞こえてくる。
木タクだ。
(そうだ!?いい手考えた!?)
普賢はクスリとイタズラ小僧のような笑みを浮かべると、おもむろに長椅子に寄りかかるようにしてぐったりし始めた。
「普賢神父~、また勉強・・・」
学校帰りな木タクは入って来るなり、普賢が苦しそうな姿で長椅子に寄りかかっているのを見つけるや、慌てて駆け寄る。
「どうしたんすか!?」
「あ・・木タクくん・・?何か・・・急に・・あっ・・・」
普賢はそのまま倒れてしまう。
「普賢神父っ!大丈夫っすか!?」
木タクは声をかけながら抱き起こすと、奥へ連れて行った。
「大丈夫ですかい?普賢神父?」
木タクはベッドに横になっている普賢に心配そうに声をかける。
「うん。だいぶ楽になったみたい・・。ありがとうね、木タク」
「こんなことどうってことないっすよ」
木タクはそう言いながら、甲斐甲斐しく世話をする。
「木タク・・少し休ませてもらってもいいかな・・?」
「あっ!すいませんっ!気が回らなくて!?それじゃあ、俺は礼拝堂にでもいますから。何かあったらケータイに入れてくれればすぐ来ますから」
そういうと木タクは気を利かせて部屋を出ていった。
(やった~~。上手く行った~~~)
普賢はクスリと笑みを浮かべると、成功に気を良くする。
(木タクのことだから・・・上手く誤魔化せると思ったんだ~~。これでもう今日は堂々とサボれる~~~)
普賢は心の中でそう呟く。
いつものように木タクが勉強を見てもらいに来たのを幸い、突然体調が悪くなった振りをして、サボろうという作戦である。
木タクは普賢の事を兄のように慕っているから、まさか仮病などと疑いもしない。
だからバレる心配は無かった。
(ふふふ~。木タクが帰るまでこれでゆっくり休める~~。嬉しいな~~)
してやったりという笑みを浮かべながら、そんなことを心の中で呟いていた。
(大丈夫っすかねぇ・・・・)
礼拝堂の掃除をしながら、木タクは普賢の事が心配でたまらなかった。
(やっぱり・・・ちゃんと見てもらった方がいいよなぁ・・・)
苦しげな普賢の表情を思い浮かべると、木タクはそう思わずにはいられなくなる。
木タクは携帯を取り出したかと思うと、太乙の診療所の電話番号を呼び出した。
「すいませ~ん、ちょっといいっすか~?」
不意にドアをノックする音と共に木タクが呼びかける。
「どうぞー」
普賢がそう声をかけると、木タクが入って来た。
「どうしたの、木タク?」
「調子はどうっすか、普賢神父?」
「ああ。よくなったみたいだよ」
「ならいいっすけど・・。でも・・やっぱり、ちゃんと見てもらった方がいいっすよね」
「え?」
木タクの言葉に怪訝な表情を浮かべていると、往診鞄を提げた太乙が入って来た。
「やぁ、木タクくんに聞いたよ。倒れたんだってねぇ」
「え・・?た、太乙・・。何で・・?」
「木タク君が心配して連絡くれたんだよ。さてと・・・それじゃあ診察しようか」
普賢は心の中で焦る。
太乙に診察されたら仮病なのがバレてしまうからだ。
(マズい!マズいマズいマズいマズいよ!どうしよう!?)
普賢は必死に頭を働かせる。
だが、普段は悪知恵が働くのに、今回に限って中々出てきてくれない。
(このままじゃ絶対にバレちゃうよ~~!!どうしよ~~)
焦りに焦るが、それでも普賢は平静を装っている。
玉鼎のように後先考えずに逃げ出したりすれば終わりなのはわかっているからだ。
「う・・うん・・わかってるよ・・」
普賢は動揺を隠しつつ、神父服のボタンを外すと、胸を太乙に差し出す。
太乙は普賢が胸を出すと聴診器をあてて診察し始める。
だが、診察を始めるや、太乙の表情が変わってゆく。
「普賢・・・」
(しっ!訳はちゃんと話すから!お願いだから木タクの前でだけはやめて!)
普賢は小声で太乙にそうお願いする。
(わかったよ・・。仕方ないなぁ・・・)
太乙は小声で返事をすると、木タクの方を振り向く。
「木タクくん。心配だろうけど、今日は帰ってもらっていいかい?」
「え?何でですかい?」
「そんな悪いやつじゃないと思うけど、念のためってことがあるんだよ。最近、新型のが流行ってるのは知ってるだろ?」
「ええ・・まぁ・・」
「だからもしもってことがあるかもしれないから、すまないけど今日は帰ってもらえるかい。心配なら後で私に電話くれれば詳しいことは教えてあげるから」
「わかりました。それじゃあ、俺はこれで失礼するっすね。普賢神父、お大事にっす」
「うん。木タクも気をつけてね~」
そう挨拶を交わすと、木タクは荷物を持って教会を後にした。
「さてと・・・・。普賢・・・」
木タクがいなくなると、太乙はちょっと怖い顔を浮かべてみせる。
「え・・ええと・・太乙・・・」
「ええとじゃないよ。君、仮病だろう?」
「うぅ・・。ごめん・・・」
「ごめんじゃないよ。何だって・・・こんな真似したんだい・・・」
「だぁってぇ・・・燃燈に叩かれたお尻が・・まだ・・痛かったんだよぉ・・。仕事なんか・・・出来ないくらいぃぃ・・・」
「だからってこんなことしていいってことにはならないだろう?まったく・・・」
呆れたような口調で太乙は言うと、ベッドの縁に腰を降ろし、軽く膝を叩いてみせる。
それを見るや、普賢は怯えたような表情を浮かべた。
「た・・太乙ぅぅ・・。まさか・・お尻・・・叩くの?」
「何そんな顔してるんだい。さぁ、早くおいで」
「お願いだよぉ・・太乙ぅぅ・・。まだ、燃燈に叩かれたのが残ってて痛いんだってばぁぁ・・。反省してるからぁぁ・・・許してよぉぉぉ・・・」
普賢は目尻に涙を浮かべて訴えかける。
(ちょっと!?お願いだからそんな顔しないでよ!反則だってば!!)
太乙は普賢の泣き顔に思わず目をそむけてしまいたくなる。
普賢は年の離れた可愛い弟のような存在。
それだけに泣かせるような真似は出来ればしたくない。
このまま太乙は許してしまおうかという気持ちになってくる。
だが、そのとき燃燈の言葉を思い出した。
(そうだよ。甘やかすだけじゃためにならないじゃないか!本当に可愛いならちゃんと叱らなきゃ!!)
太乙は自分にそう言い聞かせると、半ば自分に活を入れるように、怖い顔を浮かべて言う。
「何を・・言ってるんだい。普賢が悪い子だったから叱られるんだろう。さぁ、早く来なさい。私だって・・・怒るよ?」
「わ・・わかったよぉぉ・・・」
普賢は諦めたような表情を浮かべると、ゆっくりと太乙の方へとにじり寄る。
やがて、ゆっくりと太乙の膝にうつ伏せになった。
太乙が普賢の神父服を捲り上げ、ズボンを降ろすと、ほんのり赤みが残ったお尻があらわになった。
(うわぁ・・・さすが燃燈だねぇ・・・まだ痛そうだよ・・・)
この前のお仕置きの跡が残っているお尻に、太乙は思わず顔を顰める。
「た・・太乙ぅぅ・・。お願いだから・・・あまり・・・痛くしないでぇぇ・・。まだ・・お尻・・痛いからぁぁ・・・」
普賢は太乙の方を振り向くと、泣きそうになりながら懇願する。
「な・・何・・言ってるのさ・・。そ・・それじゃあ・・お仕置きに・・ならないだろう?」
太乙は声が震えそうになるのを必死に堪える。
平静を装いつつ、深呼吸を繰り返してようやく自身を落ち着かせると、太乙は左手で普賢の頭を押さえ、右手に丹念に息を吐きかける。
「じゃあ・・行くよ。覚悟は・・いいかい?」
動揺を押さえながら太乙が尋ねると、普賢は黙って頷く。
それを見ると、太乙はゆっくりと右手を振りあげた。
パアッシィィ~~ンッッッ!!
「ひっ・・!ひぃぃ~~んっっ!!」
甲高い音が響くと同時に普賢は背をのけ反らせ、悲鳴を上げる。
「うわあ~~んっ!痛くしないでって言ったのに~~~!!」
「な・・何・・言ってるんだい・・。お仕置きなんだから・・・痛いのは・・当り前じゃないか・・・」
そう言ってお尻を叩き続けるものの、太乙の声はどことなく力が無い。
パアンッ!パシィンッ!ピシャアンッ!パアチィンッ!
「わああんっ!やあっ!あああんっ!痛いぃぃぃ!!」
太乙がお尻を叩くたびに普賢は悲鳴を上げる。
「まったく・・だ・ダメじゃ・・ないか・・。仮病・・なんか・・使ったら・・・」
苦しそうな表情を浮かべながら、太乙はお説教をはじめ、平手を振り下ろすのを続ける。
パアンッ!ピシャンッ!パアンッ!パアチィンッ!
「木タク君・・・本当に・・心配・・してたんだよ?そんな・・こと・・したら・・ダメじゃ・・ないか・・・」
パアンッ!ピシャンッ!パアンッ!パアチィンッ!
「うわあ~んっ!ごめんなさぁぁ~~いっ!」
普賢は泣き叫びながら謝る。
両脚をバタつかせ、涙を浮かべて泣く姿は何とも痛々しい。
(うぅ・・・。見てる・・こっちが辛いよ・・・)
平手を振り下ろしながら太乙はそう思わずにはいられない。
普賢が悪いことをしたのだからお仕置きされるのは当たり前、痛い思いをしようが、それで大泣きしようが自業自得だ。
しかし、そうはいっても、こんな姿を見せつけられていると、自分がいじめているような気になって、叩いているこちらの方が罪悪感が沸いてくる。
自然、太乙の平手の勢いも乱れがちになっていた。
(よぅし・・・効いてるみたい・・・)
泣き叫び、両脚をバタつかせながら普賢は心の中でほくそ笑む。
(ふふ。僕が大泣きするから迷ってるんだ。これ以上叩いていいかって。ふふ、やっぱり太乙だよね~。一番僕には甘いもんね~~)
小馬鹿にするような感じで、普賢はそんなことを考える。
そう、普賢の泣き叫ぶ姿は、お得意の嘘泣きだった。
燃燈以上に自分に対して甘い太乙の性格を利用し、揺さぶりをかけているのである。
(それじゃあ・・・ダメ押しといこうかな)
普賢は心の中で呟くと、思いっきり悲鳴を上げた。
「うっわあああ~~~~んっっっっ!!!!!痛ったあああいぃぃぃぃぃ!!!」
絶叫に近い悲鳴を上げるや、普賢は太乙の膝から飛び上がりそうになる。
(しまった!?考えごとしてたから強く叩きすぎちゃった!?)
太乙は自身のミスに愕然とする。
「ひぃ・・ひぃぃん・・。いたぁぁい・・痛いよぉぉ・・。こ・・このまま・・じゃ・・お尻・・・壊れちゃうよぉぉ・・・・」
全身を震わせて泣きだした普賢に太乙は顔から血の気が引いてしまう。
(もう許してあげないと!このままじゃ普賢壊しちゃう!?)
半ば慌てながら太乙は手を止めて尋ねる。
「は・・反省したかい、普賢?」
「してるぅぅ・・・してるよぉぉ・・」
「それじゃあもう仮病なんか使わないって約束するかい?」
「するぅ・・・するからぁ・・・。だから・・許してよぉぉぉ・・・」
泣きじゃくりながら普賢は答える。
「反省してるみたいだね・・・。それじゃあ・・お仕置きは終わりだよ・・」
「ほ・・本当?」
「うん。痛かっただろ?今、手当てしてあげるから」
そういうと太乙は普賢を起こし、抱きしめてやる。
「うぇ・・うえええ~~~んっ!太乙~~~」
「よぅしよし・・。痛かったね。もう大丈夫だよ」
太乙はそう言いながら優しくお尻を撫でてやる。
(ふふふ~~。見事にコロって騙されてるよね~~。ちょろいよね~~)
巧みに嘘泣きで太乙に甘えながら、普賢はほくそ笑む。
だが、普賢は気付いていなかった。
本音が顔に表れていることに。
さらに、それが部屋の片隅にある小さなテーブルの上に置かれていた小さな鏡に映っており、たまたまくるりと頭を動かした太乙の視界に入ってしまったことを。
不意に強い力で引っ張られたかと思うと、太乙と強制的に顔を合わされる。
(し・・しま・・)
見事に本音があらわになった表情を見られてしまい、普賢は慌てる。
「普賢・・・嘘泣きだったのかい・・・」
「た・・太乙・・こ・・これは・・・」
「ふざけるんじゃないよ・・・。私が・・どんな思いで叩いたと思ってるんだい!!私だって辛かったんだよ!それを・・・それを・・・」
(ちょ、ちょっと!?凄くマズそうなんだけど!?)
今まで見たことのない太乙の形相に普賢は危険を感じる。
不意に太乙はネクタイを外したかと思うや、普賢の両手を後ろ手に拘束してしまう。
同時に無理やり普賢を立たせたかと思うや、乱暴に突き飛ばすようにしてベッドの縁に上半身をうつ伏せにさせた。
「ちょ・・何するのさ!?」
思わず普賢は抗議する。
「うるさいよ・・。少し・・黙っててもらおうかい・・・」
その太乙の様子に普賢も思わず黙ってしまう。
太乙はおもむろに部屋をぐるりと見回したかと思うと、机の引き出しを開けてみる。
そして中から大きな定規を取り出した。
「ま、待ってよ!太乙!ま、まさかそれで叩く気!?」
「決まってるじゃないか。人の気持ちも知らないで・・・嘘泣きなんかしてのうのうとお仕置きから逃げようなんて悪い子はこれくらい必要じゃないか」
そういうと太乙は思い切り定規を振り下ろした。
ビッダァァア~~~~ンッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッッ!!
「ぎゃ・・ひぃぃんんんん~~~~っっっ!!!!」
(ななな何これ~~~!!痛いなんてもんじゃないってば~~!!!)
悲鳴を上げ、心の中で普賢は叫ぶ。
バッジィィ~~ンッッ!!
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッッ!!
「きゃああ!ひぃぃんっ!やめてぇぇ!!太乙っ!お願いぃぃ!!」
「うるさいよ・・。少し・・黙ったらどうだい・・・」
太乙は普段からは想像もつかない冷徹な声で定規を振り下ろし続ける。
容赦の無い打撃音と普賢の悲鳴が寝室に響きわたった。
「ふぅえ・・・うぇぇぇん・・・・」
普賢はボロボロと涙を零して泣いている。
お尻は三倍近くに腫れ上がり、濃厚なワインレッドに染め上がってしまっている。
「痛いぃ・・・痛いよぉぉ・・・太乙ぅぅ・・。ゆ・・許してぇぇ・・よぉぉ・・」
演技の欠片も見られない、泣き声を上げて普賢は必死に許しを乞う。
だが、太乙はそんな普賢を冷ややかな目で見下ろしている。
「普賢・・・いい加減にしないかい。まだ・・騙すつもりかい?」
(し・・信じて・・・くれなぃぃぃ・・・・)
太乙の言葉に普賢は愕然とする。
「どうやら今日の普賢は本当に悪い子みたいだねぇ。それじゃあこれを使おうかい」
太乙はそういうと、おもむろに往診鞄を開いて何かを取り出しにかかった。
(な・・何・・する・・つもり・・?)
恐る恐る普賢は様子を伺う。
やがて太乙は薬品らしい瓶を取り出した。
「ねぇ・・そ・・それ・・何なのさ・・?」
「これかい。消毒薬だよ。本当に普通のね。でも・・・こうすると・・」
蓋を開けたかと思うと、太乙は少しだけ傾ける。
すると中から消毒液が少しずつタラタラと腫れ上がったお尻に滴り落ちた。
「うっ・・うわぁぁぁぁああああ!!!!!」
腫れたお尻に消毒液が沁み、普賢は背筋をのけ反らせて絶叫を上げる。
「ひぃぃん・・・痛ぁぁ・・・痛いぃよぉぉぉ・・・・」
あまりの痛さに普賢はさらに泣きだす。
「この涙は本物かな?それとも・・・・」
太乙はそういうと、また消毒液を垂らそうとする。
「ふ・・ふえーん・・・・」
普賢は子供のような声で泣きだし、同時に両脚の間から生温かい液が流れ落ちる。
「ご・・ごめん・・なさぁぁい・・。し・・信じて・・くれないかも・・し、しれないけど・・・。ほ・・本当に・・反省・・してる・・からぁ・・。も・・もぅ・・仮病・・しませぇぇん・・。嘘泣きなんか・・しませぇぇん・・・。だ・・だからぁ・・許して・・・よぉぉぉ・・・・」
「今度こそ本当に反省してるかい?」
「してるぅ・・してるぅぅ・・・」
「どうやら嘘は無いみたいだね。許してあげるよ。ただし・・・」
そういうと太乙はやや多めに消毒液をお尻に垂らす。
「うっわああああああんんんんんんんん!!!!!!!!」
油断していたところへ消毒液をかけられ、再び普賢は絶叫する。
「またこんなことしたら、今度は最初から定規でうーんと痛いお仕置きした上に消毒液かけるからね。わかったかい?」
「わかったから!本当にもうしませんっっ!!!!!」
普賢は必死になって誓う。
それを見ると、太乙はようやく瓶に蓋をした。
「普賢・・・お願いだから機嫌を直してくれないかい?」
太乙はすっかり拗ねてしまった普賢に困った表情を浮かべる。
「ひどいよ!僕、本当に痛かったし怖かったんだからね!お尻壊れちゃうと思ったんだからね!!」
そういうと普賢はプイッと顔をそむけてしまう。
「それは普賢があんなことしたからじゃないか・・・」
「悪い子だったらお尻が壊れてもいいっていうの!?ひどいよ!!」
「そ・・そうじゃないけど・・・」
「太乙・・もしかして・・僕のこと・・嫌いなんでしょ?」
普賢は目尻に涙を浮かべて言う。
「そ、そんなことあるわけないじゃないか!?」
太乙は慌ててしまう。
「嘘っ!本当は僕の事嫌いなんでしょ!だからあんなにぶったりしたんだ~~~!!ひどいよ~~~~~!!!!」
普賢が大泣きしてしまい、太乙はさらに慌てる。
「普賢!普賢!私が悪かったから!何でもするから許してくれないかい?」
「本当・・?」
「ああ・・。普賢に許してもらえるなら・・・なんだってするよ・・・」
「えへへ、太乙だーい好き!」
そういうと普賢は太乙に抱きつく。
ようやく機嫌を直した普賢に太乙がホッとする一方で、普賢はしてやったりといいたげな笑みを浮かべていた。
―完―
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theme : 自作小説(二次創作)
genre : 小説・文学