虫歯と仮病(SO2より:クロ/レオ、ルシアシュ悪魔&神父パロ)
(SO2を題材にした二次創作で、ルシアシュ悪魔&神父パロです。許容出来る方のみご覧下さい)
「ううう~~~っ!どうしよ~~~」
レオンはせわしなく自分の部屋の中をグルグルと歩き回りながら悩んでいた。
頬を片手で押さえ、時々顔を顰めながら、チラリチラリと壁にかかっている時計を見やる。
(僕の馬鹿っ!何で虫歯なんかになっちゃったんだよ~~~!!!)
歯の奥から響いてくる痛みに顔を顰めつつ、レオンは自分を罵る。
そう、レオンは少し前に奥歯に虫歯が出来てしまっていた。
歯医者に行きたくなくて、隠そうとしたものの、クロードやボーマンには隠し通せず、歯医者に行くように言われたのである。
(うう~~っ。行きたくないよ~~。でも、お兄ちゃんが来たら絶対に連れてかれちゃうし・・。だからって逃げ出したって・・・結局捕まって・・・お尻ぶたれて連れて行かれるに決まってるし・・・)
時計を見やりながらレオンは必死に考える。
確実にレオンを歯医者へ連れていくため、クロードが連れて行くことになっている。
レオンは一人で大丈夫だと主張したが、上手く誤魔化して行かないつもりだと見抜かれ、半ばお目付け役のような感じで、クロードが迎えに来ることになってしまった。
あと30分ぐらいしたら、クロードが来るはずだ。
逃げてしまおうという考えも浮かぶが、いつもの経験から逃げても結局捕まってしまう、その後お尻をぶたれてたっぷり痛い思いをさせられた上で、歯医者でまた痛い思いをするのは目に見えていた。
(お尻ぶたれないで・・・・歯医者に行かなくて済む方法・・・・)
レオンは必死になって考える。
(そうだ!)
不意にある考えが閃いた。
(これなら・・・きっと・・・大丈夫!?うまく行くよ!!)
レオンは急いで調合器具や、材料の薬草を用意すると、何やら薬を作り始めた。
「レオーン、いるかーい?」
迎えに来たクロードは家に入ると、レオンを呼ぶ。
だが、中々返事が返ってこない。
(おかしいな・・・)
クロードは怪訝な表情を浮かべたときだった。
「お兄・・ちゃ・・あぁ・・・ん・・・」
階段から弱々しい声が聞こえ、思わず振り返ってみる。
すると、顔を上気させ、苦しげなレオンの姿が目に飛び込んで来た。
「レオンッ!?どうしたんだい!!」
慌ててクロードは階段を駆け上がり、途中でレオンを受け止める。
「うぅ・・・今朝から・・・何か・・調子が・・・」
「何だって?うわっ!凄い熱・・・。こうしちゃいられない!ボーマンさんのところに行こう!!」
クロードはレオンを抱きあげると、急いでボーマンのところへ向かっていった。
「大丈夫かい?レオン?」
クロードはベッドに横になっているレオンの手をしっかりと握りしめながら尋ねる。
「あ・・うん・・・。何とか・・・・うう~~」
「あまり無理しちゃダメだよ。ちゃんと寝なきゃ」
「う・・うん・・・」
「替えのタオル、持って来るよ。少し待っててくれるかい?」
「うん。ありがと・・・お兄ちゃん・・・」
「これくらい、何でもないよ」
クロードはタオルを持って出て行った。
「やった~~!上手く行った~~~!!」
クロードが出て行くと、レオンは先ほどまでの苦しさを忘れたかのように、元気な姿でそんなことを言いだした。
(本当によく効く仮病薬だよね~~。お兄ちゃん、見事に騙されたよ)
レオンは心の中でそんなことを呟く。
歯医者に行かずに済む、それもお仕置きをされることなく、という虫のいい方法は無いかと考えた末に思いついたのが、仮病を使うことだった。
無論、ただ仮病を使っただけではばれてしまう危険がある。
だから、調合のスキルを駆使して仮病薬をつくったというわけだった。
(歯医者には行かなくて済んだし、お兄ちゃんは優しいし。万々歳だよね~~)
ベッドに横になったまま、レオンはほくそ笑んだ。
「ええと・・・他には・・・」
替えのタオル以外に、何か必要なものが無いか、クロードがチェックしていたときだった。
「おーい、ちょっといいか?」
不意にボーマンが声をかけてくる。
「あ、ボーマンさん。どうかしました?」
「ああ。レオンのことでな。診察の結果が出たからな」
「本当ですか!?大丈夫なんですか?」
心底心配なのだろう、クロードはボーマンに詰め寄りそうになる。
「大丈夫だって。っていうか、診察結果聞いたら逆に怒るだろうな」
「は・・何ですか?それ?」
クロードは怪訝な表情を浮かべる。
「レオンの病気はな、何つうか・・・敢えて名前つけるなら『嘘つき病』ってとこか?」
「何ですかそれ!こんなときに妙な冗談はやめて下さい!!」
「悪かった悪かった。要するに仮病だよ。上手く薬とか使って本物らしく見せかけてるけどな」
「は・・・?」
クロードは一瞬、耳を疑った。
「そ・・それ・・・本当ですか?」
「ああ。こう見えたって本職だぞ?上手くやったつもりだろうが、騙されるわけないだろ」
その言葉を聞くや、クロードの表情が変わる。
「おぃ、ちょっと待ちなって」
「どうして止めるんです?」
「このまま行ったってレオンのことだ、上手く誤魔化すぞ。叱るならキッチリ証拠を押さえないとな」
「証拠?」
「ああ。任せとけって」
(お兄ちゃん、どうしたんだろ?)
レオンは中々戻って来ないクロードに不審を覚える。
本当に病気だと思っているはずだから、すぐに戻って来てくれると思っていたのだ。
だが、中々戻って来ない。
怪訝に思っていると、ドアが開いてクロードとボーマンが入って来た。
「レオン、少しは楽になったか?」
「あ・・うぅん・・まだ・・苦しい・・かなぁ・・・」
ボーマンが尋ねると、レオンは苦しげな表情を浮かべる。
「そうか。なら・・・やっぱりやっとくか」
「え?な、何を?」
思わずレオンが尋ねると、ボーマンは注射器を取り出した。
取り出した注射器はかなり大きい。
(ま・・・まさか・・・)
レオンは焦りだす。
「こいつを打てば、すぐ楽になるからな」
「い、いいってば!そ、そんなのいらないよ!!」
レオンは必死になる。
「何を言ってるんだい。今のままじゃ苦しいだろう?」
「クロード、悪いけどな、レオンうつ伏せにして尻出させてくれるか?でかいから尻の方じゃないとな」
「わかりました」
「やっやだああ~~~~っ!!やめてよ~~~!!」
レオンはそう叫ぶが、当然無視され、あっという間にひっくり返されると、ズボンもパンツも降ろされて、お尻をむき出しにされてしまう。
「やだっ!やだやだやだ~~~!!!!」
レオンは必死に叫ぶが、クロードが押さえつける中、ボーマンはお尻を揉んで柔らかくしながらアルコールを脱脂綿で塗ってゆく。
「じゃあ、行くぞ。しっかり押さえてろよ」
「わかってます」
クロードがグッとレオンの身体を押さえると、ボーマンが注射器を構えてゆっくりとレオンのお尻に針を近づけてゆく。
「うわああああ~~~~~~~~~~んっっっ!!!!やめて~~~~~~!!!どこも悪くないから~~~~~~!!!!」
注射の恐怖に耐えきれず、レオンは泣きながら叫んだ。
「ようやく白状したな。ったく・・・・」
ボーマンはやれやれといった感じで呟くと、注射器を取り下げる。
「ようやく・・?ひどいよっ!僕の事騙したんだねっ!!」
事情を察すると、レオンは思わず非難するような口調になる。
「何を言ってるんだい。最初に騙したのはレオンじゃないか」
「う・・・・」
だが、クロードの言葉にレオンは詰まってしまう。
「レオン・・・。こんなことして・・・覚悟はいいかい?」
「か・・覚悟?」
「そうだよ。仮病なんか使って嘘ついたり、人に心配かけたりして。悪いことだっていうのはわかるだろう?」
「だ・・だって・・・歯医者・・行きたくなかったんだもん・・」
「だからってこんなことしていいってことにはならないだろう?さぁ、こっちおいで」
「絶対ヤダッ!!」
レオンは危険を感じるや、すぐにも逃げ出そうとする。
だが、逃げる間もなく、クロードに捕まってしまった。
「やだやだっ!!離してってば~~~!!!!」
「何言ってるんだい、こんな悪いことして。そういう子にはお仕置きだよ」
クロードはそういうとベッドの縁に腰かけ、いつものようにレオンを膝の上に載せる。
「やだっ!やだやだっ!やめてってば~~~~!!!」
レオンの叫ぶ声を尻目に、クロードは左手でしっかりとレオンの身体を押さえると、右手を振り上げた。
パッチィィィ~~~ンッッッッッ!!!
「うわあっっ!!」
甲高い音と共に、お尻の表面で痛みが弾け、レオンは思わず悲鳴を上げる。
パアチィンッ!ピシャアンッ!パッチィンッ!パッアアンッ!
「痛っ!痛ああっ!お兄ちゃんっ!痛いっ!痛いってばあっ!!」
平手が叩きつけられ、小さなお尻に手形が浮かび上がるたびに、レオンは悲鳴を上げる。
「当たり前じゃないか、お仕置きなんだから」
クロードはそういうと、さらにバシバシとレオンのお尻を叩く。
パアチィンッ!ピシャアンッ!パアアンッ!パッチィンッ!
「全く・・・何を考えてるんだい・・・」
平手を振り下ろしながら、クロードはお説教を始める。
パッチィ~ンッ!ピッシャ~ンッ!パッアア~ンッ!パアッチィ~ンッ!
「やあっ!やんっ!痛っ!痛あっ!」
レオンは両脚をバタつかせながら叫ぶ。
「仮病薬なんか造って・・・それで僕達を騙そうだ・・なんて・・」
「だ・・だって~~っ!歯医者、嫌だったんだってば~~~!!」
「だからってこんなことしていいってことにはならないだろう?本当に病気にでもなったのかと思ったんだよ?」
「ほ、ほんの出来心じゃないか~~!!そこまで目くじら立てて怒らなくたっていいじゃないか~~~!!!」
ビッダァァ~~~ンッッッッッ!!!
「うわあああんっっ!!!」
強烈な一撃を叩きつけられ、レオンは悲鳴を上げる。
「ほんの・・・・出来心だって?」
「お・・・お兄ちゃん?」
レオンは恐る恐るクロードの様子を伺う。
「本気で・・・そんな・・こと・・・言ってるのかい・・・。そんなの・・・そんなの・・絶対に・・・」
「ひ・・・!!」
レオンは恐怖に駆られて逃げ出そうとする。
だが、すぐにクロードに押さえられて引き戻されてしまった。
「レオン?どこに行くつもりだい?」
「ひ・・・!お、お兄ちゃん、離して!?」
恐怖に震えながら、レオンは懇願する。
「ダメだよ。全然反省してないみたいだからね。だから、そんな悪い子にはもっと厳しくするよ」
そういうや、クロードは足を組む。
おかげで、レオンはお尻を突き上げる体勢になった。
「やだあああっ!!これやだぁああっ!やめてぇぇぇ!!!」
レオンは必死になって叫ぶ。
アシュトンがルシフェルにこの体勢でお仕置きされているのを見たことがあるから、通常よりずっと痛いことを知っているからだ。
同時に、こういう体勢を取る時は、叩く方が本気で怒っていることも。
「ダメだよ。嘘ついて、心配かけることしたのに、全然反省してない悪い子は厳しく叱ってあげるよ」
「やだあああ~~~~~~~!!!!!!!!」
恐怖に泣くレオンを尻目に、クロードは右手を振り上げるや、思い切り振り下ろした。
ビッダァァァ~~~~~~~ンッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~!!!!!
「うわああああ~~~~んっっっ!!!痛い痛い痛い痛い痛いよ~~~!!!」
子供には過酷な、平手打ちの豪雨にレオンは悲鳴を上げ、手足を思い切りバタつかせる。
「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさぁぁ~~~いっっっ!!!!」
平手打ちが雨あられのように降り注ぐ中、許しを乞うレオンの声が響きわたった。
「うっえぇぇん・・・・痛いよぉぉ・・・」
しゃくり上げながら、レオンは泣いていた。
お尻は全体が満遍なく赤に染め上がっており、表面を触ると熱を帯びている。
「レオン、今度こそ反省したかい?」
クロードはお尻を叩く手を止めると、レオンに尋ねる。
「してるっ!してるよ~~~!!だからもう許してよ~~~!!!」
「じゃあ、何が悪かったんだい?言ってごらん?」
「ひぃん・・。歯医者が・・嫌でぇ・・・・仮病使って・・・騙した・・ことぉぉ・・・」
「そうだね。それから?」
「ひぃん・・自分が・・悪いことしたのに・・・。出来心・・とか・・・言ったぁぁ・・・」
「それもだね。でも、一番大事なのは何だい?」
「ひぃん・・。お兄ちゃん・・達に・・・心配・・・・かけたぁぁ・・ことぉぉ・・」
「そうだね。よく言えたね」
クロードはそういうとレオンを抱き起こした。
「レオン、僕は歯医者に行くのを嫌がったことを怒ってるんじゃないよ。誰だって痛いのは嫌だしね。でもね、だからってあんなことしちゃあダメだよ。本当に病気なんじゃないか、大変なことにならないかって思ったんだからね」
「うん・・・・心配かけちゃって・・・ごめんなさい・・・」
「わかってくれたならいいよ。レオンはいい子だね」
クロードはそういうと、レオンの頭を撫でてやる。
「お兄ちゃあん・・。どうしても・・歯医者・・行かなきゃダメ?」
「今日はお尻が痛いから仕方ないけど、明日は必ず行かないとね。歯が痛くて困るのはレオンだろう?」
「わ・・わかってる・・けどぉぉ・・・」
「レオン、お兄ちゃんもちゃんとついてるから。それならいいだろ?」
「わ・・わかったよ・・・」
その翌日・・・。
「はーい、それじゃあ行きますよー」
歯医者はそういうと、レオンに口を開けさせる。
椅子の上でレオンは恐怖に身を竦ませる。
傍らに立っているクロードをチラリと見やると、レオンは力を込めてクロードの手を握る。
対して、クロードもレオンの手を握り返してやる。
恐怖に身を竦ませつつも、クロードが傍にいるからか、少しだけレオンの表情が和らいだ。
「大丈夫かい?」
帰り道を並んで歩きながら、クロードは未だに恐怖が抜けきらないレオンにそう尋ねる。
「ううう~~~。怖かったよ~~~」
レオンはブルブル震えながら言う。
「もう大丈夫だよ。しっかり治してもらったからね。でもレオン、これからはちゃんと歯磨きするんだよ?」
「わかってるよ~。あんな痛い思い、もう二度としたくないよ~~~。それよりお兄ちゃん~、今日、お兄ちゃん家に泊まってもいい~?今日、スゴイ怖かったから、お兄ちゃんと一緒に寝たいよ~~~」
「わかったよ。レオンがそうしたいならね」
―完―
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theme : 自作小説(二次創作)
genre : 小説・文学