カイルの初クエスト(SO2&テイルズより:スタン/カイル、共演パロ)
(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにしたSO2&テイルズ共演パロです。許容出来る方のみご覧下さい)
「うわぁぁぁ~~~~っっっ!!!」
必死な声を上げながら、スタンとカイルは通りを全速力で走っていた。
「ディムロスッ!何だって起こしてくれなかったんだよ~~~!!!」
走りながらスタンは相棒でもある人格を持つ剣ディムロスにそう文句を言う。
『何を言うか!我は何度も声をかけたぞ!何度呼びかけても目覚めぬスタンとカイルが悪い!!』
「ああもう~~っ!何で今日に限ってハロルド特製目覚ましが動かなかったのさ~!!」
『馬鹿者!目覚ましはちゃんと動いていたぞ。カイルが寝たまま止めてしまったのだろうが!!全く・・二人ともしゃきっとせんか!!』
走りながら、二人と一本の剣はそんな会話を交わす。
スタンとカイルは親子そろって超がつくほどの寝坊助。
そのためにスタンの妹であるリリスにより強力な音波攻撃を発生させる「死者の目覚め」という技が開発されたほどだ。
それほどの寝坊助であるため、知人である天才科学者、ハロルド・ベルセリオス博士につくってもらった特製目覚まし時計を使っていた。
これなら死者の目覚めに匹敵する目覚まし音を出し、極度の寝坊助なスタン親子でも起きられるからである。
だが、いつものようにセットしたはいいが、カイルが眠ったまま時計を止めてしまい、そのまま寝入っていたのである。
見かねてディムロスが必死に声をかけたが、その程度で起きる父子では無く、ようやく起きた時には遅刻寸前というわけだった。
必死で父子が走ると、やがて大きな時計台のある広場が見えてくる。
「ハァ・・ハァ・・・やっと・・着いたぁぁ・・・」
時計台の傍まで来ると、スタンもカイルも、荒い息を吐く。
「遅いぞ、何をしていたんだ?」
スタン達がやって来ると同時に、厳しい声で何者かが問いかけてくる。
声の主は黒髪で女性と見まがうばかりの容貌をした、身なりのよい若者。
「ご、ごめんなさいリオンさん。ちょ、ちょっと寝坊しちゃって・・・」
カイルは必死に謝る。
若者の名はリオン・マグナス。
スタンと並んでこの街屈指の剣士で、スタン父子の友人にして親類だった。
「言いわけはいい。時間厳守は基本だろう?全く・・・僕だけで出発しようかというところだったんだぞ?」
「リオン、俺達が悪かったよ!この通りっ!!」
スタンは必死になって謝る。
「ふん・・・。時間を無駄にするわけにもいかないからな。僕はもう行くぞ」
そう言ってリオンが去ると、スタン達はホッとする。
「トホホ・・・またリオンに怒られたよ・・・」
『リオンの言う通りだぞ。スタン、いい加減に寝坊助も治さんか!!』
「お前まで言うなよ・・ディムロス・・」
「おぃ!何をしているんだ!本当に置いていくぞ!!」
中々来ないスタンとカイルに業を煮やしたのか、リオンはそう声をかける。
「い、今行くって!カイル!行くぞ!」
「わかってるよ!!」
本当に二人を置いていきかねないリオンに、スタンとカイルは慌ててついていった。
「魔神剣!!」
「蒼破刃!!」
「幻影刃!」
木々が生い茂る森林で、技名が叫ばれると同時に技が繰り出され、モンスター達が蹴散らされる。
「ハァ・・疲れたぁぁ・・・」
「カイル、これで回復しておくといいぞ」
「ありがとう、父さん」
スタンは息子にグミを渡すと、カイルはそれで体力を回復させる。
「ふん。まだ始まったばかりだぞ。もう音をあげてるのか?」
「そ、そんなのじゃないよ!!」
リオンの皮肉屋な言葉に、思わずカイルは言い返す。
「リオン、あまり厳しく言うなよ。初めてのクエストなんだからさ」
「甘いぞスタン。ほんの少しの油断やミスが取り返しのつかない事態を招くんだ。それはお前がよく知っているだろう?」
「それはわかってるよ」
「わかってるならもっと厳しくカイルに教えてやったらどうなんだ?少しカイルに甘すぎるんじゃないのか?父親ならもっとしっかりしたらどうだ?」
「そういうなよぉ・・」
「父さんっ!!リオンさんっ!また来たよ!!」
カイルの言葉に、スタンもリオンも戦闘時の表情になる。
剣を構えると同時に、狼や犬のような容貌をしたモンスターが数匹襲いかかって来た。
数ではモンスターの方が押していたが、経験豊富なスタンとリオンは難なく敵を退ける。
カイルも、父親たちに比べると苦戦はしつつも、それでも段々と敵を退けてゆく。
やがて、モンスター達はかなわないと見たのか、逃げ出し始めた。
「逃がすもんか!!」
「待てっ!カイルッ!深追いするんじゃない!!」
逃げる敵を追って飛び出したカイルに、スタンは思わず止めようとする。
だが、モンスター達に行く手を遮られ、蹴散らそうとしている間に、カイルの姿は森の中へ消えていってしまった。
「くっそ~。どこに行ったんだろ・・・・」
まんまと逃げられてしまったらしく、カイルは悔しそうな表情を浮かべる。
「戻らないと・・・って・・あれ?ここ・・どこだろ?」
スタン達のところへ戻ろうとしたとき、カイルは周りの景色が全然見覚えの無いことに気づく。
(嘘・・・迷ったの!?)
そのことに気づくや、カイルは慌ててアイテム類を入れてあるバッグの中身を確かめる。
(マズイ・・・グミも食料も少ない!?)
回復用のアイテムが少ないことに、カイルは顔色が青くなる。
森の中はモンスターの巣窟。
スタン達と合流できる前に戦闘になる可能性は十分にあり得る。
回復魔法が使えないカイルにとって、回復アイテムが少ないのは危険なことだった。
「!!!!」
不意にカイルは足音らしい音に気づく。
(な・・何だろ?)
思わずカイルは剣を握りしめ、周囲を緊迫した表情で見渡す。
木々や草むらに邪魔され、ほとんど周りは見えない。
カイルは必死に聞き耳を立て、気配を探ろうとする。
不意にチラリと草むらの間から、日の光を反射して何かが見えた。
(剣!?盗賊!?)
とっさにカイルはそう思い、呪文を詠唱する。
幸い相手はまだ気づいていない。
不意打ちで呪文を仕掛けることは可能だった。
「フレイムドライブ!!」
叫ぶと同時に、カイルは三発連続で火球を飛ばす。
「うわあっっ!!!」
命中した音と共に、悲鳴が上がり、同時に何やら鈍い音がした。
「あれ?どこかで聞いたような・・・?」
さっきの悲鳴にカイルはそんな感覚を覚え、思わず声のした方向へ向かう。
草むらをかきわけて進むと、やがて声の主が木の根元に伸びていることに気がついた。
「え・・!?嘘っ!アシュトンさんっ!どうして!?」
カイルは目の前に倒れているアシュトンに気づくや、慌てて駆け寄る。
薬草の採取にでも来ていたのだろう、アシュトンは植物系の原料を採取するための草刈鎌を手にしていた。
どうやら鎌の刃が反射したのを剣と間違えてしまったらしい。
(嘘・・・鎌と剣を間違えて・・・しかも・・・盗賊と間違えてアシュトンさんを撃っちゃったんだ!?)
自分が仕出かしたミスにカイルは顔が真っ青になる。
「アシュトンさんっ!大丈夫!?しっかりして!!」
慌ててカイルはアシュトンに駆け寄る。
「アシュトンさーん、どうしたんですかー?」
不意にアシュトンに呼びかけるように、別の声がしたかと思うと、また別の人物が現れる。
現れたのはルカ。
ルカも採取用の草刈鎌を身につけていた。
どうやら二人とも採取のためにやって来たらしい。
「あ、アシュトンさんっ!どうしたんですか!?」
地面に倒れているアシュトンを見つけるや、ルカは思わず声を上げる。
「君っ!アシュトンさんの知り合い!?」
カイルはルカに気づくと、すぐに呼びかける。
「え?あ、は、はい。ルカっていいます」
「ルカ、誰か呼んできて!!気絶してるみたいなんだ!!」
「え・・?」
事態が飲み込めず、ルカは怪訝な表情を浮かべる。
「いいから誰か呼んできて!!早く!怪我人がいるんだよ!!」
「わ、わかりました!!」
カイルの言葉にルカはようやく気づくと、慌てて他の人間を呼びに走りだした。
目を覚ましたアシュトンの視界に飛び込んで来たのは、ルカ、カイル、ボーマンの顔だった。
「アシュトンさん!気がついたの!?」
「え・・ええと・・あれ?君は・・・」
アシュトンはカイルに気づくと、思わず怪訝な表情を浮かべる。
「カイルです。前、ダンジョンで鉢合わせした・・・」
「ああ!久しぶりだねぇ」
アシュトンはカイルの事を思い出すと、そう挨拶する。
「久しぶりです。あの・・・大丈夫ですか?」
「え・・?あれ?そういえばここ宿屋?どうして?」
自分が宿屋のベッドにいることに気づき、アシュトンは再び怪訝な表情を浮かべる。
ルカやボーマンと一緒に薬草の採取に森へ入ったはずだったからだ。
「それなんですけど・・・・俺のせいなんです」
「え・・?どういうこと?」
「実は・・・俺が盗賊と勘違いして、アシュトンさんを呪文で攻撃しちゃったんです。本当にごめんなさい!!」
カイルは頭を下げて謝る。
「そうだったんだ。いや、別に悪気があったわけじゃないからいいよ」
アシュトンは事情を知ると、そう言う。
「カイルッ!カーイールッッッ!!無事かーーっっっ!!!」
不意にドアが乱暴に開いたかと思うや、スタンが飛び込んで来た。
「と・・父さん・・・」
突然現れたスタンに、思わずカイルは呟く。
「よかった・・。ここにいたのか?あれ?ボーマンさんにアシュトンさん?」
部屋に飛び込むや、スタンはボーマンとアシュトンの姿に気づく。
「おぃおぃ、怪我人がいるんだぞ。静かにしてくれよ」
「す・・すみません。あれ?怪我人?それに・・どうしてまたボーマンさん達がカイルと一緒にいるんですか?」
事態が飲み込めず、スタンは思わずボーマンに尋ねる。
「あ~。それなんだけどな。カイルが盗賊と間違えてアシュトンを呪文で攻撃しちまったんだよ。それで宿まで皆して運んできて手当てしたってわけさ」
「ええっ!?ほ、本当にすみません!!」
息子が仕出かした不始末に、スタンは必死に謝る。
(ま・・マズイ!?絶対にマズイよ!!)
カイルはスタンが謝っている隙に部屋を抜け出す。
はぐれて迷子になりかけた挙句、勘違いで人に怪我をさせてしまった。
スタンが怒っていないはずはない。
逃げないと、絶対にお尻を叩かれる。
「どこへ行くんだ?」
こっそり廊下へ出たところへ、リオンが呼び止める。
「り・・リオンさん・・・」
カイルは目の前のリオンに顔色が青くなる。
「お、お願いっ!見逃して!!」
必死に懇願するが、リオンが聞き入れるはずもない。
「僕がそんなことをすると思っているのか?カイル・・・覚悟はいいな?」
「いいわけないじゃないか!!」
踵を返して反対側へ逃げようとするが、いつの間にか後ろにはスタンが立っていた。
「と・・父さん・・・」
「カイル・・どこに行くつもりだったんだ?」
「そ・・それは・・・・」
「カイル、ちょっと父さん達と話しようか」
「ヤダよっ!話だけで終わるわけないじゃないか!!」
逃げようとするカイルだったが、前後をしっかりリオンとスタンにおさえられ、抵抗も空しく捕まってしまう。
「いーやーだーーっっ!!離してーーーっっっ!!」
必死に叫ぶカイルだったが、スタン達が聞き入れるわけもなく、そのまま自分達が泊まっている部屋まで連れて行かれてしまった。
「やだやだっ!!離してってば!!」
父親の膝の上にしっかりと押さえつけられてもなお、往生際悪くカイルは暴れようとする。
「何言ってるんだ。そういうわけにはいかないだろう」
そう言いながら、スタンはズボンを降ろしてカイルのお尻をあらわにする。
「わあああっっ!!父さんっ!ごめんなさいっ!反省してるからっっ!!」
お仕置きを勘弁してもらおうと、カイルは必死に謝る。
「カイル・・謝るのはいいけどな、お仕置きが嫌でする『ごめんなさい』じゃ意味がないぞ?」
そういうと、スタンは左手でしっかりとカイルを押さえつける。
同時に、ゆっくりと右手を振り上げた。
パアシィィ~~~ンンンッッッッ!!!
「うわあっっ!!」
弾けるような音と共に、カイルは背をのけ反らせ、悲鳴を上げる。
お尻に手形の跡がくっきりと浮かび上がったかと思うと、そこからジワリとお尻全体に痛みが広がってゆく。
パンッ!パンッ!パチンッ!パアンッ!パチンッ!パンッ!
「わっ!ちょ、ちょっと!痛いってば!!」
リズミカルな音がたて続けに響きわたり、同時に平手がカイルのお尻へと襲いかかる。
「ったく・・ダメだろ?一人で勝手に飛び出したりなんかしたら?」
パンパンと弾けるような音と共にお尻を叩きながら、スタンはお説教を始める。
パアンッ!パンッ!パンッ!パシンッ!ピシャンッ!パアンッ!
「うわっ!痛っ!痛いっ!痛いってば!!」
お尻の痛みにカイルは両脚をバタつかせながら叫ぶ。
スタンの平手が叩きつけられるたびに、手形が重なり、それに伴って絵具を塗り重ねるように、お尻の赤みが濃さを増してゆく。
パアンッ!パンッ!パンパンッ!ピシャンッ!パアチィンッ!パアンッ!
「昨日、俺やディムロスがちゃんと言ったはずだぞ?絶対俺やリオンから離れるな。一人で勝手な行動をするなって。忘れたのか?」
しっかりと言い聞かせるような口調で、スタンは息子に問いかける。
「わ、忘れてないよ・・・」
「じゃあ何で勝手に飛び出したりしたんだ?わかってるならあんなことしないだろう?」
「だ・・だって・・・つい・・夢中に・・なっちゃって・・・」
「そんなの理由にならないだろう?いいか。どうして三人でパーティを組んで戦ってると思う?危ないからだろ?三人で力を合わせて戦っても危ないんだ。それなのに、後先考えないで一人で勝手に飛び出して、逃げる敵を追いかけるだなんて!そうしたらどれだけ危ないと思うんだ?」
「そ・・それは・・・」
カイルは思わず言葉に詰まる。
実際、一人きりになった上に迷ってしまったことに気づいた時は、顔から血の気が引くほどまずいと思ったのだから、否定しきれなかった。
「しかも・・・勘違いして何の関係も無いアシュトンさんに怪我なんかさせて!!幸い許してくれてるけど、下手をしたら警察沙汰だったんだぞ?わかってるのか?」
「う・・・・・・」
スタンの言葉にカイルはさらに言葉が出なくなる。
「それに・・・お前が一人で飛び出していなくなって・・・・俺やリオンやディムロスがどんな気持ちになったと思う?お前の姿を見るまで、本当に気が気じゃなかったんだぞ?」
「ご・・ごめんなさい・・。心配・・・させて・・迷惑・・かけて・・ごめん・・なさい。父さん・・・リオンさん・・・ディムロスさん・・・」
自分のせいで心配や迷惑をかけてしまったことに、カイルは謝る。
「カイル、反省してるか?」
「うん・・ごめんなさい、父さん」
「そうか・・・。じゃあ・・始めようか」
「え?な、何を?」
スタンの言葉に、カイルはキョトンとする。
「決まってるだろ。お仕置きだよ」
「え?ええっ!?これで終わりじゃないの!?」
スタンの言葉にカイルは思わず叫ぶ。
「自分がしたことがどういうことか、それをちゃんとわかってからがお仕置きだよ。カイル、今日は結構怒ってるからな」
「そ・・そんな~~~!!!!」
思わず絶望の声を上げるカイルだったが、容赦なく本気のお仕置きが始まる。
バアッジィィィ~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~ッッッッ!!!
「うわあああっ!!痛ぁああっ!ごめんなさいっ!父さんごめんなさぁぁーーいっっ!!」
嵐のような平手打ちの連打にカイルは絶叫し、両脚をバタつかせながら必死に謝る。
その後、部屋には平手の音とカイルの悲鳴が響きわたった。
「ひぃ・・ひぃぃん・・・。痛ぁぁ・・・痛ぁぁぁいぃぃ・・・」
カイルは大粒の涙を零して泣きじゃくる。
お尻は濃厚なワインレッドに染め上がり、表面は火属性の奥儀や上級術を食らったかと思うほど熱い。
「ごめん・・なさい・・ごめんなさぁぁい・・・もう・・許してよぉぉ・・」
「カイル、痛いか?」
一旦お尻を叩く手を止めてスタンは尋ねる。
「痛い・・なんてもんじゃないよぉぉ・・・。お尻が・・熱くて・・熱くて・・・焼けちゃいそうだよぉぉ・・・」
「そうだな。凄く痛いよな。でもな、カイル、想像してみるんだ。もし・・・俺やリオンがクエストで無茶なことをやって・・大怪我したら、どう思う?」
「そ・・そんなの嫌だよっ!?お尻叩かれるのよりもっと辛いし、怖いよ!!」
想像したのか、カイルは叫ぶ。
「そうだよ。凄く辛いよな。俺も・・・同じだよ」
「え・・?」
怪訝な表情を浮かべるカイルを抱き起こすと、スタンは顔を合わせるように抱っこして向きあう。
「カイル・・・痛い思いさせてごめんな。でも・・これだけは覚えておいて欲しいんだ。クエストっていうのは遊びじゃない。命がけの危険なものなんだ。ほんのちょっとの軽はずみな行動が、カイルだけじゃない、パーティの皆にまで危険にさらすんだ。だから後先考えずに振る舞えば、俺達だって怪我、いやもっと悪いことになるかもしれないんだ。それをわかって欲しいから、今日は厳しくしたんだ」
「ごめん・・・なさい・・・・」
「わかってくれればいいんだ。さぁ、お仕置きは終わりだよ」
スタンはそういうと、息子にニコリと優しい笑みを見せた。
「ちょ、ちょっと!父さん!?もうちょっと優しくしてってば!!」
「これくらい我慢しろって。男の子だろう?」
抱っこしたままお尻に薬を塗ってやりながら、スタンはそう言う。
「っていうか・・抱っこしたままだとやりづらいなぁ。カイル、ベッドにうつ伏せになった方がいいんじゃないのか?」
「やだよっ!たっぷり泣かせたんだから責任取って抱っこしながらしてよ!!」
(どういう理屈だよ・・・。そもそもカイルが勝手に飛び出したりしたから怒られたんだろう?)
そう思わずにはいられないが、スタンは何も言わない。
言ってもさらにわがままを言われたりしてしまうからだ。
「ねぇ、父さん。痛い思いさせたんだから夜も一緒に寝てよ!それくらいいいでしょ!?」
「わかったよ。カイルがそう言うなら」
(俺も・・甘いなぁ。リオンが見たら甘すぎるって言われるんだろうなぁ)
自分の態度にそう思い、カイルのわがままぶりに苦笑を浮かべつつも、スタンはカイルを抱っこしたまま、お尻の手当てを続けていた。
―完―
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