言いつけはちゃんと・・・(SO2&テイルズより:機械・ルシ/アシュ)
(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにしたSO2&テイルズ共演パロです。BL要素もあります。許容出来る方のみご覧下さい)
「では、行ってくるからな」
「うん、行ってらっしゃい」
朝食を終えたルシフェルは、そう言うと、いつものように教会を出ようとする。
だが、そのとき微かに表情を苦痛で歪めた。
「だ、大丈夫?」
「ふん・・これくらい、大したことはないわ!」
左手で右手をさすりながら、ルシフェルはそう言いやる。
ルシフェルの右手は、何故か赤みがかっていて、少し腫れているようだった。
「ゴメンね、僕のせいで・・・」
アシュトンはルシフェルの右手に、申し訳ない表情になる。
昨日、またたっぷりとお仕置きされてしまったのだ。
おかげで、無意識のうちにお尻を擦らずにはいられない。
しかし、逆にルシフェルの方も痛い目を見ている。
激しく叩くものだから、その分ルシフェルの手も腫れてしまうのだ。
自分のせいで痛い思いをさせてしまったかと思うと、お尻の痛みも忘れ、何だか申し訳なくなってくる。
「何を言うか!アシュトンがよい子になってくれるのならこれくらい何ともないわ!」
だから気にしなくてよいという意味合いを込めて、ルシフェルはそう言う。
「ありがとう、でもそろそろいかないとマズイんじゃない?」
「む・・そうだな・。では行ってくるぞ」
そういうと、ルシフェルはいつものように紅翼を広げて飛んでいった。
(ああはいったが・・・・)
ルシフェルは少し表情を歪めつつ、ペンを握る手を見やる。
人間よりずっと高い回復力を持つ魔族だが、腫れている間はやはり痛い。
その手で作業をすれば、当然痛いに決まっている。
「ってオイ、まだ終わってねえのかよ」
「何の用だ?」
書類を抱えて現れたアッシュに、ルシフェルはムッとした表情を浮かべる。
「追加の書類だよ。コッチもさっさと決裁しやがれ」
残っている書類の傍らに置きながら、アッシュはそう言いやる。
「貴様なんぞに言われんでもわかっておるわ!ぐ・・!」
「んだよ?テメェまたあの神父のケツ引っぱたいてやがったのか?利き手でやるやつがいるかよ、馬鹿が!」
「貴様に言われたくはないわ!この見苦しい嫉妬魔が!!嫉妬の挙句に腹いせで弟を強姦など、情けない奴め!」
「テメェこそあの神父にデレデレベタベタしやがって!テメェの方こそみっともねえんだろ!色ボケがっっ!!」
「貴様・・・ハゲごときが・・よい度胸だ・・!」
「俺はハゲじゃねえ!!オールバックだ!キザ野郎がぁ!テメェこそ片眼なんぞ隠してカッコイイとでも思ってんかあっ!!」
売り言葉に買い言葉で互いに相手をののしり合いながら、ルシフェルは手に呪紋の光を浮かべ、アッシュは剣を抜きかける。
「何をしている?見苦しいぞ、二人とも」
「「ガブリエル・・!!」」
現れたガブリエルの姿に、二人とも嫌そうな表情になる。
「仮にもお前達の上司だぞ?その顔はないだろうが?」
「よくもぬけぬけと・・・何の用だ?」
「そうだ。さっさと済ませやがれ!コッチも暇じゃねえんだよ!」
「嫌われたものだな。まぁよい。処理の進み具合を見に来たのだが・・今日はいつもより少し手間取っているようだな?」
「ふん・・。こんなもの、すぐに済ませてやるわ」
「ケッ。あの気弱神父のケツなんか叩きやがるからだろ。おかげでこっちまで面倒かけられるぜ!」
「貴様っ!アシュトンの悪口を言うでないわっ!」
「本当の事だろうが!」
「貴様こそあの大剣小僧のために引っ越しなどしおったのだろうが!そのせいでこっちまで迷惑しておるわっ!!」
「テメェーーっっ!!ルカの悪口を言うんじゃねぇぇぇ!!」
「ふはははは!!!」
二人のやり取りに、思わずガブリエルは笑う。
「テメェ!何がおかしい!!」
上司相手とは思えない乱暴な態度で、アッシュは問い詰めるように言う。
「いや、お前達があまりにも似た者同士なのでな。つい面白いと思ってな」
「冗談じゃねえ!こんな人間に骨抜きにされた情けねえ過保護野郎と一緒にすんなぁ!」
「それはこっちの台詞だ!!」
今にもまた喧嘩を始めそうになるが、ガブリエルが面白そうに眺めていることに気づき、辛うじて思いとどまる。
「ふぅむ・・・。しかし・・・幾ら何でも仕事に差し支えるほど叩くというのは問題ではあろうな・・。ルシフェルよ・・・どうせならお仕置きマシンでも用意したらどうなのだ?」
「何を言うかぁぁぁ!!!!そんなモノ、虐待でしかないではないかぁぁぁぁ!!!!!」
「テメェが今やってんのだって十分虐待だろうが。変わんねえだろ!ケッ!」
ルシフェルの叫びに、アッシュがそう突っ込みを入れる。
「馬鹿者っ!お仕置きというのは愛があってこそなのだぞ!道具を使うにしても愛が感じられねば虐待でしかないわぁぁ!!何のためにいつも必ず膝の上で、少なくともアシュトンの身体には触れていると思っているのだぁぁぁ!!!」
ルシフェルは心の底から叫ぶ。
ルシフェルにとって、お仕置きはアシュトンへの愛ゆえのもの。
だからこそ、お尻を叩くときは膝の上に載せるし、ベッドの縁や机にうつ伏せにさせるにしても、必ず自身の手でアシュトンの身体に触れている。
それは、お仕置きをする方の温もりが少しでもアシュトンに感じられるようにするため。
だから、パドルや鞭はともかく、機械でのお仕置きなど論外だった。
「そうはいっても、そのお仕置きで業務が滞るのは私としても困るのでな。特製のお仕置きマシンを与えてやろう」
「そんなもの、熨斗つけて返してくれるわぁぁ!!」
「これは勅命だぞ?それでも拒否するというのか?」
「く・・・!!」
勅命という言葉に、ルシフェルは悔しそうな表情を浮かべる。
幾らルシフェルが魔界の実力者といえども、あくまでもガブリエルからみれば部下。
魔王の勅命と言われれば、拒むのは難しい。
宮仕えの宿命だった。
「く・・!勝手にするがいい!」
ルシフェルはせめてもの虚勢を張る。
「なら後で教会の方へ届けてやろう。楽しみに待っているがよい」
「いいからさっさと行かぬかっ!!貴様の顔など見たくもないわっっ!!」
とても上司に対するものとは思えない態度でルシフェルは叫ぶ。
そんなルシフェルをニヤニヤした表情で見やりながら、ガブリエルは部屋を後にした。
それからしばらく経ったある日・・・。
「では、行ってくるぞ」
「うん、気をつけてね」
ルシフェルはそう言うと、いつものように魔界へと出勤しようとする。
だが、今にも飛び立とうとしたところで不意に振りむいた。
「アシュトン・・・。くれぐれも・・・例の部屋には入ってはいかんぞ。いいな?」
「わかってるよ」
「絶対に絶対に入ってはならんぞ!いいな!?」
「わかってるってば。でもさ、一体何が届いたのさ?」
思わず尋ねるアシュトンが、次の瞬間凄まじい表情になったルシフェルに、思わず引いてしまう。
「何だろうが関係ない!絶対に入ってはならぬぞ!!」
「わ・・わかったよ・・。ちゃんと・・約束するよ・・」
「そうか・・。では、今度こそ行ってくるぞ」
「うん、行ってらっしゃい」
そう互いに言葉を交わすと、ルシフェルは空の彼方へと舞い上がっていった。
(ああは言ったけど・・・・)
いつものように礼拝堂の掃除をしながら、アシュトンは今朝の事を思い返していた。
事の起こりは数日前。
不意に数人の魔族が現れたかと思うと、ベッド程もありそうな巨大な包みを運んで来たのだ。
何だと思って聞いてみると、ガブリエルからルシフェルへの下賜品だという。
その後、ルシフェルが帰って来たので何をもらったのか聞こうとしたのだが、品を見るなり機嫌が悪くなったかと思うと、封も外さずにそのまま開いている部屋へと仕舞いこんでしまい、しかも厳重に鍵をかけた上、絶対に部屋に入ってはいけない、と固く約束させられたのである。
(どうしても・・・気になるなぁ・・・。あそこまで怒るだなんて・・・)
尋常ではない不機嫌振りに、一体何故なのだろうか、と思わずにはいられない。
幾ら過保護とはいえ、あんな言いつけをするほどなのだから、何か理由があるに違いない。
それだけに、どうしても理由を知りたくて、たまらなかった。
(す・・少しくらいなら・・・いいよね・・・)
アシュトンはそんなことを考えると、恐る恐る例の品が仕舞われた部屋へと向かう。
ドアには頑丈そうな錠前がしっかりとかけられていた。
錠前には恐ろしい魔物の姿が描かれている。
(確か・・これだよね・・)
アシュトンはポケットからがっしりした鍵を取り出す。
ルシフェルの部屋からもちだしてきたものだ。
実際、鍵を差し込んでみると、呆気なく開く。
(よかったぁ・・・ちゃんと合ってた・・・)
無事鍵が開いたことに、アシュトンはホッとする。
魔族のルシフェルが使う道具は、普通のものではない。
もし、ちゃんとした鍵で開けなかった場合、泥棒だとみなしてセキュリティ用の魔術が発動するようになると、言われていた。
だが、アシュトンの事を信頼しているからか、鍵は部屋の机の引き出しに無造作に置かれていた。
(ゴメンね・・。ちょっと見たら・・すぐに返すから・・・)
勝手に持ち出したことに微かに罪悪感を覚えつつ、アシュトンは中へと入る。
「な・・・何これ・・?」
目の前に置かれたそれに、アシュトンは思わず目を丸くする。
それは一見すると木馬のように見える。
だが、首は無く、身体を拘束するベルトや、パドル、鞭、エンジンらしい機械などがついている。
「もしかして・・お尻・・叩く機械とか・・?」
目の前の奇妙な機械を見やりながら、アシュトンはそう呟く。
うつ伏せでお尻を突き出した体勢で寝ると、ちょうどうまく拘束され、またパドルや鞭がお尻に当たる構造になっているからだ。
「こ・・これじゃあ・・ああ言ったのも・・無理もないよね・・・」
目の前の機械にアシュトンは納得する。
こんな機械でのお仕置きは、愛など微塵も感じられない。
お仕置きは愛に基づく行為である以上、ルシフェルが不機嫌になり、部屋へ放り込んでしまったのも当然だった。
「も・・もう・・十分だよね・・」
目的は果たしたのだし、こんな機械でのお仕置きなど、想像したくも無い。
早々に退散しよう、そうアシュトンが決意したときだった。
突然、機械音が響きわたる。
「な・・何っ!?」
思わずアシュトンは驚き、機械の方を見やる。
すると、いつの間にか機械が稼働していた。
『ターゲット発見・・・ターゲット発見・・・コレヨリ・・オシオキヲ始メマス・・・』
「え・・?うわあっ!?」
突然、機械からロープのようなものが飛び出したかと思うと、アシュトンを捕え、台へともの凄い力で引き寄せる。
抵抗する間もなく、アシュトンはお尻を突き出してうつ伏せになった姿で台に拘束されてしまった。
「ちょ・・ちょっと・・!!ってわあっ!やめてっ!?」
台から出てきた別の腕にお尻をむき出しにされ、思わずアシュトンは慌てる。
だが、しっかりと拘束されてしまい、身動きすらままならない。
「オシオキ・・開始・・シマス・・・」
「って・・ま、待ってぇぇ~~~!!」
必死な叫びも空しく、パドルがアシュトンのお尻めがけて振り下ろされた。
ビッダァァァ~~~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~!!!!!!
「ひっ・・ぎゃああああああああ!!!!!!!」
初っ端から容赦のないパドルの乱打に、アシュトンは絶叫する。
バアッジィィィ~~~~~ンッッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~!!!!!
「うわぁぁぁ!やめてぇ!お願いだからやめてぇぇぇぇぇ!!!」
必死に謝るアシュトンだが、相手は無情な機械。
「ダメデス・・。所定ノ数ガ終ワルマデハ続キマス・・・」
機械の無感情な声で、残酷な事実が告げられる。
「そ、そんなこと言ったって無理だよぉ!い、一体何回叩く気なのさぁ!?」
「回数ハ・・コレダケデス・・・」
機械はそう告げると、アシュトンの目の前に出した画面に予定の数を表示する。
そこには、1000回と描かれていた。
「嘘~~!?無理っ!無理だよっ!?そんなに叩かれたらお尻壊れちゃうっ!いやっ!死んじゃうよっっ!!」
「大丈夫デス。チャント途中デ手当テモシマス。ソレヨリ・・チャントオシオキヲ受ケナサイ」
「そ、そんなこと言ったって無理だよぉぉ!お願いだからっ!許して!ごめんなさぁい!」
「反省ノ色ナシト見ナシマス・・・。パドルカラ・・鞭ニ・・変エマス・・・」
「そ・・そんな~~~!!!」
絶望的な表情になるアシュトンを尻目に、お仕置きマシンはパドルではなく鞭を準備する。
ヒュウンッ!
ビシッ!ビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシィィィィィ!!!「ひぃぃぃぃ!やべでぇぇ!お願いだからやべでぇぇぇ!ごめんなさぁぁいい!!」
鋭い鞭がアシュトンのお尻に襲いかかり、アシュトンは拘束されたまま絶叫を上げる。
「999・・・998・・997・・・」
だが、マシンは機械的な音声でカウントしながら鞭を振るい続ける。
その後、カウントがゼロになるまでの間、鞭の音とアシュトンの悲鳴が響きわたった。
「3・・2・・1・・0・・・終了デス・・・」
ようやくお仕置きが終わり、鞭が止まる。
アシュトンはマシンの拘束台の上で、すっかりグッタリしていた。
お尻は倍以上に腫れ上がっており、蚯蚓腫れの痕が痛々しい。
「ひぃ・・あ・・ひぃう・・・」
ようやく台から解放されるも、お仕置きで体力はすっかり使いはたしている。
降りようとするも、激しい鞭打ちで体力を奪われ、バランスを取れずにずり落ちてしまう。
「い・・・痛ったぁぁぁーーーーっっっっ!!!!」
落ちた際に床にお尻をぶつけてしまい、思わずアシュトンは悲鳴を上げる。
「うぅううぅ・・・お尻が・・燃えてるみたいだよぉ・・・」
床にうつ伏せになったまま、アシュトンは涙目でお尻を擦る。
「く・・う・・痛ぁぁ・・ひっ・・あぅ・・・」
お尻を擦りながら、アシュトンはドアへ向かって這ってゆく。
歩こうにも、お尻が痛すぎて、歩くどころか立つのすら辛いからだ。
ようやくドアまでたどり着くと、アシュトンは膝立ちになり、ドアノブに手をかける。
だが、体力が尽きたのだろう、アシュトンはそのまま床に崩れ落ちると、気を失った。
「ん・・?あれ・・?」
目を覚ましたアシュトンは、いつの間にかベッドにうつ伏せになっていることに気づく。
「あれ・・?僕の部屋?どう・・して・・?」
思わず振り返ると、アシュトンはお尻にタオルを載せてあることに気づく。
「気づいたのか、アシュトン?」
「あ・・あれ・・?ルシフェル・・?どうして?」
「どうしたもこうしたも、入るなと言った部屋で倒れていただろうが?」
「あ・・そうか・・う・・・・」
思い出すと同時に、お尻の痛みに微かに顔を顰める。
「それよりも大丈夫なのか、アシュトン?」
「え・・あ・・その・・」
思わずアシュトンは口ごもる。
心なしか声がいつもより低くなっているのを感じたからだ。
(ここでうんって言ったら・・確実にお仕置きされちゃうよね・・)
そう思うと迂闊に返事は出来ない。
「どうなのだ!?大丈夫なのか?」
心配でたまらないのだろう、顔をグッと近づけながら、叫ぶように尋ねる。
そんなルシフェルに、さすがにアシュトンも罪悪感が沸いてくる。
同時に、お仕置きされても謝ろう、そういう気持ちが入れ替わりに沸いてきた。
「うん・・。ごめん・・・心配させて・・。もう・・大丈夫だよ・・」
「そうか・・。なら・・よかった・・・」
素直に大丈夫だと言ったことに、ルシフェルはホッとして微笑む。
だが、直後、ガラリと表情が変わった。
「って何故こんなことになったのだぁぁ!!!!!!!」
鼓膜が破れそうなほどの怒声に思わず耳を塞ぎそうになるアシュトンだったが、そんな間もなく、いつものようにルシフェルの膝の上に載せられてしまう。
「うぅ・・。わかってたけど・・・。やっぱり・・何度されても・・慣れないよぉぉ」
「そもそも慣れてはダメだろうが!!」
(そうだよね・・)
思わず苦笑しそうになるも、ルシフェルがいつものようにズボンを降ろしてお尻を出すや、羞恥で顔を赤くする。
手当てしたとはいえ、マシンに散々お仕置きされたお尻は、未だに濃厚な紅蓮で、腫れ上がっている。
「覚悟は良いなっ!アシュトンッ!?」
(ダメって言っても無理だよね・・・)
そんなことを思いつつ、容赦のない一撃がお尻に振り落とされる。
バアッジィィィ~~~~~ンッッッッッ!!!
「ひっ・・!ひぃぃぃ~~~~んっっっ!!!」
ただでさえ、強烈極まりないルシフェルの平手打ちなのに、既に散々叩かれたお尻にはまさに地獄の苦しみだ。
ビッダァァァ~~~~~~ンッッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~!!!!!!
「この・・!馬鹿者がぁぁぁ!!!」
最初からフルスロットルな平手打ちの豪雨を降らせ、怒声と共にルシフェルはお説教を開始する。
バアッジィィィィ~~~~~ンッッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~~~!!!!!!
「うわっ!わぁぁあ!!ひいっ!ひぎぃぃ!痛っ!痛あああっ!痛い痛い痛い~~!!!」
激しいお仕置きの嵐に、アシュトンは手足をバタつかせて泣き叫ぶ。
「絶対にあの部屋には入るなとあれほど言っておいたであろうがぁぁ!!それなのに何故入ったのだぁぁぁ!!!」
既に真っ赤なお尻を、容赦なく紅蓮に染め直しながら、ルシフェルは怒声のお説教を続ける。
「ひぃん・・。君が・・・何もらったのか・・気になってぇぇ・・・。教えて・・くれなかった・・からぁぁ・・・」
「馬鹿者ぉぉ!!そんなのが理由になるかぁぁ!!それでどうなったと思っている!!マシンに拘束されて散々痛い目に遭わされたのだろうがぁぁ!!」
「ひぃん・・・!ごめんなさぁぁい・・・!!」
「ごめんなさいは当然だろうが!言いつけを破りおって!しかも・・あの部屋は私の鍵でしか開けられないはず!どうしたのだ!?」
「ご・・ごめん・・なさい・・。ルシフェルの・・部屋から・・持ち出したんだよぉ・・」
ビッダァァア~~~~ンッッッッ!!!!
「ぎゃっあああ~~~~~んっっっっ!!!!!」
かなり強烈な平手打ちに、アシュトンは絶叫し、背をのけ反らせる。
「馬鹿者っ!勝手に入って持ち出すなど、立派な泥棒ではないかぁ!それが神父のすることかぁぁぁ!!!」
お尻を叩きながら、ルシフェルは悪魔とは思えないお説教をする。
「ご・・ごめんなさぁぁい・・。も・・もう・・しませぇぇん・・」
「そんなのは当たり前だろうが!言いつけは破る!泥棒はする!心配はさせる!そんな悪い子は絶対に許さんッッ!!」
そう叫ぶや、ルシフェルは膝を組み、パドルを取り出す。
バアッジィィィ~~~~~ンッッッッッ!!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~!!!!!!!!!
「ひっぎゃあああああ!!!!」
凄まじいパドルの嵐に、アシュトンは絶叫する。
「ひぃぃぃ!ごめんなさいっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい~~~~~~~!!!!!」
パドルの嵐に手足をバタつかせ、全身でもがきながらアシュトンは必死に謝る。
バアッジィィィンンンン!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!
「やべれぇぇ!お願いだからやめでぇぇ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい~~~~~!!!!!」
許してもらいたくてアシュトンは必死に謝る。
だが、ルシフェルは容赦なくパドルを振り下ろし続ける。
その後、長い長い間、お尻を叩く音と悲鳴が響きわたった。
「ふっえ・・えっえ・・ひっひぃん・・・」
ボロボロと涙をこぼし、アシュトンは子供のように泣きじゃくっていた。
お尻は機械に叩かれた時とは比べ物にならないほどの紅蓮に染め上がり、熱くなっている。
「ごめん・・なさい・・ごめんな・・さぁい・・・」
「反省したのか?」
一旦パドルを振るう手を止めてアシュトンは尋ねる。
「した・・・したよぉ・・。ひぃん・・。言いつけ破って・・・泥棒の真似して・・・心配かけて・・ごめんな・・さぁい・・・」
「わかってくれたようだな。ならよい」
そういうと、ルシフェルはパドルを手放し、入れ替わりに薬を取りだして、塗り始める。
「う・・あ・・・」
薬が効いているのだろう、痛みに歪んでいた顔がだんだん落ち着いてくる。
「少しは楽になったか?」
「うん。ありがとう。あと・・その・・抱っこしてくれる?恥ずかしいけど・・。そうしてもらえないと・・何か・・寂しいんだ・・」
「わかっている。安心するがよい」
薬を塗り終えると、ルシフェルはアシュトンを抱っこする。
「あ・・やっぱり・・こうしてると・・凄く・・安心出来る・・・」
「ならよかった。しかし・・今日はやり過ぎてしまったか?」
抱っこのままお尻を撫でてやりながら、さすがにいつも以上に熱いお尻に、ルシフェルも少し反省する。
「ううん・・。凄く・・痛くて熱くて辛いけど・・でも・・ルシフェルが自分で叩いてくれたんでしょ。それだけ大事に思ってくれてるって思うと・・嬉しいよ・・・」
「アシュトン・・・」
「機械のは・・やっぱり嫌だよ。冷たくて、怖いし。やっぱり・・叩かれるなら・・・ルシフェルにちゃんと触れていたいよ。温もりが・・あるから・・・」
「大丈夫だ。あんなもので叩くつもりなど毛頭ないからな。あれはすぐに廃棄だ」
「でも、大丈夫なの?ガブリエルからの下賜品なんでしょ?勝手に処分して問題にならない?」
あの機械は嫌だが、ルシフェルに迷惑が及んだらと思うとさすがに心配になる。
「大丈夫だ。それくらい、切り抜けてみせるわ。それよりアシュトン、疲れただろう?傍にいるから休むがよい」
「うん、ありがとう、ルシフェル」
アシュトンはそういうと、静かに目を閉じる。
安心しきった表情で眠るアシュトンに優しい表情を浮かべつつ、ルシフェルは部下の魔族達を呼びだす。
「おぃ、さっさとあの忌々しい機械を運び出せ。そうしたら跡形もなく壊してしまえ」
「え?ですがそんなことをしたらガブリエル様が・・・」
マシンはガブリエルからの贈り物なので、何か問題が起こるのでは、とさすがに魔物達も困惑する。
「壊せと言っているだろうが!それとも・・ガブリエルに忠誠を尽くしてここで私に魂もろとも消される方がいいか?」
アシュトンを抱きしめたまま、ルシフェルは怒りの表情を浮かべる。
「わ、わわわかりましたよ!ご命令通りにしますから落ち着いて下さい!!」
消されてはたまらないと魔族たちは必死に言う。
「ならさっさといかんか!いいか!一時間以内に終わらせろ!!」
ルシフェルが怒鳴るや、魔物達は慌てふためいて部屋を飛び出す。
数分経つと、窓から魔物達が例の機械を運び出し、壊しにかかるのが見えた。
「アシュトン、もう大丈夫だぞ・・」
機械が壊されるのを見届けつつ、ルシフェルは寝ているアシュトンにそう呼びかけた。
同じ頃、アッシュの家では・・。
「何だコイツは?」
アッシュは不機嫌極まりない顔で、目の前に並んだ瓶を見やる。
瓶にはアデ○ンスだのリー○21だの書いてあり、いわゆる育毛剤だと見て取れた。
「いえ、あの、ガブリエル様からの下賜品なのですが・・・・」
品物を届けた魔族は冷や汗をかきながら答える。
「こんなモンいらねえよ!さっさと持って帰りやがれ!」
「し・・しかし・・。そういうわけには・・・」
魔族は困惑した表情になる。
下賜品である以上、持って帰るわけにもいかない。
「いらねえモンはいらねえんだよ!とっとと持って帰りやがれ!!」
「兄さん、どうしたの?」
騒ぎをききつけたのだろう、たまたま来ていたルカが顔を出す。
「あれ?育毛剤?もしかして兄さんの?」
「んなワケねえだろ!俺はこんなモノ使わねえよ!!」
「だ、大丈夫だよ。別に誰にも言わないし。たとえ使ってても気になんかしないから」
「だから俺は使ってねえって言ってるだろう!!」
ムキになって否定するが、それが却って疑惑を深めてしまう。
「だ、だから大丈夫だよ。あっ!もうこんな時間っ!?帰らなきゃ!!」
時計を見て帰る時間だと気づくと、ルカは通りの向かいに帰ってしまう。
「おぃ・・!!」
「ひ・・・!!」
すっかり誤解されたアッシュは、怒りの表情を届け役の魔族に向ける。
「テメェ!どうしてくれんだぁ!!テメェのせいで俺がハゲだと思われただろうが!!」
「わ、私のせいでは・・・」
「うるせえっ!責任取りやがれっ!!」
「ひえええっ!!」
怒りのアッシュに魔族は慌てて逃げ出し、アッシュはそれを追いかけた。
―完―