王国軍中尉ルチア・ルヴェル10 帰ってきた師匠



 (注:金田一耕助が登場し、且つ改変を加えております。許容出来る方のみご覧ください)


 首都郊外にある屋敷へと続く道。
その道を一人行く男の姿があった。
男は年は30代後半~40代前半、肌や目、髪などの色からアジア系と推察できた。
190に近い長身で、瘦せぎすながら無駄なく鍛え上げられ引き締まった体躯の持ち主。
鷹のような鋭い目つきをした精悍な面立ちで、無精ひげが男の野性味をさらに強いものにしている。
 その男は何とも奇妙な風貌をしていた。
黒のテンガロンハットに土色のコート、シャツ、ズボン、帽子と同色のブーツという、マカロニ・ウェスタン(イタリア製西部劇)さながらの出で立ちをしているのだ。
もっとも、腰の革ベルトに差しているのはリボルバーではなく、サーベルであったが。
 唯でさえ凄まじい格好だが、さらに凄いことに帽子からブーツに至るあらゆる衣服に龍の図柄が描かれている。
サーベルの柄頭にも龍の頭があしらわれ、鞘も龍のデザインであった。
 全身に龍の図柄を纏った男は、正面に見える屋敷をジッと見つめると、コートの下から煙草を出す。
火をつけて煙を数回吐きだしたかと思うと、くわえ煙草のまま屋敷に向かって歩き出した。


 屋敷の中にあるプールほどもある大きな温室に囲まれた池、そのほとりにマウロが立っていた。
マウロは大量の生肉をぶら下げている。
片腕を大きく振り上げたかと思うや、マウロは池にぶちまけるかのようにして肉の束を投げ込んだ。
直後、水面が大きく沸き立ったかと思うと数匹のワニが現れた。
ワニは勢いよく肉に食らいつき、貪り始める。
 「ったく・・どこほっつき歩いてやがんだ・・」
ワニに餌を投げ与えながらマウロは不機嫌な様子で呟く。
マウロが言っているのはこの屋敷の主のこと。
仕事でアフリカだか南米に出かけたっきりまだ帰国していなかった。
「少しは帰ってきやがれ!こいつらの世話に駆り出される身にもなってみろってんだ!」
マウロは食事中のワニたちを見やりながら憎々しげに言う。
この屋敷の主は爬虫類専門のハンターやブリーダーをしており、そのため敷地内にはワニをはじめとする様々な爬虫類が飼育されている。
無論、専門の人間が雇われて世話や管理をしているのだが、時々手が足りなくなり、マウロがヘルプに呼ばれることがあるのだ。
適度な量の肉を与え続け、ワニたちが満足したのを見届けるとようやくマウロは温室を出た。
 温室を出ると誰かが立ちはだかっていた。
例のマカロニ・ウェスタン紛いな男だ。
その男の姿を見るなり、マウロは目を見張る。
「よぉ」
男は一言、素気ない口調で話しかける。
しばらくの間、マウロは信じられないといった様子で男をジッと見つめる。
それが幻ではないとわかるや、マウロはキッと男を睨みつける。
次の瞬間、猫さながらの敏捷な動きでマウロは男にとびかかり、顔面目がけてパンチを叩きこもうとする。
だが、男はそれを難なく受け止めた。
 「っておいおい、これが帰ってきた師匠の出迎えか?」
「ああん!?今までどこほっついてやがったんだ!このアホ師匠!」
マウロは不満をぶちまけるかのような声で言う。
そう、この男はマウロの剣の師であった。
男の名は龍纏斎(りゅうてんさい)、爬虫類ハンター&ブリーダーにして剣術家の日本人だ。
剣術家なので弟子も何人かおり、その一人がマウロだった。
その関係で爬虫類の世話にヘルプとして呼ばれるわけである。
 「帰ってきたんだからいいじゃねえか」
龍纏斎は平気のへざな態度でタバコをふかし続ける。
「黙れ!てめぇが屋敷開けてばっかだからこっちまで蛇だのトカゲの世話に駆り出されんだよ!このアホ師匠!」
「おぃおぃ。あまり興奮すると血管切れるぜ」
「うるせぇ!」
「全く全然変わってねぇな。安心したぜ」
「お前に安心されるいわれはねぇーっ!アホ師匠――――ッッッ!!」
マウロは叫ぶや再び躍りかかるが、呆気なく師に投げ飛ばされてしまった。
「教えただろう?安易に挑発に乗るなってなぁ。まだまだ修行が足りねえぜ」
弟子を投げ飛ばすと、龍纏斎はそれだけ言ってその場を立ち去った。


 「ふぅ・・・・やっぱり自分ちってのは悪くねぇ・・・」
龍纏斎は屋敷の一角にあるサウナでくつろいでいた。
サウナ内ということで、当然ながら全裸である。
龍纏斎の身体には獣の爪跡や歯型、刀傷や弾痕などがあちこちに刻まれており、彼のくぐりぬけてきた修羅場を彷彿とさせた。
だが、龍纏斎の身体には常人とは一つ違ったところがあった。
彼の身体には龍がいたのだ。
龍は二匹、一匹は背中側で、海のような見事な青い色の龍が首筋から腰のあたりまで上半身をくねらせ、左足全体に下半身を巻きつかせている。
また、正面の方では見事な輝きの紅蓮の龍が、同じように胸から腹にかけての部分で上半身をくねらせ、右足全体に下半身を巻きつかせていた。
ジャパニーズ・ヤクザも顔負けも見事な刺青の双龍、それが彼の身体に彫り込まれていたのだ。
これこそが、彼のトレードマークだった。
服全体に龍をあしらい、身体にも刺青の龍を彫り込むことで龍を全身に纏う。
その様相故に龍纏斎、つまりは龍を纏う者、という名を名乗っているのである。
 刺青を彫り込んだ胸や腹をタオルで拭きながら、龍纏斎は持ち込んでおいた水筒を傾ける。
スポーツドリンクをたっぷり詰めた水筒をお供にサウナでたっぷりと汗を流す。
これが何ともこたえられないのだ。
温泉を楽しむオヤジさながらの姿でサウナを龍纏斎が楽しんでいたときだった。
 突然、ドアの呼び鈴が鳴った。
「あん・・?一体何だ・・・」
腰を上げて龍纏斎がドアを向い、窓を覗いてみると執事の姿が見える。
「どうした?」
ドアを少し開けて龍纏斎が尋ねると執事は答えた。
「お客様がいらっしゃいました。あのお方です。」
「わかった。すぐ行く。客間に通したろうな?」
「はい」
「ならいい」
そのとき、突然何か大きな音がした。
 「何だ!」
思わず龍纏斎は声を出す。
「あの馬鹿弟子!また癇癪でも起こしやがったか!」
龍纏斎はすぐに服を着てサーベルを引っ掴むや、母屋の方へ急いで向かった。
 母屋に駆けつけるや、応接間の隣の部屋から怒号やら何かが打ち合う音やらが聞こえてくる。
龍纏斎が応接間へやってくると、家具は滅茶苦茶に壊された上にひっくり返っており、凄まじい有様だった。
「派手に・・やりやがったな・・・」
弟子の所業に龍纏斎は思わず顔をしかめる。
部屋の一角を見やると壁に人が通れるほどの大穴が開いており、そこから隣の部屋の様子が見えた。


 「おおお落ち着いて下さい!さ、さぁ、剣をしまって・・・」
「うるせえっ!誰が女だーっ!このクソジジイィィィ!」
激高したマウロの声を共にサーベルの煌めきが壁の穴から見える。
だが、次の瞬間、マウロのうめき声がした。
 龍纏斎が大穴から隣の部屋を覗いてみると、マウロが部屋の壁に寄りかかっている。
その胸には鞄か何かで突き飛ばしたような跡がついていた。
「す、すすすいませんっ!か、加減を間違えてしまいました!」
その男は革鞄を抱え持ったまま、慌てて謝る。
雪のように真っ白なもじゃもじゃ頭に人懐っこそうな面立ち、小柄で貧相な身体つきとしたよれよれの着物に袴、マント姿の日本人。
金田一耕助である。
 「うるせえっ!よくもやりやがったなっ!」
マウロは激昂するや、サーベルで突きかかる。
金田一はハッとした表情を浮かべるや、愛用の革鞄を突き出し、目にも止まらぬ勢いで動かし始めた。
マウロのサーベルの勢いはことごとく鞄に受け流されてしまう。
しゃにむになってマウロはさらに突きかかるが、怒りが無意識のうちにマウロの攻撃を粗くする。
僅かな乱れを見つけた瞬間、金田一は押し出すようにして鞄を放り出す。
マウロが身体を捌いて避けると同時に金田一はスッとマウロの懐に入り込むや、両手をグッと突き出す。
突き出したかと思うやその両手が十数にも増え、マウロの全身を指で突いた。
 「ぐっ・・・ぐあああっっ!!!」
雷が走り抜けたかのような凄まじい痛みがマウロの全身を駆け抜けた。
「な、何しやがった!」
苦痛に悶えながらマウロは尋ねる。
「あ・・あなたの全身のツボを突きました・・。と、年寄りの僕でも・・ツ、ツボを突けば十分なダメージをあ、与えられますからねぇ」
「く・・くそ・・ジジイ・・」
マウロはさらに怒りを燃え上がらせ、金田一を睨みつける。
 「もうその辺にしとけ」
そろそろ頃合いだと判断したのだろう、龍纏斎が割って入った。
「うるせぇ・・。アホ師匠は黙っていやがれ!」
「そうもいかねえだろ・・・。俺の客人に失礼な真似しおって」
「客人だぁ?そのジジイがかぁ?」
「馬鹿野郎!すいません、うちの馬鹿弟子が何やら失礼なことしたようで」
龍纏斎は金田一の方を振り向くと平謝りに謝る。
「い、いえ。構いませんよ。僕の方こそどうやら失礼なことをしてしまったようですし。どうやらこちらの方を女性と間違えてしまったらしくて・・・僕こそすいません・・」
金田一はペコリと頭を下げて謝る。
 (やっぱりそうか・・・)
龍纏斎は金田一の話を聞いてそう心中で呟いた。
大方そういうところではないかと思ったのだ。
「ところで金田一さん。悪いんですがもう少し別の部屋で待ってて下さい。俺はこの馬鹿弟子と話があるんで」
そう断るとマウロの腕を引っ掴む。
「おい!どこ行きやがる!離せっ!アホ師匠っっ!」
マウロは抵抗しようとするが、龍纏斎は問答無用でマウロを連れ出してしまった。


 龍纏斎はマウロを連れて書斎に入るや、ドアを閉めて弟子と向き合う。
「さぁて・・・覚悟はいいだろうな?」
「覚悟だぁ?」
「客人に刃物振り回そうとしただろうが。何考えてやがる、馬鹿弟子が!」
「うるせぇよ!あのクソジジイが俺のこと女呼ばわりするから悪いんだよ!」
マウロは思わず叫ぶ。
ただでさえ金田一に女と間違われて虫の居所が悪いのだ。
さらに師匠に問い詰められたことで怒りに油を注いだ状態になっていた。
 「全然反省してねえな・・。なら仕方ねぇ・・・」
チッと舌打ちをすると龍纏斎はグッと右手を伸ばす。
マウロの手首を掴むや、腕を引っ張りながら龍纏斎は椅子に腰を下ろした。
 マウロが気づいたときには、師匠の膝の上にうつ伏せに載せられていた。
「おい!何する気だ!」
マウロは噛みつきそうな勢いで叫ぶ。
「お仕置きだ。ケツ引っぱたいてやるから覚悟しな」
そういうと龍纏斎はおもむろに軍服の長い裾を捲り上げ始めた。
「ふざけんな!何でケツ引っぱたかれなきゃならねえんだ!俺はガキじゃねえ!」
冗談じゃないとばかりに、マウロは噛みつくように叫ぶ。
「女と間違われたくれぇで斬りかかるのがガキじゃねえと言う気か?しかも年寄りに」
「うるせぇ!あのジジイが悪いんだよ!俺は悪くねぇ!」
「どうでも言い張る気か・・」
龍纏斎は舌打ちする。
師匠だから弟子の強情で意地っ張りな性格はよく知っている。
それでも少しでも殊勝な気持が見られたら勘弁してやろうとは思っていたのだ。
だが、反省するどころか暴言を吐く始末。
これでは許してやるわけにはいかなかった。
 「くそっ!離せ!離しやがれ!」
マウロは必死に抵抗するが、龍纏斎はマウロを押さえ込むとズボンを降ろしてお尻をむき出しにする。
「相変わらず綺麗なケツだな・・・。これで男なんだからな・・」
「うるせえよっ!テメェまで女扱いしやがるのか!このクソオヤジ!」
マウロは振り向くや師匠をキッと睨みつける。
龍纏斎はそれには構わず、弟子の頭をしっかりと片手で押さえると、ゆっくりと手を振り上げ、弟子のお尻目がけて右手を振り下ろした。


 パアシィンッ!
「・・・っ!」
甲高い音と共に痛みが肌の表面で弾け、お尻全体にあっという間に広まってゆく。
マウロは口を引き結んで声を出すまいとする。
バアシィンッ!パアアンッ!パチィンッ!ピシャアンッ!
「全然変わってねえな・・お前は・・・」
やや面倒くさそうな口調で龍纏斎は説教を始める。
ピシャアンッ!パアアンッ!ピシャアンッ!パアチィンッ!
「ふん・・うるせえよ・・・」
マウロは不機嫌な表情を浮かべて言う。
パアチィンッ!パシィンッ!パアシィンッ!ピシャアンッ!
「女と間違われたくらいで斬りかかるわ・・・」
パアシィンッ!ピシャアンッ!パアアンッ!パアシィンッ!
「離せっ!離せってんだ!このクソオヤジッッッ!マカロニオタッ!やめやがれっ!」
ピシャアンッ!パアシィンッ!パシィンッ!パアアアンッ!ピシャアンッ!
「しかも謝るどころか逆ギレするわ・・・」
ピシャアンッ!パアシィンッ!パシィ~ンッ!パアシィンッ!
「ったく自分が何してるのかわかってんのか!この馬鹿弟子があっ!」
「うるせえよっ!俺は悪くねえっ!あのクソジジイが悪いんだよ!何だって俺がケツ叩かれなきゃならねえんだよ!降ろしやがれ!このクソ師匠!てめぇなんか×××してやるっ!」
マウロは余程癇に障っているのだろう、本職の悪党でさえ赤面しそうなほどの罵詈雑言を機関銃のような勢いで連発する。
 「本気で・・・そう言ってんのか?」
「だったらどうだってんだ!」
喧嘩腰でマウロは叫ぶ。
「仕方ねえ・・・そんならちゃんと反省出来るようにしてやる・・・」
龍纏斎はそう言ったかと思うとマウロの腰のあたりに指を突き立てた。
ビリっとする鋭い痛みがマウロのお尻全体に走る。
「な・・何・・しやがった・・・?」
「尻の痛覚に関わるツボを突いた。今のお前の尻はちょっと触られただけでも激痛が走る。こんな風にな・・・」
龍纏斎はそう言うとちょっとだけ指先で触れた。
 「ぐ・・あくぅぅぅぅ!!!!」
マウロは背をのけ反らせて身体を硬直させる。
その表情は強烈な苦痛で歪んでいた。
「どうする?いい加減に詫びを入れりゃ許してやるぞ?」
「う・・うるせえ・・。絶対にてめぇに頭なんか下げねえからな・・馬鹿師匠!」
「そうか・・。なら仕方ねえ・・」
龍纏斎はそう言うと再び手を振り下ろした。


 バアッシィ~ンッ!バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッ!!
「!!!!!!!!」
マウロは声にならない叫び声を上げる。
痛いなどという生易しいレベルでは無かった。
ビダァ~ンッ!バンバンバンバンバンバンバァンバァンバンバンバンバン!!!
マウロは必死に師のズボンの裾にしがみつくと、口を一文字に引き結ぶ。
平手打ちの雨が降るたびに全身が熱病に罹ったように震え、ジンワリと脂汗が浮き上がった。
あっという間にマウロの身体から力が抜け、ぐったりしてゆくのが龍纏斎の目には見て取れた。
 「がっ・・かっ・・ひっ・・はぅ・・うぅえ・・・・」
マウロは金魚のように口をパクパクさせている。
頬には涙の跡がくっきりと刻み込まれ、唇の端には噛んだ跡が見える。
掌にも爪が食い込んだ跡がしっかりとついていた。
お尻は今や熟しきった桃のように赤く、熱した石炭のように熱い。
お尻が発する熱に浮かされているのか、マウロの目はどこか遠くを見ているようだった。
 「反省したか?」
龍纏斎はポンポンと軽く腰を叩きながら尋ねる。
軽く触っただけでもお尻に激痛が走るので、お尻に触れるわけにはいかなかったからだ。
悔しそうな表情を浮かべつつも、マウロは黙って頷く。
これ以上強情を張ったら本当にお尻がどうかしてしまいかねない。
そう思ったからだ。
 「なら言うことがあるだろ?」
(何が言いてえんだよ?)
そう問いたげにマウロは師を見やった。
弟子の困惑に気づいたのか、龍纏斎は助け船を出してやる。
「こういうときは『ごめんなさい』だろうが?どうした?」
途端にマウロの表情が変わった。
「ふざけんな!そんなこと言えるわけねえだろ!」
それを表情でこれでもかと言わんばかりに主張していた。
「嫌か?それなら・・・この姿金田一さんに見てもらうか?」
まだ意地を張りそうだと見た龍纏斎は切り札を放った。
 (な・・・何だと・・!)
マウロは愕然とした表情に変わる。
今だって恥ずかしくてたまらないのだ。
それを他人に見られる。
想像するだけで身震いがする。
(冗談じゃねえ!こんな姿見られるくらいなら死んだ方がマシだ!!)
心の底からマウロは叫ぶように思う。
「さぁ、どうする?だんまりを決め込むんなら・・・」
途中まで言いかけると龍纏斎は腰を上げようとする。
(本気かよ!?)
脅しではないことを知るや、マウロはさらに慌てた。
(畜生・・・仕方ねぇ・・背に・・腹は・・・)
マウロは悔しそうな表情を浮かべるものの、恥も外聞もかなぐり捨てて叫んだ。
 「わかった!言うっ!言うっ!お・・俺が・・悪かった!ご・・ごめ・・ごめん・・なさい・・ごめん・・なさい・・・あ・・謝る・・から・・離せ~~~!!!ごめん・・なさい・・・」
謝っているのだか命令してるのだか微妙な言い方をしつつも、ようやくマウロは謝った。
「やっと言えたか・・。ったく手焼かせやがって・・・」
やれやれといった感じで呟くと、ようやく龍纏斎は手を止めた。


 「は、話は終わりましたか?」
別の部屋で待っていた金田一は龍纏斎がやってくるとそう尋ねた。
「あぁ。かなり手間かかりましたがね」
「無理も無いでしょうねぇ。あの子、見たところではかなり意地っ張りで強情そうな子ですからねぇ」
「さすが金田一さん、よく見抜いてますな」
「いえ、それほどでも。ところで・・・龍纏斎さん、実はあなたの知識を僕に貸していただけますか?」
「いいですよ。他ならぬ金田一さんの頼みですからね」
「それを聞いて安心しましたよ。それでですね・・・・」
その後、長い間話し込んで日も暮れた頃になって金田一は帰って行った。
その二週間後、ヴィクトールの新聞には日本からやってきた老探偵が日系人実業家の一族内で起こった事件を解決したという記事が報道された。
なお、その老探偵は首都在住のある日本人爬虫類ハンターから得た知識を元に犯人が爬虫類を使って犯行を行ったことを見抜いたとインタビューに答えたという。


 ―完―
スポンサーサイト

theme : 自作小説
genre : 小説・文学

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

山田主水

Author:山田主水
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2投票
無料アクセス解析
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード