神父物語11 仮病の代償



  「うーん・・・」

今井はベッドの中で苦しそうな表情を浮かべていた。

「大丈夫か、信幸?」

佐々木は心配そうな表情を浮かべて今井の顔を覗きこむ。

「く・・苦しいけど・・佐々木さんがいてくれて・・嬉しいです~~」

今井は苦しげな表情の下で嬉しそうに口元を歪める。

「馬鹿。何を言っているんだ」

佐々木は思わず苦笑する。

だが、優しい表情を浮かべると今井の頭を撫でてやりながら話しかける。

「とにかく・・今日はゆっくり休むといい・・。最近忙しかったから疲れがたまったんだろう」

「はぃ・・おやすみなさい・・佐々木さん・・・」

「おやすみ・・しっかり寝るんだぞ・・」

佐々木はそういうと今井の額にキスをしてやる。

そして今井が目を閉じると音を立てないように部屋を後にした。





 (もう・・・大丈夫かな?)

今井は佐々木の足音が遠ざかるのを確認すると起き上がった。

起き上がるや今井はベッドを抜け出す。

ベッドを抜けたかと思うと今井は素早く私服に着替えた。

私服に着替えると今井は座布団などをベッドに詰め始める。

しばらくするとちょっと見ただけでは今井がぐっすりと眠り込んでいるように見えるような形になった。

 (あとは・・・)

今井は素早く窓に近づくと音を立てないように静かに窓の戸を開ける。

そして靴を外へ置くと素早く窓から外へ降り立ち、再び窓を閉める。

外へ降り立つと今井は忍び足で裏門の方へ向かう。

誰にも見つからないように裏門までたどり着くと今井は裏門や周りに誰もいないことを注意深く確かめる。

そして誰にも見咎められていないことを確かめると今井は教会を後にしてどこかへ姿を消した。





 その1時間ほど後、今井の姿はある家の二階にあった。

やたら大量の本が詰め込まれた本棚を背にして今井は立っている。

今井は青地に鳥の図柄が入ったチャイナドレスという姿をしている。

そしてその今井の前には誰かが使い捨てカメラを持って立っていた。

カメラを持っているのは今井より数歳年上で、短めの茶髪の女性。

「信ク~ン、裾捲って足見せて~?」

「こう?絢姉(あやねえ)?」

今井がチャイナドレスの裾をまくり上げて足をチラリと見せると絢姉と呼ばれた女性は矢継ぎ早にシャッターを押す。

 この女性は速水絢(はやみあや)。

今井の従姉で漫画家をしていた。

漫画家といってもいわゆる女性向けBL漫画や男性向け18禁漫画を専門に描いている。

ちなみにBL,男性向けのそれぞれで幾つかコミックスも出しているらしい。

 「いや~。助かったわ~。女装モノの仕事があったんだけどいい資料なくってね~。信クンのおかげで助かったわ~~」

撮影が終わると絢は今井にそう話しかける。

そう、絢はある18禁漫画雑誌の仕事で女装ネタを描くことになったのだが、そのために女装の写真が必要になったので、今井に女装させて写真を撮ったのである。

「いいよ僕だって絢姉には色々世話になってるから」

「いいのよそんなに改まらなくて~~。あたしにとっちゃ信クンは弟みたいなもんなんだから~~。ところで佐々木さんとはうまくいってるの?」

「うん。大丈夫」

「そかそか。ねぇ、よかったらまた詳しく聞かせてくれない?」

「もう~。絢姉ったら~。幾ら僕でも恥ずかしいよ~~」

「ふふふ。腐女子にとっては生BL話以上のご馳走は無いのよ。何ならまたいいグッズ扱ってるお店教えてあげようか?」

「え・・本当?」

グッズのお店と聞いて今井は興味をそそられる。

仕事柄、絢はその手の様々なグッズを扱っている業者や店に詳しい。

今井が佐々木とイタしたいときに使う媚薬なども絢のコネを通じて手に入れたものもあった。

「その代わり・・・最近の佐々木さんとのラブライフ・・・聞かせて頂戴」

「わかったよ。絢姉には叶わないよ・・」

今井は観念したように言うと絢のご希望の話を聞かせはじめた。





 それからさらに2時間ほど経った頃、廊下を行く佐々木の姿があった。

佐々木は今井用の食事が載ったお盆を持っている。

そろそろ今井が腹をすかせた頃だろうと思って様子を見てくるついでの持っていってやろうというわけだ。

「信幸、大丈夫か?とりあえず昼飯を用意したんだが・・・」

そう呼びかけながら佐々木は中へ入る。

だが、中へ入りかけて佐々木は立ち止まった。

 佐々木の目の前には窓から部屋へ入ろうとする今井の姿。

「佐々木・・さん・・?」

「信幸・・?」

二人とも我が目が信じられない様子で互いに相手を見つめる。

だが、すぐにも我に返った。

「信幸、一体どういうことなんだ?」

佐々木は机にお盆を置くと思わず尋ねる。

「そ・・その・・あの・・・」

今井は必死になって言い訳しようとするが、現場を押さえられてしまっているのだから誤魔化しようなどあろうはずもない。

「正直に言うんだ。一体どういうことだ?」

何かあるなと気付いた佐々木は怖い顔を浮かべてみせる。

「は・・話すからぁ・・怖い顔しないでぇ・・佐々木さぁん・・・」

今井は佐々木の表情を見るや怯えた顔になる。

佐々木は今井の様子を見ると表情を多少和らげる。

「さぁ・・・どういうことか言ってもらおうか」

「じ・・実は・・・」

そう言うと今井は従姉の絢に頼まれ、仮病で佐々木を騙してこっそり教会を抜け出し、絢の家で女装写真を撮っていたことを白状した。

「なるほど・・・そういうわけか・・・」

佐々木は全てを聞き終えるとそう呟き、ジッと押し黙る。

今井が恐る恐る様子を伺っているとゆっくりと佐々木が口を開いた。

 「信幸・・・・・」

「な・・何・・・佐々木さん・・?」

佐々木の静かな抑えた声に今井は思わず身構える。

「自分が何をしたかわかってるな?」

佐々木はそういうと今井の顔を見やる。

佐々木の表情は検事のような厳しいものだった。

「その・・あの・・・だって・・絢姉の・・頼みで・・どど・・どうしても・・断れなくて・・あの・・その・・」

今井はしどろもどろになって弁解する。

「だからって仮病なんか装って・・嘘をついていいと思うのか?」

佐々木の問いかけに今井は思わず言葉に詰まってしまう。

疚しさに思わず今井は視線をそらす。

 「さて・・信幸・・・覚悟は出来てるか?」

突然、佐々木が話しかけてきた。

「か・・覚悟?」

今井は嫌な予感に駆られ、後ずさりしながら尋ねる。

「嘘ついて勝手に抜け出したりしたんだぞ。お仕置きが必要だろう?」

『お仕置き』という言葉に今井の表情が変わったかと思うや、ドアに向かって脱兎の如き勢いで駆けつけようとした。

 「こらっ!逃げるんじゃない!」

佐々木は今井の逃げ口をふさぐとしっかりと捕まえて逃げられないようにする。

「やだやだやだ~~~!!離してってば~~~~~っっっっ!!!!」

「やだじゃない。全く・・・」

佐々木は今井を捕まえるとベッドの方へ引っ立ててゆく。

今井は必死に抵抗するが佐々木に叶うわけもなく、そのままベッドまで連れてゆかれてしまう。

ベッドの縁に腰を降ろすと佐々木はいつものように今井を膝に載せる。

 「いやああ~~~!!やだぁぁ~~~っっ!!」

膝の上に載せられても今井は往生際悪く手足をバタつかせて抵抗する。

「こら!いい加減にしないか!」

パシィンッ!

「きゃあんっ!」

佐々木は服の上から今井のお尻をはたいて抵抗を止める。

お尻を叩かれて今井の抵抗が一瞬止まるや、佐々木はいつものように今井の上着をまくり上げてズボンを降ろしてしまう。

あっという間に今井の白い形のいいお尻があらわになった。

 「さ・・佐々木さぁん・・・」

今井は今にも泣きそうな表情で振り返ると佐々木の顔を見上げ、情けない声で呼びかける。

「お・・お願いだから・・痛くしないでぇ・・」

「何馬鹿なこと言ってるんだ。それじゃあお仕置きにならないだろうが」

佐々木はそういうと今井の腰をしっかりと押さえつけ、右手を振り下ろした。





 パシィンッ!

「ひゃあんっ!」

弾けるような音と共にお尻に痛みが走り、今井は思わず声をあげる。

パシィンッ!パアンッ!ピシャアンッ!パアンッ!

「やあっ!あんっ!痛いっ!佐々木さん痛いっ!」

今井はお尻が鳴るたびに声を上げる。

「当たり前だろう。お仕置きなんだから」

「うわぁ~~ん!痛くしないでって言ったのに~~」

今井は泣き声を上げて言うが佐々木は構わずに平手を降ろす。

 パアシィンッ!パアンッ!ピシャアンッ!パアンッ!パシィンッ!

「やあっ!きゃあっ!やあんっ!ひぃんっ!ひんっ!」

一撃ごとに白い肌に赤い手形がついてゆき、お尻に色をつけてゆく。

はじめのうちは桃を思わせるピンク色だったが、やがて朱色へと変わっていった。

 パシィンッ!ピシャアンッ!バアンッ!バチィンッ!

途中から音の調子が変わり、それに合わせてお尻に刻みつけられる手形の濃さも増してきた。

ビシャアンッ!バアンッ!バシィンッ!バアンッ!ビタンッ!

「ひいんっ!きゃあっ!痛っ!やあっ!痛ぁいっ!」

今までより強めにお尻を叩かれるようになり、今井の悲鳴も強くなる。

バシィンッ!ビダアンッ!バアンッ!ビシャアンッ!バシィンッ!

「全く・・・仮病なんか使って・・・」

強めにお尻を叩きながら佐々木はこれまたいつものようにお説教を始めた。

ビシャアンッ!バアシィンッ!ビダアンッ!バアンッ!

「やあっ!痛いっ!やああっ!ああんっ!ひぃんっ!」

佐々木の手が降る中で今井は両足をバタつかせて叫ぶ。

ビシャアンッ!バアシィンッ!ビシャンッ!バジィンッ!

「人を騙して勝手に教会を抜け出して・・・」

ビシャアンッ!バアジィンッ!バアンッ!ビダアンッ!

「本当に・・・悪い子だな・・お前って子は・・」

ビシャアンッ!バアシィンッ!ビダアンッ!バジィンッ!

佐々木は平手を今井のお尻に叩きつけながらやや呆れたように言う。

「やあっ!ひゃあんっ!だって・・・どうしても断れなかったんだもん~~」

「だからってあんなことしていいわけがないだろう!」

ビシャアンッ!バアシィンッ!バアンッ!ビダアンッ!

「やあ~~!痛いっ!痛いぃぃ~っ!佐々木さんもう許してぇぇ~~!!」

今井はお仕置きに耐えかねて泣き叫ぶ。

今井のお尻は見事なまでのワインレッドに染め上がり、平手が打ちつけられるたびに掌に熱が伝わってくる。

 バチィ~ンッ!バア~ンッ!ビシャア~ンッ!バア~ンッ!

「ひゃあ~んっ!ひぃ~んっ!ひいんっ!やああ~っ!」

ビシャア~ンッ!バッシ~ンッ!バチィ~ンッ!ビシャア~ンッ!

「きゃああ!やぁぁ!痛ぁぁ!ひぃぃぃんん!」

ビシャア~ンッ!バアシィ~ンッ!バチィ~ンッ!バアア~ンッ!

「ひいい~んっ!痛ぁぁ~~いっ!やめてっ!やめて~~!」

ビバシィ~ンッ!ビシャア~ンッ!バシィ~ンッ!バアア~ンッ!

「やあっ!佐々木さ~んっ!もうやめて~!許して~~!お願い~~っっ!!」

今井は手足をバタつかせ、身体を揺り動かして必死に許しを請う。

 「反省したのか?」

佐々木は今井のお尻を叩きながら問いかける。

「したっ!したから~~!だからもう許してぇぇ~~。痛いっ!お尻痛い~~!これ以上叩かれたらお尻壊れちゃうっ!死んじゃうよ~~!!」

今井はお仕置きから解放されたくて必死に喚き騒ぐ。

 (お尻叩かれたぐらいで死ぬわけないだろう・・・これでも加減は心得てるんだから)

佐々木は思わず苦笑する。

もっとも今井にしてみれば充分痛いには違いないが。

「なら・・・何が悪かったんだ?」

佐々木はいつものようにお仕置きの理由を問いだした。

どうして怒られているのか、自分が何をしたのか、それをきちんとわからせなければ意味が無い。

だから佐々木は必ずお説教をしながらお尻を叩き、また今井に理由を尋ねる。

 「え・・えっと・・・け・・仮病使って・・・佐々木さんに嘘ついた・・」

パシィンッ!パアンッ!ピシャアンッ!

「それから?」

「え・・えーと・・勝手に・・教会抜け出した・・・」

ピシャアンッ!パアシィンッ!パアンッ!

「そうだな。それから?まだあるだろう?」

「え・・えーと・・・」

今井は必死に考えるが、他に怒られる理由が思い浮かばない。

ピシャア~ンッ!パアッシィ~ンッ!

ハッパをかけるように佐々木がやや強めに今井のお尻を叩いた。

思わず今井はギクリと身体を強張らせる。

 「やああっ!もういやぁぁ~~~っっ!!!」

今井はそう叫ぶと性懲りも無く佐々木の膝から逃げ出そうとする。

「もういやじゃないだろう!どれだけ心配したと思ってるんだ!!」

佐々木はしっかりと今井を押さえつけると厳しい声で言う。

佐々木の言葉に今井はハッとする。

 「お前がベッドで苦しそうにしてるのを見て・・・どれだけ心配したかわかってるのか?」

今井は腰を押さえている佐々木の手がブルブルと震えていることに気付く。

「本当の・・病気じゃなくて・・・よかった・・・」

佐々木は心底から安心した声で言う。

その言葉に今井は今さらながら申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「ご・・ごめん・・なさい・・・心配・・かけて・・ごめんなさい・・仮病で・・騙したり・・勝手に抜け出したりして・・ごめんなさい・・」

今井がそう言うと佐々木はお尻を叩く手を止める。

手を止めたかと思うと佐々木はおもむろに今井を起こし、膝の上に座らせる。

子供を抱っこするような体勢にしたかと思うと佐々木は今井をギュッと抱きしめた。

 「佐々木さん・・?」

今井は怪訝そうに佐々木の顔を見つめる。

「わかってくれたな・・・。いい子だ・・」

佐々木はそういうと今井の頭を撫でてやる。

「も・・もう・・怒ってない?」

今井は恐る恐る尋ねる。

いつもの経験から大体予想はついていたものの、それでも聞かずにはいられなかった。

「怒ってるわけないだろう。ちゃんと反省したんだから」

「佐々木さぁん・・・心配かけて・・本当に・・ごめんなさい・・」

「いいんだよ、もう・・」

佐々木はそう言うと安心させるように頭を撫でてやる。

同時に今井の唇に自身の唇を重ねた。

 「あ・・・佐々木さぁん・・」

今井は佐々木の口付けに蕩けてしまいそうな表情を浮かべる。

「信幸・・・痛い思いさせた分・・・気持ちよくしてやるからな・・」

佐々木はそういうと今井の身体を抱き寄せる。

「嬉しい・・・でも・・ちょっと待って・・」

今井はそういうと佐々木の膝から降りる。

 「佐々木さん・・目つぶってて」

「こうか?」

佐々木はそういうと今井に言われた通りに目をつぶる。

しばらくすると何やらゴソゴソと音が聞えてきた。

 「信幸?何してるんだ?」

佐々木は思わず問いかける。

「駄目~~!いいって言うまで目開けちゃ駄目~~!!」

今井は必死の声でそう言いやる。

「わ・・わかった・・」

佐々木が怪訝な表情を浮かべながらジッと目を閉じていると、やがて物音が聞えなくなる。

「もういいですよ~、佐々木さ~ん」

今井が呼びかけると同時に佐々木は目を開く。

目を開くと同時に佐々木は思わずアッと声を上げそうになった。

 今井はチャイナドレス姿で佐々木の目の前に立っていた。

「どう?佐々木さん?」

今井は色っぽく身体をくねらせながら尋ねる。

「信幸・・どうしたんだ?その服・・」

「えへへ。絢姉にもらったんです~~。どう、綺麗でしょ?」

「ああ・・とっても・・綺麗だ」

佐々木は心底からの感嘆を込めて言う。

「えへ。嬉しい」

今井はそういうとチャイナドレス姿のまま佐々木に抱きつく。

そして再び唇を重ね合わせた。





 ―完―
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