神父物語1

(注)BL要素入りです。苦手な方はご注意下さい。

 福島県、会津若松市。
戊辰戦争や会津藩で名高いこの市(まち)の中心街の一角に、その教会はあった。
教会は非常に綺麗な白い壁で敷地を囲われ、正門から続く石畳を下ると、建物が見えてくる。
その建物も囲壁同様、純白というにふさわしい白色の建物だった。
この教会は会津聖パウロ教会。
カトリック系の教会で、名前の通り、キリスト教の主要な聖人の一人、聖パウロに捧げられた教会である。
 よく磨かれ、細かい彫刻がびっしりと施された木製の大きな扉を押して中に入ると、左右に丁寧に磨かれた長椅子がずらりと並んでいる。
また、四方の壁には、聖書に題材を取った様々な絵画が描かれており、それらの絵画の間には、絵と交互にステンドグラスがはめ込まれている。
これらのステンドグラスも、教会にふさわしく、偉大な聖人などの図柄になっていた。

 礼拝堂内に並べられた長椅子の一つに、その男は座っていた。
男は、年齢は35歳前後、180cm近い身長で、無駄なく引き締まったしなやかな身体を、きちんとクリーニングされた清潔な落ち着いた色合いのグレーのスーツに包んでいる。
髪は茶髪で短めに切っており、整った端整な顔ながらも、男らしい精悍さを兼ね備えている。
男の名は、佐々木只道(ささきただみち)。
会津若松市を本拠にし、東北地方の各地に支部を持つ武道道場『精武館(せいぶかん)』の当主である。
同時に、会津藩士出身の幕臣で、新撰組と並んで幕末京都の治安維持に当たった京都見廻組(きょうとみまわりぐみ)の隊長の一人として有名な佐々木只三郎(ささきたださぶろう)の血を引く人物でもあった。
只道はポケットからタバコを取り出すと、ライターに火をつける。
そして、一回煙を吹かしたときであった。
「すいません。礼拝堂は禁煙になってるんですよ」
不意に、誰かが声をかけてきた。
「そりゃすまん。久しぶりにここに来たんですっかり忘れてた」
佐々木はそういうと、携帯灰皿に吸殻をしまい、声の主の方を振り向いた。
 声をかけたのは、23,4歳の青年。
道場主らしい佐々木とは対照的な容貌の若者であった。
髪はつやのある美しい黒髪で、背中の半ばまで届くほどの長髪。
女性と見まがうほどに中性的で美しい面立ちで、細身のすらりとした、華奢な感じの身体つきと色白な肌が、青年の美しい容貌をさらに際立つものにしている。
詰襟付きで足首の上まで丈がある黒に近い青色の神父服が、この教会の神父であることを示していた。
 
 佐々木は青年の顔を見ると、顔を綻ばせる。
「久しぶりだな、ノブ坊」
「そうですね、佐々木さん」
そういうと、その神父も笑みを返した。
 この神父の名は今井信幸(いまいのぶゆき)。
この教会に勤める神父の一人であり、佐々木家とは家族ぐるみの付き合いである。
そのため、小さい頃から信幸は佐々木の道場によく遊びに来ており、只道からはノブ坊という愛称で呼ばれ、小さいときは只道やその家族によく可愛がってもらっていた。
ちなみに、信幸もまた、佐々木只三郎の部下として幕末維新の動乱を潜り抜け、維新後は警視庁に奉職し、思うところあって退職して宣教師となった今井信郎(いまいのぶお)の血を引いていた。
 「しばらく顔見ませんでしたけど、どこか行ってらっしゃったんですか?」
「ああ。青森の支部と警察の方へ一ヶ月ほど指導に行ってたんでな。この間帰ってきたばっかりなんだよ。本当はもっと早くこっちにも顔出したかったんだが、道場に最初に顔出さないとまずいからなあ。ところで、只行(ただゆき)はいるかい?」
只行とは、佐々木の弟である。
彼もまた、この教会で神父の一人として、働いていた。
「すいません。只行さん、教会の用で今出かけちゃってるんですよ。でも、もう少ししたら、帰ってくると思いますよ」
「そうか。じゃあ待たせてもらうか。いいかい?」
「ええ。いいですよ。それじゃ、こちらへどうぞ」
今井に導かれ、佐々木は教会の奥へ入っていった。

 教会の奥にある応接室。
座り心地のよいソファに佐々木が身体を沈めると同時に、今井はポットやお茶の道具などを運んでくる。
「さあ、只道さん、どうぞ」
今井は緑茶を淹れると、それを道場主に差し出す。
「おう、悪いな」
只道はそういうと、お茶を飲みながら、話し出した。
「ところでノブ坊、もう神父には慣れたかい?」
「ええ。只行さんも色々教えてくれますし」
今井は今から一年近く前に佐々木の弟が卒業した神学校を卒業し、故郷のこの教会で働いていた。
「それにしても、お前さんを見てると、小さい頃のことを色々と思い出すなぁ。あの頃は只行の奴にやたら懐いてたよなぁ」
「ええ。いつも後にくっついてたの、覚えてますよ」
今井はにこやかな笑みを浮かべながら、昔話に花を咲かせる。
昔話や世間話をしながら、今井は茶菓子や茶のお代わりを勧めてゆく。
 「あれ・・・」
不意に、佐々木はめまいのような感覚を覚えた。
「どうしたんですか?」
「いや。ちょっとめまいがしただけだ」
「疲れてるんじゃないですか?あっちこっち飛び回ってきてるんでしょ?」
「なぁに。心配はいらな・・・・」
大丈夫だということを示そうと、只道は立ち上がろうとする。
だが、只道は途中まで立ち上がりかけたが、トロンとした目つきになると、崩れ落ちるようにして、再びソファに崩れ落ちる。
そして、ソファの背もたれに背を預け、口を開いた間抜けな様相で、完全に寝入ってしまった。

 (やったぁ。うまく行ったぁ)
只道が倒れ、寝入ると同時に、今井の綺麗な顔に、イタズラを成功させた子供のような笑みが浮かんでいた。
実は今井が差し出した茶や菓子はただの菓子ではない。
その中にいわゆる眠り薬を入れておいたのである。
只道に出した全ての茶や菓子にそれらが入っていた。
しかも、無色無臭という、入っているのが分かりにくいものである。
その上、昔からの知人である今井が出したため、佐々木もまさか妙なものが入っているなどとは夢にも思わず、睡眠薬入りの茶や菓子を飲んでしまったのである。
 「それじゃあ・・・早速・・・」
今井は只道に歩み寄ると、その手で只道の下半身をまさぐる。
股間の膨らみに手を当てると、今井はニンマリとした。
(うわあ。さすが佐々木さんのお兄さんだ。立派~~)
期待以上という感じで、今井はニンマリとする。
今井は神父ではあるが、実はそういう性癖の持ち主であった。
実際、彼にはそういう恋人がいた。
(うふふ・・・。最近ご無沙汰だったもんね)
今井はわくわくといった表情で、只道のベルトに手をかける。
万が一にも、気付かないように、慎重にベルトを外そうとしたときだった。

 「何してるんだ?」
不意に、今井にとって、聞き覚えのある声が背後から浴びせられた。
只道のものとよく似た、しかしより若い感じの声。
(え・・・ま・・まさか)
今井は、背筋に寒気を覚える。
だが、振り向けない。
振り返る勇気がないのだ。
今井がダラダラと額に脂汗を浮かべている間にも、気配はどんどん接近してくる。
そして、鍛え上げられた手が、青年神父の肩に置かれた。
「の~ぶ~ゆ~き~?」
背後からの声に、とうとう観念して今井は後ろを振り向いた。
今井の背後には、一人の男が立っていた。
 男は、身長・体格・髪型・顔立ちの何から何までが、只道に似ていた。
ただ、只道と比較すると、顔立ちが若く、より引き締まったやや細身の体格をしていた。
顔立ちの感じから、男は27、8歳らしく、また今井と同じタイプの神父服の上に、丈の長い黒い上着を着ていた。
彼の名は佐々木只行(ささきただゆき)。
只道の弟である。

 「た・・只行さん・・・。い・・いつから・・そこに?」
引きつった表情で、今井は尋ねた。
「ついさっきだ。兄貴が来てるって聞いたんですぐこっち来たんだが。それより、今は兄貴の方が先だ」
佐々木はそういうと、眠り薬で人事不省になっている兄を抱き上げる。
扉が開くと同時に、只行は道場主を抱えたまま、廊下へ出て行った。

 しばらくして、佐々木が戻ってくる。
「た、只道さんは?」
恐る恐る今井が尋ねると、佐々木は答えてやる。
「とりあえず俺の部屋に運んでおいた。筋の通った言い訳をこしらえて他の神父に看病頼んである」
「ほっ・・。よかった」
今井が安心したようなため息をついたときだった。
「全然よくない!一体何考えてるんだ」
思わず、厳しい声で佐々木は叱りつけた。
「ごごご、ごめんなさいっ!!」
今井は平謝りに謝る。
「何だってこんなことした?」
「だってぇ・・・佐々木さん・・最近全然してくれないんですもん」
今井は拗ねるような、そして甘えるような素振りを只行に見せる。
今井の恋人というのは、実は只行であった。
物心ついたときから親しい仲だったが、年を経るごとにそれがだんだんと別の感情に変わっていった。
そして、神学校で勉強している間に、二人は深い関係になっていたのである。
「あのなあ・・・。この間言っただろう。兄貴が出かけてるんで、その間俺も道場に顔出さなきゃいけなかったんだよ」
佐々木は、ため息をつくや、年下の恋人にそう言い聞かせる。
兄が道場主であることから、只行は昔から精武館の門人であり、一応師範の資格も持っていた。
そのため、兄や主要な師範が出張の間、夜間の部だけという形で、只行が門弟の指導に加わっていたのである。
そのため、ここしばらく恋人に構ってやれず、今井はお預けを喰らった状態だったのである。
「そんなの関係ないですもん!僕、寂しかったのに・・・」
今井は佐々木の腕をつかむと、只行の肩に顔を寄せ、甘えかかる。
「その件については俺が悪かったよ。でも信幸、だからって、人を襲って代りにしようなんてのは、やっていいことか?」
只行は厳しい声で、今井に尋ねる。
「そ・・・それは・・・悪い・・こと・・です」
今井はぎこちない素振りで言う。
「だよな?だったら、わかるな」
佐々木は別のソファに腰かけると、膝をポンポンと叩く。
膝の上に来い、という合図であった。
「さ・・佐々木さん・・そ・・それだけは・・・」
今井は恐怖の表情を浮かべて、哀願する。
「駄目だ。悪いのはお前だろう?さあ、早く来るんだ」
佐々木は有無を言わせぬ強い調子で言う。
今井はこれから起こる事への恐怖からか、後ずさりする。
「の~ぶ~ゆ~き~?」
低い声で只行は呼びかける。
同時に、怖い顔をつくって見せた。
「ううう~~~」
今井は覚悟を決めたのか、ゆっくりとした足取りで、佐々木の元へ進む。
だが、あともう少しというところで、歩みが止まった。
「やっぱり嫌あっっ!!」
今井はきびすを返すや、逃げ出そうとする。
「あっ!こらっ!」
佐々木は声をあげるや、床を蹴る。
まるで床を滑るようにして、佐々木はあっという間に今井に追いつき、その首根っこを捕らえてしまった。

 「わあ~~~ん。やだやだやだ~~~。離して~~~~」
今井は駄々っ子のようにジタバタし、必死に抵抗する。
「全く・・・しょうがない奴だな。お前は」
佐々木は呆れた表情を浮かべながら、今井を押さえつける。
精武館で剣道や柔道を学んだ佐々木にかかっては、今井の必死の抵抗も意味を成さず、今井はあっけなくソファまで引きずってこられてしまう。
ソファに座った佐々木は今井を膝の上に載せ、青い神父服の長い裾をまくり上げた。
上着と同色のズボンと緑色のパンツを太ももの半ばまで引き下ろすと、肉の薄い小ぶりで白くて滑らかな、美しいお尻が姿を現した。
「いやああ~~~~。佐々木さあ~~~ん。僕が悪かったから~~。だからお仕置きしないで~~~!!!」
今井は両脚を激しくバタつかせ、頭を左右に激しく振り、必死で許しを請う。
「駄目だ!いくらなんでもタチが悪すぎるだろ!」
「だあって~~~」
「だってじゃない!」
佐々木はそういうと、左手で今井の腰を押さえつけ、右手を高々と振り上げた。

 バッチィィィィンンンッッッッッッ!!!!!
「ひぎゃあああっっっっっっ!!!!」
強烈な平手打ちが、今井のお尻に叩きつけられた。
まるで雷が走り抜けたような衝撃に、今井は火がついたように叫び、背を仰け反らせる。
 バシィィィ!バアアアアンンンッッ!バチィィィ!
「いくら・・・寂しいからって・・・」
ビシィィィ!バチィィィ!パアアンンッッ!
「ぎゃああ!ひいいい!みぎいい!」
バアアアンッ!バチィンッ!パチィィィンンッッ!
「人の・・兄貴に妙なもの・・飲ませて・・」
バアアンッ!バチィンッ!ビシャアンンッッ!
「ぎゃああ!みぎゃあ!ひいいいんんっっっ!」
バチィンッ!バアアアンッ!バシィィィィ!
「おまけにイタズラなんかして・・」
バシィィンッ!パアアアアンッ!パチィィィィ!
「うわあ~~~ん。だあって~~。だあって~~」
今井は必死に弁解しようとする。
何日もほっとかれて、構ってもらえなくて、本当に寂しかったのだ。
だから、何ともその寂しい気持ちを紛らわしたかった。
ビッシャアアアアアンンンン!!!!
佐々木は今まで以上に、強烈な一発を今井のお尻にくれてやる。
「ひぎゃああんんん!!!!」
今井は痛みに耐え切れず、大声で叫んだ。

「だってじゃないだろう!」
その今井に対し、佐々木が叱りつける。
「お前・・・もし入ってきたのが、俺じゃなかったら・・どうなってたと思うんだ?」
「う・・・・」
佐々木にそう問いかけられ、今井は言葉に詰まる。
「お前・・・神父辞めさせられるくらいじゃ・・・すまなかったんだぞ?」
佐々木の言葉に、今井は今さらながら、蒼白になっていた。
「そんなことになって・・・俺が嬉しいと思うのか?」
厳しいながらも、優しさの籠った声で、佐々木は問いかける。
「お・・思わない・・です・・」
「そうだよな」
佐々木はそういうと、今井の頭に手を置き、優しく撫でてやる。
「そこまでわかったら、何か言うことがあるんじゃないのか?」
「ご・・・ごめんなさい・・・」
「何にごめんなさいだ?」
佐々木は頭を撫でてやりながら、話しかける。
「く・・薬・・盛ったこと・・・」
「それから?」
「イタズラ・・しようとした・・こと・・」
「他には?」
「佐々木・・さんに・・心配かけ・・た・・こと・・」
「そうだな。よく言えたな」
佐々木はそう言うと、今井を起こし、抱きかかえるようにして、膝の上に座らせる。
今井は鼻をしゃくり上げ、涙をボロボロとこぼしていた。
 「こらこら、もう怒ってないだろう。泣くんじゃない」
「もう!誰が泣かせたんですか~~~」
今井は口を尖らせると、怒った子供のように、佐々木の胸板を両拳で叩きだす。
佐々木は今井の振舞いに苦笑しつつ、今井の顎を右手でとらえる。
今井の顔をやや上向けると、佐々木は今井の唇に、濃厚な口付けを交わした。

 「ん・・・あんっ・・・」
舌と舌が絡み合い、今井は艶やかな声を漏らす。
次第に、今井の目は熱を帯びたものになり、頬にも赤みが差した。
同時に、佐々木は右手を下に向かって、今井の背中に走らせる。
叩かれて赤く染まった今井の双丘に触れると、痛みを感じさせないように、慎重な手つきで指を走らせながら、奥の蕾へ達する。
奥に指を走らせると、佐々木は中指を差し入れた。
「あっ・・・」
指が内壁を押し広げる感覚に、思わず今井は熱い吐息を漏らす。
「さ、佐々木さぁん」
今井は思わず、佐々木に呼びかける。
「こら。二人っきりのときは、只行って言えっていっただろ?」
「うん・・只行・・好き・・・」
目を潤ませ、艶めかしい声でそういうと、今井はさらに濃厚な口付けを交わす。
「俺もだよ・・・信幸・・・」
佐々木もそれに答えて口付けを返す。
やがて、二人はお互いに強く抱きしめあったまま、ソファへゆっくりと倒れていった。

 ―完―
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theme : 自作BL小説
genre : 小説・文学

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神父物語で

神父物語で信幸の風邪で倒れ、心配した佐々木神父が、医者に連れて行きます。医者で診断結果、普通の風邪で只、熱が高いということであることを佐々木神父に告げ、座薬を渡して、帰ったらすぐに座薬をそして熱がひいたものの今度は便秘に…という話を読みたいのですがどうでしょう
プロフィール

山田主水

Author:山田主水
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