秘めたるもの1



(BL・アダルト要素あり。許容出来る方のみご覧ください)


 ドキン・・・ドクン・・。
(落ち着け・・・たかがマッサージしてもらうだけだろが・・・)
佐久間信次(さくましんじ)は自身にそう言い聞かせて自らを落ち着けようとする。
佐久間は高校二年生、バスケ部に所属していた。
深呼吸で自身を落ちつけながら佐久間は目の前の建物を見やる。
そこにあるのはこじんまりとした建物。
『接骨・マッサージ 柳瀬診療所(やなせしんりょうじょ)』という看板がかかっていた。
ゴクリと息を飲みながら佐久間は恐る恐るドアを開いて中へと入って行った。


 「佐久間くん、いらっしゃい」
中へ入るなり、誰かが声をかけてきた。
声をかけたのは20代後半と思しき青年。
艶のある淡い緑色で左右に外はねした髪の持ち主で、女性と見まがうばかりに端正でどこかおっとりした面立ちにすらりとした身体を丈が短く詰襟式で上下ともに白の白衣で覆っている。
この診療所の主、柳瀬諒(やなせりょう)だった。
「こ・・こんにちは・・諒さん・・・」
佐久間はぎこちない動作で挨拶する。
「そろそろ来るころだと思ってたんだ。いつも通りでいいのかな?」
「は・・はぃ・・・」
「それじゃ着替えてくれる?その間にタオルとか取ってくるから」
佐久間は言われた通りにトレーナーに着替えていると、カーテンの間から背中にかけるタオルを出している柳瀬の後ろ姿が見えた。
「あれ~?こっちにまだ使ってないのがあったはずなんだけどな~」
そう呟いたかと思うと柳瀬は膝をかがめ身体を前に倒して覗き込むような態勢になる。
おかげで上着の裾に隠れていたお尻が姿を現した。
 (う・・・っっ・・)
佐久間はチラリと現れたお尻に思わず息を飲んでしまう。
柳瀬のお尻は小ぶりで整った形をしており、適度に弾力がありそうだった。
ジッと見ているうちに佐久間はだんだんと変な気分になってくる。
(さ・・・触り・・たい・・・)
情欲の炎がメラメラと佐久間の胸中で燃え上がる。
だが、その一方で良心が囁いた。
(何言ってんだ!相手は男だろ!?しかもそんなことしたら痴漢だろうが!)
理性と情欲が佐久間の中で激しくぶつかり合い、若者はブルブルと全身を震わせる。
 「佐久間くん・・佐久間くん・・」
呼びかけに気づき、佐久間は慌てて我に返った。
「あぁ・・何です?諒さん?」
「どうしたの?何かボーっとしてたみたいだけど・・・」
「何でもないですよ。最近大会が近いんで練習キツイから・・・」
「そう・・・幾ら若いっていっても無理は禁物だよ。体壊したら何にもならないからね」
「え・・えぇ・・・」
佐久間は何とか柳瀬に自分の内心を気取られないようにすると診療用ベッドにうつ伏せになった。


 「あ・・・つつ・・・」
「大丈夫?痛い?」
「いえ・・平気です・・あ・・そこ・・もう少し・・お願いします・・・」
「じゃあもう少し体重かけて行くよ」
そう言うと佐久間の背中の上に膝と両手をついた四つん這いに近い状態で乗っていた諒は体重をかけていく。
「ぅ・・・ぁ・・・・・」
腰にかかる力に痛いような気持ちいいような奇妙な感覚を覚えながら佐久間は声を漏らす。
声を漏らしながら、佐久間はチラチラと正面に視線を向ける。
診療用ベッドの前には鏡が置いてあり、仕事中の諒の姿が映っていた。
 諒の顔や額にはほんのりと汗が浮き上がり、力を込めて佐久間の身体を揉んでいるせいか、時々呼吸が荒くなってほんのり顔色が赤くなる。
(何か・・・色っぽいよなぁ・・・)
佐久間はついついそう思わずにはいられなくなり、駄目だと思いつつも盗み見をしてしまう。
見ているうちに佐久間はだんだん下半身がムズムズしてきた。
(ヤバ・・・)
佐久間は自身の器官が反応しだしたことに気づく。
そのとき、諒が腰にさらに力を込めた。
 「うぎゃあっっ!!」
叫んだかと思うと佐久間は悶絶する。
「大丈夫!?佐久間くん」
慌てて飛び降りると諒は佐久間を助け起こす。
「ごめん・・もしかして痛かった・・」
「い・・いや・・違うんです・・あの・・」
そこまで言いかけて佐久間はハッとする。
諒が佐久間の下半身をジッと見つめていたのだ。
佐久間のそれはピンと立ち上がり、諒に対して自己主張している。
「あ・・・・・」
予想もしていない事態に諒はポカンと口を開けることしか出来なかった。
(み・・見られた・・・)
佐久間は顔から火が出るような思いに駆られたかと思うと、カバンを取って脱兎の如き勢いで飛び出してゆく。
「あ・・・!ちょっと待って!佐久間くんっ!」
慌てて諒が呼び止めようとしたが、既に佐久間は診療所を飛び出してしまっていた。


 (馬鹿馬鹿馬鹿っ!俺の馬鹿!)
家に帰るや、佐久間は自室で頭を抱えて自己嫌悪に陥っていた。
(絶対・・・軽蔑されたよ・・・。俺の馬鹿・・・・)
佐久間は暗く沈んだ表情でため息をつく。
そういう性癖の人間でもない限り、同性からああいう対象として見られているなど嬉しいものではないだろう。
いや、気持ち悪いと思うのが普通だ。
(もう・・・諒さんのところ・・行けないよ・・・)
バツが悪くて、そして自分がよこしまな目で見ていたことが申し訳なくて、佐久間は頭を抱えてしまう。
 (あれ・・?)
不意に佐久間は違和感に気づいた。
(バッグが・・ない・・・)
佐久間はジャージやシューズを入れたバッグがないことに気がついた。
(諒さんのところに忘れて来たんだ!)
すぐに佐久間はその事実に思い当る。
余程慌てていたからバッグにまで気が回らなかったというわけだ。
(取ってこなきゃあな・・・でも・・そうなると・・諒さんと顔合わせなきゃ・・)
今さらどの面下げて会えるのか、そう思うとバッグを取りに行く勇気は出ない。
しかし、明日も部活で使う以上取ってこないわけにはいかない。
散々煩悶した末に、ようやく立ち上がると佐久間は部屋を後にした。


 再び診療所の前に立った佐久間の心臓は今にも破れてしまいそうなくらい激しく鼓動を打っていた。
そのまま佐久間は立ち尽くす。
喉がチリチリと乾き、汗がダラダラと流れてきた。
(な・・何・・やってんだ・・・早く・・入らないと・・・)
佐久間は足を踏み出そうとするが、それが出来なかった。
諒と顔を合わせるのが怖いのだ。
佐久間は足を踏み出しては引っ込めるということを繰り返す。
だが、いつまでもそうしているわけにはいかなかった。
ようやくのことで佐久間は覚悟を決めると、牛のような歩みで診療所へと入っていった。
 (よかった・・・誰もいない・・・)
中に入るなり、佐久間は誰も待ち合いの患者がいないことにホッとする。
「諒さーん・・・諒さーん・・・」
佐久間は諒の名を呼ぶ。
だが、諒は全然出てこない。
(おかしいなぁ・・・どこか出かけたのかな・・・)
佐久間がそう考えたとき、診察室から声が漏れてきた。
 思わず、佐久間はギクリとする。
諒の声だったからだ。
「諒さーん・・・諒さーん・・・」
佐久間は再び呼びかける。
だが、返事はない。
代わりに奇妙な声が漏れ聞こえてくるだけだ。
 (何をしてるんだ?)
佐久間は恐る恐る歩き出すと診察室の方へ向かう。
やがて、診察室のドアが見えてきた。
 ドアは少し開いており、そこから声が漏れ聞こえてくる。
佐久間は慎重に、音を立てないようにして歩くとドアの開いている方へと回りこむ。
そして隙間から中の様子を伺った。
 「さ・・佐久間・・くぅん・・・はん・・・佐久間・・くぅん・・・」
諒は床に座り込み、自身の顔に何かを押し当てながら声を漏らしていた。
諒が持っているものを見るや、佐久間は危うく声を上げそうになる。
(俺の・・・ジャージ!!)
そう、諒は佐久間が忘れていったジャージを顔に押し当てていたのだ。
しかも、諒は露出した自分自身をもう片方の手でしごいているではないか。
(嘘だろおい!!)
佐久間は目の前の光景が信じられなかった。
まさか諒がこんなことをする人だとは思っていなかったからだ。
信じられなくて、白昼夢でも見ているのかと佐久間はまじまじと諒を見つめる。
だが、佐久間が見ているのは幻覚ではなかった。
 (ん・・・?)
様子を伺っているうちに佐久間はふと諒の足元にあるものに気づく。
(あれは・・・・・)
佐久間はジッとそれを見つめる。
それは男性用の靴下だった。
(マジかよ!?)
再び佐久間は驚愕にとらわれた。
その靴下は数日前に無くなったものだったからだ。
部活が終わった時に汗だくになったので履き替えてバッグに突っ込んでおいたのだが、家に帰った時に何故か無くなっていたのだ。
その日も帰る前にここに立ち寄っていた。
(そういえば・・・帰る時諒さん何か様子がおかしかった・・・)
そのまま見過ごしていたのだが、今思うと何かやましいことを隠しているような様子だった。
恐らく諒はこっそり佐久間の靴下をバッグから抜き出したのだろう。
それで様子がおかしかったのだろう。
(とんでもない・・もの・・見ちゃった・・・)
佐久間は諒が気づいていないのを幸いにそのままその場を去ろうとする。
だが、足を動かした時にドアにぶつけてしまった。


 「誰っっ!?」
ハッとした表情で諒は振り向いた。
同時にヤバイと言いたげな表情の佐久間と目が合ってしまう。
「さ・・佐久間くん・・?」
諒は信じられないといった表情で呟くように言う。
「な・・何で・・?」
「バ・・バッグ・・・忘れちゃって・・・と・・取りに・・来たんですけど・・お・・お取り込み・・中・・だったんですね・・し・・失礼します~~・・・」
佐久間は再び診察室から逃げ出そうとする。
 「待って!佐久間くん!」
諒は佐久間の手首を掴むと診察室内へ佐久間を引き込んだ。
佐久間を引き込んでドアに鍵をかけると、諒は恐る恐る尋ねた。
「佐久間くん・・・見たん・・だね・・?」
「す・・すいません・・そ・・そんな・・つもり・・・なかったん・・です・・けど・・・」
佐久間は弁解しようとするが、まともに諒の顔を見られなくて視線を反らしてしまう。
 「佐久間くん・・・・軽蔑した・・・?」
諒が問うてきたが、佐久間は何も答えない。
いや、答えられなかった。
自分だって諒にそういう感情を持ったのだ。
軽蔑する資格などなかった。
「いいんだよ・・軽蔑しても・・・。男なのに・・・しかも・・お客さんで・・しかも未成年相手に・・・こんな目で見てたなんて・・・気持ち悪いよね・・・。嫌われたって・・仕方無いよね・・・・」
諒はどんどんネガティブな雰囲気になっていく。
「ちょ・・ちょっと待って下さい!俺・・そんなこと思ってません!」
「いいんだよ。僕のことなんか気にしなくても・・・」
「嘘でも何でもありません!俺だって・・・俺だって・・・諒さんのこと考えて勃ってるんですから!」
「さ・・佐久間くん・・?」
「諒さんだって見たでしょう?俺が逃げ出す前に勃たせてたの?あれ、鏡に映った諒さん見てエッチなこと考えたからですよ!」
「佐久間・・くん・・?」
諒はポカンとした表情を浮かべている。
佐久間が何を言おうとしているのかわからなかったからだ。
「俺も・・・俺も・・・実は・・諒さんのこと・・・そういう目で見てたんです・・。でも・・・そんなこと・・とても・・いえなくて・・・隠してた・・・俺こそ・・諒さんに軽蔑されたって・・・嫌われたって・・・仕方ないんですよ・・・。だから・・・だから・・諒さんが気にすることなんてないんです!」
「じゃ・・じゃあ・・・佐久間くん・・それじゃ・・もしかして・・僕たち・・?」
「両想いってやつですよ。だからもう安心して下さい」
「そ・・そうなんだぁ・・よかった・・・よかったよ~~~~」
諒はホッとした表情を浮かべるとそのままヘナヘナと床に崩れ落ちる。
「俺の方こそ・・・諒さんがそう思っててくれて嬉しいですよ・・・」
佐久間はそう言いながら諒を助け起こす。
 「あの・・・・ところで・・一つだけ・・聞いていいですか・・?」
「何・・・佐久間くん・・・?」
「この靴下・・・この前俺が無くしたやつなんですけど・・もしかして・・・?」
「うん・・・ごめん・・。実は・・・佐久間くんのバッグから・・・」
「やっぱり・・・」
「本当に・・ごめん・・。怒ってる・・・?」
「いや・・・その・・・」
諒の問いに佐久間は困った表情を浮かべる。
「俺だって・・・似たようなもんですから・・でも・・さすがに・・人のもの・・取るのは・・・マズイですしねぇ・・・」
「うん・・・。僕も・・このまま許してもらえるなんて思ってないし・・・っていうかそんなことされたら・・僕の方が佐久間くんに申し訳ないよ・・・」
諒は罪悪感で顔をそむける。
(ど・・どうしよう・・・)
佐久間は困惑していた。
諒はどうやら佐久間に自分のことを罰して欲しいようだった。
(でも・・後輩ならともかく・・・ずっと・・年上の諒さんを・・)
そう思わずにはいられないが、諒の困っている顔を見ているとそういうわけにもいかない。
このままお咎めなしにしてしまったら、それがしこりとなってしまうだろう。
そのとき、ふとある考えが浮かんだ。
後になって、佐久間は何でそんな考えが思い浮かんだのかわからなかった。
それに考えついた佐久間にしても最初は本気でそうしようと思っていたわけではない。
だが、ひょんなことから佐久間でも思わず事態になってしまったのだ。
 「そうですねぇ。人のもの取るなんて・・俺より年上なのに・・悪い子ですねぇ諒さんってば・・・」
佐久間はわざと怖い顔を浮かべてみせる。
「そんな悪い子にはお仕置きしなきゃいけませんよねぇ・・・」
「お・・お仕置き・・?な・・何・・するの・・?」
「そうですねぇ・・・悪い子には・・お尻ペンペンってところですかねぇ・・」
くどいがこれはあくまでも冗談だった。
こんな子供みたいな扱いをすれば諒でもふざけるなと怒るだろう。
そうしたらうまくうやむやにしてしまえ。
そう思っていたのだが・・・。
「いいよ・・佐久間くんがそう思ってるんなら」
(ええええ!!!???)
佐久間は危うく声をあげかけた。
信じられなかったのだ。
幾ら自分が悪いからっていい年をした大人が、しかもずっと年下の子からお尻を叩かれるなどという屈辱を甘んじて受けようなどというのは。
「どうしたの?佐久間くん?」
「い・・いえ・・。何でも・・それじゃ・・諒さん・・ベッドにうつ伏せになって・・お尻上げて下さい・・・」
ここまできた以上引っ込みがつかなくなったのか、ぎこちない表情を浮かべて佐久間は言う。
佐久間は諒がお仕置きを受ける準備をしている合間に、深呼吸で自身を落ち着かせる。
ようやく落ち着いたところで諒の方へ振り返るが、諒は何とズボンを降ろしてお尻を出そうとしていた。
 「のわぁぁぁ!な・・何してるんですかぁ!諒さんっ!」
まさかお尻を出すなんて思わなかったので、佐久間は慌てふためく。
「え・・だってお尻出すものでしょう?お仕置きのときって?」
佐久間はドギマギしてしまい、何も言えない。
その間に諒は両肘をベッドにつき、佐久間に向かってお尻を差し出した。
 「さぁ・・・佐久間くん・・・覚悟はいいよ・・・」
「わ・・わかり・・ました・・じゃ・・じゃあ・・行きますよ・・・」
「いいよ・・。僕がちゃんと反省出来るように・・お願いだよ・・・」
最後の言葉を縋るような口調で諒は言う。
ここまで来てしまってはもう佐久間も引っ込みはつかなかった。
佐久間は佐久間で覚悟を決める。
諒の白磁のようなお尻と対峙すると、しばらくジッと見つめていたが、やがて右手を高々と振り上げた。


 パアシィンッ!
肌を打つ甲高い音とともに佐久間の右手が諒のお尻に叩きつけられる。
「あ・・っっ・・」
微かなうめき声を上げたかと思うと、諒のお尻が微かに震えた。
(つ・・強すぎたかな・・?)
さすがに佐久間は心配になる。
他人のお尻を叩いた経験など一度もないから加減というものがわからないのだ。
とはいえ、軽めに叩くなど無理だろう。
自分の悪事をしっかりと佐久間に罰してもらいたいからこそ、諒はこんなことをしているのだ。
手加減は逆に諒の心を傷つけてしまう。
だから、佐久間は力を込めて諒のお尻を叩いた。
パアシィンッ!パチィンッ!ピシャアンッ!パアアンッ!パシィンッ!
「ぅ・・・ぁ・・・っ・・・ぁ・・・ぅ・・・」
諒は声を押し殺し、佐久間から与えられる痛みに耐えようとする。
ピシャアンッ!パアアアンッ!パアチィンッ!ピシャアンッ!
パアシィンッ!ピシャアンッ!ピシャアンッ!パアアアンッ!
「ぁ・・・ぅ・・・ぁ・・・っ・・・ぁ・・・」
諒は口を一文字に引き結び、身体を揺り動かしたりせずに平手打ちを受け続ける。
(うわ・・よく耐えられるな・・お尻・・痛いだろうに・・)
叩いておいて何だが、佐久間は感心せずにはいられなかった。
若いし運動部に入っているだけあって佐久間は力は結構強い。
だから佐久間の平手打ちは結構痛いはずなのだ。
それを示すように、雪のように綺麗な白だった諒の肌はほんのり赤く色づいている。
 ピシャアンッ!ピシャアンッ!パアシィンッ!パアチィンッ!
「う・・あ・・・く・・・あ・・・」
叩いているうちに諒のうめき声が強めになってきた。
よく見てみるとベッドのシーツを握る手にも力が入っている。
(さすがにキツクなってきたのかな?)
佐久間は心配になり、そろそろやめようかと思う。
だが、そこであることに思い至った。
(どうやってお仕置きをやめるタイミングを切り出せばいいんだ?)
そのことに佐久間はハッとする。
(ヤバい・・・考えてなかった・・!?俺の馬鹿!?)
佐久間は自分を罵る。
こっちが勝手にお仕置きをやめるわけにはいかないのだ。
それでは諒が納得しない。
諒自身が許された、と思えなければお仕置きはやめるわけにはいかないのだ。
(ど・・どうするんだよ~~~!?)
佐久間はお尻を叩きながらも必死に考える。
だが、中々考えは纏まらない。
 バアッチィィィンンン!!
「ひっ・・・!!!」
突然、今までとは比べ物にならない音が鳴り響いた。
同時に諒は悲鳴を上げ、背筋をのけぞらせる。
(やっばぁぁ~~~~!力入れすぎたぁぁ~~~~!!)
顔色が変わりかけながら、佐久間はお尻を叩く力を加減する。
(どうする?どうするどうするどうする?諒さんの気持ちを傷つけないで尻叩くのを止める手はないのか?)
パァンパァンという音を響かせながら佐久間は必死に考える。
このままでは諒を蟻地獄ならぬ尻叩き地獄に落としてしまう。
それは何としても避けたかった。
(諒さんが・・反省できたって・・思えるようにすることだよなぁ・・問題は・・)
手を叩きつけながら佐久間は考えを巡らせる。
未だ、佐久間は耐えているが、お尻は濃いめの赤に染まっており、呼吸も荒くなってきていた。
佐久間は自分が悪さをして親や教師に叱られたときのことを思い返す。
何か参考になることはないかと必死に記憶を探った。
やがて、佐久間は光明を見出したような表情を浮かべると、口を開いた。


 「それにしても・・・悪い子ですね・・諒さん・・・」
佐久間はおもむろにそう言った。
パアンッ!パアチィンッ!ピッシャアンッ!パアッシィンッ!
「くぅ・・あぅ・・くっ・・うぅん・・・」
パアシィンッ!パンッ!パチィンッ!ピシャアンッ!
「人の靴下盗んで・・・」
ピシャアンッ!パアアンッ!パアチィンッ!パアアアンッ!
「しかもそれでいけないことしたり・・・」
パシィンッ!ピシャンッ!パアンッ!パアアアンッ!
「くぅ・・ううぁ・・あぅ・・ああ・・・」
ピシャアンッ!ピシャアンッ!パアシィ~ンッ!
「本当に・・・悪い子ですね・・諒さんは・・・」
佐久間は力を入れて諒のお尻を叩く。
「ひぃ・・はぁ・・・さ・・佐久間くぅん・・ゆ・・許してぇ・・・僕が・・悪かったからぁ・・・・」
さすがの諒も苦しいのだろう、頬を紅潮させ、目尻には涙がうっすらと浮かんでいる。
「本当に反省してます?」
「してる・・・してるからぁ・・・」
「じゃあこういうとき何ていうんです?」
「え・・ええと・・・ごめん・・なさい・・?」
「そうです。でも何にごめんなさいです?」
「く・・靴下・・盗んで・・ごめん・・なさい・・・」
「それから?」
「それで・・エッチなこと・・して・・ごめん・なさい・・ごめんなさい・・」
「そうです。よく言えましたね」
佐久間が最後に強めにバシィッと叩いたかと思うと、佐久間の手が止まった。


 「大丈夫ですか?諒さん」
佐久間は諒を助け起こしながら心配そうな顔で尋ねる。
「ちょ・・ちょっと痛いけど・・大丈夫・・。それより・・も・・もう・・怒ってない?」
「怒ってませんよ。安心して下さい」
「よ・・よかった・・。ぼ・・僕・・佐久間くんに・・嫌われたりするのだけは・・・嫌だったんだ・・・」
「それは俺だって同じですよ。だって・・諒さんにこんな・・ことして・・俺の方こそ嫌われないかと」
「そんなわけないじゃない!だって佐久間くん、僕のこと思って叩いてくれたんでしょ!嫌ったり恨んだりするわけないじゃない!」
「そ・・そう言われると・・俺も・・ホッとします・・・」
二人とも互いに安堵した表情で相手を見やる。
 「ねぇ・・・佐久間くん・・・」
「何です・・・諒さん・・?」
「佐久間くんの・・ことが・・好き・・」
「俺も・・です・・・」
二人は互いに身を寄せ合うとそのまま抱きしめ合う。
そして唇を重ね合わせた。


 ―完―



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