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ダンジュー修道院20 ボール遊び



 よろずを治らす 愛の御手に
 うさも恐れも  ゆだねまつれ
 あらしをしずめ 雲をはらい
 神はまさみち  しめしたまわん

 大きな礼拝堂の中、パイプオルガンの音色が響き渡る中、歌声が響き渡る。
初老の修道士が引くパイプオルガンの音に合わせて、パイプオルガンの前に立っている人々が賛美歌を斉唱する。
歌っているメンバーのうち、半分は修道士だったが、残る半分は街の住人だった。
彼らは院の聖歌隊のメンバー。
聖歌隊は修道士とボランティアの住人から構成されている。
一週間に二度、修道士・街の住人双方が集まって一緒に練習をするのである。
 やがて、パイプオルガンの演奏が止まると、指揮をしていた修道士が立ち上がった。
「皆さんご苦労様です。それじゃあ、ここで一休みしましょうか」
そういうと聖歌隊メンバーではない修道士やボランティアが礼拝堂内に入ってくる。
そして、メンバーに対してお茶やお菓子を振舞いだした。
 「バルバロッサさんや、ちょっといいかい」
練習が終わった聖歌隊メンバーにお茶を出している年配の修道士が同じ作業に当たっているバルバロッサを見つけると、呼び止めた。
「何です?」
「子供たちにも持ってってやって下さらんか。今頃遊び疲れてるだろうから」
「わかりやした。お安い御用ですわ」
バルバロッサはお茶やお菓子、サンドイッチが載った盆を載せたトレーを掴むと、それを押しながら礼拝堂を後にした。


 同じ頃、中庭に面した部屋では・・・。
「チサお兄ちゃ~~ん。僕も乗せて~~」
「ずるーい!あたしが乗るのー!」
「えー!僕だって乗りたいよ~~!」
部屋の中では小さな子供が順番を争うような声が聞えてきた。
「ちょ、駄目だよ皆、喧嘩しちゃあ!」
やや慌てた声でチサトが止めに入る。
チサトは四つん這いになっており、幼稚園くらいの歳の子供を背中にまたがらせた姿で喧嘩寸前の子供たちを止めようとした。
「だって~。僕もはやくチサお兄ちゃんに乗りたいんだもん~~!」
「あたしもー」
「ま、待ってよ皆・・順番ね・・」
チサトは子供たちを何とかなだめようとする。
 この子供たちは聖歌隊の練習に来ている街の住人の子供たちである。
聖歌隊のボランティアメンバーには小さい子供を抱えている主婦も何人かいるため、安心して練習できるように修道士たちが子供を預かっている。
中庭に面したこの部屋はそういった子供達を預かるための一種の託児所の役割をしており、積み木やブロック、パズルや絵本などが用意してある。
チサトはこの部屋で子供たちの面倒を見る仕事を割り当てられていた。
そのため、子供たちの遊び相手になり、馬になってちびっ子を載せて中庭一周をしたりしているのである。
 「そうだ。皆、ボール遊びしない?」
「ボール遊び?」
チサトの提案に子供たちが怪訝そうな表情で顔を傾ける。
「うん。お馬さんごっこじゃ皆待つの嫌でしょ?それに順番のことで喧嘩になっちゃうでしょ。だから、ボール遊びなら皆で一緒に出来るじゃない。どうかなぁ?」
「チサお兄ちゃんがそういうんならボール遊びでもいいよ」
「僕もー」
「あたしもー」
「じゃあ皆中庭の方に出てくれるかな?」
チサトの言葉と共にパタパタという軽い足音があたりにこだました。


 トレーを押しながらバルバロッサが中庭に通じる廊下を歩いていると、キャッキャッという子供達の声が聞えてきた。
同時に窓からチサトや子供達の姿が見える。
中庭では子供たちが二つのチームに分かれてボールを投げあったり、蹴りあったりしていた。
チサトも一方のチームに加わって子供たちの遊び相手をしている。
(さすがにチサトだわな。子供も楽しそうにしとるわ)
バルバロッサは子供たちの表情を見ながら感心する。
バルバロッサの場合、見た目や口調などのせいからどうしても子供に敬遠されがちだ。
そのため、子供を預かる仕事に回されることはめったに無い。
対して、チサトは子供に対する面倒見がよいらしく、子供の方もチサトに対しては安心して近づいてくる。
もっとも、そのおかげで自分がヘトヘトになるのも構わずに子供の遊び相手をし、その結果筋肉痛で翌日苦しむような羽目になることもしばしばあるのだが。
 中庭に姿を現したバルバロッサがチサトや子供たちに声をかけようとしたそのときだった。
チサトはちびっ子の一人に向けてボールを投げようとする。
だが、勢いよく投げてしまったからか、ボールは子供のはるか頭上を越えて別の回廊に向かって飛んでゆく。
飛んで行く先には、年期の入った本をたくさん抱えた初老の修道士の姿。
「あっ・・・!危ないっっ!」
とっさにチサトは声をあげる。
(やべえっ!)
バルバロッサは手押し車をその場に置くと初老の修道士の元へ駆けつけようとする。
チサトも同じように駆けつけようとするが、それよりも早くボールが老修道士の顔面に命中した。
「あっ・・・・」
老修道士は呻いたかと思うとそのまま後ろへ倒れる。
本が宙へ投げ出され、ボスンボスンとあたりへ落下する。
鈍い音がしたかと思うと老修道士が目を見開いて床に大の字になって倒れた。
 「完全に・・・気絶してるな・・・」
バルバロッサは老修道士に近づいて一瞥すると、そのまま痩せた身体を抱き上げる。
医務室に連れて行くためだ。
「チサト・・・」
歩きながらバルバロッサはチサトに呼びかける。
「は・・はいっ・・・」
チサトはおずおずと答えた。
「懺悔室で・・・待ってろ・・・」
「わ・・わかり・・ました・・・」
 バルバロッサが倒れた修道士を運ぶのを尻目にチサトは息を吐く。
「皆・・ごめんね。お兄さん、用事が出来ちゃったんだ。行かなきゃだからしばらく待っててね」
チサトはかがむと子供たちを見回しながらそう説明した。
「えー、遊んでくれないのー?」
「ごめんね。でも、用が済んだらまた遊んであげるからね」
「絶対だよー!」
「うん、約束しようか。指切りげんまん嘘ついたらハリセンボンのーます!指切ったー!」
チサトは子供たち一人一人と指切りげんまんをすると、明るい笑顔を見せて子供に余計な心配をかけないようにする。
そうして子供が安心しているのを確かめると、懺悔室へ向かっていった。


 (大丈夫・・・かな・・・)
懺悔室の冷たい石の床にうつ伏せになったまま、チサトはボールを受けた老修道士のことを考えていた。
あの様子だと思い切りぶつかったのは間違いない。
その上、思い切り床に転んだのだ。
後頭部を激しく打ち付けてとてつもない怪我をしているかもしれない。
そう思うとガタガタと全身が震えて体温が下がってくる。
 チサトが迫り来る恐怖に戦々恐々としていると、僅かだが扉が開いた。
その間から光が差し込んできて、チサトの顔に当たる。
思わずチサトは手で光を遮ろうとするが、バルバロッサが入ってきてハッとした表情を見せた。
 「大人しく待ってたな・・・いい子だ・・・」
バルバロッサはそういうと椅子を持ってきて腰かける。
そして、石の床に正座しているチサトと顔をつき合わせるようにして向き合った。
 「バ・・バルバロッサさん・・・」
チサトは恐る恐る呼びかけた。
「どうした?」
「マシュさんは?」
チサトはボールをぶつけてしまった老修道士の名を呼ぶと容態を尋ねた。
「心配ねえ。医者を呼んだが気絶してるだけだそうだ。まあ念のために後で病院に連れてくがな」
「よかった・・無事で・・・」
チサトはホッとした表情で言う。
「大したことがなかったのは確かによかった・・・。だがな、チサト、自分が何やったかわかってるよな?」
「は・・はぃ・・。僕の失敗で・・また、人に怪我させそうになりました・・・・」
「そうだ。わざとじゃねえのはわかってる。だが、いいことじゃねえのはわかってるよな?」
「はい・・・・」
「じゃあ、わかってるよな?」
バルバロッサはそういうと自分の膝を指し示した。
 「あ・・あうぅ・・・」
チサトはバルバロッサの膝に恐怖の視線を向ける。
自分が悪いというのはわかってはいても怖いものは怖い。
本音を言えば逃げ出したいところだ。
 だが、そもそも自分がボールをぶつけてしまったからこういうことになったのだ。
いわば自業自得だ。
痛い思いをしてたっぷり泣く羽目になったのも、全部身から出た錆だ。
「こら、チサト。いくら俺がお前に甘いっつってもいつまでもグズグズしてるとさすがに怒るぞ?」
バルバロッサはチサトの恐怖心や迷いを断ち切ろうと厳しい物言いをする。
その言葉に覚悟を決めたのか、チサトはゆっくりとバルバロッサの膝に向かう。
恐怖に身を震わせつつも、チサトはバルバロッサの膝にうつ伏せになった。
 チサトが膝に載るとバルバロッサはいつもどおり、チサトの修道服を捲り上げて下着ごとズボンを降ろす。
あっという間に小ぶりで綺麗なお尻が姿を現した。
 「うっ・・・」
チサトはお尻がむき出しにされるや、思わず恥ずかしさで顔を赤らめる。
チサトの両肩が小刻みに震えているのが見えるため、バルバロッサにもチサトの感情が見て取れた。
(無理もねえよな。この年になって他人に尻見られりゃあな)
毎度のことではあるものの、ちょっとだけチサトが可哀想になる。
(だが・・・甘やかしちゃならねえからな)
バルバロッサはチサトに対する甘さを振り捨てるや、顔を厳しく引き締める。
 「じゃあ行くぞ。覚悟はいいな?」
バルバロッサの言葉に、チサトは目をつぶると静かに頷いてバルバロッサの上着を握り締める両手に力を込めた。


 バシィンッ!
「う・・っ・・・!」
甲高い音が弾け、お尻に衝撃が走る。
お尻を襲った打撃に思わずチサトは声を漏らした。
バシィンッ!ビタアンッ!バアンッ!バチィンッ!ビシャアンッ!
「く・・っ!ひ・・っ!や・・・っ!は・・っ!あ・・っ!」
チサトは口元を一文字に結び、懸命に打撃に耐え抜こうとする。
チサトが声を漏らすたびにその表情が強張り、或いは顔を左右どちらかにそむける。
バシィンッ!バアンッ!ビタァンッ!バアンッ!バチィンッ!
「いつも・・いつも・・ドジばっかりやらかして・・・」
バルバロッサは平手を振り下ろしながらいつもどおりお説教を始める。
「う・・ごめん・・なさい・・ごめん・・なさい・・・」
痛さに顔をしかめつつもチサトは謝る。
「何度・・言ったと思ってんだ?周りをよく注意して見ろって?」
バシィンッ!バアンッ!ビタァァアンン!バアチィンッ!ビタアンッ!
「うっ!ひゃあっ!あんっ!うっ!くううっ!」
チサトの苦痛に呻く声が強くなり、表情もさらに苦しそうなものに変わっていった。
バアチィンッ!ビタアンッ!バアシィンッ!バアンッ!
「それなのにまたヘマやらかしやがって!それも人怪我させそうなことやりやがって!」
毎回注意していることを繰り返しているせいか、バルバロッサの口調も厳しめになる。
自然、平手の勢いも強いものになっていった。
「うっ・・!ひゃあっ!ひゃひぃっ!きゃあっ!」
平手打ちがさらに強力になったからか、チサトの悲鳴はさらに甲高いものになる。
バアアアアン!バアッシィィンンン!ビッタアアン!バッチィィィンン!
「きゃああ!ひぃぃぃ!痛ぁぁあいいい!」
ついにチサトは咽喉の奥底から搾り出すように叫びだした。
平手打ちもとことんまで容赦のない音に変わっている。
「当たり前だろうが!お仕置きなんだからよ!毎回毎回懲りずに・・・今日という今日は徹底的にお仕置きだからなっ!」
バァンバァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッ!
バチンバチンバチンバンバンビタンビタンビタンバシンバシンバシンバシンッッ!
堪忍袋の緒が切れたとでもいうかのように、バルバロッサは今までとは比べ物にならない数の平手打ちをチサトのお尻に落としてゆく。
あっという間に白かったお尻が見事なワインレッドに染まっていった。
「ふえええ~~~~んんん!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさい~~!は、反省してます~~~~!」
チサトは赤ん坊のように盛大に泣き出すと必死で謝った。
だが、バルバロッサはまだ許してやるつもりはないのか、平手打ちのどしゃ降りを降らし続ける。
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッッ!
バチンバチンバチンバチンバチンバチンバチンバチンバチンッッ!
「ひいいいいんんん!痛いぃぃぃ!ごめんなさ~いっ!ごめんなさあ~~いいい!」
「本当に・・・反省してるんだろうな?」
バルバロッサはいつもよりきつめのお仕置きをしながら、チサトに尋ねる。
「し・・してますぅ・・ひぃんっ・・ひゃう・・・」
「じゃあ何が悪いか言ってみな?」
「ひ・・人にボールぶつけて・・」
バアンバンバンバンバンバンバンッッ!
「もう少しで・・怪我させる・・ところだった・・」
「そうだな。それから?」
「な・・何回も・・同じような・・こと・・してる・・のに・・」
バシィン!バンバァンバチィンバンバンバンバンバンッッ!
「同じようなこと言われてるのに・・・また・・やっちゃった・・から・・・」
「そうだ。ちゃんとわかってるな」
バルバロッサは一旦お尻を叩くのを中断すると、真っ赤なお尻をさらしているチサトを膝の上に座らせる。
そして、チサトの両頬に手をかけてチサトの顔を上向きにすると、口を開いた。
 「いいか。チサト。俺は別にお前がヘマしたことを怒ってるんじゃねえ。それはわかるか?」
「は・・はぃ・・」
「人間誰だってヘマはする。俺だってペーペーの頃はシノギでヘマやらかしたもんだ。それでしょっちゅう兄貴分に角材やらハジキの握りやらで面が変わっちまうくらい殴られたからそれくらいわかってる。だからそんなことで怒るようなことはしねえ」
バルバロッサの言葉にチサトはジッと耳を傾ける。
「だがな。尻叩くたびに言ってたはずだよな?もっと周りをよく見ろ。隅々まできちんと気を配れって?」
「は・・はぃ・・」
「なのにちゃんとそれをやってない。自分ではちゃんとやってると思ってるんだろうが、俺からみれば抜けてるんだよ」
「うぅ・・・・」
チサトは自分の普段の失敗などを思う浮かべると、抗議するどころか恥ずかしさで顔が赤くなる。
「俺はな、そこのところはきちんとわかって欲しいんだよ。このままじゃ、おまえ自身のためにもよくねえからな。わかるだろ?」
「わ・・わかります・・・」
チサトは自分が普段しているミスが巻き起こす事態を想像してみる。
もし巻き込まれた人の運がよくなかったら、大怪我をさせていたりしたかもしれない。
そう思うと自分のミスや迂闊さに寒気がしてきた。
 「わかったみてえだな。なぁチサ、俺はお前が誰かを怪我させたりしちまうことは絶対に嫌なんだよ。わかってくれるよな?」
「は・・はぃ。心配かけて・・ごめんなさい・・」
「よし、いい子だ。じゃあ、あと20回だけ我慢出来るか?」
そう聞かれて一瞬チサトは沈黙する。
お尻は火が燃えているかのように熱かった。
本音を言えばすぐにでも冷やしたい。
でも、人にボールをぶつけたり、バルバロッサに心配かけるような真似をしたのは自分だ。
お尻が痛い思いをするのも自業自得。
 「は・・はぃ・我慢・・出来ます・・」
チサトは覚悟を決めたような表情でバルバロッサにそう言った。
バルバロッサはそれを聞くと再びチサトを膝に寝かせる。
「じゃあ・・行くぞ?」
バルバロッサの言葉にチサトは再度バルバロッサの上着をギュッと握り締めて平手打ちに備えた。


 バシィンッ!バアンッ!バシィッ!ビタアンッ!
「ひっ・・!くぅ・・!ひゃ・・!ひひぃ!」
チサトは歯を食いしばって平手打ちに耐え抜こうとする。
バシィンッ!バアシィンッ!ビタアンッ!バアッシィンッ!
「ごめん・・なさいっ!ごめん・・なさいっ!」
バアシィンッ!ビタアンッ!バシィンッ!ビタアンッ!
「もう・・二度と・・心配・・かけたり・・しないです・・」
バシィンッ!ビタアンッ!ビシャアンッ!バチィンッ!
「本当に・・ごめん・・なさいっ・・ごめん・・なさいっ・・」
チサトは荒い息を吐き、苦痛に身体を震わせている。
額や手の甲からは脂汗がじっとりとにじみ出していた。
バシィンッ!ビタアンッ!バアッシィンッ!バアチィンッ!
「ごめん・・なさいっ・・!ごめ・・んな・・さい・・ごめん・・なさい・・ごめん・・なさいっ・・」
必死にチサトが謝る中、やがて平手が降ってこなくなる。
「よく我慢出来たな。えらいぞ・・・いい子だ・・・」
バルバロッサのぶっきらぼうながらも優しさのこもった声と共にチサトの頭にバルバロッサの手が優しく置かれる。
そして、お使いを果たした小さい子供にしてやるように、頭を撫でてやった。


 「うっ・・痛た・・・」
簡易ベッドの上でチサトは痛みに顔を顰める。
お仕置きが終わった後、チサトはいつものようにバルバロッサに抱きかかえられて医務室まで連れて行かれた。
そこのベッドでいつものようにお尻を冷やしているのだが、大分叩かれたせいかかなりお尻が痛い。
あいにくなことに医務室担当の修道士もバルバロッサも用があって出なければならないため、患者のチサトは冷やしたタオルを取り替えてくれる人がおらず、お尻の痛みに顔を顰めているところなのである。
 ギィィィィ・・・・。
扉のきしむ音がしたかと思うと医務室のドアが開き、誰かが入ってきた。
足音は複数でかつ軽やかな足取りだった。
やがて、足音の主達がチサトの前に姿を現した。
入ってきたのはチサトが遊んでいた子供たち。
 「あれ?皆どうしたの?」
チサトは子供たちを見回すと思わず尋ねた。
「チサお兄ちゃんのお見舞いに来たの。お尻ペンされちゃったんでしょう?」
「う・・うん。よく知ってるねえ」
「髪の長いお兄ちゃんが教えてくれたの。チサお兄ちゃん、お尻大丈夫?」
「う・・うん。でも、今日は遊んであげられなくなっちゃった。皆ごめんね?」
「ううん。大丈夫だよ。それよりチサお兄ちゃん、手出して?」
「手?いいけど、何かな?」
チサトは怪訝に思いながらも子供たちに向かって手を伸ばす。
すると三人の子供がチサトの手に近づき、何かを置いた。
チサトの手に置かれたのは、飴玉とチョコレート、そしてビー玉だった。
「これは・・?」
「僕たちからのお見舞い。チサお兄ちゃんのお尻が早く治りますようにって」
ちびっ子たちの言葉にチサトは嬉しそうな表情になる。
「皆・・本当にありがとうね。お兄ちゃん、嬉しいよ」
お尻の痛みに耐えかねていたところに、こんな風に心配してくれる者がいることにチサトは思わず心底から嬉しそうな表情になる。
「皆・・お兄ちゃん、早くお尻治すからね。治ったらまた皆で遊ぼう?」
「本当?またお馬になってくれる?」
「うん。約束するよ」
「「「わーい」」」
「それじゃあ指切りしよっか?」
「「「するする~」」」
子供たちは一斉に声をあげるとチサトの手に殺到する。
そして、医務室には指切りげんまんをするちびっ子たちとチサトの声が響き渡った。

 ―完―
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theme : 自作小説
genre : 小説・文学

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