秘めたるもの2 夏風邪



 (BL要素ありです。許容出来る方のみご覧ください)


 「どう?佐久間くん?楽になってきた?」
諒は佐久間の背中や肩を揉みながら話しかける。
「はぅぅ・・・諒さぁん・・よ・・よすぎて・・・」
余程気持ちいいのだろう、佐久間は蕩けそうな表情を浮かべている。
「かなり凝ってるね。部活頑張ってるんだね」
「えぇ。夏の大会が近いんで」
「でも余り無理しちゃダメだよ?身体壊したら元も子もないから」
「はぃ・・。あの・・諒さん・・」
「何?佐久間くん?」
諒が尋ねると、おもむろに佐久間は身体を起こして諒に口付けしようとする。
 「だ、ダメだよ佐久間くん!ま、まだ仕事中なんだから!?」
諒は慌てて止めようとする。
「そんなこと言っても・・・何か・・気持ちよすぎて・・それに・・諒さんに身体触られてるって思うと・・・」
信二は身体をすり寄せると、諒の身体に自己主張している自身を押し当てる。
同時に手をズボンに侵入させるや、諒のお尻に手をまわしてしまう。
「あん・・佐久間くんダメぇ・・・」
思わず諒は抵抗しようとするが、指がするすると最奥部へと侵入してくる。
 「諒さん、お尻こんなに柔らかくなってるじゃないですか。諒さんだってエッチなこと考えてたんでしょ?」
「恥ずかしいこと言わないで・・・佐久間くんの意地悪・・・」
諒は顔を恥ずかしさに真っ赤にしてしまう。
「すいません・・。でも・・・諒さんが可愛くて・・つい・・・」
「もう・・可愛いだなんて・・・からかわないでよ。僕、これでも佐久間くんよりずっと年上なんだよ」
「からかってなんかないですよ!本当に諒さんは可愛いんですよ!可愛くていつも他の奴に目つけられちゃうんじゃないかって心配なんですから!!」
「そう思ってもらえるなんて嬉しいよ。でも、まだ仕事中だからダメだよ?」
「は・・はぃ・・・」
さすがにこれ以上は押せなくなったのだろう、渋々だが佐久間は引き下がる。
 「あ、そうだ。諒さん、次の日曜日空いてます?」
「うん。大丈夫だよ、定休日だから」
「あの・・諒さん・・・」
もじもじしながら佐久間は話を切り出す。
「もし・・よかったら・・・俺と一緒に・・・映画に・・行きませんか?」
「それって・・・デートって・・こと?」
「え・・えぇ・・」
そう言うと、佐久間はジッと諒を見やる。
どことなく不安そうな表情だった。
以前の出来事のおかげで晴れて恋人にはなれたものの、男同士でデートなんてと言われたらどうしようと思っているのだ。
 「喜んで。佐久間くんが誘ってくれるんなら・・・」
「諒さん・・・。それじゃあ、俺が迎えに来ますね!」
「うん。楽しみにしてるからね」
そう言うと再び二人は唇を重ね合わせた。


 「コホッ。コホコホ・・・・」
諒はほんのり顔を赤らめた状態で咳き込んだ。
「うぅ・・・僕としたことが・・・・」
諒は悔しそうな表情を浮かべる。
よりによって夏風邪を引いてしまったのだ。
(どうしよう・・・。このままじゃ・・・せっかく佐久間くんが誘ってくれたのに・・)
デートなんかしたら風邪をこじらせるかもしれないし、それよりも佐久間に移してしまうかもしれない。
医術に携わる者として、いや何よりも年上の恋人として、佐久間に自分の風邪を移すような真似は決してしたくなかった。
(せっかく誘ってくれた佐久間くんには悪いけど・・・・)
諒は携帯を取り出すと、佐久間に断りの電話を入れようとする。
 (いいの?せっかくのデート、楽しみにしてたのに?電話したらオジャンだよ?)
突然、そんな声が心の内から湧き上がってきた。
(ダメダメ!佐久間くんに風邪移すなんてことになったら・・・・)
理性を働かせて諒は佐久間に電話を入れようとする。
だが、携帯のスイッチを入れようとしたところで、再びデートがオジャンになるという考えが湧き上がってくる。
諒はしばらくの間、表情を目まぐるしく変えながら煩悶する。
やがて、携帯を閉じたかと思うと、そのまま仕舞ってしまった。
 それからしばらく経った頃、呼び鈴が鳴ると佐久間が現れた。
「佐久間くん、待ってたよ」
「さぁ、行きましょう、諒さん」
「うん」
そう答えると諒は立ち上がる。
だが、立ちながらも不意に転びそうになってしまう。
 「だ、大丈夫ですか、諒さん?」
慌てて佐久間は諒を支える。
「だ、大丈夫。その、楽しみで昨日中々寝付けなかっただけだから」
「ならいいんですけど・・・。あれ?諒さん、何か顔赤くないですか?」
佐久間の問いに諒はギクリとする。
風邪なのがバレたかと一瞬、思ってしまったのだ。
 「な、何でもないよ。それより佐久間くん、早く行こう?」
「でも、苦しそうですし・・・」
「ほ、本当に何でもないから!さ、さあ行・・・・」
元気な素振りを見せようとしたそのとき、諒はヘナヘナと崩れ落ちてしまう。
「うわあ~~!諒さんっ!諒さん~~~!!」
慌てて佐久間は声をかけるが、既にグッタリしている諒は答える気力も無い。
熱い息を何回か吐いたかと思うと、眠るようにして気を失ってしまった。


 目を覚ました諒の目に最初に入ってきたのは、治療室の白い天井だった。
「あれ・・・?」
ボンヤリした目であたりを見回すと、傍らの椅子に佐久間が座っている。
佐久間は諒が目を覚ましたのを見ると、安堵の表情を浮かべた。
 「気がついたんですね、よかった~」
「あれ?佐久間くん、どうして?あ・・・」
尋ねかけて、諒は倒れたときのことを思い出す。
「僕・・・倒れちゃったんだね」
「ええ。さすがにビックリしちゃいましたよ。でも、もう熱は下がったみたいですね。よかったですよ・・・」
「そうだったんだ。ありがとうね、佐久間くん」
「別に構いませんよ。でも、ちょっと残念でしたね。映画行けなくなって」
「そのことなんだけど・・・。ちょっといい、佐久間くん?」
「ええ?何です?」
真剣な表情になった諒に佐久間は思わず訝しげな表情を浮かべる。
 「実は・・・僕、佐久間くんに謝らなくちゃいけないんだ」
「何でです?」
「僕、実は夏風邪引いちゃってたんだ」
「えっ!そうだったんですか!?」
佐久間は思わず声を上げる。
「大分調子悪そうだから、本当は佐久間くんに電話してデートやめようと思ったんだ。でも・・・・佐久間くんとのデートって思うと・・どうしても・・やめようって・・言えなくて・・・」
「そんなの、恋人同士なら当たり前じゃないですか。諒さんがそんなに気にすることじゃ・・」
「よくないよ!全然!」
突然の剣幕に思わず佐久間はビックリしてしまう。
 「僕、マッサージ師だよ?正式の医者じゃないけど(マッサージは医療類似行為といい、法的には医療に近い行為とされている。そのため、マッサージ師はあくまでも医者に近い存在ということで、正式な医者としては法律的には認められていない。なお、これは接骨医や鍼灸師も同様)、自分が風邪引いてれば人に移しちゃう危険があるのはわかってたんだ。それなのに・・・佐久間くんとデートしたくてちゃんと断れなかった。医者として・・・ううん・・・佐久間くんの恋人として・・・そんな自分勝手なことしちゃいけなかったんだ・・・。それに・・・僕が隠したからせっかくのデートも出来なくなっちゃって・・その上佐久間くんに心配までさせちゃったんだよ・・・。本当に・・・最低だよ・・僕・・うぅ・・・・」
(ど、どうしよう・・・・)
自分を責めて落ち込んでしまっている柳瀬の姿に佐久間は困ってしまう。
確かに佐久間が心配したり、デートが台無しになってしまったのは事実だ。
しかし、佐久間はそれについて怒ってなどいなかった。
むしろ、それくらい今日のデートを楽しみにしてくれていた諒の気持が嬉しかった。
 (困ったなぁ・・・・このまま俺が許しちゃったら諒さん気にするだろうし・・)
目の前の柳瀬の姿を見やりながら佐久間は頭を悩ませる。
諒は自分が佐久間に悪いことをしてしまったと強く思っている。
だから無罪放免など決して出来なかった。
むしろ諒の気持ちを傷つける、それどころか自分は許されないことをしたなどと思ってしまうかもしれない。
(ちゃんと反省したと思えれば諒さんも気にしなくなるんだろうけど・・・)
そのとき、以前の記憶が頭をよぎった。
(そうだ・・・。一つ・・・あったじゃんか!)
思わず手をポンと叩きそうになるが、すぐに別の考えが浮かぶ。
(待て待て待て!ありゃジョークのつもりで言ったのが引っ込みつかなくなったんだろーが!またあんなことやったら諒さんに失礼だろーが!)
(そうは言っても他にいい手があるのか?少なくともあれは諒さんの気持ちを楽にはしてやれるじゃないか?)
佐久間はクルクルと顔を百面相させて悩む。
しばらくの間ウンウン唸っていたが、やがて腹を括ったのか表情が落ち着いた。
 「そ・・そうですね・・。わ、悪い子・・ですね・・諒さん」
ぎこちない口調だが、佐久間は諒にそう話しかける。
「佐久間くん・・・」
「人に心配かけたり・・・・病気なのに無茶しようとして・・本当に悪い子ですね、諒さん・・・。そん・・そんな・・・悪い子には・・お仕置きが・・必要・・ですよね・・」
佐久間はそういうと隣にある治療用ベッドに腰かける。
 「諒さん、俺が何するつもりかわかりますよね?」
「うん・・・。お尻・・・叩くんだね?」
「え・・えぇ。さぁ、こっち来て下さい」
佐久間が手招きすると、諒は起き上がって佐久間の脇に来る。
 「さぁ、ここにうつ伏せになって下さい」
ポンポンと軽く膝を叩いて佐久間は場所を指し示す。
諒は既に覚悟を決めているからだろう、何のためらいも無く佐久間の膝にうつ伏せになった。
 (うわ・・さすがに・・・重いなぁ・・・)
膝に感じる重みに、今更ながら諒が大人の男であることを佐久間は認識させられる。
ぎこちない手つきで、佐久間は諒のズボンに手をかけると、ゆっくりと降ろしてゆく。
やがて、諒のお尻が姿を現した。
 (うお・・・・)
諒のお尻が現れるや、思わず佐久間は息を呑んでしまう。
小ぶりながらキュッと引き締まり、そして丸みを帯びた適度な柔らかさと弾力を備えた形の整った姿といい、絹のようにきめ細やかな肌といい、とても成人男性のものとは思えなかった。
 (やば・・綺麗すぎて・・・妙な気持になりそう・・)
そんなことを考えたせいだろう、ムクムクと下半身が反応してしまう。
(わわっ!ヤバイヤバイヤバイッッ!!)
下半身の状態に慌てるや、佐久間は必死に深呼吸して自身を落ち着かせる。
 「佐久間くん・・・どうかしたの?」
佐久間の怪しい素振りに心配になったのか、思わず柳瀬はうつ伏せのまま声をかけてくる。
「い・・いええっ!な、な、何でもないですからっ!だ、だだ大丈夫です!」
「なら・・いいんだけど・・。また僕のせいで困らせちゃったんなら悪いし・・」
「そ、そんなことありません!そ、それより行きますよ?い、いいですね?」
「うん・・・。いつでも・・いいよ・・・」
諒はそう言うと治療用ベッドのシーツをギュッと握りしめ、あらわになったお尻にキュッと力を込める。
佐久間は左手で諒の身体を押さえると、右手をゆっくりと振り上げた。


 パチィンッ!
「あ・・・・」
乾いた音が響き、諒の声と共にほんのりピンクの手形が諒のお尻に浮かび上がる。
パアシィンッ!ピシャアンッ!パアアンッ!パチィンッ!
諒は身動き一つせず、声を漏らさぬように口を噤んで耐える。
(すごいよな・・・。痛いし・・それより恥ずかしいだろうに・・)
お尻を叩きながら佐久間はそう思わずにはいられない。
 幾ら自分が悪いと思っていても、大人にもなってお尻をぶたれるだなんて屈辱以外の何物でもない。
もし、佐久間だったらそれこそ徹底的に暴れるだろう。
それが普通だ。
 だが、諒は素直にお尻を差し出している。
とてもじゃないが、自分には真似できることではない。
(俺なんかより・・・ずっと人間出来てるよな・・・諒さん・・。それが・・大人ってやつなんだろうなぁ・・・)
諒が自分よりずっと年下の子供から素直にお仕置きを受けている姿に、佐久間は自分の未熟さや子供だという事実を感じずにはいられない。
 ピシャアンッ!パアシィンッ!パチィンッ!パアアアンッ!
「・・ぁ・・ぅ・・・っ・・・ぁ・・・」
何度も叩かれているうちにさすがに苦しくなってきたのだろう、諒の口から微かに苦痛の声が漏れ始めた。
(う・・・ヤバい・・・・)
平手を振り下ろしながら、佐久間はゴクリと息を呑む。
「ぅぁ・・・ぁう・・う・・あ・・・」
苦しげな息と共に諒は声を漏らす。
やはり痛いのだろう、声と共に諒は微かに身体を震わせ、或いは左右に揺り動かし始める。
 (諒さんお願いですからやめて下さい~~~!!そんな風にお尻振られると・・・)
苦痛をこらえきれずにモゾモゾと揺れ動くお尻に佐久間の息が微かに荒くなる。
白い肌のせいだろう、お仕置きが始まってそんなに経っていないにも関わらず、諒のお尻はほんのりとした赤みを帯びている。
佐久間には苦痛に身体を揺らす諒の姿が、まるで自分を誘っているように見えた。
お尻を叩きながらも、佐久間は深呼吸をして必死に自分を落ち着かせようとする。
 バシィンッ!バアアンッ!バッチィンッ!ビッダァンッ!
「きゃあっ!痛あっ!ひゃんっ!痛ぁぁっ!」
突然、諒は悲鳴を上げるや、思いっきり背をのけぞらせる。
(やっば・・・)
佐久間は諒の姿に絶句してしまう。
気を取られているうちに力を入れ過ぎて思いっきり叩いてしまったのだ。
(俺のバカバカバカッ!諒さんが怪我したらどうするんだよっ!!)
自分のうかつさに佐久間は己を罵らずにはいられなくなる。
(早いところ終わらせないと。諒さんに大怪我させちゃう・・。いや・・それより・・俺が持たないって!!)
そう決意すると、佐久間は諒のお尻を叩く勢いを弱めながら問いかける。
 「諒さん・・そろそろ・・反省・・しました・・・?」
「うん・・し・・してる・・よ・・佐久間・・くぅん・・・」
「そういうときは何て言うんでしたっけ?」
「ご・・ごめん・・なさい・・。僕の・・ワガママで・・迷惑かけちゃって・・・それに心配まで・・させちゃって・・・本当に・・ごめんなさい・・」
「よ・・よく・・言えましたね。そ、それじゃあ、お、お仕置きは終わりですよ」
そういうと、佐久間は平手を止める。
同時にホッとした表情を浮かべた。


 「だ、大丈夫ですか、諒さん?染みるとかありません?」
佐久間は軟膏を塗りながら恐る恐る尋ねる。
「ううん、大丈夫」
「ならいいんですけど・・・。すいません、また痛い思いさせちゃって・・・」
「いいんだよ。佐久間くんは僕のこと思って叩いてくれたんでしょ?だったら嬉しい痛みだよ。佐久間くんにこんなに思ってもらえるんなら、幾らでもお尻叩いて欲しいぐらいだよ」
その言葉に思わず佐久間は咳き込みそうになる。
 「だ、大丈夫!?佐久間くんっ!」
慌てて諒は身体を乗り出そうとするが、お尻に鋭い痛みが走り、それどころではなくなってしまう。
「だ、大丈夫です。そ、それより諒さんこそ動いちゃダメですってば」
「ご、ごめん。また心配させちゃったね。僕の方が年上なのに・・・」
「そ、そんなに気にしちゃダメですって!俺は・・・どんな諒さんだって好きですから!」
「そう言ってもらえると・・・本当に嬉しいよ。ありがとう、佐久間くん」
ニコリと笑みを浮かべて礼を言う諒に再び佐久間はドキンとしてしまう。
 「そ、そんな御礼言われるようなこと言ってませんよ。そ、それより諒さん。きょ、今日は一日看病させてもらってもいいですか?」
「うん・・。佐久間くんと一緒にいられるんなら・・・すぐに治っちゃいそう」
「そう言ってもらえると・・俺も・・嬉しいです。あっ、代えのタオル取ってきますね!」


 ―完―


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