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ダンジュー修道院23 虫取り



 ある夏の日の午前中・・・修道院の後ろにある山林の入り口。
「皆ちゃんといるかな?」
チサトはグルリとあたりを見回し、周りの人物達に尋ねた。
「だいじょーぶだよー。みんないるよー」
チサトの周りにいる子供たちは同時に返事をする。
子供たちは全員幼稚園から小学校低学年の子で、帽子やリュックサックに水筒、虫取り網や虫かごを身につけている。
チサトもいつもの藍色の修道服ではなく、山歩きなどに適した格好で子供たちと同様リュックや虫取り網を身につけていた。
 格好から想像がつくが、これから一行は修道院が所有する山林へ虫取りに入ろうとしているところだった。
普段は薪や家具・観光客用の木彫りの材料を取るために利用されているこの山林だが、ふもとの街の住人との交流や親交を深めるために利用されてもいる。
今回もその一環で子供たちの虫取りのために開放したというわけである。
 「皆ちゃんとお兄ちゃんについてくるんだよ。迷子になったりしたら大変だからね」
「はーい」
チサトの注意に子供たちは素直に返事をする。
「それじゃあ行くよー。皆ちゃんとついて来てねー」
チサトは子供たちにそう呼びかけると先頭に立って山林へ入っていった。


 ソロリ・・・ソロリ・・・ソロリ・・・。
足音を殺してチサトはゆっくり木に近づいてゆく。
チサトが見つめているのは枝に咲いた花に止まっている蝶。
青色を基調にした美しい羽根をした蝶だ。
チサトはゴクリと息を飲み緊張した面持ちで蝶をジッと見つめている。
どうやら蝶はこっちに全く気付いていないと見て取るや、チサトは網を振るって蝶を捕らえようとする。
だが、そのときチサトは木の根につまづいた。
 「うわあっ!」
声と共にチサトは顔から突っ込むようにして倒れてしまう。
おかげですっかり蝶は感づいてしまい、飛び去ってしまった。
「あらら・・・逃げられちゃった・・・」
チサトは鼻をさすりながら残念そうな顔で呟く。
 「あれー?チサ兄ちゃんまた逃げられちゃったのー?」
不意に一行の一人が顔を出してきてチサトに尋ねた。
「うん。またやっちゃったんだよ」
「チサ兄ちゃんってドジだねー」
邪気の無い笑みを浮かべて言う子供にチサトは思わず苦笑する。
「ミシェルくんは取れたの?」
「うん。こんなに取れたよー」
ミシェルと呼ばれた子供は自慢げに虫かごをチサトに見せる。
虫かごの中はコオロギやバッタで一杯になっていた。
「わぁ、すごいねぇ。ミシェルくんは天才だねぇ」
「えへへ~~」
チサトが頭を撫でてやると子供は嬉しそうな笑みを浮かべた。
 それからまたしばらく経った頃・・・。
「みんなー!移動するよー」
チサトはあちこちに散らばって虫取りをしている子供達に呼びかけた。
「えー。まだ取りたい~~~」
子供たちはまだ取っていたかったのだろう、不満げに声を上げる。
「ごめんね。でももうすぐお昼だからね。皆お腹すいてない?」
チサトの言葉に反応を示したかのように、数人の子供の腹の虫が鳴った。
それを聞いて他の子供たちも空腹を感じ出す。
「ご飯食べたらまた一杯虫取れるからね。だからご飯食べてまたいっぱい取れるようにしようよ?ね?」
「わかったー」
「じゃあ行くよー。ついて来てねー」
「はーい」
子供たちが返事をすると再びチサトは先頭に立って歩き出し、子供達はゾロゾロとその後をついていった。


 「ねーねー。おかずちょーだいー!」
「駄目―!これあたしのー!」
「あーっ!バッタ逃げた~」
「ちょっとー!あまり走らないでよー!お弁当に土かかっちゃうー!」
綺麗な沼のほとりで一行はお弁当を食べていた。
子供たちはそれぞれ仲のよい子達同士でグループをつくって食べており、ガヤガヤと騒ぎながら食べている。
チサトは子供たちがわいわい騒ぎながら楽しそうに見ている光景を見ていて、温かい気持ちが沸いてくる。
チサトも小学生の頃には遠足などで友達と一緒ににぎやかに騒いだものだった。
修道院に入ったためにすっかり縁の無くなっていた同年代の子達との楽しいひとときをつい思い出す。
(小学校のときの引率の先生もこんな感じだったのかな?)
そんなことを考えながらチサトもお弁当に手をつける。
お弁当はバルバロッサが造ってくれたもの。
子供の相手という体力のいる仕事をするためか、肉を多めに入れておいてくれたようだ。
バルバロッサの手になるもののせいか、肉は口に入るととろけるかと思えるくらいおいしかった。
おかげでチサトはついおいしさに酔ってしまいそうだった。


 「ハァ・・・・疲れたなぁ・・・」
チサトは額の汗を拭うと切り株に腰を降ろした。
周りではちびっ子たちが疲れ知らずで虫を取り続けている。
昼食が終わった後、チサトは子供達を連れてもっと虫がいそうなところへ移動し、そこで虫取りをしていた。
子供達を見ている一方で、チサトも何匹か虫を取っていた。
もっとも、自分で飼うわけではない。
都合で来れなかった子へのおみやげ用としてだった。
 (そういえば何時かな・・・?)
チサトは何気なく腕時計に目をやる。
時計の針は6時を回っていた。
(6時・・・え?)
チサトは一瞬我が目を疑うとゴシゴシと目をこすり、再度時計を見つめる。
間違いなく6時を回っていた。
「た・・・大変・・・」
チサトは顔から血の気がサーッと引く。
「どうしたのー?気持悪いの?チサお兄ちゃん?」
近くでクワガタムシを取っていた子供が怪訝そうな表情で尋ねる。
「だ、大丈夫だよ。それより皆~、もう帰るよー」
「えー?もう~?まだ居たい~~~」
チサトの言葉に子供たちは思わず声を上げる。
「ごめんね。でもね、どうしても帰らなきゃいけない時間なの。だから帰ろう、ね?」
チサトは必死になって説得する。
ようやく子供達を説得するとチサトは修道院への道を急いでいった。


 懺悔室の冷たい床の上にチサトの姿があった。
チサトは藍色の修道服に着替えており、聖母マリアの像の前で微動だにせず正座している。
その表情には緊張の様子が見え隠れし、祈りの言葉を唱えながらも、不安な表情で扉の方を伺っていた。
 不意に扉がきしむ音が聞えてきた。
チサトは今にも飛びあがらんばかりに肩を震わせる。
恐る恐るチサトが振り返ってみると、いつも見慣れた赤髪と巨体がそこにはあった。
 「ちゃんと待ってたんか。ええ子やな」
バルバロッサはそういうと片隅に置いてある椅子を持ってきてチサトの前に座る。
「さて・・・チサト・・」
「は・・はぃ・・・」
チサトはゴクリと息を飲んで答える。
「子供達を連れてく前に言っておいたはずやな?4時までに必ず帰って来いと」
「は・・はぃ・・・」
「だが・・・帰ってきたのは何時や?」
「し・・7時です・・・」
「そうや。3時間も破っとる。ええことか?」
「い・・いえ・・・」
「そうやな。なら・・わかっとるな?」
バルバロッサはそういうとポンポンと軽く膝を叩いた。
それを見るとチサトの表情が恐怖で強張る。
 チサトはしばらくの間ジッとバルバロッサの膝を見つめていた。
膝に置かれた両手は恐怖でブルブルと震えている。
(わかってたけど・・・わかってるけど・・・。でも・・でも・・やっぱり・・怖い)
チサトはゴクリと息を飲んで咽喉を引くつかせながら心の中で呟く。
(でも・・でも・・・悪いのは僕・・・。時間までに帰って来なくて・・皆に迷惑かけたんだから・・・)
チサトは自身にそう言い聞かせるとようやく立ち上がった。
 ゆっくりとチサトは足を進めてバルバロッサの傍までやって来る。
バルバロッサの脇に立つとチサトはジッと大男の膝を見つめた。
再び恐怖がチサトの心中に沸きあがり、後ずさりしたくなってくる。
だが、チサトは恐怖を振り払うがごとく首を左右に振るうとバルバロッサの膝にうつ伏せになった。
 「ええ子や。でも手加減はせえへんからな」
バルバロッサはそういうとチサトの腰を左手で押さえ、修道服の裾をまくり上げてズボンを降ろす。
あっという間に小ぶりで形のいいお尻があらわになった。
 「あ・・・・」
チサトはお尻に外気を感じるや、恥ずかしさに顔を赤らめる。
同時にバルバロッサの上着の裾を両手でしっかりと握り締め、両肩を震わせる。
バルバロッサは右手にしっかりと息を吐きかけると口を開いた。
「じゃあ行くで。覚悟はええな?」
チサトは目をつむると黙って頷く。
それを見るとバルバロッサはゆっくりと手を振り上げた。


 バアシィンッ!!
「あ・・っ!!」
力強い平手打ちがお尻に叩きつけられ、チサトは思わず声を上げる。
お尻全体を覆うように大きな手形がつけられ、そこからお尻全体にジワリと痛みが広がっていった。
バアシィンッ!バアンッ!ビダァンッ!バアアンッ!
「ぁ・・・ぅ・・・っ・・・ぁ・・・」
チサトは声を可能な限り押し殺し、平手打ちに耐えようとする。
「お前さん・・・何しとるんや・・・」
バルバロッサは平手を振り下ろしながらいつものようにお説教を始めた。
 「四時までに帰ってこい言うておいたちゅうんに・・・」
バアシィンッ!ビダァンッ!バジィンッ!ババジィンッ!
「あ・・く・・・ぅ・・・あ・・・」
一打ごとにチサトの身体が微かに震え、口からうめき声が漏れる。
ビダァンッ!バアジィンッ!バアシィンッ!バアンッ!
「はっ・・ひゃあ・・あんっ・・あうっ・・・」
チサトは目をつむり、上着の裾を握る両手にさらに力を込める。
大人しくお仕置きを受けようと身体を動かすまいとしているように思えるが、苦痛を堪えきることは出来ないのだろう、無意識にお尻や身体を揺らしていた。
バルバロッサはそれを見るや、チサトの身体が揺れないようにさらにしっかりと左手で押さえつけた。
 ビシャアンッ!
「きゃあっ!!」
今までよりも甲高い悲鳴が上がり、チサトは背を仰け反らせて叫んだ。
しかし、腰をしっかりと押さえられているためにお尻を動かない。
そのお尻に向かってバルバロッサの力強い大きな手が思い切り打ちつけられる。
 バアシィンッ!ビダァンッ!バアアアンッ!バチィーンッ!
「きゃあっ!あんっ!ひゃあんっ!ひぃんっ!」
苦しさに耐え切れずチサトは膝から下をバタつかせる。
だが、バルバロッサはそれに構わずにお尻を叩き続ける。
「帰ってこねえで・・・」
ビダァンッ!バアジィンッ!ビシャアーンッ!バアッシィンッ!
「痛っ・・ひゃっ・・痛いっ・・ひぅ・・・」
チサトの目にはいつの間にか光るものが浮かんでいた。
苦しげな表情が浮かぶたびに頬を伝ってそれは冷たい石の床に滴り落ちる。
「林の中っちゅうのはえらい危ないんやぞ?わかっとらんのか?一緒にいる子たちに何かあったらどないするつもりやったんや!」
ビダァンッ!バアシィンッ!ビシャーンッ!バァチィーンッ!
「きゃあんっ!ひゃあんっ!ひぃんっ!あひぃっ!」
ビダバァーンッ!バアジィーンッ!バジィーンッ!ビダァーンッ!
バルバロッサはさらにお尻を叩く手を強める。
電撃のような鋭い痛みがお尻全体に走り、熱したストーブにお尻を押し付けてでもいるかのような熱をチサトは感じていた。
お尻はすっかり赤絵の具で塗りつぶしたかのようにまんべんなく真っ赤に染まってしまっている。
 「ごめん・・なさい・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・」
チサトは苦しそうな息の元で必死に謝り始める。
「ごめんなさいは当たり前やろ!全く・・・」
バアシィーンッ!ビダァーンッ!バジィーンッ!バアーンッ!
ビダァーンッ!ビシャアーンッ!バシィーンッ!バアーンッ!
「きゃああ!痛いっ!痛いっ!きゃああ!」
チサトはさらに激しく足をバタつかせると叫び声を上げる。
バアシィーンッ!ビダァーンッ!バアジィーンッ!バアアーンッ!
「ひぃぃぃ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさい~~!!」
チサトは涙をボロボロこぼしながら必死に謝る。
だが、それでも容赦なく平手は降り注いだ。


 「ひっく・・ひぃん・・ひっ・・ひっ・・・」
チサトはバルバロッサの膝の上でぐったりした姿のまま、しゃくり上げていた。
お尻は濃厚なワインレッドに染め上がり、触ると火傷するかと思うほどの熱のおかげでチサトの表情は遠いところを見ているようになっている。
頬は涙でべたつき、口からは粗い息を吐いていた。
 「反省したか?」
バルバロッサは肩で息をしているチサトに尋ねる。
「し・・しましたぁ・・ごめん・・なさい・・」
「ごめんなさいはわかっとるんや。何が悪かったんや?」
バルバロッサはチサトの背中を撫でながら尋ねる。
「4時までに・・帰ってくるはず・・なのに・・帰って・・来なかった・・・」
「そうや。でも何でそれで怒られるんだ?」
バルバロッサはそう尋ねる。
怒られているわけをきちんと理解させておきたかったからだ。
「あ・・危ない・・から・・・そ・・それに・・皆に・・迷惑・・かけた・・・」
「そうや。森とか林っちゅうのは危ないのや。それにちゃんと街の子達連れて帰らな親御さん達も心配するのはわかっとるな?」
「は・・はぃ・・・」
「幸い何も無かったからいいが親御さん達どれくらい心配させたか考えたか?」
「ごめん・・なさい・・・」
「それだけじゃない。まだあるやろ?」
「え・・ええと・・・」
チサトは必死になって考える。
しかし、これでもかというくらいお尻を叩かれたおかげで頭の働きも低下してしまっていた。
おかげで他に何があったのかが中々思い出せない。
それを見るとバルバロッサはハッパをかけようとするかのように手を振り下ろした。
 バシィンッ!
「きゃあっ!」
「きゃあっ!じゃないやろ。心配したのは子供の親御さんだけかと思とんのか?」
その言葉にチサトはハッとする。
直後、チサトは抱き上げられると膝の上に座らされ、バルバロッサと顔をつき合わせた。
 「お前が中々戻ってこんから一体どうしたんかと実はヒヤヒヤもんだったんやで?まだ心臓には自信あるがなぁ、それでもあんまし心臓に悪いことはしてくれんやな」
バルバロッサはそういうとポンポンと軽くチサトの頭を叩く。
「ごめん・・なさい・・・心配かけて・・・」
チサトは申し訳ない気持ちに駆られながら謝る。
「いいんや。無事なら・・・」
バルバロッサはそういうとチサトをギュッと抱きしめてやる。
チサトも同じようにバルバロッサの身体にしがみつくようにして抱きついた。


 ―完―
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