子猫騒ぎ(鋼より:ロイ/フュリ)



 (注:鋼の錬金術師を題材にした二次創作ものです。キャラのイメージが変わっているかもしれませんので、許容できる方のみご覧ください)


 「あれ?どうしたんだよ曹長、こんなところで?」
エドワードが呼びかけるなり、フュリーはビクッと震えそうになる。
「い、いえ。何でもないですよ」
そう言うものの、どう見ても挙動不審だった。
「い、急がないといけないんで失礼します!」
そう言うやフュリーは脱兎の如き勢いで廊下を走って行った。
「何だよ・・一体・・?」
エドワードは思わず首を傾げたが、自分も用があったことを思い出すと歩き出した。
 (危なかったなぁ・・・・)
今は廃品置き場として使われている部屋に入るなり、フュリーはホッと胸を撫で下ろす。
彼には最近、皆に隠している事があるからだ。
「おいで・・・ご飯だよ~。おいで・・・」
暗がりに向かってフュリーは呼びかける。
すると部屋の奥から子猫が現れた。
「よしよし・・・さぁ、お腹すいたろう?」
フュリーは隠し持っていた猫缶を開けて紙皿に出すと、子猫が食べ始める。
 「な~るほど、そういうことだったわけかよ」
突然、背後から声が聞こえてきた。
フュリーは全身を強張らせると、恐る恐る後ろを振り向く。
すると相変わらず紫煙を燻らすハボック少尉の姿があった。
「は・・ハボック・・少尉・・。い・・いつから・・?」
「ちょうど猫呼んだあたりからかな?」
「み・・見ちゃい・・ましたよね・・?」
既に答えはわかり切っていたが、それでも聞かずにはいられなかった。
「バッチシな」
「お・・お願いですっ!だ・・誰にも言わないで下さい~~!!!」
フュリーはハボックにすがりつくようにしがみつくと必死に訴える。
さすがにハボックもちょっとかわいそうになったのか、表情を和らげると安心させるように言う。
「わかったわかった。言わないから安心しろって」
「あ・・ありがとうございます・・」
フュリーはホッとするものの、そこへ再びハボックが問いかけた。
 「そうは言ってもどうする気だよ?曹長は寮だろう?飼えないのはわかってるだろ?」
「そうなんですが・・・雨の中、寒そうにしてるのがかわいそうで・・」
フュリーは溜息をつきながら答える。
「大将の言い草じゃねえけど飼えないのに拾う方がかわいそうじゃねえ?」
「ええ。だから誰か飼ってもらえる人を探すつもりです。またホークアイ中尉に迷惑かけるわけにもいきませんし・・・」
以前、ブラックハヤテ号をこっそり拾ってきてホークアイ中尉に引き取ってもらったことがあるため、さすがにホークアイ中尉にまた頼むというようなことは出来なかった。
「まぁ乗りかかった船だからな。俺も知り合いのところ当たってみるけどな・・・」


 それから数日後・・・。
「あれ?どうしたんだよ、そんなキョロキョロして?」
いつものように煙草を吸いながらハボックが一休みしていると、フュリーが挙動不審な様子であちこち歩いているのに気づいた。
「それが・・・実はちょっと目を離した隙にいなくなっちゃいまして・・・」
「あらら・・。そりゃマズイな」
「ええ・・。今探してるんですけど、見つけたら知らせてくれます?」
「あぁ。それくらいは構わねえけど。俺はこれから仕事なんで行くわ」
そういうとハボックは煙草を消して自分のオフィスの方へ向う。
オフィスへ入るなり、ハボックは聞き覚えのある鳴き声を聞いた。
同時にフュリーの子猫が足元へ寄ってくる。
 「あれ?お前こんなところにいたのかよ。曹長が探してたぞ」
ハボックはそう話しかけると猫を抱え上げる。
「とりあえず曹長に知らせてやろうか・・・」
そう言いながら何気なく自分の机を見た時だった。
机の上には猫の足跡がついていた。
ただ、それだけならハボックも固まらなかっただろう。
だが、足跡は作成中の書類にまでしっかりとつけられてしまっていた。
汚れた書類を提出するわけにはいかないから書類作成は最初からやり直しだろう。
再度の作業を想像してハボックがやれやれと呟いたそのときだった。
 「ハボック少尉、書類は出来たかしら?」
リザ・ホークアイ中尉が書類を集めにやって来たのだ。
「あ~。すいません・・・それなんすけどねぇ・・。伸ばしてもらえないすかねぇ。ああなっちまったんで・・・・」
ハボックは汚れた書類と抱えている子猫を指し示しながらそう頼み込む。
「わかったわ。その辺は何とかしておきましょう。ただし・・どういうことか、話してもらえるわね?」
ホークアイ中尉は厳しい声で尋ねる。
「わかってますよ。実は・・・」
ハボックもホークアイ中尉に見つかった以上はと観念したのだろう、大人しく話し始めた。


 「す・・すいませんっ!本当に!」
大佐の執務室に呼び出され、事情を知るや、フュリーは平謝りにハボックに謝る。
「まぁ動物のやったことだから仕方ねえって・・・・」
「それはともかく・・・フュリー曹長・・・」
ロイはフュリーの方を見ながら部下に話しかける。
「は・・はぃ・・・・」
「皆に隠れて猫を飼っていたそうだが本当かね?」
「は・・はぃ・・」
「確か前にも同じことをしていたな?」
「は・・はぃ・・」
ロイの問いにフュリーは震える声で答える。
「あの後、私はこう言ったはずだが?飼えないのに拾ってきてはいかんとね。確か曹長も二度としないと約束したはずだったな?」
ブラックハヤテ号の件が済んだあと、大佐や皆とした約束を思い出し、フュリーはバツが悪くなる。
「約束・・破って・・すみませんでした・・ごめんなさい・・」
「謝ればいいというものではないだろう、フュリー曹長?約束を破った以上、それ相応の覚悟はあるだろうね?」
「か・・覚悟・・?」
上司が何を言いたいのかわからず、思わずフュリーは目をパチクリさせる。
 「あ~・・・俺、書類作りなおさなきゃならないんで行きますわ・・」
「私も仕事がありますから」
二人は大佐の言おうとしていることを察したのだろう、理由をつけて出てゆく。
自分たちだけになるとロイはフュリーをジッと見つめながら口を開く。
「悪いことをしたらお仕置きを受けるのは決まっていることではないかね、フュリー曹長?」
その言葉にとっさにフュリーは両手をお尻に回す。
トラブルメーカーなエドワードが事件を起こしてはしばしば大佐にお仕置きをされているのを知っているため、何が言いたいのかわかったのだ。
 「あ・・あのぅ・・。もしかして・・お尻・・叩くんですか?」
恐る恐るフュリーは尋ねると、ロイは
「まさか嫌だとでもいうのかね?」
と有無を言わせない調子で尋ねる。
「い・・いえ・・。そんなことは・・」
「ならばこっちへ来給え」
ロイはそういうと手招きするような素振りを見せる。
フュリーはすぐに上官の傍までやって来ると、ロイの膝にうつ伏せになった。
 「おや。結構素直だな」
「だって・・・・逃げたりしたら後が怖いじゃないですか・・・」
エドワードが逃げたり抵抗するのが原因で、ロイにきつくお仕置きをされているのを見ているせいか、やけに実感の籠った調子でフュリーは答えた。
思わずロイは苦笑するが、すぐに真剣な表情に戻る。
同時にズボンを降ろしにかかった。
 「あぅ・・・・」
お尻に外気を感じるや、恥ずかしさでフュリーは頬を赤らめる。
「覚悟はいいかね、フュリー曹長?」
「は・・はぃ・・・」
震えつつも返事をすると、ロイは左手で部下の身体を押さえ、ゆっくりと右手を振り上げた。


 パシィーンッ!
「くぅ・・・・」
キレのいい音と共に痛みがお尻の表面で弾け、ジィ~ンとお尻全体へと広がってゆく。
パシィーンッ!パアァーンッ!パチィーンッ!パアーンッ!
「く・・あ・・う・・あぅ・・・」
(い・・痛ぁぁ・・・・)
お尻を襲う痛みにフュリーは顔を声を漏らさずにはいられなくなる。
 「全く何をやっているのだね?フュリー曹長」
部下のお尻を叩きながらロイはお説教を開始する。
初めから強めに叩いているせいか、まだそんなに経っていないにも関わらず、お尻がほんのりと赤く色づき始めた。
 ピシャ―ンッ!パシィーンッ!パアアーンッ!パチィーンッ!
「ひ・・あ・・う・・あ・・・」
甲高い音と共にフュリーの口からはうめき声が漏れる。
パシィーンッ!パアチィーンッ!パアアーンッ!パッシィーンッ!
「司令部内でペットを飼うのが禁止されているのは君だって知っているはずではないのかね?」
パアシィーンッ!ピシャアーンッ!パアアーンッ!パチィーンッ!
「う・・ひ・・それは・・ああっ・・!」
フュリーは答えようとするも、お尻の痛みが辛いのか、顔を苦痛に顰めると両手を曲げる動きを見せる。
ピシャーンッ!パシィーンッ!パアアーンッ!パチィーンッ!
「それに今回が初めてではないだろう?以前にも犬を拾ってきたときにそのことはホークアイ中尉らに言われたはずではなかったかね?」
以前にもブラックハヤテ号のことで同じことをしていたせいか、ロイの口調は厳しくなる。
パアシィ~ンッ!パアア~ンッ!ピッシャア~ンッ!パアッシィ~ンッ!
「ひ・・ひゃ・・ひゃんっ・・ああうっっ・・」
平手打ちがさらに勢いを増し、苦痛も大きくなったためだろう、フュリーは今度は両脚もばたつかせ始めた。
 ピッシャア~ンッ!パアッチィ~ンッ!パアッシィ~ンッ!パアア~ンッ!
「それなのにまたもするとは・・・まさか忘れていたとでもいうのかね?」
「ひ・・ひぃ~んっ・・ち・・違い・・ますぅ・・うぅ・・ひぃん・・・」
「それなら何故まだやったのかね?ダメだというのはわかっていたはずだろう?」
「ひ・・ひぃん・・ど・・どうしても・・・見てられなかったん・・です・・ひぃん・・」
苦痛のあまりに目尻に涙を浮かべながらフュリーは答える。
司令部内や寮では飼えないことは以前の経緯もあってよくわかっていた。
飼えないにも関わらず拾っても、代わりの飼い主が見つからない限りまた捨てるか、保健所にでも引き渡すしかない。
むしろ、そっちの方が残酷でひどいだろう。
だが、段ボールの中で雨に打たれて寒そうにしている姿は何とも哀れだった。
一時しのぎにしかならない、場合によっては却って猫にっては残酷な結果を招くかもしれない、そうはわかっていてもせめて自分が面倒見られる間だけは寒さに凍えたり腹を空かせて鳴き声を上げるような思いをさせたくはなかった。
そのため、飼えないのはわかっていつつもついつい見過ごせず、拾ってきてしまったのだった。
 (気持はわからんでもないのだが・・・)
お尻を叩きながらもロイはフュリーの気持ちを察する。
フュリーのそういう気持ちを咎めるつもりはロイにはない。
そういう感情は人として当然のものだろう。
しかし、そういっても規則を破るような真似を許すわけにはいかないし、結果として他人に迷惑をかけるような事態も起こってしまった。
それにフュリーのしたことは後先を考えたものではない。
手を差し伸べること自体は悪いことではないが、きちんと最後まで責任を持てなければ却って悪い結果を招きかねない。
そのことをフュリーにはしっかりと叩き込んでおく必要がある。
かわいそうに思う気持ちを押さえこむと、ロイは赤みの濃くなった部下のお尻目がけて手を振り下ろした。


 ピシャア~ンッッ!!パンパンパンパンパンパンパンパンパア~ンッ!
パシィ~ンッ!パァンパァンパンパンパンパンパンパンパンパンパンッ!
「ひゃっ・・!ああっ・・!やあ~んっ・・!ひぃぃ~~んんっっ!!」
今までとは全然比較にならないほど強烈な平手打ちの嵐がフュリーのお尻に襲いかかる。
本能的にフュリーはさらに両脚を激しくバタつかせる。
 パアシィ~ンッ!パンパンパンパンパンパンパンパンパアンッ!
「ひゃっ・・!ひんっ・・!大佐・・大佐ぁっ・・痛・・・痛いですぅ・・あうっ・・」
あまりの痛みにフュリーは上司に訴えかける。
「痛いのは当たり前だろう?お仕置きなのだから。しっかり反省したまえ」
「や・・そんなこと言っても・・ひゃあ~んっ・・」
容赦なくお尻を濃く染め上げてゆく平手打ちの嵐にフュリーは全身を震わせる。
本能的にフュリーは逃げ出そうとするが、ロイはしっかりと捕まえて引き戻してしまう。
 「何をしているのかね?まさか逃げるつもりかね、フュリー曹長?」
「ご・・ごめんなさい・・で・・でも・・」
フュリーは思わず弁解しようとするが、大佐の言い訳を許さない厳しい眼差しに口をつぐんでしまった。
 バッシィ~ンッ!バンバンバンバンバンバンバンバンバア~ンッ!
バチィンッ!バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッ!!!
「きゃあ~~~っっ!ひゃあんっ・・!ひぃんっ・・!痛・・痛いぃぃ・・・!」
さらに強烈な打撃にフュリーは全身を強張らせたかと思うと、さらにジタバタと暴れだす。
「全く・・・違反をわかっていながら・・・また同じことをするとは・・・」
バアッシィ~ンッ!バアンバンバンバンバンバンバンバンバンッ!
「やあっ・・あっ・・ひゃあん・・痛ぁ・・やあっ・・痛ぁぁ・・・・」
「しかもそれでハボック少尉にも迷惑をかけるようなことをして・・・」
「ひぃ~んっ・・やあっ・・痛ぁ・・ひゃあん・・」
「全く・・何をやっているのだね?フュリー曹長?」
「やぁっ・・ひゃあ~んっ・・痛あ・・ひゃあ・・ひぃ~んっ・・」
その後、一時間近くに渡ってロイのお説教と肌を打つ音と共にフュリーの悲鳴が響き渡った。


 「ひぃ・・・ひぃん・・ごめんなさい・・ごめん・・なさい・・ごめん・・なさい・・」
フュリーはボロボロと涙をこぼしながら必死に謝る。
お尻は二倍近くにも腫れ上がっており、濃厚なワインレッドに染め上がっている。
肌に触れるとまるで熱した石炭のように熱かった。
「ふぇぇ・・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・ごめんなさぁい~~~~大佐ぁぁ・・」
フュリーは小さな子どものように泣きじゃくりながら謝る。
 「反省したのかね?」
そろそろ頃合いだと見たのか、ロイはお尻を叩く手を止めるとそう尋ねる。
「し・・してますぅ・・・ほ・・本当に・・すいません・・でした・・・」
しゃくり上げながら答えるフュリーに対し、ロイはさらに問いかける。
「では何が悪かったのかね?言ってみたまえ」
「ぺ・・・ペット禁止・・なのに・・・また・・・拾って来た・・こと・・です・・」
「そうだ。他には?」
「は・・ハボック・・少尉に・・迷惑・・かけたこと・・です・・・」
「そうだな。だが、まだあるのではないかね?」
「え・・・ええと・・あの・・」
ロイの言葉にフュリーは考え込む。
だが、中々出てこないせいか、ロイが問いかけた。
 「フュリー曹長、代わりの飼い主が見つからなかったら猫がどうなるかわかっているかね?」
「あ・・・」
上司の問いかけにフュリーは大佐が言いたいことを理解する。
「私は曹長が子猫を拾って来ただけのことで怒っているのではないのだよ。まぁ規則違反は困るがね。おおかた君は子猫をかわいそうに思ったのだろう?それは人として当然のことだろう。だが、飼えないとわかっていたはずだろう?それなのに拾ってきても結局また捨てるか、保健所へ引き渡すことになるのはわかりきっているはずだ。そちらの方が残酷でひどいとは思わないかね?」
「は・・はぃ・・・」
「よいかね、フュリー曹長、生き物を飼う以上はその相手に対して最後まで責任を持つということなのだよ。である以上、その責任を放棄するような真似をしてはならないのだよ。君の行為は後先も考えていない、まさにそういったことだ。だからこそここまで厳しくしたのだよ、わかるかね?」
「は・・はぃ・・。本当に・・・すいません・・でした・・・」
改めてそのことを考え、フュリーはしゅんとしてしまう。
「わかってくれればよいのだよ。フュリー曹長、私やホークアイ中尉とて鬼ではないよ。できる限り力にはなるつもりだ。せめて一言くらい相談して欲しかったよ。ここ最近どうも様子がおかしいので心配もしていたのだよ」
「すいません・・・心配までかけちゃって・・・」
「いいのだよ、こちらが勝手にしたことだよ。それよりきちんと医務室の方へ行ってきたまえ」
そういうとロイはようやくフュリーを膝から解放した。


 「うぅ・・・痛たた・・・・」
医務室のベッドの上でフュリーは痛みに顔を顰める。
「随分きつーく大佐にやられたみたいだなぁ、大丈夫か?」
「ええ・・多少は楽になりました・・。それより僕のせいで書類台無しにしちゃって・・本当にすいませんでした・・・」
「いいってそんなこと。それより子猫の方は大丈夫なのか?」
「ええ。大佐が心当たりを当たってくれるそうです」
「そうか。ならよかったな」
「ええ。これでやっと安心出来ます・・・」
そこまで言うとフュリーは疲れたのか目をつぶってそのまま寝入ってしまう。
 「お仕置き疲れってとこか?でもこのままだと風邪ひいちかうかもな」
そういうとハボック少尉はフュリーの背中に布団をかけてやる。
そして足音をたてないようにそのまま医務室を後にした。


 ―完―

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