食い意地の代償(最遊記より:三蔵/悟空)


 (注:最遊記を題材にした二次創作です。キャラのイメージがかなり異なっている可能性があります。許容出来る方のみご覧下さい)


 「ふぁぁぁ・・・・・」
まだ外が暗い時刻、あくびと共に宿屋の従業員達が起きだしていた。
従業員達は厨房で鍋をはじめとする調理器具の用意をする。
朝食の仕込み作業だ。
 「おい!いつまでも寝ぼけてるんじゃない!」
厨房の責任者らしい男がまだあくびをしている従業員達を叱咤する。
「す・・すいません・・・つい・・眠くて・・」
「ついじゃない!早めに寝ておけと言ってるだろうが!」
上司の剣幕に寝ぼけ眼の男達は必死に謝る。
何だかんだいいながらも仕込みの作業が始まった。
 それからしばらく経った頃、離れにある洗面所から活発そうな少年が出てくる。
悟空だ。
用を足しに来たようだが、まだ寝ぼけ眼でときどきウツラウツラしている。
昨夜は結構遅くまで仲間同士で騒がしかったようなので、そのせいだろう。
悟空は部屋へ戻ろうと歩いていると、ふとどこからともなくおいしそうな匂いがしてきた。
途端に悟空はパチリと目を覚ます。
本能に導かれるようにして、悟空は匂いの後を追う。
やがて厨房に近い、料理を載せたお膳を置いておく部屋へ入っていった。
 ゴクリ・・・・。
目の前にズラリと並べられたお膳や皿を見るなり、悟空は息をのむ。
泊り客全員の分を用意するため、そこには少なくとも十数人分のお膳や皿が並んでいる。
(う・・・うまそう・・・・・)
目の前に並べられた料理に悟空は食欲をそそられる。
本能的にフラフラとお膳へと近づくが、不意に三蔵の姿がフラッシュバックのように脳裏に現れた。
 「次またやったら許さねえからな」
脳裏の三蔵の言葉に悟空はハッとする。
何日か前、別の宿屋に泊った際に、宿屋が用意していた客用の夕食を食べてしまうということをやってしまったのだ。
おかげで宿屋には弁償の上で平謝りに謝らなければいけなくなり、当然三蔵からはきつーいお仕置きを受けた上で、二度とやらないと約束させられたのだ。
 そのときのことを思い出したのだろう、本能的に悟空は両手をお尻に回す。
だが、目の前のごちそうの山に悟空は目を離せない。
理性は食べてはいけないと言うが、そう思えば思うほど食べたくなる。
作りたてなのだろう、おいしそうな匂いが鼻をつく。
 グルルル・・・・。
悟空の食欲を察知したかのように腹の虫が鳴った。
もはや我慢の限界を超えたのだろう、悟空は脱兎の如き勢いでお膳に向っていた。


 「おい、何か妙な音がしなかったか?」
厨房で仕込み作業にかかっていた従業員の一人が仲間にそう言った。
「気のせいだろ?」
「いいや・・」
二人は互いに顔を合わせて耳を澄ます。
すると確かにお膳を並べておく隣の部屋から物音がしてきた。
「おい・・・まさか・・・」
従業員達は互いに顔を合わせると、緊張した表情を浮かべる。
皆、手を止めるとモップやまな板などを手にし、恐る恐る隣の部屋へ向った。
 ドアの前に立つと、従業員達はゴクリと息を呑んで扉に耳をつける。
すると確かに物音が聞こえた。
誰かいるのだ。
従業員達は再び顔を見合わせる。
いずれも緊迫した表情を浮かべていた。
彼らはドアの前に立つと、ジッとドアを見つめる。
今にも柄が折れんばかりにしっかりとモップを握りしめ、目を血走らせて見つめる。
額や手の甲からはジンワリと汗が吹き出し、だんだん息が荒くなってくる。
緊張と恐怖で震えながらも、従業員達は意を決してドアを破るようにして開け、中へ飛び込んだ。
 「うぶえっっ!!!」
あまりにも勢いよく飛び込んだ上、素人の悲しさで従業員達はまるで将棋倒しに中で倒れる。
お膳のご飯をつまみ食いしていた悟空は突然の乱入者にビクッとしてしまう。
ようやくのことで立ち上がった従業員達は食べかけの皿を手にしたまま硬直している悟空を見やる。
「あれ・・あんた昨日泊った坊さんの・・・って何だこりゃああ!!!」
悟空の背後にあるお膳を見るなり、従業員達は声を上げる。
最後の一膳を除き、全てのお膳がきれいさっぱり平らげられてしまっていたからだ。
「そ・・・そんな・・・夜中からの苦労が・・・・・」
ショックだったのだろう、従業員の何人かはヘナヘナと崩れ落ちるようにして倒れてしまった。


 ゴックン・・・・ゴクリ・・・・。
三蔵の後について廊下を歩きながら、悟空は息を呑んで三蔵を見つめている。
あの後、当然のことながら三蔵や八戒が呼び出されることになった。
八戒が平謝りに謝って、またきちんと弁償するということでようやく許してもらい、部屋へ戻るところなのである。
 (ヤッバ・・・完全に・・怒ってる・・・)
三蔵の後姿を見つめながら、悟空はそのことを感じていた。
もし、怒りが目に見えるものだったら、さながら怒りの火柱が燃え上がっているのが見えたことだろう。
怒りの熱気とでもいうべきものがひしひしと感じ取れ、無意識のうちに悟空は汗をかいている。
ようやく部屋へ戻って来ると、三蔵は悟空の方を向いた。
 三蔵と顔を合わせるなり、再び悟空は身を震わせる。
「な・・なぁ・・三蔵・・お・・怒ってる・・?」
ぎこちない素振りで悟空は尋ねる。
答えはわかり切っていたが、聞かずにはいられなかった。
「決まってんだろ・・・。おい、バカザル!」
不意に三蔵の語調が強くなり、悟空は本能的に身を固くする。
「この前言ったよな?今度やったら許さねぇってな」
三蔵の言葉に悟空は思わず後ずさる。
「わ、わ、悪かったってば!ごめんってば三蔵!」
後ずさりながら悟空は必死に謝る。
「謝れば済むとでも思ってんのか?」
だが、三蔵は許すつもりなど全く無く、容赦ない口調で問い詰めるように尋ねる。
「そ・・そうじゃないけど・・・」
「言い訳はいい。悪いと思ってんならさっさと来い」
三蔵はそう言うと膝を軽く叩いて示す。
だが、悟空は硬直して動こうとしない。
それどころか、後ろへ後ずさりしようとした。
「おい・・・いい加減にしねえと・・・百や二百じゃすまさねえからな・・・」
「に・・二百!?」
悟空は愕然とした表情を浮かべる。
三蔵ならば本当に二百回叩くかもしれない。
単なる脅しをいうような人物では無いことはよく知っていた。
身体が揺れ動いたかと思うと、飛び込むように悟空は三蔵の膝にうつ伏せになっていた。
 三蔵はやれやれといった感じで溜息をつくと、法衣を脱いでお仕置きしやすい格好になる。
同時に右腕を悟空の身体に回して押さえにかかり、ズボンを降ろしてお尻を出す。
「ひ・・・・!!」
外気がお尻に触れるのを感じ、また身体を右腕でしっかりと押さえつけられてしまうと、悟空は恐怖のあまりに上ずり声を洩らし、全身を震わせる。
恐怖を少しでも減らしたいのか、あぐらをかいて座っている三蔵の足に悟空は必死でしがみつく。
それを尻目に三蔵はゆっくりと左手を振り上げたかと思うと、悟空のお尻目がけて思いっきり振り下ろした。


 バアッシィ~ンッッ!!
「ひっっ・・・!!」
最初から強烈な一撃に思わず悟空は声を漏らし、背をのけ反らせる。
(よ・・予想はしてたけど・・痛ってぇぇ~~っっっ!!!)
バッチィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!バッチィ~ンッ!
「いっっ!!つっ!!ぐっ!ひいっ!」
身体をこわばらせ、或いは背をのけぞらせながら悟空は苦痛の声を上げる。
バアッシィィン!!ビッダァァンンッ!バッアァ~ンッ!バアッジィ~ンッ!
「ったく何やってんだ・・・」
お尻を叩きながら三蔵はお説教を始める。
最初からかなり強く叩いているせいだろう、始まったばかりだというのに悟空のお尻はほんのりピンク色に染まっていた。
 「この前言ったよな?宿屋のメシは盗み食いするなってな?忘れたのか?」
バアッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バアッジィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!
再犯ということもあるのだろう、三蔵はかなり厳しい口調でお仕置きを続ける。
「ひぃ・・!わ・・忘れて・・ねえっ・・てばぁ・・・!!痛ぇっっ!!」
足をバタつかせながら、悟空は必死に答える。
「だったら何で守れねえんだ?最初から破る気だったのか?」
バアシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッジィ~ンッ!バッアァ~ンッ!
「そ・・じゃ・・ねぇ・・よぉ・・でも・・」
「でもじゃねえだろ!」
バアッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バアッジィ~ンッ!バッアァ~ンッ!
「ひっっ!!痛っっ!!ひぃんっ!ぎゃあんっ!」
さらに容赦のない平手打ちをお尻に叩きつけられ、悟空は今にも膝から飛び上がりそうになる。
 「言いつけは破るわ・・・・」
バシンバシンと強烈な音と共に平手を振り下ろしながら三蔵はお説教を続ける。
「ひぃん・・!痛えっ!痛あっ!ひゃあんっ!」
悟空は悲鳴を上げながら足をバタつかせ、或いは身体を強張らせる。
ビッダァンッ!バアッシィ~ンッ!バッチィ~ンッ!バッアァ~ンッッ!
「性懲りもなく盗み食いするわ・・・・」
バッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!バアッジィ~ンッ!
「本当に何やってんだこのバカザルっ!!」
既に真っ赤に染まっているお尻に三蔵は容赦なく平手を叩きつける。
 「ごめんってばー、三蔵―っっ!!もうしねえよーっ!!」
許してもらいたいのだろう、悟空は必死に謝る。
「前もそう言っただろーが!少しは学習しろバカザル!一体誰が弁償すると思ってんだ!」
しかし、まだまだ許してやるつもりはないのだろう、三蔵は容赦なく悟空のお尻をさらに真っ赤に染めてゆく。
「だからごめんって言ってるじゃんかーーーーー!!!!」
泣き声混じりで悟空は必死に謝るが、それでも三蔵は激しく手を叩きつける。
「今日という今日は勘弁しねえ!百や二百じゃすまさねえからな!!」
叱っているうちに三蔵の方も怒りが強くなってきたのか、恐ろしいことを言いやる。
「そんなーーーっっ!!無理!!絶対無理だってーー!!」
悟空は泣き叫びながら言った。
三蔵の言葉が単なる脅しでは無いことはよく知っていた。
だから、本気で二百はお尻を叩くつもりなのがわかったのだ。
「無理!!絶対無理だって三蔵!!お尻壊れちまうって!!」
悟空は叫びながら必死にもがく。
幾ら自分が悪かったといっても、二百以上もお尻を叩かれたらとてもじゃないが耐え切れない。
「お前が約束も守れねえのが悪いんだろうが?口で言ってもわからなけりゃ尻に教えるしかねーだろうが」
「そんなーーーっっっ!!!」
再び、悟空は絶望の籠った絶叫を上げる。
その後、室内に悟空の泣き叫ぶ声と激しく肌を打つ音が響き渡った。


 「ひっひ・・・痛ってぇよぉぉ・・・・・」
悟空は三蔵の膝の上でグスグスと泣いている。
お尻は今や二回り近く腫れ上がっており、濃厚なワインレッドに染め上がっている。
表面はまるで熱した石炭のようにカッカッと熱を発しており、手が触れると火傷するかと錯覚するほどだった。
 「サル・・・・少しは反省したか?」
そろそろ頃合いだと見たのか、玄奘は少し口調を和らげて尋ねる。
「した・・してるってばぁ・・・も・・もぅ・・許してくれよぉ・・・」
「なら何が悪かった?言ってみろ?」
三蔵が尋ねると、悟空はしゃくり上げながら口を開く。
「く・・食いもん・・・盗み食い・・したぁ・・・」
「それから?」
「い・・言いつけ・・守んな・・かったぁ・・・・」
「多少は反省してるようだな・・。ったく・・・・世話焼かせやがって・・・」
そういうと、ようやく三蔵はお尻を叩く手を止めた。


 それからしばらく経った頃、三蔵が新聞を読んでいるとタオルを抱えて八戒が入ってきた。
「サルは?」
八戒が入ってくるなり、三蔵は尋ねる。
「まだ痛いんでしょうねぇ、泣いてましたよ」
三蔵の問いに八戒はそう答える。
先ほどまで悟空の世話をしていたのだ。
タオルを変える必要が会ったのでこっちへ戻ってきたというわけである。
「メソメソしてるようならお前が慰めてやれ」
「別に構いませんけどね。でも三蔵も少しは慰めてあげたらどうです?」
「そんなこと出来るかよ」
三蔵はそういうとやや不機嫌そうな表情を浮かべて新聞に目を戻す。
(やれやれですね・・・。自分だって心配なくせに・・・)
八戒は三蔵の無愛想な態度に苦笑しつつも、代えのタオルを用意すると再び部屋を後にした。


 ―完―
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