ダンジュー修道院・番外編3 栗祭り



 その日、マルセル村の教会は普段とは違った顔を見せていた。
教会の外壁や内部は装飾を施したランタンで飾りつけられている。
ランタンにつけられた飾りはあるものはイガグリの、別のものは栗の実の形をしている。
そのせいか、大きな栗やイガグリで教会が飾られているようだった。
 教会の正面にある広場のようなところでは、村の男性達が何やら作業をしている。
綱を引きながら木製の大きなポールを立てているのだ。
ポールには飾り付けがされており、さながら栗の木のように見えた。
「皆さん、お疲れ様です。一休みして下さい」
村人達がポールを立て終えると、お盆を持ったチサトが現れた。
「ああ、神父様、わざわざすまねえこってすな」
「いえ。こちらこそ色々お手伝いして下さってありがとうございます」
「構わねえっすよ。年に一度の栗祭りっすからねぇ。なぁ、ポールどん?」
「んだよ、シャルルどん」
「それにしてももう栗祭りの時期なんですね、楽しみですね」
チサトがそういうと村人達も頷く。
「んだんだ、おらぁもう若い時からこれが一番の楽しみべえよ」
「おらも若ぇときゃあ村一番の娘っ子と柱の周りで踊ったもんだべ」
「ほえ!おめえさまにもそんな若ぇ頃があっただぁか?」
「俺だって最初からジジイだったわけじゃねえべよ!」
「そいつは言えてるだ、ハハハハハハ」
村人達のジョークにチサトも思わずつられて笑みを浮かべる。
 栗祭りとは、秋の時期にマルセル村で行われる祭りだ。
マルセル村は豊かな栗林に恵まれており、太古から栗は村人と共にあった。
実際、村の外れに存在する古代の遺跡からは栗の跡や、栗に関する宗教的な儀礼の品などが出土している。
村に残された中世の史料などを見ても、麦に劣らず、いや時代によってはむしろ栗の方が重要な産物であり、年貢として求められるものでもあった。
現代でもその状況は変わっておらず、栗は村の主要な収入源の一つとなっている。
 そんな歴史は当然のことながら、栗に関する祭礼や信仰を生みだした。
ローマによる征服以前に存在した先住民達は栗を育てる大地の女神や栗の木の精を崇めていた。
時がたち、キリスト教が入ってくると、女神や木の精は聖母マリアや木を守る天使へと置き換えられた。
やがて古い時代の信仰とキリスト教の信仰とが入り混じり、それが栗祭りを生んだ。
この祭りでは、教会の庭に立てられた柱の周りで村人達が夜を明かして踊り、また聖母マリアと栗の天使と呼ばれる天使の像を載せた神輿のようなものが村を練り歩いたりする。
さらに、栗にまつわるマリアや天使の言い伝えを題材にした伝統芸能も披露されたりするという。


 ブロロロロロ・・・・。
不意にエンジンの音がしたかと思うと、トラックが二台ほど入ってくる。
「おーい!舞台持ってきたぞ~!!」
運転席から降りた村人は既に境内で祭りの準備作業をしていた者達に声をかける。
するとチサトを含めて村人達が集まってきた。
「ジュールさん、お疲れ様です」
チサトは運転手にそう挨拶する。
「なぁに、いいってことですよ。おーい!運んでくれやー!!」
そういうと、トラックの荷台から体格のいい男達が降り、他の村人達と共に柱やばらばらの床板といった舞台の部品を降ろす。
これらを庭に組み立てて舞台を作るというわけだ。
 「あ、そうそう。神父様、来る途中に客を拾ったんだよ」
「客?」
「ああ。おーい!お客さん方!」
ジュールは後ろのトラックの荷台の方を向くと、荷台から降りかけていた二人組に声をかける。
少しすると客が姿を現した。
一人はいかつい体格で真っ赤な髪の持ち主、もう一人は女性が放っておかない美貌をした銀髪の人物。
「バルバロッサさん!ラウールさん!」
チサトは嬉しそうな表情を浮かべると二人に近づく。
「チサちゃん、お久しぶり~」
「また来たで、チサト」
「一体どうされたんですか?びっくりしましたよ」
嬉しさと驚きの混じった表情を浮かべてチサトは尋ねる。
 「話せば少し長いんだけどね。うちの教会の信徒さんとの交流会をやろうってことになったんだけどさ、それでどこか静かな田舎で何日か過ごそうなんて企画が出たの」
「それで候補地探しってんでこっちまでまた来たってことや」
「そうだったんですか~。あっ!すいません!こんなところに立たせっぱなしで!」
「お二人さんともチサト神父様の知り合いべぇか?」
チサトが久々の体面に思わず話をしていると、村人の一人が尋ねてくる。
「ええ、チサちゃんとは同じ修道院で過ごした仲ですよ」
「へぇ、そりゃ知らなんだべぇな」
「それにしても神父さん方もええときに来ただぁよ。明日は年に一度の栗祭りだべよ。是非見てってくんろ」
「ええ、楽しみにしてますよ」


 そして祭の当日・・・・。


 パチパチ・・・パチパチパチ・・・。
庭の一角から何かが爆ぜるような音が聞こえてくる。
音の源は庭に並べられたドラム缶。
ドラム缶は下の方が切られて中に火をくべることが出来るようになっており、また一番上を切り取って、大きな鍋をかぶせていた。
ドラム缶の中では火が燃え盛っており、載せられた大きな鍋をあぶっている。
鍋の中には切り込みを入れた大量の栗が音を立てながら焼かれていた。
 ドラム缶の傍では、祭の準備に参加している村人達が火加減をジッと伺っている。
彼らは火の様子を見ては薪をくべていた。
「皆さん、足りそうですか?」
村人達が焼き栗の調理をしていると、チサトが様子を見に来る。
「ええ、大丈夫ですよ」
「そうですか。あっ、すいません。ちょっとでいいんで焼き栗を分けてもらえますか?マリア様にお供えしておくのを忘れちゃったので」
「ええですよ」
村人の一人はそう答えると、コーンを逆さにしたような紙製の包みを用意し、軍手をした手で焼き栗を詰め込む。
「ほい、神父様、どうぞ」
「わざわざすみません。それじゃ、お供えしてきますね」
そういうとチサトは建物の方へ戻っていった。
 祭の最後に像を載せたみこしが入るためか、礼拝堂内の椅子は片付けられている。
堂内は通常の教会同様、聖書を題材にした絵や彫像を刻んだ柱、聖人や天使の像などで飾られている。
それに加えて栗型の覆いをつけたランタンや栗をイメージした飾りなどによって鮮やかに飾りつけられていた。
 チサトは焼き栗を抱えたまま、壁際に沿って歩いてゆくと、アーチ状の出入り口を潜る。
すると、広さ六畳ほどの木造の部屋に入り込んだ。
四方の壁や天井には栗畑や栗林、その中で農作業や栗拾いに従事する村人、或いはそれを温かく見守る天使の姿が描かれている。
部屋の奥には小さな祭壇が置かれ、像が鎮座している。
像は女性のもので慈しみに満ちた温かい笑みを浮かべている。
聖母マリアの像だ。
マリア像は何やら大事そうに何かを抱えている。
普通ならば赤ん坊のイエスなのだろうが、この像は別のものを抱いていた。
像が抱いているのは栗の苗木。
像はかなり長い年月を経ているのだろう、古びた感じで塗りがはがれかけている部分もある。
だが、大切にされているのを示すかのように、みずみずしい花が捧げられ、全てのロウソクに火がともされている。
この像は「栗のマリア」と呼ばれる像で、古くから村に伝わっている聖母像だった。
栗農家を中心として村人達に大切に守られ、現在にまで伝えられてきた。
実際、フランス革命期には、教会や修道院へ襲いかかった革命の狂気から命がけで村人達が秘匿し、守り抜いたという。
 チサトは祭壇の前に立つと、一回頭を下げて敬意を示す。
そして祭壇上の供え物用の皿に焼き栗を供えると、再度祈りの仕草をし、祈祷の言葉を唱えて部屋を後にした。
 (そろそろラウールさん達も戻ってくるだろうし、準備も一段落するからお茶とお菓子を用意しておかないと・・・)
礼拝堂に再び出たチサトは、壁にかけてある時計を見つめると、そんなことを考えた。
(あれ・・・?)
ふと、チサトは壁掛け時計の周囲を見回してあることに気がついた。
掛け時計からやや離れたところにある窪みに飾られている聖人像に飾りがつけられていないのだ。
高くて目立たないところにひっそりと置かれている像だから誰も気づかないで忘れてしまったのだろう。
(確かまだ飾り余ってたはず・・・・)
チサトはそう考えると、飾りと梯子を取りに出て行った。


 「どうですだか、神父様方?お役に立てましたがいのう?」
朴訥な感じの中年男性が先に立ちながら教会への帰り道を行くラウールとバルバロッサに話しかけていた。
「ええ、色々と詳しく教えて下さったので助かりましたよ。これで企画も安心です。ねぇ、バルバロッサさん?」
「そうですわ。ほんまにありがたいですわ」
「へぇ、それなら何よりですわ」
 「でも意外でしたねぇ。バルバロッサさんのこと恐がらなかったなんて」
「どういうこってすかいの?ええと・・ラウール神父様?」
名前に自信に無いのか、疑問形でラウールに村人が尋ねる。
「実はですね、バルバロッサさん、見た目がコレでしょう。だから初対面の人だとビックリしたりするんですよ。子供さんとかだと泣いちゃったりするんです」
「あ~。確かに~。映画の悪党みたいな顔ですがいのう」
村人は納得した表情で頷く。
それを見たバルバロッサは思わず苦笑する。
「でしょ?だから意外に思ったんですよ」
「普通ならそうですがいな。んでも、神父様方はチサト神父様のお知り合いですがいのう。だったら悪い人はおらんですがいな」
「チサトは村の皆はんに信頼されとるんですな」
「へぇ。しょっちゅう村の皆を見舞ってくれたり、子供らと遊んだりしてくれとりますがいのう」
「まぁ前にも来たんで大丈夫だと思ってはおったんやが・・それを聞かせてもろうてありがたいですわ」
「何を言いますがいな。私らこそ神父様方のお役に立ててよかったですわ」
そんな会話をしながら、一行が教会へ戻ってきたそのときだった。
 庭へ入ると、ふと村人達がどやどやと礼拝堂へ向ってゆく。
「何だ・・?何かあったのか?」
三人とも訝しげな表情を浮かべ、案内役の村人が近くにいた人間をとらえて尋ねた。
 「どうしたがいの?何があっただか?」
「ああ。何だかわかんねえけど、礼拝堂からでっけえ物音がしたべぇよ。それとチサト神父様の悲鳴だか叫び声だかぁも」
それを聞くなり、バルバロッサとラウールも走り出していた。
「あっ!神父様方っ!待ってくれべえよっ!」
案内役の村人も慌てて追いかけ、堂内へ入っていった。
 「神父様、大丈夫ですか!」
「おい!電話だ!診療所の先生にすぐ来てもらえ!」
堂内に駆けつけた村人やバルバロッサ達が見つけたのは床にぐったりした状態で倒れ、気を失っているチサトの姿。
傍らには梯子があり、また落下の衝撃で砕け散った粗末な聖人像やら、祭り用の飾りなどが散らばっていた。
 「像に飾りつけしようとして・・・滑り落ちただか?」
「そうだべぇな」
村人達の会話や現場の状況から、バルバロッサ達もそう判断する。
「すんまへん、どこか安静に寝かせておけるとこはありまへんかいな?ここで放っとくわけにはいきませんやろ?」
その言葉に村人達もわれにかえる。
「そうだ!忘れてた!チサト神父様をベッドに運ぶべよ!」
「おい!先生はまだか!?」
「今電話したとこだって!」
「ええい!話してる暇があったら神父様を運べって!!」


 目を覚ましたチサトは自分がベッドにいることに気づいた。
「あれ・・・?ここは・・・」
「おう、気づいたんか」
呼びかけられて振り向くと、バルバロッサの姿があった。
「あれ・・バルバロッサさん・・どうし・・・」
途中まで言いかけて、チサトは自分が梯子を滑り落ちたことを思い出した。
「その様子だと思いだしたようやな?」
「はい・・。高い所に置いてあった像に飾りをつけようとして・・・滑っちゃったんです」
「さっきまで村の医者にいてもろうたんやが・・・。医者もそう言っとったわ」
「あの・・。像は・・・?」
チサトは恐る恐る尋ねる。
「像か・・・。残念だが粉々や」
「うぅ・・。やっぱり・・・」
ある程度予想はしていたが、それでも教会のものを壊してしまった事実に思わずチサトは落ち込んでしまう。
 「チサト・・・わかっとるな・・?」
バルバロッサはチサトにそう問いかける。
「は・・はぃ・・」
教会のものを壊すようなことをしてしまった以上、どうなるのかは昔の経験でよく知っていた。
バルバロッサは一緒に看病していたラウールに顎をしゃくってみせる。
言わんとしているところを察したラウールは看病を手伝っていた村人を巧みに説得して村人と一緒に部屋を後にした。
 二人きりになるとチサトはゆっくりと立ち上がり、バルバロッサの傍へ行く。
脇に立つと、ジッとバルバロッサの膝を見つめる。
自分が悪いのだからお仕置きされても当然とは思うものの、お仕置きに対する恐怖や恥ずかしさから、どうしても尻ごみせずにはいられない。
「チサト・・・・」
静かだが有無を言わせない調子でバルバロッサが呼びかける。
その声を聞くなり、チサトは今にも飛び上がりそうになり、ギクリと身を強張らせる。
慌てて飛び込むようにしてうつ伏せになる姿に、バルバロッサは思わず苦笑を浮かべかけるが、すぐに真剣な表情に戻ると、神父服を捲りあげ、ズボンを降ろしてお尻を出す。
 「ひ・・・・・」
恐怖の籠った声を漏らし、チサトはバルバロッサの神父服の裾を掴むと、本能的に目をつぶり、お尻にキュッと力を入れる。
バルバロッサは左手でチサトの身体を押さえ、右手に丹念に息を吐きかける。
「行くで・・・。ええな?」
チサトが黙って頷くと、バルバロッサはゆっくりと右手を振り上げた。


 バシィンッ!!
「あ・・・」
強烈な平手打ちにチサトは思わず身体を強張らせ、声を漏らす。
バシィンッ!ビダァンッ!バアジィンッ!バアアンッ!
大きく節くれだった力強い手が、大きな音と共にチサトの白いお尻に振り下ろされ、ほんのり手形を肌へ刻み込んでゆく。
 ビッダァンッ!バアッジィンッ!ビッシャアンッ!バッアァンッッ!
「ったく・・・昔から言うとるやろ?もっと周りに気をつけえやって?」
バルバロッサは強めにお尻を叩きながらお説教を開始する。
バアッシィンッ!ビッバダァンッ!バアッジィンッ!ビバアッジィンッ!
チサトは声を漏らすまいと必死に口を閉じるが、その分感じる苦痛が増し、だんだん痛みに堪え切れなくなってくる。
 バアジィンッ!ビバダァンッ!バアアアンッッ!ビバジィィンッッ!
「・・っ・・・ぁ・・・っ・・・ぅ・・・」
やがて、耐え切れなくなったチサトの口から微かにうめき声が漏れ始めた。
「それが・・・性懲りもなく・・ドジなんぞしおってからに・・・」
見習い修道士の頃から全然変わっていないドジぶりにさすがに呆れた口調でバルバロッサは説教をする。
「それも・・・・教会のもん壊しちまいおって・・・しかも・・怪我までしかけおってからに・・・」
ビッダァ~ンッ!バアッジィ~ンッ!バアッシィ~ンッ!バッアァ~ンッ!
お説教をしながらバルバロッサは平手の勢いを強める。
 「ひ・・きひ・・ひゃ・・あんっ・・・」
さらなる痛みにチサトはより大きな声を漏らす。
ビッダァ~ンッ!バアッジィ~ンッ!ビッシャア~ンッ!バアッジィ~ンッ!
「ひゃんっ・・ひんっ・・ごめ・・ごめんなさい・・」
苦しげな表情を浮かべながらも、チサトは必死に謝る。
「ちぃとたるんどるんやないのか?全く!」
バアッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バアッジィ~ンッ!ビッバダァ~ンッ!
「きゃんっ!ひぃんっ!ひっ!きゃあっ!」
さらに平手の勢いが強くなり、チサトのうめき声は悲鳴に変わる。
 バッア~ンッ!ビッダァ~ンッ!バアッジィ~ンッ!ビッシャア~ンッ!
「きゃんっ!ごめんなさいっ!ひゃあんっ!ごめんなさいっ!」
降り注ぐ平手打ちに今やすっかりお尻は真っ赤に染め上がってしまっている。
「ごめんなさぁいっ!ひゃんっ!ごめんなさいっ!ああんっ!ごめんなさ~いっ!」
やがてチサトは両脚をバタつかせ、叫ぶようにして謝る。
「ごめんなさいは当たり前やろが!全く!何で怒られとんのか、わかっとるんか?」
厳しい声でバルバロッサはお尻に平手を叩きつけながらそう問いかける。
「ひぃん・・。教会の・・もの・・壊しちゃって・・ごめんなさいぃぃ・・・」
「他には?もう一つ・・・もっと大事なのがあるやろが?」
「え・・ええと・・・その・・」
お仕置きで頭の動きが鈍ってしまっているからか、チサトは必死に考える。
ビッダァ~ンッ!バンバンバンバンバンバンバンバンバンバアンッ!
「きゃああっ!痛ぁぁいっっ!ひぃぃんっ!ごめんなさぁぁいっっ!!」
大雨のような平手の嵐にチサトは悲鳴を上げて必死に許しを乞う。
「謝りゃええってもんじゃないやろが!」
「ふぇぇ・・ひぃん・・。で・・でも・・わかんないです・・ごめんなさい~~~!!」
苦痛のあまりに泣き出してしまったチサトの姿にさすがに嘘はないと思ったのだろう、バルバロッサは一旦手を止めると、チサトは抱き起こす。
 「ええか?聖像をぶっ壊しただけなら俺だってここまで怒らへんわ。じゃがなぁ、お前さんが気絶して、俺や村の衆がどんなにビックリしたか、わかっとんのか?」
「あ・・・」
チサトはようやくバルバロッサの言いたいことに気づく。
「昔もよく言うたがな・・・人に心配かけるようなことは絶対にしたらあかんで。そこのところをちゃんとわかって欲しいから、厳しくしたんや。わかったな?」
「はい・・。心配かけて・・ごめんなさい・・」
「わかってくれたんやな。ええ子や」
バルバロッサは表情を和らげると、昔のようにチサトを抱きしめてやる。
そして頭を撫でてやった。


 夜の闇の中、教会に飾りつけられたランタンの明かりが幻想的な雰囲気を醸し出している。
賑やかな音楽と共に柱の周囲では村人達が踊っていた。
「わぁお、すごいや」
ラウールは踊る村人達を見ながら、感嘆の声を漏らす。
「どうです、バルバロッサさん、ラウールさん?」
チサトは振舞い用のビールを二人に差し出しながら尋ねる。
 「賑やかで、皆楽しそうやなあ」
「ええ。皆さん、心から楽しんでらっしゃってますよ」
チサトが祭りを見物しているバルバロッサ達にそう言っていると、ジュースを抱えた村の子供達がやって来る。
「チサトお兄ちゃん、こんばんは~」
「あ、皆も来てくれたの?」
チサトは身体を屈めて子供と同じくらいの視線になって尋ねる。
「うん。ね~、一緒に踊ろー」
子供達は神父服の裾を引っ張りながらチサトを踊りに誘う。
「うん。それじゃ踊ろっか」
「わ~い、やった~」
はしゃぐ子供達と一緒にチサトは踊りの仲間へ入ってゆく。
バルバロッサはそんなチサトに、優しく見守るような視線を向けながら、ビールを傾けていた。


 ―完―
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theme : 自作小説
genre : 小説・文学

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こんにちはvv

未来のチサトちゃんのお話だったんですね~
チサトちゃんは神父さんになってもドジっ子ちゃんなんですねvv
そこが可愛いです(●^o^●)
栗拾いも秋を感じられていいですね。
山田さんのお話は毎回光景が目に浮かぶようです。

レス

 はい、未来のチサの話なんですよ、今回は。
性格って大きくなっても変わらないところがあるだろうなぁ、と思いまして神父になってもドジっ子のままでした。でも、可愛く思ってもらえまして何よりです。
 栗祭り、秋を感じていただけたようで、そちらの方もありがたいです。そうですね、自分でも映画みたいにビジュアル的に光景が浮かべられるように~と心掛けているので、目に浮かぶようと言っていただけまして幸いです。
プロフィール

山田主水

Author:山田主水
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