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ダンジュー修道院31 早朝の礼拝



 ギュイインンンーーーーッッッ!!
「イエアーッ!ファッキンガーイズ!!」
激しくギターをかき鳴らす音と共に、放送禁止になりかねない歌詞が歌いあげられる。
「ゴートゥヘル・ハウンド!ゴートゥヘル・ハウンド!!」
激しく楽器を演奏し、PTAのおばさん連中などが聞いたら眉をしかめそうな内容の歌を歌う、異様な化粧とコスチュームに身を包んだバンドマン達のステージの下では若者達が熱狂的な状態になり、踊っている。
 ここは繁華街にあるライブハウス。
最近人気が出てきたヘビメタだかデスメタルだか、とにかくそういう系統のバンドグループの一つ「ヘル・ハウンド」なるグループのライブの真っ最中だった。
 「イエーッ!イエァーッ!ゴートゥヘル・ハウンド!ゴートゥヘル・ハウンド!」
ノリノリになって叫び、或いは踊っている観客の若者達の中に、ラウールの姿もあった。
周りの若者達とほとんど変わらない格好で、我を忘れたように熱狂的に叫び踊る姿はとても修道士とは思えない。
ヘル・ハウンドの歌と演奏に合わせ、若者たちの踊りや叫び声のような歓声はヒートアップする。
ラウールも一緒になり、ライブが終了するまで熱狂の渦の中で踊り続けていた。


 月が夜空で輝いている時刻。
修道院に通じる、森の中の小道に寄り添うようにして今は廃屋と化した、かつての森番小屋が立っている。
その中で、懐中電灯を手にして誰かが待っている。
懐中電灯の光が緑の髪を映し出す。
チサトだ。
 「まだ・・・かなぁ・・・」
ドアの外から道を幾度も見やりながらチサトは不安そうに呟く。
何度も道を見ては、院の建物の方を見やる。
そんなことを繰り返しているうちに、やがてラウールが帰って来るのが見えた。
 (ラウールさん!ラウールさん!)
チサトは周りを憚りながら帰ってきたラウールに声をかける。
(チサちゃん。出迎えてくれたの?)
チサトの姿に思わずラウールはそんなことを言う。
(何言ってるんですか!?早く着替えて下さい!もうすぐ礼拝が始まっちゃいますよ!)
(わかってるってば)
ラウールは廃屋に入ると、急いで修道服に着替える。
もう長い間使われていない廃屋のため、滅多に人は来ない。
そこに目をつけて、ラウールは夜遊びに必要な衣服やお金などをここに隠していた。
急いで着替えを済ませると、夜陰に乗じて二人は小屋を後にし、何事もなかったかのようにして院へ戻った。


 まだ外が薄暗い時刻、礼拝堂ではいつものように早朝のミサが執り行われている。
重厚かつ荘厳なパイプオルガンの音が響き渡る中、讃美歌集を広げて修道士達は歌う。
チサトもラウール共々、修道士達の末席で歌っていた。
 (あれ?)
歌いながらもチサトはチラリと隣のラウールを見やる。
するとラウールは項垂れ、目も閉じかけてしまっている。
(ラウールさん!ラウールさんってば!)
慌ててチサトは軽くラウールを叩く。
ラウールはハッとした表情を浮かべると、すぐに姿勢を正して歌に戻る。
それを見たチサトはホッと安心した表情を浮かべる。
ミサをはじめとして修道院では一日に数回、決まった時間に礼拝堂での祈りが行われる。
修道院の生活の中では一番大切なものであるため、遅刻や居眠りなどといったことをやらかせば当然叱られてしまう。
だからこそ、戻って来るラウールを待ち構えて、皆にばれないように戻る手伝いをしたのである。
 しばらくラウールは歌っていたが、また少しずつ睡魔が襲ってきてはトロンとした表情になる。
(寝ちゃダメですってば!ラウールさん!)
アイコンタクトとばれない程度の身振りで必死にチサトはそう訴える。
(そう・・言っても・・無理・・無理だよぉ・・)
ラウールはあくびが出かけるのを必死に堪えつつ、アイコンタクトで応答する。
夜じゅう踊って遊んでいたツケはやはり大きい。
寝てないのだから否応なしに眠気が襲ってくる。
睡魔と必死に戦おうとするものの、踊り疲れた体は本能的に睡眠を求める。
 (どうしよう・・どうしよどうしよどうしよう・・)
チサトは隣でハラハラしてしまう。
このままだと他の修道士達にも気づかれてしまいかねない。
居眠りだけなら多少叱られるくらいで済むかもしれない。
しかし、ラウールが規則破りの常習犯なのは周知の事実。
となれば何故居眠りしている?と理由を探られる危険も十二分にあるわけだ。
そうしたらまた夜遊びしたことがバレてしまう。
その後のことはチサトには嫌というほどわかっていた。
 (このままじゃラウールさんまたお尻叩かれちゃう!)
チサトはラウールが寝ないように手や肘で周りにばれないように触れたり小突いたりする。
しかし、所詮は焼け石に水、ラウールは今にもいびきをかいてそのままぶっ倒れてしまうのではなかろうかと思えてくる。
(ダメ・・寝たら・・ダメ・・)
ウツラウツラするラウールに完全に気を取られてしまっていたためか、チサトは我を忘れて叫んでしまっていた。
「ダメ~~~ッッッ!!寝ちゃダメです~~~!!!!」
大声で叫んだため、周囲はハッとした表情を浮かべ、礼拝は中断状態になってしまう。
 (や・・やっちゃった・・・・)
チサトは顔から血の気が引く。
大声を出して礼拝を中断させてしまった。
恐る恐る周囲を見回してみると、バルバロッサがゆっくりとこっちへやって来る。
 「チサト・・・」
「は・・はい・・!!」
ギクリと身を強張らせつつチサトは返事をする。
「懺悔室で・・・待っとれ・・・」
萎れた花のように項垂れると、チサトはトボトボと礼拝堂を後にする。
さすがに、ラウールも同情と罪悪感が混じったような目を向けてその背中を見送る。
 「おい・・・」
不意にバルバロッサに呼びかけられ、慌ててラウールは返事をする。
「な、何ですか?」
「お前も一緒に行けや」
「え?な、何で!?僕、何も・・」
思わずラウールは抗議しようとするが、ジロリと睨まれてしまう。
とても嫌とはいえない雰囲気にラウールも萎れたような様子で礼拝堂を後にした。


 早朝という時間のせいか、普段よりも冷たく感じる懺悔室の石床の上で、二人とも落ち着かない様子で正座している。
「ラウールさぁん・・・」
「何・・チサちゃん?」
「もしかして・・バレちゃってるんじゃ・・・」
不安そうな声でチサトが言うと、ラウールはギクッとする。
「こ、怖いこと言わないでよ!!」
「ご、ごめんなさい。でも・・僕だけじゃなくてラウールさんまでってことは・・・」
「それ以上言わないでってば!ますます怖くなるから!!」
「ご、ごめんなさい」
二人ともそれ以上は何も言わず、押し黙ってしまう。
だが、二人とも無意識に夜遊びのことがばれたのではと感じていた。
 大声を出して礼拝の進行を妨げただけならば、呼び出されるのはチサトだけのはずだ。
しかし、ラウールまで呼ばれたということは、夜遊びのことがバレているかもしれない。
少なくとも、先ほどのチサトの行為にラウールが絡んでいると察しているのだろう。
そう思うと二人の身体が無意識にブルブルと震えてくる。
 不意に、ドアが開く音がした。
思わず二人が振り向くと、バルバロッサが入って来る。
ゆっくりとこちらへ近づいてくるバルバロッサは両手に何かをぶら下げている。
ぶら下げているものをジッと見つめているうちに、二人の表情が変わる。
やがて、バルバロッサが立ち止まったかと思うと、正座している二人の前に持っていたものを投げ出した。
 ドサッという音と共に二人の前に投げ出されたのは靴とラフな服が入ったバッグ。
「こ・・これ・・・」
「院の裏手から街に抜ける途中にある森のボロ小屋に隠してあったもんや」
静かに言うバルバロッサに二人は互いに顔を見合わせる。
 「おい・・・ラウール・・」
バルバロッサは身体を屈めたかと思うと、有無を言わせない口調で呼びかける。
「は・・はいっ!!」
今にも飛び上がってしまいそうな声でラウールは返事をする。
「ちぃと調べてみたが・・・ごく最近、着たもんや。小屋もよぉ調べたが、誰も使っとらんはずやのに人が出入りした跡があったわ。しかも、残っとる靴跡調べたら、お前さん達のやったで」
バルバロッサの言葉にラウールはどんどん汗を噴き出す。
それをしばらくの間バルバロッサは見つめていたが、やがて静かに口を開いて尋ねる。
 「おい・・また性懲りもなく夜遊びに出てやがったな?」
「うぅ・・しました・・・」
証拠を突きつけられた以上、言い逃れは出来ない。
ラウールは諦めた様子で白状する。
「やっぱりか・・。ったくしょうのないやっちゃな。それはそうと・・チサト・・」
「は・・はいっ!!」
チサトはブルブル震えながら返事をする。
「お前さん・・奴の尻ぬぐいを手伝ってやったな?」
「は・・はい・・。ごめんなさい・・・」
「ごめんなさいじゃねえだろうが・・。事後従犯みたいな真似しやがって・・・」
バルバロッサは呆れたような口調で言う。
ラウールを庇おうという気持ち自体はわからなくもないが、だからといってラウールの悪事を隠したり、またそのためにチサトまで規則を破って勝手に夜修道院を出て行くようなことまでしてしまった。
それは勘弁してやるわけにはいかない。
 「チサト・・・悪いと思ってんなら・・わかっとるな?」
「は・・はい・・」
お仕置き用の椅子に腰を下ろし、膝を叩いて示すバルバロッサにチサトは頷いて返事をする。
ゆっくりと立ち上がると、恐る恐るチサトはバルバロッサの方へ近づいてゆく。
いつものように膝の上にうつ伏せになると、あっという間にお尻をむき出しにされてしまう。
 「行くで、ええな?」
そう尋ねられると、チサトはバルバロッサの上着の裾を両手でしっかり握りしめ、黙って頷く。
バルバロッサは左手でチサトを押さえつけると、ゆっくりと右手を振り上げ、チサトのお尻目がけて振り下ろした。


 パアシィンッ!!
「きゃあんっ!!」
肌を打つ音と共に甲高い悲鳴が上がる。
小ぶりなお尻に赤い大きな手形が浮かび上がり、間髪入れずに平手が振り下ろされる。
 パアンッ!ピシャアンッ!パアアンッ!パチィンッ!
声を漏らすまいとチサトは必死に口を閉じ、耐えようとする。
ピシャンッ!パアアンッ!パッチィンッ!パアシィンッ!
「ったく・・・何をやっとるんやお前さんは・・・」
いつものようにお尻を叩きながらバルバロッサはお説教を開始する。
ピシャ~ンッ!パアッア~ンッ!パッシィ~ンッ!パッアァ~ンッ!
「っ・・・ぁ・・・ぅ・・・っ・・」
苦しくなってきたのか、微かにうめき声がチサトの口から漏れ始める。
ピシャアンッ!パアア~ンッ!パアシィ~ンッ!ピッシャ~ンッ!
「お前さんまで規則破って勝手に夜中外に出るわ・・・・」
パアシィ~ンッ!ピシャア~ンッ!パアッア~ンッ!パッシィ~ンッ!
「ひぃん・・ひゃん・・あっ・・ひぃん・・・」
より表情が苦しげなものに変わったかと思うと、チサトのうめき声はさらに大きくなる。
お尻も全体がほんのりと朱に染まり始めた。
 「それも・・・性懲りも無く夜遊びなんぞするバカ野郎のために・・・尻ぬぐいなんぞしおってからに!何考えとるんや!!」
バッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!バッチィ~ンッ!
「きゃあああんんっ!痛いぃぃ!!ひぃんんん!!」
突然、平手打ちが強烈なものに変わり、チサトは背をのけぞらせて悲鳴を上げる。
バッシィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!バッチィ~ンッ!
「きゃああ~んっ!ひぃんっ!ごめんなさいっ!ごめんなさぁぁ~いっっ!!」
チサトは悲鳴を上げ、両脚を激しくバタつかせる。
「ごめんなさいは当たり前やろうが!ったく人様の悪事の片棒担ぐような真似しやがって!!」
バルバロッサはそういうと激しくチサトのお尻を叩く。
悲鳴を上げながら全身でチサトは苦痛を現すが、容赦なくバルバロッサの平手がチサトのお尻をワインレッドへと染めていった。


 「ひ・・ひぃうえん・・ふぇぇ・・・ごめんな・・さぁいい・・・」
チサトはボロボロ涙をこぼしながら謝る。
お尻は今や二回りくらい大きく腫れ上がっており、濃厚なワインレッドに変わっている。
「反省しとるか?」
そろそろ頃合いだとみたのだろう、バルバロッサはお尻を叩く手を止めて尋ねる。
「ひぃん・・してますぅぅ・・・。ごめんなさぁぁい・・・」
「なら何が悪かったんか言えるな?」
バルバロッサが尋ねると、頷きながらチサトは答える。
 「ひぃん・・・。夜中・・勝手に外出て・・・ラウールさんの・・規則破り・・隠すの手伝った・・・」
「そうや。ちゃんとわかっとるな」
バルバロッサはチサトを起こすと、膝抱っこしてお尻を撫でてやりながら言う。
 「ええか。俺ゃあただ礼拝を妨害するような真似したから怒ったわけやないで。お前さんが友達思いなのはよぉ知っとる。それは悪いこっちゃない。でもな。だからってお前さんまで規則破って勝手に夜中外出たり、しかも人の悪さを隠すような真似するのはよくないこっちゃ。幾ら友達のためでも悪さの証拠を隠すのを手伝えばお前さんもワルの仲間入りや。それに夜中外に出たりしたら危ないやろ?お前さんにはワルにはなってもらいたないし、危ない真似もしてもらいとうはない。わかってくれるか?」
「はい・・心配かけたりして・・ごめんなさい・・・」
「よしよし。尻痛かったやろ?すぐ医務室連れてってやるからな」
バルバロッサはお尻を撫でてやりながらチサトを抱き上げると、そのまま懺悔室を後にする。
しばらくして戻ってくると、今度はラウールをジッと見据える。
 「おい・・・ラウール・・」
「は・・はいっ!!」
「覚悟は・・・ええな?」
「ひ・・そ・・そんな・・・」
ラウールは恐怖に思わず後ずさる。
本能的にラウールはドアに向かって走り出すが、すかさずバルバロッサに捕まってしまう。
 「い・・いやああ~~~~!!!離して~~~~!!!」
「離してじゃねえ!!てめえ一人が規則を破るならいざ知らず・・・チサトにまで破らせるわ、テメエの悪さの尻ぬぐいなんぞさせやがって!!」
「ひぃん・・僕が頼んだわけじゃ・・ないですよぉ~~~!!!」
ラウールは必死に弁解する。
「馬鹿野郎!!長い付き合いならチサトがどういう子かわかっとるだろうが!!」
バルバロッサは思わず声を荒げる。
今回の件は確かにチサトが自分の意思でやったことだ。
だが、親友どころか兄弟といってもいいくらい気心の知れた間柄、ラウールにはチサトが自分のことを心配して外に出てきたり、ラウールの外出がばれない工作を手伝ったりするのはわかっていたはずだ。
にも関わらず、チサトの性格に甘えて尻ぬぐいを手伝わせ、結果として事後従犯とでもいえる立場にチサトを置いた。
夜遊びによる規則違反という自分の不始末を隠さんがため、他人もその不始末に巻き込むその根性がバルバロッサには許せなかった。
 「今日は百や二百じゃ勘弁しねえからな!覚悟しやがれ!!」
「いやああ~~~!!チサちゃん助けて~~~!!」
「馬鹿野郎!!チサトに助けを求めんじゃねえ!!」
バルバロッサは椅子の方までラウールを引っ立てて行く。
その後、激しく肌を打つ音に怒声や悲鳴が入り混じった音が小一時間に渡って響き続けた。


 「ひっぐ・・うぇぇん・・痛いぃぃ・・・」
ラウールはベッドの上でボロボロと涙をこぼしていた。
お尻はチサトとは比べ物にならないくらい大きく腫れ上がり、色もワインレッドどころか赤黒い感じになっている。
 「ラウールさん、大丈夫ですか?」
隣のベッドでは同じようにお尻を出したままうつ伏せに寝ているチサトが心配そうに尋ねる。
「痛いけど・・大丈夫・・。それよりチサちゃん、僕のせいで痛い思いさせちゃってごめんね」
「いいんですよ、それくらい。僕達二人の仲じゃないですか」
「へへ。ありがと。これからもよろしくね」


 ―完―
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