店長/バイト君 お泊り



 「あれ?大輔、何か随分楽しそうじゃない?」
友人達は大輔の表情を見るなり、そう呟いた。
「あれ?何でわかるの?」
友人達の問いかけに思わず大輔は怪訝そうな表情を浮かべる。
「わかるよ。だってあからさまに楽しそうな顔してるもん」
「まるで遠足を次の日に控えた小学生って感じだもんな~」
「うわぁ~んっ!僕小学生じゃないもん~~~!!」
小学生に例えられたのがイヤだったのか、大輔は友人の胸をポカポカと殴りつける。
18歳、大学一年生とは思えぬお子ちゃまな振る舞いだが、友人達は慣れているせいか苦笑するだけだった。
 「冗談だって。それより・・・・何があるんだよ?教えてくれよ」
「ヤダ!小学生なんていう人には教えないもん!!」
大輔はすっかりヘソを曲げてしまい、そっぽを向く。
「そんなこと言わないでさ~。教えてくれよ~~~」
友人たちは必死に頼み込む素振りを見せる。
 「知りたい?どうしても知りたい?」
必死な友人達の姿に怒りが解け、逆に満更でもない表情を浮かべ出している。
「知りたい~。教えてくれって」
「えへへ~。そこまで言うなら教えよっかな~」
大輔はすっかり機嫌を治す。
「あのねぇ・・・沙耶さんとねぇ・・・」
「沙耶さんっていうとお前のバイト先の店長さんで・・彼女の?」
「うん」
「何、もしかしてデートかよ?」
「ううん・・お泊り」
その言葉に一瞬、友人達を沈黙が支配する。
 「今・・何つったんだ?」
「え?お泊りだけど?」
「本当かよ!?ジョークじゃないよな!!」
「嘘じゃないよ!何、皆妙な顔して~」
「いや・・だってよ・・」
「あ!バイトの時間だ!もう行かなくっちゃ!」
そういうと大輔は慌ただしく皆を尻目に出て行ってしまう。
 「いやぁ・・・まさかあの大輔が・・・彼女の家に・・お泊りなんてねぇ・・・」
「っていうか・・あいつ意味わかってるのかよ?」
「さぁ・・。っていうか小学生のお泊りだと思ってるんじゃないのか?お子様だし・・」
友人達は口々に言う。
何せ大輔のお子様ぶりはよく知っている。
年上のお姉さんが彼女として出来たと知った時もまさかと思ったりしたものだ。
そののち、デート中などにたまたま会うことがあったので、ようやく本当だと知ったが。
 「かもしれねえけど・・。あの大輔が・・お子様だと思ってたのに・・・先を越されるとは思わなかったよなぁ・・・」
「大輔も18歳だもんな。色を知る年かってやつか?」
「そりゃどこぞの漫画だろーが!」
「それはともかく・・せっかくだから後で赤飯でも炊いてやるか?」
「いやそれも違うだろ」
彼女の家にお泊まりという衝撃的なニュースを聞いたせいか、大輔の友人達はしばらくの間、そんな話で盛り上がっていた。


 「ふふふんふ~んっ。いい湯だっな~~」
気持ちよさげに大輔は浴槽に身体を沈めながら鼻歌を歌っていた。
浴槽にはプカプカとアヒルのオモチャが浮かんでいる。
 「大輔くーん」
「何~?沙耶さん?」
浴室の外から沙耶が声をかけると、大輔は大きな声で尋ねる。
「ちゃんと髪も洗うのよ」
「ええ~。めんどくさいよぉ・・・」
「ダメでしょ。頭汚くなっちゃうでしょ」
「でも・・シャンプーが目にしみるからヤダってばぁ」
大輔はまるで小学生のようなことを言う。
「ワガママ言っちゃダメでしょ?あんまりワガママ言うと・・私も怒るわよ?」
「うわあ~んっ!ちゃんと洗うよ~。だからお尻叩かないで~~!!!」
慌てて大輔は風呂の中から必死に返事をする。
沙耶が怒ったらお尻を叩かれてしまうと思ったからだ。
 「それくらいでお尻なんか叩かないわよ。でも・・わかったわね?」
「わかってるから。ちゃんと洗うから!!」
必死に返事をしてくる大輔の口調に思わず沙耶は苦笑するものの、これで大丈夫だろうと安心して浴室のドアから離れる。
 「うぅ・・・」
大輔はシャワーの前に座り込むと、食い入るようにシャンプーのボトルを見つめる。
本音を言えば目にしみるからシャンプーは好きではない。
だが、洗わなければお尻を叩かれる。
(目にしみるの・・嫌だけど・・お尻よりマシだよ!!)
そう腹をくくると、ようやく大輔はシャンプーを手に出し、おずおずとぎこちない様子で頭を洗いだした。


 「ほらほら。ちゃんと乾かさないとダメじゃない。風邪引いちゃうわよ」
沙耶は濡れたままの大輔の頭をタオルで拭いてやる。
「だって・・面倒くさかったんだもん・・・」
パジャマ姿の大輔は口を尖らせると、不満げに言う。
「そんなこと言うんじゃないの。風邪引いたらケーキもパフェも食べられなくなっちゃうかもしれないのよ?」
「ええ~!そんなのヤダ~!!」
「でしょ?だから今度からはちゃんと髪は乾かすのよ、わかった?」
「はーい」
しばらくすると髪も乾いてきたのか、沙耶は大輔の頭を拭くのをやめる。
 「それじゃあ私もお風呂に入ってこようかしら。大輔くん、ゆっくりしててね」
「はーい。いってらっしゃ~い」
大輔は風呂へ向う沙耶を尻目にそう言う。
リビングに一人残された大輔は適当にテレビのチャンネルを変えたりしていたが、お気に召す番組が無かったのか、やがてテレビを消す。
しばらくの間手持ち無沙汰にしていたが、飲みものでも欲しくなったのか、キッチンの方へと向かっていった。
 「ええと・・何か無いかな?」
冷蔵庫を開けると、大輔は中を物色し始める。
すぐに目に入ったのはジュースの大型ペットボトル。
(でももう飲んじゃったしなぁ・・・。それにまた飲むと今度こそお尻かもしれないし)
ボトルはもう何度も飲まれたことを示すようにかなり中身が減っている。
あまりに飲むものだから、お腹を壊したら大変ということで、止められてしまったのだ。
 (でもお茶なんかあまりおいしくないよねぇ・・・)
キョロキョロと冷蔵庫内を物色しているうちに、ふと酒缶らしきものを見つけた。
よく見てみるとチューハイとかのそういう甘めのタイプらしい。
以前、ちょっとだけ飲んでみたことがあるからわかる。
(前飲んだら・・おいしかったやつだ・・。飲んじゃおうかな・・)
そう思ってふと手を伸ばす。
だが、直前で沙耶の怖い顔が思い浮かんだ。
 (ダメダメ!飲んだら怒られちゃう!!)
まだ大輔は18歳、未成年だ。
確かに友人に誘われたりで飲んだこともあるが、後で沙耶にバレてたっぷりとお尻でツケを払わされた。
 (うぅ・・ちょっと飲んでみたい・・でも・・お尻・・・)
酒缶を目の前にして、大輔は思い悩む。
好奇心とお仕置きへの恐怖が激しい葛藤を演じ、大輔は顔を百面相させる。
だが、好奇心の方が勝ったのか、手を伸ばすと酒缶を取り出した。


 (あれ・・・?)
うっすらと目を開くと、大輔はベッドにいることに気づく。
大輔が目を覚ますと、パジャマ姿で髪をピンだか何かで留めてまとめ上げている、いかにも風呂あがりな姿の沙耶が、ホッとした表情を浮かべた。
 「気がついた?大輔くん」
「あれ?ここベッド?どうして?」
「お風呂から出たらリビングにいなかったからキッチンの方にいったの。そうしたら大輔くんが冷蔵庫の前で倒れて寝ちゃってるのを見つけたからベッドに運んだのよ」
「そうだったの・・・」
「そうよ・・。ところで大輔くん・・・」
沙耶の雰囲気が変わったのを感じるや、大輔は身を縮こまらせながら尋ねる。
「な・・何?」
「前・・言ったはずよね。まだ未成年なんだからお酒は飲んじゃダメだって?」
「う・・うん・・」
「それなのに・・また飲んで・・。約束破るのはいいこと?」
「そ・・それは・・あの・・」
明らかにまずい雰囲気に大輔は言葉も詰まってしまう。
「悪い子はどうなるの、大輔くん?」
沙耶の問いに『お仕置き』という言葉が脳内でフラッシュバックする。
とっさに大輔はベッドから飛び出して逃げようとした。
 「こら!どこに行くの!?」
沙耶はすかさず大輔の手を掴まえる。
「うわぁ~んっ!離してぇぇ~~~!!!」
大輔は逃げようと必死に抵抗するが、沙耶に難なく取り押さえられてしまう。
 「離してじゃないでしょう・・。全く・・・」
いつものこととはいえ、性懲りもなく逃げ出そうとした大輔の行動にやや呆れながらも、沙耶はベッドの縁に腰を降ろすと、いつものように大輔を膝に載せる。
「わあんっ!やだっ!ごめんなさいっ!ごめんなさぁいっ!!」
お仕置きの恐怖に大輔は珍しく『ごめんなさい』を早々と口にする。
「大輔くん・・『ごめんなさい』するのはいいんだけど・・。お仕置きが嫌でする『ごめんなさい』じゃ意味がないのよ」
そういうと沙耶は大輔のパジャマのズボンを降ろす。
あっという間に大輔の子供っぽい小ぶりな形のいいお尻が姿を現した。
 「うわぁ~~~んんんっっっ!!!ヤダヤダヤダ~~~~!!!お願いだからお尻叩かないでぇぇ~~~~~!!!!!」
大輔は頭を左右に思いっきり振りながら許しを乞う。
「ダメよ。大輔くんが悪い子だったんだから。これ以上ワガママ言うと怒るわよ?」
「うぅ・・・・」
そこまで言われると、さすがに大輔もようやく諦め、暴れる代りに下から支えるようして大輔の身体をおさえている沙耶の右腕にしっかりと両手でしがみつく。
必死に沙耶の腕にしがみつき、恐怖で全身をブルブルと震わせる姿は見ているとどこか哀れを誘う。
かわいそうになりかけるが、ここで甘やかしたらもっと悪いことになると自身に言い聞かせると、沙耶は年下の恋人に呼びかける。
 「行くわよ、いいわね?」
「ひぃん・・。い・・痛く・・しないでぇぇ・・・・」
今にも泣きそうになりながら、大輔は往生際悪くそんなことを言うが、沙耶はそれを尻目にゆっくりと左手を振り上げると、お尻目がけて振り下ろした。


 パアチィンッ!
「やぁんっ!!」
甲高い音が鳴り、お尻の表面で痛みが弾ける。
ほんのりピンクの手形がお尻についたかと思うや、大輔はビクッと身を強張らせて悲鳴を上げた。
 パアチィンッ!パアンッ!パシィンッ!パアアンッ!
「ひぃんっ!きゃあんっ!わあんっ!痛くしないでって言ったのに~~~!!!」
甲高い音と共にお尻に与えられる痛みに大輔はそんなことを呟く。
「何言ってるの。痛くなきゃお仕置きにならないでしょう?全く・・・」
大輔の態度にやや呆れたような素振りを見せながらも、沙耶はお尻を叩き続ける。
 パアンッ!パシィンッ!ピシャアンッ!パアンッ!
「ひゃんっ!わぁんっ!ああんっ!わぁんっ!」
沙耶の平手がお尻の表面で弾けるたびにお尻が少しずつピンクに色づいてゆく。
それに伴って大輔の口から子供っぽい悲鳴が漏れる。
 パチィンッ!ピシャアンッ!パアアンッ!パッシィンッ!
「うわぁんっ!やああんっ!やあんっ!あああんっ!」
ピシャアンッ!パアアンッ!パアンッ!パシィンッ!
「全く・・・何をやってるの・・・」
恋人のお尻を叩きながら、沙耶はお説教を始める。
 ピシャアンッ!パアチィンッ!パアシィンッ!パアアンッ!
「わぁんっ!ひゃあんっ!痛っ!痛あいっ!」
大輔は沙耶の右腕にしがみつきながら悲鳴を上げる。
ピシャアンッ!パアチィンッ!パアシィンッ!パアアンッ!
「まだ未成年だからお酒は飲んじゃダメだって言ってるでしょう?」
パアチィンッ!パアシィンッ!パアアンッ!ピシャンッ!
「それなのに・・お酒なんか飲んで・・どうなるところだったかわかってるの?」
パッシィ~ンッ!パッア~ンッ!ピッシャア~ンッ!パッアァ~ンッ!
「うわぁ~んっ!だってぇ・・飲んでみたかったんだもぉ~んっ!!」
お仕置きされているというのに、大輔は墓穴を掘るようなことを言う。
「飲んでみたかったじゃないでしょう!それで倒れてそのまま寝ちゃったのよ!?どういうことかわかってるの!?」
 バッアァ~ンッ!!
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッッ!!
「うわぁぁ~~んんっ!!痛いっ!沙耶さん痛いよぉぉ~~~~!!!!」
突然、平手の勢いが強くなったかと思うと、土砂降りの雨さながらの激しい平手打ちが大輔のお尻に降り注ぐ。
「大輔くん、今日は本気で怒ってるからね。幾ら泣いてもごめんなさいしても許さないわよ」
「うわぁぁ~~~んんっ!許して~~~~!!!」
大輔は必死に泣き叫ぶ。
だが、沙耶は容赦なく恋人のお尻に平手の雨を降らせ続けた。


 「ぐす・・ふえっ・・・ふぇぇぇんん・・・・」
沙耶の膝の上で大輔はぐずりながら泣いていた。
今やお尻は濃厚なワインレッドに染め上がり、顔は涙でグショグショになっている。
 「ごめんなさぁい・・ごめんなさい・・・も・・もぅぅ・・許してぇぇ・・・」
お尻が痛くて、怖くて大輔は必死に謝る。
「反省してる?」
そろそろ頃合いだと見たのだろう、沙耶はそう尋ねる。
「ふぇん・・してる・・してるからぁ・・お酒飲んで・・ごめんなさぁい・・・」
「じゃあ聞くけど、どうしてお酒飲んで怒られたの?わかる?」
「え・・ええと・・身体に・・悪いから・・・?」
「そうね。でも・・もう一つあるでしょ?」
「え・・ええと・・?」
大輔は必死に考える。
だが、なかなか思い浮かばない。
 「あら?どうしたの?もう少しお尻に聞いた方がいい?」
「うわぁ~んっ!やだぁ!お尻もうやだぁ!!わかんないけどごめんなさいっ!ごめんなさい~~~!!!!」
答えられないとまたお尻を叩かれてしまうと思ったのか、半ば大輔は恐慌状態に陥って必死に叫ぶ。
さすがに薬が効きすぎたと思ったのか、沙耶は助け船を出してやる。
 「大輔くん・・・冷蔵庫の前で倒れてるの見て・・私がどんな気持ちになったと思う?」
「え・・・あの・・ビックリした?」
「そう。本当にビックリしたのよ。慌てて起こしたら・・酔っちゃって寝てるだけってわかったけど・・・。ねえ大輔くん、お酒って本当に怖いのよ。急性アルコール中毒とかで死んじゃうことだってあるの。だからこんなに怒ったの。わかる?」
「えと・・あの・・心配して・・くれた・・・?」
「そうよ。大輔くんのことが大事だから心配するし、お尻も叩くの。わかってくれた?」
「うん・・心配・・かけちゃって・・・ごめんなさい・・・」
「よしよし。よく言えたわね。えらいわ」
そういうと、ようやく沙耶はお尻を叩く手を止めた。


 「どう?少しは痛くなくなった?」
沙耶は大輔を膝抱っこし、真っ赤に腫れたお尻を右手で優しく撫でてやりながらそう尋ねる。
「うん・・・。沙耶さん・・心配かけちゃって・・ごめんね」
「いいのよ。わかってくれたら。もぅ二度としちゃダメよ?」
「うん・・・ねえ沙耶さん・・・」
「なぁに?」
「沙耶さんのこと・・大好き・・」
「ふふ・・私もよ」
沙耶は優しく微笑むと大輔の額にキスをする。
 「ねぇ・・もう少し・・こうしててもいい?」
「ええ。好きなだけ抱っこしててあげる」
沙耶がそう言うと、大輔は安心したように眼を閉じる。
やがてそのまま安らかに寝入ってしまった。
「あらあら。寝ちゃったのね」
沙耶はそういうと再び愛おしげな微笑みを浮かべ、赤いお尻を撫でてやった。


 ―完―
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