心配かけた子には・・・(最遊記より:八/三)



(注:最遊記を題材にした二次創作モノです。キャラのイメージが原作と異なっている可能性があります。許容出来る方のみご覧下さい)


 「あれ?三蔵、どうしたんだよ?」
悟空は三蔵の顔を見るなり、そう尋ねてきた。
「あん?何言ってんだ?」
意味がわからず、怪訝そうな表情で三蔵は聞き返す。
「だってよぉ、顔赤いぜ。風邪でも引いてんじゃね?」
「馬鹿なこと言ってんじゃねえ、俺が風邪なんか引くかよ」
「でも結構赤いって。なぁ、無理しねえ方がいいって」
「うるせえな・・・どこも悪くねえって言ってんだろうが。これ以上ガタガタ言うと・・」
三蔵はそう言うと、ジロリと悟空の方を見つめる。
普段の経験からご機嫌斜めなことに気づくと、悟空はおずおずと引き下がっていった。


 (くそぉ・・・やべぇ・・・)
ジープに揺られながら三蔵は心中でそう呟く。
身体がまるで火のように熱いのだ。
いつの間にか汗が吹き出し、喉が焼けたようにひりつく。
 「三蔵・・・大丈夫かよ?」
早いうちから三蔵の異常に気付いていたせいか、悟空がまた心配そうな表情を浮かべて尋ねてくる。
「これくれえ何ともねえよ」
「でもすげえ顔真っ赤だぜ?息だって苦しそうだし。マジやばいんじゃないのかよ?」
本当に三蔵の身を案じているのだろう、悟空はさらに話しかけてくる。
だが、元々あまり人に世話をされたりうるさく言われるのを嫌がる性格で、しかも体調が悪いことが不機嫌さに拍車をかける。
 「グダグダ抜かすんじゃねえよ。それとも・・・てめぇ、俺がガキみてえにすぐにへたばる奴だと思ってんのか?」
「そ・・そうじゃねえけど・・・でも・・」
「でももストもねえ。てめぇには関係ねえよ。人のことに口出すんじゃねえ」
「そんなに邪険にするもんじゃありませんよ。悟空だって心配してるから言ってるんですから」
さすがに三蔵の振舞いを見かねたのか、八戒が助け船を出す。
「てめぇには関係ねえよ。よそ見してねえで運転したらどうだよ」
「そうはいきませんよ。ここで倒れられたりしたら皆が迷惑するんですから」
「あん?俺が倒れるだ!?そんなことあると思ってんのかよ」
「それは三蔵がよくわかってるんじゃないですか?」
皮肉が籠ったもの言いに、不調でイライラが募っていたせいか、三蔵の感情が爆発する。
 「てめぇ!当てつけかおい!?」
「三蔵、落ち着けよ~」
「うるせえ!サル、てめぇは黙・・・」
止めようとした悟空に文句を言おうとしたところで、三蔵は朦朧としてしまう。
「えっ!さ、三蔵っ!!三蔵っ!!」
悟空がビックリした表情で必死に呼びかけるが、目の前が真っ暗になるやいなや、そのまま三蔵は意識を失ってしまった。


 うっすらと目を覚ました三蔵の目に飛び込んできたのは、悟空のホッとした表情だった。
「八戒ーっ!目が覚めたぞー!」
大きな声を張り上げると、八戒が部屋に入って来る。
 「悟空、そんなに声張り上げなくても聞こえてますから大丈夫ですよ」
「そうか?」
「痛ぅ・・・どこだここは?」
見知らぬ部屋の中を見渡しながら三蔵は尋ねる。
「一番近いところの村の居酒屋兼宿屋ですよ」
「あん?何だってそんな寄り道してんだよ?」
「三蔵がいきなりぶっ倒れたんだよ。覚えてねえの?」
「何?」
悟空の問いに三蔵は怪訝な表情を浮かべる。
「ものすごい熱出して倒れたんでそれで急きょ予定変更でこの村に泊まることにしたんですよ」
「そうかよ・・・・」
三蔵はムスッと不機嫌そうな表情を浮かべる。
熱を出して倒れた挙句、そのせいで寄り道したりしばらくは足止めを食う羽目になったのだ。
機嫌がいいはずもない。
 「三蔵、大丈夫かよ?飲みたいもんとかあるか?」
余程心配なのだろう、不安そうな表情を浮かべて悟空は尋ねる。
「うるせえなぁ・・・何もいらねえよ」
「でも・・・」
「でもじゃねえよ。うっとしいからとっとと出てけよ」
そう言われてしまい、思わず悟空は助けを求めるように八戒の方を見やる。
 「悟空、今の三蔵に必要なのはゆっくり休むことですよ。しばらく一人にしておいてあげましょう」
そういうと、八戒は悟空を連れて部屋の外に出てゆく。
三蔵はムスッとした表情を浮かべていたが、身体の欲求には逆らえないのか、そのまま眠りこんだ。


 「どうしたんですか、悟空?全然箸が進んでませんよ」
八戒は上の空といった様子の悟空にそう話しかける。
食べることが何より大好きで、食事中は無我夢中という感じで食べ物にバクついている悟空だが、ボーっとしていて全然箸が動いていない。
 「あ・・うん・・・三蔵・・大丈夫かなぁって・・・」
「やっぱりですか。そうだろうと思ってましたよ」
「なぁ・・・八戒ぃ・・三蔵・・死なねえよなぁ・・。俺・・三蔵がこのまま死んじまったりしたら・・やだよぉ・・」
話しているうちに最悪の想像をしてしまったのか、悟空の目尻に涙が浮かんでくる。
 「大丈夫ですよ、診察してくれた医者も安静にしてれば治るって言ってましたし」
「そ、そうだよな」
「心配になるのもわかりますけど、それで悟空まで倒れたりしたら大変でしょう?ちゃんと食べて元気つけないとダメですよ」
「わ、わかった」
そういうと悟空はようやく箸を動かし始めた。


 「三蔵・・・・・起きてるかよ・・・?」
悟空は八戒に用意してもらったスポーツドリンクを抱えながら恐る恐るドアを開ける。
ゆっくりとドアを開けて中へ入った悟空が見たのは信じられない光景だった。
 どこから持って来たのか、ベッド脇のテーブルには明らかに飲み終えたばかりの缶ビール、おまけに灰皿には何本か吸った跡までご丁寧に残っている。
今もタバコを吸いながら缶ビールを傾けていた。
 「ちょ・・!!何やってんだよ三蔵!!」
思わず悟空は叫ぶように言う。
「あん?見りゃわかるだろうが」
対して、三蔵はそっけない態度で答える。
 「って何考えてんだよ!病人だろ!そんなもん飲んだらダメじゃんかよ!!」
思わず悟空は近づくと三蔵からタバコやビールを取りあげようとする。
「うるせえなぁ・・・俺が何飲もうが吸おうが自由だろうが」
対して三蔵は鬱陶しげな表情で返す。
「何言ってんだよ!そんなことしたら治んねーだろ!皆心配してんのに!」
「あん?そんなのてめぇらが勝手にしてるだけだろうが」
倒れて元々機嫌が悪いところへ、酒やタバコをやっているのが見つかったり、それで悟空に色々言われているのが気に入らないのか、三蔵はそんな返事を返す。
 「俺は心配してくれとも世話してくれとも頼んだ覚えはねえよ。てめえらが勝手にやってんだろうが。うっとおしいんだよ。さっさと出てけよ」
「そんな・・三蔵・・本気で・・そう言ってんのかよ?」
「だったら何だってんだ?行けったら行けよ。いい加減てめぇのバカ面見てるとますます悪くなるぜ」
あまりの言い草に、一瞬悟空は泣きそうな表情を浮かべる。
そして踵を返したかと思うと、そのまま出て行ってしまった。
 (クソ・・・・俺としたことが・・・)
泣きそうになりながら出ていく悟空の後ろ姿に三蔵は思わず罪悪感を覚える。
本当は悟空の言っていることが正しいのはわかっているし、心配してくれているのもありがたいとは思う。
しかし、素直にそれを言うのとは別問題だ。
(八戒のやつが慰めてりゃいいけどな・・・)
泣かせてしまった悟空のことを考え、素直に礼を言ったり謝れない己の性分に苛立ちを覚える。
苛立つ中、ふと飲みかけの缶ビールが目に入る。
よくないとわかっていたものの、イライラはどうにもならず、手を伸ばすと三蔵は缶を傾けた。


 それから一週間ほど経った頃・・・。
「もう大丈夫みたいですね」
すっかり元通りといった感じの三蔵の姿を見るや、八戒はそう言う。
「ふん。一昨日あたりでもう治ってたんだ。それだってのに二日も寝かせやがって」
「治ったと思ってもぶり返す危険だってあったでしょう?無理してまた倒れられたら困りますからねぇ」
何だか皮肉の籠った口調に思わず三蔵の表情が少し険しくなる。
 「あん?当てつけか?」
「さぁ、どうでしょうかねぇ。でもよかったですよ。これで僕も安心して・・・やれますからねぇ」
何やら思わせぶりな口調にふと三蔵は妙な予感を覚える。
「おぃ、てめぇ何か企んでねえか?」
「おや、野生の勘ですか?さすがですね、危険を感じ取るなんて」
「危険だぁ?てめぇ、俺に何しようってんだ?」
「決まってるじゃないですか、お仕置きですよ」
「あん?」
八戒の言葉に三蔵は怪訝な表情を浮かべる。
 「何つった、今?」
「おや?聞こえませんでしたか?お仕置きだって言ったんですけどね?」
「おぃ・・ふざけたこと抜かすなよ・・」
「ふざけてなんかいませんよ。三蔵が倒れたおかげで皆に迷惑がかかったのはわかってるでしょう?」
否定しようのない事実に思わず三蔵は不機嫌な表情で黙り込む。
「それに・・・ただ迷惑をかけただけならともかく・・・悟空のことは許せませんからね」
「あ?何でそこでサルが出てくんだ?」
「忘れたとは言わせませんよ。様子を見に行った悟空にひどいことを言ったでしょうが。おかげで悟空、泣いてましたよ」
三蔵にひどいことを言われて飛び出し、悲しくて泣いていた悟空の姿を思い出しながら八戒は責めるように言う。
 「ふん・・あんな程度でメソメソするサルが悪いんだろうが」
悟空を泣かせてしまったことに罪悪感を感じながらも、素直にそれを認められないせいか、逆にさらにひどいことを言ってしまう。
「まだそんなことを言うんですか。やっぱり・・お仕置きが必要みたいですね」
そういうと八戒は静かな、だが間違いなく怒りの籠った表情を浮かべながら三蔵の方へ近づく。
そして、三蔵の手首を掴んだかと思うと、ソファに座りながらグッと自分の方へ引き寄せた。


 身体が浮いたような感覚を覚えた直後、三蔵は八戒の膝の上にうつ伏せに載せられてしまう。
 「おぃ!何しやがる!」
「お仕置きだって言ってるでしょう?いつも三蔵が悟空にしてることじゃないですか」
本気で怒っているせいか、冷やかな声で八戒はそう答える。
「ふざけんな!何だって俺がケツ叩かれなきゃならねえんだ!!」
「さっきから言ってるでしょう。皆に迷惑や心配かけた上に、悟空にひどいことまで言って。本気で怒ってますからね、今日は」
「ふざけんな!離しやがれ!」
三蔵はあくまでも抵抗するが、八戒は三蔵の両手を後ろ手に押さえつけて拘束してしまうと、もう片方の手で上着を捲り上げ、ズボンも降ろしてお尻をむき出しにしてしまう。
 「くそっ!てめえっ!本気かよ!?」
必死になって抵抗する三蔵に冷ややかな声で八戒は答える。
「本気だって言ってるでしょう?さぁ、覚悟して下さい」
そういうと片手で三蔵を押さえこみながら、もう片方の手を振り上げた。


 ビッダァ~~ンッッ!!
「ぐ・・・・」
初っ端から容赦のない一撃に思わず三蔵は苦痛の声を漏らす。
バッジィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!ビバッジィ~ンッ!
立て続けに強烈な打撃がお尻に襲いかかり、三蔵は声を押し殺しつつも苦しげな表情を浮かべる。
 (クソ・・何で叩いてやがる)
感触などから何か道具を使っているのに気付くと、三蔵は振り返る。
すると、穴の空いた羽子板状の板を握っているのが見えた。
「おぃ・・何だそりゃ・・」
「ああ、これですか?パドルって言ってお仕置き専用の道具ですよ」
「何でそんなもん持ってやがる・・・」
「三蔵のお仕置き用に決まってるじゃないですか。きつーくお仕置きしないと反省できないみたいですからね、三蔵は」
「てめぇ・・殺す気か・・・」
「それは三蔵しだいですよ。ちゃんと『ごめんなさい』すれば許してあげますけどね」
「ざけんな!何で俺がそんなことしなきゃなんねえんだ!」
「それは三蔵がわかってるんじゃないですか?それとも・・この前みたいに自分は悪くないとでもいう気ですか?」
悟空にあまりにも厳しすぎるお仕置きをしていることで、お仕置きされたときのことを持ち出しながら八戒は尋ねる。
 「うっせえよ。てめぇらが勝手にギャーギャー騒いだだけだろうが。何で俺が謝る必要があんだよ」
「あくまでそう言いますか・・。なら・・僕も容赦はしませんからね」
そういうと八戒はパドルを振り上げた。


 ビッダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!バッジィ~ンッ!ビッバダァ~ンッ!
バッアァ~ンッ!バッジィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!
「・・く・・ぐ・・っ・・ぐ・・ぁ・・く・・っ・・ぁ・・・」
容赦のない勢いでパドルが叩きつけられるたび、三蔵はソファを握る両手に力を込め、苦しそうな表情を浮かべる。
最初からきつく叩かれているせいか、既にお尻は見事な赤に染め上がっていた。
 「全く!何を考えてるんですか?病人だっていうのに酒やらタバコやらやるだなんて」
呆れた口調で八戒はお説教を始める。
「うる・・せぇなぁ・・・何しようが・・俺の・・勝手だろうが・・てめぇらには・・・関係・・ねえよ・・」
苦しげな息を吐きながらも、三蔵は相変わらずの態度を取り続ける。
「そのせいでどれだけ皆に迷惑かけたり心配させたと思ってるんですか?少しは考えたらどうです?」
「うるせえよ!おせっかいはいらねえんだよ!このバカっ!」
ビッダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!バッジィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バッアァ~ンッ!
「しかも・・あんなに悟空が心配してるのに・・・何だってあんなにひどいことを言ったんですか!」
一番許せないことだからか、八戒の口調やパドルを振り下ろす手にも力が籠る。
 「うっせえよ・・・。俺は世話やいてくれとも何とも言ってねえよ。勝手にサルが騒いだり妙なこと考えてるだけじゃねえか。うっとおしいんだよ!」
「いい加減にしなさい!!」
さすがに八戒も三蔵の態度が許せず、思いっきりパドルを叩きつける。
 「三蔵・・あなたが素直じゃないのも、人に干渉されたり世話焼かれたりするのを嫌がるのも知ってますよ・・。でもね、三蔵があんなひどいこと言ったせいで、どれだけ悟空が傷ついたか考えてみましたか!!」
八戒は訴えかけるように言う。
思わず、三蔵は疾しさや罪悪感に押し黙ってしまう。
以前にお仕置きしたときもそうだが、もっと仲間の気持ちを考えてもらいたいのだ。
確かに三蔵の性格はよく知っているし、全員、多少のことでは傷つくようなやわな精神の持ち主ではない。
しかし、幾ら何でも悟空に酒やタバコが見つかった時の三蔵の態度はあまりにもひどすぎた。
あれでは悟空が傷つくのも無理は無い。
 「うっせえよ・・・何でそんなことしなくちゃなんねえんだ。とっとと降ろせよ!!」
苛立つ声で三蔵はそう叫ぶ。
本当は三蔵だって八戒の言うとおりなのはわかっている。
しかし、自分にはとてもそんな真似は今さらできない。
心の底では悪いと思っているし、自分の非を認めてはいるが、それを素直に言うくらいなら死んだ方がまだマシだった。
 「あくまでも・・そんなこと・・言う気ですか?」
「だったら・・何だってんだ?」
「なら・・わかるまで・・お尻に教えてあげますよ!!」
完全にキレてしまった八戒は今までとは打って変わって打撃の嵐を降らせ出す。
三蔵は苦痛に顔を歪めるが、それでも必死に声を押し殺した。


 「どうです・・謝る・・気に・・・なりましたか・・?」
ハァハァと荒い息を吐きながら、八戒は三蔵に尋ねる。
三蔵は全身ぐったりしており、顔は汗ですっかりびしょ濡れといった状態になってしまっている。
無論、お尻はかなり腫れ上がってワインレッドに染まっていた。
 「う・・る・・せぇ・・何だって・・そんな・・真似・しなきゃ・・なら・・ねえんだよ・・・」
両肩を上下させ、苦しそうな息を吐いているにも関わらず、まだそんな態度を取ろうとする。
そんな三蔵の態度に八戒は困った表情を浮かべる。
強がっていても三蔵のお尻がもう限界なのは見てわかる。
だが、お仕置きである以上、三蔵が謝るなり何なりしなければ終わらせるわけにはいかない。
しかし、叩けばさらに意固地になって謝ろうとしなくなる。
このままでは気絶するまで叩く羽目になるかもしれない。
そう考えたときだった。
 「八戒~~、買い物行って来た・・・・・」
突然、悟空が入って来たかと思うと、目の前の光景に固まってしまう。
だが、すぐに我に返ると叫ぶように言った。
 「な、何してんだよ二人とも!!」
「サル・・・見てんじゃ・・くぅっ!!」
三蔵が思わず追い払おうとすると、そこへ八戒がパドルを振り下ろす。
 「お仕置きですよ、皆に心配かけちゃいましたからね」
「で・・でも何だってこんなに・・ケツ・・真っ赤じゃん・・」
「てめぇの・・せいだろうが・・バカザル・・」
「え?どういうことだよ?」
困惑する悟空に三蔵が言いやる。
「てめえがメソメソ泣きやがったから俺のせいだとか言ってん・・・ぐっっ!!」
「三蔵!性懲りもなくなんてこと言うんですか!悟空に謝ってください!!」
八戒はそういうと再びパドルを振り上げようとする。
 「ちょ!ま、待って!待ってくれってば八戒!!」
「何です、悟空?」
「も、もう許してやってくれよ~、頼むから」
「そう言いましてもねぇ・・・」
悟空のお願いに八戒は困った表情を浮かべる。
そろそろ許してやりたいのはやまやまだが、素直に謝ってくれない以上そうもいかないのだ。
 「頼むよ~。どうしてもっていうんなら・・・・代わりに・・俺のお尻・・叩いてもいいから・・・これ以上は・・・勘弁してやってくれよぉぉ・・・」
「わかりました・・・そこまで言うなら・・」
八戒はため息をつくと、ようやくお尻を叩く手を止める。
 「三蔵・・大丈夫かよ?」
顔を顰めながら膝から降りた三蔵に、悟空は心配そうな表情を浮かべて尋ねる。
「ふん・・余計なこと・・しやがって・・」
「三蔵・・だからそういう態度は・・・」
八戒の顔が険しくなりかけたところで、悟空がまた泣きそうになりながら話し始めた。
 「三蔵・・お・・俺が・・悪かったから・・・うるさく・・したり・・しねえよぉ・・幾ら・・怒っても・・ケツ・・叩いても・・いいから・・・嫌わないで・・くれよぉ・・・」
ボロボロと泣きながら悟空がそう言うと、三蔵はソファに腰を降ろし、手振りで招く。
怪訝に思いながら悟空が近づくと、三蔵は口を開いた。
 「バカか、てめぇは。どうでもいいと思ってたら何も言わねえよ」
「え・・?どういう・・」
「照れ隠しですよ。本当は心配してくれて嬉しいんですよ。でもそんなこと言いたくないからツッパってるんですよ」
「てめぇ・・何勝手なこと言ってんだ」
「そんじゃ・・俺のこと・・嫌ってたり・・しねぇのかよ・・よかったぁぁ・・」
安心したのか、悟空は三蔵の胸に飛び込むようにしてヘナヘナと崩れ落ちてしまう。
 「ったく・・世話焼かせやがって・・・」
三蔵はそういうと、片手を悟空の身体に回す。
「三蔵・・・?」
「今日だけだぞ。次は・・ねえからな・・・」


 「また・・寝やがったな・・・」
寄りかかったまま眠ってしまった悟空に三蔵は再び表情が険しくなる。
「三蔵、まさかどかそうなんて思ってませんよねぇ?」
考えを読んだのか、八戒がそう先制する。
「ダメですよ。また泣かせちゃった分抱きしめてあげませんと。でないと、また怒りますよ?」
ニコリとそんなことを宣告すると、三蔵はさらに不機嫌そうな表情になる。
だが、それでも悟空を片手でしっかりと抱きしめていた。


 ―完―
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genre : 小説・文学

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