タバコ禁止令(最遊記より:八/三)



(最遊記を題材にした二次創作です。キャラのイメージが原作と異なっている可能性があります。許容出来る方のみご覧下さい)


 「おや、また吸ってるんですか?」
いつものようにタバコを吸っている三蔵の姿に、思わず八戒が声をかける。
「あん?今さら何言ってんだよ?」
三蔵は怪訝な表情で問い返す。
「確かに今さらですけど、でも最近前よりやたら増えてませんか?」
「あん?そんなの知るかよ」
「自分じゃわかってないからタチが悪いんですよ。これ以上吸ってると、本当に肺ガンになっちゃいますよ?」
「ふん・・・・別に構わねえよ」
「そういうわけにはいきませんよ。このままだと本当に身体壊しかねないですからね」
そういうと、八戒は三蔵からタバコを取り上げてしまった。
 「おぃ!何すんだ!!」
いきなりタバコを取り上げられ、三蔵は抗議する。
「今日からタバコ禁止です。文句がありますか?」
「ああん?決まってんだろうが!?」
三蔵は思わず詰め寄る。
 「まぁ別に嫌だっていうならいいですけどねぇ・・・。でも・・・全然我慢の出来ない人だなんて思いもしませんでしたねぇ」
「テメェ・・・」
小馬鹿にするような口調の八戒に三蔵は思わずカッとなりかける。
「おや?図星指されて怒ってるんですか?ますます大人げないと思いますけど?」
(こ・・この・・野郎・・・)
三蔵は怒りと屈辱に震える。
プライドの高い三蔵にしてみれば、こんな風に馬鹿にされるのは我慢ならない。
 「チッ・・!!吸わなきゃあいいんだろうが!?」
「ええ。そうですよ。でも、約束出来ますかねぇ?吸いたくて吸いたくてしょうがないって人が?」
「テメェ・・・俺を舐めてんのか?んなモン・・・屁でもねえぜ」
「それなら・・・今、持ってるタバコ全部僕に預けてもらえます?」
「ふん・・好きにしやがれ」
三蔵がそう言うと、八戒は三蔵が持っていたタバコを全部回収する。
 「それじゃあ・・・約束してもらいますよ。タバコはもう吸わないって」
「イチイチ言わねえでもわかってんだよ」
「約束・・破ったら・・ひどいですからね?」
「わかってるって言ってんだろーが!!」
三蔵はそう言うと、不機嫌そうな表情で腰を降ろした。


 (クソ・・・・落ち着かねえ・・・)
三蔵は、普段よりも不機嫌で、落ち着かない表情で新聞を読んでいた。
八戒に上手くしてやられ、タバコ禁止令を了承してしまったため、タバコを全然吸えず、そのせいでイライラが募っていた。
 (俺と・したことが・・・馬鹿なこと・・やっちまったぜ・・)
三蔵は八戒の挑発に乗せられ、まんまと禁煙を強制させられた己の愚かさを自嘲する。
だが、後悔などしても無意味だった。
 (クソ・・クソクソ・・。落ち着かねえ!?)
タバコのことを考えまいとするも、却ってタバコを意識してしまい、ますますタバコが欲しくなる。
(馬鹿野郎・・・テメェで・・・言ったことも守れねえのか!?)
三蔵は自身を叱咤する。
例え、いけすかない策でハメられたとはいえ、「タバコはもう吸わない」と約束をした。
自らそう誓った以上、それを守るのが筋というもの。
自分が言ったことを違えるのは、三蔵にとっては何よりも嫌なことだった。
 だが、既にタバコの虜になり果てた身体は、意思に反して否応なしにタバコを求める。
やがて、いてもたってもいられなくなり、立ち上がるや、八戒の荷物をひっくり返し始める。
何だか凄まじく、鬼気迫るような目つきで、八戒の荷物をまとめたバッグの中身を放り出してゆく。
やがて、タバコを見つけるや、ようやく三蔵は安堵したような表情になった。
 すぐにもライターを取り出すや、火をつけては吸いだす。
一本吸ってホッとするも、タバコに飢えきった身体は一本では収まらない。
一本、また一本と出しては吸い、あっという間に箱一つを空にしてしまう。
箱一つ空にしてもまだあきたらず、さらに別の箱の封まで切りだした。
 「・・・・・・・・」
三蔵はムッツリと押し黙ったまま、灰皿とタバコの箱を見つめていた。
箱は全部開けられ、灰皿にはこんもりと吸いがらが山になってしまっている。
(クソ・・!!俺と・・したことが・・・!!)
三蔵は舌打ちせずにはいられなくなる。
 (何で我慢が出来ねえんだよ!俺の馬鹿!?)
約束を守れなかったどころか、タバコを欲しがらずにいられない自身の浅ましさに負けて、むさぼるように吸い尽くしてしまった。
あまりにも、自分が情けなくて、己に怒りすら沸いてくる。
 しかも、悪いことは重なるもの。
「ただいま戻りました・・・・」
聞き覚えのある声に思わず振り向くと、買い出しから戻って来た八戒がちょうど部屋に入って来るところだった。
 「おや?どうしたんですか?そんな驚いたような顔して?」
「あん?何でもねえよ」
とっさに平静を装ったが、それでも十分に八戒の疑念を掻きたてる。
「そうですか?でも・・・・」
話しかけようとして、八戒はヤニくさい匂いに気づく。
同時に、灰皿にこんもりと積もった吸殻と封が切られたタバコの箱も見てしまった。
 「三蔵・・・何ですか?これは?」
「さぁな」
「さぁなじゃありません。どう見ても、タバコですよね?」
「あん?だったらどうだってんだ?」
「どうしてこんなことになってるんですか?」
「あん?俺が知るかよ」
「知らないはずないでしょう?それより・・・・三蔵・・忘れたんですか?タバコは吸わないって約束したはずですよね?」
八戒はいつものようににこやかに、だが目は笑っていない笑みを浮かべて問いかける。
 「ふん・・・・だったら・・・どうだってんだよ?」
対して、三蔵は反抗的な目を向ける。
「それはよくわかってるんじゃないですか?」
「ふん・・・」
不機嫌そうに呟くと、三蔵は部屋を出て行こうとする。
 「どこへ行くんです?話は終わってませんよ?」
出て行こうとする三蔵を、八戒は手首を引いて止める。
「俺には話なんかねえよ」
「そっちにはなくても僕にはあるんですよ」
八戒はそう言うと、三蔵を強引に引き倒す。
直後、三蔵はいつものように、ベッドの縁に腰を降ろした八戒の膝の上にうつ伏せにされていた。
 「おぃ!何しやがる!!」
思わず三蔵は振り返ると、噛みつかんばかりに言う。
「決まってるじゃないですか、お仕置きですよ」
対して、八戒は慣れた手つきで三蔵のお尻を出しながら、そう言いやった。
 「ふざけんなぁ!?何で俺がそんなことされなきゃあならねえんだ!!」
「それは三蔵がよくわかってるんじゃないですか?まさか・・・わからないなんてこと、ありませんよね?」
「ぐ・・・・」
八戒の言葉に、三蔵は悔しそうな表情を浮かべる。
 事情はどうあれ、タバコは吸わないと約束したのは自分だ。
約束を破った以上、そのツケを払わなくてはいけないのはわかっている。
しかし、それを素直に認めるのは癪だった。
 「黙ってるところを見ると・・・黙秘ですか・・。まあいいですよ」
そういうと、八戒は左手で三蔵の身体を押さえ、右手に丹念に息を吐きかける。
「三蔵・・・覚悟はいいですね?」
「ふん・・・。イチイチ言わねえでやりたきゃ勝手にやれよ」
せめてもの意地に三蔵はそんなことを言いやる。
それを聞くと、八戒は思い切り手を振り下ろした。


 バッシィィィ~~~ンッッッ!!!
「ぐ・・・・」
最初から強めに叩かれ、思わず三蔵は声を漏らす。
パアシィ~ンッ!ピッシャ~ンッ!パッアァ~ンッ!パアッチィ~ンッ!ピッシャ~ンッ!パッアァ~ンッ!
 「おぃ・・・やめろ・・・やめねえか・・・」
お尻を叩かれながら、三蔵はそう言いやる。
「全く・・・・何をしてるんですか・・・」
パアッチィ~ンッ!パアッアァ~ンッ!ピッシャ~ンッ!パッアァ~ンッ!パアッチィ~ンッ!
 「タバコは吸わないって約束したんじゃないですか?」
パアッチィ~ンッ!ピッシャ~ンッ!パッアァ~ンッ!ピッシャ~ンッ!パッアァ~ンッ!
平手を振り下ろしながら、八戒はお説教を続ける。
最初はそれほどでもなかったが、だんだんとお尻が色づいてゆく。
 「う・・・うるせぇ・・・・」
「自分で約束したのに、守るどころか、隠れて吸うだなんて・・・。しかも・・・誤魔化そうとするなんて・・・そんなこと・・していいと思ってるんですか?」
ピッシャ~ンッ!パッアァ~ンッ!パッチィ~ンッ!パアッチィ~ンッ!ピッシャ~ンッ!パッアァ~ンッ!
「う・・うるせぇ・・」
それだけ呟くと、三蔵は押し黙ってしまう。
 約束を破って吸った上に誤魔化すなど、よくないことなのは三蔵だってわかっていた。
自分が悪いのはわかっている。
 しかし、それを素直に受け入れられるかとは別だった。
自分に非があるとはわかっていても、それを他人に言われるのは癪でたまらない。
無意味なプライド、意地だとはわかっていても、苛立たずにはいられない。
そして、そういう感情を抱く自分が間違っていることが、さらに三蔵を苛立たせる。
 「全く・・・あなたって人は・・・・」
バシバシとお尻を叩きながら、八戒はため息をつく。
「うる・・せぇ・・よ・・・」
三蔵は不機嫌な声で呟いたかと思うと、堰を切ったように叫んだ。
 「ゴチャゴチャうるせえんだよ!!エラッそうに説教なんかしやがって!!」
「三蔵・・・反省してないんですか?」
八戒は厳しい表情を受かべて問いかける。
 (クソ・・!!また・・・やっちまった・・・)
三蔵は心の中で舌打ちする。
自身の感情やプライドを優先して、墓穴を掘ってしまった。
何度も同じ失敗をしているのに、全然成長していない自分の愚かしさに自嘲したくなる。
だが、もうやってしまった以上、今さら謝っても八戒が許すわけもない。
それに、そんなことをするのは、三蔵にとっては死ぬよりも辛い。
自身のプライドを守るためなら、お尻が壊れた方がまだマシだった。
 「だったら・・・何だってんだよ?元々・・・テメェが俺をハメたんだろうが!!田舎ヤクザみてぇな真似してな!!何だってそんな約束、守らなきゃあならねえんだ!!」
「三蔵・・・それは・・・本心ですか?」
「だったらどうだってんだ!!さっさと離しやがれ!!」
「いい加減にしなさい!!」
ビッダァァァ~~~~~ンッッッッ!!!!
「ぐ・・・・」
再び思い切り叩かれ、三蔵は思わず苦痛の声を漏らす。
 「よく・・・わかりました・・・。全然・・・反省していないのは・・・・」
八戒は静かな、だが有無を言わせない声で呟く。
「そんな人は・・・絶対に・・・許しません!!」
八戒はそう言うと、おもむろに足を組んだ。
おかげで、三蔵はお尻を突き上げた、とても痛く感じる体勢になる。
 バアッジィィィ~~~~~ンッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~ッッッッ!!!!!!!
「ぐ・・・ぐぅくぅ・・・・!!!」
容赦ない平手の豪雨に、三蔵は顔を歪める。
 「テメェ・・・殺す気かよ・・・・」
三蔵は憎々しげな表情で振り返って睨みつける。
「三蔵が反省すればやめますよ。どうです?」
「ふん・・・・」
不機嫌な声でそう言うと、三蔵はプイッと横を向く。
 「反省の色無しですか・・・・」
八戒はそう呟くと、手を振り下ろす。
ビッダァァァ~~~ンンンッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~~~ッッッッッ!!!!!
「ぐぅ・・・!ぐぁう・・・!!ぎ・・!!」
三蔵は声を漏らすまいと、必死に堪える。
それを尻目に、八戒は平手を嵐のように振り下ろし続けた。


 (やりすぎて・・・しまいましたね・・・)
ベッドの上でぐったりしている三蔵の姿を見やりながら、八戒は反省する。
三蔵は全身汗だくになっており、ぐったりしている。
お尻は全体が濃厚なワインレッドに染め上がっていた。
結局、三蔵が絶対に謝ろうとしなかったため、気を失うまで叩き続けざるを得なかったのだ。
(これでは・・・。本末転倒ですね・・。いや・・・初めからですね・・)
八戒は最初のタバコ禁止令のことから振り返り、そう思わずにはいられなかった。
 自分がタバコ禁止令を出したのは、三蔵の健康を慮ってのことだ。
三蔵の性格から、素直に禁煙などしないし、タバコ禁止令を出しても従うはずが無い、そう思い、言質を取るような小細工を弄した。
だが、それが果たしてよかったのか?
 こういうものは本人のやる気や意思も関わってくる。
罠にかけるような、そんな真似をしては、タバコ禁止令もいずれ破られるのは、想像出来るはずだった。
 (僕こそ・・・反省しないといけませんね・・・・)
気を失った三蔵のお尻に、薬を塗りながら、八戒はそう思わずにはいられなかった。


 ―完―

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