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苛立ちの代償(SO2&テイルズより:ガイ/キール、BL要素あり)



(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにしたSO2&テイルズ共演パロです。BL要素もあります。許容出来る方のみご覧下さい)


 「なぁ、どうしたんだよ?」
「何だ?いきなり?」
ロイドが話しかけると、不機嫌そうな声でキールが問い返した。
 「いや・・何か最近イライラしてるみたいだからさ・・・。どうかしたのかってさ」
「何でもない」
「で・・でも・・そうは見えないぜ?」
ロイドは心配そうな表情を浮かべるが、対してキールはジロリと不機嫌そうな表情を返す。
 「何でもないって言ってるだろう!口を動かす暇があったら問題を解いたらどうだ!?」
キールは机上にある算数ドリルを指差しながら言う。
「わ・・悪かったって。や、やるよ」
そういうとロイドは慌てて問題を解きにかかる。
しかし、キールの事が気になるのか、問題を解きつつも、チラリチラリとキールの方を見やっていた。
 「ロイド・・・。テストのときには目の前の問題に集中したらどうなんだ!?」
「ご・・ごめん・・・」
「もういい・・・」
そう言ったかと思うと、キールはロイドのドリルを取り上げてしまう。
 「ちょ、ちょっと待ってくれよ!まだ解き終わってねえって!!」
ロイドは思わず叫ぶ。
勉強は好きではないが、こんな風に終わるのはさすがに後味が悪い。
「これ以上やっても無意味だろう?今日は全然集中していないみたいだしな。それじゃあいくら教えても無駄だ」
「わ、悪かったって!!」
必死に謝るロイドだったが、キールは無情にもドリルやその他教材を抱えて出て行ってしまう。
それをロイドはただ見送ることしか出来なかった。


 (僕と・・したことが・・!!)
アパートに戻って来ると、キールは思わず舌打ちしたくなる。
 (何で・・あんなことを・・言ったんだ・・・)
先ほどのロイドとのやり取りを思い返し、キールは後悔せずにはいられない。
(ロイドは心配しただけだろう・・・。それなのに・・どうして!!)
キールは思わず自分を責める。
ロイドが自分を心配してあのような言動をしたことはよくわかっていた。
にも関わらず、苛立ちのあまりに邪険な態度を取ってしまった。
 (くそ・・くそ!!何で・・何でなんだ・・。どうしてなんだ!?おかしいぞ!?)
キールは苛立ちを募らせ、ツカツカとせわしなく室内を歩き回る。
(何で・・何で・・・ロイドのことが・・・こんなにも・・気になるんだ!?)
キールは自問を繰り返す。
ロイドに勉強を教えるようになって以来、何故かキールはロイドのことが気になってたまらなくなっていた。
 (馬鹿すぎて・・・見かねただけなのに・・どうして・・!?)
考えれば考えるほど、キールはわからなくなってくる。
どうして、体力と人の良さだけが取り柄な、あんなあまりにもお馬鹿なロイドの事が気になるのだろうか?
飛び級で大学に入学し、既に幾つも論文を発表しているような、そんな頭脳を以ってしてもわからない。
そのわからないという事実が、キールのプライドをいたく刺激し、それがますますキールを苛立たせる。
 「あああもうっっ!!!何なんだ一体!?」
キールは思わず叫ぶ。
(いつまでもこんなことを考えていても仕方ない!!論文を進めよう!!)
そう頭を切り替えると、キールは資料や原稿用紙を用意して執筆に取りかかろうとする。
 だが、いざ論文を書こうとすると、頭にちらつくのはロイドのこと。
(何を考えてるんだ!?今は論文だろう!!)
必死に脳裏からロイドの姿を追い出そうとするが、却って意識してしまい、ますますロイドの事を考えずにはいられなくなる。
「何だ!何だ何だ何だ何なんだっっっ!!!!」
ペンが折れてしまうのではないかと思うくらい握りしめながら、キールはそう叫ばずにはいられなかった。


 「どうしたんだ?ロイド?」
その日、たまたま軍の用事でギルド会館を訪れていたガイは、落ち込んだ様子のロイドを見かけ、思わず声をかける。
 「ああ、ガイ。ちょっとな・・・・」
「ん?悩みごとか?よかったら相談に乗るぜ。話せば気持ちも楽になるだろ?」
「あぁ、ありがとうな。じゃあ・・聞いてくれるか?」
「いいぜ。どうしたんだよ?」
ガイはロイドにそう尋ねる。
 「実は・・・キールのことなんだよ」
「キール?何かあったのか?」
「ああ・・・。何かさ・・・最近やたらイライラしてて・・機嫌悪くてさ。特に・・・俺といるときとか・・・。俺・・知らないうちに何かしちゃってのかなぁって・・・・。そうだったらちゃんと謝りてえんだけど・・・。どうも顔合わせると向こうもイライラして、機嫌も悪くなるしさ・・・。どうしたらいいんだろって・・・」
「そうか・・。そいつはきついよな。わかった・・。俺がうまく取り持ってみるからな」
「ありがとな、ガイ」
「別に構わないさ。それじゃあ俺は仕事があるからこれでな。また何かあったら遠慮なく言ってくれ」
そういうと、ガイはギルド会館を後にした。


 「で・・?何の用なんだ?」
数日後、カフェに呼び出されたキールは、不機嫌そうな顔でガイに尋ねる。
「出合い頭にそんな顔しなくてもいいだろ?」
「うるさいなぁ・・。そっちは非番かもしれないが、僕は忙しいんだ!用があるなら手短に済ませてくれ!!」
私服姿のガイを見やりながら、キールは叫ぶように言う。
 「忙しいところ呼び出して悪かったって。とにかく・・コーヒーでも飲んで落ち着けって」
「ふん・・・」
キールはそう呟くと、ようやく腰を降ろす。
 「で・・何の用なんだ?くだらないことだったら怒るぞ?」
(相当お冠だなぁ。論文の邪魔でもしちまったかな?)
キールの不機嫌な態度にガイはそう想像しつつも、用事に取りかかる。
「まぁ待ってくれ。もう一人来るはずなんでさ・・・・」
「もう一人?誰だ?」
怪訝な表情を浮かべてキールが尋ねたときだった。
 「あ、ガイ!ここにいたのかよ!」
ロイドが現れたかと思うと、ガイに声をかける。
 「ああ、悪いな。急に呼び出したりして」
「別に構わないぜ。でも何・・・」
そこでロイドはキールの姿に気づく。
 「おぃ、何でロイドまでいるんだ!?」
キールはロイドが現れるや、ガイに尋ねる。
「言っただろ?もう一人来るって」
「まさか・・それがロイドか!?」
それに気づくや、キールは黙りこくってしまう。
 (くそ・・・よりによって・・・)
キールはチラリとロイドの方を見たかと思うと、視線を反らしてしまう。
視線を反らされ、ロイドはちょっと傷ついたような表情になる。
それを見ると、何故かキールはチクリと心が痛む。
 「とにかく・・・二人でじっくり話してみたらどうだ?」
「そうか・・。そういうことか・・」
キールはそう言うと、ガイの方に睨むような目を向ける。
「ガイ、おおかたロイドにでも頼まれたんだろう?」
「ま、まぁな。そうとんがるなって」
「とんがってなんかいない。帰る」
そう言ったかと思うと、キールは立ち上がろうとする。
 「おぃ、ちょっと待てよ。まだ話は・・・」
「それはガイが勝手にやったんだろう?僕は話なんか無い。忙しいんだ。これで帰らせてもらうからな!」
そう言い放つと、キールはさっさと店を後にしてしまった。
 「ま、待ってくれよ!!」
「あっ!待て!ロイド!!」
立ち去ろうとするキールを追いかけてロイドが飛び出す。
放っておくわけにもいかないと、ガイも後を追って店を飛び出した。


 通りを歩きながら、キールは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。
(何で・・・あんなこと・・したんだ・・)
店でのやり取りで、キールはそう思わずにはいられない。
ロイドといると今まで経験したことの無い不可解な気持ちに陥ってしまう。
そして、それが自分には全く理解できないから、苛立って、ロイドに当たってしまう。
ロイドには全く非は無い。
悪いのは自分だ。
 だが、ロイドを前にすると不可解な感情が現れ、それがキールを苛立たせ、ロイドにつれない態度を取ってしまう。
それがよくないことはわかっているが、謝ろうにも、こちらがそういう仕打ちをしておいて、どの面下げて謝れるのか、という気持ちが邪魔をして悪循環に陥っていた。
 「おぃ!キール!ちょっと待てって!!」
速足で歩くキールにロイドはそう声をかける。
「何のつもりなんだ?」
キールは不機嫌な表情と声で問い返す。
その声と表情にロイドは思わず引きそうになってしまうが、勇気を振り絞って問いかける。
 「な・・・なぁ、キール。俺・・・お前に何かしたかよ?」
「何を言ってるんだ?」
「いや・・だってさ・・。最近・・・俺といると・・機嫌・・悪い・・みたいだしさ・・」
「別に・・・何でもない・・・」
ロイドの問いにキールは苦々しそうな声と表情で返事をする。
 「でも・・とてもそうは・・・見えないぜ?」
「何でもないって言ってるだろう!!放っておいてくれ!!」
思わずカッとなり、キールはそう叫ぶと、再び歩き出そうとする。
 「だから待ってくれよ!なぁ、悩みでもあるのか?」
キールの様子に何かを感じたのか、ロイドは心配そうな声で言う。
「うるさいな・・・・」
「え・・?キール?」
ポツリと呟くようなキールの声に、ロイドは怪訝な表情を浮かべる。
ゆっくりと振り返ったキールに、ロイドは只ならぬものを感じ、思わず後ずさった。
 「うるさい・・・。うるさいんだ・・・。どうして・・・どうして・・・僕を・・・放って・・おいて・・くれないんだ・・。静かに・・させて・・くれないんだ・・」
「え・・?キール・・・?」
ロイドはキールの様子に危険なものを感じる。
 「いつも・・・目の前に・・チラついて・・おかげで・・・僕が・・僕が・・・どんな・・気持ちか・・・わかってるのか!!イラプションッッ!!」
「え・・!?う・・うわあああっっっ!!!」
足元に溶岩が現れたかと思うと、それが噴き上がり、ロイドに襲いかかる。
とっさのことでさすがのロイドもガード出来ず、もろに食らってしまった。
 (し・・・しまった!?)
もろに溶岩をくらい、目の前で伸びてしまっているロイドの姿に、キールは愕然とする。
(何て・・ことを・・!!)
そこへ後を追ってきたガイが駆けつけて来た。
 「ロイド・・どうし・・!!」
駆けつけるなり、ガイは怪我をしたロイドの姿に気づく。
「ガ、ガイ!」
ガイの姿に気づき、キールが声をかけるよりも先に、ガイは倒れたロイドに近寄ると、脈や息を確かめる。
 「脈は・・あるな・・。キール!」
「な・・何だ!!」
「医者に連れてく。手伝ってもらうぞ」
「な・・何?」
「医者だよ。聞こえなかったのか?」
「ば、馬鹿にするな!聞こえてる!」
「だったら手伝ってくれ!まずは応急処置だ!!」
「わ、わかった!」
返事をすると、キールはガイと共に応急処置に取りかかる。
処置を済ませると、急いでボーマンの診療所へロイドを連れていった。


 「ど・・・どうなんだ!?」
キールは辛うじて感情を抑えながら尋ねる。
「安心しろ。見た目にはちょいとひどいが、命に別条は無い。応急処置もよかったみたいだしな」
「そ・・そうか・・・」
ボーマンの返事にキールはホッとする。
 「何だ?心配したのか?」
「そ・・そんなわけないだろ!ど、どうしてロイドのことなんか心配しなきゃいけないんだ!!」
ボーマンの言葉に思わずキールは言い返す。
 「こらこら、怪我人が寝てるんだぞ?もう少し静かにしろよ」
ガイの言葉に思わずキールは黙る。
「まぁとにかく・・・今はゆっくり寝かせてやることだな」
「そ・・それで・・ちゃんと治るのか?」
「大丈夫だって。俺を信用しろって」
「見た目がだらしないからイマイチ信用出来ないんじゃないか・・」
「おぃおぃ。診てもらってるのにそれはないだろう?」
「そう見えるのは事実だろう?事実を言って何が悪いんだ」
「その辺にしておけって。静かにしないとロイドが休めないぜ?」
その言葉にキールもようやく黙る。
 「まぁロイドが気になるだろうが、今はボーマンに任せて静かに休ませてやろう」
「そうだな・・・」
ガイの言葉にキールもそう返事をすると、静かに部屋を後にする。
 「それじゃあ頼むな。後でまた様子を見に来る」
「わかった。任せておけ」
そう言うとボーマンは仕事に戻る。
ガイ達も診療所を後にした。


 (全く・・・。何て・・ことを・・・)
ギルド会館のゲストルームに入ると、キールはそう思わずにはいられなかった。
本気で術を食らわせてしまうだなんて、どうかしている。
当たりどころが悪かったら、取り返しのつかないことになるかもしれない。
そう考えると、背筋を冷たいものが走る。
 「おーい、キール。ちょっといいか?」
不意にガイがそう声をかけながら入って来た。
「な、何だ?いきなり?」
ロイドの事を考えていたときにいきなり入ってこられたからか、キールは少し不機嫌そうな表情になる。
 「そんな仏頂面するなって」
「僕だってヒマじゃないんだ。用があるなら手短に済ませてくれ」
「わかってるって。ちょっとこっち来てくれ」
「ったく・・・何なんだ・・・」
キールはムスッとしたような表情で、ソファに腰かけたガイの方へと近づいてゆく。
すぐそばまで来たかと思うと、不意にガイがキールの手首を掴む。
ハッとしたその瞬間、思い切り引っ張られたかと思うと、そのままガイの膝の上にうつ伏せに載せられてしまった。
 (な・・何だ・・?)
突然の出来事に一瞬、キールは困惑する。
直後、弾けるような音と共にお尻に痛みが走った。
 (ま・・まさか・・!!)
思わずキールは後ろを振り返る。
すると、ガイの手がお尻に叩きつけられるのが見えた。
 「な・・何をしてるんだ!?」
思わずキールは抗議する。
「見ればわかるだろ?お仕置きだ」
「だから・・何でお仕置きなんかされなきゃいけないんだ!?」
思わずキールは叫ぶ。
 「ん?まさかお仕置きされる理由がわからないなんてことはないよな?」
「そ・・そんなわけないだろう!!」
思わずキールはカッとなって言う。
「わかってんなら素直に受けろって」
「そ・・それとこれとは別だろう!何で・・・お尻なんか叩かれなきゃいけないんだ!!」
キールは不満やるかたない表情で抗議する。
 「キール・・・悪いことしたのはお前だろ?」
「そ・・それは・・・」
ガイの問いかけにキールは言葉が詰まってしまう。
自分がロイドを傷つけたのは否定しようの無い事実だ。
 「それとも・・・・自分が悪いことしたのに素直にお仕置きを受けられないのか?」
「ば・・馬鹿にするな!!僕は・・そんな子供じゃない!!」
そう言った直後、キールは後悔する。
こんなことを言ったら嫌でもお仕置きを受けなければいけない。
拒否したら子供と同じだと自分で認めることになるからだ。
 「なら、ちゃんと受けられるだろ?」
「あ・・当たり前だろ!ば・・馬鹿にするな!子供じゃないって言ってるだろ!!」
(そういうところが子供っぽく見えるんだって・・・。頭はいいくせに・・・こういうところは・・まだまだだな・・)
ガイは思わず苦笑する。
その苦笑が見えたのか、思わずキールは何か言いそうになる。
だが、そんなことをしたら大人げないと思ったのか、黙りこむ。
それでも不満なのか、睨むような表情をガイに向けていた。
 「まあとにかく・・・行くぞ。覚悟はいいな?」
「ふん・・。叩きたければ・・叩けばいいだろう!」
悔しいのか、そんなことを言うと、プイッと顔をそむける。
その態度にガイは思わず苦笑しつつも、真剣な表情に戻ると、右手を振り上げた。


 パアシィィ~~~ンッッッ!!
パアアンッ!パンッ!パチィンッ!パアンッ!パシィンッ!
弾けるような音と共にお尻に痛みが走る。
服の上からとはいえ、痛いものは痛い。
音と共にキールの顔は思わず痛みに歪む。
だが、声を出すのは恥ずかしいのか、キールは決して声を出すまいとする。
 パアシィンッ!ピシャンッ!パアアンッ!パチィンッ!パシィンッ!
「ったく・・何をやってるんだよ・・」
お尻を叩きながら、ガイはお説教を始める。
パチィンッ!ピシャンッ!パアアンッ!パチィンッ!ピシャンッ!
「人に本気で術なんかぶつけたらダメだろう?最悪な事態だってあり得たかもしれないんだぞ?」
「そ・・そんなこと・・一々・・・言わないでくれ・・・」
声を震わせながらキールは言う。
 「何言ってるんだ。一々言われるようなことをしたのはキールだろう?」
「う・・・・」
ガイの言葉に図星を指され、キールは悔しそうな表情になる。
(確かに・・僕が悪いさ。でも・・・だからって・・わざわざ言うこと・・ないじゃないか!!)
ガイのお説教にキールはそう思わずにはいられない。
 自分が悪いことはよくわかっている。
叱られても文句は言えないことも。
だが、それを素直に受け入れられるかとなると、話は別だ。
自分でも無意味なプライド、筋違いの感情なのはわかっている。
それでも、ガイのやり方に不満を抱かずにはいられなかった。
 パアアンッ!ピシャンッ!パアシィンッ!パチィンッ!ピシャンッ!
「・・ぅ・・・く・・あぅ・・・ぁ・・・あぅ・・・・」
叩かれているうちにだんだん耐えきれなくなってきたのだろう、キールの口から微かに声が漏れはじめる。
同時に、キールの表情も苦しげなものへと変わってゆく。
 「下手したら・・・ロイドが取り返しのつかないことになってたかも・・しれないんだぞ?わかってるのか?」
「わ・・・わかってるよ!だ・・だから・・・こうして大人しく叩かれてるんじゃないか!それで十分だろう!」
不満を叩きつけるかのようにキールは言う。
 「おぃおぃ・・・。それが反省してる態度かよ?」
「う・・うるさいなぁ!わ、悪かったって言ってるじゃないか!!それでいいだろう!!もう離してくれ!!」
これ以上お仕置きされたくはないのだろう、キールはそう言う。
 「そういうわけにはいかないんだよ。キール・・・そもそも・・何でロイドとああいうことになったんだ?」
一旦お尻を叩く手を止めて、ガイは尋ねる。
 「そ・・それは・・・」
口を開きかけてキールは黙ってしまう。
「ん?どうしたんだ?」
ガイは尋ねるが、キールはだんまりを決め込む。
 (僕にだって・・わからないんだ!でも・・・そんなこと言えるわけないだろ!!)
キールは心の中で叫ぶ。
自分が抱えているものがわからない。
だが、自分の愚かさをさらけ出すようで、そんなことを言うことも出来なかった。
 「どうしたんだ?どうして・・・言わないんだ?」
キールの態度を訝しみ、ガイがさらに問いかける。
「う・・・うるさいなぁ!!」
苛立った表情を浮かべてキールが思わず叫ぶ。
「ガイには関係ないだろ!どうして一々ガイに言わなきゃいけないんだ!!何様のつもりなんだ!」
(し・・しまった・・!!)
叫びながらキールは後悔する。
こんなことを言えばガイはさらに怒るだろう。
さらに厳しくお仕置きされてしまうに違いない。
 「キール・・・本気で言ってるのか?」
心なしか、ガイのトーンが下がったように感じられる。
怒っているのは間違いないだろう。
 しかし、謝るのは嫌だった。
自分でも馬鹿な真似をしているとはわかっている。
だが、それでも怒ったガイが怖くて謝ったなどと思われるのは癪でたまらなかった。
 「だったら・・・どうだっていうんだ!!ロイドといい・・・どうして一々余計なお節介ばかりするんだ!!うっとおしいんだ!!放っておいてくれ!!」
「そうか・・。よく・・・わかったよ・・・」
ガイはそう言ったかと思うと、おもむろに足を組む。
同時にキールのローブを捲り上げ、お尻をあらわにしてしまった。
 「な・・何をするんだっ!!」
「どうやら反省してないみたいだからな。そういう子にはもっときつくお仕置きしないとな」
「そ・・そう言えば・・・謝ると思ったら大間違いだからな!!」
(だからどうしてそんなことを言うんだ・・・)
自身のひねくれた態度にキールはそう思わずにはいられない。
ガイ、キール、双方が互いにため息をつくと、さらにしっかりと押さえつけにかかる。
同時に再びガイの右手が振り上げられた。
 ビッダァァァ~~~~~~~ンンンッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~!!!!!
「ぐぅ・・!!うっ!ぐっ!ああぅっ!あっ!!あっぐぅぅ!!!」
(覚悟は・・してた・・けど・・痛い・・なんて・・ものじゃ・・ない・・)
キールは苦痛に顔を歪め、無意識のうちに両脚をバタつかせる。
それを尻目に、ガイは平手を振り下ろし続けた。


 「うぅ・・くぅあ・・あっ・・あくぅ・・・ああぅ・・あっうくぅ・・・」
荒い息を共にキールは苦痛の声を漏らす。
お尻は全体が満遍なく真っ赤に染め上がり、目尻には涙が浮かんでいる。
ガイの膝の上で力なくぐったりしており、限界なのは明らかだった。
 「キール・・・反省したか?」
ガイは一旦お尻を叩く手を止めて尋ねる。
「ふ・・ふん・・!力づくで・・謝らせよう・・なんて・・やつに・・頭なんて・・・下げないからな!!」
だが、あくまでもキールは強情にそう言い張る。
 (どうするか・・・?プライドが高いから素直に謝るとは思ってなかったけどな・・・)
中々謝ろうとしないキールに、ガイは考え込む。
(このまま叩き続けても話さないだろうし・・・それじゃあ怪我をさせるだけだ。よし・・・)
考えを巡らせるうちに、ガイはある方法を考えつく。
プライドの高いキールの性格なら、成功する確率は高そうに思えた。
 「おぃおぃ。あまり強情を張ると・・・皆の前でお仕置きするぞ?」
「な・・何だって!?」
ガイの言葉にキールは愕然とする。
 (冗談だろう!?こんな・・こんな・・姿を・・皆の前で・・・さらす・・なんて・・)
想像しただけでキールは全身が震えてくる。
今だって恥ずかしくてたまらないのだ。
皆の前で叩かれたら恥ずかしいなどというものではない。
 キールが身を震わせているのを尻目に、ガイはキールを抱き上げて立ち上がる。
「うわあっ!な・・何をするんだ!!」
「だから言っただろ?皆の前でやるって?他の皆にも見てもらわないと反省出来ないみたいだからな」
(ほ・・・本気なのか!?)
脅しではないと気づき、キールは恐怖する。
ガイはそのままゲストルームを出て行こうとする。
 (そんな・・そんな・・・。こんな恥ずかしい姿を・・・他のギルドメンバーに・・見られるだなんて・・・!!)
本気で実行しようとしているガイにさすがにキールも腹を決める。
もうプライドに拘っている余裕など無かった。
 「ま・・待ってくれ!!ぼ・・僕が悪かった!!あ・・・謝る!!だから・・・だから!!」
「じゃあ・・ちゃんとワケも話すか?」
「話す・・!!話すからっ!!だから人前で叩くのだけは・・!!」
「やれやれ・・・やっと話してくれる気になったか・・・」
ガイはそう呟くと、ようやくホッとした表情を浮かべた。


 「大丈夫か?」
「本気でそう思ってるのか?」
心配そうな表情で尋ねるガイに、ソファに寝そべったままキールは睨みつける。
うつ伏せに寝そべったキールのお尻には、ガイが用意したタオルと氷嚢が載せられていた。
 「悪かったって。でもキールが素直に話さないからだろ?」
「お尻なんか叩かれて・・素直になれるわけがないだろう!」
「だからそれは悪かったって。それより・・・話してくれるよな?」
「わ・・わかってる!だが・・・わからないんだ」
「は?どういうことだ?」
キールの返事にガイは怪訝な表情を浮かべる。
 「だから・・・どうしてなのか・・・僕にもわからないんだよ!!だから・・・話したくなかったんだ!!」
「と・・とにかく・・・どういうことなんだ?詳しく説明してくれ?」
言っていることがよくわからず、ガイはそう尋ねる。
 「僕だって・・よくわからない・・。ただ・・何故か、最近おかしいんだ。ロイドの事が、気になって・・・気になってたまらない。いつもいつもロイドの顔がちらついたり、ロイドに礼を言われると嬉しくなったり・・・・。ロイドの勉強を見てやるようになってから・・・そういう気持ちになるんだ。それが・・・何だか・・・わからない・・・。医学書とかを調べても載ってない。わからなくて・・・・僕にわからないものがあるなんて思うと・・悔しくて・・・それで・・・ロイドと一緒にいると・・・イライラしてたまらなかったんだ・・・」
(ううむ・・・これは・・・・まさかだったな・・・本当に・・・)
予想外のキールの話にガイも意外な表情を浮かべる。
(ということは・・・え?おぃ?ちょっと待て?)
キールの話を整理していて、ガイの表情がさらに変わる。
 「どうしたんだ?そんな顔して?」
「い・いや。何でもない」
「嘘だ!絶対何かあるだろう!まさか・・・わかったのか!?答えが!?」
キールはお尻の痛みも忘れて身体を起こしたかと思うと、ガイに詰め寄る。
 「ガイ!わかったのなら教えてくれ!!」
「い・・いや・・。聞かない方が・・いいかもしれないぞ?」
「馬鹿なことを言うな!わからなくてズッと悩んでるんだ!!教えてくれ!!」
余程今まで悩んでいたのだろう、必死の表情に、さすがにガイも根負けしてしまう。
「わ・・わかったよ。教えるよ。だから・・落ち着けって」
「僕は落ち着いてる!さぁ、早く教えてくれ!!」
答えを早く知りたくて、キールは詰め寄る。
 「わかったよ・・・。キール・・・お前のその気持ちはな・・・『恋』だ」
「は・・?」
ガイの答えに、キールは一瞬怪訝な表情を浮かべる。
 「だからな・・キール、お前はロイドに『恋』してるんだよ。まぁこの場合は片思いってやつか?」
「ば・・馬鹿馬鹿しい!ロイドも僕も男じゃないか!」
キールは馬鹿なことをと言いたげに否定する。
 「いや、そういうのは意外とあるらしいからな」
「ば・・・馬鹿なことを言うな!!」
キールはそう言うと、本を持ってガイを追い出しにかかる。
 「うわっ!乱暴はやめろって!」
「うるさいな!出て行ってくれ!!」
「わかった、わかったって」
ガイはそう言いながら部屋を後にする。
 「ふぅ・・く・・!!」
ガイを追い出して一息つくも、お尻の痛みに顔を顰め、すぐにまたソファにうつ伏せになる。
 「全く・・・馬鹿馬鹿しい・・!ロイドに・・片思いなんて・・あるわけないだろう!!」
自分でお尻の手当てをしながら、キールはそう呟く。
(でも・・・ならどうしてロイドのことが気になるんだ?)
ガイの言葉を思い出しながら、キールは考える。
 (そういえば・・・。ロイドに礼を言われると・・嬉しかったな・・。それに・・何の得にもならないはずなのに・・どうして・・ロイドに色々してやりたいと・・思うんだ?)
ロイドに対する自分の行動を振り返り、キールは疑問を抱く。
 (まさか・・・ガイの言う通り・・?そんな・・馬鹿なことあるわけないだろう!!僕もロイドも男じゃないか!!)
必死に否定しようとするが、そうしようとすればするほど却って意識してしまう。
「ああっ!何なんだ!?」
考えれば考えるほど再び苛立ちを覚え、叫ばずにはいられなかった。


 (それにしても・・・まさか・・・だったな・・・)
廊下を歩きながら、ガイはそう思わずにはいられなかった。
(勉強や研究が生きがいなキールが恋ねぇ・・・しかも・・ロイドに・・・)
あまりにも意外な事態にガイも驚く。
 (しかし・・・大丈夫か?ロイドはイイやつだが・・・『恋愛』のレの字も知らないような相手だぞ。しかも・・・他にも仲のいいやつだっているしな・・・)
ガイはだんだん心配になってくる。
ロイドの人柄の良さはガイもよく知っている。
だが、恋愛感情とはほとんど無縁な人物だということもよく知っていた。
キールが恋愛感情を持っていても、ロイドの方は友人としか思っていない可能性もある。
そんな場合、キールの方が大きく傷つく危険は高かった。
 (とはいえ・・こればかりは当人同士の問題だろうし・・。下手に手を出すと却ってこじらせたりしかねないからな・・・。しばらく・・見守るしかないか・・・。何とか・・してやりたいけどな・・・・)
いつになく真剣な表情を浮かべながら、ガイはキールとロイドの事を考えていた。


 ―完―

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