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恐ろしきは・・・(SO2&テイルズより、ルシ/アシュ、共演パロ、BL)



(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにしたSO2&テイルズ共演パロです。『黒い気持ち』とリンクしています。その点をご了承の上でお読み下さい)


 (あー・・・・ヒマだわねぇ・・・・)
その日、イリアはギルド会館のゲストルームでボンヤリしていた。
(ルカもバカ兄貴もクエストだし・・。姉貴は大学だし・・・。レオンやジーニアスもいないから本当ツマンナイわよね~)
何の気も無く窓の外を眺めながら、イリアは心の中で呟く。
家族はクエストや仕事ですっかり出払っており、友人らもギルド会館にはいない。
それなのでヒマを持て余しているところだった。
 (ん?)
不意にイリアは窓から見える中庭に誰かがやって来るのに気づく。
(あれ?アシュトンじゃん。どうしたのよ?)
視界に現れたのはアシュトン。
何やらソワソワしており、また誰にも見られていないかを確認するような素振りを何度も見せる。
 (な~んかアヤシイわねぇ・・・・)
ついつい気になってイリアは窓に近づくと、ジッとアシュトンの様子を伺う。
やがて、しばらくすると今度はロイドがやって来た。
 (今度はロイド?どういうことよ?)
イリアは怪訝な表情を浮かべながら、ジッと二人を見つめる。
アシュトンはロイドがやって来ると、安堵の表情を浮かべる。
やがて、二人は顔を合わせると何やら話しだした。
 (何話してんのよ?)
イリアは耳を傾けるが、あいにく窓に隔てられ、しかも距離もそれなりにあるからほとんど聞こえない。
(ああもうっ!何だってのよ~~!!)
全然話が聞きとれず、イリアはイライラする。
そのうちに話が終わってしまい、二人は別れてしまった。
(結局何なのよ・・・・)
好奇心を満たせず、イリアは残念そうな表情で二人の後ろ姿を見送っていた。


 「どうしたの、そんな顔して?」
クエストから帰って来たルカはイリアの顔を見ると、そう声をかける。
「別に~。何でもないわよ」
「でも何か釈然としない顔してるよ?」
「ん~・・・ちょっと気になるモン見たのよね~」
「気になるもの?」
「そうよ。今日ヒマだったからギルド会館でブラブラしてたんだけどさ~」
そう口を開くと、イリアは中庭で見たことについて話す。
 「二人して何コソコソやってたのかしらね~」
「でもそれはあくまで二人のことじゃないか」
「そうだけど気になるじゃないの~。それにさぁ・・・あの二人、結構仲良くない?」
「確かに・・・。よくクエスト行ったりしてるし・・・。それに・・ロイドが色々とアシュトンさんに親切にしてあげたりしてるみたいだしね」
ルカは今まで自分が見かけた二人の姿を思い返す。
気が合うのか、ロイドとアシュトンはよく二人でクエストに行ったり、或いはお互いに色々と力を貸したり手伝うことが多かった。
 「そうよ。二人とも・・結構仲イイわよね」
「でもだからって何なのさ?仲がいいっていうなら、別に大したことじゃ・・」
「アマイわよ!忘れたの!アシュトンは・・・男が好きなのよ!!」
イリアはビシッと指を突きつけながら言う。
 「え・・。あ・・そ・・そういえば・・・」
ルカはイリアの指摘に、アシュトンが同性の同居人(正確には悪魔だが)とそういう関係になっている事実を思い出す。
 「そーよ。まあロイドの方は鈍感でお馬鹿っぽいからわっかんないけど~、アシュトンの方は・・そういう方面での可能性あるかもしれないじゃないのよ!!」
「で・・でも・・恋人が・・いるんでしょ?まさか・・それに・・」
「なぁ~に言ってんのよ。幾ら惚れてるって言っても、あんなに過保護で嫉妬深くて、何かあればすぐお仕置きなんてやるイタイ奴なんかより、ロイドみたいな優しい奴の方に転ぶモンでしょ、普通は」
「誰がイタイ奴なのだ、誰が?」
「決まってんでしょ、そりゃ・・・」
そこまで言いかけてイリアはルカのものではない声に気づく。
目の前のルカを見てみると、イリアの背後を恐怖の目で見つめている。
恐る恐る後ろを振り返ってみると、そこにはいつの間にかルシフェルが立っていた。
 「だぁぁぁ!アンタ、いつの間にいたのよ!?」
驚きながらイリアは飛びすさる。
「ついさっきな。たまたま廊下を歩いていたら聞き捨てならない話が聞こえてきたのでな」
「入るならノックくらいしなさいよ!」
「そんなことはどうでもいい。それより・・・アシュトンが・・あのロイドとかいう若僧とどうしたというのだ?浮気だの何だのと聞こえたが?」
「あ・・アタシは知らないわよ。ちょっと見ただけなんだから!!」
「いいから詳しく話さぬか!!私の機嫌がよいうちにな・・・」
ルシフェルは手に呪紋の光を浮かべながらイリアに迫る。
「わ・・わかったわよ・・・・」
イリアはそういうと、再び自分が見たものを話す。
だが、話しているうちにどんどん、ルシフェルの表情は険しいものへと変わっていった。
 「そうか・・。よく・・わかった・・・」
そういうとルシフェルは部屋を出ようとする。
「ま・・・待ってよ!な、何するつもり!!」
ルシフェルの後ろ姿に何か危険なものを感じたのか、ルカが声をかける。
 「小僧・・・命が惜しくないのか?」
ルシフェルは振り返ると、笑みを浮かべる。
その笑顔を見るや、ルカもイリアも凍りつく。
迂闊に止めたり、アシュトン達を庇うようなことを言ったらこちらまで命が危ない。
二人ともルシフェルの笑顔にそれをはっきりと感じ取っていた。
 「ふん・・。どうやらわかったようだな・・・」
そう呟くと、ルシフェルはその場を立ち去る。
「ど・・どうしよう~、イリア~」
ルシフェルが去ると、ルカはオロオロしながらイリアに尋ねる。
「ど、どうしようってアタシらにどうにか出来るような奴じゃないでしょ!」
「で・・でも・・このままじゃ・・また・・アシュトンさん・・・」
「お馬鹿ルカ!こういうのは迂闊に他人が首突っ込むとヤバイわよ!それに・・アシュトンならどうせお尻叩かれるぐらいで済むから大丈夫よ!」
「そ・・そうかなぁ・・」
「と・・とにかく・・・下手に関わったらヤバイわ!と・・取りあえず放っておくのよ!いいわね!?」
「わ・・わかったよ・・・」
納得いかないような表情を浮かべつつ、確かに自分達で何とか出来ることではないので、ルカはそう答えざるを得なかった。


 「なぁ、こんな感じでいいかよ?」
ロイドは図面をアシュトンに見せながら尋ねる。
図面に描かれているのはペアの装飾品のイメージデザイン。
 「うん。これでいいよ」
「そっか。じゃあコイツで造るよ」
「うん。それでお願いね」
「ああ。任せておけって」
ロイドはそう言うと、図面を仕舞い、その場を離れようとする。
 「あ・・・あの・・」
「ん?どうしたんだよ?」
立ち去ろうとしたロイドに、アシュトンは後ろから声をかける。
「あ、ありがとうね。わ・・わざわざ僕の・・頼みなんか・・聞いてくれて」
「なぁーに。これくらいどうってことないって。俺だっていつもアシュトンには色々してもらってるしさ。ほんのお礼だって。それより・・喜んでもらえるといいな」
「うん。ありがとう」
そういうと、二人は別れた。
 (おおおおおのれ~~~!!!)
物陰で二人の様子を伺っていたルシフェルは嫉妬の炎をメラメラと燃え上がらせる。
(大剣小僧とガサツ拳銃娘の話を聞いてまさかと思っていたが・・・。おのれ~~!!私のアシュトンに馴れ馴れしくしおってからに~~~!!!)
ルシフェルはロイドに対し、怒りを燃え上がらせる。
 (アシュトンもアシュトンだ!恋人の私がいながら・・・あんな男に頼みごとなどしおって!!しかも・・・しかも・・・直接依頼だと!?いつの間にそんなに仲良くなっていたのだ~~~~!!!)
さらにルシフェルはアシュトンが自分ではなくロイドを頼ったこと、しかも直接依頼が出来るほど仲良くなっているという事実に嫉妬と怒りを燃え上がらせる。
 (許さん・・・。絶対に・・許さん・・!!だが・・・まずは一体二人でコソコソ何をやっておるのか、それを確かめてくれるわ!!)
嫉妬の炎を燃え上がらせながら、ルシフェルは二人をジッと見つめていた。
 (ん?)
不意にルシフェルはこっそり誰かがその場を離れるのに気づく。
(あいつは・・・)
白いローブ姿、青い髪からルシフェルはキールであることに気づく。
(あのポニーテイル術師め・・。こんなところで何をしている?まるで・・・)
二人を覗いていたようにしか思えないキールの様子に、ルシフェルは不審を抱く。
 (怪しい・・!絶対に怪しい!奴についても調べねば!!)
アシュトン達の様子を伺っていたという事実に、ルシフェルはキールについても警戒心を起こす。
(こうしてはおれん!すぐにサディケルに調べさせねば!!)
そう考えると、ルシフェルはすぐに懐からポケットサイズの水晶を取り出す。
この水晶は携帯電話のようなもので、魔界で使われているものである。
 水晶の表面をこすってルシフェルはお目当ての人物を呼び出す。
「サディケルか?仕事だ。今すぐ人間界に行って、キール・ツァイベルとかいう若僧を見はれ!何?私用じゃないのかだと!ツベコベ言わずに言う通りにせんか!!」
それだけ言うと、ルシフェルは乱暴に水晶をしまう。
 「おのれ・・!!部下の癖にツベコベ言いおって!ってしまった!話している隙にどんどん行ってしまったではないか!!」
ルシフェルはそう叫ぶと、慌ててアシュトンの後を追っていった。


 数日後・・・・。
(全く・・・ルシフェル様にも困ったもんだよね~)
サディケルはキールを見はりながら、心の中で呟く。
 (これって完全に公私混同とか職権濫用ってやつじゃないの?仮にも魔界の総理大臣なんだからさ~)
完全に自分の立場など忘れているルシフェルにそんな突っ込みを入れる。
(まぁ完全にアシュトンにベタベタなルシフェル様見てるのも面白いには面白いけどさ。それに・・このキールって人間の見張りも・・・意外と面白いしね~)
監視をしながら、サディケルは心の中で呟く。
キールは論文の執筆をしているが、気にかかることがあるのか、何度も筆が止まる。
そのたびに雑念を払おうとするが、それが出来ずにさらに苛立つという悪循環を抱えていた。
 (自分に素直になればいいのにね~。まぁ、プライド高くて素直じゃないから無理だろうけど。それにしても・・・・意外と多いんだね・・・同性を好きになるって)
苛立つキールの姿に、サディケルはそんなことを思う。
サディケルの職務は情報収集。
それだけに、調べてすぐにキールがロイドに片思いをしていること、だが、本人はその気持ちに気づいていない、或いは気づいていても持ち前のプライドなどから否定しようとしていることに気づいていた。
 ようやく落ち着いたキールだったが、再び論文の執筆に取りかかろうとして、窓の外からロイドの姿を偶然見かけてしまう。
もはや我慢出来なくなったのか、キールは自分に宛がわれている部屋を飛び出してしまった。
 (あららら・・・。あれじゃあルシフェル様と同じじゃない・・)
こっそりロイドをつけて様子を伺うキールの姿に、サディケルは苦笑する。
サディケルが監視を続けていると、やがてロイドと入れ違いに工房へ入ってゆく。
 (うわ・・凄いな・・・。嫉妬が渦巻いてるんだろうな・・・)
ロイドがアシュトンの依頼で造っている装飾品を見つめるキールの表情を見ながら、サディケルはそう呟く。
嫉妬で恐ろしい程に歪んだ顔を浮かべながら、キールは杖を構えると、術を発動して装飾品を破壊してしまう。
さらに、工房を出たところでロイドと鉢合わせし、とっさに術をくらわせてしまった。
 (あ~あ・・・やっちゃった・・・・)
サディケルがそんなことを呟く間もなく、キールは脱兎のごとき勢いで飛び出す。
見失わないように、サディケルもキールの後を追いかけていった。


 (さすがに困ってるみたいだね~。まぁ、無理も無いよね)
通りを力なく歩いているキールの姿に、サディケルはそう思う。
ロイドがアシュトンのために依頼を引き受けたのが気に入らなくて、製作中の品を壊した上にロイドにも術を喰らわせたのだ。
大人げないなどというものではない。
恥ずかしさや情けなさ、自己嫌悪や罪悪感、そういった感情が渦巻いているはずだ。
 (あららら・・・。こりゃまた一波乱ありそうだよね)
サディケルは向こうから買い物中のアシュトンがやって来るのを目ざとく見つける。
案の定、キールは立ち止まると、買い物中のアシュトンの姿を見つける。
再び、キールは険しい顔でアシュトンを見つめる。
 (うっわ・・・。凄い・・腸煮えくりかえってるなんてものじゃないね・・・)
表情からサディケルはキールの心理状態を察する。
やがて、キールは杖を構えると、アシュトン目がけて術を発動する。
あっという間にあたりは大騒ぎになり、後を追ってきたロイドが駆けつけるまでてんやわんやだった。
 (もう・・・十分だよね。まぁ・・結構面白かったかな~~)
ロイドがキールを気絶させてギルド会館へ連れ帰るのを確認すると、サディケルは魔界へ通じるブラックホール風のゲートを召喚し、魔界へと戻っていった。


 「で・・どうだったのだ!?」
顔を合わせるなり、ルシフェルは口を開く暇も与えず問いかける。
「ちょっと待って下さいよ~。僕がしゃべる時間くらい下さいってば~」
「ええい!つべこべ言わずに報告せぬか!!」
「わかりましたよ。全く短気なんだから・・。それじゃアシュトン神父に嫌われちゃいますよ?」
「だーまーれ!いいから話せ!」
「はいはい。で・・あのキールって人間ですけど・・・ルシフェル様の睨んだ通り・・恋してましたよ~」
「な・・ななな何ぃ!?誰にだ!まさかアシュトンではなかろうな!!」
ルシフェルは思わず叫んで詰め寄る。
 「違いますよ。キールが恋してるのは、ロイド・アーヴィングの方ですよ」
「本当だろうな!確かにあのときアシュトンの方を見ていたぞ!?」
「本当ですって。それに・・そのときはロイドだっていたんでしょう?同じところにいたんだから、偶然アシュトン神父の方を見ていたように見えたんですよ」
「そ・・そうか・・・・」
ルシフェルはホッとする。
 「ルシフェル様~、アシュトン神父が可愛いのはわかりますけど、あんまり邪推やら嫉妬が過ぎると見苦しいだけですよ~。そういうのが嫌われるんですよ~」
「だ・・黙らんか・・・!!」
部下の言葉にルシフェルは苦々しげに言う。
 「まぁですからキールにアシュトン神父が取られるなんて心配は無いですよ」
「な・・ならば・・よかった・・・」
ルシフェルは再び安堵の息をつく。
「でも~・・・別の心配はありますかね~」
「な・・何だと?ど・・どう・・いう・・ことだ?」
サディケルの思わせぶりな言葉に、ルシフェルは尋ねる。
 「キールって人間がロイドに恋してるっていうのは言いましたよね?」
「聞いたわ!それがどうした!?」
「わからないんですか?ルシフェル様ともあろうお方が?」
「う・・うるさいっっ!!もったいつけてないで言わぬかっ!!」
ルシフェルはカッとなって叫ぶ。
魔界のナンバー2なだけに、本来頭はよい。
だが、アシュトン絡みになるとすっかり馬鹿になってしまうのである。
 「誰かに恋してる人間が・・その恋してる相手と仲良くしてる人間に・・どんな感情を抱くと思います?」
「それはもちろ・・・・」
そこまで言いかけてルシフェルはハッとする。
 「ま・・まさか・・・」
「ええ。そのキール・ツァイベルですけど、ヤキモチの挙句にアシュトン神父のこと、襲ってましたよ~」
「そ・・それを早く言わぬかぁぁぁ!!!!こうしてはおれんっ!!」
ルシフェルはすぐにも紅翼を広げて飛び上がる。
 ゴンッッッ!!!
だが、直後鈍い音と共に天井に頭を思い切りぶつけるや、すぐに床に着地する。
「お・・・おのれ・・・」
「あ~あ、無暗に飛ぼうとするからですよ。少しは落ち着いたらどうなんです?」
呆れたような口調でサディケルは言う。
 「う・・うるさいわ!!」
部下の前で見せてしまった間抜け振りに思わずルシフェルはカッとなりかけるも、人間界へ通じるブラックホール状のゲートを開く。
ゲートが開かれるや否や、待ちかねたようにルシフェルは飛び込んだ。


 「本当にごめんっ!!」
ロイドは必死になってアシュトンに謝る。
ギルド会館へキールを連れ帰り、部屋に寝かせてきてから、ガイと一緒にアシュトンへ謝りに来たのである。
 「いいんだよ。別にロイドのせいじゃないんだし」
「でもよ、事情はどうあれ、依頼は果たせなかったしさ、それに俺がいながら危ない目にも遭わせちまったのは事実だしさ」
ロイドは申し訳ない表情で言う。
アシュトンの依頼で製作していた装飾品をキールが壊してしまい、依頼を破棄せざるを得なくなったからだ。
アシュトンは自分を信頼して頼みごとをしてくれたのに、それに応えられなかったことがロイドにとっては申し訳なくてたまらなかったのである。
しかも、友人であるキールがアシュトンに暴力行為を働こうとしたのだから、尚更だった。
 「事情が事情だから仕方ないよ。それより、キールの方は大丈夫なの?」
「あっ!そうだ!もう起きてるかも!ガイ!悪いけど先戻るな!」
そういうと、ロイドは慌ててギルド会館へと戻る。
 「俺からもすまなかったな。キールが迷惑かけて」
「いえ。びっくりしましたけど、大丈夫ですから。でも・・」
「でも・・どうしたんだ?」
ガイは怪訝な表情を浮かべる。
 「あの・・・キールって・・もしかして・・僕にヤキモチ妬いたんですか?」
「!!!!???」
アシュトンの問いかけに、ガイは驚く。
「何で、そう思ったんだ?」
「ルシフェルが・・・僕が誰かと仲良くしてるときに・・ヤキモチ妬いて・・・そのときに見せる顔に・・そっくり・・でしたから・・・」
「ルシフェルって同居人のか?」
「はい・・。そして・・・僕の大切な人です・・・」
「ああ・・。なるほど・・・。そういう・・・わけだったんだな」
ガイはアシュトンの言葉に納得がいった表情を浮かべる。
 「だから・・・キールの顔を見たとき、わかったんです。僕にヤキモチを妬いてるんだなって。もしかして・・キール・・・」
「ああ。俺の見たところじゃ、ロイドのことが好きらしいな。ただ・・・頑として本人は認めようとしないし、ロイドはああだから気づいてるわけもないからなぁ・・・・」
ガイはため息をつきながら言う。
 「まぁこういうのは当人達の問題だからな・・・。とにかく・・・今日は色々とすまなかったな」
「いえ。ガイやロイドこそわざわざ謝りにきてくれてすいません」
そういうと、ガイも教会を後にした。
 (悔しかったんだろうな、きっと・・・。ルシフェルにプレゼントしたかったから頼んだけど・・・。ロイドやキールに悪いことしちゃったかな・・・・)
ガイやロイドから聞いた話や自分が見たキールの様子をもとに、アシュトンはそう思う。
恐らくキールはアシュトンがロイドに直接依頼をしたことを知ったのだろう。
直接依頼をされるほどアシュトンと仲が良いという事実、自分の好きな相手が他人の為に一生懸命になっている姿を見せられるのは、恋する身としては辛いものだ。
悔しくて悔しくてたまらなかったに違いない。
同じ同性に恋する者として、キールの気持ちは痛いくらいにわかる。
それだけに、キールの事を責める気にはなれなかった。
 「アシュトンッッ!!無事かーーーーっっっ!!!!」
突然、鼓膜に響きそうな声と共にルシフェルが礼拝堂へ飛び込んできた。
「うわっ!ど、どうしたの!?」
かなり慌てている様子に、思わずアシュトンはビックリする。
 「どうしたもあるか!お前があのキールとかいうポニーテールのツンツン学士に襲われたと聞いて急いで帰って来たのだ!!」
「そ・・そうだったんだ」
「大丈夫か!?どこも怪我してないか!?」
ルシフェルはアシュトンに駆け寄ると、声をかけながら怪我をしていないか確かめにかかる。
「う、うん。大丈夫だよ。どこも怪我してないから」
「そ・・そうか・・・。よかった・・・」
ルシフェルはアシュトンを抱きしめながら、ホッと安堵のため息をつく。
だが、次の瞬間、何とも恐ろしい顔にガラッと変わったかと思うと、大声を上げた。
 「何故こんなことになったのだーーーー!心配させおってーー!!」
「う・・うわあっっ!」
叫ぶと同時にルシフェルはいつものようにアシュトンを膝の上に引き倒す。
アシュトンが気づいた時には床が目の前に迫り、お尻はスースーしていて、脱がされたのが嫌でもわかる。
 バッジィィィ~~~~~ンッッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~ッッッッ!!!!
 「う・・うっわぁぁぁんんんん!!!!」
最初から凄まじい平手の嵐に、アシュトンは悲鳴を上げ、両脚をバタつかせる。
ビッダァァァ~~~~~~~~ンッッッッッッ!!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~ッッッッッッ!!!!
「ひぃぃぃぃ!!!痛っ!痛ぁぁぁいいい!!痛いよぉぉぉ!!ルシフェルぅぅぅ!!」
あまりの痛さにとてもアシュトンは耐えきれず、両脚をバタつかせながら泣き叫ぶ。
 「当たり前だろう!お仕置きなのだから!お前が襲われたと聞いて、どれほど心配したと思っておるのだ~~~!!!!」
ルシフェルは怒りに青筋を浮かび上がらせながら平手を振り下ろす。
ビッダァァ~~~~~ンンンッッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~~~~~ッッッッ!!!
 「ひぃぃぃんんっっ!!ごめんなさいっ!心配かけて・・ごめんなさぁぁい!!」
アシュトンは必死になって謝る。
すでにお尻は濃厚なワインレッドに染め上がっている。
だが、それでもルシフェルが許すわけは無く、さらにお尻を叩き続ける。
 「馬鹿者ぉ!『ごめんなさい』は当たり前だろう!それに・・・最近ロイドとかいう若僧と二人でコソコソしておっただろう!何をしていた!そして・・何故キールとかいう若僧に襲われることになったのだぁぁ!?」
「そ・・それは・・・」
口を開きかけてアシュトンはハッとする。
 (ちょっと待ってよ・・。直接ロイドに依頼なんかしたって言ったら・・・ロイドの命が危ない・・・。それに・・キールがロイドに片思いしてるってことも・・バレちゃう)
アシュトンは迂闊なことを言うと、ロイド達に被害が及びかねない事態になることに気づくや、口を噤む。
 「どうした!?言わぬのか?」
「ご・・ごめん・・・。君には・・話せ・・ないよ・・・。今回の事は・・・本当に・・悪かったけど・・・」
「ふざけるなぁ!あれだけ心配させられて、それで済むと思うかぁぁ!!」
理由を言おうとしないアシュトンに、ルシフェルは激昂する。
申し訳ないと思いつつも、アシュトンはロイド達の事を考えると、口を噤まずにはいられない。
 「許さん・・・。絶対に・・許さん・・!!」
そう呟くや、ルシフェルは膝を組む。
(ま・・まさか・・・)
お尻を突き上げるとっても痛い体勢にさせられると同時に、アシュトンは悪い予感を覚えて後ろを振り向く。
すると、いつの間にかルシフェルの手には愛用の特製パドルが握られているのが見えた。
 「アシュトン・・・。散々心配かけた上に、理由を話そうとしない悪い子には容赦はせんからな」
「あ・・わわわわ・・・」
顔から血の気が引くが、ルシフェルは構わずパドルを振り上げた。
 ビッダァァァ~~~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~ッッッッ!!!!!
「ひぎゃああああああああ!!!!!!!!痛いぃぃぃぃぃぃ!!!!」
絶叫に近い悲鳴を上げ、アシュトンは今までよりも激しく両脚をバタつかせる。
 バッジィィィ~~~~~~ンッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~~~ッッッッ!!!!!
 「うぎゃわぁああああああ!!!痛い痛い痛い痛い痛いよぉぉぉ!!!ルシフェルぅぅぅぅぅ!!!!」
パドルの凄まじい嵐にアシュトンは絶叫する。
「ならば理由を話さんか!話すまで何千回でも叩くぞ!!」
ルシフェルは恐ろしいことを言いながらパドルを振り下ろす。
決して脅しではない、ルシフェルならば本気でやるだろう。
今まで一緒に暮らしてきて、それは誰よりもよく知っていた。
 「わ・・・わかったよぉぉ!!言うっ!言うよぉぉぉ!!!」
「ならばさっさと言わぬか!!」
ルシフェルは一旦パドルを振るう手を止めて言う。
 「ひぃ・・ひぃん・・・。ロイドに・・装飾品の製作を直接依頼したんだよぉぉ・・・。き・・君に・・・プレゼント・・したかった・・からぁぁ・・・・」
「何?何故、言わなかった?」
「恥ずかしかったんだよぉ・・。それに・・内緒にしていてビックリさせたかったし・・・」
「それはともかくキールとかいう若僧の方はどうなのだ!?」
「ぼ・・僕も・・詳しいことは・・知らないけど・・。キール・・ロイドの事が・・好きらしいんだ・・・。その・・・だから・・僕が直接依頼したのを知って・・・それでヤキモチ妬いたんじゃ・・ないかなぁ・・・。本人に・・聞くわけには・・いかないし・・・」
「なるほど・・・。それで・・私を差し置いて・・双剣士の若僧を頼り・・挙句に・・あのツンツン学士が嫉妬してアシュトンに危害を加えたわけか・・・」
「あ・・あの・・ルシフェル・・?」
ルシフェルの様子にアシュトンは危険を感じる。
 「おのれ~~~~~!!!!!直接依頼が出来るほどアシュトンと馴れ馴れしくしおった挙句に、アシュトンが襲われる原因までつくりおってー!ツンツン学士共々丸焼きにしてくれるわーーーー!!!!」
「う・・うわあああっっ!!やっぱり~~~!!!!」
怒りのあまりに恐ろしいことを言いだしたルシフェルにアシュトンは慌てる。
 「ダメだよっ!ルシフェルッ!そういうこと言うと思ったから言えなかったんだってば!!」
「ぬ・・し・・しかし・・・」
「ロイドもキールも悪くないよ!僕がキールの気持ちに気づかないで依頼したからこうなったんだし!!だから二人の事は許してあげてよ!!」
アシュトンは必死になってルシフェルを止める。
 「わ・・わかった・・。そう・・・いうなら・・二人の事は勘弁してやろう・・・」
「本当?」
「アシュトンには嘘などつかん。それはよくわかっているだろう?頼むから信じてくれ」
「う・・うん・・。ごめん・・・」
ロイド達のことは許してくれたからか、アシュトンはホッとする。
 「だがな・・・」
「な・・何?」
何だか風向きが悪い方向になってきたことを感じたのか、アシュトンは恐る恐る尋ねる。
 「アシュトン・・。ここ数日・・ロイドとかなり馴れ馴れしくしておったな?」
「え・・でも・・それは・・・」
「たとえ私へのプレゼントのためとはいえ・・・そんな姿を見せられて、どれほど私が悔しかったかわかるか?」
「ひぃぃぃ・・。そ・・それは・・・・」
アシュトンは再び顔から血の気が引く。
 「どうやらアシュトンは私の恋人としての自覚が最近足らんようだな。だから・・・その分のお仕置きもしておこう」
そういうや、ルシフェルは再びパドルを振り上げた。
 ビッダァァァ~~~~~ンンンッッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~ッッッッ!!!!!
「うっわぁぁぁんんんんん!!!!!!ごめんなさぁぁぁいいいい!!!!」
再び始まったお仕置きにアシュトンは絶叫する。
 「馬鹿者ぉぉぉ!!!心配かけた上に散々ロイドと馴れ馴れしくしおってぇぇぇ!!今日はキツクキツクお仕置きしてやる!!それに・・・明日から十日間、毎日百叩き、合わせて千叩きはしてくれるわ~~~!!!!」
「そ・・そんなぁぁぁ~~~~っっっっ!!!!」
ルシフェルの恐怖の宣告にアシュトンは絶叫する。
その後、長い長い間、お仕置きが続いた。


 「ひぃひぃん・・・。うえぇぇえんん・・・・」
ボロボロとしゃくり上げながら、アシュトンは泣いていた。
お尻はもはやワインレッドを超えて凄い色になってしまっている。
 「ごめん・・なさい・・。ごめん・・なさぁぁい・・・」
必死になってアシュトンは謝る。
「反省したか?」
「してる・・してるよぉぉ・・。心配かけて・・ヤキモチ妬かせて・・・。ごめんな・・さぁぁい・・・・」
「よしよし・・。よく言えたな。もう・・お仕置きは終わりだぞ」
そういうと、ルシフェルはようやくパドルを手放し、アシュトンを抱き起こす。
 「大丈夫か。痛かっただろう?」
お仕置き時とは打って変わって、ルシフェルは優しい声をかけながら凄い色のお尻を撫でさする。
 「うん・・。僕こそ・・心配させて・・ごめんね・・・」
「わかってくれればいいのだ。とにかく・・今はゆっくり休むがいい」
「うん・・・」
そういうと、アシュトンはルシフェルに抱かれたまま、目を閉じる。
 (とにかく・・・無事で・・よかった・・・)
ルシフェルは再び安堵の息をつく。
(だが・・本当にヒヤヒヤさせられたぞ。それに・・・恋人は私なのだぞ?アシュトン・・それを・・しっかりと躾けてやるからな)
アシュトンにとっては恐ろしいことを呟きつつ、ルシフェルは眠ったアシュトンに愛おしさを込めてキスをした。


 後日・・・・。
「大丈夫か?」
「大丈夫だって言ってるだろう!何度いえばわかるんだ!!」
心配そうなガイにキールは思わず声を上げる。
 「ならいいんだけどな。何なら俺も行こうか?」
「一人で大丈夫だって言ってるだろう!僕は子供じゃない!謝るくらい一人で出来る!」
キールはガイにカッとなりながら言う。
二人がいるのは教会の前。
キールは見舞い用の果物かごを提げている。
アシュトンに迷惑をかけたことを謝りに来たのだ。
 「ならいいけどな。それよりさっさと謝ってきなって」
「わ・・わかってる!!」
キールはそういうと、礼拝堂の中へ入ろうとする。
だが、入ろうとしかけて立ち止ってしまった。
 「ん?どうしたんだ?」
立ち止ってしまったキールに、ガイは怪訝な表情を浮かべる。
対して、キールは答える代りに中を見てみろと手振りで合図をする。
怪訝に思ったガイは促されたとおりに中を覗いてみた。
 バッシィィ~~ンッッッ!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~ッッッ!!!
「うわぁぁぁんんっっ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい~~~!!!」
アシュトンはルシフェルの膝の上で両脚をバタつかせながら必死に謝る。
「『ごめんなさい』は当たり前だろう!心配かけおった上に・・・私の目を盗んでロイドと馴れ馴れしくしおって~~!!!」
「だからそのことはごめんなさいってば~~~!!!」
「何を言うか~~!!まだ3日、300回分が残っているぞ!もし反省しておらんのならもう10日増やすぞ!!」
「そ・・そんなぁぁぁ~~~っっっ!!!ごめんなさぁぁーーーいぃぃっっっ!!!」
アシュトンは必死になって許しを乞う。
そう、ルシフェルの10日連続百叩きのお仕置きは脅しでは無かった。
ルシフェルは本当にそのお仕置きをやっているである。
 「こりゃ・・・。取り込み中だな・・・。見舞いの品だけ・・置いていこう」
ガイはそういうと、キールが持っていた果物かごをドアの前に置いてゆく。
書き置きを残すと、二人はその場を離れる。
 (あれがアシュトンの恋人か・・・。それにしても・・かなり嫉妬深いみたいだな。キールといい、恐ろしきは嫉妬ってか・・・)
連れだって歩くキールをチラリと見やりながら、そんなことを思わず考えたガイだった。


 ―完―

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