移籍騒ぎ(SO2&テイルズより:スタン/カイル、共演パロ)



(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにしたSO2&テイルズ共演パロです。許容出来る方のみご覧下さい)


 「はぁ~っ。疲れた~~」
「大丈夫か、カイル?」
すっかり疲れた様子の息子に、スタンは心配そうに声をかける。
受けていたクエストを終えてようやく帰って来たところだった。
 「これくらい平気だって。それよりさ、今度のクエストはいつなの?」
「どうかなぁ。依頼が無いとなぁ・・」
「えー、早くまた父さんと一緒にクエストしたいのにー」
「こればっかりは俺達の都合じゃどうにもならないよ」
「わかってるってば!でも・・・また父さんと行けるのが楽しみなんだから!」
「それじゃあ明日用を済ませてくるついでに依頼が無いか聞いてくるよ。それより今日はもう遅いから早く寝るんだぞ」
「わかってるよ!」
そういうと、カイルは自分の部屋へと行こうとする。
 「父さん」
「ん?何だ?カイル?」
不意にカイルが振り返り、父に声をかける。
「俺達、いつまでも一緒だよね!」
「当たり前じゃないか。家族なんだから」
「そうだよね。じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ。夜更かしなんかするんじゃないぞー」
「わかってるよー」
そういうと今度こそカイルは二階へと上がっていく。
 「いつまでも・・・一緒・・か・・・」
カイルの何気ない言葉に、スタンは沈んだような表情を浮かべる。
『スタン、いい加減話すべきではないのか?』
沈んだようなスタンに、相棒の剣ディムロスが話しかける。
 「わかってはいるんだけどさ・・・」
『ならば何故話さんのだ?』
「言えば・・・絶対カイルは泣くだろう?父さんと離れたくないって」
『スタン、もう決めたのだろう?それくらい最初から予想できたことではないのか?』
「わかってる・・。でも・・・やっぱり・・いざって・・なるとさ・・」
『そんな弱気でどうするのだ!お前がそうでは・・・いつまでもカイルが一人立ち出来んぞ!本当にカイルが可愛いのなら、お前も覚悟を決めんか!!』
「わかってるよ・・・。ディムロス・・・」
『全く・・カイルの親離れの前に・・お前の子離れも必要そうだな・・・』
「だからそういうなよ~」
『ならばもっとシャキッとせんか!スタン・エルロン!!』
ディムロスに叱られ、スタンは再びシオシオと落ち込んだような表情にならずにはいられなかった。


 翌日・・・。
「あれ?これ・・・」
父親の机の上にある書類を見つけると、思わずカイルは近づいてみる。
 (これ・・ギルドに提出する報告書だよね。忘れていったのかな?)
ギルドに提出するはずの報告書が机の上に置きっ放しであることに気づくと、カイルは思わず取り上げる。
(届けた方がいいよね?)
そう判断すると、カイルは報告書を持って自分達のギルド会館へと向かっていった。
 「あれ?カイルじゃないかい。どうしたのさ?」
カイルが書類を抱えてギルド会館へやって来ると、弓を抱えた女性に出会う。
同じギルドに所属しているナナリーだ。
 「あっ、ナナリーさん。父さん見なかった?忘れ物届けに来たんだけど」
「スタンかい?なら会長室の方にいるよ」
「ありがと、ナナリーさん」
そう言ってカイルは会長室へと向かっていった。
 会長室までやってくると、カイルはドアをノックしようとする。
そのとき、ドアが微かに開いていたため、中の会話が漏れてくる。
「それで・・カイル君の移籍についてなのだがね・・・」
(え?移籍?)
「スタン、カイル君にはきちんと話してあるのかな?」
「すみません・・。それはまだ・・・・」
そのとき、思い切りドアが開いた。
 「誰だ・・!!って・・カイル!?」
思わず振り向いたスタンは、息子の姿を見るや、思わず驚く。
「な・・何しに来たんだ!?」
「父さんが書類忘れていったみたいだから届けに・・・。それより・・・移籍ってどういうことなの!?」
カイルはその場にいる父親、リオン、そしてギルドの会長兼経営者で、親子の友人でもあるウッドロウに詰め寄る。
 「聞いての通りだ、カイル、お前の移籍のことだ」
リオンが普段の冷静な態度で答える。
「移籍!?そんなの聞いてない!」
「い・・いずれカイルには話すつもり・・だったんだよ・・。ごめん・・・」
「どうして移籍なんかしなくちゃいけないのさ!俺、絶対にイヤだよ!父さんもそう言ってよ!」
「知らないのか?お前の移籍話を言いだしたのはスタンなんだぞ?」
「ま・・待てってば!リオン!」
慌ててスタンは止めようとするが、リオンは言ってしまう。
 「え・・・?と・・父さんが・・?」
カイルは信じられないと言いたげな表情で、スタンを見やる。
「父さん・・う・・嘘でしょ?だって・・いつまでも・・一緒だって・・・」
「カイル・・・嘘じゃない・・・。お前を移籍させようって・・・言ったのは・・俺なんだ・・・」
「ど、どうして!?父さんっ!俺何かした!?だったら言ってよ!ちゃんと反省するから!!それとも・・・俺の事嫌いになったの!?」
「ち・・違う・・よ・・」
「じゃあ何でさ!?」
「見苦しいぞカイル。決まったことは決まったことだ、ワガママ言ってないでスタンを困らせるんじゃない」
「リオン・・そんな言い方・・」
スタンが思わず助け舟を出そうとするが、リオンはジロリと睨みつける。
 「スタン、お前がそもそも原因だろう?お前がちゃんと話さないからこうなったんだぞ」
「う・・・・・」
リオンの言葉にスタンはぐうの音も出ない。
 「やだ・・・。移籍なんか絶対にイヤだッッッ!!!!」
そう叫ぶとカイルは会長室を飛び出してしまった。
「あっ!待てっ!カイルッ!」
慌ててスタンは追いかけようとする。
 「待ちたまえ、スタン!」
「ウッドロウさん!どうして止めるんですか!!」
カイルを追おうとしたスタンをウッドロウが止めに入る。
 「スタン、今のカイル君は非常に感情的になっている。君が行っても話など聞きはしないだろう」
「で・・でも・・・」
「それに今のお前がまともにカイルと話なんか出来ると思っているのか?おめでたい奴だな」
さらにリオンもスタンにそう言いやる。
 「で・・でも・・・カイルを放っておくわけには・・・・」
「リオンの言う通りだよ、スタン。今の君ではまともにカイル君と話が出来るとは思えない。お互い感情的になってますますこじらせてしまうだけだろう。気になるのは無理もないだろうが、今は自分の頭を冷やすべきだよ。カイル君もしばらくすればさすがに冷静になるだろう。顔を合わせるのはそれからの方がいい」
「わ・・わかり・・ました・・・」
ウッドロウの言う通りだとわかっているからか、スタンはそう言うことしか出来なかった。


 「母さん・・・。父さん・・俺の事嫌いになっちゃったのかなぁ・・・・」
家に戻って来たカイルは、部屋に閉じこもると、机の上にある小さな肖像画に向かって話しかける。
肖像画に描かれているのはカイルの母であるルーティ。
スタンと同じギルドに所属しており、トレジャーハンターとして活躍していた。
スタンと結婚し、カイルが生まれた後も夫と共に精力的にクエストをこなしていたが、数年前にクエスト先で流行っていた病気が原因で亡くなってしまった。
それ以来、スタンが男手ひとつでカイルを育ててきたのである。
それだけに、カイルのスタンに対する感情は非常に強いものがあった。
 「イヤだよ・・・。俺・・・。絶対に・・絶対に・・父さんと・・離れたくなんか・・ないぃぃぃ・・・・」
母の肖像画に語りかけながら、カイルは泣きそうになる。
(そうだよ!絶対に・・・離れるもんか!父さんと・・・ずっと一緒にいるんだ!!)
カイルはすっくと立ち上がったかと思うと、クエストで使っている装備品やアイテムを用意する。
そして、そのまま家を飛び出してしまった。


 「おい!いつまでそうしてるんだ!!」
玄関の前でウロウロしているスタンに、リオンは苛立たしげに叫ぶ。
「だ・・だってさ・・。あんなに泣かせちゃった後で・・顔合わせるの・・気まずいんだよ・・・。それに・・絶対カイル・・怒ってるじゃないか・・・」
「それは自業自得だろう?今さら何を言っているんだ?」
「う・・・」
リオンの言葉にスタンはぐうの音も出ない。
 「全く・・・カイルもカイルなら・・・お前もお前だな。本当に世話が焼ける・・・」
「そう言うなよ・・・」
「だったらさっさと入ったらどうなんだ?」
「わ・・わかってるって!」
リオンに促され、スタンはようやく意を決して家へと入る。
 「カイルー、いるかー?」
息子に呼びかけるスタンだったが、返事が全く帰って来ない。
「カイルー、カイル!どこにいるんだ!?」
慌ててスタンはさらに呼びかける。
呼びかけながらスタンは家中必死になって探し回る。
 「カイル、ヘソを曲げるのもいい加減にしたらどうなんだ!いるのなら返事をしろ!」
様子がおかしいと、リオンも加わってカイルを探しにかかる。
だが、カイルの姿はどこにもない。
 「どうしたんだ・・・?」
さすがにリオンも怪しみだす。
「リオンッ!大変だっ!!」
「どうした?」
「カイルの・・・装備品が無いんだ!!」
「何だと・・・!?」
リオンはハッとする。
 「ど・・どどどどうしよう!?す・・拗ねた挙句にま・・また家出したのかも・・。ど、どこに行ったんだ・・!?」
「落ち着かないか!慌ててどうするんだ!」
「そうだ!お前が動揺してどうする!」
再びカイルがいなくなってしまったことに、スタンは動揺してしまう。
そんなスタンをリオンとディムロスは叱咤して落ち着かせる。
 「そ・・そうだったな・・。お、俺が落ち着かないと・・」
「仕方が無い・・・。スタン、お前はここで待っていろ。カイルが帰って来たときのためにな。僕は・・・カイルの足取りを追ってみる。行き先がわかったらまた知らせてやる」
「わ・・わかった」
「全く・・・つくづく世話の焼ける奴だな・・」
リオンは思わず呟くと、一人家を後にした。


 数時間後・・・。
「ハァ・・・ハァ・・・」
スタンは荒い息を吐きながら、グミを頬張って体力を回復する。
同じようにリオンとウッドロウもアイテムを使って回復にかかる。
 「大丈夫かね、スタン、リオン?」
「これくらい、何ともない」
「俺は大丈夫です。それよりウッドロウさんこそ大丈夫ですか?」
「私は大丈夫だよ。それより、一刻も早くカイル君を探そう」
「は・・はいっ!」
そんな会話を交わすと、一行は奥に向かって進んでゆく。
リオンがカイルの足取りを追った末、あるダンジョンにカイルがやって来たことを突き止め、スタン・リオン・ウッドロウの三人で探しに来たのである。
 「カイルー!カイルー!どこに行ったんだー!」
「カイル君、いるなら返事をしたまえ!」
「カイル、いつまでも拗ねていないで出てくるんだ!」
三人は進みながら必死に呼びかける。
だが、なかなかカイルは姿を現さない。
 「どうしたんだろ・・?まさか・・・モンスターや盗賊に・・」
返事が帰って来ないことに、スタンは最悪の想像が思い浮かぶ。
「呼んだ?父さん?」
突然、聞こえた声にスタンはハッとして振り返る。
すると、暗がりの中からカイルが姿を現した。
 「カイルッ!!」
思わずスタンは駆け寄ろうとする。
だが、カイルは切先を父に向けて制止する。
「近づかないで!!これ以上・・・近づいたら・・・」
そういうと、何とカイルは自身の喉に刃を近づけた。
 「ば・・馬鹿ッ!何て事をするんだ!剣を捨てるんだ!!」
カイルのとんでもない行動にスタンはビックリする。
「イヤだよっ!父さんっ!俺、絶対に移籍なんてしないんだから!!」
「だからってそんな無茶な真似をするんじゃない!!」
「だったら何で移籍なんてさせるのさ!いつまでも一緒って言ったじゃないか!嘘つき!ひどいよ!父さんと離れるくらいなら・・・」
「うわーっ!やめろっ!やめるんだーーーっっっ!!!」
自身の喉を引き切ってしまおうとするカイルにスタンは絶叫する。
そのとき、ウッドロウが矢を射るや、カイルの剣を跳ね飛ばした。
 「いい加減にしたまえカイル君!!」
普段の冷静さをかなぐり捨てて、ウッドロウが怒鳴る。
「親不孝も大概にしたまえ!そんなことをして・・・誰よりも悲しむのはスタンに、亡くなったルーティだぞ!君は・・両親を悲しませるつもりか!君一人のワガママで、大切な人を悲しませるような真似をするんじゃない!!」
「ひぃん・・。だって・・・だってぇ・・・父さんと・・離れたく・・なぃぃぃ・・・」
ウッドロウの剣幕に押され、カイルは泣きじゃくりながら言う。
 「それはスタンも同じだよ。だがね、スタンは君自身のためにも色々と経験や見聞を積ませたい、そうして君自身の道を開いていってほしい、そう思っているのだよ。だからこそ・・涙を飲んで・・心を鬼にして・・・移籍を決めたのだよ・・・」
「そ・・そうなの・・父さん?」
「あ・・あぁ・・。俺だって・・・カイルとは離れたくなんて・・ないよ・・。今の俺には・・・カイルが全てなんだ・・・。だけど・・・。いつまでも俺の傍にいたら・・・・俺がカイルを縛ることになっちゃうんじゃないか。カイルが俺を慕ってくれているのをいいことに、俺がカイルの人生奪っちゃうんじゃないか。そう思ったんだ。カイル、お前には色々と経験を積ませたい、ここだけじゃなくて、もっと色々と世の中を見てもらいたい。それがお前のためになる。そう思って・・ウッドロウさんに頼んで、お前を移籍させてもらうことにしたんだ・・・。でも・・お前に辛い思いさせちゃったな・・・。ごめん・・・」
「そ・・それじゃあ・・・俺の事・・・嫌いになったとか・・・そういうんじゃ・・・」
「そんなわけないだろ!子供を嫌う親がいるわけないだろう!!」
「う・・うわぁぁ~~んんっっ!父さーんっっっ!!」
カイルは泣きながらスタンに抱きつく。
 「ひぃん・・。俺・・・いきなり・・移籍の話とか・・されて・・・ひぃぃん・・。まさか・・父さん俺の事・・嫌いになったのかと・・・」
「ごめん・・本当にごめん。『父さんと離れるのなんて嫌だ』ってお前に言われたり、泣かれるのが辛くて・・・怖くて・・・中々言いだせなかったんだ・・・。俺が臆病なばっかりに・・・辛い思いさせちゃったな・・・」
「ううん・・・。俺こそ・・ごめん・・・・」
「どうやら、仲直りは出来たようだね・・」
「全く・・・世話の焼けるバカ親子だ・・・」
泣きながら互いに謝るスタン達に、ウッドロウは安堵の表情を浮かべ、リオンも呆れつつも、安堵したような表情を浮かべていた。


 「カイル・・・どこか怪我とかしてないか?」
「あ・・大丈夫・・」
家に帰ってくると、スタンはダンジョンで怪我をしていないか確かめる。
 「そうか・・・。よかった・・・・」
カイルの言葉にスタンは安堵の息を漏らす。
「本当によかった・・。でも・・・」
「な・・何?父さん?」
急に父親の顔が怖いものになり、思わずカイルは警戒する。
 「カイル・・お前が拗ねて家出したって知ったとき・・・俺がどんな気持ちだったかわかるかい?」
「そ・・それは・・・」
「それに・・・お前が剣を喉に当てて脅した時、俺がどう思ったと思う?」
「だ・・だって・・・」
「だってじゃない。あんなに無茶なことばっかりして!」
旗色が悪いとカイルは逃げ出そうとする。
だが、すぐにスタンに取り押さえられてしまった。
 「やだやだっ!離してってば!!」
必死に抵抗するカイルだったが、あっという間に膝に載せられ、お尻をむき出しにされてしまう。
しっかりとカイルを押さえると、スタンはゆっくりと右手を振り上げた。


 ビッダァァァ~~~~~ンンンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッッ!!!
「うっわぁぁ~~~んんっっっ!!!痛いぃぃぃ~~~っっっっ!!!」
最初から容赦のないお仕置きに、カイルは絶叫する。
 バアッジィィ~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~!!!!
「わあああんっっ!!痛いっ!痛いよ父さんっ!!」
あまりにも激しいお仕置きに、カイルは両脚をバタつかせながら必死に訴える。
「当たり前だろ!お仕置きなんだから!全く・・拗ねた挙句に家出なんかして!」
今回は相当怒っているのだろう、スタンも声を上げながらお説教をする。
 ビッダァァァ~~~~ンッッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~ッッッッッ!!!!
「痛っ!痛いっ!痛い痛い痛いよぉぉぉ!!!!」
カイルは両脚をバタつかせながら泣き叫ぶ。
既にお尻は濃厚なワインレッドに染め上がり、大きく腫れている。
だが、それでもスタンは容赦なくお尻を叩き続ける。
 「離れたくないからって・・・ダダこねて・・・家出して・・・。しかも・・・・自殺までしようとしてっっ!!!この馬鹿っ!馬鹿馬鹿馬鹿っっ!!」
「ひぃん・・。だって・・・どうしても父さんと一緒にいたかったからぁぁ・・・・。あれくらい・・すれば・・・父さんだって絶対に・・折れるってぇぇ・・・。それに・・ほ・・本気じゃ・・・なかったよぉぉ・・・」
「馬鹿っ!冗談でも自殺の真似事なんてするんじゃないッッッ!!!!本当にお前が自殺すると思ったんだからなっっ!!!馬鹿馬鹿馬鹿っっっ!!!」
お尻を叩いているうちに、スタン自身も泣きだし、泣き怒り状態でお仕置きし始める。
 「うわぁぁんんっっ!!ごめんなさいっ!!ごめんなさぁぁーーいいっっ!!」
「馬鹿っ!無茶苦茶なことばっかりやって!!今日は本気の本気で怒ってるんだからな!!これくらいじゃまだまだ許さないからな!!」
「そ、そんなぁぁ~~~っっっ!!!」
カイルが絶望の声を上げるのを尻目に、さらに強烈な平手の嵐が始まった。


 「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「ひぃん・・・痛・・痛ぁぁ・・・ひぃひぃん・・・痛いよぉぉ・・・・」
スタンは両肩を上下させて荒い息を吐き、カイルは顔をグッショリ濡らして泣きじゃくる。
カイルのお尻は燃え盛る炎のような紅蓮に染め上がり、倍近く腫れている。
スタンの手も全体が真っ赤に染め上がっていた。
 「カイル・・・反省したか?」
「した・・・したよぉぉ・・・。ワガママ言って・・・家出して・・・・ごめんなさぁぁい・・・。ウッドロウさんや・・・リオンさんに・・迷惑・・かけて・・・ごめんなさぁぁい・・・。自殺まがいのことして・・・ごめんな・・さぁぁい・・・・」
「よしよし・・・。よく・・・言えたな・・えらいぞ」
スタンはそう言うと、カイルを抱き起こし、抱っこしてやる。
 「うわぁぁ~~~んっっ!!父さぁぁ~~んっっっ!!」
カイルは泣きながら父親に抱きつく。
「よしよし・・・。もう怒ってないからな」
手が痛むのも構わず、スタンは息子の真っ赤なお尻を撫でてやる。
 「カイル・・・。痛い思いさせてごめんな。でも・・・・お前がまた家出して・・・やっと見つけたと思ったら・・・自殺まがい・・・。お前を失うんじゃないか・・・そう思うと・・・本当に怖かった・・・・」
「俺こそ・・・父さんの気持ちも知らないで・・ワガママ言ったり・・・怖い思いさせて・・ごめんなさい・・・・」
「いいんだよ。俺だってお前に辛い思いさせちゃったから、お互い様だな。カイル、お尻が痛いだろうから一緒に寝るか?」
「うん!」
カイルが返事をすると、スタンは息子を抱いたまま、ベッドに横になる。
 「さぁ、ゆっくり休むんだぞ。起きてるまでずっとついてるからな」
「ありがと、父さん。あ・・あのさ・・」
「ん?どうしたんだ?」
「あ・・あのさ・・。おやすみの・・キスしてくれる?」
「ああ、いいよ」
そういうと、スタンは息子の額にキスをしてやる。
だが、何だかカイルは不満そうだった。
 「あれ?どうしたんだ?」
「父さん、せっかくなんだから唇にしてよ!」
「え?でも・・・こういうのは・・・」
「どうして?昔母さんにはしてたじゃないか!」
「ううん・・でもなぁ・・・・」
スタンは躊躇う。
唇を重ね合わせるキスは恋人や夫婦のもの。
肉親にするというイメージがスタンには無いのである。
 「ねぇ~。いいでしょ~、父さんってば~~」
カイルは必死に食い下がる。
「わ・・わかったよ。それじゃあ・・・」
スタンはカイルにせがまれた通り、唇にキスをしてやる。
 「こ、これでいいか?」
「うん!それじゃあ、おやすみなさい、父さん」
「ああ。ゆっくり休むんだぞ」
そういうと、カイルは父が見守る前で静かに目を閉じた。


 「え・・?それ、本当!?」
数日後、父から聞いた話に思わずカイルは目を丸くする。
「ああ。あの後ウッドロウさんやリオンと話したんだよ。移籍自体は話進めちゃったから断るわけにはいかない。でも・・あと二人までなら枠があるから、俺とリオンが移籍しても大丈夫だってさ」
「じゃ・・じゃあ父さんやリオンさんと別れなくてもいいの!?」
「ああ。俺達も一緒だよ。だからもう安心していいんだよ」
「や・・やったぁぁ~~~っっっっ!!!!」
カイルは心底から喜びの声を上げる。
 「ただし・・・もう向こうじゃワガママなんて言うんじゃないぞ。迷惑かけちゃダメだからな。ウッドロウさんにも向こうにも無理言って受け入れてもらったんだから」
「わかってるよ!やったっ!これからも父さん達と一緒にいられる~~!!」
スタンの話など半ば聞いてないのではという感じで、カイルは安堵の声を上げていた。


 それから数日後・・・・。
「あれ・・?スタンさんに・・・カイル?」
いつものように教会の庭掃除をしていたアシュトンは、風呂敷包みを持ってやって来たスタンとカイルに目を丸くする。
 「お久しぶりです、アシュトンさん」
「こちらこそお久しぶり。どうしたの、二人とも?」
「実は俺達、この街のギルドに移籍したんですよ。この近くに住むことになったから、今引っ越しのあいさつをしてるところです」
「へぇ、そうだったんだ。それじゃあ今後ともよろしくね」
「はい、お願いします」
「こちらこそよろしくお願いします、アシュトンさん」
二人はそう言うと、アシュトンにお菓子入りの風呂敷包みを渡す。
 「隣近所への挨拶がまた残ってますから、今日はこの辺で。また後でちゃんと挨拶に伺います。さぁ、行こう、カイル」
「うん。それじゃあね、アシュトンさん」
そういうと、二人は他のご近所さんへの挨拶を済ませに、教会を後にした。


 ―完―

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No title

おお‥楽しみにしてました!!
感動しました!!スタンの優しさ
がすごくよく伝わってきて‥やっぱり
山田主水さんの小説は素晴らしいですね!!
これからもがんばってください!

レス

 nana様>
 こんにちは、気に入っていただけましたようで何よりです。
これからも贔屓にしていただけるよう、頑張ります。
プロフィール

山田主水

Author:山田主水
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