スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

マルコ神父15(ハード要素あり)


(今回はハード要素ありです。許容出来る方のみご覧下さい)


 「新年、おめでとうございます!!それでは、皆さん今日は心ゆくまでお楽しみ下さい!!」
質素なデザインながら仕立てのよいスーツに身を包んだホスト役の声と共に、シャンペンやワインの栓が開けられ、日本酒の樽が開けられる。
乾杯の合図と共に招待客らをはじめとする一同が乾杯をし、グラスを傾けた。
 華美な内装、豪華な料理や高級酒、多様なスイーツ類がテーブルには所狭しと並べられ、着飾った招待客同士、或いは招待者らとグラスを片手に談笑したりしている姿は、いかにもなパーティ会場の様子に見える。
だが、招待客らはともかく、招待者側の方には日本人が目立つ。
それもそのはずで、さる日系企業のパリ支社の新年パーティだったからだ。
 そんなパーティ会場の片隅に、マルコ神父の姿があった。
パーティ会場だからか、スーツ姿で、グラスを手にしたまま、ひっそりと佇むように立っていた。
「おや、どうしましたかな、マルコ神父?」
マルコ神父がポツンと立っていると、不意に日本人の中年男性が声をかけてきた。
 「いえ、何でもありませんが。どうしましたか、オチアイさん?」
マルコ神父は声をかけてきたオチアイさんに返事をする。
「いえ、何だかムスッとされてらっしゃったので、どうしたのかと。もしかして嫌な思いをさせてしまいましたかな?」
「い、いえ!そんなことありません!こちらこそ、普段から色々とお世話になっている上に、こんな華やかなパーティの席にまで呼んでいただいて。本当にありがとうございます」
「ならよかったです。それでは、心ゆくまで楽しんで下さい」
「はい、お言葉に甘えて」
笑みを浮かべて返事をするも、オチアイさんが去ると、マルコ神父は再びいつものムスッとしたような表情に戻る。
 (全く・・私としたことが・・・)
心の中でそう呟きつつ、マルコ神父は視線を少し遠くへと向ける。
視線の先では、一緒に招かれたネド神父が、グラスを傾けつつ、他の招待客らと談笑している。
そんなネド神父を見やりながら、マルコ神父は数時間前のことを思い返していた。


 「何ですか?これは?」
ネド神父が見せたものを見やりながら、マルコ神父はそう尋ねる。
「招待状だ、見りゃわかるだろう?」
「それはわかってます。何だってこんなものを見せるんですか?そもそもどこからですか?」
「あれ?言ってなかったか?」
「一言も言ってませんが?」
「ああ、そうだったそうだった。悪い悪い。オチアイさんからだよ」
「オチアイさんから?何故です?」
「ああ。あの人日系企業の現地法人のおエライなんでな。会社の新年パーティをやるってんで、わざわざ俺らを招待してくれたんだとよ」
「そ・・そうですか・・・」
ネド神父の言葉に、マルコ神父は複雑な表情を浮かべる。
 実を言うと騒がしいパーティ等はあまり好きではない。
必ずといっていいほど羽目を外して騒ぐ手合いがいる。
そういう手合いの見苦しい振舞いを見せられるのは気分のいいものではない。
だからあまりパーティ等は好きではなかった。
 (それに・・・)
マルコ神父はこっそりネド神父を見やる。
だらしないとしか思えないネド神父だが、ざっくばらんな態度などが功を奏して意外と人気がある。
そういうネド神父なだけに、招待客らと盛り上がったり、傍から見ると何だかいい雰囲気という感じになろう。
そういう姿を見せられるのも、恋人心理では御免蒙りたかった。
 (とはいえ・・・)
一方で、マルコ神父は断りきれないものも感じる。
オチアイさんは元々実家が九州のカトリック系信徒の家だったせいか、よくこの教会に通ってきては教会での色々な活動に率先して手を貸してくれるし、寄付などの援助も欠かさない。
教会にとっては非常にありがたい後援者の一人だ。
それだけに、むげに断るのも不義理をしてしまうから、申し訳が立たない。
 「マルコ・・。まさか嫌だとか、断るとかいうつもりか?」
「そ・・そんなわけないでしょう!?わ、私がそんな不義理をするような人間だと思うんですか!?」
思わずマルコ神父はカッとなって叫ぶように言う。
だが、すぐに後悔する。
こんなことを言った以上、何が何でもパーティに出席しないわけにはいかない。
「なら・・・今日俺と一緒に出席してもらうぞ。いいな?」
「わ、わかっています!!」
マルコ神父がそう言うと、ネド神父は部屋を後にした。


 (とはいったものの・・・・)
仏頂面にならないように気を使いつつも、周りの様子を見やりながら、マルコ神父は表情が強ばりそうになってしまう。
 (ああもう!もうあんなに赤くなるまで飲んで!かと思えばジロジロ女性に色目を使って!!はしたないですね!!)
目立たぬようにグラスを傾けながら、マルコ神父はたまたま目についた他の客達の振舞いに眉を潜める。
普段から自分自身をしっかりと律するようにしているせいか、他人のだらしない振舞いにもついつい目が厳しくなる。
 通常だったら酒の上の席の事だから多少のことは、ということになるのだが、あいにくマルコ神父はそういうことは出来ない。
とはいえ、そういうことを取り上げるのも不粋だとわかっているから、口に出すことはない。
とはいえ、他人の見苦しい振舞いを見るのは苦痛で、とはいえそれを言うのも不粋だから言えない、ということで、知らず知らずのうちに表情が険しくなりかける。
他の客らが楽しそうにしている中、一人何だか不機嫌そうにしているマルコ神父だったが、たまたま一緒に来ているはずのネド神父の方に視線を向けるや、それが決定的なものになった。
 ネド神父は招待者側の数名の若い社員らと盛り上がっている。
見ていると、互いに酒を飲んでは飲み比べをしているようだった。
マルコ神父はツカツカとネド神父に近づいていったかと思うと、強引に会場の外へと引っ張っていった。
 「おぃおぃ、何すんだよ。せっかく盛り上がってたのによ」
飲み比べを邪魔され、ネド神父は残念そうに言う。
「何すんだ?ネド神父、あなたこそ何をしてるんですか!?」
「ん?ただの飲み比べだが?」
「何を考えてるんですか!?若い人相手にあんな羽目を外すような真似をしてみっともない!!恥を知ったらどうですか!?」
「いいだろうが。そこまで言わなくてもよぉ。頭固すぎだぞ」
「何を言うんですか!?こういう場所だからこそ、きちんと身を律しなくてはいけないんです!!全くあなたという人は・・・!!」
「はいはい。わーってるよ」
そういうとネド神父はどこかへ行こうとする。
 「どこへ行くんですか!?まだ話は終わってませんよ!!」
「ん~?トイレだよ。飲み過ぎて・・吐き・・」
ネド神父はこれ見よがしに吐く真似をする。
 「な、何やってるんですか!?さっさと行ってきなさいっっ!!」
胃の中身をぶちまけられては大変と、慌ててマルコ神父はネド神父を追いやる。
急いで手洗所へ向かうネド神父に、マルコ神父は呆れたようなため息をつく。
「全く・・だから言ったのに・・。本当に・・呆れた人なんですから!!」
怒ったように呟くと、マルコ神父は会場へと戻っていった。
 (全く・・・相変わらずお堅いんだからなぁ・・・・)
マルコ神父から見えないところまで歩いてくると、ネド神父はケロリとした表情で、そんなことを考える。
先ほどのは演技だ。
マルコ神父からグダグダと長いお説教を喰らいそうに感じたので、上手く誤魔化して逃げてきたというわけである。
 (まぁこういう場でもお固いところが・・マルコらしくて可愛いと言えば可愛いんだがなぁ・・・・)
ネド神父は先ほどのマルコ神父の様相を思い出すと、顔がニヤける。
自分の振舞いに怒って説教しようとする顔すら、萌えてきてたまらない。
(とはいえ、今顔を合わせたら長々と説教されそうだよなぁ。マルコがちょいと落ち着くまで一服してくるか)
ネド神父はそう考えると、喫煙コーナーの方へ足を運んだ。


 (全く・・・。神父の立場もわきまえずに飲み比べなんかした挙句に・・・吐きそうになるまで飲むだなんて・・・。本当に何を考えてるんですか!!)
ネド神父の振舞いを思い返すと、マルコ神父は表情が険しくなる。
いい加減な、或いはだらしない態度や振舞いが我慢ならないマルコ神父にとっては、ネド神父の行為は許しがたいところがあった。
不機嫌のあまり、マルコ神父がムスッとしたような表情を浮かべていたときだった。
 「あれ~?マルコ神父じゃないですか~?」
「おや?あなた方は・・・・」
声をかけてきた青年達に、マルコ神父は覚えがあるような口調で返す。
彼らは、招待者側の若手社員達。
オチアイさんが教会への支援の一環として、バザーなどの際に助っ人として派遣してくれたり、教会へオチアイ氏が来る際にお伴をしてくることがあるため、面識があった。
すでにそれなりに出来あがっているらしく、彼らの顔は皆赤みが差している。
 「珍しいですね~、こんなところにいるなんて~~」
「え・・えぇ・・。オチアイさんがネド神父と一緒に招待して下さいましたから・・」
話しかけるマルコ神父だったが、その口調はどこかぎこちない。
青年達の吐く息からは酒の匂いがし、また既に出来あがっている姿が、見苦しいように感じられるからだ。
出来れば早く離れたい。
そう思っていたときだった。
 「あっれ~、マルコ神父~?それ・・・ジュースですか~?」
不意に社員の一人が、マルコ神父が持っているグラスの中身に気づく。
「ええ、それがどうかしましたか?」
「せっかくのパーティなんですからマルコ神父も一杯やりましょうよ~~」
「いえ、結構ですので」
そういうとマルコ神父はその場を離れようとする。
 「あれ~?一杯ぐらいいいじゃないですか~。まさか・・酒がダメとかですか~?」
「そういう・・・わけではありませんが・・・」
「だったら飲みましょうよ~」
「ですが・・・・」
「あれ~?もしかして酒が怖いとか?」
「まさか~。マルコ神父だって子供じゃないだろ~」
「でもさ~。こうも誘ってるのにさ~。こう断られるとな~」
若者達は酒を断るマルコ神父に、挑発するように言う。
 「今・・何と言いました?」
マルコ神父は表情がガラリと変わる。
「いえ~。別にマルコ神父が酒もダメな子供だなんて・・思ってませんよ~~」
わざとかそれとも酔っているのか、顔を赤くしながら若者の一人が言う。
 「いいですよ!酒なんて怖くも何ともありませんよ!!」
「本当ですか~?口ではどうとでも言えますよね~~」
「だったら証明してみせますよ!さぁ、何でもいいから持ってきて下さい!!」
マルコ神父の態度に、若者達はニヤリと笑みを浮かべる。
若者の一人がビールのジョッキを用意したかと思うと、なみなみと注いでマルコ神父に渡す。
 「さぁ、どうぞ~」
「わかっていますよ!これくらい!」
マルコ神父はジョッキを受け取ると、口につけて思い切り傾けた。


 (そろそろ・・・大丈夫か?)
もうマルコ神父も頭が冷えた頃だろう、そう判断するとネド神父は会場へと戻ってきた。
すると何だか騒がしい感じがする。
(どうしたんだ・・?)
思わずネド神父が怪訝に思ったときだった。
 「うわあっ!ちょ、ちょっと!もう勘弁して下さいよ!?」
「何を言ってるんですか!?飲んでみろといったのはあなたでしょう!?」
(この声は・・まさか!?)
思わずネド神父は声のした方に駆けつける。
駆けつけたネド神父の目には信じがたい光景が広がっていた。
 「さぁ・・あなたも飲みなさい!?」
「も・・もう無理で・・うぐっっ!!」
ゆでダコのように顔を真っ赤にし、明らかに酔っぱらっているマルコ神父は、自分をからかって挑発した若者の一人の口に、強引に酒瓶を突っ込むと、無理やりに一気飲みさせ始める。
 「うぐ・・!!うぐ・・!!もぐ・・!!うぐ・・・!!げぇぇぇ!!!」
無理やり飲まされる若者は、とても耐えきれず、酒を戻してしまう。
「おやおや~。汚れてしまいましたね~。洗ってあげますよ~~」
「って・・うわぁぁ!!」
マルコ神父は頭から若者に対してドバドバと酒をかけまくる。
 「お、お客様・・も・・もうその辺で・・・」
思わずスタッフの一人が止めに入ろうとする。
「何ですか!?邪魔をするんじゃありませんっっ!!」
マルコ神父はそう叫ぶと、傍のテーブル上の大皿をひっくり返す。
おかげで、止めに入ろうとしたスタッフは、もろに料理を正面から引っ被ってしまった。
 「あははは!!面白い格好ですねぇ!?」
汚れたスタッフの姿に、マルコ神父は大笑いすると、瓶を逆さにし、床に酒をぶちまける。
「あははは!!そうだ・・あなた達も面白い格好にしてあげましょ~~」
マルコ神父はグルリとあたりを見回すと、近くにいた招待客やスタッフ目がけて、次々と皿をひっくり返し、或いは開けた酒瓶を振って、料理や酒をかけまくる。
あっという間にその場は大混乱になる。
 (こりゃいかん!?)
慌ててネド神父はマルコ神父に後ろからしがみつく。
「おい!マルコ!やめろって!?」
「あれ~?何するんですか~?離して下さいよ~。せっかく楽しんでるんですから~~!!」
「馬鹿!周りをよく見ろ!!」
必死に止めようとするネド神父だったが、完全に出来あがってしまっているマルコ神父は聞く耳を持たない。
「何ですか~?止めようとする気ですか~。だったらこうしてやりますよ~~~」
そう叫ぶや、マルコ神父は再び皿をひっくり返し、ネド神父に正面から料理をぶちまけた。
 「い・・・いい加減にしろ!!」
ビッダァァーーーンッッッ!!!
叫ぶと同時にネド神父のビンタが炸裂する。
ビンタの衝撃でマルコ神父はぐらつき、床に崩れ落ちる。
床に崩れ落ちたマルコ神父は、そのまま気を失った。
 「やれやれ・・・」
気を失ったマルコ神父を抱き起こしながら、ネド神父はため息をつく。
こんな騒ぎを起こした以上、もうここにいるわけにはいかない。
ネド神父が出て行こうとすると、騒ぎを聞きつけたオチアイ氏がやって来た。
やってきたオチアイさんに謝罪し、事情を説明すると、ネド神父はマルコ神父を連れて会場を後にした。


 数日後・・・。
(何て・・ことを・・・)
マルコ神父はこの世の終わり、とでも言わんばかりに落ち込んでいた。
帰って酔いが醒めた後、ネド神父から、パーティ会場での醜態を聞かされたためだ。
挑発に乗り、酔っぱらった挙句に大暴れなど、とても言い訳できない。
招待してくれたオチアイさんに対し、せっかくの好意を裏切るような真似をしてしまった。
向こうもさぞかし不愉快に感じただろうし、下手をすれば教会と後援者との関係も悪化させてしまいかねない。
 (どうすれば・・・いいのでしょうか・・・)
取り返しのつかない事態を引き起こしてしまいかねない自身のミスに、マルコ神父が戦々恐々としていたときだった。
 「マルコ、いるか?」
「な・・何ですか!?」
思わずマルコ神父はビクッと身体を震わせて叫ぶように言う。
「マルコ・・・。これから・・オチアイさんとこに行く・・・。謝らないとマズイからな」
「は・・はい・・。しかし・・・・」
マルコ神父は思わず躊躇う。
あれだけのことをしておいて、どの面下げて出れるのだろうか、そう思わずにはいられなかった。
 「おぃおぃ。お前が謝らなきゃ意味が無いだろう?」
「わ・・わかっています・・・。ですが・・」
「だったら愚図愚図するな。それとも・・お前が自分が仕出かしたこともちゃんと謝れない子供なのか?」
「そ・・そんなわけないでしょう!?ちゃ、ちゃんと謝れますよ!!」
カッとなりつつ、マルコ神父は後悔する。
こんなことを言えば、絶対に謝りに行かなくてはいけないからだ。
 「よし。なら・・行くぞ・・」
「わ・・わかっています!!」
上手く載せられたことに微かに悔しさを覚えつつも、マルコ神父は平静を装って部屋を出ようとする。
 「ああ、そうだ。マルコ、一ついいか?」
「な・・何ですか?」
「お前・・・ちゃんと反省してるよな?」
「あ・・当たり前でしょう!?わかりきったことを聞かないで下さい!!」
馬鹿にされたように感じ、マルコ神父は思わず叫ぶように言う。
 「それなら・・・覚悟はいいか?」
「か・・覚悟?」
ネド神父の問いかけに、マルコ神父は怪訝な表情を浮かべる。
「向こうだって相当腹に据えかねてるだろう。ちょっとやそっとじゃ許してくれんかもしれん。そのとき・・・こっちの誠意を見せるためには・・・何だってしなきゃならん。そのために・・・『何でも』する覚悟があるか?」
「あ・・あります・・。向こうに・・許していただけるなら・・何だって・・してみせます!!」
「よし。その言葉、忘れるなよ?」
釘を指すように言うと、ネド神父は出てゆく。
後に従ってマルコ神父も出ていった。


 「失礼・・いたします・・・」
声をかけると同時に、恐る恐るマルコ神父は、ネド神父と共にオチアイ氏のオフィスへと入ってゆく。
 「今日はわざわざ時間を割いていただき・・・本当にありがとうございます」
「大事な話があるというので、何とか時間をつくりました。それで・・・いかなるご用件ですかな?」
普段と違い、オチアイ氏は冷ややかな態度で尋ねる。
 (やはり・・・怒ってらっしゃいますね・・・。無理も・・ありませんけど・・)
二人を、特にマルコ神父の方を見るオチアイさんの視線の厳しさに、マルコ神父は今さらながらそのことを思い知らされる。
中々のことでは許してはもらえまい。
覚悟はしていたが、改めてそれを思い知らされる。
 「はい・・・。先日の・・パーティの一件です・・。まずは・・・こちらを・・。マルコ神父の被害に遭われた方にどうぞ」
そういうと、ネド神父は果物の詰まった見舞い用の籠を渡す。
「それと・・・。私どもの主任司祭から、被害に遭われた方への治療代やクリーニング代などは全て我々の方で持たせていただきます、とのことです」
「そうですか・・・・。わかりました。それは・・・受け入れさせて・・いただきましょう・・・」
そういうものの、オチアイ氏の表情は今だ固い。
賠償などは当たり前といっていい。
この程度では、オチアイ氏としてもまだ許せないだろう。
 「それで・・・話は・・それだけでしょうかな?」
「いえ・・。まだあります」
ネド神父は一旦言葉を切ると、真剣な表情になる。
 「オチアイさん・・・。マルコについて・・・どう思っております?」
「ん・・?どういうことです?」
怪訝な表情を浮かべて、オチアイ氏は問い返す。
 「当然・・お怒りだと我々の方も察しております」
「それで?ならばどうすると?」
「ですので・・・。我々なり・・正確には・・私なりのですが・・・この場で・・マルコにけじめをつけさせます」
「けじめ?それは・・・どういうものですか?」
「言うよりも・・・見ていただきたいと・・思っております。ですので・・そこで・・見届けて下さい。お願い・・できますか?」
「まぁ・・・いいでしょう。今日はこの後の・・予定はありませんから」
「ありがとうございます。では、オチアイさん、すみませんが、そこのソファを貸していただけますか?」
願いを受け入れてくれた後援者に対し、ネド神父はそう頼む。
「ええ。構いませんよ。何をするか知りませんが」
「ありがとうございます」
ネド神父はそういうと、今度はマルコ神父の方を振り向く。
 「それじゃあ・・・やるぞ、マルコ」
「は?やるって、何をですか?」
ネド神父の言ってることが分からず、マルコ神父は怪訝な表情を浮かべる。
 「決まってんだろ。お前がいつも不始末を仕出かしたときに俺がやってることだよ。忘れたのか?」
(ま・・まさか!!??)
マルコ神父は表情を強張らせる。
オチアイ氏の目の前で、いつものようにお仕置きをするつもりなのだ。
 (そ・・そうでしたか!?そ・・それで・・あんなことを・・!!)
マルコ神父は、教会を後にする際、ネド神父が『何でも』する覚悟があるかと尋ねたことを思い出す。
それはこのことを指していたというわけだ。
 (そ・・そんな・・。確かに・・・私が・・悪い・・ですけど・・)
マルコ神父は躊躇う。
自分が完全に悪いことはわかっている。
とはいえ、お仕置きをされること自体、恥ずかしくて嫌でたまらないのだ。
しかも、それを他人の目の前でなど。
 「どうしたんだ?」
そんなマルコ神父に、ネド神父は厳しい表情を向ける。
「そ・・その・・・」
「マルコ・・・不始末を仕出かしたのは誰だ?」
「そ・・それは・・・私です・・」
否定しようのない事実を突きつけられ、マルコ神父は認めずにはいられない。
 「そうだ。不始末を仕出かしたのはお前だ。である以上・・・詫びのためには誠意をみせないとな。それとも・・・お前の誠意と覚悟は・・その程度のものだったのか?」
「ち・・違いますっ!!」
疑うようなことを言われ、マルコ神父は思わず叫ぶ。
 「なら・・・オチアイさんにお前の誠意を見せろ。いいな?」
「わ・・わかっています!!」
マルコ神父はそういうものの、お仕置きと、それを他人が見ている前で受けることに対する屈辱感に身を震わせる。
だが、それを押さえ込んで、ネド神父の傍へとやって来た。
ネド神父の膝を前にして、一瞬マルコ神父は怯みかける。
だが、すぐそばでオチアイさんが見ていることを思い出すと、見苦しい振舞いは見せまいと、膝の上にうつ伏せになろうとした。
 「待て、マルコ」
「な、何です!?」
うつ伏せになろうとして邪魔をされ、マルコ神父は思わず抗議しようとする。
 「何も言わずに始める気か?それじゃあオチアイさんには全然わからんだろうが」
「な・・ま・・まさか・・。詳しく・・言えと・・!?」
「あぁ。始める前に、しっかりと説明して、きちんと見届けて下さいとオチアイさんにお願いするんだ」
(そ・・そんな・・・!!)
マルコ神父は愕然とする。
子供のようにお尻をぶたれてお仕置きをされる。
これだけで十分恥ずかしい。
しかも、今回は第三者の目の前でだ。
恥ずかしいなどというものではない。
その上、自分がこれからされることに対する説明や、それを見届けることをお願いさせられるなど、冗談ではない。
思わずマルコ神父は表情が強ばり、ネド神父を視線だけで殺してしまいかねないほど睨みつける。
 (すげぇ顔してるな・・。無理もねえが・・・)
自分を睨みつけるマルコ神父の表情に、ネド神父はそう心の中で呟く。
だが、勘弁してやるわけにはいかなかった。
 今回の事は本当にまずい事態なのだ。
マルコ神父は無論のこと、教会の将来にとっても深刻な事態になり得る。
である以上、どんなことをしてでも、オチアイ氏から許しを得なくてはいけない。
 「マルコ・・・。不始末をしたのは・・誰だ?」
「そ・・それは・・・」
「お前だろう?言い訳や拒否が出来る立場なのか?」
「く・・・」
「誠意と覚悟を見せると言っただろう?あれは・・嘘だったのか?」
「ち・・違いますっ!!」
嘘かと問われ、マルコ神父はカッとなりかける。
 「なら・・・お前がいつもどうされてるのか、そして今どうするのか・・それで・・・オチアイさんにどうして欲しいのか、きちんと説明するんだ。いいな?」
「わ・・わかりました・・・。そう・・おっしゃるのなら・・・」
屈辱感に拳を固く握りしめ、マルコ神父はブルブルと身を震わせる。
 「お・・オチアイさん・・。わ・・私が・・ふ・・不始末をしでかした・・ときは・・いつも・・ネド神父に・・お・・お尻を・・ぶたれて・・お仕置きされて・・います・・。こ・・これから・・いつものように・・ネド神父からの・・お仕置きを・・受けます・・。ですから・・・最後まで・・見届けていただけるよう・・お願い・・いたします・・・」
恥辱でしかない事実を説明させられ、しかもそれを見てもらうよう願い出る屈辱に、マルコ神父は顔が紅潮する。
しかし、それでも全部言い終えると、マルコ神父はいつものようにネド神父の膝にうつ伏せになった。
ネド神父はいつものように、マルコ神父の神父服の裾を捲り上げ、ズボンを降ろしてお尻をあらわにする。
「じゃあ、いつも通りいくぞ。覚悟はいいな?」
「叩くなら・・さっさと・・叩けばいいでしょう!?」
屈辱感に身を震わせつつ、せめてものプライドを保とうと、マルコ神父は強がってみせる。
(それがお仕置きされる態度かっての。まぁそこがらしくて可愛いんだけどな)
相変わらずなマルコ神父にネド神父は苦笑したくなりつつも、他人がいることを意識して真剣な表情を保つ。
左手でマルコ神父の頭をしっかりと押さえると、ゆっくりと右手を振り上げた。


 バアッシィィィ~~~ンッッッ!!!
「く・・・!!」
弾けるような音と共に、ネド神父の力強い平手が叩きつけられる。
(馬鹿っ!オチアイさんが見てるんですよ!声なんか出したらみっともないでしょう!?)
マルコ神父は自身をそう叱咤し、声を出すまいとする。
 バシッ!バンッ!ビダンッ!バアンッ!バジィンッ!バアンッ!
力強い平手の音がたて続けに響き、マルコ神父のお尻にほんのり赤い手形を幾重にも刻みつけてゆく。
一打ごとにマルコ神父は苦痛に顔を歪めるも、必死に声を押し殺す。
 バンッ!ビダンッ!バアアンッ!バジンッ!ビダァンッ!バンッ!
叩かれているうちにだんだん平手の勢いが強くなり、同時に苦痛も増してゆく。
マルコ神父は声を必死に押し殺すも、額や手の甲からジワリと汗が噴き出しはじめた。
 「ったく・・!!この馬鹿っ!!何をやってんだっ!!」
バシバシとお尻を叩きながら、ネド神父はお説教を始める。
バジィ~ンッ!ビッダァァ~~ンッ!ビバッダァ~ンッ!バッジィィ~ンッ!ビバッジィィ~ンッ!バアッジィィ~ンッ!
「・・ぅ・・ぁ・・ぁ・・・」
より強くなる苦痛にマルコ神父は思わず呻き声を漏らしてしまう。
 (だから何をしてるんですか!?私の馬鹿っ!?恥を知りなさい!!)
人が見ている前で声を漏らしてしまったことに、マルコ神父は自身を叱咤する。
無論、これが無意味なプライド、つまらない意地を張っているだけなのは自身がよくわかっている。
だが、それでもこう振る舞わずにはいられなかった。
 「せっかくオチアイさんのご好意で招待してもらったんだろうがっ!それを・・・あんな失礼な真似するなんてな・・・何だと思ってんだっ!!」
バッシィィィ~~~ンッッッ!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~!!!
「ふ・・!ぐ・・!く・・!あ・・!あぅぅ・・!あっ・・!あぁあ・・!!」
まるで豪雨のような平手打ちに、さすがのマルコ神父も堪えきれず、悲鳴を上げる。
 バアッジィィィ~~~~~ンッッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~ッッッッ!!!
「うぅぁ・・!うっあ・・!あっ・・!あくぅ・・!あぐ・・!あっ・・!ぐぅぁ・・・!あく・・!!」
激しい平手打ちにマルコ神父は声を漏らすたびに、顔を苦痛に歪める。
 ビバッジィィィ~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~ッッッッ!!!
「ちょっとした挑発に簡単に乗りやがって!!何を考えてんだよっ!!この馬鹿っ!!」
お説教を続けながら、ネド神父はマルコ神父のお尻を満遍なく赤へと染め上げてゆく。
 バアッジィィィ~~~~~ンッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~ッッッ!!!
「ぐぅあ・・!あっ・・!ああくっ・・!あっ!うくぁぁ・・!!」
激しさを増す平手の嵐に、マルコ神父はビクンビクンと全身を強張らせる。
 「・・ったく・・あっちこっちに迷惑かけやがって!!この馬鹿っっ!!」
「ぐ・・も・・申し訳・・ありま・・ぐあああ!!」
マルコ神父は必死に謝ろうとするが、苦痛に悶えてそれどころではない。
「馬鹿野郎!謝るのは当たり前だ!まだまだこれからだからな!!」
そういうと、ネド神父はますます勢いを強める。
激しい打撃音と、苦悶の声が応接室に響き続けた。


 「う・・く・・あぅ・・はぁ・・くぁぁ・・・」
マルコ神父は両肩を上下させ、荒い息を吐く。
既にお尻は見事なワインレッドに染め上がっており、よく揉んだカイロのように熱くなっていた。
(あ・・熱い・・ま・・まるで・・火が・・ついて・・・)
お尻に感じる熱さに、マルコ神父は熱に浮かされたような表情になる。
 「ふぅぅ・・・・」
少しわざとらしく息をつくと、一旦ネド神父はお尻を叩く手を止める。
「もう・・終わりですかな?ネド神父・・・」
お仕置きを見ていたオチアイさんは、そう尋ねる。
ネド神父の様子から、そろそろ終わりかと思ったのだ。
 「いえ。これからです」
「え・・・?」
オチアイさんはネド神父の答えに耳を疑う。
しかし、それはマルコ神父も同じだった。
(ま・・まさか・・。まだ・・やるつもり・・なんですか・・・!?)
マルコ神父はそう思わずにはいられない。
お尻はもう限界に近い。
気力で何とか耐えているが、これ以上ぶたれたら、もう我慢出来ない。
プライドも何もかもかなぐり捨てて、いつものように泣き叫んでしまうだろう。
 (嫌・・・!!それだけは・・・!!ね・・ネド神父一人だけなら・・・ともかく!!)
マルコ神父は心の中で叫ぶ。
本当のことを言えば、ネド神父にだって泣き叫んで許しを乞う姿を見せるのは恥ずかしい。
だが、ネド神父はそんな自分の姿を見ても決して馬鹿にすることはない。
だから、プライドも何もかもかなぐり捨てて、泣き叫んで許しを乞うことは、ネド神父一人だけのときなら可能だ。
 だが、今はオチアイさんが見ている。
他人の前でそんな無様な姿なんて、とても見せたくない。
思わずマルコ神父は振り返ると、ネド神父に懇願しようとする。
 「おぃ、何そんな顔してんだ?」
だが、ネド神父はそれを見透かしたように、厳しい声で問いかける。
「マルコ・・・。お前は言ったはずだったよな?誠意と覚悟を見せるためなら・・・どんなことでもすると?」
「で・・ですが・・・・」
これ以上お仕置きして本当に恥ずかしい姿まで見せないで欲しい。
そう懇願しようとしたときだった。
 「マルコ・・・。お前が仕出かしたことで・・どれだけ皆や教会に迷惑がかかったかわかってるか?それが・・・この程度で・・許されることだと思うか?それに・・・この程度で許されて・・お前が・・納得出来るのか?」
「そ・・それは・・・」
マルコ神父は言葉に詰まってしまう。
確かにネド神父の言う通りだ。
自分の軽はずみな振舞いで、ネド神父のみならず、教会全体に大きな迷惑がかかるかもしれないのだ。
その重大さを考えれば、この程度で許されることではない。
まだまだお仕置きされても文句が言える筋合いではないのだ。
それを思えば、まだお仕置きされても仕方が無いし、ここで終わったら、受けるべきお仕置きから逃げた、そう思わずにはいられない。
 (全く・・・馬鹿ですね・・。私は・・・)
マルコ神父は自嘲せずにはいられない。
今だってお尻は限界なのだ。
これ以上ぶたれたら、もう耐えられない。
決して見せたくない恥ずかしい姿だってオチアイ氏に見られてしまうだろう。
 だが、ここで逃げたくも無かった。
自分はけじめをつけるためにここにいる。
例え、オチアイ氏が許したとしても、まだ自分の中ではけじめがついていないのだ。
それが自分のプライド、意地から来ているのはよくわかっている。
だが、それでもやらずにはいられなかった。
 「いえ・・・出来ません・・。ですから・・・お仕置きを・・受けます・・」
「それで、いいんだな?」
念を押すようにネド神父が問いかける。
「構いません・・。これが・・私なりの・・けじめですから・・・」
それを聞くと、ネド神父はオチアイ氏の方を向いて口を開く。
 「というわけです。すみませんが、もうしばらくつき合ってやって下さい」
そういうと、ネド神父はおもむろに膝を組む。
おかげで、マルコ神父は既に赤くなったお尻を突き上げる体勢になった。
本気のお仕置き時の姿勢に、マルコ神父も表情が強ばり、ソファの表面を掴む両手にも力が入る。
同時にゴソゴソという音がしたかと思うと、ネド神父がパドルを取り出した。
 「マルコ・・・・。これから・・パドルで最低でも・・百叩きはする。いいな?」
「え・・えぇ・・。覚悟は・・出来ています・・・」
パドルで最低でも百叩き、という宣告に、無意識にマルコ神父は全身を震わせる。
「今回は・・・ゆっくり叩く。一発ごとに・・『オチアイさん、ごめんなさい』と言うんだ。いいな?」
ネド神父の宣告に、マルコ神父は一瞬表情を強張らせる。
だが、非は自分にあることを思い起こすと、屈辱感を腹に飲み込み、黙って頷いた。
 バアッジィィィ~~~~~~ンッッッッッ!!!!
「ぐ・・!!ぐぅぅぅぅ・・・!!!」
一発だけとはいえ、既に散々に叩かれたお尻を、それもパドルでぶたれ、マルコ神父は苦痛に表情を歪める。
 「おぃ?どうしたんだ?ちゃんと言わないか?」
「わ・・わかって・・います・・。お・・オチアイ・・さん・・ごめん・・なさい・・」
マルコ神父が言われたとおりにすると、再びネド神父はパドルを振り上げる。
 バアッジィィ~~~~~ンッッッッッ!!!!!
「うわぁああ!!く・・お・・オチアイさん・・ごめん・・なさい・・・」
ビバッジィィィィ~~~~~ンッッッッ!!!!!
「ひぎぃぃぃ!!お・・オチアイ・・さん・・。ごめ・・・・」
謝りかけたが、マルコ神父は苦痛で最後まで言いきれない。
 「おぃ。しっかりと最後まで言え。出ないと一回にカウントせんぞ」
「わ・・わかって・・います・・。お・・オチアイさん・・ごめんなさい・・・」
マルコ神父が最後まで言うと、再びネド神父はパドルを叩きつける。
ネド神父がパドルで叩き、そのたびごとにマルコ神父が謝罪の言葉を口にする。
それが、少なくとも100打を超えるまで続けられた。


 「ひ・・ひぃん・・ひっ・・。あっあっ・・」
ネド神父の膝の上でぐったりしたまま、マルコ神父はしゃくり上げていた。
涙がボロボロと零れおち、両肩が上下にブルブルと震えている。
お尻は今やワインレッドどころか、青みがかっていた。
「ひっ・・ひぅぅ・・。うっ・・うっうっ・・うぅぅうう・・・」
オチアイ氏が見ているのも構わず、マルコ神父は全身を震わせて泣きじゃくる。
もはやプライドも何も無かった。
限界を遥かに超えたお尻の苦痛に泣きじゃくらずにはいられなかった。
 「オチアイさん・・・。これで・・・納得していただけましたか?」
一旦パドルを振るう手を止め、ネド神父はオチアイ氏に尋ねる。
「え・・えぇ・・。こ・・こちらの・・怒りも・・もう・・すっかり消えましたから・・」
最初の冷ややかな、怒りを抑えかねているような表情はすっかり消え去っていた。
むしろ、痛々しい状態のマルコ神父のお尻に、申し訳ないような表情を浮かべている。
恐らく、マルコ神父にこんな目に遭わせることを強いた自身に対して罪悪感を抱いているのだろう。
 「では・・今回の件は許していただけますか?」
「そ・・それはもちろん・・。それより・・すぐに手当てをされた方が・・」
「わかっております。では・・・今日は失礼します」
ネド神父はそういうと、マルコ神父を降ろし、介添えして立たせる。
 「マルコ・・・。許してもらった礼と・・・もう一度お詫びをしろ」
「わ・・わかって・・いま・・ぐ・・」
お尻をズボンと神父服の下に戻しつつ、苦痛にマルコ神父は表情を歪める。
 「お・・オチアイさん・・。今回は・・・本当に・・申し訳・・ありませんでした・・。深く・・お詫びします・・。そして・・そんな・・不始末を・・・許して下さり・・本当に・・ありがとう・・ございました・・・」
マルコ神父はそう言うと、オチアイ氏のオフィスを後にしようとする。
そのとき、グラリと身体が傾ぎかけた。
 「ま・・マルコ神父・・!!」
「こ・・これくらい・・平気です・・」
「ですが・・・」
怒りの収まったオチアイ氏はマルコを手助けしようとする。
「これくらい・・。いつものことです・・。ですから・・・心配は・・無用です」
どう見ても心配せずにはいられない様相をしつつも、マルコ神父は平静を装ってオフィスを後にした。


 「ぐぅ・・!!ぐぅぅぅ!!!」
ベッドシーツをあらんばかりの力で握りしめ、マルコ神父は苦痛に声を漏らす。
「大丈夫か?沁みたのか?」
お尻に薬を塗りながら、ネド神父は心配そうに尋ねる。
先ほどようやく教会へ帰って来たので、手当てをしているところだ。
 「大丈夫か?あんなことを・・しておいて・・よくも・・ぬけぬけと・・言えますねぇ」
マルコ神父は振り返ると、睨みつけるような表情で抗議する。
「仕方ねえだろ。どんなことしてでも、オチアイさんに許してもらわなきゃならなかったんだからよ。許してもらえてよかったじゃねーかよ」
「よ・・よくありません!!だからって・・だからって・・・!!どんなに・・どんなに・・どんなに・・恥ずかしかったと思ってるんですかぁぁ!!うわぁぁぁんん!!!」
マルコ神父は身も蓋も変わらず、突っ伏すと子供のように泣きだしてしまう。
 自分がお尻をぶたれているという事実を自分で話させられたこと、後援者の目の前でお仕置きを最初から最後までずっと見られたこと、お尻を叩かれながらまるで子供のように『ごめんなさい』を連呼させられ続けたこと、そして何よりも、ネド神父以外の人間に子供のように大泣きする姿や、お尻をぶたれる姿を見られてしまったこと、それらが何よりも恥ずかしくて、情けなくて、悔しくてたまらなかった。
 (悪いことしちまったなぁ・・・・)
本気で泣いているマルコ神父に、さすがのネド神父も罪悪感を覚える。
マルコ神父の仕出かした不始末の内容を考えれば、厳しいお仕置きは当然だし、そうでなければ向こうも納得しないだろう。
そう思ったわけだが、マルコにしてみれば泣きたくなるのも無理は無い。
マルコ神父にとっては色々と辛いことを強いたのだから。
 「悪かった。悪かった。反省してるし、謝るよ。だから許してくれ」
ネド神父はマルコ神父を抱きしめながら謝る。
「そ・・その程度で許すと思ってるんですか!?馬鹿にしないで下さい!!」
「わかってるよ。だから今日は責任取ってズッといるよ。それに・・確か来週の水曜日は二人ともオフだろう?だから・・二人でデートってやつでもしないか?」
「ふん・・。そこまで言うなら・・・仕方ありませんね・・・」
そういうと、ようやくマルコ神父は機嫌を治す。
それを見てネド神父も安堵の表情をチラリと見せた。


 ―完―

スポンサーサイト

comment

管理者にだけメッセージを送る

明けましておめでとうございます

新年のご挨拶が遅れてしまい、申し訳ありません。
2日酔いならぬ3日酔いから生還してまいりました。
…マルコ、酔っても後に残らないタイプなのでしょうか?まぁ、その疑問は置いといて、オチアイさんはお仕置き見てる時、鼻の下伸ばして見ていたはずです(笑
あー、新年からハードなものを読ませていただきお腹一杯でございます。
今年も愛あるお仕置き楽しみにしています。そして今年もよろしくお願いします^^

レス

 愛様>
 こちらこそコメありがとうございます。
多分後に残らないタイプなんですよ(笑)。
新年最初からのハードなお仕置き、楽しんでいただけて何よりです。今年も愛がいっぱいなお仕置き、書いていく予定なので楽しみにしていただけましたら幸いです。
プロフィール

山田主水

Author:山田主水
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2投票
無料アクセス解析
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。