調査と嫉妬(SO2&テイルズより:ロイド/キール、共演パロ、BL)



(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにしたSO2&テイルズ共演パロです。BL要素もあります。許容出来る方のみご覧下さい)


 (誰も・・見てないな・・・)
キールは周囲を確かめ、第三者がいないことを確かめる。
(よし・・。これなら・・大丈夫だな・・)
そう確信すると、キールはゆっくりとお目当ての人物へと近づいてゆく。
視線の先にいるのはロイド。
素振り中らしく、ロイドは数を数えながら双剣を振りまわしていた。
 「ロイド、ちょっといいか?」
「あれ?キールじゃんか?どうしたんだよ?」
「それをこれから話すところじゃないか。それくらいもわからないのか?」
「わ・・悪い・・・」
キールにきつめに言われ、思わずロイドは謝る。
 「まぁいい。僕が論文を書いてるのは知ってるな?」
「ああ。いつも言ってるもんな」
「そのことで手伝ってほしいんだ」
「え?俺にかよ?頭脳労働とか無理だぜ、俺?」
「そんなことはわかってる。調査の方は自分でするから必要ない。だいたいロイドに頭脳労働なんか求めるわけがないじゃないか!!」
「キール・・自分でもわかってっけど、思い切りそう言われるとちょっと傷つくぜ・・」
「わ・・悪かった・・」
ロイドの言葉に思わずキールは謝る。
 「それで、俺に何して欲しいんだよ?」
「危険が予想されるから、護衛としてついてきて欲しいんだ」
「わかった。そういうことなら任せとけって!!」
「ならいいんだがな。それじゃあ明日の朝9時頃、ギルド会館前の時計台の前で待ってるからな」
「わかった。ボロ船に乗ったつもりで安心してくれよな!」
「ロイド・・・そこはボロ船じゃなくて大船だろう?」
「え?あれ?そうだったっけ?」
「全く・・・。この前勉強したばかりだろう・・・」
この前の個人授業でやったばかりなのに、完全に忘れているロイドにキールは呆れる。
 「全く・・・これはもう一回復習した方がよさそうだな・・・」
「へ・・?」
「ロイド!今からことわざの補習をするからな!!」
「ええ~!?マジかよ!?」
「当たり前だろう!さぁ、行くぞ!!」
「わかったよ・・・。トホホ・・・・・・・」
ロイドは諦めてシオシオと落ち込んだ様子でついてゆく。
一旦こうなってしまったキールに逆らうのは難しいのはわかっていたからだ。
それに、キールはロイドのためを思ってやってくれている。
勉強は好きではないが、キールの気持ちを考えれば、とても拒否は出来なかった。
 だが、二人とも気づいていなかった。
誰かが様子をジッと伺っていることに。
二人の姿が完全に視界から消えるまで、ジッと物陰からその誰かが見つめ続けていた。


 翌日・・・。
「獅子戦吼!!」
獅子の形をした闘気を叩きつけると同時に、モンスターが消滅する。
 「大丈夫かよ、キール?」
敵を全部倒すと、ロイドはキールに尋ねる。
「ああ、大丈夫だ。ロイドこそどうなんだ?」
「俺は全然平気だぜ!」
「そうか。ならいいんだ。それより、そろそろ休憩しないか?」
「そうだよな。腹も減ってきたしな」
キールの提案で、二人は適当な場所を見つけて休憩する。
 「そうだ。ロイド、じ、実は弁当を作り過ぎたんだ。よ、よかったら、た、食べるか?」
平静を装って、だがドキドキしながらキールはロイドに尋ねる。
「え?いいのかよ?」
「あ、あぁ。お、多すぎて僕には食べきれないからな。モンスターと何度も戦って疲れただろ?」
「そうだな。ありがとな」
「別に、作り過ぎただけだって言ってるだろ」
そう言いつつ、キールは恐る恐るといった感じで弁当を差し出す。
 ロイドが受け取って食べ出すと、キールはおずおずと尋ねる。
「ど・・どうだ?おいしいか?」
「ああ!すっげえウマいぜ!?俺も料理には自信あんだけど・・・すげぇなぁ!!」
「そ・・そうか・・・」
(よ・・よかった・・。気に入ってくれたみたいだな・・・)
平静を装いながらも、キールはホッと胸を撫で下ろす。
 (本当においしそうに食べてるな・・・)
すっかり満足という感じのロイドに、キールは安心する。
実はロイドに食べてもらおうと作ってきたものだったからだ。
それだけに、満足してもらえて安心したし、嬉しかった。
「あっ、そうだ。何だったら俺のと弁当交換しようぜ!」
「ろ、ロイドのとか!?」
ロイドの提案に、思わずキールは声を上げる。
 「あれ?嫌だったか?」
「い・・いや・・。いきなりだったからな・・。ま・・まぁ・・どうしてもっていうんなら・・もらっても・・いいぞ」
キールはそういうと、ロイドの弁当を受け取る。
 (ロイドの・・・弁当・・・)
恐る恐る蓋を開けてみると、ビーフがたくさんの、何とも男の弁当という感じである。
「何か・・・メタボにでもなりそうだな・・・」
肉づくしの内容に、思わずキールは呟く。
「え?何か言ったかよ?」
「い、いや。何でもない」
(危ない危ない。機嫌を損ねられるところだったな・・・・)
せっかく交換してもらったのに、取り返されてしまうのは嫌なので、キールはホッとする。
ホッとすると、キールも弁当に手をつける。
 「ん・・?結構・・うまいな・・」
「そうか?ならよかったぜ!!」
「でも肉ばっかりすぎるんじゃないのか?ロイド、野菜もちゃんと取らないとダメだろう?」
味には満足しつつも、そういうところは容赦なく突っ込みを入れる。
「そうか?別に太ってたりはしねえけどな?」
「それは運動してるからだろ。運動してても、肉ばかりじゃ栄養が偏ってよくないだろう?全く・・・。こうなったら・・栄養指導の方も必要みたいだな・・・」
ロイドの弁当を食べつつ、キールはそんなことを呟く。
 「あっれ?ロイドじゃない?」
「ん?あれ?ジーニアスか。どうしたんだよ?」
突然声をかけられ、思わずロイドが振り向く。
すると、そこにはジーニアス、そして一緒にやって来たのだろう、カイル、ルカ、レオンの姿もあった。
 ジーニアスの姿にキールは微かに表情を歪めるが、それに構わず四人はロイド達の方へと近づいてゆく。
「あれ?ジーニアスだけじゃないのか?皆揃ってどうしたんだよ?」
「うん。宿題の調べ物にね」
「宿題?」
「そうなんだよ。姉さんがここに生えてる植物について調べてきなさいって宿題を出してさ。一人で平気なんだけど、皆で調べて来なさいってさ」
「他人と協力したり、協調性とかを見につけてほしかったんじゃないかなぁ?」
ジーニアスの言葉にルカがそう返す。
 「へぇ、そうだったのか。奇遇だなぁ、俺もキールが論文用にここの植物調査するっていうんで、護衛でここに来てたんだよ」
「へえ~。そうだったんだ。何か結構イイ雰囲気だったから、てっきりデートでもしてるのかなって思ったんだけどね~」
ジーニアスの言葉に、思わずキールは咳き込む。
 「だ、大丈夫かよ?」
思わずロイドは背中をさすってやる。
「だ、大丈夫だ。そ、それより何馬鹿なことを言ってるんだ!?」
ジーニアスに向かって思わずキールは叫ぶように言う。
 「あれ?デートじゃないの?何かさっきまでの雰囲気がそれっぽかったんだけど?」
「そ、そんなわけないだろう!!きょ、今日のはあくまでも論文のための調査だ!!デートなんかじゃない!!」
「そっか~。それならよかった」
「ふん・・。全く・・何を馬鹿なことを・・・」
キールがそう呟いたところで、ジーニアスが再び口を開く。
 「それじゃあさ、僕らも一緒になってもいい?」
「な・・何・・?」
ジーニアスの提案に、キールが思わずそう呟く。
「ロイド達も植物調査に来てるんでしょ?僕達もそうだからさ、バラバラになってやるより、僕らで協力してやった方がいいんじゃない?」
「ば・・馬鹿っ!僕のは学術調査だぞ!!子供の宿題なんかと一緒にしないでくれ!!」
「そんな邪険にしなくてイイじゃんかよ。足手まといになるわけじゃないじゃんかよ」
「ロイドまで何を言ってるんだ!?」
ジーニアス達に味方するようなことを言うロイドに、キールは思わずそう言う。
 「うぅ・・。ひどいよ・・・。協力しようって言ってるだけなのに・・・」
キールの態度にジーニアスは泣きそうな表情を浮かべる。
「ちょっとキールさんっ!幾ら何でも言いすぎじゃないか!!」
泣きそうになるジーニアスに、思わずカイルがカッとなってキールに叫ぶ。
「そうだよ。言い方ってものがあるんじゃない?ひどいよ!キールお兄ちゃん!」
カイルに続いてレオンもジーニアスに味方する。
「く・・・・」
カイルやレオンがジーニアスに味方し、責めるような目を向けてくることに、キールの表情は苦々しげなものに変わる。
「うっう・・・。ここまで・・邪険にしなくて・・いいじゃないかぁ・・・・」
さらに泣きだすジーニアスに、思わずロイドが駆け寄る。
 「ロイド・・・・」
ジーニアスの方に行ってしまったロイドに、キールはショックを受けたような表情を浮かべる。
さらに、ロイドはジーニアスを色々と慰めながら、キールの方を振り向く。
 「なぁキール、調査を邪魔されたくないっていうのはわかるけどよ。ここまで露骨に邪魔にすることはないじゃんかよ」
「いいよ・・。どうせ僕らは邪魔なんでしょ?だったら・・・」
そういうとジーニアスはその場を離れようとする。
「待てって!ジーニアス!!」
「いいんだよ・・。ロイドはキールと二人で調査しててよ。僕らは・・僕らで・・やるから・・・」
その場を離れようとするジーニアスを、ロイドは懸命に慰める。
 対して、チラリとキールの方を見やるロイドの目は、責めているような様子だった。
(そ・・そんな・・・。何で・・そんな目で・・・)
責めるようなロイドの視線に、キールは思わず拳を握りしめる。
このままだとロイドに嫌な奴だと思われてしまうかもしれない。
 「わ・・わかった・・。一緒に・・やれば・・いいんだろう・・・」
「キール、いいのか?」
「た・・ただし・・僕の邪魔は絶対にしないでもらおうか!!それはちゃんと守ってもらうぞ!!」
「よかったな、ジーニアス」
「うん、ありがとう。ロイド~」
すっかり泣きやむと、ジーニアスはロイドに抱きつく。
そんなジーニアスを、キールは睨み殺さんばかりに、見つめていた。


 (ど・・どうして・・・こんなことに・・・!!)
調査をしながら、キールは怒りを抑えかねていた。
キールの視界の先では、ジーニアス達が宿題のための調査をしている。
だが、その中で、まるでキールに見せつけるかのように、ジーニアスがロイドに甘えかかったり、手伝いを頼んでいた。
そんなジーニアスとロイドの姿に、キールは今にも怒りを爆発させそうになる。
 (馬鹿!落ち着くんだ!?みっともないだろう!!)
キールは必死に自身に言い聞かせ、理性を保とうとする。
子供相手に嫉妬して癇癪を爆発させるなどという、大人げない行為だけは絶対にしたくなかった。
感情を押さえ込み、キールは調査を続けようとする。
 (く・・!!ロイドと・・二人きりだったのに・・・!!)
一緒になったジーニアス達に、キールは苦々しい感情を抱く。
ここに来たのは調査のためだけではない。
クエストにかこつけてのデートのつもりだったのだ。
 だが、デートを申し込んだりするのも恥ずかしいし、照れくさい。
そのことで何か他人に言われたりしたくない。
そういう気持ちから、論文のための調査にかこつけて、デートもしようと思っていたのだ。
 (ダンジョンなら・・誰にも邪魔されないで・・気づかれないで二人きりになれると思ったのに・・・!!)
まさかジーニアス達が現れるとは。
思わぬ誤算にキールは歯噛みしたくなる。
調査をしながら、まるで見せつけるようにロイドに甘えているジーニアスを、キールは苦々しい思いで見つめていた。


 「よ~し。だいぶ薬が効いてるみたいだねぇ」
「ふふふ。うまくいってるみたいだね、ジーニアス」
一緒に植物調査をしながら、レオンとジーニアスはそんな会話を交わす。
 「もうキールってば僕がロイドに甘えかかるたびに腸煮えくりかえそうな顔してるものね~~」
「あれは絶対嫉妬してる顔だよ」
「あ?やっぱり?僕もそうだと思ったんだよね」
「わかるよ。だって僕がアシュトンお兄ちゃんに甘えて抱きついたり、スキンシップにかこつけてお尻触ったりするときに、虐待魔がああいう顔してるからね」
レオンは自分がアシュトンに甘えているときのルシフェルの振舞いや表情を思い返しながら言う。
 「ってことはもう一押しってところかな?」
「そうだよ。ジーニアス、ダメ押しすればきっとキールお兄ちゃん癇癪起こして何かするよ」
「そうすれば・・・。僕からロイドを奪った泥棒猫にお仕置きが出来るね」
「そうだよ!ジーニアス!大事なロイドお兄ちゃんを奪ったキールお兄ちゃんにたっぷり思い知らせてあげなよ!!」
「ありがとう、レオン。僕の気持ちをわかってくれて」
「これくらいどうってことないよ。僕も・・よくわかるから。うう・・アシュトンお兄ちゃんは僕のお嫁さんになるはずだったのに!!」
以前の手痛い失恋を思い出し、レオンは悔しそうな表情になる。
それだけに、親友をキールに取られたジーニアスの気持ちがよくわかる。
 「レオン・・・・」
詳しいことは知らないが、レオンの様子から自分と似たような目に遭ったのをジーニアスは容易に察する。
「ジーニアス、二人で思い知らせてやろうよ!!大事な人を奪った泥棒猫にさ!!」
「当然だよ!!よーっし!!」
ジーニアスとレオンは互いに気勢を上げた。


 (な・・何だ・・!?)
一人で調査をしていたキールは、不意に悪寒を覚える。
(何か・・嫌な予感が・・!!)
目の前の植物を調査しながら、そんなことを考えたときだった。
 「ファイアボール!」
「ブラックセイバー!」
声と共に火球と闇の真空波がキールめがけて襲いかかる。
とっさにキールはマジックガードで術を防いだ。
 「あっれ~?不意打ちしたはずなのにな~」
「危険感知のスキル習得してるのかな?」
「ジーニアス!レオン!何のつもりなんだ!!」
いきなり呪文を撃ってきた二人に、キールは思わず叫ぶ。
 「何のつもり?決まってるじゃないか。泥棒猫にお仕置きをするんだよ」
「ど・・泥棒猫?」
「何?まさか泥棒猫の自覚が無いの?嫌になっちゃうよねぇ、レオン?」
「そうだよねぇ。僕らより年上の癖に頭悪いのかなぁ?」
これ見よがしに二人はキールを挑発する。
 「いい加減にしないか!僕を馬鹿にしてるのか!?怒るぞ?」
「それはこっちの台詞だよ!キール・・・ロイドは僕の親友なんだよ。その僕を・・・差し置いて・・・赤の他人の癖によくもロイドを僕からかっさらってくれたね!!この『泥棒猫』っっっ!!」
ジーニアスは心底からの怒りを込めて叫ぶ。
 「ま・・まさか・・今までの・・・」
「あれぇ?やっと気づいたの?そうだよ。何かコソコソロイドとやってたから、もしかしたらって思って、姉さんからの宿題にかこつけて来てみたら・・・・。二人きりで調査にかこつけてデートなんてねぇ」
「全く・・・どうして泥棒猫ってこうもコソコソ陰険なんだろうねぇ?」
「おい・・・。さっきから何度も泥棒猫って・・」
「何?怒ってるの?事実じゃない?」
「そうだよ。幾らでも言ってあげるよ。おすまし顔して人の親友とる泥棒猫、子供相手にヤキモチ妬いてる泥棒猫、子供みたいにお尻ぶたれて大泣きしてる泥棒猫~」
「そうだよ~。いつもいつもロイドお兄ちゃんにお尻ぶたれてさ~、いい年して恥ずかしくないの~?お尻真っ赤っか、大泣きなんてさ~」
「本当、笑っちゃうよね~」
ジーニアスとレオンはこれでもかとキールをあてこする。
 (く・・・!!悔しい!?)
目の前の子供二人に、キールは本気で怒りを覚える。
泥棒猫などと罵られた上、自分でも恥ずかしいと思わずにいられないお仕置きの事実を嘲笑されたのだ。
 「い・・いい加減にしないか!?これ以上言うと、僕だって本気で怒るからな!!」
「あれぇ?レオン、泥棒猫が本気で怒ってるってさ?」
「別に気にすること無いよ。どうせ口だけなんだから」
「そうだよね~。僕らに手なんか出したらまたロイドにお尻ぶたれるもんね~。そんな勇気が泥棒猫にあるわけないよねぇ?」
「そうだよ。いい年してお尻ぶたれて、大泣きしてるのにそんな勇気あるわけないじゃん」
「泥棒猫さん~、度胸も無いのに人を脅かすのはやめたら~。恥かくだけだよ~」
ジーニアスはこれでもかとキールを挑発する。
 (も・・もう・・絶対に・・許さない・・・!!)
キールの怒りはもはや限界を超えていた。
ここで挑発に乗れば、二人の思惑通りになるだろう。
理性がそう警告する。
 だが、一方で怒りがキールを突き動かす。
もう我慢がならない。
散々馬鹿にされては、大人しく引き下がるなど、とても出来なかった。
大人げない行為なのはわかっている。
だが、それでもやらずにはいられなかった。
 「サイクロンッッ!!」
杖を突き上げ、キールは呪文を発動する。
直後、大きな竜巻がレオンとジーニアスを襲った。


 「な・・何だよッッ!?」
調べ物に最適な植物が無いか、ルカ達と一緒に探していたロイドは、突然の轟音に思わず驚く。
皆して音のした方に急いでかけつけてみると、そこはまるで竜巻でも通ったのか?というような状況になっており、ジーニアスとレオンが呻いている
 「レオンッ!ジーニアスッ!どうしたんだよ!?」
思わずロイドは駆け寄って声をかける。
「ロイド、これ使って」
ルカは二人の様子にベリィやグミといった回復アイテムを取り出す。
ロイドが二人にそれぞれ回復アイテムを食べさせると、二人ともダメ―ジが回復したのか、立てるようになった。
 「二人とも大丈夫かよ?」
「う・・うん・・何とか・・・」
「それより・・何があったんだよ?一体?」
ロイドは周りを見回して尋ねる。
 「そうだ・・うわああ~~~んっっ!!ロイド~~~」
恐怖に怯えた表情を浮かべると、ジーニアスはロイドに抱きついて泣きだした。
「ど、どうしたんだよ?一体?」
「ひぃぃん・・。キールが・・キールがぁぁ・・・」
「キールがどうかしたのかよ?」
「キールお兄ちゃんが、いきなり僕らにサイクロンぶつけたんだよ~~!!うわぁぁ~~~~~んっっ!!」
レオンもそう叫ぶと、ロイドに抱きついた。
 「な・・何だって!?」
ロイドは思わずキールの方を振り向く。
キールはやってしまった、と言わんばかりの表情を浮かべていた。
(や・・やられた・・)
キールはロイドに抱きついている二人の目論見に気づく。
自分を悪者に仕立てあげ、ロイドにお仕置きさせるつもりなのだ。
 「キールッ!!本当なのかよ!?二人にサイクロンなんかぶつけたって!!」
案の定、ロイドは怒りをあらわにして、キールに詰め寄る。
「だ・・だったら・・どうだって言うんだ!!」
(僕の馬鹿!!どうしてこういう反応をするんだ!)
素直に認めることが出来ず、突っぱねるような態度を取る自身に、キールは呆れる。
 「何てことしたんだよ!相手は子供なんだぞ!!」
「う・・うるさいな!ろ、ロイドには関係ないじゃないか!!」
「何言ってんだ!?二人にちゃんと謝れよ!!」
ロイドはキールにそう言いやる。
 「な・・何だって・・・」
ロイドの言葉に、キールは表情を歪める。
「な、何で僕が謝らなくちゃいけないんだ!?」
「当たり前だろ!!こんな子供に上級術なんかぶつけて!!下手したら大怪我どころじゃすまなかったんだぞ!!」
「く・・・・!!」
ロイドの言葉にキールは黙ってしまう。
 事情はどうあれ、キールが二人に呪文を、それもかなり強力な呪文をぶつけたのは事実だ。
誰が見てもキールが悪い。
謝らなければいけないのはわかっている。
だが、それは絶対にしたくなかった。
自分に対して悪だくみを仕掛けてきた相手になど、頭を下げたくは無い。
 「い・・嫌だ!?」
キールははっきりと言いやる。
「キール・・それ・・本気で言ってるのかよ?」
キールの返答に、ロイドの表情が険しくなる。
元々正義感の強い熱血タイプなロイドのこと、人に暴力を振るうような所業を許すわけがない。
それが、レオン達のような子供相手にならなおさらだ。
 (く・・!!ここまで・・読んでるな・・!?)
キールはロイド相手に泣いてみせているジーニアスとレオンをチラリと見やる。
自分が暴力を振るったとなれば絶対にロイドは怒るだろう。
二人に謝れと言うに違いない。
 だが、キールが自身のプライドや、悪だくみを仕掛けた相手に対する反感や意地から謝罪を拒否することもわかっているだろう。
そうなれば、後の展開はわかりきっていた。
(はめ・・られた・・・!!)
まさかこんな子供二人にしてやられるとは。
そう思ったが、どうにもならない。
罠だとわかっていても、自分の首を絞める行動を取らずにはいられなかった。
 「だったらどうだっていうんだ!!絶対に二人になんか謝らないからな!!」
「そうかよ・・。だったら・・俺も許さないからな!!」
完全に怒ったロイドはキールの手首をがっしりと掴む。
振り払おうとするキールだったが、剣士なロイドに腕力で勝てるわけもなく、あっという間に体勢を崩されたかと思うと、近くにあった岩に腰を降ろしたロイドの膝にうつ伏せにされてしまう。
同時に膝を組まれ、ローブを捲りあげられてむき出しにされたお尻を突き上げる体勢を取らされた。
 (かなり・・・怒ってるな・・・。当然だろうが・・・)
お尻を突き上げる体勢を取らされたことに、キールはロイドの怒りの大きさを察する。
この体勢だとかなり痛く感じる。
最初から本気でキツいお仕置きをするつもりなのは明らかだった。
 「キール・・・今のうちだぜ?」
最後のチャンスを与えるつもりなのか、ロイドはそう尋ねる。
「馬鹿にするな!!お仕置きを怖がるような臆病者だとでも思ってるのか!!絶対に謝らないって言ってるだろう!!」
「どうでもジーニアスとレオンに謝らないってんだな?」
「しつこいぞ!!叩きたければ、お尻が壊れるまで叩けばいいだろ!!」
(馬鹿・・!!本当に・・馬鹿だな・・・僕は・・)
キールは自分の態度に呆れる。
こんなことを言えばますます墓穴を掘るだけだ。
だが、そう言わずにはいられなかった。
「わかったよ。じゃあ、俺ももう容赦しないからな!!」
強情なキールの態度に、ロイドも怒りをあらわにする。
左手でキールの身体をしっかりと押さえると、思い切り右手を振り上げた。


 バアッジィィィ~~~~~~ンッッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッ!!!
「ぐぅ・・!!ぐっ!!ぐぅぅ・・!!うっ・・!!あああぅぅぅ!!!」
(何をやってるんだ!?人が見てるんだぞ!?恥ずかしいと思わないのか!!)
すぐそばで子供達が見ているからか、キールは自身を叱咤する。
他人の目の前で情けない姿など決して見せたくはない。
受ける苦痛がより大きなものになることがわかっていても、そう思わずにはいられなかった。
 ビッダァァァ~~~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッッ!!!!
「ぐ・・!ぐぅぅ・・!あっ・・!あうぐ・・!ぐ・・!ぐぅぁ・・!」
豪雨のように降り注ぐ平手は、あっという間にキールのお尻全体を赤く染め上げてゆく。
間髪いれずに容赦なく襲いかかる連続的な苦痛に、キールの額や手の甲からはジワリと汗が浮かび上がる。
 「ぐぅ・・!くぅ・・!あっ・・!あくぅぅ・・!あっ・・!あぅあ・・!」
(馬鹿!何やってるんだ!こんなのも耐えられないのか!?)
意思とは裏腹に声を上げてしまう自身を、キールは叱咤する。
だが、身体は正直なもの。
幾ら自身を叱咤しても、身体は強ばり、或いは背筋をのけ反らせ、両脚がビクンビクンと跳ね上がる。
 「うぅう・・・父さんのより・・痛そう・・・」
目の前で行われているキールのお仕置きに、カイルは顔を歪める。
カイルもよくお仕置きをされているから、その苦しみは容易に想像出来る。
おかげで、自分が叩かれているわけでもないのに、こっちまでお尻が痛くなってきそうな錯覚を感じ、無意識にお尻をさすっていた。
 (と・・止めた方が・・でも・・・)
ルカはそう考えつつも、ロイドをチラリと見やる。
ロイドはキールの所業に完全に怒っている。
ここで下手にかばえば、ロイドの怒りがこっちにも向くかもしれない。
 それに、キールは非常にプライドが高くて素直じゃない性格だ。
下手に助け舟を出したら、余計なことをするなと、やはり怒りの矛先を向けられかねない。
(ど・・どう・・しよう・・)
目の前の強烈なお仕置きに、どうしたらいいのかわからず、ルカはおろおろするしかなかった。
 (やったよレオン!泥棒猫がたっぷりとお尻叩かれてるよ!!)
(作戦大成功だね!!)
ジーニアスとレオンは目の前のキールの姿に、こっそりほくそ笑む。
 (でも・・この程度で許す気なんてないんでしょ?)
(当たり前だよ!僕の親友を奪った泥棒猫だよ!この程度じゃまだまだ軽すぎるよ!文字通り・・・『お尻が壊れるまで』お仕置きされるようにしてやろうよ!!)
(だったら・・・やろうか?)
(もちろん!!)
ロイドやカイル達に見られないようにこっそり打ち合わせすると、二人はニヤリと笑みを浮かべた。


 「ったく何やってんだよ!!」
平手の豪雨を降らせながら、ロイドはお説教を始める。
「ぐぅ・・!!ぐっ・・!!あっ・・!!あっぐぅぅ・・!!ぐっ・・!!うあぁぁ!!」
既にキールのお尻は濃厚なワインレッドに染め上がり、表面も熱した鉄のように熱くなっている。
だが、それでもロイドは容赦なく、苦痛に悶えるキールのお尻にさらなる平手を見舞う。
 「あんな子供に本気でサイクロンなんかぶつけてよ!!何を考えてるんだよ!!」
「ぐ・・!ぎ・・!ぎっひ・・!ひっ・・!ひぎぃぃ・・!!」
耐えようとするキールだが、身体は耐えきれなくなっているのか、呻き声が悲鳴へと変わってゆく。
「下手したら怪我どころじゃすまないんだぞっ!!わかってるのかよ!!」
「い・・いちいち・・言わないで・・くれ・・!!そ・・そんなのは・・わかってる!!」
お説教されているにも関わらず、キールはそんなことを言ってしまう。
 「だったら何だってやったんだよっ!!俺より頭いいんだからどうしてそういうことがわかんねえんだよっっ!!」
「だからいちいち言わないでくれッ!!僕だって恥ずかしいんだっっ!!」
お説教で痛いところを突いてくるロイドに、キールは思わず叫ぶ。
 「何言ってんだよ!?お説教しなきゃいけないことをしたのはキールだろ!!」
「く・・そ・・それは・・・」
ロイドの言葉にキールは思わず言葉に詰まる。
確かに悪いのは自分だ。
自分でも悪いとわかっていることなのに、一時の感情に流されてやってしまった。
厳しく非難されても文句は言えない。
 (僕の馬鹿・・!!どうして・・あんな簡単に挑発に乗ったんだ・・!!)
軽々しく子供二人の挑発に乗ってしまった自身の浅はかさに、キールは歯噛みせずにはいられなくなる。
(ん・・?)
不意にキールはジーニアスとレオンがこちらを見ていることに気づく。
二人はこちらの方を指さすと、何やらコソコソと呟く。
 (僕の・・ことでも・・話してるのか・・・)
この状況ではそうとしか考えられない。
お仕置きの苦痛に悶えながらも、キールは二人の姿に目を向けてしまう。
打撃音が邪魔をして言っていることはわからない。
わかるのは仕草や表情のみ。
自分を罠にはめておきながら、のうのうと話をしていると思うと、何だか怒りを感じてくる。
 (馬鹿!?また感情に流される気か!?)
キールは自身に必死に押さえようとする。
ここでうかつなことをすればまた墓穴を掘りかねない。
そう思ったときだった。
 そのとき、二人がキールの方を指差し、馬鹿にするような表情を浮かべる。
「おぃ!何がそんなにおかしいんだ!?」
思わずキールが叫ぶと同時に、二人が泣きだした。
 「うわああ~~~んっっ!!ひどいよ~~!!」
「レオン!ジーニアス!どうしたんだよ!?」
突然泣きだした二人に、ロイドは思わず尋ねる。
「キールが・・キールがぁぁ・・・。僕達が笑ってるとか言いがかりつけていじめた~~」
「な・・何を言ってるんだ!?」
キールは慌てる。
 「キール!そんなことしたのかよ!?」
「ち・・違うっ!そんなことしてない!!」
慌ててキールは否定するが、そこへレオンが追い討ちをかけてくる。
 「ひぃひぃん・・。ひどいよぉぉ・・。僕達が見て笑ってるとか・・。ロイドに叩かれてる分倍にして僕達に返してやるとか・・叩かれながらそんなこと言ってたよ~」
「ひどいよぉぉ・・・。僕達が何したってのさぁ・・。八つ当たりなんて・・ひどいよぉぉぉ・・・・」
(や・・・やられた・・・!!)
目の前でこれ見よがしに泣いてみせる二人に、キールは愕然とする。
 さらにキールを悪者に仕立てて、もっとお仕置きされるようにしてやろうという腹積もりだろう。
「キール!何やってんだよ!二人に謝れ!!」
ロイドはジーニアス達の言葉にすっかり激昂して叫ぶ。
「い・・嫌だ!!」
だが、キールは拒否する。
自分を悪者に仕立てた二人になど謝りたくないからだ。
 「キール!本気で言ってんのかよ!?」
謝ろうとしないキールに、ロイドも厳しく言う。
「い、嫌なものはいやだ!そもそもこの二人が悪いんだ!!何で僕が謝らなきゃいけないんだ!!」
「ひどいよ~。そこまで・・言うなんてぇぇ・・・」
「黙れっ!サル芝居もいい加減にしないか!!」
あくまで嘘泣きをするジーニアス達にキールはカッとなる。
 「キールこそいい加減にしろよ!こんな子供いじめて!恥ずかしいと思わないのかよ!!」
謝るどころか、ますます子供達を泣かせるキールに、ロイドの怒りはさらに大きくなる。
「うるさいなっ!ロイドこそ騙されてるのがわからないのか!?この二人はとんでもない嘘つき、詐欺師なんだぞ!!」
キールも我慢がならず、売り言葉に買い言葉で返す。
 「キール・・本気でそう言ってんのかよ!?」
「だったらどうだっていうんだ!!いい加減に降ろしてくれ!!」
「自分が悪いことしたってのに・・・謝るどころか逆ギレ・・・しかもあることないこと言いやがって・・・!!今日っていう今日は絶対に許さねえからな!!」
怒髪天を突くといった状態になったロイドは、キールを起こしたかと思うと、乱暴に石壁に叩きつけるように立たせる。
 「何をするんだっ!!」
石壁に叩きつけられるように立たされ、思わずキールは抗議する。
だが、ロイドの表情を見て思わず引きそうになる。
 「許さねえ・・!!絶対に許さねえからな!!」
ロイドはベルトから鞘ごと剣を外し、同時にピンを使ってキールのローブを背中に留める。
おかげでキールは壁際に立ったまま、真っ赤なお尻を出した状態になる。
 バアッジィィィ~~~~ンッッッッ!!!
「うぐぅぅぅぅ!!!!」
鞘ぐるみの剣で、骨にまで響くかと思うほどお尻を叩かれ、キールは苦痛に悲鳴を上げる。
 バシッッ!!バシッッ!!バンッッ!!バンッッ!!バシッッ!!バンッッ!!
「うわあっ!ひ・・!ぎっ・・!ひぃぃ・・!!」
容赦ない剣でのお尻叩きに、キールはもはや耐えきれず、悲鳴を上げる。
 「やめ・・!ひっ・・!やめ・・やめて・・!やめてくれっ!!」
キールはプライドも意地もかなぐり捨てて懇願する。
だが、ロイドはむっつりと押し黙ったまま、剣を振り下ろしつづけた。


 「ひぃん・・・ひぃぃん・・ひっ・・ひっ・・ひぃぃん・・・」
もはや立っている気力も無く、両膝をついた状態で岩壁に寄りかかったまま、キールは泣きじゃくっていた。
お尻は今や紅蓮どころか、血が滲んでしまっている。
 「やめ・・やめて・・許して・・。僕が・・僕が・・悪かった・・。謝る・・謝る・・から・・・」
もはや恥も外聞も無く、キールは泣きじゃくって許しを乞う。
「何言ってるんだよ。あんなに散々悪いことして。今日はどんなに泣いても謝っても許さないからな!!」
(そ・・そんな・・・!!)
あまりの怒りにまだ許してくれないロイドに、キールは絶望する。
 「さぁ!ちゃんとお尻を出せよ!まだ終わってないんだからな!!」
「やだ・・も・・もう・・許し・・」
許しを乞うキールだったが、怒りにとらわれているロイドは剣を振り上げようとする。
恐怖のあまりにキールが震えたときだった。
 「ロイドッッ!!もうやめなよっっ!!」
不意に、ロイドの後ろからルカが飛びついて止めに入った。
「ルカ!何するんだよ!」
「ロイド!冷静になってよく見て!このままじゃキールのお尻壊れちゃうよ!!」
ルカの言葉に、ロイドはキールのお尻を見やる。
 「な・・俺・・・何て・・こと・・・」
出血までしてしまっている無残なお尻に、ロイドは愕然とする。
剣を手離すや、慌ててキールを抱き上げる。
「うわっ!な、何をす・・・」
突然抱き上げられて思わず抗議するキールだったが、ロイドは突然、ダンジョンの入口めがけて走りだす。
 「うわあっ!置いてかないでよ~~~!!」
カイル達も慌てて二人を追って走りだした。


 「ぐぅ・・・!!も、もっと優しくしないか!!」
キールは顔を顰めながら後ろを振り向き、ロイドに文句を言う。
「わ、悪ぃ、沁みたかよ?」
ベッドにうつ伏せになっているキールのお尻に薬を塗ってやりながら、ロイドは思わず尋ねる。
 「『沁みたか?』だって?こんなお尻で沁みないわけがないだろ!!」
凄まじい状態のお尻を見せながら、キールは抗議する。
「ほ、本当にごめんっ!!ついカッとなりすぎちまって・・」
「そんなの理由にならないだろ!!お尻叩きで死ぬかと思ったんだぞ!!」
必死に謝るロイドだったが、ご機嫌斜めなキールが簡単に許すはずもない。
 「本当に悪かったって!俺に出来る事なら何でもするから許してくれよ!!」
「少しは・・・反省してるのか?」
必死に謝るロイドに、キールは少し態度を和らげる。
「ああ・・。キールに許してもらえるんなら・・何でもするよ」
「ふん・・。そこまで言うなら仕方ないな・・・」
「キール・・・」
許してもらえたことにロイドはホッとする。
 「馬鹿!今日は仕方ないから見逃してるだけだ!本当に許したわけじゃないからな!!後で埋め合わせはきっちりしてもらうぞ!!」
「わかってるって。あっ。今氷持ってくるからな」
ロイドはお尻を冷やすための氷を取ってこようとする。
 「こら!どこに行くんだ!」
「え?だから氷を取りに・・・」
「馬鹿!こんなに叩いた癖に僕を一人にする気か!!」
キールはそういうと、ロイドを引きとめる。
 「わ、わかったって。それじゃあいるよ」
ロイドはそういうと、キールの傍に腰を降ろす。
同時にキールはうつ伏せのまま、ロイドの身体にしっかりと抱きつく。
「疲れたから僕は寝るぞ。起きるまでずっといなきゃ承知しないからな!!」
「わかったよ。約束するって」
ロイドがそういうと、キールは目を閉じた。


 「うう~っ!何だよ~。ラブラブじゃないか~~」
ドアを微かに開けて覗きながら、ジーニアスは歯噛みする。
「せっかくキールお兄ちゃんを悪者に仕立てて痛い目見せたのに~。詰めが甘かったのかな~」
隣で一緒に覗いていたレオンもそんなことを言う。
自分がやり過ぎてしまったことに気づいたロイドがキールを抱きかかえて出て行ったのを追いかけ、ギルド会館まで戻って来たら、ロイドの部屋で、手当てしながらの二人のやり取りを目撃したのである。
 「こうなったら・・新しい作戦を立てないと!」
「そうだよ!今度こそキールお兄ちゃんを悪者にして、たっぷりお尻叩かれた上に振られるようにしてやろうよ!!」
「協力してくれるよね?」
「もちろん!当たり前だよ!」
「ほほぉ、そういうワケだったんだな」
突然、他人の声が聞こえ、思わず二人は振り返る。
 「ガ・・ガイ!?」
ガイの姿に、ジーニアスは思わず声を上げる。
「ロイドがキール抱えて慌てて駆け込んできたり、お前さん達が後を追っかけて入って来たかと思ったら、そういうわけだったんだなぁ・・・」
「や・・やだなぁ。じょ、冗談だよ・・」
「さっきのはとても冗談に思えないぜ?さてと・・ちょっと皆で話しようか」
ガイの言葉に二人は逃げ出そうとするが、そこへリフィルとクロードも立ちはだかる。
 「ね・・姉さん・・」
「クロードお兄ちゃん・・・」
「あなたたち・・・。どうやらかなり悪辣なことをしたようね・・」
「レオン・・。ちょっと皆で話そうか?」
「「や・・やだぁぁ~~~っっっ!!!」」
そう叫ぶレオンとジーニアスだったが、三人にあっけなく捕まってしまう。
ギルド会館の別室で、今度はレオンとジーニアスの悲鳴が響きわたった。


 ―完―

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No title

キールが可哀想すぎる……。
これを見てレオンとジーニアス、それから信じもしない、話も聞いてくれないロイドが大嫌いになりました。

レス

 あみ様>
 今回はせっかくのデートだったのに邪魔されたりで焼きもち妬いて~、というシチュに挑戦してみたものでした。
 不快にさせてしまったようですみません。
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