人の言うことは・・・(最遊記より:八/三)



(最遊記を題材にした二次創作です。原作とキャラが異なっている可能性があります。許容出来る方のみご覧下さい)


 「あああ~~、暑っちぃぃぃ~~~~!!!!」
汗ダラダラ、うちわで顔を仰ぎながら、悟空はそう叫ぶように言う。
「おぃ、何やってんだよ、余計に暑苦しいだろうが」
「んなこと言ったってよ~、暑いんだよ~」
全身汗だくになりながら、悟空はそう言う。
滞在中の街が嫌がらせかと思うほどの灼熱地帯にあるせいか、窓を開けていても暑い。
「バタバタうちわ動かしてるの見てっと余計に暑く感じるんだよ。少しは頭使えっ!馬鹿っ!!」
「三蔵、あまりそんなこと言うものじゃありませんよ。悟空だって暑くてたまらないんですから」
八戒の言葉に三蔵は不機嫌そうな表情で黙ると、再び新聞に目を通す。
 「あれ?八戒どっか行くのかよ?」
出かけようとする八戒に気づき、悟空はそう尋ねる。
「ええ、必要なものを買い出しに行ってきます。悟空も来ますか?」
「悪いけどやめとく。こう暑ぃと参っちまうもん」
「そうですね。それじゃあ二人とも留守番お願いします」
そういうと、八戒は部屋を出ようとする。
 「ああ、二人とも、暑いですからちゃんと水分取って下さいね」
「わーってるって」
「け、んなこと言われねえでもわかってんだよ」
「ならいいんですが。悟空はともかく、三蔵の方は妙に我慢しそうですからね」
「うるせえな・・。とっとと行けよ」
「もう少し言わせて下さい。二人とも、喉が渇いたと思ったら、ちゃんと水分取って下さい。熱中症とか怖いですからね。でも・・・お酒はダメですからね」
「ああん?」
「え?何でだよ?暑い日の夜とかよく三蔵とか飲んでるじゃんかよ?」
八戒の言葉に三蔵は露骨に嫌そうな表情をし、悟空は怪訝な表情を浮かべる。
酒も水分なのだから、飲んでも大丈夫だと思っていたのだ。
 「実は本当はあまりよくないんですよ。お酒飲むとトイレとか行きたくなったり、汗かくでしょう?悟浄や三蔵見てて気づきません?」
「あ・・・そういやそうかも・・」
自分は酒は飲まないのでよくわからないものの、酒を飲んでいる時の三蔵達の姿を思い出し、悟空は何となくわかったような表情を浮かべる。
 暑いときは冷たいビール、という人は多いが、酒を飲むと利尿作用などで水分が出てしまうため、飲んだのと同じ量の水分を取らないと、脱水症状を起こす危険がある。
だから水分補給のつもりで酒を飲むと、却って逆効果、自分から熱中症になるようなものである。
 「そうなんですよ。ですからお酒を飲むと水分取ってるつもりでも、逆に却って出てしまうんですよ。だから暑いときに飲むのは逆効果なんです。だからお酒は飲まないで下さいね、三蔵」
「ああん?何で俺だけなんだよ?」
「だって悟空は飲まないじゃないですか。飲むとしたら三蔵か悟浄だけでしょう?」
「ふん・・・・。大きなお世話だ」
「まぁとにかく・・くれぐれも気をつけて下さいね。じゃあ僕は行ってきます」
そういうと、今度こそ八戒は部屋を後にした。


 「あ~~~、やっぱ暑っちぃぃ~~~!!!」
相変わらずうちわを動かし、汗だくになりながら、悟空は呟く。
「もう我慢できね・・ジュースでも飲も」
そう呟くと、悟空は備え付けの冷蔵庫へと向かう。
 「あったあった・・ってあれ?」
目当てのジュースやお茶などのドリンク類を取り出した悟空は、いつの間にかビールやその他の酒類が無くなっていることに気づく。
「何でだよ?」
悟空は思わず怪訝な表情を浮かべる。
ジュースを飲もうと思うまで、冷蔵庫を開けた覚えは一切ない。
 「ん・・?この匂い・・」
不意に酒の匂いを感じ、思わず悟空はジュース類の瓶を抱えたまま、匂いを追って部屋を後にした。
 「何やってんだよ!」
匂いの元を見つけるなり、悟空は思わず声を上げる。
目の前では三蔵が酒を飲んでいる。
全て中身が開けられており、かなり飲んでいるのは明らかだった。
 「ああん?俺が何飲もうが勝手だろうが!」
「八戒に言われたじゃんかよ!?こんな暑いときに酒なんかヤバイって!!」
「るせえな・・。何であんなやつの言うこと聞かなきゃいけねえんだよ・・・。それより新しいの買って来い」
「そ・・そういう・・わけには・・いかねえよ・・」
「ああん?テメェ、俺の言うことが聞けねえのか!?」
悟空が拒否したため、三蔵は声を荒げる。
 「だって・・三蔵が倒れたりすんの・・ヤダぜ・・」
「テメェなんかに心配されたくねえよ・・。とっとと買ってこいって言ってんだよ」
かなり酒が入っているからか、理不尽なことを言う。
「だからダメだって言ってるじゃんかよ!もう十分じゃんかよ!」
悟空は思わず三蔵から酒を取り上げようとする。
 「ああ!何すんだよ!?」
「何すんだよじゃねえよ!もうやめとけって!」
「テメェ・・いい度胸だな・・・」
三蔵はそう呟くと、悟空を膝の上に引き倒す。
 「待てよっ!何すんだよっ!?」
何をされるかすぐに想像できたため、悟空は抵抗しようとする。
三蔵は悟空を押さえると、慣れた手つきでお尻をむき出しにし、手を振り上げた。


 ビッダァァァ~~~~~~ンッッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~~~~~ッッッッッ!!!!!
「ひぃぃぃんっ!痛ってぇえええええ!!!」
最初から容赦のない平手打ちに悟空は泣き叫ぶ。
 バアッジィィィィィィ~~~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~!!!!!
「三蔵っ!やめてくれってばーーー!!マジ痛ぇよぉぉーーー!!!」
両脚をバタつかせながら、悟空は必死に訴えかける。
「だったら酒買ってくりゃいいんだよ」
「だからそれはヤバイって言ってるじゃんかー!」
「買わねえ気ならテメェのケツが本物のサルみてぇになるだけだぜ」
「そんなーーー!!!」
絶望のあまり悟空が叫ぶの尻目に、三蔵は酔った勢いで激しい平手打ちを振り下ろし続ける。
熱中症の危険があるほど暑く、酒が大量に入り、しかも豪雨のような平手打ちという激しい運動をしたらどうなるか?
間違いなく自殺行為である。
理不尽なお仕置きの痛みに泣き叫んでいた悟空だが、やがて平手が振り下ろされなくなることに気づく。
 「ひぃん・・・。三蔵・・?」
さすがに理性を取り戻してやめてくれたのかと思い、振り返ってみるや、悟空は驚く。
三蔵は虚ろな表情になり、全身から力が抜けてだらんとしている。
 「げ・・!何だよこれ・・!?」
額を触ってみるや、尋常ではない高熱に悟空は驚く。
「や・・やべえっ!?は、八戒っ!八戒に知らせねえと・・痛ってぇええええ!!」
慌てて三蔵の膝から降りた拍子に滑り落ち、お尻をもろに床にぶつけてしまう。
 「ひぃぃん・・痛ぇぇぇ・・」
涙目でお尻をさすりつつ、何とか立ち上がり、服も直すと急いで部屋を飛び出した。


 意識を取り戻した三蔵の視界に入って来たのは、悟空のホッとしたような表情だった。
「三蔵、気がついたのかよ!」
「あん・・?何だってこんなとこにいんだよ?」
病室らしい部屋にいることに気づくと、三蔵はそう尋ねる。
「宿屋で意識を失って、病院へ搬送されたんですよ」
「何だと・・?く・・ぐっぶ・・!!」
体内から苦いものがこみ上げ、思わず三蔵は中身を吐き出してしまう。
 「くそ・・!!気分悪ぃ・・・」
「それは当然でしょうねぇ。あんな暑いのに脱水症状になるくらい酒飲んで、激しい運動したんですから」
「テメェ・・・当てつけかよ?」
「事実を言ったまでです。とにかく・・今は大人しくしてて下さい」
八戒の言葉に、不機嫌な表情を浮かべた三蔵だが、その通りだからか、ムスッと押し黙ったまま、ベッドに横になった。


 (くそ・・・!俺としたことが・・)
退院して宿に戻って来る間、三蔵はずっと不機嫌だった。
八戒の忠告を無視して酒を飲んだ挙句、悟空に理不尽なお仕置きをしたり、倒れて病院に運ばれたのだ。
情けないなどというものではない。
どうしてあんな馬鹿なことをしたのか、自分を問い詰めたくもなる。
 「三蔵、ちょっといいですか?」
「何だよ?さっさと出てけよ」
機嫌が悪いところに来たからか、三蔵はさらに不機嫌な表情になる。
 「ちょっと話がしたいんですがね」
「ああん?俺にはねえよ」
「あなたには無くても僕にはあるんですよ」
「チ・・!手早く済ませろよ・・」
大人しく引き下がるような八戒ではないのはよく知っているから、やむなく三蔵は八戒を部屋に入れる。
 「で・・何なんだよ、話ってのは?」
早く終わらせろ、といかにもな態度で三蔵は問いかける。
「ええ、三蔵が倒れたことについてなんですが」
「ああん?俺には話なんてねえよ」
話の内容に、三蔵はにべもない態度になる。
 「そうはいきませんよ。三蔵、僕、言いませんでしたっけ?熱中症の危険があるからお酒は飲まないで下さいって?」
「だったら何だってんだよ?」
「三蔵、どうして人の言うことをちゃんと聞いてくれないんですか?」
「ああん?何でテメェの言うことなんか聞かなきゃならねえんだよ?」
機嫌を悪くした三蔵は、そう言いやる。
 「その結果どうなりました?酒によって悟空に理不尽なお仕置きをしたり、挙句の果てには熱中症起こして倒れたじゃないですか?」
「るせぇな・・・。だったらどうだってんだよ?」
「どうだってんだよじゃないですよ。反省してますか?」
「るせぇ・・・。何でんなことしなきゃあならねえんだよ・・」
「やっぱりそうですか・・仕方ありませんね・・」
八戒はため息をつくと、三蔵の手首を掴んで引き倒した。
 「おいっ!何しやがるっ!?」
膝の上に乗せられるや、三蔵はそう叫ぶ。
「決まってるじゃないですか、お仕置きですよ」
慣れた手つきで三蔵のお尻を露わにしながら、八戒はそう答える。
「ざけんじゃねえ!?何でそんなことされなきゃならねえんだ!?」
お仕置きなどと言われ、三蔵は思わず叫ぶ。
 「三蔵が何したかちゃんと言ったはずですけど?それとも・・本気でわからなかったんですか?」
痛いところを突かれ、三蔵は不機嫌な表情で押し黙る。
「うるせぇ・・とっとと離しやがれ・・!!」
「そうはいきませんよ。覚悟して下さいね」
八戒はそういうと、片手で三蔵を押さえつけ、もう片方の手を振り上げた。


 パアシィ~ンッッッ!!
「・・!!」
弾けるような音と共にお尻に痛みが走る。
思わず声が出そうになるが、必死に押し殺した。
 パシィンッ!ピシャンッ!パアアンッ!パアチィンッ!ピシャンッ!
「テメェ・・!何しやがる・・!!」
甲高い音と共にお尻に痛みが走る中、三蔵は不機嫌な声でそう言う。
 「お仕置きだって言ってるじゃないですか。ちゃんと反省して下さい」
バシッ!バンッ!バチンッ!ビダンッ!バアアンッ!
八戒は勢いを強めて叩きながら、そう言いやる。
 バシィンッ!ビダァンッ!バアンッ!バシィンッ!バアジィンッ!ビダァンッ!
「テメェ・・!やめろ・・!やめねえか・・!この・・野郎・・!!」
全然反省の見られない態度で、三蔵は憎まれ口を叩き続ける。
 「やめろじゃないでしょう?三蔵、あなた一体何をやってるんです?」
バアシィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バアジィンッ!バアッシィンッ!
「・・・!く・・テメェ・・!いい加減に・・しや・・がれ・・!!」
お説教を始める八戒に、相変わらず三蔵は暴言を吐き続ける。
 バアジィンッ!ビッダァンッ!バッアァンッ!バアッジィンッ!ビバッダァンッ!
「言ったはずですよね?こういう暑い日にお酒を飲むのはわざわざ自分から熱中症になるようなものだって?」
バアシィンッ!ビダァンッ!バアアンッ!バアジィンッ!ビバダァンッ!
「う・・うるせぇ・・!とっと・・やめ・やがれぇ・・!くぅ・・!」
暴言を吐きながらも、さすがに辛くなってきたのだろう、微かに表情に苦痛が見えはじめる。
 バアッジィンッ!ビバッダァンッ!バッアァンッ!ビバッジィンッ!バアッジィンッ!ビバッダァンッ!バッアアンッ!
「だから飲まないで下さいって言ったのに・・どうして飲むんですか、全く・・・」
呆れたような声で、ため息をつきながら、八戒はそうお説教する。
 「るせえっ!俺が何しようが勝手だろうが!?何でイチイチテメェに許してもらわなきゃならねえんだっ!!テメェは俺のお袋かよ!?」
お尻を叩かれている屈辱、自分でも情けない、恥ずかしいと思っている事実を指摘され責められる屈辱感に三蔵は思わず叫ぶ。
 「三蔵、酒を飲むなとは言いませんよ。ですけど、そのせいで皆に迷惑や心配をかけないで下さい。悟空だって心配したから止めようとしたんですよ?それを・・幾ら酔ってるとはいえ・・お尻叩くなんて・・少しは恥ずかしいと思わないんですか?」
八戒の言葉に、三蔵の苛立ちはさらに燃え上がる。
恥ずかしい、情けないと思わないはずが無い。
だからこそ、それを指摘されるのが腹立たしくてたまらないのだ。
逆ギレなのはわかっていても、そう思わずにはいられない。
 「はん・・!テメェがサルに余計なこと吹きこむから悪いんだよ!大人しく買ってこねえから引っぱたいてやっただけだろが!」
「三蔵・・本気で言ってるんですか?」
一旦お尻を叩く手を止め、八戒が静かな声で尋ねる。
今までとは比べ物にならない怒りが籠っていた。
三蔵も言いすぎたと思ったが、ここで謝るなど絶対にしたくない。
 「へっ・・だったらどうだってんだよ?何度でも言ってやろうか?」
「いい加減に・・しなさい!!」
バアッジィィ~~~ンッッッッッ!!!
「ぐ・・・!!」
さらに強烈な平手打ちに、さすがの三蔵も目から火花が飛び出したような感覚を覚える。
 「自分が悪いのに・・謝るどころか・・・そんな暴言・・・。絶対に許しませんからね!!」
完全に怒った八戒はパドルを取り出したかと思うと、思い切り振り下ろした。
バアッジィィィ~~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~!!!!!!
「ぐっ・・!!ぐっうぅぅ・・・!!」
激しいパドルの嵐に、さすがの三蔵も表情が苦痛に歪む。
 「テメェ・・!!殺す気かよ!?」
「そこまではしませんよ。ですが・・謝るまではやめませんからね」
「ケ・・!誰がそんなことすっかよ!」
「なら・・仕方ありません」
八戒はそう言うと、パドルを振り下ろし続ける。
激しい打撃音とあくまでも暴言を吐き続ける三蔵の声がない交ぜになって部屋に響きわたった。


 (僕としたことが・・。相変わらず・・懲りてませんね・・・)
ベッドにうつ伏せになっている三蔵の姿を見やりながら、八戒は反省する。
お尻はワインレッドを超えた色に染め上がっており、触ると焼けた石炭のように熱い。
身体はぐったりしていて、じっとりと汗ばんでいた。
 あの後、頑として三蔵が謝ろうとしなかったため、気を失うまで叩いてしまったのである。
(もう少し・・・気をつけないと・・でも・・どうしたらいいんでしょうかねぇ・・)
気を失ったままの三蔵の手当てをしながら、八戒はそう考えていた。


 ―完―

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