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ダンジュー修道院16 チサトのお使い



 「ふぅ・・・」
チサトは一息つくと、背筋を伸ばして額を拭った。
同時に腰をトントンと軽く叩く。
「結構、進んだかな?」
そうつぶやくとチサトはあたりを見回した。
 チサトの目の前には小さな菜園が広がっている。
菜園に植えられているのは様々な種類のハーブだ。
ここでは来客や巡礼者に出すハーブティーの原料になるハーブを育てている。
チサトは今日は、この菜園の当番に当たっていたため、刈り取りをしているのだ。
実際、片手には鎌を握っており、足元には刈り取ったハーブを入れた袋を置いていた。
 「おーい、チサちゃ~~ん~~」
不意に馴染みのある声が背後から呼びかけてきた。
何だと思って振り返ってみるとラウールが立っている。
「あれ?ラウールさんじゃないですか。どうかしたんですか?」
「うん。院長様が呼んできて欲しいって」
「院長様が?」
「そう」
「わかりました。すぐ行きますね」
チサトは袋や鎌を持つと建物の方へ向かっていった。
 「お呼びですか?院長様」
院長室のドアをノックして中に入ると、チサトは院長に尋ねた。
「おお、来てくれたか。チサトや、実はお前さんにちと頼みたいことがあるんじゃよ」
「頼みたいことですか?」
「うむ。お使いをして欲しいのじゃ」
「お使いですか?」
「うむ。ふもとの街に住んでおるベルナールさんに、うちでつくったハーブティーを持っていって欲しいのじゃよ」
「わかりました」
「それじゃあこれがハーブティーじゃ。あと、これが地図じゃ」
そういうと院長はハーブティーの袋が入った箱と地図を渡す。
「行ってきます」
「うむ。気をつけるんじゃぞ。それとあまり遅くならんようにな。日が暮れぬうちに帰ってくるのじゃぞ。危ないからのう」
「は~い」
チサトは荷物を抱えると部屋を出て行った。

 「えっと・・ベルナールさんのお家は・・あっ、ここだ」
ふもとの街に下りてしばらく歩くと、チサトは目的の家にたどり着いた。
家は一軒家で、結構年代が立っているらしく、どことなく古めかしい外観をしていた。
チサトはお茶袋の入った箱を小脇に抱えたまま、ドアをノックする。
「すいませ~ん。ダンジュー修道院からお使いに来ました~」
ドアを何度か叩いていると、おもむろに扉が開いた。
同時に戸の間から一人の初老の男性が顔を覗かせた。
温厚そうな感じの老人だ。
「どなた様かのう?」
「ダンジュー修道院からお使いに来ました。ベルナールさんはいらっしゃいますか?」
「それはわしじゃ。修道院から来なすったのかね?」
「はい」
「わかった。ここじゃ何じゃからとりあえず上がりなさい」
「はい。お邪魔します」
そういうと、チサトは老人の自宅に入って行った。

 (わぁ・・凄い・・・)
室内に案内され、チサトは目を見張った。
チサトが老人に案内されて入ったのはこの家の書斎。
書斎なだけあって、本棚がぎっしりと並んでいる。
その本棚はどれも本が満杯状態になっている。
チサトは思わず、院の図書室を思い浮かべた。
書斎は応接室も兼ねているのか、部屋の中央に大きめなテーブルが置かれている。
テーブルを挟んで向かい合うようにして、チサトとベルナール老人はソファに腰かけた。
「さて・・御用をお聞きしようかのう?」
「あっ。はい。院長様からこれをベルナールさんにって頼まれました」
そういうとチサトはハーブティー入りの箱をベルナール老人に渡した。
「おお。ハーブティーか。いやあ、すまんのう。ワシはこれに目が無いんじゃよ。ところで、院長さんは元気にしとるかのう?」
「は・・はい。結構なお年のはずなんですけど、元気でらっしゃいます」
「ほっほっほっ、そうかそうか」
カラカラと笑いながら、老人は受け答えをする。
その間、チサトはチラリチラリと書斎の本棚に目を走らせていた。
「どうかしたかの?」
「す・・すいません・・本が一杯で図書室みたいだな・・って・・つぃ・・」
尋ねられてチサトは思わず縮こまる。
「ははは・・まあワシは郷土史家みたいなことやっとるからのう。修道院にもときどき世話になっとってな」
「あっ・・そういえば、何度かいらっしゃってましたよね」
チサトは老人の顔を見たことがあるような理由を思い出した。
以前、何度かこの老人が修道院に来ていたのを思い出したのだ。
地方史の学術雑誌に発表するための論文を書く為に、修道院の古文書を見せてもらいたいといって、やって来ていたのを見かけたことがあったのだ。
一度は調査中の老人にお茶を出したりしたこともある。
「確か・・・お茶とお菓子を出したときに・・面白い昔話を聞かせてくれましたよね?」
「そういえばそうじゃったかもしれんなぁ。そういえば、お前さん実に楽しそうに聞いてくれておったのう」
「はい。とっても楽しかったです」
「そうか。それはありがたいのう」
ベルナール老人は思わず嬉しそうな表情を浮かべる。
彼は研究の一環として、地元に伝わる色々な昔話や物語を集めることも行っており、あつめた話を本にする仕事もしていた。
「そうじゃ。最近幾つかまた新しい話を集めたんじゃよ。お使いのお礼に、まだ誰にも話しておらんのを聞かせようと思うんじゃが、どうかのう?」
老人の言葉にチサトは大きな目を子供のように輝かせる。
「え?いいんですか?」
「うむ。お前さんみたいに喜んで聞いてくれる子なら大歓迎じゃよ」
「そ・・それじゃあ・・お言葉に甘えて・・」
「では、決まりじゃな・・。まずは修道院に伝わる摩訶不思議な話からじゃ・・。そう、それは今から700年も前のことだったそうじゃ・・・」
ベルナール老人はおもむろに語りだす。
チサトは老人の話に最初から引き込まれていった。

 「ということでな・・・修道院の森では、今でも満月の夜になると妖精やら何やらが彼らのご領主様である悪魔を歓迎する為に宴を催しておるそうじゃ」
老人はそういうと語り終えた。
チサトは老人の巧みな語りに、すっかり魅了されてしまっている。
その表情は次のお話を聞かせてと母親におねだりする小さな子供のようだった。
「満足出来たかのう?」
「はい。実を言うと、もっとお話聞かせて欲しいくらいです」
チサトはおずおずと言った。
「それは嬉しいのう。しかし、さすがにそうも行くまいのう。もう、こんな時間になっておるし」
そういうとベルナールは窓を見やる。
窓の外は今にも日が暮れようとしていた。
 「あっ!」
チサトは思わず声を上げた。
老人がお使いのお礼に聞かせてくれた昔話が面白くて、時間がたつのをすっかり忘れてしまっていたのだ。
「ご・・ごめんなさいっ!こんな遅くまでお邪魔して!」
チサトは慌てて謝る。
こんなに遅くまでいる気はなかったからだ。
「いや、ワシこそ悪かったのう。こんな時間まで引き止めて。院長さんにはよろしく伝えてもらえるかの?」
「はい。すいません、ご迷惑かけて」
「別に気にしておらんよ。それより夜道には気をつけるんじゃよ。危ないからのう」
チサトは老人に再度挨拶と詫びをすると、急いで修道院に戻っていった。

 ようやくのことでチサトは修道院に戻ってきたが、その頃には既に日は沈み、あたりは暗くなってしまっていた。
正門を通って、修道士の宿舎に続く石畳を進んでゆくが、宿舎玄関の扉が見えてくると足が止まってしまう。
(バルバロッサさん・・怒ってるかな・・・)
院長様に遅くならないうちに帰って来なさいと言われていたのだ。
それなのに暗くなるまで帰ってこなかった。
チサトには、バルバロッサの頭から角が二本生えている姿がありありと思い浮かんだ。
思わず両手をお尻に伸ばしてしまう。
玄関をまたげば、痛くて辛い時間が待っている。
進もうと思っても足がすくんでしまう。
(ラウールさんがやってるみたいに・・裏口からこっそり入っちゃおうか・・)
不意にそんな考えが浮かび上がった。
だが、チサトは首を左右に振るとその考えを否定する。
(駄目駄目・・そんなずるいことしちゃ・・それにごまかせるわけないもの・・)
チサトは観念したような表情になると、重い足取りで玄関まで歩いてゆく。
そして、緊張した面持ちで玄関の扉をゆっくりと開けた。
 ドアを開けると、正面にバルバロッサの姿が現れた。
バルバロッサはむっつりと押し黙ったまま、正座して床に座り込んでいる。
「た・・ただいま・・バルバロッサさん・・」
おずおずとチサトは帰りの挨拶をする。
「帰ってきたか・・・」
静かな声でバルバロッサは言う。
その声にチサトは思わず息を飲んだ。
「チサト・・今、何時だ?」
「し・・七時です・・」
チサトは緊張した面持ちで答えた。
「そうだな・・チサト、院長様はお使い前に何と言ってた?」
「ひ・・日が暮れないうちに・・帰ってきなさいって・・あ・・危ないから・・」
「そうだな。でも・・日はとっくに暮れてるよな?今まで何してたんだ?」
「ご・・ごめんなさい・・ベルナールさんが・・お茶を届けたお礼に昔話を聞かせてくれるっておっしゃったんで・・つぃ・・・」
「それで、日が暮れる頃までお邪魔してたということか?」
「は・・はぃ・・・」
それを聞くと、バルバロッサはため息をついた。
「全く・・・院長様の言いつけ破って・・おまけに人様に迷惑かけて・・そんな子はどうなるんだったか?」
「お・・お仕置き・・ですか?」
息を飲みながらチサトは尋ねる。
聞かなくても答えはわかっていたが、聞かずにはいられなかった。
「当たり前だろう・・・。さぁ、チサト・・おとなしくここに来い」
バルバロッサはそういうと、膝をポンポンと叩く。
「う・・・」
チサトは思わずお尻を押さえて後ずさる。
いくら自分が悪いといっても、怖いものは怖かった。
 「こら。これ以上ぐずぐずすると本気で怒るぞ?」
「わ・・わかりました・・・」
チサトはおずおずとバルバロッサの膝に近づくと、膝の上にゆっくりと乗った。
チサトが乗ったのを確認すると、バルバロッサはいつもの通り上着を捲り上げ、下着ごとズボンを降ろす。
あっという間に小ぶりで綺麗なお尻が姿を現した。
「今日は・・・本気で怒ってるからな・・覚悟しろよ・・」
バルバロッサはそういうと、大きな手に息を吹きかける。
その音を聞いたからか、チサトはバルバロッサの上着の裾を両手でギュッと握り締める。
同時に、バルバロッサが右手を高々と振り上げた。

 バチィィンン!
「きゃあっ!」
思い切り肌を打つ音が響いたかと思うと、チサトは声を上げた。
平手が振り下ろされた場所には、真っ赤な手形がくっきりとついている。
鈍い痛みを覚える間もなく、お尻全体に痛みが広がった。
バシィン!パアアアン!バッチィンッ!
「きゃっ!ひゃあっ!痛あっ!」
パシィンン!ビタァンッ!パアアンン!
「ったく・・・日が暮れないうちに、戻って来るって・・院長様の言いつけ破って・・」
バアアン!バアシィンッ!ビシリィィィ!
「ひゃああ!痛あっ!ひゃふうっ!」
パアチィーン!ビッタアアンン!バッシィィィンン!
「おまけに・・人様の家に何時間も邪魔して・・迷惑になるだろうが!」
バアアン!ビシィィィ!ビシャアンン!
「ひゃあ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!」
チサトは顔をしかめながら、必死で謝る。
「『ごめんなさい』は当たり前だろうが!皆に心配かけおって!今日はいくら謝っても泣いても、ちょっとやそっとじゃ許さないからな」
そういうと、さらに強い力でお尻に手を叩きつけた。

 バアアアン!ビタァァァァンン!バアチィ―――――ンンン!
「ひゃあっ!ごめん・・なさいっ!ごめんなさいっ!」
バアアアン!バシィィィン!パアシィ――――ンンン!
「本当に・・悪い子だっ!悪い子だっ!」
バアアアアンン!ビシャアアアア!パアチィィィンンン!
「ごめん・・なさいっ!ごめんなさいっ!も・・もうしませんっ!」
ビィタアアアアンン!パアシィィィンン!バアチィィン!
「もうしないのは当たり前だっ!」
バアアアアンン!ビシィィィィィ!パアアチィィィンンン!
「ひっく・・ごめん・・なさぁいっ・・本・・当に・・ごめぇん・・なさぁいっ・・」
お尻を叩かれているうちにチサトはだんだんと泣き出した。
一つは痛いからだ。
チサトのお尻はすでに熟れたリンゴのように真っ赤に腫れ上がっていた。
お尻全体がまるで熱した石炭にでも変化したかのように、熱を放っている。
そこだけ自分の身体ではなくなってしまったかのようなおかしな感触をチサトは感じていた。
 (さすがに耐えられなくて泣き出したか・・)
バルバロッサはチサトの反応にそう独白する。
本音を言えばすぐに許してやりたい。
しかし、今日は皆を心配させるようなことをしたのだ。
だから、簡単に許すわけにはいかない。
だから、もうしばらく泣いてもらうことにした。
 バアアアン!ビシィィィィ!バアシィィィンン!
「ひっ・・うっえ・・ごめん・・なさいっ・・」
バアアアン!バアシィィィンン!ビシリィィィィ!
「ふっえ・・ひっく・・ごめん・・なさいっ・・」
バアアアチィィンン!バッシィィンン!ビタァァァァンンン!
「ごめん・・なさっ・・ごめんなさいっ・・ふっえぇ・・・」
チサトは泣きながら、必死にごめんなさいを連呼し続ける。
バルバロッサはしばらく叩き続けていたが、やがて叩く勢いを弱めて手加減すると、おもむろに口を開きだした。
 「チサト・・・何でこんなに怒られてるんだ?」
バアアンン!
「い・院長様の・・言いつけ・・破って・・夜に・・なるまで・・帰って来なかった・」
パアアアン!パシィンッ!
「そうだな。それから?」
パアアアン!パシィィンン!
「お使い先の人に・・長い時間・・お邪魔して・・迷惑・・かけた・・」
バアシィンッ!バアアアン!ピシャアンッ!
「あとは?」
パアアアン!ビシィィィィ!バッチィィィンン!
「み・・皆に・・心配かけた・・」
「そうだ。よく出来たな。あと十回、我慢できるな?」
バルバロッサの問いにチサトは頷く。
 バアシィンッ!バチィンッ!バアンッ!ビシャアンッ!パアシィンッ!
 バアアンン!バアシィンッ!ビタァンッ!パアンッ!パチィィンンン!
「ごめんなさいっ!ごめん・・なさいっ!ごめぇんなさいっ!」
最後の十打を受けながら、必死でチサトはごめんなさいを連呼する。
最後の一撃を叩き終えると、バルバロッサはチサトの頭に手を載せ、頭を撫でてやった。

 「大丈夫か、チサト?」
医務室のベッドにうつ伏せに横たわるチサトのお尻に薬を塗ってやりながら、バルバロッサはチサトに尋ねる。
お仕置きの後、お姫様抱っこで担ぎ上げられると医務室まで運ばれていったのである。
「だ・・大丈夫です・・それより、心配させて・・ごめんなさい・・」
「わかってくれればいいんだよ。いいか、チサト、遅くなったりすれば、皆が心配するからな。それに、人様の家に長い間いれば迷惑になるだろう。今度からは気をつけるんだぞ。遅くなりそうだったら、電話くらいはよこすんだぞ」
「はい・・心配かけて・・本当にごめんなさい・・」
「いいさ。ちゃんと反省してるんだからな」
そういうとバルバロッサは再びチサトの頭を優しく撫でてやった。

 ―完―
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