スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ペンダントと預かり物(SO2&テイルズより:ルシ・ディ/アシュ、共演パロ、BL)



(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにした、SO2&テイルズ共演パロです。BLもあります。許容出来る方のみご覧下さい)


 「はぁ~っ・・・疲れたねぇ・・」
「そうだな・・。今日はさすがに俺も疲れたな・・」
ギルド会館へと戻ってきたアシュトンとディアスは、そんな会話を交わす。
二人で、修行のためのモンスター退治から帰って来たところだ。
 ちなみに、ディアスはしばらく前にこの街に里帰りしてきており、現在はギルドに所属してモンスター退治などの仕事に従事していた。
 「ごめんね、僕の修行に付き合わせて」
「別に構わない。俺の修行にもなるからな」
「ならよかった。でも、やっぱりディアスさんには叶わないなぁ・・・。修行のつもりで行ったのに・・ディアスさんばかりに戦わせちゃって・・」
クエストを振り返り、アシュトンはそう反省する。
ディアスはまさに獅子奮迅、一騎当千と言わんばかりの強さを発揮し、群がるモンスターを苦も無くなぎ倒してしまったのだ。
おかげでアシュトンはあまり出番が無かったのである。
 「そんなことはないぞ。アシュトンも強くなっている」
「そうかな。でもそう言ってもらえると嬉しいな」
ディアスに褒められ、アシュトンは思わず嬉しそうな表情になる。
 「それよりアシュトン・・・そのペンダントはどうしたんだ?見慣れないが・・?」
ディアスは気になっていたことを尋ねる。
神父の必須アイテムである十字架と一緒に首に見慣れないペンダントを提げていたからだ。
ペンダントはかなり手の込んだもので、小さな教会の神父にはとても手が届くものとは思えない逸品だった。
 「ああ、これなんだけど・・少し前にルシフェルがプレゼントしてくれたんだ。僕らが出あって一周年の記念にって。原料集めから全部自分でやったらしいから、凄く苦労したって言ってたよ」
「そ・・そうか・・・」
アシュトンの言葉に、ディアスは複雑な気持ちになる。
ルシフェルからのプレゼントを心から喜んでいるのがわかるからだ。
 アシュトンが喜んでいるのは嬉しい。
しかし、事あるごとにお仕置きだと言ってアシュトンを泣かせている相手からのものであり、アシュトンもそれを受け入れていると思うと、何ともいえない。
 「アシュトン・・あの虐待魔には・・愛されてるのか?」
「うん。ま、まぁおかげでしょっちゅうお尻が痛いけど・・。でも大事に思ってくれてるのはわかるから・・・」
「そうか・・。少し複雑だが・・お前が幸せならそれでいい。だが、あまり奴のやりようがひどすぎるなら、俺に言ってくれ」
「うん、心配してくれてありがとう」
アシュトンとディアスがそんな会話を交わしているときだった。
 「おや、アシュトンさん、こちらにいらしたのですか」
「あれ?ナールさん、何か用ですか?」
アシュトンは声をかけてきたナールに、そう尋ねる。
 「ええ。皆さんから教会関係の費用を徴収しましたので、お渡しにきたのですよ」
「あっ!そ、それはすいません、知らせてくれれば僕の方から伺ったんですけど」
ナールの言葉に、アシュトンはそう答える。
 大概のギルドではメンバーへの福利厚生として皆から一定の額のお金を集めている。
そのお金はそのギルドが関係を持っている教会へと預けられる。
そしてギルドメンバーの冠婚葬祭、亡くなったメンバーの供養、慰安旅行を兼ねた遠方の大きな教会・聖堂への巡礼などといった、いわば福利厚生・助け合いのために使われるという仕組みがある。
この街のギルドの場合、メンバーでもあるアシュトンが、自分の教会で、ギルド内での業務として担当していた。
 「では、お願いしましたよ、アシュトンさん」
「はい。皆からの大切な預かり物として、責任もって預かりますね」
アシュトンはそう言うと、預かったお金の入ったバッグをしっかりと抱える。
 「アシュトン、そんな大金を抱えていると物騒だろう。教会まで俺が一緒に付いて行こう」
お金の入ったバッグを抱えたアシュトンに、思わずディアスはそう言う。
 「え、そんなの悪いよ。クエスト帰りで疲れてるでしょ?」
「それはアシュトンだって同じだろう?これくらいどうということはない」
「でも、やっぱり悪いよ。今日、僕だって一緒だったのに、ほとんどディアスさんがやっつけてたでしょ?それなのはまたディアスさんについてもらっちゃあ悪いよ。僕一人でも大丈夫だからさ、ゆっくり休んでてよ」
「そうか・・・。お前がそう言うなら・・。だが、本当に気をつけるんだぞ?」
「わかってるよ。それじゃあ僕は教会に帰らないとだから」
心配そうなディアスを尻目に、アシュトンは会館を後にした。


 お金の入ったバッグを抱えながら、アシュトンが教会へと向かっていたときだった。
目の前に人だかりが出来ており、人ごみの向こうからは言い争う声が聞こえてくる。
 (喧嘩かなぁ・・。関わっちゃまずいよね・・)
元々争い事は苦手だし、今は皆から預かった大切なお金を持っているのだ。
余計ないざこざに巻き込まれたらまずい。
そう思って回り道をしようとしたときだった。
 「もう我慢出来ないわよっ!!ツインバレットッッ!!」
「コッチの台詞だってーのっっ!!崩襲脚っっ!!」
聞こえてきた声と銃声にアシュトンはハッとする。
次の瞬間、アシュトンは人込みをかき分け、中へと飛び込んでいた。
 アシュトンの目の前に現れたのは、兄妹喧嘩真っ最中のルークとイリア。
「ちょ、ちょっとっ!二人ともやめなよっっ!!」
乱闘騒ぎの二人に、思わずアシュトンは声をかける。
 「うっせーよっ!止めるんじゃねーーっっ!!」
「そんなわけいかないよ!?兄妹で何やめなよっ!!うわあっっ!!」
止めようとするアシュトンを尻目に、イリアが銃を連射してくる。
 「うわあっ!!イリアもやめなってば~~!!」
二人の間に入って必死に喧嘩を止めようとするアシュトンだが、すっかり頭に血が上っている二人が止めるわけも無い。
おまけに、銃弾やら衝撃波やらがお構いなしに飛んでくるものだから、自分の身を守るののも大変だ。
結局通報を受けたガイやクロード達が駆けつけるまで、二人の喧嘩は続いたのだった。


 バシッ!バンッ!ビッダァ~ンッ!バシンッ!ビッダァ~ンッ!
「だああっ!やめろっ!やめろってーのっ!!痛っ!痛えってーのーっっ!!」
パンッ!パンパンパンッ!パンパンパンッ!
「ちょちょっとっ!何すんのよーっ!!やめなさいよーーっっ!!」
お尻を叩く音とともに、ルークとイリアの抗議の声が響く。
ルークはガイの、イリアはティアの膝の上でお仕置き真っ最中だった。
 「やめろじゃないだろう?あんな街中で兄妹喧嘩なんかして・・・」
お尻を叩きながら、ガイはお説教をする。
「う、うっせーな!イリアが悪いんだよっ!?色々ムカつくこと言うからっ!!」
「ちょっとっ!人のせいにしないでよっ!馬鹿兄貴こそ色々言いまくってくれたじゃないのよ!!」
「イリア、いい加減にしなさい。ルークもよ。全く・・二人とも下らないことで言い争いなんかした挙句に喧嘩なんかして・・。しかも・・止めようとしたアシュトンにまで暴力を振るったわね?」
ティアは心配そうに二人のお仕置きを見ているアシュトンに視線を向けながら言う。
二人の喧嘩を止めようと入ったものだから、二人の攻撃を巻き添えで受け、服のあちこちが破れていたり、傷が出来たりしていた。
 幸い、アシュトン自身も達人であるせいか、上手く二人の攻撃をかわしており、どれもかすり傷で済んではいたが。
「し、仕方ないでしょ!?ふ、不可抗力なんだから!!」
「そ、そーだぜ!お節介焼いて止めようとするから悪いんだよっ!!俺らは悪くねえっ!!」
「こら、そんなこと言うもんじゃないだろう?ちゃんと謝るんだ」
「ヤダっつってんだろーがっっ!!離せってーのっ!っおいっ!いつまで見てんだよっ!!とっとと帰れよっ!!」
ガイが思わずたしなめるも、ルークはアシュトンに対してさらにそう言う。
 「やれやれ・・仕方ないな・・・」
「全く・・あなた達って子は・・・」
「だあっ!やめろっ!やめろってーのっ!痛っ!痛ぇぇぇ!!」
「やめろって言ってんじゃないのよ―っっ!!いい加減にしなさいよーっ!!」
反省の見られないルークとイリアに、ため息をついたガイとティアにより、さらに容赦のない平手打ちが、二人のお尻に降り注いだ。
 「大丈夫かい?」
「あ、う、うん、何とかね」
気を利かせてお仕置き中のルーク達の元を離れたアシュトンは、声をかけてきたクロードにそう答える。
 「災難だったね、あちこち傷だらけになっちゃって」
「まぁでも大したことないよ。あ、出来れば教会に戻りたいんだけど、いいかな?」
「大丈夫だよ。事情聴取はもう終わりだし」
「よかった~。じゃあ僕はこれで帰るね」
そう言うと、アシュトンは教会へと戻っていった。


 「はぁ~・・・何か疲れたよぉぉ・・・」
教会へ帰って来るなり、アシュトンはホッと一息つく。
「え?あれ・・?嘘っっ!!」
部屋に置いてあった鏡にたまたま目を向けたアシュトンは、十字架と一緒に首に提げたペンダントが無くなっていることに気づく。
 「な・・何で!?どうして・・!!」
慌ててアシュトンは調べてみる。
よく見ると、ペンダントが繋がれていた金具が強い力で引きちぎられている。
(喧嘩のときに・・無くしちゃったんだ・・!!)
状況を思い返し、アシュトンはそう判断する。
 「あれ?そういえば・・僕・・鞄どうしたんだっけ!?」
しかも、アシュトンはナールから預かったはずのお金が入った鞄まで無いことに気づく。
慌てて教会中を探し回るが、幾ら探しても見つからない。
(まさか・・・!!)
蒼白になりながら、アシュトンは急いで教会を飛び出した。
 (ど・・どうしよう・・・)
再び教会へ戻ってきたアシュトンの表情は、絶望に満ちていた。
喧嘩騒ぎに出くわすまではカバンはちゃんと持っていた。
無くしたとしたらそのときだと思い、急いで現場に戻ってみたが、カバンは見つからないし、周囲の店や家の住人も見ていないという。
 (誰かに・・盗まれちゃったんだ・・どうしよう!?)
アシュトンは目の前が暗くなる。
責任もって預かる立場でありながら、お金を無くしてしまった。
皆に申し訳なくてたまらない。
 (しかも・・ペンダントまで・・・うう・・!!)
ペンダントも無くした事実に、アシュトンは泣きたくなりそうになる。
ルシフェルが苦労して作ってくれたものだ。
それを無くしたなど、これもルシフェルに対して申し訳なくてたまらない。
 (ペンダント・・探さなきゃ・・それに・・お金も何とかしないと!!)
相変わらず暗い表情を浮かべつつも、アシュトンは気持ちを切り替える。
ここでウジウジしていても何の解決にならない。
(ペンダントはともかく・・まずはお金を何とかしなきゃ・・!!)
アシュトンは何かを決心した表情を浮かべると、愛用の双剣を手にして、教会を後にした。


 「ハリケーンスラッシュッッッ!!!」
大きな竜巻が飛んだかと思うと、目の前のモンスターをふっ飛ばし、消滅させる。
「アシュトン選手勝利っ!!これで見事10日連続優勝です~~!!!」
観客が興奮する中、アナウンサーがそう叫んでアシュトンの健勝を称える。
ここはファンシティの闘技場。
無くしてしまったお金を稼ぐため、連日闘技場に通って賞金を稼いでいるのだった。
 今日の分の目標額を稼ぎ終え、ホッとするアシュトンへ、スタッフから賞金が手渡される。
観客の熱狂を尻目に、静かにアシュトンは会場を後にした。
 「はぁ・・・・疲れたなぁ・・・」
教会へ帰って来るなり、アシュトンは崩れるように座りこむ。
連日闘技場で戦っているため、疲労も相当なものだ。
ちょっと横になっただけで、二三日は熟睡してしまうのでは、というくらいだ。
 (でも・・休むわけには・・・。まだ足りないんだし・・!!それに・・ペンダントも・・)
眠りそうになるのをアシュトンは必死に我慢する。
明日もまた闘技場でお金を稼がなくてはいけない。
それに、ペンダントも探さなくては。
寝ている暇など無いと、アシュトンは自分自身を叱咤したそのときだった。
 「アシュトン、ちょっといいか?」
「あれ?どうしたの?ディアスさん?」
不意に教会へ現れたディアスに、思わずアシュトンは尋ねる。
「ああ、ちょっと近くまで来たからな・・・。それよりアシュトン、最近元気が無いようだが・・・どうかしたのか?」
「え、べ、別に何でもないよ!」
「本当か?まさかあの虐待魔にいじめられたんじゃないのか?」
ディアスは表情を険しくしながら尋ねる。
「だ、大丈夫だよ!別にいじめられてなんかないから!!」
アシュトンはディアスの言葉をすぐに否定する。
 「ならいいのだが・・。アシュトン、何か悩みがあるのなら遠慮なく言ってくれ。力になろう」
「ありがとう。でも、大丈夫だから。心配するようなことなんて何も無いよ」
「そうか・・。ならいいのだが・・・」
アシュトンの言葉にディアスはそういうと、ようやく教会を後にする。
 (危ない危ない・・ばれちゃうところだったよ・・・)
アシュトンは胸を撫で下ろしながら、安堵の息をつく。
(気づかれないように・・気をつけないと・・・)
そう思いながら、アシュトンは教会での仕事に戻っていった。


 「貴様、何のつもりだ?人間風情が呼びだしおって!!」
ディアスと顔を合わせるなり、ルシフェルは露骨に不機嫌かつ嫌そうな表情を浮かべる。
アシュトンの「お兄さん」という存在というだけでも気に入らないのに、事あるごとに人を虐待魔などと呼んで敵意を向けてくる。
レオン共々、ルシフェルにとっては憎たらしいことこの上ない相手だ。
 「俺とてお前と顔など合わせたくはない・・虐待魔が・・」
一方、ディアスもルシフェルに負けず劣らず敵意を見せる。
ディアスにとって、アシュトンは大切な「弟」。
そのアシュトンを自分や他の友人たちから奪ったのだ。
その上、何かあるたびにお仕置きなどといってアシュトンを泣かせている。
敵意も抱こうというものだ。
 「ふん・・なら何故呼びおった!」
「お前は嫌いだが・・アシュトンのことは大切だ。貴様、気づいているか?アシュトンの様子がおかしいことに?」
「ふん・・。何となくはな・・」
「なら話が速い。何か知っていないか?」
「知っておればわざわざ貴様と顔など合わせるか!」
「そうか・・。ならばいい・・・」
そういうと、ディアスは出て行った。
 「ふん・・!人間の分際で手間をかけさせおって・・・!!」
ディアスに不機嫌さをあらわにしつつも、ルシフェルは懐から小型の水晶玉を取り出す。
「おぃ、サディケルか?今すぐ予定を調整しろ!何!?理由などどうでもよかろう!!いいから言う通りにせんか!!」
その後、水晶玉を通じてサディケルに色々と文句を言いつつ、予定を無理やりにも調整させていた。


 その日の夜・・・。
「よしと・・・バレて・・ないよね・・」
アシュトンはルシフェルに気づかれていないことを確かめると、真夜中の街へと出てゆく。
 「おのれ・・・!!何のつもりだ!?」
携帯用の手提げランプを手にし、夜の街へと出てゆくアシュトンに、ルシフェルは怒りをあらわにする。
 (徹夜などしたら身体に悪いではないか!こんな時間に一人で街をうろついてよからぬ輩にでも遭ったらどうする!?あれほど口を酸っぱくして言っておるのに~~!!)
言いつけを破ったアシュトンに、ルシフェルはこれ以上ないほど怒りを燃え上がらせる。
 (後で厳しく叱ってやる!!だが・・まずは何をしているのか・・突きとめねば!!)
ルシフェルはそう判断すると、アシュトンを追っていった。
 「やっぱり・・無いなぁ・・・」
ルーク達が兄妹喧嘩をやらかした路地へやって来ると、アシュトンは手提げランプを頼りに周囲をくまなく探す。
だが、幾ら探しても見つからない。
 「本当・・どこに行ったん・・!!」
ペンダントが見つからないことに、ため息をつきかけたところへ、アシュトンの表情が強ばる。
 「だ・・誰!?そこにいるの・・!!」
何者かの気配に気づき、アシュトンはランプを掲げながら、警戒する。
だが、ランプの明かりに照らされて現れた人物に、ホッとする。
 「何だぁ・・ディアスさんかぁ・・おどかさないでよ・・・」
ディアスの姿に、アシュトンは安堵の息をつく。
「すまない。だが・・アシュトンこそこんな時間に、こんなところで何をしてるんだ?」
「え・・あ・・あの・・それは・・」
アシュトンは言葉に詰まる。
まさかここ数日、夜な夜な街へ出ては無くしたペンダントを探していた、などとは言えない。
そんなことをしていたと知れば、ディアスも怒るだろう。
 「アシュトン?どうしたんだ?まさか話せないような理由なのか?」
自分も色々と心配していただけに、さすがにディアスの表情も険しくなる。
「そ・・そういうわけじゃ・・ひっっ!!」
不意に背後に恐ろしい気配を感じ、恐る恐るアシュトンは振り返る。
 「うわぁあ!!ル、ルシフェルっ!?ど、どうして君もここにっっ!!」
いつの間にか立っていたルシフェルの姿に、アシュトンは全身から汗が出る。
「それはこちらの台詞だっ!!アシュトンッ!!またも私の言いつけを破りおってっっ!」
「ひいいっっ!!ごめんなさいっっ!!」
思わずアシュトンは飛び退いて謝る。
 「ゴメンで済むかっっ!!そんな悪い子は・・絶対に許さんっっ!!」
いつものようにルシフェルがお仕置きをしようとアシュトンに近づこうとしたそのときだった。
 「おい!アシュトンに何をするつもりだ!」
不意にディアスがアシュトンを守るように前に立ちはだかる。
「貴様っ!どかぬか!」
「そうはいかん・・。貴様、またアシュトンを叩くつもりだな!」
「当然だろうが?アシュトンが悪い子だったのだからな」
「そう言っていつも泣かせているのか・・!許さんっっ!!」
「人間風情が・・やる気かっっ!!」
ディアスは剣を構え、ルシフェルも手に呪紋の光を浮かべる。
 「うわああ~~っっ!!ちょっとっ!喧嘩なんかしな・・あれ?」
今にも街中で戦いを始めかねない二人に割って入ろうとしたそのとき、アシュトンは目まいに襲われる。
身体が左右に傾いだかと思うと、そのままアシュトンは倒れ込む。
 「「アシュトンッ!!」」
ディアスとルシフェルが呼びかける中、そのままアシュトンの視界は真っ暗になった。


 目を覚ましたアシュトンの目に飛び込んで来たのは、見慣れた寝室の天井。
(あれ・・?僕、どうしたんだっけ?)
「アシュトン!?気づいたのか!?」
思わず呼びかけられ、振り向くとルシフェルとディアスの姿があった。
 「あれ・・ルシフェルに・・ディアスさん・・?」
「お~お~、目が覚めたみたいだな」
寝室の様子に気づいたのか、ボーマンが入って来た。
 「あれ?ボーマンさんまで?どうしたのさ?」
「コイツらに叩き起こされて、連れて来られたんだよ。全く・・何時だと・・ふわわ・・」
「貴様は医者だろうが!急患が出たら診るのは当然だろう!!」
「そ、それよりアシュトンはどうなんだ!?大丈夫なのか!?」
「おぃおぃ、ルシフェルはともかく・・ディアス、お前までこの馬鹿悪魔と一緒になってどうする?落ち着けって?」
ボーマンの言葉に、さすがにディアスも落ち着く。
 「まぁ大丈夫だって。過労が重なって倒れただけだ。大したことはないって」
「そ・・そうか・・」
「ふん・・。ヤブ医者だが・・信用してやるとするか・・・」
「まぁとりあえず俺は一休みさせてもらうわ。アシュトン、悪いけどリビングのソファ勝手に借りるぞ。何かあったら起こしてくれ。どうせ後で俺が必要になるだろうからな」
「あ、ど、どうぞ・・・」
そう言うとボーマンは寝室を後にする。
 「アシュトン・・気持ち悪いとか、そういうのはないか?」
「あ、う、うん、大丈夫だよ」
アシュトンの言葉に、ディアスもルシフェルも安堵の息をつく。
だが、直後様子ががらりと変わる。
 「何故こんなことになったのだーーーっっっ!!馬鹿者があっっ!!」
「ひ・・!ご、ごめんなさい・・!!」
思い切りルシフェルに怒鳴られ、アシュトンは反射的に謝る。
 「ごめんなさいではないわっっ!!許さん・・!!」
ルシフェルがいつものようにお仕置きをしようと手を伸ばすが、それをディアスが邪魔する。
 「貴様・・!邪魔をするな・・!!」
「待て・・。まずは理由くらい聞くべきだろう。有無を言わさず叩くなど、虐待でしかないだろう?」
「く・・・!!」
ディアスの言葉にルシフェルは屈辱に満ちた表情を浮かべる。
 「アシュトン・・。詳しいことを話してくれるな?」
「う・・うん・・。実は・・・」
アシュトンは観念した様子を見せると、ルークとイリアの兄妹喧嘩を止めようとした際、ルシフェルからもらったペンダントを無くしてしまったこと、さらに、ナールから預かったお金の入ったカバンまで無くしてしまったこと、無くしたお金を稼ぐために昼は闘技場で、夜はペンダントを探しに街へ出ていたことを全て話した。
 「何故そんな大切なことを今まで隠していたのだぁぁーーーっっっっ!!!!」
話を聞き終えるや、ルシフェルは激昂する。
「ご・・ごめんなさい・・!ペンダントの方は君が苦労して作ってくれたのに・・。お金の方は責任もって預かるって言ったのに・・無くしちゃって・・皆に申し訳なくて・・・」
「だからといって一人で抱え込んで、無茶なことをしてどうする?俺やこの虐待魔がどれほど心配したと思っているんだ?」
「ごめんなさい・・・」
謝るアシュトンだが、いつもと違ってディアスの表情は厳しい。
 「ごめんなさいじゃない。俺だって心配したんだぞ。あまりお前を泣かせたくは無かったが・・・今日は別だ」
そういうと、ディアスはアシュトンの手を掴み、引き寄せる。
あっという間にアシュトンはディアスの膝の上に載せられ、お尻を出されてしまう。
 (うぅ・・!!凄い怒ってるよ~~~!!)
覚悟はしていたものの、実際に膝に乗せられると、ディアスの怒りの大きさを感じずにはいられなくなる。
 普段、ルシフェルのお仕置きにあれだけ怒りを見せるディアスが、自らアシュトンにお仕置きをするのだ。
余程怒っている証拠であり、そのときのディアスはルシフェル並みに容赦が無いことも知っていた。
怖くて無意識のうちに全身が震えてくる。
 「怖いのか?だが、今日は許さないからな。覚悟はいいな?」
恐怖を感じつつ、アシュトンは黙って頷く。
それを見ると、ディアスは片手でアシュトンの身体をしっかりと押さえ、もう一方の手を振り上げた。


 バッシィィィィ~~~~~ンッッッッ!!!
「ぎっひ・・・!!」
最初から容赦のない平手にアシュトンは悲鳴とともにのけ反る。
 バッジィィ~ンッッ!!ビッダァァ~~ンッッ!!ビバッジィ~~ンッッ!!バアッジィィ~~ンッッ!!バアッジィィ~~ンッッ!!
「ひっ・・!ひいいーーーっっ!!痛っ!痛ぁああーーいっっ!!」
激しい平手が叩きつけられるたび、アシュトンの身体が跳ね上がりそうになる。
始まって間もないというのに、アシュトンのお尻はもう真っ赤に染め上がっていた。
 「全く・・!何をやっているんだ・・!!」
心配させられただけに、ディアスは怒りをあらわにしながらお尻を叩く。
バッジィィ~~ンッッ!!ビッダァァ~~ンッッ!!ビバッダァァ~~ンッッ!!バアッジィィ~~ンッッ!!ビバッダァァ~~ンッッッ!!
「うわっ!ひぃぃ!痛あああいっっ!!ごめんなさぁぁいぃぃ!!」
「連日闘技場で戦った上に徹夜でペンダント探しだと!そんなことをしたら間違いなく身体を壊すだろう!?」
バアッジィィ~~ンッッ!!ビバッダァァ~~ンッッッ!!バアッジィィ~~ンッッ!!ビッダァァァ~~~ンッッ!!バッジィィ~ンッッ!!
「ひ・・!ご、ごめんなさぁいっ!ど・・どうしても・・穴埋めしなきゃ・・って・・。それに・・ペンダント・・せっかくもらったのに・・無くしちゃって・・申し訳な・・いって・・・」
「だからって一人で抱え込むんじゃない!どうして誰かに相談しなかったんだ!?」
バシバシとお尻を叩きながら、ディアスはお説教を続ける。
 「ひぃん・・!ごめんなさぁぁい・・!僕のせい・・だから・・自分で・・何とか・・しなきゃ・・ってぇぇ・・・」
「それでどれだけ心配したと思っているんだ!?」
「ご・・ごめんなさぁぁい・・・」
「ごめんなさいじゃないだろう!人に心配かけて!お前が倒れたときは死ぬんじゃないかと思ったんだぞ!!今日はまだまだ許さないからな!!」
バッジィィ~ンッッ!!ビッダァァ~~ンッッ!!ビバッダァァ~~ンッッッ!!バアッジィィ~~ンッッ!!
 「ひぃぃぃーーーっっ!!ごめんなさいっ!ごめんなさーいっ!!やめてぇ!お願いだからやめてぇぇ!!ごめんなさぁぁいぃぃ!!」
必死に謝るアシュトンだが、完全に怒っているディアスは容赦ない。
長い長い間、アシュトンの悲鳴とお尻を叩く強烈な音が響き渡った。


 「ご・・ごめ・・ごめんな・・さい・・ごぇんな・・なぁい・・・」
荒い息を吐きながら、アシュトンは謝る。
お尻は紅蓮に染め上がり、倍近く腫れ上がっていた。
 「アシュトン・・。反省したか?」
「ひぃん・・したぁ・・してる・・よぉぉ・・。心配・・・かけて・・ごめんな・・さぁぁい・・・・」
泣きじゃくりながら、アシュトンは謝る。
 「もうあんな無茶なことをしたり、隠し事もしないな?」
「しない・・!しないよぉぉ・・!約束・・するからぁ・・・!!」
「そうか・・・。なら・・終わりだ・・」
ディアスはそう言うと、アシュトンを抱き上げる。
 「大丈夫か、アシュトン?」
「う・・うん・・・。何とか・・」
ディアスはアシュトンを膝の上で抱きしめながら、真っ赤なお尻を優しく撫でてやる。
 「おい・・!貴様・・!済んだのならアシュトンを渡さぬか!!」
ディアスに向かい、ルシフェルが不機嫌な表情でそう言いやる。
「何故だ?貴様・・・まさかまだ叩くつもりか?」
「当然だろう!私がどれだけ心配させられたと思っている!!」
「そうはいかん・・!もう十分だ・・!これ以上貴様には叩かせん!!」
ディアスはそう言うと、アシュトンを抱いたまま、剣を構える。
 アシュトンは十分反省している。
これ以上は叩かせたくない。
その気持ちからだ。
 「貴様・・!!」
ディアスの態度に、ルシフェルも呪紋の光を手に浮かべる。
「ま、まま待ってっ!待ってってばっ!!」
アシュトンは慌てて止めに入る。
ディアスが自分を守ろうとするのも、ルシフェルがお仕置きをしようとするのも、全て自分への愛情ゆえだ。
自分のせいで喧嘩などして欲しくは無い。
 「ディアスさん、お願いだからルシフェルの言う通りにして」
「しかし・・そのお尻で・・。お前だって叩かれるのは嫌だろう?」
「僕だって嫌だよ。でも、悪いことしたのは僕だから。僕が悪い子だったんだから、叱られるのは当たり前だよ。悪いのは僕なのに、ここでディアスさんに庇ってもらって逃げたら、それこそ僕は皆に顔向け出来なくなっちゃうよ」
「わかった・・。そこまで言うのなら・・・」
アシュトンの決意に、ディアスはアシュトンをルシフェルへと引き渡す。
 ルシフェルはアシュトンを膝に載せたかと思うと、足を組む。
おかげで、アシュトンは真っ赤なお尻を突き上げた体勢になった。
さらに、ルシフェルはパドルを取り出す。
 (覚悟はしてたけど・・・怒ってるよ~~~!!!!)
アシュトンはこの世の終わりと言わんばかりに青ざめる。
膝を組んだ体勢、パドル、いずれも本当に怒っている証だ。
自分がやったことを思えば、想像は出来たとはいえ、現実になるとやはり恐ろしい。
 「アシュトン・・。今日は手でなど叩いてやらんからな。覚悟するがいい」
「は・・はぃぃぃ・・・」
これから始まるお仕置きの厳しさに、アシュトンは涙目になりながら全身を震わせる。
そのとき、不意に手を強く握りしめる感触がした。
 思わずアシュトンが見てみると、いつの間にかディアスがアシュトンの手を握っている。
「貴様!?何のつもりだ!?」
勝手にアシュトンの手を握っているディアスに、ルシフェルは怒りをあらわにする。
 「これくらいいいだろう?それとも何の支えも無しに辛い思いをアシュトンにさせる気か?」
ディアスの言動にルシフェルは不快感を示すも、アシュトンが僅かに安心したような素振りを見せると、渋々了承する。
「く・・!今回だけは譲歩してやる・・・」
悔しげにそう言うと、ルシフェルはパドルを振り上げた。
 ビッダァァァ~~~~~~ンッッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~ッッッ!!!
「ひっ・・!ひっひっひっひっぎぃぃ~~~~んっっっ!!!!」
豪雨のようなパドルの嵐に、アシュトンは絶叫する。
 「この・・馬鹿者がぁぁぁ!!!散々心配かけおってぇぇぇ!!!」
バアッジィィィ~~~~ンッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~ッッッッッッ!!!!!!
「うっわぁああああ!!ごめんなさぁぁぁいいぃぃぃ!!!」
両脚をバタつかせ、涙目になりながらアシュトンは必死に謝る。
 ビバッジィィィィ~~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~~ッッッッ!!!!
「『ごめんなさい』は当然だろう!!肝心なことを話さなかった上に過労で倒れるような無茶までしおって!!本当に死ぬかと思ったのだぞ!!」
「ごめんなさいっ!ごめんなさぁーーいっっ!!君にも・・皆にも申し訳なくて・・話せなかったんだよぉぉ・・・・!!」
「理由になるかぁぁぁ!!今日という今日は絶対に許さぁぁぁんんん!!!」
ルシフェルは既に真っ赤なお尻に容赦なくパドルの絨毯爆撃を落としてゆく。
 「ひぃぃぃ!!ごめんなさぁぁいいい!!二度としませぇぇぇんんん!!!ごめんなsぁぁぁいいい!やめてぇぇ!!お願いだからやべでぇぇぇ!!!ごめんなさぁぁい!!」
その後、ディアスのときよりも長い長い間、アシュトンの悲鳴とパドルの音が響き渡った。


 「ぎっひ・・!ひっぐ・・!」
「「だ、大丈夫か?」」
痛みに顔を顰めたアシュトンに、ルシフェルもディアスも思わず声をかける。
 「悪い、沁みたか?でもちょっと我慢してくれな~~」
「おい!もう少し優しくやらんか!」
「ボーマン、もう少し沁みない薬は無いのか?」
手当てをするボーマンに、ルシフェルとディアスがそう抗議する。
 「そう言うなって。これが一番いい薬なんだよ」
「ルシフェル、ディアスさん、無理言ってボーマンさんに来てもらったんだから、文句いっちゃ悪いよ」
「し・・しかし・・」
「よしと。これでOKだ。それにしてもルシフェルはともかく・・・ディアスもよくもまぁ叩いたもんだな」
「い・・言わないでくれ・・。俺も・・ここまでするつもりは・・・」
「ふん。人の事を虐待魔だなんと言っておいて、このザマか!!」
「そもそも貴様がこんなことをするのが悪いのだろう?貴様がそんなことをするから却ってアシュトンが悪い子になったんじゃないのか?」
「貴様っ!私のせいだというのかっ!貴様らがそうやってアシュトンを甘やかしてばかりいるからではないのかっっ!!」
言い争っているうちに再びルシフェルとディアスの間が険悪になる。
 「ちょ、ちょっとっ!二人ともやめてよっ!!」
「おぃおぃ、二人してアシュトンを困らせるんじゃねーって」
思わず割って入ったアシュトンに、ディアスもルシフェルも引き下がる。
 「まぁとにかく・・アシュトン、大事なことはちゃんと相談しろよ?コイツらだって心配するんだからな」
「あ・・うん、ご、ごめんなさい。二人とも・・・」
ボーマンの言葉に、アシュトンは二人に謝る。
 「わかってくれればいい。ペンダントとお金の件は、俺と虐待魔で何とかする」
「え・・でも・・?」
「アシュトン、遠慮は禁物だ。俺もやつも、お前の事が本当に大切なんだ。困っていれば幾らでも力になりたい。だから、好きなだけ頼ってくれ。そうだろう、虐待魔」
「ふん・・!貴様にお株を取られたのは気に食わんが・・奴の言う通りだ」
「ありがとう、二人とも」
二人の好意と愛情にアシュトンは礼を言う。
 「アシュトン、疲れているのだ。今は休むがいい。私がついているからな」
「待て。アシュトンの傍にいるのは俺だ・・」
ルシフェルの言葉に、ディアスがそう言う。
 「何を言うか!傍にいるのは恋人の私の務めだろう!貴様は金を稼いで来たらどうだ!!」
「それはこっちの台詞だ。貴様こそペンダントを探してきたらどうなんだ?」
「だーっっ!!二人ともいい加減にしろっ!!だったら一緒にいてやれ!!」
また喧嘩を始めそうな二人に、ボーマンがそう言う。
その言葉に、二人は互いに相手を睨みつけるも、ここでまた喧嘩になればアシュトンを困らせてしまうということはわかっていた。
 「ボーマンの言う通りだな・・」
「く・・。貴様がいるのは気に食わんが・・アシュトンのためだ。今日は我慢してやる!!」
「そういうことだ。アシュトン、安心して休むといい」
「よかったぁ・・。それじゃあ、お言葉に甘えて・・」
アシュトンはそういうと、目を閉じる。
静かに眠るアシュトンにルシフェルもディアスも優しい目を向ける。
だが、相手の姿が目に入るや、互いに凄まじい目で睨みつけていた。

 ―完―
スポンサーサイト

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

山田主水

Author:山田主水
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2投票
無料アクセス解析
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。