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仁義なき戦い(SO2&テイルズより:ルシ/アシュ、共演パロ・BL・バイオレンス)



(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにした、SO2&テイルズ共演パロです。BL並びにバイオレンス要素ありです。許容出来る方のみご覧下さい)


 アシュトン達が住む街からは遠く離れた別の街。
その目抜き通りは休日というもあり、賑わっていた。
だが、突然、その賑わいは恐怖の声に変わる。
街中にも関わらず、魔物が現れたのだ。
 しかし、魔物の様子はどこか異様だった。
魔物は全身に傷を負っており、恐怖に怯えた様子で周囲を見回す。
直後、別の足音がしたかと思うと、また別の魔物が数匹、追いかけてくる。
 追われる魔物は手にした剣を振りまわし、群衆を追い散らしながら、逃げようとする。
対して、追手の魔物は術や矢を放ち、標的の魔物を攻撃する。
追手の攻撃に、標的の魔物が倒れたところへ、追手達が追いすがり、剣や爪で幾度も身体を貫き、或いは引き裂く。
幾度も悲鳴が上がり、ようやく標的が絶命すると、恐怖に硬直する群衆を尻目に、急いで追手の魔物達はその場を逃げ去った。


 それからしばらく経ったある日・・。
アシュトンは恐る恐る、様子を伺いながら、門へと向かう。
買い物籠を下げているところから、買い物に行くつもりのようだったが、その素振りは、人に見つかることを恐れる泥棒のようだった。
慎重に、人目を憚る素振りでようやくアシュトンは出ようとしたそのときだった。
 「だぁぁぁ!!何してんですかぁぁ!!」
突然、何者かが飛び出してきて、行き先を塞いでしまう。
現れたのは全身を鎧で隙間なく覆い、大きな盾を構えた、或いは大きな剣を構えた一見騎士のような面々。
盾を手にしているのはガーダー族、大剣を持つのはアームドナイト族。
いずれも魔物で、ルシフェルの部下だ。
ガーダー達はスクラムを組むように立ちはだかり、アシュトンを押し戻そうとするかのように迫る。
「か、買い物に行くだけだよ。肉とか魚が無くなってるから・・・」
「ダメですよ!絶対に教会の外からは出ないで下さい!!ルシフェル様にきつく言われてるでしょうが!!」
「で・・でも・・買い物くらいなら・・・」
「何が何でもダメですよ!!この前出ようとしたのがバレて、アンタはもちろん、私らの仲間がどうなったか忘れたんですか!?」
「わ・・忘れてないよ・・」
アシュトンはお尻に手をやりながら言う。
 教会からアシュトンが出られないようになったばかりの頃、たまりかねたアシュトンがどうしても教会を出ようとし、それを止めようとした魔物達との間でちょっとしたトラブルが起こり、このままではと魔物達が主人であるルシフェルに連絡したのである。
その結果、帰宅したルシフェルにより、言いつけを破って外出しようとしたアシュトンには平手・パドル・鞭でそれぞれ100回、あわせて三百叩きものお仕置きがされ、きちんと務めを果たせなかった部下の魔物たちなど、危うく首をはねられるところだったのだ。
魔物達についてはアシュトンが必死に命乞いし、もう二度と言いつけを破らないと約束したことで、命ばかりは助かったものの、人間だったら数カ月は入院しなければならないほどの拷問さながらの制裁を受けたり、或いは詫びとして指や手を自分で切り落として差し出すなど、不始末を仕出かしたヤクザさながらの目に遭ったのである。
「だったら教会で大人しくしてて下さいよ!必要なものは人間に化けたアタシらの仲間が買ってきますから!!頼みますから、全部終わるまで大人しく言う通りにしてて下さい!!アタシらの首のためにも!!」
魔物達は命がかかっているからか、必死の形相でアシュトンに言う。
 「わ・・わかったよ・・。そ・・それじゃあ・・代わりに買って来てくれる?ぼ、僕はちゃんと大人しくしてるからさ・・・」
「わかってくれればいいんですよ・・。おい!代わりに買ってこい!!」
魔物のボスが買い物籠を受け取ると、格下の魔物に籠を渡す。
受け取った魔物は、人の姿になると店へ出かけ、アシュトンはため息をつきながら、建物へと戻っていった。


 「はぁ・・・。いつまで続くんだろう・・・」
リビングで、アシュトンはため息をつく。
 ことの始まりはしばらく前に別の街で起こった事件。
白昼堂々、魔物が街に現れ、魔物同士で追跡劇をした挙句に一方がもう一方を殺害したのだ。
魔物が街に出現したのみならず、魔物同士が市民を巻き添えにしかねない争いを繰り広げたということで、大きな衝撃をもたらし、各地の街の治安当局は非常にピリピリした状態になっている。
この街でも、ジェイドやユージーンの指揮の元、クロードやガイ達が休みなしに市内を厳重警戒している。
 だが、治安当局よりもピリピリしていたのがルシフェルだった。
ルシフェルが言うには、人間界に住む魔物達の間での争い事が火を噴いたらしい。
人間界に住む魔物は、大きく分けて二つのグループに分かれる。
一つは魔界の権威を認め、ガブリエルやルシフェルら、魔界の高位魔族に臣従し、或いは同盟者や協力者として好意を寄せるもの。
もう一つは対照的に、魔界の権威を認めず、服従を拒否する者達。
この両者の間で、時々小競り合いが生じていたのだが、それがとうとう爆発し、あのような市内での激しい魔物同士の追跡劇となったのである。
それを皮切りに、魔物達による暴力団抗争顔負けの激しい争いが各地で勃発している。
 この事態の中、ルシフェルは、魔物達の抗争からアシュトンを守るため、護衛兼見張りの魔物達を教会に派遣し、アシュトンが一歩も教会から出さないように厳命し、それこそお尻にきつく言い聞かせてまで約束させたのである。
 (クエストや仕事はともかく・・・買い物にさえ出られないのは・・・辛いよねぇ・・)
リビングでため息をつきながら、アシュトンはそう思う。
自分の身を案じてくれているのはわかる。
しかし、軟禁生活のようなこの状況は、精神衛生には非常に悪い。
仕事は無論、日常生活にさえ差しさわりがあるので、尚更だった。
 (せめてルシフェルがいてくれれば・・ってそれはさすがに贅沢だよね)
アシュトンは魔界にいる恋人のことを思う。
騒ぎが起きてから、ルシフェルはずっと魔界へ詰めっぱなしで、全く教会へは帰っていない。
心配して様子を見に来てくれたルカによれば、アッシュも同じように魔界詰めで、人間界へは帰っていないらしい。
もっとも、嫌な相手がいないので、レオンやルークは喜んでいるようだが。
 (早く解決してくれればいいんだけど・・。出来れば平和的に・・・)
今頃魔界で対策に奔走しているであろうルシフェルに、そう言いたくなったときだった。
 不意に外が騒がしくなった。
何やら言い争うような声が聞こえてくる。
(何だろう?まさか喧嘩!?止めなくちゃ!!)
慌ててアシュトンは外に飛び出す。
すると、ガーダー達が何者かと言い争っていた。
 「何でダメなのさ!!」
「うるさいっ!誰だろうが通すわけにいかんっ!!」
「何をや・・あれ?レオン?」
アシュトンはレオンが魔物達と言い争っていることに気づく。
 「あっ!アシュトンお兄ちゃんっ!」
「どうしたの、レオン?」
「アシュトンお兄ちゃんが塞ぎこんでるじゃないかって心配で見に来たんだよ~」
「そうなんだ、ありがとう。でもどうしたの?喧嘩してたみたいだけど?」
アシュトンは怪訝な表情を浮かべる。
 「あっ!そうなんだよ!ひどいんだよ!アシュトンお兄ちゃんに会いたいだけなのにさ、意地悪して全然会わせてくれないんだよ!」
「え!?それ、本当なの!?」
アシュトンは思わず魔物達の方を振り向く。
 「い、いえ・・。そ、その・・ルシフェル様から厳命されましたので・・。誰も通すなと・・・・」
「だからって最初から問答無用な態度なんてとらなくてもいいじゃないか。それもこんな子供に・・・。それにこの子は僕の昔からの友達なんだよ?」
「す、すみませんっ!!ルシフェル様の命に背く訳には・・。勘弁して下さいっ!!ルシフェル様には・・どうか内密にっ!!」
魔物は土下座して拝まんばかりに謝る。
そんな魔物の姿に、アシュトンも少しかわいそうになる。
 「ご、ごめん・・。ぼ、僕も言いすぎたよ。でも、この子は心配いらないからさ、これからは来たら通してあげてよ」
「わ、わかりました。おいっ!お前らっ!今度からはこの小僧は通すんだぞっ!!」
アシュトンの怒りを買わずに済んだことにホッとする魔物達を尻目に、アシュトンはレオンを連れて教会へと入っていった。


 「ごめんね、嫌な思いさせちゃって」
アシュトンはお茶とお菓子を出しながら、レオンに謝る。
「アシュトンお兄ちゃんが謝ることないよ。どうせ虐待魔のせいなんでしょ?」
「う、うん。僕のこと、心配してくれてるんだろうけど・・・・。やっぱり息が詰まっちゃうよ・・・」
「だよね~。僕の方もさぁ、大変だよ。集団下校だし、あんまり外には出れないし」
レオンは同意するように言う。
事件が発生したのが街中、それも人が多い繁華街ということもあり、学校でも集団登下校をはじめとする安全対策を取っている。
おかげで、子供達も最近は学校にいるときを除いては自宅に籠りきりというような状態らしい。
 「あれ?じゃあ一人で外に出るのはマズいんじゃ・・?」
怪訝な表情を浮かべるアシュトンに、レオンはギクリとする。
「レオン!?まさかリフィルさん達の言いつけ破ってるの!?」
「ご、ごめんなさいっ!ど、どうしてもアシュトンお兄ちゃんのことが心配で・・」
レオンはすかさず涙を浮かべてみせる。
 「マ、マズいとは思ったんだけど・・。でも・・アシュトンお兄ちゃん・・閉じ込められっぱなしで辛いんじゃないか・・そ・・そう思うと・・。そ・・それで・・いても・・立っても・・・」
「そうだったんだ。ごめんね、心配させて」
アシュトンはそう言うと、レオンを抱っこし、優しく頭を撫でてやる。
 (よかった~。アシュトンお兄ちゃんのことだから、こういえば許してくれるからね~)
レオンは心の中でそう言う。
アシュトンが心配な気持ちに嘘は無い。
それだけに説得力があり、アシュトンも見事に誤魔化されてしまった。
 「ありがとう、叱られちゃうかもなのに僕の事心配してくれて」
「いいんだよ。元はといえば虐待魔が悪いんだから」
「あまりルシフェルの悪口言わないであげてよ。ルシフェルにだって色々あるんだから。それより、一人で家帰すわけにもいかないからさ、送ってってあげるよ」
「本当!?でもあの魔物が張りついてるんじゃない?」
「あ・・・!!」
すっかり警備・見張りの魔物達の存在を失念していたことに、アシュトンは頭を抱える。
 「ど、どうしよ~~。そうだよ・・。魔物を何とかしないと・・送ってってあげられないよ・・・」
レオンを送っていくには、自分が外へ出なくてはいけない。
当然、警備の魔物達がそれを許すわけが無い。
文字通り自分の首がかかっているのだから。
 「だーいじょうぶ!僕に任せてよ!いい考えあるから」
頭を抱えるアシュトンに、レオンはそう言う。
「ほ、本当?」
「うん。あのね・・」
レオンは何やらアシュトンに耳打ちする。
 「だ・・大丈夫かな?」
「大丈夫だよ、僕に任せてよ」
レオンは自信たっぷりにそう言った。


 それから数分後・・・。
「ん?」
敷地内を見回っていた魔物は、不意に妙な匂いに気づいた。
 「やば・・!!おいっ!!火事だっ!!火事だ火事っっ!!」
突然、建物のあちこちから煙が噴き出す。
「おいっ!早く消せっ!!もし何かあったら・・指か手が無くなるぞっっ!!」
魔物達は火を消そうと、急いでバケツや水を用意する。
火を消すのが遅れ、例えかすり傷でもアシュトンが負傷しようものなら、指や手を詰めさせられる。
必死になって魔物達は消火活動を始めようとした。
 「ん?何だこりゃ?ただの発煙筒かよ!?」
だが、火を消そうとして、魔物達が見つけたのは発煙筒。
「こっちも・・あっちもか!」
「全部発煙筒っすね」
「・・ったく・・人・・いや魔物騒がせな・・・」
ただの発煙筒だったことに、魔物達はホッとする。
 「あれ?でもボス、いいんですか?」
「あん?」
「全員こんなところにいて。あの神父がもし外に・・・」
その言葉に魔物達のボスはハッとする。
 「おい!建物と敷地内をしらみつぶしに確認しろ!!」
慌てて建物内は無論、庭など敷地内のあらゆる場所を確認する。
だが、アシュトンの姿はどこにもない。
 「おい・・!マズイぞ!?何としてでも探しだして連れ戻せ!!ルシフェル様にバレる前に!!」
魔物達は顔を真っ青にしながら、急いで教会を飛び出した。


 「上手く行ったね、お兄ちゃん」
「う、うん、そ、そうだね・・・」
通りを歩きながら、レオンとアシュトンはそんな会話をかわす。
発煙筒を仕掛けたのはレオン。
魔物達が火事だと誤解し、慌てている間に教会を出たのである。
 「でも・・悪いことしちゃったかなぁ・・・。今頃必死で僕を探してるだろうし・・」
アシュトンは見張りの魔物達のことを思い返し、そんな気持ちになる。
「お兄ちゃん、僕より虐待魔の手下達の方が大事なの?」
「そ、そんなことないよ!!そういうつもりで言ったわけじゃ・・・」
「わかってるよ~。でもさぁ、何か久しぶりだよねぇ。アシュトンお兄ちゃんと二人でこうやってるなんてさぁ」
「そうだねぇ。最近全然外に出られなかったからね」
アシュトンは嬉しそうな表情と声で言う。
 「何か嬉しそうだね、お兄ちゃん」
「そ、そうかな?」
「うん、何か明るい顔になってる。えへへ、やっぱりお兄ちゃんに会いに行ってよかった」
「ありがとうね、色々心配してくれてたみたいで。でも、今日はいいけど、今度からは一人で教会来ちゃダメだよ。まだ危ないからね」
「わかってるよ~」
「ならよかった。それじゃあ早いうちに家に戻ろうね」
「ねぇ、せっかくだから手繋いでよ」
「いいよ、レオンがそうしたいならね」
アシュトンはそういうと、レオンと手を繋く。
そしてそのまま通りを行こうとしたときだった。
 突然、別の通りから悲鳴が聞こえてきた。
「何だろ?」
「事故かな?あれ?」
怪訝な表情を二人が浮かべると同時に、複数の足音が近づいてくる。
 「え・・!!」
アシュトンは思わず声を上げる。
現れたのは何と魔物。
魔物達は武器を構え、アシュトンを睨みつけると、飛び道具を放って来た。
 「うわあっ!!」
とっさにアシュトンは屈んでかわす。
「アシュトンお兄ちゃんっ!!」
「逃げようっ!!レオンッ!!」
アシュトンはレオンの手を引いて、急いで走る。
対して、魔物達もアシュトン達を追って走り出した。
 二人は必死に走る。
だが、双剣士のアシュトンはともかく、子供で術師のレオンとでは足の速さも体力も雲泥の差がある。
やがて、レオンの歩みがだんだんと遅くなり、しかも転んでしまった。
 「レオンッ!!」
「こ・・こうなった・・嘘っっっ!!」
レオンは武器の本が離れたところに転がっていることに気づく。
慌てて取ろうとするも、感づいた魔物が武器で本を遠くに弾き飛ばしてしまう。
そして今度はレオンめがけて、武器を叩きつけようとしたそのときだった。
 「ハリケーンスラッシュッッ!!」
アシュトンは竜巻を飛ばして、魔物を吹っ飛ばす。
「レオンッ!!大丈夫っ!?」
「あ、ありがとう、あっ!危ないっ!!」
アシュトンは魔物の攻撃を片方の小剣で防ぎ、もう片方で反撃する。
 「レオンッ!早く逃げてっ!!」
「え!?で、でもっ!!」
「僕が時間を稼ぐからっ!皆を連れてきてっ!!」
「わ、わかったよっ!!」
アシュトンの言葉に、レオンは急いで走り去る。
 「絶対・・ここは通さないよ!!」
アシュトンは双剣を構えて魔物達に向かい合う。
魔物達は咆哮を上げると、アシュトンに襲いかかった。
 「あっ!!いたっ!!」
レオンはカイウス達と共に巡回中のユージーンに気づき、声を上げる。
「ん?レオンか?まさか一人で出歩いてるのか?危険だからダメだと言われているだろう?」
ユージーンもレオンに気づき、そう言う。
 「そんなこと言ってる場合じゃないよ!アシュトンお兄ちゃんが大変なんだよ!?」
「何?どういうことだ?」
「詳しいことは歩きながら説明するから!!とにかく来てよ!!」
レオンの様子にただ事ではないと感じたのか、ユージーンがレオンと共に行こうとしたときだった。
 「うわあーっっ!!魔物だーーっっ!!」
突然、住人達の悲鳴が上がる。
思わずユージーン達が振り向くと、通りを必死の形相で走るガーダーやアームドナイト達の姿。
 「マオッ!カイウスッ!」
「わかってるヨ!」
「任せとけって!」
三人ともそれぞれ武器を構え、迫りくるガーダー達を迎え撃とうとする。
 「あっ!あいつらっ!」
魔物達の姿にレオンはあることに気づき、魔物達の前に飛び出した。
「いかんっ!戻るんだっ!危ないぞっ!!」
ユージーンがそう言うが、レオンは逆に彼らへと近づいて行く。
 「小僧っ!やっと見つけたぞっ!!よくも俺達に一杯食わせてくれたなっ!!」
魔物達はレオンに気づき、怒りの声を上げる。
「そんなことより大変だよっ!!アシュトンお兄ちゃんが別の魔物に襲われてるんだよっ!!」
「小僧っ!また一杯食わそうったってそうはいかんぞっ!!」
「信じないなら別にいいよ。でも、もし本当だったらマズイんじゃない?あの虐待魔に何されるかわからないよ?」
「ぐ・・・!!」
魔物達はレオンの言葉にぐうの音も出ない。
ここでもしレオンの言葉を無視し、本当だったら、後で大変な災難が自分達に降りかかる。
 「くそっ!おいっ!どこなんだっ!!」
やむなく魔物はレオンに場所を尋ねる。
レオンが素早く場所を教えると、魔物達は慌てて教えられた場所へ向かっていった。
 「うわ、スゴイヨ!魔物に言うこと聞かせちゃうなんて」
「これくらい当たり前だよ。それより僕らも行かなきゃ!アシュトンお兄ちゃんが!!」
「そうだな。我々も急ごう」
レオンを道案内に、魔物達の後を追うように、ユージーン達も現場へ向かった。


 「ハァ・・ハァ・・ハァ・・・」
アシュトンは荒い息を吐き、両肩を上下させる。
攻撃を幾つも受けているのか、服はあちこちがボロボロになっている。
 魔物達は戦後から挟み撃ちにし、数で押しにかかる。
「ハリケーンスラッシュッッ!!うっっ!!」
竜巻を発生させて前から襲いかかる敵をふっ飛ばすも、背後から迫って来た魔物達の攻撃でのけ反り、隙が生まれる。
そこへ魔物達が殺到し、寄ってたかって殴りつけ、押さえつける。
 「早く連れてけ!!」
リーダーの命令で、魔物達がアシュトンを担ぎあげ、そのまま連れ去ろうとしたそのときだった。
 「いたぞーーーっっ!!」
ルシフェル配下の魔物達が駆けつけ、声を上げる。
「さらう気だっ!!死んでも取り返せーーー!!」
敵方の意図に気づいた魔物達は、アシュトンを取り返そうと、敵方の魔物達目がけて斬り込んだ。
 たちまち、通りでは魔物同士の大乱戦が始まる。
入り乱れた双方の魔物同士がぶつかり合い、弾き飛ばされた者が建物などにぶつかり、物を壊してしまう。
住人達は巻き添えを食わないようにと急いで屋内に逃げ込み、堅くドアを閉めた。
「うわあっ!!わああっ!!ひぃぃぃ!!」
魔物同士の混戦の中、アシュトンは混乱の中から何とか抜け出そうとする。
 「逃がすかっっ!!」
「こっちの台詞だっ!!取り返せっ!!」
逃げようとするアシュトンに気づいた敵方の魔物がアシュトンを捕え、そこへルシフェル方の魔物が取り返そうとする。
 「うわ・・ちょっと待ってぇ!!ひ、引っ張らないでっ!!痛ぁぁぁ!!!」
お互いがアシュトンを奪い、或いは取り返そうとして、双方がアシュトンの身体を引っ掴んで引っ張る。
 「うわああ!!お願いだからやめてぇ!!裂けちゃううう!!」
苦痛に悲鳴を上げるアシュトンだったが、アシュトンを手に入れることで頭が一杯な魔物達は、さらに引っ張り続ける。
このまま、アシュトンが引き裂かれるかと思われたそのときだった。
 「デモンズゲートッッ!!」
「魔神連牙斬っ!!」
「バーンストライクッッ!!」
「轟破槍っっ!!」
巨大な門から現れた死神が大鎌で薙ぎ払い、地を這う衝撃波が連続で、降り注ぐ火球が、地面から突き出した岩が魔物達を吹っ飛ばす。
 「アシュトンお兄ちゃんっ!!大丈夫っ!!」
魔物達が吹っ飛ばされたことでようやく解放されたアシュトンに、レオンとユージーン達が駆けつける。
 「う、うん、大丈夫。あ、ありがとう、皆」
「よかったよ~。お兄ちゃん、八つ裂きにされなくてぇ・・・」
「二人ともいつまでも話しているヒマはないぞ。早く逃げるぞ!!」
ユージーンの言葉に、アシュトンもレオンもハッとする。
 「おのれ・・逃がすかっ!!」
アシュトンを捕えようとした魔物達がダメージから回復し、再びアシュトンを捕えようとする。
「させるかっ!!お前らにあの神父を渡すわけにはいかないんだよっ!!」
そう叫びながら、ルシフェル傘下の魔物達が再び襲いかかる。
通りは再び魔物達の戦場になった。
 「う・・うわあっ!!ど、どうしよう!?」
「この状況では我々には何も出来ん。それより安全なところに逃げるんだ」
「で・・でも・・」
ユージーンの言葉にアシュトンは躊躇う。
 「アシュトン、狙われているのはお前だ。お前が安全なところへ避難しないとまたこうなるぞ」
「わ、わかったよ」
「早く行こう!アシュトンお兄ちゃんっ!!」
ユージーンとレオンの言葉に、ようやくアシュトンはその場を離れる。
アシュトンが教会へ戻るまでの間、魔物達の激しい争いが通りで繰り広げられ続けた。


 「はぁぁぁ・・・。疲れたぁぁ・・・」
「大丈夫?アシュトンお兄ちゃん?」
ようやくのことで教会に帰って来たアシュトンは、ため息をつく。
そんなアシュトンに、レオンは心配そうに言う。
 「う・・うん・・。もう・・大変な目に遭ったよ・・」
「でもよかった~。八つ裂きにされなくてぇ・・」
「本当、死ぬかと思ったよ」
「無事なようで何よりだ」
ホッとするアシュトンに、ユージーンがそう声をかける。
 「ユージーン達もありがとうね。おかげで助かったよ」
「治安を預かる軍人として当然の事をしただけのことだ。気にする必要は無い」
「でも災難だったよネ、本当にさ」
礼を言うアシュトンにユージーンやマオがそう言う。
 「おいっ!魔物が押しかけてきたみたいだぞ!!」
窓の外を見ていたカイウスの言葉に、全員ハッとする。
思わず全員窓の傍に立ち、恐る恐る外を見やる。
すると、確かに魔物達が教会の敷地へ入ってこようとするのが見えた。
 「アシュトンッ!早く奥に!!」
ユージーンは急いでアシュトンにそう言う。
 「待って!あれ、虐待魔の手下だよ!」
レオンは魔物達がルシフェルの私兵であることに気づく。
「うん、確かに皆ルシフェルが僕の護衛と見張りにって連れてきた魔族だよ」
アシュトンも窓から外の魔物達を見て、確認する。
 「何だよ・・。それじゃあ味方かよ・・」
アシュトン達の言葉にカイウスはホッとする。
「だが、油断は禁物だ」
ユージーンが警戒を怠らない中、魔物のリーダーが入って来た。
 「ハァ・・ハァ・・。ぶ、無事・・なよう・・ですね・・」
「うん、た、助けてくれてありがとう」
「・・ったく・・。だから言ったでしょうが!!絶対に出ないで下さいよって!!」
「ご・・ごめんなさい・・」
「ったく・・!!これがもしル・・!!」
突然、魔物のリーダーは恐怖に満ちた表情になる。
同時に、アシュトンも顔から血の気が引いた。
 「ん?どうしたんだよ?この世の終わりみたいな顔して?」
怪訝に思ったカイウスがアシュトンに思わず尋ねた時だった。
 「アシュトンンンンン!!!!!!!無事かぁぁぁぁああああああああ!!!!!」
絶叫のような声と共にドアが開き、突進といっていいほどの勢いで飛びついた。
「アシュトンッ!アシュトンンンン!!」
「ぐ・・ぐるじ・・・!!」
ルシフェルに思い切り抱きしめられ、アシュトンは息が詰まりそうになる。
 「あーあー、仕方ないなぁ。マオ、カイウスお兄ちゃん、協力してくれる?」
「いいヨ」
「いいぜ」
「せーのっ!デモンズゲートッ!!」
「ディザスターロアッッ!!」
「魔神連牙斬っっ!!」
レオンとマオは術を発動し、死神が振るう大鎌と、龍型のオーラを、カイウスは地を這う三連発の衝撃波をルシフェルに叩き込んだ。
 「貴様らぁぁ!!何をするっ!!」
攻撃をもろに食らい、ルシフェルは激昂する。
「何するじゃないよ、抱きしめすぎてアシュトンお兄ちゃんが苦しいのにも気づかないの?」
ようやく解放され、咳き込みながら息をしているアシュトンを示しながら、レオンは呆れたように言う。
 「なぁぁ!すまんっ!アシュトンッ!?大丈夫か!?」
「う、うん、ちょ、ちょっと苦しかったけど・・。だ、大丈夫だから・・・」
「そうか。よかった。が・・・」
ホッとした表情を浮かべるも、次の瞬間凄まじい形相に変わり、トゲ付き棍棒を取り出したかと思うと、警備の魔物のリーダーを殴りつけた。
 「この馬鹿者ぉぉぉ!!貴様は何をやっているのだぁぁ!!!」
「ひぃぃぃ!!申し訳ありませんんんん!!!」
「謝って済むかぁぁ!!指や手で済むと思うなっっ!!」
「ひぃぃぃ!!お許しをっ!!お許しをっ!!」
怒り心頭のルシフェルは、手にした棍棒で配下を滅多打ちに殴りつける。
魔物は殴られ続けながら、平謝りに謝る。
 「ルシフェルッ!!やめてよっ!!」
思わずアシュトンはルシフェルにすがりつき、制止する。
「離せアシュトンッ!この馬鹿者どもが務めを果たさんからっ!!」
「でも命がけで僕を助けてくれたんだよっ!それに僕は無事だったんだし、僕の事で他人に暴力振るうなんて嫌だよっ!!」
「く・・!!」
アシュトンの言葉に、ルシフェルはようやく殴るのをやめる。
 「く・・!!アシュトンがそこまでいうなら・・ここで勘弁しておいてやろう。おいっ!連れて行って手当てしてやるがいい!!」
ルシフェルの言葉に、他の魔物達が現れ、痛めつけられたリーダーを外へ運び出す。
 「すまん・・。お前の事になると・・どうしてもな・・」
「ううん、僕こそごめんね。心配させて・・」
「全くだ!!それよりアシュトン!!」
「は、はいっ!!」
厳しい表情のルシフェルに、思わずアシュトンは姿勢を正して返事をする。
 「こんなことになった以上・・覚悟はいいな!!」
「わ・・わかってるよ・・・。皆、悪いけど二人だけにしてくれる?」
「わかった。ボーマンに連絡をしておこう。マオ達も行くぞ」
ユージーンはそういうとマオ達を連れて部屋を後にしようとする。
 「あっ、ユージーン、悪いけどレオンを家まで送ってってもらえるかな?」
「わかった。レオンも行くぞ」
「えー?ヤダよ!だってアシュトンお兄ちゃんの事いじめるつもりじゃないか!!」
「人聞きの悪いことを言うな!小僧っ!!躾だっ!!」
「虐待してる人は皆そういうよね~。やっぱり虐待魔じゃないか」
「貴様ら!!つべこべ言わずに・・」
苛立ったルシフェルは手に呪紋の光を浮かべる。
 「レオン、気持ちが分かるが行くぞ」
「ちょ、ちょっとっ!何するのさっ!!」
このままでは癇癪を起したルシフェルが術を発動しかねないと、ユージーンは強引にレオンを抱き上げて連れてゆく。
 ようやく二人きりになると、ルシフェルはアシュトンを膝に引き倒し、膝を組んでお尻を突き上げる体勢にしながら、お尻をあらわにする。
(やっぱり・・怒ってる~~~!!!)
想像はしていたものの、最初からお仕置きが辛い体勢にされ、アシュトンは震えそうになる。
 「アシュトン・・。今日は手でなど叩いてやらんからな。覚悟するがいい」
恐怖に全身を震わせるアシュトンを尻目に、ルシフェルはパドルを取り出す。
いかにも痛そうで、ダメージも大きそうなパドルを手にすると、ルシフェルは思い切り振りかぶった。


 ビッダァァァァ~~~~~~~ンンンンッッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~!!!!!
「ひ・・!!ひっいいいいぃぃいいぃぃぃんんんんんん!!!」
凄まじいパドルの嵐に、アシュトンは絶叫する。
 「この・・・馬鹿者がぁぁぁぁ!!!!」
バアッジィィィィ~~~~~~ンンンンッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~!!!!!
ルシフェルは怒りをほとばしらせながら、激しくパドルを叩きつける。
あっという間にアシュトンのお尻は満遍なく赤く染まり、絵具を重ね塗りするかのようにそれが濃厚になってゆく。
 ビバッジィィィィィ~~~~~ンッッッッッッ!!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!!
 「絶対に教会から出てはいかんっ!!あれほどきつくきつく言っておいただろうがっ!!」
ルシフェルは狂ったようにパドルを豪雨のように叩きつけながら、お説教を続ける。
もし迂闊に外に出れば、魔物達の抗争に巻き込まれてしまう危険がある。
特に、ルシフェルは魔界側のトップの一人。
そのルシフェルの恋人であるアシュトンは、敵方にしてみれば、最高の人質。
誘拐しようと狙ってくる可能性も大きい。
 「ご・・ごめんなさぁぁいい!!ま、まさか・・こんなことに・・・!!ごめんなさいっ!!」
「ごめんなさいは当たり前だろうっ!!何故私の言いつけを破って外に出たっっ!?」
パドルを振り下ろしながらルシフェルは尋ねる。
「そ・・それは・・!?」
答えかけてアシュトンはハッとする。
もし、ここでレオンを送っていくためなどといえば、大変なことになる。
部下の魔物に見せたあの狂暴な怒りが、レオンに向けられかねない。
 「ご・・ごめんなさい・・。き・・君には・・言えないよ・・」
「言えないだとっ!?それで済むと思っているのかぁぁ!!」
「本当にごめんなさい。でも、言えないよ・・どうしても・・」
「許さんっ!言いつけを破って心配をかけた上に・・訳を言わんなど・・。ならば私も容赦せんぞっ!!」
ルシフェルはパドルの代わりに今度は鞭を取り出す。
 ビシッッッ!!
ビシビシビシッ!ビシビシビシビシッ!ビシビシビシビシビシビシビシッ!ビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシッッ!!
「ひっぎゃあああああ!!!!」
ただでさえ尋常ではないダメージを受けているお尻へ、切り裂くような鋭い痛みが豪雨のように襲いかかる。
 「許さんっ!!許さんっっっ!!許さん許さん許さん許さんぞぉぉぉ!!!」
訳を話そうとしないアシュトンに、ルシフェルは怒りの鞭を降らせる。
「やめてぇぇぇ!!お願いだからやめてぇぇぇぇ!!ごめんなさぁぁぁい!!!お願いだからやべれぇぇぇ!!ごめんなさぁぁぁいいいいい!!!」
両脚をバタつかせ、大泣きに泣きながら謝るアシュトンだったが、ルシフェルは容赦なく鞭を叩きつけ続ける。
その後、長い長い間、鞭と悲鳴が響きわたった。


 「ひっ・・!!うっえええんんん・・・・」
恥も外聞も無く、アシュトンは泣いていた。
お尻はワインレッドどころではない色に染め上がっている。
蚯蚓腫れが満遍なく刻みつけられたその有様は、まるで畑の畝のようだった。
 「アシュトン・・!!まだ不足か!?」
(嘘・・!?まだ許してくれないの!?)
怒りのルシフェルの声に、アシュトンは背筋が寒くなる。
 「いいだろう。ならば50個はお灸をすえて、その後再び鞭で叩いてやろう」
(う・・嘘でしょ・・!!そ・・そんなこと・・されたら・・・)
恐怖に震えるアシュトンを尻目に、ルシフェルはコレ見よがしにお灸を用意する。
(ほ・・本気なんだ!?)
お灸を見せつけたルシフェルに、アシュトンは脅しではないと覚る。
 「わかったよっ!!言うよっ!!言うからお灸はやめてっ!!」
お尻には代えられず、アシュトンは必死に言う。
「ならば言うのだ、一体何故なのだっ!?」
「レ、レオンが会いに来たんだよっ!!ぼ、僕が気が滅入ってると思って、様子見に来てくれたんだよっ!!でも、危ないから、一人で帰らせるには・・。そ、そう思って家まで送って行こうとしたんだよっ!!」
「ぬわにいっ!?あのれっ!!小僧めぇぇぇぇ!!性懲りもなくアシュトンに愛情と手間をかけさせた上に危ない目にも遭わせおってぇぇぇぇ!!!」
怒りのあまりルシフェルはガバッと立ち上がり、そのせいでアシュトンは転がり落ち、床にお尻をぶつけてしまう。
 「ひっ・・!!痛ったぁぁぁーーーーーっっっ!!!!」
悲鳴を上げるやすぐにアシュトンはうつ伏せになり、涙を浮かべながらお尻をさする。
「小僧めっ!!尻から串刺しにしてこんがりウエルダンにした上でフレアリザード共のエサにしてくれるわーーーっっ!!」
「うわああっっ!!やっぱりそれぇぇぇ!!??」
串刺しにされてこんがり丸焼きにされるレオンの姿が浮かびながら、アシュトンは叫ぶように言う。
 「ダメだよルシフェルッ!君がそんなこと言うから僕は言えなかったんじゃないかっ!!」
アシュトンは真っ赤なお尻を出したまま、ルシフェルにすがりつく。
「し・・しかし・・!!」
「レオンは悪くないよっ!!言いつけ破って外に出た僕が悪いんだからっ!!お願いだからレオンの事は許してあげてよっ!!どうしても許せないならその分僕の事叩いていいからっっ!!」
「わ・・わかった・・。アシュトンが・・そういうなら・・小僧のことは・・勘弁してやろう・・・」
ルシフェルの言葉に、アシュトンはホッとする。
 「それよりアシュトン、私に言うことがあるのではないのか?」
「そ、そうだね。ご、ごめんなさい。言いつけ破って・・心配かけて・・。本当に・・ごめんなさい」
「わかってくれればいいのだ。待ってくれ、今、手当てをするからな」
ルシフェルはそういうと、アシュトンをリビングのソファの上にうつ伏せに寝かせ、薬を塗り始める。
 「くぅ・・!!」
「す、すまん。沁みたか?」
「ちょ、ちょっとね・・。でも・・大丈夫だから・・」
「そ・・そうか・・」
ホッとしつつ薬を塗り続けるも、ルシフェルは口を開く。
 「すまん、アシュトン」
「何?藪から棒に?」
「私のせいだ。私が魔界の有力者なばかりに、お前を魔族のもめごとの巻き添えにしてしまった・・・。危うく・・命まで無くすところだった・・・・」
「いいんだよ。君と恋人になった時に、覚悟はできてたからさ。ビックリしたけど、平気だよ、これくらい」
「アシュトン・・・」
アシュトンの言葉にルシフェルは感激しそうになる。
 「それよりルシフェル、教会の警備の魔物達はもう許してあげてよ」
「しかし・・。あやつらの怠慢のせいで・・」
「でも命がけで僕を助けてくれたんだよ。だからさ、許すのは無理でも処分のことは考えてあげてよ」
「わかった。アシュトンがそう言うならな・・。それよりアシュトン、もう休むのだ。身体のためにもな」
「そうだね。それじゃあ、お言葉に甘えて・・・」
ルシフェルが見守る中、アシュトンは静かに目を閉じた。


 (大丈夫だな・・・)
すっかり眠りに落ちたのを確認すると、ルシフェルは静かにアシュトンの傍を離れ、部屋を後にする。
 部屋を出たルシフェルの前に、教会の警備をしていた魔物達が現れた。
「貴様ら・・・。もしアシュトンに何かあったら命は無い・・。そう言っておいたはずだな?」
「ひ・・・!!お、お許しを!!」
死刑宣告かと、魔物達は土下座したまま震える。
 「許せるか!!だが・・アシュトンは貴様らの働きに礼を言っておったからな・・。命は助けてやる・・!!ただし・・・」
ルシフェルはキッと魔物達を睨みつける。
 「貴様ら!!一時間だけ時間をやる!!アシュトンをさらうなどという真似をした馬鹿者どもを突きとめて来い!!さもなくば・・・!!」
「は・・はいっ!!ただ今っ!!」
魔物達は必死の様相でその場を後にした。


 数時間後・・・ある洞窟の奥にて・・。
「こんバカタレっっ!!何勝手なことやっとるんぞっ!!」
姿も声も加○武そっくりな魔族が、広島弁風な口調で手下らしい魔物を怒鳴りつけ、扇子で殴りつける。
 「す、すみませんっ!!あの神父の身柄さえ手に入れれば・・ヤツが折れるものと・・うわっ!!」
「それが余計言うとるんじゃあ!!失敗しおってからに!!」
加○武そっくりの魔族、便宜上カトウとでも呼んでおこう、は怒りを抑えかねているのか、部下を何度も殴りつける。
 「まぁその辺にしときんさいや、カトウの」
そんなカトウを姿も声も菅○文○そっくりの魔族、これまた便宜上スガワラが広島弁風の口調で落ち着かせる。
「これが落ち着いていられるかいな!!ああもうっ!!こんなことやらかしおったら、間違いなくルシフェルが攻めてくるじゃないのよ!?」
「そりゃあ結構じゃけえ。迎え撃ってやりゃあええんじゃ」
「アホ抜かせぇ!!ワシらみたいなチンケな人間界の田舎魔族がよぉ、魔界屈指の大物のルシフェルに敵うけぇ!!」
「おぃおぃ、心弱くなったらしまいど。逆に食い破っちゃるけぇ気概持ちいや」
「ダアホ!わしゃあお前みたいな武闘派じゃないけん!!ああもうっ!!貴様のせいじゃっ!!貴様がワシをそそのかして、魔界派に弓引かせるからじゃ!!」
カトウはそうスガワラを責める。
 「おぃ、気ぃつけて物言いやぁ。元はといえば、お前さんじゃろうが!魔界派の奴らに侮辱されて悔しい!ワシ一人じゃ太刀打ちでけんから力貸してやというたんはよぉ!!」
スガワラは思わず声を荒げる。
事の起こりはカトウ。
前々から小競り合いを繰り返していたライバルの魔族が、魔界の有力者の家来になり、その威光を武器にカトウの縄張りにちょっかいを出してきたり、挙句の果てには大勢の目の前で嫌というほど侮辱をされたのだ。
それに屈辱と怒りを感じたカトウは、スガワラに助力を頼み、親魔界派に戦いを仕掛けたのである。
 「うるさいわい!ああもう!どがいしたらええんじゃ!胃が痛いわい!!」
カトウは顔を顰めて胃薬を取り出す。
そして薬を呑もうとしたときだった。
 「何や騒がしいのう?」
「何じゃ!?酒でもかっくらっとるんか?」
そのとき、慌ただしい勢いで部下が駆け込んで来た。
 「大変です!敵が攻めてきました!?」
「な、何じゃと!?どこの連中じゃあ!!」
カトウは思わず尋ねる。
「そ・・それが・・ルシフェルですっ!!」
「な、何じゃと!?お前・・!!寝言言うとるんじゃないがろな!!」
「本当ですよっ!!奴自ら兵隊を率いて攻めてきたんですよ!!」
「ななな何ぃぃぃ!!!」
カトウは驚愕する。
 「ど、どどどどうしたらええんじゃ!!」
「どうしたもこうしたもないわい。カトウの、こりゃあもう戦うしかねえど。腹ぁくくれや」
「な、何を言うとるんじゃ!!総大将自ら攻めてきたんやぞ!!ワシらで勝てるけぇ!?」
「やりもせんうちから諦めてどうするんよ。逆にチャンスじゃろが。カトウの。返り討ちにしたれや。そうすりゃあアンタの名は魔界にまで轟くで」
そういいながら、スガワラは剣を手に取り、外へ向かおうとする。
だが、カトウは動こうとしない。
 「おい?何しとんのや。大将のアンタが行かんでどうすんのよ?」
「嫌じゃ!ワシは嫌じゃ!間違いなくやられるわい!!」
「この期に及んでイモ引いてどうすんのじゃい!早く来・・!!」
強引に戦場へ連れて行こうとしたスガワラは、腹に焼けつくような痛みを覚える。
ハッとして腹を見ると、いつの間にかカトウが手にしたナイフが、深々と腹に刺さっている。
 「テメェ・・!!」
「ワシャあ死にとうないんじゃ!お、お前がワシをそそのかしたことにして、お前の首取ってヤツに降参しちゃるわい!!」
カトウはそういうと、さらにスガワラを刺す。
 「こん・・腐れ外道がぁぁぁ!!とれるもんならやってみいやぁぁ!!」
怒りのあかり、スガワラはナイフが刺さったまま、カトウの腕に剣を叩きつける。
「ぎゃああ!!い・・痛ぁぁぁ!!何するんじゃああ!!」
「そりゃあコッチの台詞じゃあ!!」
二人は互いに剣やナイフで相手を狙いあい、激しく取っ組み合う。
取っ組み合いに二人が気を取られている間に、ドアが乱暴に空くや、教会の警備をしていた魔物達が突入してくる。
激しい戦いだったのだろう、全身傷だらけだった。
 「おいっ!こいつらだっ!!」
「早くやれっ!!こいつらの首を持っていかないと今度こそ俺達の首が飛ぶっ!!」
魔物達は殺到し、スガワラとカトウに襲いかかる。
 「だぁぁぁ!!」
「何すんじゃあ!!腐れ外道がぁぁぁ!!」
カトウは悲鳴をあげて飛び退り、スガワラは立ち向かおうとする。
だが、どちらにもルシフェル側の魔物が殺到し、四方八方から剣や爪、牙で襲いかかる。
幾度も幾度も攻撃を受け、カトウもスガワラも、全身を朱に染めながら、苦悶の果てに息絶えた。


 チャララー・・チャララー・・・チャララー・・チャララ・・・(仁義なき戦いのテーマで)
○年×月★日 反魔界派の首魁、カトウ(仮)並びにスガワラ(仮) 死亡


この後、カトウ並びにスガワラ、及び彼らの側に立った反魔界派の勢力はルシフェルによって悉く壊滅させられた。
こうして、人間界で起こった魔物抗争事件は幕を閉じた。


 ―完―

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