マルタ登場(SO2&テイルズより:/エミル・キール、共演パロ)



(ルシアシュ悪魔&神父パロをベースにしたSO2&テイルズ共演パロです。許容出来る方のみご覧下さい)


 「はぁぁ・・・・」
「疲れたのか?」
ため息をつくエミルに、リヒターは思わず尋ねる。
「ちょっとね。でも大丈夫だよ」
「ならいいが・・。無理は禁物だぞ?」
「心配いらないよ。それよりごめんなさい、仕事で忙しいのに、手伝ってもらって」
「別に構わん。だが・・・」
リヒターは眼鏡の向こうから厳しい視線を向ける。
 「エミル、宿題は早いうちにやっておくものだぞ?」
「ご、ごめんなさい。す、すっかり忘れてて・・・」
「そういうのがいかんのだ。大事なことは手帳なり何なりにきちんと書きとめるなりするのと、ちゃんとチェックする習慣をつけることだ。宿題を忘れて、困るのはエミル自身だぞ?」
「ご・・ごめんなさい・・」
リヒターに叱られ、エミルはシュンとしてしまう。
リフィルから調べ物の宿題を出されていたことをすっかり忘れており、思いだしたはいいが、どうしようと困っているのを、リヒターが見かねて手伝ったのである。
「済んだことは仕方が無い。次からは気をつけるのだぞ?」
「うん、わかったよ、リヒターさん」
リヒターのお説教にエミルが返事をしたそのときだった。
 「エミルッ!!」
不意に誰かが大きな声で呼びかける。
怪訝に思ったエミルが振り返ると同時に、鈍い衝撃がエミルを襲った。
 「うわっ!ってマルタッ!?」
「エミル~~~!!会いたかったよ~~~」
自分に抱きついているツインテールの少女に、エミルは驚きの声を上げる。
現れたのはマルタ・ルアルディ、エミルの幼馴染だ。
 「ひどいよエミル~~。私を置いて引っ越しちゃうなんて~~」
「ご、ごめんね。急なことだったから、話せなかったし・・・。そ、それよりどうしてここに?」
「決まってるじゃない。エミルを追ってここのギルドに移籍して来たんだってば~~」
「え?じゃ、じゃあ今日からまた一緒なんだね」
「そうだよ~。エヘヘ、これからまたよろしくね~~~」
マルタはデレデレしながら、エミルにそう言う。
そんなところへ、不意にリヒターの咳ばらいが聞こえた。
 「あっ!ごめんなさい、リヒターさん・・・。すっかり忘れてて・・」
「何よ?いたの?」
謝るエミルに対し、マルタはエミルに抱きついたまま、敵意丸出しの態度を見せる。
「いたのではないだろう。全く・・少しは人目を考えたらどうなのだ?」
堂々とエミルとイチャつくマルタの行動に、リヒターは顔を顰める。
 「うるさいわねぇ、私とエミルは愛し合ってるんだからいいじゃない!?」
「そういう問題ではないだろう・・・」
「何よ!?文句つける気なの?」
「マ、マルタ!?落ち着いてよ!そ、それより皆への挨拶は済んだの?」
今にもリヒターと一触即発になりそうなマルタに、エミルは慌てて話を変えようとする。
 「あっ!そうだ!?エミルに会いたくてすっかり忘れてた!?」
「じゃ、じゃあ皆に挨拶してこようよ。僕が案内するからさ」
「やった~!エミル、それじゃあエスコートお願いね~」
「う、うん。じゃあ行こうか」
堂々と腕に抱きつくマルタと共に、ホッとしつつエミルはその場を立ち去る。
 「しかし・・・。マルタもやって来たのか・・・・」
エミルと連れだって去ってゆくマルタの姿にリヒターはため息をつく。
二人は非常に仲が良く、互いに相手の事を大切に思っている。
それ自体はよいのだが、それゆえにトラブルが起こることもしばしばだった。
(何も無ければよいのだが・・・)
マルタも現れたことに、リヒターは一抹の不安を感じずにはいられなかった。


 それからしばらく経ったある日・・・。
(今週はどうするか・・・)
キールはペンを手にし、じっと白紙の計画表を見つめている。
いつものように、ロイドの勉強計画とリッドの食事管理計画を考えているところだった。
 そんなとき、隣の部屋から何やら声が聞こえてくる。
声はエミルとマルタのもの。
(またか・・・)
聞こえてくる二人の声に、キールは苦々しげな表情になる。
ギルド会館から、エミル達とキールに割り当てられた部屋は隣同士。
以前はエミルとリヒターだけだったため、問題は無かった。
だが、マルタが移籍してから、問題が起こりだした。
 元々積極的な上、エミルにべた惚れなマルタは、所構わずイチャつく癖がある。
部屋の中では二人だけの事も多く、それだけにそういうことも多かった。
 キールはベタつく二人の声を無視して作業を進めようとするが、だんだん声が大きくなってくる。
それに伴い、キールの表情に苛立ちが現れる。
やがて、キールはペンを放り出し、立ちあがったかと思うと、部屋を飛び出した。
 「いい加減にしないか!!」
エミル達の部屋に飛び込むや否や、キールはそう叫ぶように言う。
「何よアンタ?いきなり勝手に部屋に入って来て。邪魔しないでよね」
エミルとの楽しいひと時を邪魔され、マルタは不機嫌な表情になる。
 「邪魔をしてるのはそっちだろう!?いつもいつも大声でいちゃついて!!おかげで作業に集中出来ないだろう!!」
「何よ、私とエミルは愛し合ってるんだから、少しくらいいいじゃないのよ」
「マ、マルタ、落ち着いてよ・・。ご、ごめんなさい。迷惑かけたみたいで・・・」
マルタを落ち着かせつつ、エミルは謝る。
だが、キールの方も怒りが溜まっているからか、エミルの方にも怒りの矛先を向ける。
 「『ごめんなさい』だって?それくらいで許せると思ってるのか!?今までどれだけ迷惑をこうむってると思ってるんだ!?」
「う・・」
「ちょっと!?そこまで言うことないじゃないの!?謝ってるのに!?」
エミルを責めるキールに、マルタが抗議する。
 「何言ってるんだ!?元はといえばそっちが騒ぐからだろう!デリカシーとか迷惑って言葉を知らないのか?」
「ちょっと!?そこまで言わなくてもいいじゃない!?」
「本当の事を言っただけだろう?常識もわきまえない馬鹿に馬鹿と言って何が悪いんだ?」
売り言葉に買い言葉で、キールもそう言いやる。
 『テメェ・・。誰が常識もわきまえない馬鹿だって?』
不意にエミルが口を開く。
その口調は荒っぽく、瞳も赤くなっている。
いつの間にか、ラタトスクの人格に変わっていた。
 「ふん、マルタに決まってるだろう?花の髪飾りなんかつけて。頭の中も花畑なんじゃないのか?」
「な・・!!もう許さないんだからっ!!」
思い切り馬鹿にされ、マルタも怒る。
怒ったあまり、マルタは愛用のスピナーを振るってキールに襲いかかろうとする。
 「うわっ!?何をするんだっ!?アクアエッジッッ」
いきなり襲いかかられ、とっさにキールは術を発動する。
直後、水の塊がマルタに襲いかかった。
 「きゃあっ!!」
もろに正面からカウンターでくらってしまい、マルタは思い切り床へ倒れ、その際に頭を打って気絶してしまう。
 『テメェ!?何しやがる!?』
マルタが倒れて気絶するや、エミルはキールを睨みつけながら言う。
 「く・・!さ、先に攻撃しようとしたのはマルタじゃないか!ぼ、僕は身を守ろうとしたしただけだ!?」
『だからってマルタが脳挫傷でも起こしたらどうしてくれんだぁぁ!?』
「う・・うるさいなっ!元はといえばそっちが人の迷惑も考えずに、イチャイチャしてたのが悪いんだろう!?自業自得だ!」
マルタが気絶した際に、さすがにキールもまずいと思ったが、ここで持ち前のプライドの高さが邪魔をし、自分の非を認められず、却って火に油を注ぐような返事をしてしまう。
 『んだとぉ!?人を怪我させておいて何だその言い草はぁ!?もう勘弁ならねえ!!細切れにして獣人どものエサにしてやるっ!!』
「うるさいっ!そっちこそ・・毎回毎回イチャついて騒いで・・!!僕だって怒ってるんだからなっ!!もう二度とイチャつかないようにしてやるからなっ!!」
マルタを傷つけられ激昂したラタトスクを尻目に、キールも今までの怒りを爆発させる。
互いに剣や杖を構えるや、相手めがけて術技を繰り出した。


 「ラタトスクの馬鹿ーーー!!どうしていつも喧嘩とかするのさーーー!!」
『仕方ねえだろう、そこのクソ学士がマルタに暴力振るいやがるからよ』
「おいっ!誰がクソ学士だっ!!」
泣きそうな顔でエミルが文句を言ったかと思うと、すぐにラタトスクの表情に変わり、キールを指して言う。
ラタトスクの言葉に、思わずキールは抗議する。
 「うぅ・・。どうしよう・・。絶対・・リヒターさん怒ってるよ・・。また・・お尻・・ぶたれちゃう・・・」
「ふん・・。メソメソして、情けないやつだな。恥ってものを知らないのか?」
お仕置きの恐怖に泣くエミルに、キールはそう言いやる。
 『あん?テメェが言えた義理かよ?テメェだってロイドやガイに散々ケツ叩かれて泣かされてんだろうがよ』
「ふん、僕はそこの臆病者みたいに怖がったりなんかしないさ!」
『へ~?じゃあテメェは絶対逃げたりしねえのかよ?』
「当たり前だろう!僕はエミルみたいな臆病者とは違うさ!!」
キールは持ち前のプライドから、エミルにそう言いやる。
『面白え、だったら見せてもらおうじゃねえかよ、テメェの根性をよぉ』
「ふん!見たかったら見せてやるさ!!」
売り言葉に買い言葉で、ラタトスクモードのエミルと、キールとが言い争っていると、不意にドアが開いた。
 「おぃおぃ、まさかまた喧嘩なんかしてるんじゃないだろうな?」
「ちゃんと反省しているのか?」
ドアが閉じると共に、ガイとリヒターがそれぞれ口を開く。
 『おい、マルタはどうなんだ?』
リヒター達が現れると、ラタトスクは尋ねる。
「先ほどまでボーマンが診察していた。どうやら気を失っただけだったようだ」
『そうかよ・・。ふん・・』
「よ・・よかった・・・」
リヒターの答えに、ラタトスクもエミルも安堵の息を漏らす。
 「よくはない。エミル・・いえラタトスク・・。幾らマルタを傷つけられたからとはいえ・・喧嘩など・・何を考えている?」
『るせえなぁ!そこの学士が悪いんだよ!!』
「そういう問題では無いだろう」
『るせえって言ってんだろっ!!この俺に説教なんざぁ何様のつもりだっ!!クソ眼鏡っっ!!』
ラタトスクはカッとなるや、リヒターに斬りかかろうとする。
それを察していたリヒターは、自分の剣で攻撃を受け流しつつ、ラタトスクを捉える。
 「全く・・。お前というやつは・・・」
『離しやがれ!!クソ眼鏡!!』
抵抗するラタトスクにため息をつきつつ、リヒターはラタトスクを膝の上に載せ、押さえつける。
 『離せっつってんだろうが!!』
ラタトスクの言葉を無視し、リヒターは慣れた手つきでお尻をむき出しにすると、手を振り上げた。
 「キールもだぞ。わかってるな?」
「ふざ・・!!」
抗議しかけたところで、キールはリヒターに押さえつけられているラタトスクの姿が目に入る。
 (しまった!?あんなことを言った以上・・・)
心の中でキールは歯噛みする。
ラタトスクとの言い争いで、自分が言った言葉を思い出したのだ。
 (く・・!!ここで抵抗したりすれば・・!!)
キールはもしガイに抵抗すれば、自分がお仕置きを怖がっていると思われることに気づく。
エミルを臆病者と馬鹿にしておきながら、同じ振舞いをすることなど出来ない。
 (くそぉ・・!!)
悔しさに、キールは顔が歪みそうになるが、必死に堪える。
ラタトスクの前で恥をさらすぐらいなら、痛い思いをする方が100倍もマシだった。
 「ふん・・!わかってるさ!エミルじゃないんだから、イチイチ言わなくてもいい!」
「なら、ちゃんと来れるな?」
「当たり前だ!僕はエミルみたいな臆病者じゃない!!」
(だからどうしてそんなこと言うんだ!?)
こっちから墓穴を掘っている自分に、キールはそう言いたくなる。
こんなことを言った以上、ガイの言う通りにするしかない。
キールは屈辱を堪えつつ、ガイの元へとゆく。
 (乗らないと・・でも・・・)
キールはガイの膝をジッと見つめたまま、立ち尽くす。
お仕置きである以上、膝にうつ伏せになるしかない。
だが、そうなれば、キールにとって、屈辱極まりない目に遭う。
 『おぃおぃ、何だよ?結局テメェもビビってんじゃねえのかよ?』
リヒターの膝の上に乗せられたまま、ラタトスクが躊躇うキールに、そう言いやる。
「うるさいっ!怖くなんかないって言ってるだろう!?」
『だったらさっさとガイの膝に乗ってみろよ?そんなんでよくエミルのこと臆病者だなんて言えるなぁ!?だあっ!!何すんだぁ!?』
思い切りお尻を叩かれ、ラタトスクは声を上げる。
 「人のことより自分の事を振り返ったらどうだ。馬鹿者めが?」
『るせぇ!クソ眼鏡っ!!痛えっ!!何すんだっ!!』
リヒターのお説教に言い返そうとするが、すかさずお尻を叩かれ、ラタトスクは悲鳴を上げる。
 (く・・!!)
ラタトスクの言葉に、キールは屈辱と悔しさで身を震わせる。
こうなった以上、膝に乗るしかない。
ようやくガイの膝にうつ伏せになるも、キールは屈辱で全身を震わせる。
 (悔しいんだろうな、無理もないが・・)
膝の上で震えるキールに、ガイは思わず同情する。
年頃の男の子にとって、お尻をぶたれてお仕置きされるなど、屈辱でしかない。
特に、誰よりもプライドの高いキールにとっては、尚更だった。
 だが、マルタを怪我させたり、ラタトスクと喧嘩をやらかすなど、見逃すことは出来ない。
キールの悔しさや屈辱感に同情しつつも、心を鬼にして、ガイはキールのローブを捲り上げ、お尻をあらわにする。
 「くぅ・・!!」
ガイのみならず、リヒター達もいる前で、お尻をむき出しにされ、屈辱にキールは顔を赤らめる。
「じゃあ、行くぞ。覚悟はいいな?」
お仕置きを始める前に、ガイはそう尋ねる。
「ふん・・!どうせ叩く気なんだろう?もったいなんかつけなくてもいいさ!叩くならさっさと叩いたらどうなんだ!?」
キールはせめてもの虚勢を張り、やってみろと言わんばかりに、お尻を突き上げてみせる。
 「こらこら、それじゃ反省してる態度じゃないだろう?」
「う、うるさいっ!お、大人しくお尻を出してるんだからいいだろうっ!!」
(まぁキールだから仕方ないか・・)
キールの態度をたしなめつつも、ラタトスクの挑発によるとはいえ、大人しくお仕置きを受ける体勢になってくれたことに、ガイは密かに安堵の息をつく。
 「それじゃあ行くぞ。いいな?」
「ふん・・。好きにすればいいだろう」
そういうと、キールはプイッと顔をそむける。
ガイはキールの身体を押さえると、もう片方の手を振り上げた。


 バッシィィィ~~ンッッ!!
『だぁぁ!!何しやがんだぁぁ!!クソ眼鏡っっ!!』
ラタトスクは抗議の声を上げるが、リヒターはそれを無視してお尻を叩き続ける。
 バシッ!バンッ!ビダンッ!バンッ!バシッ!バンッ!
『テメェ・・!やめ・・やめろっ!痛・・痛えだろうがっ!!』
バシッ!ビダンッ!バアンッ!バシッ!ビダンッ!バンッ!
『やめ・・やめろ・・!クソ・・!テメェ!やめろってんだろうが!!聞こえねえのか!?』
「そんな声を出さずとも聞こえている」
お尻を叩きながら、リヒターはそう言う。
 『んだとぉ!?だったら何でやめねえんだよっ!!』
「ラタトスク・・。そんなことが言える立場だと思っているのか?」
抗議するラタトスクに、リヒターはそう問いかける。
 『るせぇ!?そこのクソ学士が悪いんだよっ!!マルタに暴力振るいやがるからよっ!!』
「何を言うんだっ!元はといえばそっちが騒ぐからじゃ・・くう!!何するんだっ!!」
「こらこら、キールだって悪いだろう?」
ラタトスクに言い返すキールに、お尻を叩きながら、ガイはそうお説教する。
「う・・うるさいなぁ!?わあっ!馬鹿っ!何するんだっ!!」
お説教に言い返すキールに、平手が振り下ろされるのを尻目に、リヒターもラタトスクのお仕置きを続ける。
 「全く・・・。お前は何をやっているのだ?迷惑も考えずにマルタとベタつきおって・・」
『るせえな!好き同士なんだからいいだろうがよ!?』
「そういう問題では無い。場所や時をわきまえろと言っているのだ。しかも・・また喧嘩などしおって・・・」
『うるせえ!そこのクソ学士がマルタを傷つけやがったからだろうが!!』
「元はといえばお前達が騒いだせいだろう?それに、先に暴力を振るおうとしたのはマルタだろう?」
『うるせぇ!うるせぇうるせぇうるせぇ!!エラそうな口きくんじゃねえよクソ眼鏡!!何様のつもりだよ!?』
「お前がどう思うと、私はエミルとお前の保護者だ。それより・・反省していないのか?」
『るせぇ!誰がテメェなんかに頭下げるかよ!!いい加減にしねえとミンチにして魔物どものエサにしてやろうか!?』
ラタトスクは怒りを燃え上がらせ、リヒターにそう言いやる。
 「本気でそう言っているのか?」
『ああん!?だったら何だってんだよ!!いい加減にしやがれクソ眼鏡!!』
「そうか・・。よくわかった・・。では・・まだ許すわけにはいかんな・・・」
リヒターはそう言うと、さらに平手を振り下ろす。
 ビッダァァァァ~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~ッッッッ!!!!!!!
『だぁぁぁああ!!!何しやがんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
激しい平手の嵐に、ラタトスクは絶叫する。
 「反省の見られない子にお仕置きをしているだけだ」
『やめろぉぉぉ!!ぎゃああああ!!痛っ!痛ぇえぇぇぇ!!!殺す気かぁぁ!!』
「お尻を叩かれたぐらいで人は死なん」
『そういう問題じゃ・・ぎゃああああ!!!!』
(ヤべェ!?このままじゃマジでヤバイ!!)
容赦ないリヒターの平手打ちに、ラタトスクは危機感を覚える。
 (クソ・・仕方ねえ!?)
この手を使うのには罪悪感がある。
しかし、お尻には代えられない。
密かに罪悪感を抱きつつも、ラタトスクは心の奥に引っ込んでしまう。
同時に、瞳がラタトスクの赤から、エミルの緑へと変わった。
 「うわああんっ!!痛いっ!痛い痛い痛いーーーー!!!」
激しくお尻を叩かれる苦痛に、エミルは絶叫し、思わず振り返る。
「エミル・・だな・・」
瞳が緑であることを確かめ、リヒターはそう言う。
 「うぅう・・。僕は・・エミルだよぉぉ・・。やったのは・・僕じゃ・・ないよぉ・・」
お尻を叩かれる苦痛に、エミルは泣きじゃくる。
「そうだな・・。だが、身体を共有している以上、エミルのしたことでもある。気の毒だが、エミルにも責任を取ってもらうぞ」
「やだーー!!やめてーーー!!」
必死に叫んで許しを乞うエミルだったが、リヒターは敢えて手を振り下ろした。
 ビッダァァァァ~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~ッッッッ!!!!!!
「うわあああああんんんんん!!!!痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃ!!!!!!」
激しい平手打ちの嵐に、エミルは絶叫する。
 「うわあああああんんん!!!やめてぇぇぇぇぇぇ!!お願いだからやめてぇぇぇぇ!!!ごめんなさぁぁいぃぃぃ!!ラタトスクにちゃんと言うからぁぁぁ!!ごめんなさぁぁぁいぃぃぃ!!!!」
エミルが絶叫する中、リヒターの平手が豪雨のように降り注ぎ、お尻を赤く染め上げ続けた。


 バアッシィィィ~~ンッッ!!
「く・・・!!」
(馬鹿っ!?エミルやリヒターもいるんだぞっ!!)
思わず声を出しかけた自身を、キールは叱咤する。
ガイのみならず、エミルやリヒターも一緒なのだ。
見苦しい姿などさらしたくない。
 パンッ!パシッ!ピシャンッ!パンッ!パアンッ!パシンッ!
「!・・・!・・・!・・・!・・・!」
甲高い音と共に、お尻を叩く音が響く。
キールは声を漏らすまいと、必死に堪えるが、その分苦痛が増し、より辛そうな表情になる。
 「キール、無理しない方がいいぞ?」
お尻を叩きながら、ガイはそう言う。
「無理?何を言ってるんだ?く・・!」
心配そうに言うガイに、キールは痛みを堪えつつ、問い返す。
 パシッ!パンッ!ピシャンッ!パアンッ!パシンッ!ピシャンッ!
「お仕置きなんだから痛いのは当たり前だ。声を出しても仕方が無いし、恥ずかしいことじゃない。無理に声を押し殺したりしたら、却って辛いだけだぞ?」
お尻を叩きながら、ガイは気づかうように言う。
 「ふん・・!そんなの・・く・・!余計な・・お世話・・さ・・!!」
パアンッ!ピシャンッ!パンッ!パシンッ!ピシャンッ!パアンッ!
弾けるような音が響く中、痛みに顔を顰めつつ、キールはそう言い返す。
 「キール、やせ我慢は禁物だぞ。痛いなら素直に痛いって言えばいい。誰も情けないなんて思わないさ。恥ずかしい気持ちは分かるが、やせ我慢なんかして、辛いのは自分だろう?」
お尻を叩きながら、ガイは出来るだけ優しい声で言う。
だが、キールの性格でそれを受け入れるわけが無い。
 「ふん、何を寝言を言って・・るんだ・・!く・・!こんなの・・!痛くも・・何とも・・無いさ・・!くぁ・・!!」
「おぃおぃ、どう見ても辛そうだぞ?」
痛いくせに、我慢しようとしているキールに、ガイは思わずそう言う。
 「うるさいっ!こんなの蚊が刺したようなものさっ!全然痛くなんかないさっ!それより、わざと泣かせようだなんて、悪趣味じゃないのか!?この尻叩き魔っっ!!」
「おぃおぃ、それよりも言うことがあるだろう?」
ガイの善意に逆にそう言い返すキールに、思わず苦笑しつつも、ガイは尋ねる。
 「ふん・・!僕には言うことなんてないさ!!」
「そうじゃないだろう?悪いことをしたんだから、『ごめんなさい』だろう?」
「ふざけるなっ!どうして僕がそんなこと言わなきゃいけないんだ!!」
ガイの言葉に、キールはそう言い返す。
 「キール、喧嘩なんかするのはいいことか?」
「し・・仕方ないだろう!エミルの方が先に手を出したんだぞっ!!」
「だからって喧嘩を買う理由にはならないだろう?それに、元はといえば、キールがマルタにひどいことを言ったり、怪我をさせたからだろう?ちゃんとエミル達に謝るんだ」
「ふ・・ふざけるなっ!!元はといえばあいつらが人の迷惑も考えずに、騒ぐからじゃないか!!どうして僕が謝らなきゃいけないんだ!?」
「キールだってひどいことを言ったり、暴力を振るったりしたんだからお互い様だろう?ちゃんと謝るんだ」
「い・・いやだっ!!あいつらなんかに謝るものかっ!!」
キールはそう言うと、プイッと顔をそむける。
 「キール、本気でそう言ってるのか?」
頑としてエミル達に謝ろうとしないキールに、さすがにガイも表情が険しくなる。
「うるさいなぁ!あいつらに謝るくらいなら、お尻が壊れた方がずっとマシさ!!」
キールはあくまでもそう言い張る。
 「そうか・・。なら、仕方ないな・・。俺も本気でいかせてもらうぞ」
ガイはため息をつくと、再び手を振り上げた。
ビッダァァァァ~~~~~ンッッッッ!!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~~~~~~ッッッッッ!!!!
「うわあああああ!!!!!!!!」
嵐のような平手の乱打に、キールは絶叫する。
「馬鹿っ!やめろぉぉ!!何するんだっ!?この尻叩き魔っっ!!」
キールは抗議するが、本気になったガイは容赦なくお尻を叩き続ける。
バアッジィィィ~~~ンッッッ!!
バァンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン~~~~~~~~~っっ!!
「やめ・・やめないかぁ!?この尻叩き魔っ!!ただじゃ・・おかな・・!!ひいっ!うわあっ!痛っ!痛いーーっっ!!わあっ!やめ・・!うわああ!!」
その後、ガイの平手打ちの音と、キールの悲鳴が長い間響き渡っていた。


 「ひぃぃん・・痛・・・痛いぃぃぃ・・・」
ボロボロと涙をこぼしてエミルは泣いていた。
お尻は今や、濃厚なワインレッドに染め上がっている。
「ごめん・・なさい・・。ごめんなさい・・。ちゃ・・ちゃんと・・ラタトスクにも・・言うからぁぁ・・・・・。ごめんなさい・・。だから・・許してよぉ・・・」
「反省・・は・・しているようだな・・。だが・・エミル、一つ忘れていないか?」
「え?な、何を?」
「そもそもの原因は何だ?」
「え・・ええと・・マルタと・・僕が・・うるさくしたこと・・?」
「そうだ。暴力沙汰はラタトスクのしたことだ。しかし、うるさくしてキールに迷惑をかけたのは、エミルの方だろう?」
「そ・・そうだね・・。ぼ、僕も・・悪かったよね・・」
「わかったならばキールに謝れ」
「うん・・。キール、ご、ごめんなさい・・。僕らのせいで・・迷惑かけて・・・」
真っ赤なお尻を出したまま、エミルは謝る。
 「さてと・・。あとは・・・ラタトスク、聞いているのだろう?」
リヒターはエミルを膝に載せたまま、問いかける。
「無視か・・。ならば仕方ない・・。ラタトスクが出る気になるまで・・・」
リヒターはそういうと、わざとらしく、手に息を吐きかける。
『このクソ眼鏡っ!!まだエミルを叩く気かよ!?』
リヒターの仕草に、ようやくラタトスクが再び現れる。
「出たな、ラタトスク」
『汚い真似しやがって・・。このクソ眼鏡・・・』
「お前が非難できる立場か?元はといえば、お前が逃げてエミルにお仕置きを押しつけたからだろう?」
『く・・・!!』
ラタトスクは否定できない事実に、何も言えない。
 『それより何だよ?俺をわざわざ呼び出しやがってよ』
「決まっているだろう、ラタトスク、キールに謝れ」
『はぁ!?ふざけんなよ!?何で俺がそこのクソ学士なんかに・・!!くそっ!!叩くんじゃねえよ!!』
お尻を叩かれ、ラタトスクは抗議する。
 「暴力を振るったのはお前だろう?キールに謝るのだ」
『ざけんなっ!向こうだって術だの何だのぶつけてきやがったんだぜ!!』
「そっちだって斬りかか・・くうっ!!」
ラタトスクの言葉に言い返そうとしたところへ、ガイの平手がキールのお尻に落ちる。
 「エミルはちゃんと謝ったのだぞ?お前も謝るのだ」
『ざけんな!?何で俺が・・!!』
「ならば仕方ない・・。またエミルにその分を償ってもらうか・・」
『なっ!?汚えぞ!?』
リヒターの言葉に、エミルは思わず言う。
 「ならばちゃんと謝るな?」
『ち・・!仕方ねえ・・。これ以上エミル叩かせるワケにはいかねえからな・・。チ・・!悪かったよ・・。おいっ!これでいいだろ!?』
「謝ってる感じではないが・・仕方あるまい・・。すまんが、これで何とか勘弁してやってはくれないか?」
ラタトスクの嫌々ながらの謝罪に不平そうなキールに、リヒターはそう言う。
 「それが謝ってる態・・何をするんだっ!?」
不平を言おうとしたところへ、お尻を叩かれ、キールは抗議する。
「キール、向こうもああ言ってることだし、勘弁してやれって」
「何を言うんだっ!?あんな態度で!?」
「キールだってマルタを攻撃したり、喧嘩したりしただろう?お互い様だぞ。キールも謝るんだ」
「な・・ふざけるなっ!こんなヤツに・・!!」
「キール?」
「う、うるさいなっ!嫌なものは嫌なんだっ!?」
「キール、あまり聞きわけがないとロイドやリッドにも話すぞ」
「な・・何・・?」
ガイの言葉にキールはギクリとする。
 「キール、悔しい気持ちはわかるけどな、でも、今回はお互い様でキールも悪いぞ?キールだって悪いんだからちゃんと謝らないとだろう?もし、ロイド達が今日の事を聞いたらどう思う?」
「く・・・・!!」
キールは悔しそうな表情を浮かべる。
エミルに頭を下げるのは嫌だ。
だが、今回の事をロイド達が聞いたらどう思うか?
自分に対して、悪印象を持つかもしれない。
それは何としても避けたかった。
 「わ・・わかった・・!!く・・!!おいっ!し・・仕方ないから・・あ・・謝ってやる・・・!!」
「こらこら、それじゃあ全然謝ってないだろう?」
「う、うるさいなぁ!?とにかく謝ったんだからいいじゃないか!」
キールは不平そうに言うと、顔をそむける。
 「すまない、これでもキールなりに反省はしてるだろうし、俺の方からちゃんと後で言い聞かせておくから、とりあえず今日のところは許してやってくれないか?」
ガイはエミルにそう言う。
「うん、僕こそ、マルタと一緒に迷惑かけちゃって・・お互い様だから、気にしてないよ」
「そうか。ならよかった」
不満そうなキールを尻目に、ガイはようやく安堵の表情を浮かべた。


 「うぅ・・!!」
「エミル!?大丈夫!?」
痛みに顔を顰めるエミルに、マルタは思わず声をかける。
 「だ、大丈夫だよ。これくらい・・」
「うう~。ごめんね、私のせいで・・・」
「いいんだよ、気にしなくて」
エミルの言葉にマルタはホッとしつつも、リヒターをキッと睨みつける。
 「ちょっと!?幾らなんでもやりすぎじゃないのよ!?」
「仕方あるまい。ラタトスクが強情だったからな」
「だからってエミルにまで痛い思いさせないでよ!!虐待眼鏡!!」
「マ、マルタ・・。や、やめてよ。僕やラタトスクだって悪かったんだし・・。リヒターさんだって・・僕の事思って叩いてるんだから・・・」
「も~、エミルは人が良すぎなんだから~~。でもそんなところがステキ~~!!」
「うわっ!?ちょ、ちょっと!?」
「お前達・・。少しは人目というものを・・」
一緒にキールやガイもいるのに、堂々とイチャつきだしたマルタに、リヒターはため息をついた。
 「全く・・呆れたバカップルだ・・くぅ!おいっ!もっと優しくしないか!?」
目の前でいちゃつくマルタに呆れつつ、お尻の痛みに思わずキールは振り向いて文句を言う。
 「すまなかった、沁みたか?」
「謝ればいいってものじゃないだろう!この・・尻叩き魔!!」
「おぃおぃ、それはないだろう?」
「うるさいなぁ!いつもいつも人のお尻叩いてるじゃないか!尻叩き魔じゃなくてなんだって言うんだ!?」
お尻を叩かれた意趣返しか、キールはそう言う。
 「くそ・・。散々じゃないか・・!!バカップルのせいで作業は邪魔される・・。お仕置きはされる・・・!!」
「これに懲りたらもう喧嘩なんかするんじゃないぞ」
「ふん・・!!僕はそんな馬鹿じゃないさ・・。まあいい。疲れたから僕は寝るからな」
そういうと、キールはそのまま目を閉じる。
 「やれやれ・・。それにしても尻叩き魔とはなぁ・・・」
キールの言葉に、ガイは苦笑せずにはいられなかった。


 ガイは『尻叩き魔』の称号を手に入れた。


 ―完―

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