イカサマの代償 アーシェ&マーニャ編(いたストポータブルより:/アーシェ・マーニャ)

(いたストポータブルを題材にした二次創作です。SO2ルシアシュ悪魔&神父パロのキャラもゲスト出演しています。許容出来る方のみご覧下さい)


 「く・・・!!」
アーシェは悔しさに顔を歪め、ジッと表彰台を見つめる。
表彰台には1位から3位までの参加者の姿がある。
優勝者のスライムは喜びに勢いよく何度も跳ねている。
一方、準優勝だったユフィは、優勝できなかった悔しさに、アーシェ同様顔を歪めていた。
そんな二人を、部屋の片隅で、アーシェは恨めしそうにジッと見つめていた。


 「優勝おめでとう!!頑張ったわね!」
「あ、ありがとう!!ビアンカさんのおかげだよ!」
表彰式終了後、スライムはお祝いの言葉を言うビアンカにお礼を言う。
中々優勝できないスライムに同情し、特訓をしてくれたからだ。
その甲斐あって、念願の優勝を果たせたのである。
 「スライムくんの努力のたまものよ。皆で優勝を祝って酒場でパーティするから行きましょう」
「ありがとう!」
スライムはお礼を言うと、ビアンカと共に酒場へ向かっていった。


 「く・・!!何をやっているの!?私は・・・!!」
拳を壁に叩きつけたくなるのを我慢し、アーシェは呟く。
(これで何度目の負けだと思っているの!?恥を知りなさい!!)
アーシェは苛立ちのあまり、自分を罵る。
もう既に、数回続けて負けていたからだ。
 (しかも・・あんなハンター風情や魔物にまで・・・!!)
ユフィとスライムの顔を思い出し、アーシェはさらに苛立つ。
敗北自体悔しいが、特にユフィとスライムにまで負けたことは、王族としてのプライドを何よりも傷つけられた。
 「あらら~、随分イライラしてるわね~」
不意に聞こえた声に思わずアーシェは振り向く。
すると、いつの間にかマーニャの姿があった。
 「何のつもりです?用が無いなら話しかけないで」
イライラしているところを見られ、アーシェは不機嫌な声で返す。
「そうツンツンしなくていいじゃないのよ。あなた、最近負けが込んでるんでしょ?」
「そ・・それが何ですか!あなたには関係ありません!!笑いたいならすればいいわ!!」
苛立ちのあまり、アーシェはマーニャにそう言う。
 「別にそんなつもりないわよ。私だって実を言うと負け続け。それも・・ミネアなんかに!!ああもうっ!悔しいったらありゃしないわ!!」
マーニャは今までの敗北を思い出し、怒りに燃える。
彼女もアーシェ同様、負けが込んでいる。
特に、妹であるミネアに完敗しているのが、姉としてのプライドをいたく傷つけられていた。
 「それがどうしたのです?あなたの負けは私には関係ありません」
そう言いつつも、アーシェは耳を立てている。
自分同様、負け続けな境遇が気になるのだろう。
 「だからね、わかるのよ。悔しいって気持ちが。あなたもどうしても負けたくないって相手がいるでしょう?」
「え・・えぇ・・・」
アーシェはユフィとスライムの顔を思い出しながら答える。
 「だからさ、いい方法を伝授してあげようと思ったわけよ」
「憐れみですか?だったらいりません!!」
持ち前のプライドから、アーシェは拒否しようとする。
「違うって。私も勝ちたいからよ。あなたが上手くいったら、次は私が使おうと思ってるのよ」
「つまり、実験台ですか?」
アーシェはムッとしつつ尋ねる。
「まぁそういうことだけど・・・嫌ならいいんだけど?」
「い・・嫌とは言っていません!で、どういう方法なのです?」
「あなた、ユフィがミネアにお仕置きされた件は知ってるわよね?」
「あ、当たり前です!馬鹿にしないで!!」
「実は・・・ユフィがそのときに使ったサイコロとコントローラーがここにあるのよね~」
そう言って、マーニャは特製イカサマサイコロとコントローラーを差し出す。
 「これが秘策ですか?何を考えているの?バレたのを忘れたの?」
アーシェは呆れたように言う。
このイカサマがバレ、ユフィがミネアに厳しいお仕置きをされたのは周知の事実だったからだ。
 「あれはやり方が悪いのよ。続けて何度も操作して、露骨な目の出し方をしたからバレたのよ。たまにならバレないわよ」
「ですが・・・・」
アーシェは躊躇う。
確かに負けるのは悔しい。
だが、イカサマというのもいかがなものか。
 「あら?スライムにすら負けて悔しくないの?それとも・・あなたのプライドはその程度なのかしらね?」
挑発するようなマーニャの態度に、アーシェは思わずムッとする。
「わかりました!やりますわ!これで・・今度こそ勝利を収めてみせます!!」
「ふふ。その意気よ。期待してるわ~」
挑発に乗り、イカサマを了解したアーシェに、マーニャは笑みを浮かべた。


 「く・・!どうすれば優位に立てるというの・・?」
アーシェは思わず弱気になる。
下手をすれば最下位転落という事態に立ちつつあるからだ。
 (本当はやりたくないけど・・・仕方ないわ・・・)
アーシェは他の参加者にバレないよう、コントローラーを操作する。
出来ればイカサマなどしたくはない。
だが、また負けるのも嫌だった。
スライムにすら負けるくらいなら、それがアーシェをイカサマへと駆り立てる。
サイコロを操作し、アーシェは自分の都合のよい目を出し、進む。
 「あ~あ~っ!せっかく独占したのに~~!!」
スライムは悔しげに言う。
アーシェが通過したエリアはスライムが独占したエリア。
エリアを独占すると、買い物料が一気に上がる。
どれか一店でも止まれば、高額の買い物料が収入として入って来る。
だが、アーシェが止まらないで済む目を出したため、素通りされてしまったのである。
 「残念でしたね。さぁ、あなたの番よ」
(よかったわ・・バレなくて・・・)
平静を装ってスライムにサイコロを渡しつつ、アーシェはイカサマがバレなかったことに安堵する。
だが、安心はしていられない。
しばらく何事も無く進んでいたが、今度はあと一つ店を買えばユフィが独占、というエリアへ差しかかる。
 (ここも抜けないと・・・幸い・・・奥の店は私のものだわ)
アーシェは慎重に操作し、エリア内の一番奥にある店に止まれる目を出す。
奥の店はアーシェのもの。
止まれば増資が出来る。
アーシェは自分の店に止まると、すかさず増資をする。
 「あ~~っ!増資されちゃった~~!!」
ユフィは思わず悔しがる。
増資されれば、それだけ買い物料が上がる。
止まれば高い出費を迫られる。
また、店の値段が上がるため、五倍買いも難しくなる。
それだけ、店を手に入れにくくなる、というわけだった。
 「感情をあらわにするのはみっともないわ。もう少し冷静になることね」
ユフィにそう言いつつ、アーシェはホッとする。
(今度もバレなかったわ・・・)
ユフィはこのイカサマを知っている。
だから、バレるかもと思ったのだ。
 (意外と・・バレないものね・・・。これなら・・・確かに勝てるわ!!)
ユフィにもバレなかったことに、アーシェはイカサマに自信を持つ。
(見ていなさい!あなたたちなんかに、絶対に負けないわ!!)
アーシェはスライムとユフィに、密かに闘志を燃やす。
やがて、アーシェはだんだんとサイコロを操作する回数を増やしていった。


 「ねぇ、ミネアさん」
「何です?忙しいから話しかけないでくれません?」
ミネアは苛立ちを押さえつつ、尋ねる。
最下位転落と思われたアーシェが巻き返し、逆にトップに躍り出ようとしているからだ。
下手をすれば、こちらが最下位になりかねない。
 「あのさ、アーシェ、やたら調子良すぎに思えない?」
「そう思いますわ!ここぞというときにイイ目ばかり!まるで誰かが操・・!?」
ミネアは思わず言いかけて、ハッとする。
 「ユフィさん・・まさか!?」
「かもね~。まぁ証拠が無いから何とも言えないんだけど~」
「ちょっと待って下さい!」
ミネアはそう言うと、占いを始める。
 「どうやら・・・ユフィさんの想像は当たっているようですね・・・」
占いの結果に、ミネアはそう呟く。
「ユフィさん、あなたは証拠を挙げて下さい。私は・・ちょっと出てきます」
「え?どこ行くの?」
「ええ、どうも共犯がいるようですので。その共犯を挙げてきます」
そういうと、ミネアは試合場を後にする。
 「証拠ねぇ・・。どうしようかな・・そうだ!!」
ユフィは手袋らしきものを取り出す。
「へっへーん、マジシャンハンド、手に入れておいてよかった~」
マジシャンハンドとは、SO2の世界に存在するアイテム。
セリーヌと知り合って手に入れたものだ。
これを装備すると、ある特技を行えるようになる。
ユフィはマジシャンハンドを装備し、何食わぬ顔で自分の番が回って来るのを待つ。
 「どうしたの?あなたの番よ?」
アーシェはそう言うと、サイコロを渡そうとする。
「ああ!ごめんごめん。ちょっと考え事しててさー。あっっ!!」
受け取ろうとしたその時、ユフィはバランスを崩す。
その勢いでユフィはアーシェに倒れ込み、二人ともステージ上へ倒れてしまう。
 「何をしているの!?危ないでしょう!?」
「ごめんごめん、ついフラッとしちゃってさ~」
「ふらっとではないわ!怪我をしたらどうしてくれ・・!?」
アーシェは文句を言おうとしかけて、違和感に気づく。
 「何何?もしかしてこれかな~?」
ユフィはアーシェの目の前にコントローラーを突きつける。
「な・・何故あなたが!?」
「へっへーん。悪いけど、ピックポケットさせてもらったよ~」
ユフィはニヤリと笑みを浮かべて言う。
ピックポケットとは、SO2の世界に存在する特技。
いわゆるスリ行為で、他人からお金やアイテムを盗むことが出来る。
 「コレ、アタシが前に使ったイカサマ用コントローラーだよね~?何でアーシェが持ってるのかな~?」
「あ、あなたには関係ありません!!」
「そうはいかないよ~。スライム、悪いけどビアンカさん、呼んできて~」
「く・・・!!」
アーシェは一瞬逃げ出そうとする。
だが、それを読んだユフィがすかさず口を開いた。
 「あれれ?恥ずかしくないの?スリがバレて逃げるなんてさ~。それが王女様のすること?」
「ば・・馬鹿にしないで下さい!あ、あなたのような見苦しい真似などしません!!」
思わずアーシェはそう言うが、直後後悔する。
こんなことを言えば、自らのプライドにかけて、逃げることは出来ない。
「そうだよね~、王女様なんだから、逃げたりなんてしないよね~」
「と、当然です!あなたと一緒にしないで!」
墓穴を掘るのがわかっていても、アーシェはそう言ってしまう。
やがて、スライムと共にビアンカが場内へ駆け込むように入って来た。


 「アーシェ!?ほ、本当なの!?あなたがイカサマをしたって・・?」
まさか、信じられない、そう言わんばかりの表情を浮かべながら、ビアンカは尋ねる。
「だったらどうだと言うのです?あなたには関係無いわ」
そんなビアンカに、アーシェはいつものように、愛想の無い態度で言う。
 「そういうわけにはいかないわ。さぁ、アーシェ、ちゃんと皆に『ごめんなさい』しましょう?私も謝るから」
ビアンカはアーシェにそう言う。
「嫌です、何故私がこんな人達に頭を下げなくてはいけないの?」
アーシェはユフィとスライムを見やりながら言う。
 「アーシェ?イカサマは悪いことでしょう?それはあなたにもわかるでしょう?」
謝るのを拒否したアーシェに、ビアンカは厳しい表情になる。
「うるさいですね。あなたには関係無いわ。身内でもないくせに、構わないで」
謝るどころか、アーシェは反抗的な態度をとる。
「そう。わかったわ。そういう悪い子には・・私も容赦しません!!」
ビアンカはそう言うと、アーシェを無理やりに連れだす。
 「く・・!!何をするの!?離しなさい!!」
アーシェは抵抗するが、それを無視してビアンカはアーシェを広場へと連れ出す。
「ちょっとっ!ミネアッ!離しなさいよっっ!!」
同じ頃、アーシェをそそのかしたマーニャも、ミネアに広場へと連行されていた。
 「あら、ミネア?どうしたの?アーシェ達とゲームしていたんじゃないの?」
「ええ、実はアーシェさんのイカサマの件で・・どうやら姉さんがそそのかして、入れ知恵をしたのがわかりましてね」
「何ですって!?本当なの!?」
ビアンカは思わず尋ねる。
 「ええ・・。身内ながら・・恥ずかしいですよ・・」
「ちょっと!言いたい放題言わないでよね!!」
文句を言う姉を無視し、ミネアは話を続ける。
 「それで・・・姉さんも共犯ですから、懲らしめないとと思いまして」
「そうね。ちょうど二人とも揃っているし、やりましょうか?」
「それはいいですね。ちょうど皆さんも見てますし」
「ちょっとっ!ミネア!私達を置いて何勝手に話進めてるのよ!?」
危険を感じ、思わずマーニャは叫ぶように言う。
 「アーシェッ!どうしてくれるのよ!あなたが失敗なんてしたから・・!!」
「私のせいにしないで下さい!あなたこそ・・・・」
「ダメでしょ!二人とも喧嘩しない!!アーシェ・・・覚悟はいいわね?」
喧嘩しそうになる二人を止め、ビアンカは厳しい表情で問いかける。
 「嫌だと言っても、どうせ叩く気なのでしょう?好きなだけ叩けばいいわ」
せめて自分のプライドを保とうと、アーシェは挑発するような態度を取る。
「そういう態度はよくないでしょう?まぁいいわ。しっかり反省するのよ」
ビアンカはそう言うと、慣れた手つきでアーシェを膝に載せ、お尻をあらわにする。
 「く・・・・!!」
屈辱感にアーシェは顔を赤くしそうになるが、皆の視線を前に、平静を装う。
「じゃあ、行くわよ。いいわね?」
「いちいち言う必要などありません。さっさとやればよいでしょう?」
アーシェは振り返り、キッと睨みつけながら言う。
ビアンカは片手でアーシェを押さえ、もう片方の手を振り上げた。
 「姉さん、覚悟はいいかしら?」
「いいわけないでしょっ!離しなさいよっ!!ちょっとっ!何してるのよーー!!」
対照的に、マーニャはもがいて逃げようとする。
ミネアが腰布を取ろうとしているのに気づき、思わず声を上げた。
 「え?お尻を出さないとお仕置き出来ないでしょう?それもわからないのかしら?」
ミネアは目が笑っていない笑顔で言うと、姉の腰布を取ってしまう。
「いやーっ!何するのよっ!痴女っ!変態ー!訴えてやるからーー!!」
「姉さん、言いたいことはそれだけかしら?」
再び、恐ろしい笑みを浮かべると、ミネアはパドルを手にする。
そして、下着こそ履いているものの、丸出し同然なお尻目がけ、振り下ろした。


 バッシィィィ~~~~ンッッッ!!
「く・・・!!」
(何をしているの!?見られているのよ!)
声を漏らしそうになる自分自身を、アーシェは叱咤する。
その他の参加者達も見ているのだ。
泣き叫ぶような醜態だけは見せたくなかった。
 パンッ!パンパンッ!パンパンパンッ!パンパンパンッ!
「アーシェ、ダメでしょう?イカサマなんてしたら・・・・」
お尻を叩きながら、ビアンカはお説教を始める。
 パンッ!パンッ!パンパンッ!パンッ!パンパンッ!パンパンッ!
「・・!・・!・・!・・!・・!」
お尻を叩かれるたび、アーシェは苦痛に顔を歪める。
だが、決して声を漏らすまいと、耐え抜く。
 パンパンッ!パンッ!パンパンッ!パンッ!パンパンッ!
「イカサマは悪いことなのよ?あなただってわかっているでしょう?」
静かに、言い聞かせるように、ビアンカはお説教を続ける。
「う・・うるさい・・わ・・!あ・・あなたには・・関係・・く・・!ありません・・!!」
アーシェはお尻の痛みに顔をしかめつつ、言い返す。
イカサマがいけないのは承知している。
しかし、それを言われるのは癪でたまらなかった。
 「そういうことを言うものじゃないわよ、アーシェ。例え相手が誰であろうと、忠告は素直に受けるものよ。それに、悪いことをしたら素直に『ごめんなさい』をして」
お尻を叩きながら、ビアンカはそうお説教をする。
イカサマは確かにいけないことだ。
だが、それよりも、ビアンカには、アーシェの事が心配だった。
平気でイカサマをするような悪い子になってしまえば、誰とも友達になれないし、せっかく出来た友達も失ってしまう。
それがアーシェにとって、良いはずは無い。
 「う・・うるさいわね!わ、私には・・構わないで!!」
パンッ!パンパンッ!パンッ!パンッ!パンパンッ!パンッ!
お尻を叩かれる苦痛に顔をしかめながら、アーシェはあくまでもそう言う。
 「アーシェ、そうはいかないわ。あなたが平気でイカサマなんかするような子になれば、ご両親だって悲しいでしょう?ダルマスカの人達だってそうでしょう?」
「く・・・・!!」
ビアンカの言葉にアーシェは思わず黙る。
自分のしたことが、両親や国民に顔向けできるものでは無いことはわかっていた。
だが、それを他人に言われたくは無かった。
自分のつまらない意地なのはわかっている。
それでも、素直になれなかった。
 「う・・うるさいわね!!か、構わないでと言っているでしょう!?ダルマスカ国民でも無いくせに!!偉そうに説教なんかしないで!!そ、そもそも、何様のつもりなの!?いつも人に構って!うっとおしいのよ!!それに・・こんなことをして!!は、離しなさい!!いい加減にしないと、私も本気で怒るわよ!!」
自分のしたことを他人の口から責められる悔しさ、誘惑に負けてイカサマに手を出した自分自身への苛立ち、それらがない交ぜとなって、アーシェはビアンカにそう言い放つ。
 「アーシェ、本気でそう言っているのかしら?」
さすがのビアンカも、反省の見られないどころか、逆ギレなアーシェに、声のトーンが変わる。
その雰囲気に一瞬、アーシェは飲まれかけるが、持ち前のプライドから言い返す。
 「だ、だったら何ですか!?い、いい加減に離しなさい!公衆の面前でこんな目に会わせて!ぜ、絶対に許さないわ!!」
「そう・・。あくまでもそうなのね。わかったわ・・・」
ビアンカは静かに言うと、呪文を発動する。
「ルカニ!」
「く・・!何をしたの!?」
アーシェは思わず尋ねる。
急にお尻の痛みが増したからだ。
 「お尻に呪文をかけたわ。お尻の守備力は大幅に下がったはずよ」
「な・・何ですって・・!?」
アーシェは表情が変わりそうになるのを堪える。
「そして・・バイキルト!!」
ビアンカは攻撃力を高める呪文を自分自身にかける。
 「アーシェ、最後の警告よ。皆に素直に『ごめんなさい』しなさい」
「い・・嫌です!こんな風にはずかしめられた上に屈服するくらいなら・・・。お尻が壊れる方を選びます!!」
ビアンカの警告を、アーシェはあくまでも突っぱねる。
「そう・・・。なら、私も容赦はしないわ」
そういうと、ビアンカは思い切り手を振り下ろした。
 バッシィィィィ~~~~ンンンンッッッッ!!!
「く・・うぅうぅぅ・・・・!!!!」
今までとは格の違う苦痛に、アーシェは悶え、声を上げる。
 バンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!
「く・・!ああっ・・!やめ・・やめなさい・・!」
バンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!
「やめ・・なさい・・!いい加減に・・しないと・・!ああ・・!うっ・・!うぁぁ・・!」
アーシェはあくまでも抵抗を続けるが、激しいお仕置きに、やがて悲鳴が増してくる。
 バンッ!バンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!
「やめ・・!やめ・・なさい・・!やめ・・やめて・・!やめて・・!!」
完全に耐えきれなくなり、ついに命令の言葉が懇願に代わる。
 バンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!
「やめ・・!やめてっ!い・・痛いっ!やめて・・・!!やめてっ!!」
「ダメよ。今日のアーシェは本当に悪い子だったわ。まだまだ反省しなさい」
「そ・・そんなっ!ああっ!やめてぇぇ!!い・・痛いっ!やぁぁぁぁ!!やめてぇぇぇ!!」
もはやプライドもかなぐり捨てて、アーシェは悲鳴を上げる。
「やぁぁぁぁ!やめてぇぇぇ!!許してっっ!!いやぁぁぁぁぁ!!」
アーシェの悲鳴とビアンカのひたすらお尻を叩く音、それらがない交ぜになって広場に響きわたった。


 バッシィィィィ~~~~~ンッッッッ!!!
「きゃああああ!!」
パドルを思い切り叩きつけられ、マーニャは悲鳴を上げる。
 「ちょ、ちょっとっ!何すんのよーーー!!」
「言ったはずですけど?お仕置きですよ、姉さん」
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
「何爽やかな顔で叩いてんのっ!痛っ!ひっ!や、やめなさいよっ!!」
笑顔でパドルを振るう妹に抗議するマーニャだが、ミネアが聞くはずもない。
 バンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!
「全く・・何をやってるんですか・・姉さん・・」
呆れた口調でミネアはお説教を始める。
 バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!
「後先考えないで・・馬鹿なことばかりする姉さんだとは思ってましたけど・・・」
「ちょ、ちょっとっ!何言ってんのよっ!!馬鹿にしてんのっ!!」
「え?馬鹿になんてしてませんよ。だって、本当のことですから」
毒舌入りのお説教に怒るマーニャに、ミネアはさらに毒舌で返す。
 バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!バンバンッ!
「よりにもよってアーシェさんにイカサマの入れ知恵とは・・・。本当に恥ずかしい姉さんだわ・・・。情けなさ過ぎます・・・・」
「う、うるさいわねっ!!ア、アーシェが上手くいけば私だってやれると思ったのよっ!!そ、そうすればミネアなんかケチョンケチョンにやっつけて・・・」
「へぇ~、姉さん、私を倒そうなんて考えてたのかしら?」
「う・・うるさいわね!!わ、私のオマケ扱いのくせに!!妹のくせして生意気よ!!姉をたてなさいよっ!!」
妹にお仕置きされる屈辱に、マーニャは思わず言ってしまう。
 「お・・オマケ!?よ・・よくも気にしてることを!?も、もう・・許しません!!」
ミネアは別のパドルに持ち替えたかと思うと、思い切り振り下ろす。
ビッダァァァァ~~~~~~~ンンンンッッッッ!!!!
「きゃああああ!!な、何よそれっっ!!」
マーニャは思わず声を上げる。
見るからに凶悪で痛そうなデザインの上、熱風だか雷撃だかまで表面から吹き出している。
 「ああ?これかしら?双剣使いの美青年神父にべたぼれな魔王の特製パドルですけど?」
「ちょ、ちょっとっ!アタシを殺す気!?」
下手をすればお尻がズタズタになって死ぬのでは、それほど恐ろしげなパドルに、マーニャは叫ぶように言う。
「お尻を叩かれたくらいで死にません、姉さん。しっかり反省して下さいね」
ニコリと笑みを浮かべると、ミネアは恐怖の特製パドルを振り下ろす。
 バッジィィィィ~~~~ンッッッッ!!!!
ゴオオオッッッ!!
「!!!!!!!!!!!!」
骨まで響く痛み、同時に肌に襲いかかる熱風、それらの苦しみで、マーニャは声にならない声を上げる。
「ひぃぃぃぃ!ミネアッ!許してえぇぇぇ!!ア、アタシが言いすぎたからっ!!」
パドルのあまりの痛みに、マーニャはプライドを捨てて謝る。
 「いいえ。姉さんのお尻はまだまだパドルを下さいと言ってます。これからですわ」
「いやぁぁぁぁ!!やめてぇぇぇぇ!!ごめんなさぁぁぁいいい!!」
謝るマーニャだが、ミネアは容赦なくパドルを振り下ろす。
その後、マーニャの絶叫が広場にこだました。


 「く・・・・!!」
「ううう~~~~!!こんなことになるなんて~~~!!」
アーシェは屈辱感に顔をこわばらせ、マーニャは後悔の涙を滝のように流す。
二人とも真っ赤に染め上がり、幾周りも腫れ上がったお尻を出したまま、立たされている。
その首には『私たちは悪い子で、イカサマをしたのでお尻ペンペンされました』という札を下げていた。
ようやくお尻叩きからは解放されたものの、まだまだ許してもらえず、恥ずかしい姿でさらしものになっているのである。
 「アーシェの馬鹿っ!あなたが失敗なんてするから~~!!」
「わ、私のせいにしないで下さい!あなたも同罪でしょう?」
文句を言うマーニャに、アーシェは思わず抗議する。
 「アーシェ・・アーシェ・・・」
不意に呼びかけられ、思わずアーシェは振り向く。
すると、いつの間にかビアンカの姿があった。
 「な、何の用ですか?」
アーシェは思わず険しい表情になる。
「もうあなたも十分反省してくれたでしょう?さぁ、帰りましょう」
「い、嫌です!あ、あなたの手など借りま・・くぅぅぅ!!」
アーシェは拒否しようとするが、お尻の痛みに座りこんでしまう。
 「ダメよ。無理をしたら」
「く・・!!あなたがやったのでしょう!?自分でしておいて・・・」
「ええ。だから私に責任を取らせてくれないかしら?あなたに痛い思いをさせた責任を取るために、あなたの手当てや世話をする。それでどうかしら?」
ビアンカはアーシェが受け入れやすいように、そう言う。
「それなら・・仕方ありません。その代わり・・しっかり責任を取らないと許しませんからね!!」
「わかったわ。さぁ、行きましょう」
ビアンカはそう言うと、アーシェを連れて広場を後にしようとする。
 「ちょ、ちょっとっ!私も連れてってよ!!」
「ダメですよ。姉さんはまだ反省タイムです」
思わずビアンカに懇願するマーニャだが、ミネアがそれを却下する。
「そんな~~!!ずるい~~!!」
「当然です!姉さんが諸悪の根源なんですから!またこのパドルで叩きましょうか?」
ミネアは例の熱風が出るパドルを見せる。
「わ、わかったわよ!立ってるから!し、しまいなさいよ!!」
「わかればいいんです。私が戻るまで、しっかり反省してて下さいね」
ミネアは笑顔で言うと、ビアンカと共に広場を出て行ってしまう。
「うう~~~っ!本当・・・散々だわ~~~~」
一人残されたマーニャは、再び滝のような涙を流していた。


 同じ頃・・異世界のある街の小さな教会・・・。
「ルシフェル~。お昼だよ~~」
アシュトンはドアを開け、中に向かって呼びかける。
部屋の中では、銀髪の美男子が工具を手にして、作業をしていた。
尖った耳が人では無いことを示していた。
「む?もうそんな時間か?」
振り返ったルシフェルは、アシュトンにそう尋ねる。
金づちなどの工具を持ち、作業用エプロンや手袋をしているその姿は、とても魔界のナンバー2、魔王クラスの実力者とは思えない。
 「うん。あれ?何作ってたの?」
「うむ。特製パドルをな。安心しろ、アシュトンに使うものではないわ。注文の品だ」
「そ、そうなんだ・・・」
アシュトンは安堵するも、ドギマギしてしまう。
ルシフェルのパドルがどれほど痛くて辛くて怖いものかは、自分が一番よく知っているからだ。
 「そんなにパドルの注文って多いの?」
アシュトンは思わず尋ねる。
ここ最近、ルシフェルへのパドルの注文が増えているからだ。
なお、どういう風の吹きまわしか、アシュトンのお仕置き道具を作る経験を生かし、パドルをはじめとするお仕置き道具の製造販売を最近になって始めていた。
 「当然だろう?私が造るのだからな。あの小僧のような悪ガキでも、一度で良い子になると評判なのだ」
ルシフェルは自慢げに言う。
「そ、そうなんだ。よかったね」
ルシフェルお手製の道具を使われてお仕置きされる人に同情しつつ、ルシフェルの商品が好評なことにアシュトンは喜ぶ。
 「そうだ!儲けた金で旅行にでも行こうではないか!」
「ええ!?でも教会を放っては・・・・」
「構わん!善は急げだ!早速プランを立てねば!!」
「ああっ!待ってってばーーー!!」
一人で勝手に話を進めようとするルシフェルを、アシュトンは慌てて追いかけた。

 ―完―
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