研究員/助手3 大遅刻



 チュンチュン・・・チュンチュンチュン・・・。
空はすっかり明るくなり、日の光が窓から差し込んでいる時刻、その人物はベッドの中でぐっすりと眠りこけていた。
 眠っているのは銀髪でやや小柄、童顔に近い可愛らしい顔立ちをした、一見すると高校生ぐらいに見える青年。
土方製薬の研究所で研究員の助手を勤めている会津久也だ。
「うう~~ん・・・」
久也はむにゃむにゃと呟きながら寝返りを打つ。
未だに夢の中にいるのが明らかだった。
 ジリリリリリリッッッッ!!!!
ベッドの傍のテーブルに置いてある目覚まし時計がけたたましくベルを鳴らす。
「ううう~~~~ん・・・・」
久也は目覚ましの音のせいか、苦しげな表情を浮かべる。
だが、ベッドを離れるつもりはないらしい。
もぐもぐと口を動かして眠ったまま、久也は再び寝返りを打つと目覚まし目がけて手を振り下ろす。
時計のてっぺんにあるスイッチが押されて時計が黙ると、久也は安心したような寝顔と共に再び眠りの世界へ戻っていった。


 「むう~~~。ううう~~~んんんん」
眠っていた久也は頭をむずかるように動かしたかと思うと顔を顰めた。
何かの音が鳴り響いているのに気付いたのだ。
久也は布団をかぶるが、音はそれでも鳴り響いている。
「全く~~。何なの~~。せっかく気持ちよく寝てるのに~~」
あまりのしつこさにさすがに目が覚めたのだろう、ブツブツと不満げに言いながら久也は身体を起こし、ベッド脇に机を見た。
最初、目覚まし時計が鳴っているのだと思ったが、すぐにそうではないことに気付く。
鳴っているのは時計の傍に置いておいた携帯電話。
「ったく~。人が寝てるってときに~~~」
久也は安眠を邪魔され、不機嫌そのものといった表情で中折れ式の携帯を開く。
そして携帯の着信画面を何の気なしに見たときだった。
 「ひゃああああ~~~~~~~っっっっ!!!!!!!!!」
久也は画面を見るや、冷たい水でもぶっかけられたかのような悲鳴を上げる。
同時にガタガタと震えだし、顔からどんどん血の気が引く。
ギクリとした表情のまま目覚まし時計を見やると、とっくに9時半を回り、ほとんど10時近くになっていた。
「や~ば~いい~~~~っっ!!!!!!!」
久也は慌ててベッドから起き上がるや、朝食もとらず、歯磨きや洗顔もせず、急いで着替えだす。
上着やズボンの左右を間違えるという失敗を何度もやりつつも何とか着替え終えると、カバンに必要なものを放り込むようにして詰め込む。
そしてマーガリンを塗っただけの生のパンを加えるとカバンを引っ提げたまま部屋を飛び出し、マンションの階段をこけつまろびつしながら必死に降りてゆく。
ようやくのことでマンションの駐輪場へたどり着くと、愛用の自転車を見つけて急いでまたがった。
すぐにも走り出そうとするも、鍵を外してないことに気付き、降りると慌ててロックを外そうとする。
だが、慌てているため、中々鍵が鍵穴に入らない。
(あああ~~~!何で何で何で~~~っっ!!!!)
久也は鍵が中々入らないことに苛立ち、癇癪を起こしそうになる。
だが、ようやくのことでマンションの部屋の鍵だということに気が付いた。
自分の慌てぶりに思わず、久也は脱力しそうになる。
やや落ち着くと久也は自転車の鍵を取り出してロックを外す。
ようやくのことでロックを外すと、久也は急いで自転車に乗り、脱兎のごとき勢いで駐輪場から飛び出した。
 (急げ急げ急げ急げ急げ急げ~~~!!!急ぐんだぁぁぁ~~~~~っっ!!!!)
久也は狂ったように自転車をこぎ、その童顔っぽい顔からは想像できない鬼気迫る表情で職場目がけて突っ走る。
久也をこんな狂乱状態にしたもの、それは一通のメールだった。
 『今何時だと思ってるの?早く来なさい! 静香』
この簡単な文が送られてきたメールだった。
しかし、久也にとってはまさに恐怖の知らせだった。
(うわぁ~~~んん!僕の馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿~~~!何であんな時間まで眠りこけてたんだよ~~~!!!!)
自転車を走らせながら、久也は自分を罵る。
しかし、後悔しても遅かった。
(ど・・どうしよう・・。今から・・行っても・・遅刻なのは間違いないし・・・)
自転車をこぎながら久也は悶々とする。
どんなに急いでも大遅刻なのは事実だ。
それは絶対に言い訳もごまかしようもない。
(静香さん・・怒ってるよね・・・)
久也は上司で恋人の叶静香が送ってきたメールを思い浮かべる。
短い文章ながら怒っているのが明らかな文面だった。
(絶対・・お尻・・叩かれる・・・)
久也は研究所で間違いなく待ち受けているだろう運命に顔から血の気が引き、石膏像のように顔が真っ白になる。
(病気・・って・・メールして・・休んじゃおう・・っっか?)
不意にそんな考えが浮かび、久也はUターンして帰ってしまおうかと考えた。
だが、すぐにその考えを打ち消す。
(無理無理!そんなことしたら帰りに絶対見舞いに来るもん!嘘だってばれちゃう!そうしたらもっとたくさんお尻叩かれちゃう!!)
嘘がばれたときのもっと恐ろしい運命を想像した久也は、熱病にでも罹ったかのようにブルブルと震えだす。
そうこうしているうちに段々と研究所の建物が見えてきた。
だが、久也は守衛などから見えないところに自転車を隠し、しばらく悶々としている。
覚悟を決めて足を踏み出そうとしたかと思うと足を引っ込め、そうかと思うと周囲をぐるぐるとウンウン唸りながら歩き回る。
見えない場所に隠れているからいいようなものの、誰かに目撃されていたら怪しい人と思われて通報されそうだった。
(どうしょうどうしよう・・・。帰っちゃうかな・・・。でもばれたら絶対お尻叩かれちゃうし・・。でも・・・出社しても・・・お尻叩かれちゃう・・・)
悶々とした表情で久也は研究所の入り口を眺めている。
ゴクリゴクリと喉が鳴り、ヒクヒクと動いた。
そのままジッと眺めていたが、ようやく決断を下したのか、表情が変わる。
(や・・休んじゃおう・・・)
久也は長い間考えた末に誤魔化すことに決めた。
メールを打ったらすぐにも帰り、病人の振りをしてジッと寝ていることにしたのだ。
何とかして誤魔化し通すつもりだった。
(嘘ついたり・・ずる休みするのは・・・あんまり・・いい気持ち・・しないけど・・)
久也はさすがに罪悪感を覚える。
だが、出社しても絶対お尻を叩かれる。
今日はまだ顔を合わせてはいないものの、かなり怒っているのは簡単に想像できる。
大人しくごめんなさいしても簡単には許してくれないだろう。
それこそ、お尻が壊れるかと思うほど叩かれるだろう。
静香のお仕置きから逃れるためなら、今の久也は何だってやってやろう、そういう気持ちになっていた。
 『ごめんなさい。今日は体調が悪いみたいです。病院行ってきますので休みます。 久也』
こうメールを打つと静香のケータイに向かって送信する。
(これで・・よしと・・・)
久也はホッとした表情を浮かべるとそのまま引き返そうとした。
 プルルルルル・・・。
不意に妙な音が鳴り響いた。
携帯の着信音と思しき音だ。
思わず久也はギクリとする。
同時に誰かが後ろから久也の肩に手をかけてきた。
「どうしたの、久也くん?」
肩に手をかけてきた人物が背後から声をかけてきた。
その声に再び久也の身体が強張る。
(ま・・まさか・・・)
久也は恐る恐る後ろを振り向いた。
すると、茶色の艶のある綺麗な長髪と青色のサファイアのような瞳の持ち主で、眼鏡をかけた理知的な美しい20代後半~30代前半とおぼしき白衣姿の女性が立っていた。
 「しっ、ししし静香さァンッッ!!!なななな何でエエエッッッ!!!」
久也は吃驚仰天といった表情で飛び上がりそうになったかと思うと後ずさった。
「そんなにびっくりしないでよ・・・。久也くん出社のときは必ずあそこの正門通るでしょ。だから来るの待ってたのよ」
やられた。
久也はとっさにそう思った。
お仕置き怖さに土壇場でずる休みを決め込むかもしれない。
そう判断して久也が来るのを待ち構えていたのだ。
「さて・・・久也くん・・・。行くわよ」
静香はそう言うと久也の手を取り、研究所へ連行するようにして入ってゆく。
もはや抵抗する気力も無いのか、ドヨ~ンとした表情のまま、トボトボと久也は正門をくぐった。


 ドキン・・・ドクン・・・ドクン・・・ドクン・・ドクン・・。
白衣姿の久也は緊張した面持ちで仮眠室のベッドの縁に腰かけていた。
更衣室で着替える前にここで待っているように静香に言われたからだ。
久也はおどおどと落ち着かない様子であたりを見回し、もぞもぞと椅子の上でお尻を動かしている。
不意にギィィィと木がきしる音が鳴った。
途端に久也の身体が強張る。
久也はゴクリと唾を飲み込みながらドアを見やった。
ゆっくりとドアが開き、久也の顔からタラタラと脂汗が流れる。
完全にドアが開くや、白衣姿の静香が姿を現した。
 静香はドアを閉めるとゆっくりと久也に近づいてゆく。
やがて、静香は久也の目の前に立った。
久也は恐る恐る静香を見上げた。
 「久也くん・・・・」
「なっ・・何っ!」
静香の呼びかけに久也はビクリと震えると、跳び上がりそうになる。
「自分が何したか、わかってるわよね?」
「え・・えと・あの・・でも・・わ、わざとじゃ・・」
「そうね。でも、久也くん、一人でも遅刻したりすれば皆が迷惑したりするのよ。わかるわね?」
「はい・・・・」
久也は反論も出来ず、しゅんとうな垂れる。
「しかも、嘘のメールまでして、ズル休みしようとしたでしょ?それはいいこと?」
「う・・だって・・・怒られるの・・やですもん・・・」
「嘘ついてばれた方がもっと怒られるんでしょう!どうしてそんなことがわからないの!?」
静香に思い切り怒られ、久也はさらに縮こまった。
「全く・・・本当に悪い子なんだから。さぁ、覚悟はいいわね?」
静香は向かい側のベッドに腰かけると、ポンポンと膝を叩いて指し示した。
 「やぁ・・・静香さぁん・・・それやだぁ・・・」
久也は今にも泣きそうな表情になるとベッドの上で後ずさりする。
「ヤダじゃないでしょ!久也くんが悪い子だったんだから怒られるんでしょ!?早く来ないと本気で怒るわよ!」
(もう怒ってるくせに・・・)
久也はそう思ったがそんなこと言ったらもっと怒るかもしれないから言えなかった。
「うぅうぅぅう~~~~~っっ・・・・」
久也は立ちかけたかと思うと座り、また立ちかけて座るということを繰り返す。
静香はそのままジッとしている。
大人しく膝に来るかどうか見ているのだ。
大人しく膝に来れば多少は反省しているとみなして手加減しようと考えていた。
 だが、お仕置きの恐怖がまさったのだろう、久也は立ち上がったかと思うとドア目がけて走り出そうとした。
「コラッ!待ちなさいっ!」
静香はすぐにも立ち上がるや、後ろから抱きつくようにして久也を捕まえる。
「ヤダヤダァァ~~~。静香さん離してぇぇぇ~~~~~!!!!!」
「離してじゃありません!全く逃げるなんて、全然反省してないのね!」
静香はそういうと久也の手を引っ張り、膝に引き倒す。
あっという間に久也は静香の膝に横たえられてしまった。
「したぁっ!もう反省したからぁ!だからお仕置きだけは許してぇぇ~~~っっ!!!!」
絶叫に近い声で久也は静香に必死に懇願する。
だが、静香は久也の腰を片手でしっかりと押さえると白衣の裾を捲り上げ、下着ごとズボンを降ろしてしまう。
あっという間に小ぶりで形のいい、成人男性のものとは思えない綺麗なお尻が姿を現した。
「駄目よ。逃げるなんて、それで反省してるっていえるの?」
「う・・・だってぇ・・・」
「全く・・・言い訳ばっかりね・・・。よくわかったわ・・」
静香は呆れたようにため息をつく。
だが、次の瞬間、左手でしっかりと久也の腰を押さえつけた。
思わず、久也はお腹に圧迫感を感じる。
同時に静香の右手が高く振り上げられた。


 バシィンッ!!
「やっ!」
突然、肌を打つ甲高い音が仮眠室に鳴り響いた。
久也は痛みを覚えると同時に声を上げる。
バシィンッ!バアチィンッ!ビタアンッ!バシンッ!バチンッ!
「やっ!やあっ!痛いっ!やああっ!痛いよ~っ!」
音が鳴り響くごとにお尻が痛くなり、久也は悲鳴と共に手足をジタバタさせる。
バシィンッ!バチィンッ!ビタアンッ!ビタンッ!バチィンッ!バシィンッ!
「やあ~っ!わあ~んっ!痛いっ!痛ぁいっ!やああ~っ!わぁ~んっ!」
静香の手が振り下ろされるたびに、久也の健康的な色合いの肌に赤い手形がつく。
手形は幾重にも重なり、お尻をワインレッドに近い色に染めていった。
 「ったく・・寝坊して・・遅刻して・・・」
バシィンッ!バアチィンッ!ビタァンッ!バシィンッ!バッチィンッ!
「ふえっ・・・!わざと・・じゃ・・ないですってばぁ~~!」
久也は涙を浮かべつつ、必死に弁解する。
「言い訳するんじゃありません!」
バシィンッ!バッシャ―――ンンン!!ビッタァァ―――ンンン!!!
久也がまた懲りずに言い訳しようとしたせいか、静香は容赦の無い平手打ちを何発か久也のお尻にくれてやる。
「ひゃあああんんんん!!!痛ぁぁぁああいっっっ!!!!!」
久也は余程痛かったのか、背を仰け反らせて飛び上がりそうになる。
「しかもその上嘘のメールでズル休みまでしようとして!!自分が何やってるのかわかってるの!?」
バッシィィィンンン!!ビッタァァアアンンン!!バッチィィィンンンン!!ビッシャアアアアンンンッッッ!!!
「うわあ~んっ!だってぇ~。静香さん絶対怒ってると思ったんだもん~~!!」
「だからって嘘ついてもいいの!?そうじゃないでしょ!」
バアチィィィンンン!!ビタァァァアアアアンンン!!バチィィイインンン!!!!
静香は猛烈な勢いで久也のお尻に手を叩きつける。
静香の手の方も衝撃で赤くなっていたが、久也のお尻は上物のワインのような見事な赤色に染まっている。
ジンジンという痛みが蓄積し、カイロのように表面が熱くなり、熱を持っていた。
「そんな悪い子絶対に許さないわよ!今日はたっぷりお仕置きしてあげるからしっかり反省しなさい!!」
厳しい声で叱りつけながら静香は手を振り下ろす。
ビッタァアアアアンン!!バアッシィィイイイィィンンンンン!!!ビバアッッチィイインンン!!!
「ふ・・うえっ・・うぇえぇぇええ~~~~んんっっ!!!」
お仕置きの痛さと静香が本当に怒っていることに久也は思わず泣き出してしまう。
「泣いたってダメ!!」
ビッタアアアアアンン!!バアッチィィィイイインンン!!ビッシャァアアンンン!!バアチィィィイイイイイン!!ビバシャァアアアアンンンンンンンンン!!!!
激しく肌を打つ音と悲鳴が入り混じった甲高い奇妙な音が、手足をバタつかせる音や叱りつける声と共に仮眠室に鳴り響いていた。


 「うっえ・・ひっく・・ぶっえ・・ふええぇぇ・・・・」
久也は静香の膝の上でしゃくり上げ、ボロボロと涙をこぼして泣いていた。
お尻はもうこれ以上ないくらい真っ赤に染め上がっており、二周りぐらいは大きく腫れ上がっている。
「ふえぇ・・・やだぁ・・もう・・・やだぁ・・・許して・・よぉぉ・・・」
久也は泣きながら首を振って静香に許しを請う。
「反省したの?」
静香はお尻を叩きながら、久也に尋ねる。
「したぁ・・・したからぁ・・ごめんなさぁい・・・」
「じゃあ、何が悪かったの?」
パシィンッ!パチンッ!ピシャアンッ!パアンッ!
静香はお尻を叩く手を弱めて尋ねた。
「うっえ・・えっと・・遅刻した・・・」
パアンッ!パチンッ!パン!パシン!パアン!
「そうね。それから?」
「う・・嘘ついて・・ズル休み・・しようとした・・・」
「そうね。でも、どうしてそれで怒られたの?」
パアンッ!パチィン!ピシャアン!パシン!
「え・・わ・・わかん・・ないっ・・」
パアシィンッ!
ここで少し静香の平手がまた強くなった。
「わぁんっ!もうやだぁっ!」
久也はそう叫んだかと思うと静香の膝から抜け出そうとする。
「やだじゃないでしょ!遅刻なんかしてどれだけ皆に迷惑かかると思ってるの!それに嘘なんかついて!人を騙すようなことしていいと思ってるの!」
バシィン!バアンッ!ビシャアンッ!バアアアアンンン!
しっかりと言い聞かせるかのように、静香は敢えて思い切りお尻を叩いた。
一打ごとに久也は両脚を激しくバタつかせる。
「ごめん・・なさいっ!ごめんなさい!ごめんなさい~!皆に迷惑かけてごめんなさい~!騙すようなことして・・ごめんなさい~~~っっっ!!!!」
久也は喉の奥から必死に叫ぶようにして謝った。
同時に静香の手が止まる。
止まったかと思うと、静香の手はゆっくりと久也の頭の上に置かれる。
そして優しく久也の頭を撫でてやった。
「よく言えたわね。さぁ、お仕置きは終わりよ」
静香は優しい微笑みを浮かべると、頭を撫でながらそう言った。


 「ひっく・・うっえ・・ぐっす・・」
お仕置きは終わったものの、久也はお尻の痛さにすすり上げながら泣いていた。
「ほらほら、いつまで泣いてるの?もう、怒ってないでしょ」
「うえ・・・だってぇ・・・」
「もう。しょうがない子ね」
静香は苦笑すると久也を抱き上げ、膝の上に座らせる。
そして、真っ赤に腫れたお尻を出したままの久也をギュッと抱きしめて膝抱っこしてやると、赤ん坊をあやすようにポンポンと背中を軽く叩いた。
「よしよし・・・いい子ね・・・」
静香は両手でギュウと久也を抱きしめてやる。
すると両腕から静香の体温が久也に伝わってきた。
(あ・・あったかい・・・)
久也は静香の抱擁と温もりに泣き止む。
同時に泣き顔が夢心地といった心地よげな表情に変わっていった。
 「静香さぁん・・・ごめんなさい・・・」
久也は改めて静香に謝る。
「いいのよ。ちゃんと反省してるんだから。次から気をつければいいのよ」
「うん・・・」
久也は一旦口を閉じると、静香の胸に顔を預けるように寄りかかる。
「静香さぁん・・・もう少し・・こうしてても・・いい?」
「いいわよ。安心しなさい」
「うん・・・」
久也は安心した表情を浮かべると目を瞑る。
そして、そのまま眠りに落ちた。
 「あらあら。相変わらず甘えん坊さんね」
静香はそのまま寝入ってしまった久也に苦笑する。
だが、その表情には愛おしさが籠っていた。
静香は久也の頭を撫でたかと思うと、再び身体を抱きしめた。

 ―完―
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