研究員/助手4 仮眠室のストーブ



 
 「ふうううう~~~~。寒いよ~~~」
ブルブル震えながら仮眠室に入ってきたかと思うと久也はすぐにもストーブの傍へ駆け寄る。
そして、かがんだかと思うと手のひらをストーブの方へ向けた。
 「うーっ。それにしても災難だよね。お正月なのに仕事なんて」
白い息を吐きながら久也は思わずぼやいた。
そのとき、不意にドアが空いたかと思うと仮眠室にまた別の人物が入ってくる。
現れたのは青い髪をした27歳くらいの美青年。
久也の上司の野上秋成だ。
 「あっ、主任。どうしたんです?」
「ああ、久也くんもいたの。寒いから僕も暖まりに来たんだよ」
野上は手をこすり合わせ、白い息を吐きながらそう言った。
「そうですか~。あっ、隣空いてますから。どうぞ」
「ありがとう。うう~。それにしても冷えるね~~」
「そうですよねぇ。僕、仮眠しようと思って来たんですけど、寒いんで暖まってから寝ようって思ったんです。主任もそうですか?」
「いや。僕は夜食のお弁当食べようと思ったんだけど寒くてさぁ。あいにく僕の研究室の暖房故障しててね。寒いから逃げてきたの」
野上はそういうとベッドの一つに腰掛け、膝の上でコンビニ弁当を広げだす。
久也もホットココアの缶を取り出すと飲み始めた。
 「すいませ~ん、失礼します」
しばらく経ったころ、ふと警備員の格好をした男が入ってきた。
「あれ、見回りの人・・?」
二人は思わず声を出す。
「ええ。すいません、ストーブ、火落とさせてもらいますよ」
警備員はそういうとストーブを落とそうとする。
「ちょ、ちょっと待ってぇぇ~~!!!まだ落とさないでぇ~~~!!!」
二人は慌てて警備員を止めようとする。
「すいません、規則なんでそういうわけにいかないんですよ」
「そんなこと言わないで~~~。お願いだから~~~」
二人は火を落とされないように必死に説得する。
しばらくの間、二人は警備員と問答していたが、警備員を説得することは出来ず、むなしく火を落とされてしまった。
 「うううう~~~。何か一気に寒くなっちゃった~~~」
二人はすっかり火の消えたストーブの前でプルプルと小刻みに震える。
「こんなんじゃ仮眠出来ないよ~。僕、寒いの嫌なのに~~」
「あれ、久也くんもそうなの?」
「主任もですか?」
「うん。寒いのって本当嫌だよね」
「でも警備員の人に頼んでも駄目ですよねぇ」
二人はさっきの警備員の反応から火をつけさせてもらうように頼んでも無理だろうとわかっていた。
「うーん。そうだ、久也くん。ちょっと耳かしてくれる?」
「何です、主任?」
久也は耳を向けると野上がボソボソと呟く。
「どう、久也くん?」
「どうって・・・大丈夫ですかね?」
久也は不安げな表情で言う。
「大丈夫だって。僕が起きてるし、気付かれそうになったら消すから」
「う・・うう~~ん。そ、それじゃあ・・・」
「じゃあ、決まりだね」


 「主任、大丈夫ですか?」
久也はストーブの前に蹲ると、仮眠室の窓から廊下の様子を伺っている上司に尋ねる。
「大丈夫、誰も来てないよ」
「そ・・それじゃあ・・・」
久也は自分でも窓を覗いて確かめると、ストーブのスイッチを入れ、目盛りを適当な温度に調節する。
やがて、ストーブが作動し始め、温かくなりだした。
途端に野上はストーブの前にへばりつく。
 「ふう~~。生き返るよ~~~」
野上は満足そのものの表情でストーブに当たりだした。
「それじゃあ・・主任・・・頼みましたよ?」
久也はそう言うと仮眠用のベッドに潜り込む。
「大丈夫~。任せておいてよ」
野上が自信たっぷりに言うと久也は眠りにつく。
野上はしばらく火に当たっていたが、やがて暖かさにだんだんと眠りに誘われ、うつらうつらしだす。
そして、ついには完全に寝入ってしまった。


 カツン・・・カツン・・・コツン・・。
真っ暗な廊下を靴の音が響き渡る。
ライトが左右を照らし、警備員の制服を着た男が廊下をゆっくりと歩いていった。
(ふうう・・・冷えやがるなぁ・・・)
その警備員は身体を縮込ませながら歩く。
冬、しかも夜中となれば冷える。
屋外よりはマシかもしれないが、それでも寒いものは寒い。
(交代まで1時間もあるからなぁ。早く上がってアツカンでもやりたいぜ)
ついついぼやいていると、ふと妙な音が聞えてきた。
(何だ・・?)
警備員は耳をこらす。
パチパチという何かがはぜるような音だ。
音の聞える方向を見やると、何故か真っ暗闇のはずなのに異様に明るかった。
 とっさに警備員は駆け出し、音の聞える場所に駆けつける。
やって来たのは久也たちがいるはずの医務室。
「あっっ!!!!!!」
警備員は駆けつけるなり声を上げた。
何と、ドアがパチパチと燃えていたからだ。
煙は外の方に向かって出ていたため、どうやら室内の報知器が感知しなかったようである。
とっさに警備員はあたりを見回すと消火器を見つける。
すぐにも消火器を持ち上げてホースを向けると、勢いよく中身を噴射した。
幸い、火はボヤレベルの小さなものであったため、すぐに消える。
警備員は火が消えたのを確かめると無線を取り出し、警備員室へ連絡を入れた。


 「う・・うう~~~ん・・・」
久也は唸ったかと思うと目を覚ます。
久也が目を覚ますと何故か、静香の顔が目に入ってきた。
「あれ・・静香さん・・何で?」
「久也くん!!」
久也が尋ねようとするや、いきなり静香が抱きついてきた。
「うわわっ!し、静香さぁんっ。い、痛いってばぁ!!」
久也はギュウと思い切り抱きしめられ、思わず声を上げる。
 「あっ、ごめんなさい。つい・・。でも、無事でよかったわ・・」
静香は心底から安心したという表情で言うと再び久也を抱きしめる。
「無事って?ねぇ、どういうことなの、静香さん?」
久也は何が何だかわからず尋ねる。
「久也くん、仮眠室で寝てたのは覚えてる?」
「うん・・。それがどうかした?」
「実はその仮眠室でボヤになったのよ」
「ええっっ!!!!」
 久也はさすがに驚いた。
同時に冷や汗がタラタラと流れ出す。
「しゅ・・主任は・・・?」
「大丈夫よ。別の病室にいるわ。一応念のため、久也くんも主任も入院ってことになったのよ」
「そうなんだ・・・よかった・・・」
久也はホッとして胸をなで下ろす。
 「ところで・・久也くん。警察の人からおかしなことを聞いたのよ」
「おかしなこと?」
「ええ。あのストーブ、一旦切ったけれど誰かがまたつけたらしいのよね」
「そ・・そうなんだ・・・」
途端に久也の言葉の歯切れが悪くなる。
静香はそれを見逃さなかった。
「久也くん。何か知ってるんじゃないの?」
「い、いえっ!な、ななな何も知りませんってば!!」
「本当に?」
「本当ですってば!!寒いから主任がこっそり入れたな・・・あっ!!」
久也は思わずしまったという表情を浮かべる。
「久也くん、それ、どういうことなの?」
「いや・・だから・・あのその・・」
久也はしどろもどろになり、必死に言い訳しようとする。
静香は両手で久也の肩をしっかりと押さえつけると、厳しい顔を浮かべて久也を見据えた。
その表情に久也は凍りついたように動けなくなる。
「久也くん、正直に答えなさい。いいわね?」
「は・・はぃ・・・」
静香の剣幕に降参した久也は恐る恐る、仮眠室での出来事をポツポツと話し始めた。


 「何てことしたの!!」
ようやくのことで久也が話し終えるなり、静香が開口一番に思いっきり叱りつけた。
「ふえっ・・・だ・・だってぇ・・。寒かったんですもぉん・・・。それに主任が見てるっていうからぁ・・・大丈夫かな・・って・・」
久也は静香に怒られ、思わず引きそうになる。
「だからって勝手にストーブつけたりしちゃ駄目でしょう!!もし、警備員の人が気付かなかったらどうなってたと思ってるの!?」
「だ・・だって・・・」
「だってじゃありません。自分勝手なことして!!それに何で主任を止めなかったの!!主任が危ないことしようとしたら止めるのも仕事でしょ!」
「ふぇ・・ひぃん・・」
「泣いても駄目!!今日は怒ってるからね。さぁ、覚悟はいいわね?」
静香はそういうといつものように膝を指し示した。
 「やぁ・・・それやだぁ・・・静香さぁん・・・」
久也は今にも泣きそうな表情になると、必死で静香に懇願しようとする。
「駄目よ。早く来なさい」
静香は非常極まりない声で切って捨てると久也を再び促した。
だが、久也はひきつった表情のまま動こうとしない。
ようやく身体を揺り動かしたかと思うやベッドから飛び降り、そのまま逃げ出そうとした。
「こらっ!!待ちなさいっっ!!」
静香はすぐにも追いかけて久也を捕まえてしまった。
「やだやだやだ~~~っっ!!!離してぇぇぇぇ~~~~~~!!!!」
久也は必死に抵抗するものの、しっかりと静香に捕らえられてしまって逃げられない。
静香はようやくのことで久也をベッドの方まで連れ戻すと、久也をそのままベッドの縁にうつ伏せにさせる。
腹の下に枕を入れたため、久也はさながら静香に向かってお尻を突き上げる体勢になった。
 静香は久也をうつ伏せにするとベルトに手を回して外し、パンツごとズボンを降ろしてしまう。
あっという間に久也の小ぶりなお尻があらわになってしまった。
「う・・うううぅぅ・・・」
久也はベッドのシーツをギュウと握り締め、ブルブルと震える。
恐る恐る静香の方を振り返ってその表情は恐怖に満ちていた。
 「さぁ、久也くん。覚悟はいいわね」
久也は恐怖に引きつった表情で必死にかぶりを振る。
だが、静香はそれに構わず、ゆっくりと手を振り上げたかと思うと手を思いっきり振り下ろした。


 ビバッチィィィィンンンン!!!バアッチィィィンンンンン!!!
「きゃあああ!!ひぎぃぃぃんんん!!!」
最初から容赦の無い打撃が久也のお尻に手加減無しで叩きつけられた。
骨にまでジンジンと響きそうな苦痛に久也は絶叫を上げる。
(何ぃ!何で叩いてるの!?)
嫌でもそれが気になり、久也を振り返る。
振り返るなり久也はギョッとした。
静香の手にはヘアブラシが握られている。
「し・・静香さぁん・・まさ・・まさか・・それで・・・?」
「決まってるじゃないの。ボヤ騒ぎなんか起こすような悪い子はこれでたっぷり懲らしめてあげるからね!!」
「嫌ぁぁぁ~~~~~~!!!!」
久也は必死の様相で逃げ出そうとするが、女性の細腕からは想像できないしっかりした力で久也の腰を捕まえると引き戻してしまう。
「こら!お尻逃げない!」
静香は叱るように言うと再びヘアブラシのヘラの方を久也のお尻に叩きつける。
 バシィン!!バヂィン!ビッタアンッ!バアッシィンッ!
「ぎゃあっ!ひいっ!ひぎいんっ!ひいいんっ!!」
ブラシが一振りされるごとに久也は情けない声で悲鳴を上げ、背を仰け反らせた。
 「全く・・・寒いのが嫌だからって・・勝手にストーブつけて・・・」
バシィンッ!ビバチィンッ!ビダバアンッ!ダバヂィンッ!ビバダアンッ!
「ひいっ!みぎひんっ!ひぎゃあっ!はぎゃっ!ひぎいっ!」
ビッダアアアンンンン!!ババヂィィンンン!!ビダバアアアアンンン!!
「ぎゃあんっ!はびぎぃんっ!みひぎひぃんっ!」
ダバッチィィンンン!!ビッバダァアアアンン!!ビダバアアンンン!!
「それでボヤ騒ぎなんか起こして!!どれだけ迷惑かけたと思ってるの!?」
静香は厳しい声で叱りつけながら、ブラシを振るう。
ブラシという強力な道具を使っているせいか、久也のお尻は早いうちから真っ赤に染まりだしていた。
 「ふえっ・・うえっ・・だってぇ・・主任が・・言うからぁ・・・僕・・言われた・・とおりに・・した・・だけです・・ってばぁぁ・・・」
「人のせいにするんじゃありません!!!」
静香は甲高い悲鳴を上げたかと思うと、今までとは比べ物にならない勢いでブラシを久也のお尻に叩きつけた。
「ぎゃあひぃぃいいいいんんんんっっっ!!!!!」
あまりの衝撃に久也は絶叫するや、ベッドから飛び上がりそうになる。
「主任がいけないことをしようとしたら止めなきゃ駄目でしょ!それを一緒になってやるなんて何ですか!!しかも人のせいにするなんて!本当に・・・悪い子っ!悪い子っ!」
ビッダアアアアンンン!!ビバッシャアアアアアアンンン!!バビヂィィイイインンンンン!!ビダバァアアアンンン!!ドバディィィンンンン!!ビダバアアンンン!!!
「いっぎゃあああんん!!ひっぎぃぃぃんんん!!びぎゃああああんん!!ひびぎぃびぃんんんんん!!」
久也はあまりの苦痛に両脚を激しくバタつかせ、ちぎれそうになるくらいシーツを握り締める。
ビバッダァァアアアアンン!!!ババッヂィィイイインンンンン!!ババヂィンンンンン!!!ダッバアアアンンンンンン!!ビダァバダァンンンンン!!!
「ひいいいんんん!ふっえ・・うえぇぇ・・痛いっ!静香さぁんっ!痛いよぉぉ~~~!」
「当たり前でしょ!お仕置きなんだから!!しっかり反省しなさい!!」
静香は厳しい声で言うとさらにブラシを久也のお尻に叩きつける。
「うえっ・・ひっく・・ええ~~~んんんっ!痛いっ!痛ああ~~~いっ!」
「泣いたって駄目!」
久也は痛さに泣き叫ぶものの、静香は手加減することなく叩き続ける。
「やあ・・ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ちゃんとごめんなさいするからぁ!だから許してよぉ~~~」
「駄目って言ってるでしょ?今日は本当に怒ってるのよ?だからいくらごめんなさいしても許さないわよ」
「そ・・そんなぁ~~。うわあああ~~~~んんん!誰か助けてぇぇ~~~~!!」
久也は悲痛の叫びを上げるが、その声は空しく響くのみ。
そのまま、室内にブラシを叩きつける音と叱りつける声、喚き騒ぎながら許しを請う声がこだました。


 「ふっえ・・ひっぐ・・ぶえっぐ・・ごべん・・なじゃ・・び・・がえ・・ん・・なざひぃぃ・・・ぎべ・・ん・・なぎゃ・・ひ・・・」
久也はろれつの回らない声で泣きじゃくりながら必死に謝っていた。
お尻は哀れにも二倍いや三倍近くに腫れ上がり、表面は熟しすぎたトマトのよう、色はこれでもかといわんばかりに赤ペンキを重ね塗りしたかと思うほどどぎつい赤色に変化していた。
あまりにも叩かれた為に熱も凄く、まるで火が燃えているかのようにカッカッと熱を発している。
もし、素手で触ったりすれば火傷するかと思えるほどだった。
「本当に反省してるの?」
静香はブラシを振る力を弱めて尋ねた。
「じだぁ・・・じだがらぁ・・・。もう・・ただがなびでぇ・・・びっぐ・・ぶううえん・・」
久也は声を詰まらせると再びしゃくり上げる。
 バシィン!バアンッ!バチッ!ビタァンッ!
「じゃあ、何が悪かったの?言って御覧なさい」
静香は声のトーンをやや和らげると再び尋ねた。
「ひっひっ・・ひっく・・・ズドーブ・・もう・・づげじゃ・・いげながっだ・・のに・・が・・がっで(勝手)に・・づ・・づげだ・・・」
「そうよね。それから?」
バシィン!バチィン!バアンッ!
「じゅ・・じゅにん(主任)・・どべな・・がった・・・」
バシィン!ビタァン!バアンッ!バッチィン!
「ぼ・・僕・・も・・わ・・悪・・び・・のび・・じゅ・・じゅにんに・・な・・なずり・・づけ・・ようと・・じだ・・・」
「そうね。でも、まだあるでしょ?」
「え・・・?わ・・わがん・・なび・・よぉ・・・」
久也はあと何が怒られる理由だったかわからず、思わずそう言う。
バシィン!バアンッ!ビタァンッ!
「やあっ!もう・・やだああ!!」
久也は泣きながら首を左右に振ると再び逃げ出そうとする。
「やだじゃないでしょ!どれだけ心配かけたとおもってるの!?」
静香の声に久也はハッとした。
同時に動きが止まる。
 「ボヤの現場に・・久也くんが寝てたって聞いてどれだけ私がびっくりしたかわかってるの?このベッドで久也くんが寝てる間どれくらい心配したか知ってる?運が悪かったら本当に死んじゃってたかもしれないのよ、わかってるの?」
静香の言葉に久也は言葉も無く黙りこくっている。
「本当・・・無事で・・・よかった・・・」
静香はそういうとベッドにうつ伏せになった久也の腰を抱えるように抱きしめた。
「ごめん・・・なさい・・・」
久也はいたたまれない声でようやくそれだけ言う。
「本当に反省してるわね?」
静香の問いに久也は頷く。
「それじゃああと10回だけ、我慢出来る?」
久也は再びコクリと頷いた。
「いい子ね。じゃあ、いくわよ。いいわね?」
久也は再びシーツをギュッと握り締め、目をつぶってブラシが降ろされるのを待ち構えた。
 バシッ!バアンッ!バシッ!
「ひっ・・!ぎっ・・・!ぎひぃ・・・!」
既に限界に達しているお尻にはたったの一撃だけでも辛い。
久也は一撃ごとに逃げ出したくなりそうなのを必死に堪える。
(悪いのは僕・・悪いのは僕・・・。こんなに叩かれちゃうのも・・僕が静香さんに・・心配かけた・・せい・・)
バシィッ!バアンッ!ビタアンッ!バアンッ!
「ごめ・・なさい・・ごめん・・なさいっ・・!ごめん・・なさいっ!」
ビタアンッ!ビシィ!バシンッ!
「心配・・かけて・・本当に・・ごめん・・なさい・・」
息も絶え絶えな口からようやくそれだけ言ったところでブラシが止まった。


 「よしよし・・大丈夫?」
静香はベッドの縁に座ると久也を抱き起こし、膝の上に座らせて赤ん坊のように優しく抱きしめる。
「うん・・・静香さぁん・・・」
「なぁに?」
静香は優しい笑みを向けると尋ねた。
「本当に・・・ごめん・・なさい・・・。心配・・かけちゃって・・」
「わかってくれればいいのよ。久也くん、もう、あんなことしちゃ駄目よ。本当に危ないのよ」
「うん・・もうしない・・・」
久也はそう言うと静香の身体をギュッと抱きしめ、その胸に顔を埋めた。
「あらあら。甘えん坊さんねぇ」
静香は久也の行動にクスクスと笑うものの、抱きしめ返して頭をなでてやる。
久也はやがて静香の胸で寝息を立てるとそのまま眠りについた。


 同じ頃・・・上の階のある病室・・・。
ビッダアアアアンン!!バアッシィィィンンンンン!!!ビバッチィィィンンンンンン!!
「きゃああああ!!ひぎひひぃぃんんんん!!ごめんなさぁぁぁいいいいい!!!」
穴あきパドルが勢いよく叩きつけられるや、秋成の顔が苦痛に歪み、悲鳴が上がった。
野上秋成はベッドの上でお尻を高々と持ち上げた体勢でうつ伏せにされ、丸出しになったお尻を姉に穴あきパドルで容赦なく叩かれていた。
「全く何考えてるのあんたって子は!!寒いの嫌だからって勝手にストーブに火なんかつけて!!挙句の果てにボヤなんか起こして!!どれだけ皆に迷惑かけたと思ってるの!!」
「だからごめんなさいってばぁ~~~~!!!反省してるからもう許してよ~~~っっ!」
秋成は涙を浮かべたまま後ろを振り返ると、ベッド脇に立ち、鬼のような形相でお尻を叩いている姉に必死で懇願する。
「何言ってるの!!あんたみたいな悪い子は幾ら泣いても謝っても許してあげないからね!!一週間は座れなくなるくらいお仕置きしてあげるから覚悟しなさい!!」
「うわあああ~~~~~~んんんん!!!助けてぇぇ~~~~~~!!!!」
その後、病室内は野上の悲鳴と肌を堅い道具で激しく叩く音が響き渡った。


 ―完―
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