青き狼たち11(バイオレンスあり)



(バイオレンスありです。許容できる方のみご覧ください)


 「全く・・!何で僕がこんなことしなくちゃいけないんだ・・!」
「ブツブツ言うな。これも仕事のうちだろう」
不平を言うマチウスに、カイがたしなめるように言う。
二人とも、双眼鏡を手にし、向かいのビルの様子を伺っていた。
ビルの看板には『加藤興業』という、一見企業らしい名前。
しかし、社名の下には、代紋と呼ばれる暴力団のマーク。
当局からの依頼により、暴力団事務所の監視をしているのだった。
 しかし、見張りなどという、地味で退屈な仕事が、マチウスにはつまらなくてたまらない。
それがここ数日続いており、イライラを募らせていた。
そこへ、カイに言われ、思わずカッとなる。
 「うるさい!そんな年も変わらないくせに、偉そうに説教なんかするんじゃない!」
「お前こそいい加減にしたら、どうなんだ!?カンチョウの知り合いの息子だか何だか知らないけどな!!」
お互い、相手の態度に怒りを覚え、今にも掴み合いになりそうな雰囲気になった、そのときだった。
 不意に、カイの身体が硬直し、双眼鏡を構える。
「おぃ?何のつもりだ?」
怪訝に思ったマチウスは、カイと同じ方へと視線を向ける。
直後、マチウスも硬直し、目を見開いた。
 二人の視線の先には、事務所へ向かって歩いてくる一人の男。
男は左目の周囲に、ひどい火傷の跡があり、左目も失明している。
 「あいつは・・!」
カイは思わず呟く。
よく知っている男だったからだ。
 男の名は平山五太郎(ひらやまごたろう)。
水戸を本拠とする広域暴力団『芹沢組(せりざわぐみ)』の直系幹部であり、組織の戦闘隊長というべき役目についている。
警察は無論、シンセン社の持つ、日本国内における危険人物や組織のリストにも、トップクラスの扱いで載せられている人物だった。
ちなみに、芹沢組はかの芹沢鴨(せりざわかも)とその一党の子孫達によって設立された組織。
そのうち、平山五郎の子孫に当たる人物でもあった。
 マチウスも、食い入るように、平山を見つめている。
芹沢組は日本でも一二を争う、強大な暴力団組織。
その勢力を武器に、海外の組織とも太い繋がりを築いている。
その中には、アメリカの組織もあり、アメリカの当局や警備会社にとっても、芹沢組は警戒・監視の対象となる組織だった。
当然、ハーモニカ社のリストにも、載せられていた。
 二人とも、双眼鏡越しに、平山の姿を食い入るように見つめている。
平山はゆっくりと、ビルの玄関へと向かってゆく。
やがて、平山は玄関の前に立つと、羽織っていたロングコートを脱ぎ捨てる。
同時に、左手に下げていた日本刀を抜き放ち、ゆっくりとビルの中へと進んでいった。
 殴り込みだと気づくや、カイは携帯で通報しようとする。
だが、背後の足音に思わず振り返る。
「おいっ!どこへ行くんだ!?」
カイは思わず声を上げる。
拳銃を握りしめて、マチウスが飛び出していったからだ。
 「くそ・・!」
さすがに放っておくわけにはいかない。
カイは携帯をしまうと、急いで後を追いかけた。


 「く・・!」
鼻を衝く血の匂いに、思わずマチウスは不快そうな表情になる。
実際、すぐ目の前に、拳銃や刃物を手にしたまま、急所を切り裂かれて絶命しているヤクザたちの死体が転がっていた。
だが、マチウスはそのまま、平然と進もうとする。
 「おい!待て!待たないか!?」
そこへ、カイが駆けつけ、呼び止める。
「何だ?邪魔をする気か!?」
顔を合わせるなり、マチウスは怒鳴りつける。
 「お前こそ何勝手なことしてるんだ!俺達の仕事はあくまでも監視だぞ!!」
「うるさい!このままオメオメと逃がしたら恥だろう!!」
「だからって応援も待たずに飛び込む馬鹿がいるか!?」
二人はビル内に響きそうな大声で、言い合いを始める。
そんなとき、何かが転がり落ちてくるような音が聞こえてきた。
 ハッとして、二人とも、音のした方を振り向く。
直後、階段を何者かが転がり落ちてきた。
落ちてきたのは、小型の拳銃を握りしめたヤクザの死体。
「コイツは・・!?」
死体の顔を見るなり、カイはハッとする。
 「知ってるのか?」
「ここのボスだ。ん?何だ・・?」
死体をあらためるうちに、カイもマチウスも奇妙なことに気づく。
切り裂かれた服の下に、奇妙な斑点があるのだ。
正体を確認しようとしたそのとき、二人は再び階段の方を振り向いた。
 階段を、二人は食い入るように、ジッと見つめる。
見つめながら、緊張した面持ちでマチウスは拳銃を、カイは抜き打ちの体勢で脇差を構える。
やがて、階段をゆっくりと降りてくる足音が聞こえてくる。
 足音は一歩ごとに、こちらへ降りてくる。
やがて、ゆっくりと、平山が姿を現した。
全身に返り血を浴び、朱に染まった刀を提げているその姿は、何とも鬼気迫るものだった。
 カイもマチウスもゴクリと息をのむ。
平山の全身から放たれる殺気に当てられたのだ。
無意識のうちに、二人ともジワリと脂汗が噴きだし、内臓を万力で締め上げられているかのような、そんな苦悶を覚える。
 「く・・・!?」
逃げ出したくなるのを堪え、二人は武器を構える。
決して逃がすわけにはいかない。
カイは脇差を抜き放ち、マチウスもいつでも連射できる体勢を取る。
 ドンッ!ドンッ!ドンッ!
マチウスの手が撃鉄を叩くと共に、銃声が三度鳴り響く。
それに対して、刀をだらりと下げた平山の右腕が動いたと思った瞬間、稲光のような閃光が三度煌めいた。
直後、金属の打ち合う音と共に、銃弾がマチウスとカイの方へと跳ね返ってくる。
「馬鹿にするなっ!!」
マチウスは再び発砲し、跳ね返ってきた銃弾を悉く撃ち落とす。
だが、その間に、平山が間合いを詰めてきていた。
咄嗟に、マチウスは左手で予備の小型拳銃を突きつけようとする。
だが、それより先に、再び閃光が迸った。
 「ぐ・・!?」
マチウスは苦悶の表情を浮かべ、尻もちをつくように、倒れる。
その両ももは、内出血で赤黒く染まっている。
 「くそ・・!」
マチウスは座り込みながらも、拳銃を構えようとする。
だが、平山の刀が煌めくや、拳銃は半ばから切り落とされていた。
「この・・!」
平山の背後から、カイが脇差を振るって襲いかかろうとする。
だが、閃光を迸らせながら、平山は振り返る。
 「うぐ・・!?」
苦悶の表情と共に、カイは腹を押さえ、両膝をついて座り込む。
腹には大きな内出血が現れ、カイは内臓を切り裂かれた激痛に襲われる。
 「クソ・・!クッソ・・!」
マチウスは切り落とされた拳銃を構える。
もちろん、撃てるはずは無い。
それでも、闘志を叩きつけるように、平山を睨みつける。
 平山はそんなマチウスを、片目でジッと見つめ返す。
直後、マチウスに向かって、ゆっくりと歩き出した。
「く・・!うう・・!?」
ゆっくり接近してくる平山の姿に、マチウスは脂汗を噴き出す。
一歩、また一歩と距離が縮まるたび、浴びせかけられる殺気が増えてゆく。
必死に睨みつけ、殺気をはねのけようとするも、逆に圧倒され、身体が動かなくなってしまう。
やがて、平山はマチウスの傍へたどり着く。
平山は、開いている方の目でジッとマチウスを見下ろす。
対して、マチウスも睨み返す。
命の危機にも関わらず、睨み返す気丈な姿に、平山は感心したような笑みを浮かべる。
だが、それも一瞬のこと。
切先をマチウスの方へと向けると、ゆっくりと刃をマチウスめがけ、繰り出した。
 マチウスは死を覚悟する。
だが、スレスレで切っ先が止まる。
同時に、刀が上へ跳ね上がり、飛んできた何かを切断した。
 マチウスは左右に落ちた何かを見やる。
切断されたのは、鎖。
それぞれの片端に、分銅がついていた。
 平山は刀を構え、鎖の飛んできた方を見つめる。
数メートルの距離をおいて、平山の隻眼はある男の姿を認めた。
 男は30歳前後、すらりとした体格で、眼鏡の似合う、温和で知的な印象の面立ちをしている。
実際、科学者用の白衣姿が、その印象を強めていた。
男の名は山南敬介(やまなみけいすけ)。
かの山南敬助の子孫で、新選グループの幹部の一人であった。
 山南は両手で鎖を構える。
鎖の両端には分銅が付いている。
分銅鎖(ふんどうくさり)と呼ばれる、捕物などに使われた武器である。
 マチウス達を相手にするときは打って変わった、真剣な表情で、平山は刀を構える。
二人はそれぞれ得物を構え、一歩ずつ、間合いを詰めてゆく。
やがて、ギリギリのところで、二人の歩みが止まる。
 山南と平山は互いに相手をジッと見つめる。
見つめながら、殺気を相手へと放つ。
殺気と殺気がぶつかり合い、互いに強烈な圧迫感を覚える。
ジワリジワリと、汗が噴きだし、顎を伝って、床へと滴り落ちる。
 先に動いたのは平山だった。
平山の打ち込みを、山南は体捌きでかわし、鎖で受け弾く。
同時に、体当たりで吹っ飛ばそうとする。
平山も負けずに、肩からぶつかるように山南に体当たりする。
押し合いながら、両者は位置を入れ替え、間合いを離す。
そのとき、山南は平山の眼帯目がけ、分銅を繰り出した。
直後、稲光のような閃光と共に、平山の刀が一瞬消える。
山南が着地したときには、鎖が途中から切断されていた。
 「見事な切り返し・・。それが『稲光(いなびかり)』の技ですか・・」
「さすがに知っているか・・・・。その通りだ・・・。先祖代々受け継ぎ・・磨き上げてきた技だ・・・」
山南の問いに、平山はニヤリと笑みを浮かべて答える。
稲光とは、平山の家に代々伝わる奥義。
その名の通り、稲光のような神速の打ち込みを繰り出す技だ。
あまりの素早さに、斬られた部分の外皮がくっついて外に出血せず、いわゆる内出血で身体に斑点が出来たような状態になる。
先祖である平山五郎が得意とした、猛烈な切り返しの技を代々受け継ぎ、強化に強化を重ねた末に生み出した技だった。
 「ちょうどいい・・!先祖から受け継いだ恨みと因縁・・。貴様の身体に刻み込んでやる!!」
平山は狂気を帯びた笑みを浮かべる。
山南の祖先は、平山の祖先を暗殺したメンバーの一人。
まさに先祖代々の恨みの対象だった。
 「キャアオラァァァァ!!!!」
この世のものならぬ、狂気を秘めた雄たけびと共に、平山は野獣のように飛びかかる。
一気に間合いを詰めるや、狂ったように刀を振るう。
平山の刀を、山南は予備の分銅鎖で、右に左に受け流す。
鎖と刀が打ち合うたび、火花が飛び散る。
激しい打ち合いの中で、山南はだんだんと端の方へと追い詰められてゆく。
山南を追い詰めながら、平山は普通の打ち込みに織り交ぜて、稲光を繰り出す。
そのたびに、山南のズボンや上着が切り裂かれ、その下に赤黒い斑点が生じる。
壁際へ追い詰められたときには、何かの病気か?と思うほど、体中が斑点だらけになっていた。
 「ハァ・・ハァ・・・」
分銅鎖を構えているも、山南の息は荒くなっている。
「くく・・・。そろそろだな・・・。止めを刺してやる・・・」
そういうと、平山は刀をゆっくりと振り上げる。
そして、山南の胴めがけ、必殺の稲光を繰り出したそのときだった。
 山南は、神速で振り下ろされる刀目がけ、闘気でコーティングした分銅鎖を繰り出した。
鎖は刀に絡みつき、打ち込みが止まる。
「貴様・・!?」
平山は刀を引き戻そうとする。
その引き戻そうとする力を利用し、山南は平山の懐へと入り込む。
平山の右肩と右手首を掴むや否や、山南は床を蹴り、自らコマのように身体を回転させながら飛び上がる。
同時に平山の肩に凄まじい激痛が走る。
山南が着地した時には、平山の右肩は外され、不自然な方向へ腕が曲がっていた。
 「ぐぬ・・!?」
平山は左手一本で刀を構え、山南に突きを繰り出す。
それを体捌きでかわすと、山南は左手首を取り、開いている方の手で、平山の左肘に衝撃を与える。
直後、鈍い音と共に、今度は左肘が外れた。
 「ぐおおおお!?テメェ・・!?何をしたぁぁぁ!?」
「柔術と接骨術を応用して、肩と肘の関節を外させてもらいました。『番外し(つがいはずし)』といいます」
「ぐ・・!?くそおっっ!!」
平山は怒りの目で睨みつける。
 「無理です。その両腕では、刀は持てません。悪いことはいいません。降参しなさい」
山南の言葉に、平山は一瞬、抵抗をあきらめたような素振りを見せる。
だが、次の瞬間、窓ガラス目がけ、飛び込んだ。
 「しまった!?」
山南は割れた窓に駆け寄り、外を見下ろす。
平山は両腕が脱臼したまま、路上へ着地すると、そのまま逃走した。
 「これは・・失敗でしたね。私としたことが・・・」
山南は痛恨の表情で呟く。
だが、すぐに表情が変わったかと思うと、倒れているカイとマチウスの方へと歩みを進めていった・・・・。


 それからしばらく経ったある日・・・・。
バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!
「う・・!くぅ・・!うくっ!ううくぅ・・!!」
お尻を叩く音が響くたび、カイは苦悶の表情を浮かべる。
ズボンを降ろされ、むき出しにされたお尻は、すっかり真っ赤に染め上がっていた。
 バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!
「言ったはずだぞ?あくまでも監視が仕事だと。勝手な行動は許さんと」
弟子のお尻を叩きながら、近藤はお説教をする。
 バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!
「も・・申し訳ありません・・!ご迷惑をかけ・・ました・・」
「わかっているようだな。だが、許すわけにはいかん。いいな?」
「は・・はい・・!覚悟は出来てます・・!!」
師の問いに、カイは静かに頷く。
「いい心がけだ。では・・行くぞ」
近藤はそういうと、再び手を振り下ろした。
 バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!
「うっ!くぅぅ!うっく・・!あっ!あうう・・!あっくぅぅ・・!」
お尻に与えられる過酷な平手打ちを、カイは必死に耐える。
その後、お尻を叩く音と、カイの苦悶の声が部屋に響いていた。
 バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
「馬鹿っ!やめろっ!やめろぉ!何するんだーっ!!」
父親の膝の上でお尻を出した姿で、マチウスは叫ぶように抗議する。
そのお尻はカイに負けず劣らず赤くなっていた。
 「やめろじゃない。お前、わかってるのか?勝手なことをして、どれだけ迷惑をかけたと思っている?」
息子のお尻に力強い平手打ちを振り下ろしながら、チャールズはお説教をする。
 「う、うるさいなぁ!目の前に悪党がいるのに、オメオメ逃がすなんて馬鹿な真似が出来るわけないじゃないか!?」
「それが勝手なことだと言ってる。お前の仕事はあくまでも監視だ」
「うるさい!うるさいうるさい!親だからって、偉そうに説教するんじゃない!!いい加減にしないと、本気で怒るからな!!」
「本気で言ってるのか?」
息子の言葉に、さすがに表情が険しくなる。
「だ・・だったらどうだっていうんだ!!」
「そうか・・。なら、こうするまでだ」
そういうと、チャールズは膝を組む。
そして、突き上げられたマチウスのお尻目がけ、思いきり手を振り下ろした。
 バシーンッッ!!
「ぐっうう・・!!」
先ほどよりずっと強烈な平手打ちに、マチウスの表情が歪む。
 バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!
「馬鹿・・!やめ・・ひいいっ!ぎっひ!ぎゃあひぃ・・!!」
本気モードの父親のお仕置きに、マチウスの口から悲鳴が漏れ始める。
 バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!バシーンッッ!!
「やめろ・・!馬鹿!やめ・・やめて!ひいいーっ!やめろーっ!ひいいいーーっ!!」
その後、長い長い間、マチウスの悲鳴が響き続けた・・・・。


 同じ頃・・・水戸市郊外のある日本邸宅。
その一室で、二人の男が顔を合わせていた。
一人は身長180センチ前後、見事に鍛え上げられた身体を和服で包み、精悍な面立ちをしている。
もう一人はすらりとした細身の体格に、仕立ての良いスーツを身にまとっていた。
和服の男は芹沢鴨継(せりざわかもつぐ)、邸宅の主で、芹沢組の組長である。
スーツの男は新見錦助(にいみきんすけ)、芹沢組のナンバー2であり、直系の傘下組織『新見組(にいみぐみ)』の組長でもあった。
 「平山の件はどうなった?」
タバコをふかしながら、芹沢は尋ねる。
「ご心配ありません。治療をした上で、海外への潜伏も済ませております」
ボスの問いに、新見はそう答える。
 「そうか・・。ならいい。平山が高飛びしたのは痛いが・・・。身の程知らず共の始末は出来た・・・」
「全くです。組長の目を誤魔化せると思うとは愚かな奴らです」
新見は平山に斬られたヤクザ達を思い浮かべ、嘲笑するような表情を浮かべる。
加藤興業は芹沢組の下部団体。
だが、芹沢組と対立する組織に気脈を通じ、離脱しようとしていたのだ。
それに対する制裁として、平山を殴り込ませ、皆殺しにしたのである。
 「おかげで、浮ついていた奴らも落ち着きました。改めて、組長に忠誠を誓っております」
「ふん・・・。腰抜け共め。まぁいい・・・」
新見の報告に、芹沢はそう言う。
 「今回は奴らに勝ちを譲ってやる・・。だが・・・必ずや・・・」
芹沢は新選グループの面々の顔を思い浮かべ、怒りと憎悪の炎を燃やす。
それに同意するように、新見も怒りの光を静かに、目に宿していた。


 ―完―


 簡易プロフィール


 山南敬介(やまなみけいすけ)
 新撰グループ幹部の一人。
グループの製薬研究所の所長。
山南敬助の子孫で、柔術をベースにした格闘術、並びに分銅鎖などの隠し武器の使い手。
必殺技は、敵の関節や骨を外す『番外し(つがいはずし)。
イメージは堺雅人。


 平山五太郎(ひらやまごたろう)
水戸を本拠とする広域暴力団『芹沢組』の直系幹部の一人で、組織の戦闘隊長。
平山五郎(ひらやまごろう)の子孫で、使用武器は日本刀。
必殺技は、神速の打ち込みを繰り出す『稲光(いなびかり)』
あまりの素早さに、斬られた外皮は再度癒着し、内臓や血管のみが斬られた状態になる。
そのため、この技を食らうと、内出血により、赤黒い斑点が受けた場所に生じる。


 芹沢鴨継(せりざわかもつぐ)。
芹沢組組長、芹沢鴨の子孫。
必殺技などは不明。
イメージは佐藤浩市。


 新見錦助(にいみきんすけ)。
芹沢組ナンバー2並びに、傘下組織『新見組』組長。
必殺技などは不明。
イメージは相島一之(大河ドラマ『新選組!』の新見錦役)。


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