研究員/助手1

 東京都のどこかにある都市、試衛(しえい)市の一角。
この街を拠点とする財閥『新撰グループ』の総元締めたる企業『土方(ひじかた)製薬』の新薬開発部門の研究開発所。
 この中を、白衣に身を包んだ女性と、一人の男が進んでいた。
女性は年は20代後半~30代前半といったところ。
眼鏡をかけた理知的で美しい面立ちである。
彼女の名は、叶静香(かのうしずか)。
ここの主任研究員の一人で、新薬開発に活躍していた。
 男の方は、年は30代前半、総髪に端正だが、修羅場をいくつもくぐってきたような鋭い眼光を目に宿している。
身体は無駄なく引き締まり、身のこなしは、何かの武術でもやっているのか、ということを思わせるものであった。
彼の名は土方歳武(ひじかたとしたけ)。
この土方製薬の社長であった。
なお、彼はあの土方歳三の血を引く男らしく、祖先同様、天然理心流を学んでいるとのことである。
今日は、新薬開発部門の視察にやって来ており、静香が社長を案内しているのである。

 「ということでありまして…」
静香が、土方に説明しているときであった。
「うわあああーーーーーっっっ!!!!」
突然、上から声がしてきた。
ふと、頭を上げて頭上を見ると、資料らしいものが落っこちてくるではないか。
「あぶねえっっ!!!!」
とっさに土方は静香を突き飛ばし、自分も飛び退く。
書類が床に落ちると同時に、頭上から声が聞こえてきた。
「す、すいませ~~~ん。大丈夫ですか?」
二人が頭上を見上げると、上に渡してある通路の上から、誰かがおずおずと覗き込んでいた。
 覗いているのは、一人の若者。
やや小柄で、童顔とでもいうべきかわいらしい顔立ちで、一見しただけだと、高校生ぐらいに見えた。
彼の名は会津久也(あいづひさや)。
この研究開発所に入ってまだそんなに立っていない新人で、静香の助手であった。
「久也くん、いつも言ってるでしょう!慌てるなって!!」
「ご、ごめんなさ~~い」
上の通路から久也は謝るが、静香はふと、ため息をつく。
「すいません、社長。ちょっとお時間いただけますか」
「かまわねえよ…。ちょうどコーヒーでも飲もうかと思ってたしな…」
静香は社長に断ると、久也を手招きして呼ぶ。
久也が来ると、静香は彼を、自分の研究室に連れ込んだ。

 久也を連れ込むと同時に、静香は厳しい表情になる。
「久也くん…。全く…何度言ったらわかるのかしら?慌てたり急いだりするなって…?」
「ご、ごめんなさい…。つい…」
「ついじゃないでしょう!!ここじゃ薬を造ってるのよ。薬の中には危ないものもあるのよ!!もし、落としたのが薬で、しかも危険なものだったら大変なことになったかもしれないのよ!!」
厳しい声で静香は思わず叫んだ。
「ううっ。ごめんなさい…」
「全く、仕方ないわね…。久也くん…。机に手を付きなさい…」
静香が机を指し示すと、不可思議な表情を久也は浮かべた。
「し、静香さん…。ま、まさか…」
「早くしなさい」
途端に静香の声が低くなった。
これは、静香が怒っているときのしるしだ。
久也はそれを知っていたから、急いで机に両手を付いた。
「じゃあ、次はこっちにお尻を突き出しなさい」
久也は言われたとおりに、静香にお尻を突き出す。
すると、静香は久也の白衣を捲り上げるや、ズボンとパンツをずり下ろしてしまった。
途端に、成人男性のそれとは思えない、綺麗で滑らかな脚や尻が露になった。
「し、静香さん!!も、もしかして…」
久也はその先が予想出来ていた。
失敗や悪いことをしたりすると、いつもこれをされていたためだ。
「そうよ、覚悟しなさい…」
バアンッ!
静香の声と共に、久也の尻に、研究員の手が叩きつけられた。
「ひいっ。痛いよ~、静香さ~ん」
「当たり前でしょう。お仕置きなんだから!!」
そういうや、静香は容赦なく叩き続ける。
バンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッ。
「うわあ~~ん。痛い痛い痛いってばああ~~~~」
「だったら言うことがあるでしょう?」
「うわあああ~~~ん。ごめんなさ~~~い。もう二度と慌てて物を落としたりしませ~~~ん!!!許して静香さ~~~ん」
叩かれながら久也が謝ると、静香はお仕置きをやめた。
静香は叩くのをやめると、痛みにぐずる久也を優しく抱きしめてやる。
「全く、昔からいっつも世話焼かせるんだから…」
二人は家同士が仲が良かったので、年は離れていたもののいつの間にか、恋人同士になり、やがては一緒の仕事場で働くようになった。
というより、久也が静香の後を追っかけてここに入ってきたのだが。
「ううう、ごめんなさい、静香さん…」
「いいわ、わかってくれたのなら…。そうね、わかってくれたご褒美に、帰り、どこかで一緒にケーキでも食べない?久也くん、甘いもの好きでしょう」
「じゃ、じゃあもんぷちっくで」
「沙耶さんと大輔くんのところね…。そうね、あそこのケーキは絶品だしね」
その後、静香は社長を案内した後、久也と一緒にケーキ屋『もんぷちっく』で、恋人同士のスイートタイムを楽しんだらしい。


 ー完ー





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