王国軍中尉ルチア・ルヴェル5 監督責任



 双眼鏡を手にしてルゥ少尉はジッと向かい側を見つめていた。
見つめているのは一軒のビジネスホテル。
そのホテルの一室を双眼鏡で見張っているのである。
 「伍長、何か動きは?」
ルゥ少尉は盗聴器についている部下に尋ねる。
「いえ。今のところ変わった動きはありません」
「そう・・」
「あっ!!少尉、あれを!!」
 部下の一人が声を上げるや、何かを指さした。
部下が指さした方をルゥ少尉が見やると誰かが通りを歩いている。
通りを歩いている人物をルゥ少尉は双眼鏡で細部に至るまで観察する。
「間違いないわ・・・」
ルゥ少尉は確信に満ちた表情で呟いた。
変装こそしているものの、間違いなく自分たちが追っている人物なのは明らかだった。
謎の人物はルゥ少尉達が見張っているのを尻目に監視されているビジネスホテルへ入っていった。


 気配を感じ取るや、男はドアへ警戒の目を向ける。
男は180センチを優に越す身長の持ち主で肩幅広く力強い体格の持ち主。
頬には見事な頬ひげを生やしており、ゴリラを思わせる厳つい顔立ちをしている。
肌や髪の色などからドイツ系と推察できた。
男は上着に手を差し入れたかと思うと脇の下に吊るしてある自動拳銃を取り出した。
拳銃を手にして扉の脇にへばりつくと
「誰だ?」
と誰何する。
直後、トン、トトトン、トントントンといった様子でノックが聞えてきた。
そのノックを聞くと男はドアから離れる。
同時に扉が開いて何者かが入ってきた。
 入ってきたのは中背で痩せ型、黒眼鏡をかけてあごひげを生やした男。
男は扉を閉めると顎のあたりに手をかけてむしりとるような動作をした。
次の瞬間、顔の皮がめくれてその下から別の顔が現れた。
 その顔は40代くらい、髪や目の色から日系と思しき男。
猛禽を思わせる鋭い面立ちと目つきの持ち主だった。
男の名は戸田一刀(とだいっとう)。
ビジネスマンという肩書でゴリラのような男ことジッキンゲンと共にこの部屋に泊まっていた。
「遅かったな。何かあったのか?」
「いや。交渉が長引いただけだ。だが、話そのものはまとまったから安心してくれ」
「では・・・」
「ああ。我らと共にアメリカ大使並びに連中と結びついている輩を討つことに同意した」
「そうか。うまくいったか」
戸田の言葉を聞くとジッキンゲンは嬉しそうな表情を浮かべる。
 「これで・・・これで・・・閣下のお恨みを僅かながらでもお晴らし申し上げることが出来る・・・」
「ああ・・。草葉の陰で殿下も喜んでおられるだろう・・・」
「それにしても・・・許せんのはアメリカ政府よ・・。散々殿下を利用しておきながら裏切りおって・・・」
「そうだ!アメリカ政府やそれに手を貸すものどもは一人残らず天誅を下してやろうぞ」
二人は話しているうちの過去のことを思い出したのか、アメリカ政府に対する怒りをあらわにする。
 彼ら二人は元々傭兵であり、十年ほど前までアフリカのある王国の王族に仕えていた。
その国はアフリカ諸国の例に漏れず豊富な地下資源に恵まれており、そのためにアメリカをはじめとする大国のエージェントなどが裏で暗躍し、それと共に国内の諸勢力が暗闘を繰り広げていた。
彼ら二人もそういった状況下でさる派の領袖であった人物の股肱として働いていたのだ。
その彼らの主の名はスファツォンといい、王族であったため戸田たちは今なお殿下と主君のことを呼んでいた。
スファツォン派はアメリカの援助を受けて国内に大きな勢力を振るっていたが、彼らが殿下に仕えていた最後の1,2年の間に国内の勢力地図に変動が起こり始めた。
それによりスファツォン派は勢力を失ってしまうことになった。
無論、彼らとて手をこまねいていたわけではない。
必死に建て直しを図ったもののもはやどうにもならないレベルにまで達してしまっていたのだ。
それを見て取るや、それまで後援者であったアメリカは方針を転換した。
スファツォン派の敵対勢力であり、勢力変動によって取って代わったバラガス派に接近したのである。
それはバトロゥルオーの変と呼ばれる出来事によって決定的となった。
その事件が起こるしばらく前、アメリカはスファツォン派に対して彼らの意を受けた傭兵部隊を与えた。
表向きはスファツォン派の援助のためであったが、真の目的は密かにバラガス派を手引きするためであった。
この部隊によりスファツォン派は彼らの拠点であったバトロゥルオー宮殿に易々と侵入を許してしまい、落ち延びた一部の者を除いて皆殺しという憂き目にあったのである。
アメリカによる手ひどい裏切りに無論、生き延びた者たちは強い憤りを覚えずにはいられなかった。
戸田たちは中東へ落ち延びた後、反米を掲げる組織に身を寄せ、その組織の元で様々な反米テロ活動に携わっていた。
 今回はヴィクトール王国内に存在する反米過激派と手を組み、大使館や米国系企業への攻撃を目論んでいた。
そのために反米を掲げる組織の領袖や政治家のところを先程まで回って交渉をしていたのである。
 不意に二人は気配を感じ取った。
それも一人や二人ではない。
気配を感じ取るや、戸田はベッドの下から細長いものを引っ張り出した。
戸田が引っ張り出したのは日本刀。
鞘から抜き放つや、氷柱のようなきらめきを放つ刃が現れた。
一方、ジッキンゲンの方もアタッシュケースを引っ張り出してきたかと思うと、ケースの外についているスイッチらしきものを操作する。
するとケースの片端上部に穴が空き、中から銃身が飛び出してきた。
銃を仕込んだアタッシュケースを扉の方へ向けたかと思うと、ジッキンゲンは取っ手に仕込まれている引き金をおもむろに引いた。


 「どうして止めなかったの!!」
「す・・すいませんっっ!!」
ルチア中尉はルゥ少尉の部下を叱りつけるや、少尉の部下は平謝りに謝った。
ルチアが現場へ到着するのが遅れたため、ルゥ少尉は痺れを切らして自身の判断で突入してしまったのである。
それと行き違いになったかのようにルチア中尉が現場に到着し、大急ぎで戸田たちの泊まっているビジネスホテルへ向かっているのだ。
 ルチア中尉は全身黒ずくめで短機関銃や防弾着で完全武装した兵士達を後に引き連れてホテルの階段を必死に登ってゆく。
そのとき、突然頭上で銃声が幾重にも重なって鳴り響いた。
全員ハッとして階段の上を見やる。
直後、急ぎ早に階段を降りてくる足音が鳴り響いた。
やがて、ルチアたちの前に銃仕込のケースをぶら下げたジッキンゲンが現れた。
 「くそっ・・・」
ジッキンゲンはケースの銃口をルチアたちに向ける。
だが、ジッキンゲンが引き金を引くよりも早く、ルチアの両手の拳銃が二挺とも火を吹いた。
「ぐぎゃあっ!!」
両二の腕を撃ち抜かれたジッキンゲンは声を上げるや、ケースを放してゴロゴロと階段を転がり落ちる。
踊り場まで転がり落ちてきたところで兵士達の銃口が倒れたジッキンゲンに突きつけられた。
 二人の隊員がジッキンゲンを拘束して外へ連れ出すのを尻目にルチアは兵士達を連れて上の階へ再び上がってゆく。
「なっ・・・・・」
目的の階へたどり着くなり、ルチアは声を上げそうになる。
そこはまさに修羅場だった。
 左右の壁やドアには弾痕が刻み付けられ、中には人一人通ることが出来るほどの穴が空いている箇所もある。
所々には先に突入した兵士たちが倒れていた。
 倒れている兵士達を踏まないように気をつけ、同時にあたりを警戒しながら一行は慎重に進んでゆく。
「中尉!まだ息があります!!」
不意にルチアに従っている兵士の一人がまだ息のある負傷者を見つけた。
ルチアはすぐにも駆けつけるとそれがルゥ少尉なのに気付く。
 「ルゥ少尉!しっかりしなさい!!」
ルチアはルゥの上半身を抱え起こすと呼びかける。
「せ・・・先輩・・?」
ルゥ少尉はうっすらと目を開いてルチアの姿を認めると弱々しい声で尋ねた。
「一体何があったの?」
「そ・・それ・・」
話そうとしてルゥの表情が強張った。
ルチアはその様子にハッとし、天井を見上げる。
すると天井のある箇所に亀裂が走っていた。
亀裂はあっという間に周囲に広がっていったかと思うと、ガラガラッという大きな音と共に天井が崩れ、崩れ落ちた瓦礫と共に何かが飛び降りてきた。
 飛び降りてきたのは一人の男。
戸田一刀だ。
戸田は立ち上がったかと思うと一気に兵士達に向かって飛び込んだ。
兵士達の眼前で二度、白刃が煌めいたかと思うと二人の兵士がうめき声を上げて床に倒れる。
その後ろにいた兵士たちがすかさず引き金を引いて発砲するが、それよりも先に戸田が天井すれすれを滑るようにして飛びあがった。
 「「「ううあっっ!!!」」」
うめき声が重なったかと思うと三人の兵士が首筋を押さえて床に倒れる。
三人とも一撃で、しかも正確に首筋を切り裂かれていた。
 パアンッ!!パンパンパアアンンッッッ!!
不意にルチアの両手の拳銃が唸りを上げた。
数発の弾丸が戸田の胴目がけて襲いかかる。
だが、戸田は片側の壁に張り付くように移動して弾丸をかわす。
かわすと同時に戸田は一気に間合いを詰めて突きを繰り出した。
ルチアは半身になって剣をかわすと拳銃を突き出し、引き金を引こうとする。
だが、刀の切先がピタリと吸いつくように銃身についたかと思うと、もの凄い勢いで拳銃を巻き込んで跳ね飛ばした。
 「くっっ・・・・!!」
拳銃は天井まで高々と勢いよく跳ね上がり、同時にルチアの右腕は肩が脱臼するかと思うほどの勢いでグルリと回る。
そのため、苦痛が身体に走って一瞬、動きが止まる。
その隙をついて戸田がさらに間合いを詰め、同時に突きを繰り出してきた。
本能的にルチアも銃をぶっ放した。
その後のことは覚えていない。
脇腹に焼けた杭を突っ込まれたような苦痛と熱さを感じたかと思うとそのまま意識を失ってしまったのだ。


 「先輩、おいしいですか?」
ルゥ少尉は自分がお見舞いに持ってきた果物をルチアが食べるのを見ながら尋ねた。
「えぇ、ありがとう、ルゥ少尉」
「いえ・・。それよりすいません・・私のせいで先輩をこんな目に合わせてしまって・・」
ルゥはシュンと顔を落とすとそう言う。
自分の勇み足のために先輩のルチアを入院させる羽目になったのだから無理もなかろう。
「そうね。でもこれでわかったでしょう?焦りは禁物だって」
「はぃ・・・本当に・・ごめんなさい・・・」
 「おや。大分よくなったようだねぇ」
不意に男のものと思しき声が聞えてきた。
二人がドアの方を見やるとお見舞い用のメロンをぶら下げた大佐の姿があった。
「あっ・・・大佐っっ・・」
ルゥ少尉は慌てて敬礼をする。
「ルゥ少尉、すまないがルチア中尉と二人にしてくれたまえ。話したいことがあるのだよ」
「は・・はぃ・・・わかりました・・。先輩・・失礼します」
ルゥ少尉はそういうと病室を後にした。


 「さて・・・ルチア中尉、もう傷はよいのかね?」
「はぃ。何とか。ご心配をおかけしたようで申し訳ありません」
「それならよかった。ところでルチア中尉・・・。ちょっと小耳に挟んだのだが・・・今回の失敗は何でも君の部下の勇み足だそうだね?」
「はぃ・・。申し訳ありません」
「申し訳ないで済むと思っているのかね?君の部下の失態のおかげでどれだけの兵士が傷ついたと思っているのだね?」
その問いかけにルチアは思わずシーツを握り締め、両腕をブルブルと震わせる。
自身がキチンとルゥ少尉を抑え切れなかったばかりに追っていたテロリストには逃げられ、捕り物に参加した兵士達を負傷させてしまうという事態を招いてしまったのだ。
誰よりも責任を感じていたのは中尉自身だった。
 「このようなことを引き起こしたのだから・・・覚悟は出来ているだろうね?」
「は・・はぃ・・。ど・・どのような・・・処分でも・・覚悟しています・・・」
震える声でルチアは答えた。
大佐が来た以上、どのような処分が下されるかは既に予想がついていた。
しかし、それでも逃げることは出来なかった。
自分自身が悪いのだから。
 「ふふふふ。いつもどおりよい返事だ。ふふふふ・・・それでは私の膝に来たまえ」
大佐はニヤニヤと意地悪げな笑みを浮かべ、椅子に座ったまま自分の膝を軽く叩いた。
「わ・・・わかり・・ました・・・」
ルチアは震える声で言うとベッドからゆっくりと降りて大佐の前に立った。
だが、いざ大佐の膝に視線を落とすと自然、動きが強張ってしまう。
「どうしたのかね?まさか怖いのかね?」
大佐はわざと意地の悪い声でそう尋ねる。
「い・・いえ・・」
ルチアはそういうとおずおずと大佐の膝に乗った。
 「ふふふふ・・・いい子だ」
大佐は笑みを浮かべるとルチアのパジャマのズボンを降ろす。
あっという間にお尻があらわになった。
「あ・・・っっ・・」
お尻に外気を感じるや、ルチアは無意識に顔を赤らめる。
恥ずかしいのだろう、両肩が小刻みに震えていた。
大佐はその姿を見るや満足げに笑みを漏らす。
「ではお仕置きの時間だ。さぁ、覚悟したまえ」
大佐はそう言うとルチアの腰をしっかりと押さえつける。
身構えるようにルチアのお尻にギュッと力が入ったのを見ると、大佐は手を振り下ろした。


 パアシィンッ!
「あ・・・っっ・・!!」
甲高い音と共にジィ~ンという痛みがお尻に走った。
パシィンッ!パアンッ!ピシャアンッ!パアンッ!
ルチアはジッと目をつむり、大佐のズボンを裾を掴んで唇を一文字に結んでいる。
パアシィンッ!パアアンッ!パシィンッ!ピシャアンッ!パアンッ!
ルチアは声を立てまいと懸命になっているがやはり痛いのだろう、一打ごとに表情がかすかに変わった。
 (ふふふ・・・可愛いなぁ・・)
大佐はルチアの態度にいつものように愛おしさを感じる。
みっともないところや弱いところを自分に決して見せまいとするその態度がたまらなく可愛かった。
だが、同時に意地悪な気持ちがムクムクと頭をもたげてくる。
小さな子供のように悲鳴を上げさせたい、アンアン泣かせたい、そういう感情に捕らわれるのだ。
そして大佐はそういう姿により愛しさを感じる人間だった。
(ふっふ・・・君の可愛い姿を見せてもらうよ・・ルチア中尉・・)
大佐は心中でそう呟くと中尉のお尻を叩く手にさらに力を込めた。
 バシィンッ!バアンッ!バシンッ!ビシャアンッ!
「・・っ・・ぁ・・ぁ・・ぅ・・」
打撃が強くなったせいか、さすがにルチアの口から声が漏れ始めた。
お尻の方もホンノリとピンク色に染まり始めている。
バシィンッ!バアアンッ!ビシャアンッ!ビシャアンッ!
「全く・・・君ともあろうものが何をやっているのかね・・・」
中尉のお尻を叩きながら、大佐はお説教を始めた。
ビシャアンッ!バアシィンッ!ビシャアンッ!ビシャアンッ!
「あ・・・ぅ・・・く・・ぅ・・・」
ビシャアンッ!バシィンッ!ビダアンッ!バチィンッ!
「部下の独走を許し・・・将兵達を負傷させ・・・」
バアシィンッ!ビシャアンッ!バジィンッ!バアンッ!
「うっ・・!くぅ・・!ああっ・・!うぁっ・・・!」
ルチアはうめき声を上げると身体を震わせる。
「しかも戸田を取り逃がした・・・」
バアシィンッ!ビシャアンッ!バアジィンッ!バシィンッ!
「あっ!ああっ!くうっ!ううっ!」
ルチアは背を仰け反らせて悲鳴を上げる。
額にはジットリと脂汗が浮かんでおり、お尻は見事なワインレッドに染め上がっていた。
「本当に・・・悪い子だねぇ・・・悪い子・・・悪い子・・」
バジィンッ!ビシャアンッ!バアアンッ!バアジィンッ!
大佐はダメ押しと言わんばかりに容赦のない平手打ちをルチアのお尻に叩きつけた。
 「も・・申し訳・・ありません・・・全て・・全て・・・私の・・失態・・です・・」
ルチアはハァハァと荒い息を吐きながら大佐に謝った。
「反省しているのかね?」
「は・・はぃ・・・」
「ならば言うことがあるだろう?」
大佐はニヤリと笑みを浮かべて尋ねる。
その言葉にルチアの表情がやや強張った。
 「た・・大佐・・そ・・それだけは・・・」
「チチチチチチ・・・。何を言っているのだね。いつも悪いことをしたら『ごめんなさい』と言いなさいといってあるだろう。忘れたのかね、君ともあろうものが?」
大佐の意地悪な表情にルチアは顔を赤くする。
幾ら自分に非があるといってもそれだけは嫌だった。
だからつい黙ってしまう。
「おやおや。まだ本当に反省してはいないようだねぇ。それではまだまだ許すわけにはいかないな」
大佐はそう言うと両脚を組む。
おかげでルチアはお尻を突き上げる体勢になった。
 「あ・・・」
思わずルチアが声を漏らしたと同時に、再び平手が襲ってきた。


 バアシィ~ンッ!ビッシャ~ンッ!ビッダ~ンッ!バッア~ンッ!
「きゃあっ!あああっ!くっ!ああっ!」
ルチアは今までに無い大きな悲鳴を上げた。
お尻が突き上げられたことでより大きな苦痛が襲うようになったのだ。
ビシャアア~~ンンッッ!!バアシィ~~ンンッッ!!バアア~~ンンッッ!!
「ああっ!!きゃあっ!!ひぅあっ!!」
容赦の無い平手打ちと共にルチアの悲鳴が上がる。
バアシィ~~ンッ!!ビシャア~~ンンッッ!!バッシィィ~~ンンッッ!!
「やめ・・やめて・・やめて・・・」
ビシャア~~ンンッッ!!バッシィ~~ンンン!!バアアア~~~~ンンンッッ!!
「ひ・・痛ぁ・・・きゃ・・・」
ルチアは息も絶え絶えといった様相になり、目にはジンワリと涙も浮かんでいた。
バアシィ~~ンッ!バッアア~~ンンッッ!ビッシャア~~ンンッッ!
「やめ・・やぁ・・許し・・許して・・・」
耐え切れなくなったルチアの口からそんな言葉が漏れる。
だが、大佐は容赦なくお尻に平手を叩きつけ続けた。
「大佐・・もう・・やめて・・やめて・・やめて下さいぃぃ・・・」
ルチアは恥も外聞も無く大佐に許しを乞うた。
もはやお尻は限界に達している。
プライドや面子にこだわっていたらお尻が本当に壊れてしまいかねないと思えた。
 「では言うかね?」
「いい・・言います・・言います・・から・・ごめっ・・ごめん・・ごめんなさいっ・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・・」
「よしよし・・いい子だ。それでは許してあげよう」
大佐は笑みを浮かべるとようやくお尻を叩く手を止めた。


 おのれ!!おのれおのれおのれおのれおのれおのれ!!
おのれ!!おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ!!
ガタガタと揺れるトラックの荷台の中、ジッと押し黙ったまま戸田は腹の中で叫んでいた。
ルチアを突き刺したものの、戸田も無傷ではすまなかった。
胸や腹に銃弾を数発喰らったのだ。
そのため、それ以上戦うわけにはいかず、その場から逃走する羽目になった。
手当てをしたために命は取り留めたが、当局の手が回ってしまったために当初の計画を実現することは出来なくなり、こうしてトラックの荷台に潜んで密出国する羽目にもなったのである。
 (このままでは終わらん!アメリカ政府もそれに手を貸す輩も必ず滅ぼしてくれる!)
戸田はガタガタと揺れる荷台の中で決意を新たにする。
その目は激しい憎悪と怒りに燃え盛っていた。


 ―完―
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