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契遼州物語8(ショタ/ショタ)



 その日、いつものように、近方が、管轄区域内の巡回を終えて、戻って来たときのことだった。
「どうした?何をソワソワしている?」
近方は留守番の兵士達が、落ち着かない様子なのを、すぐに察知する。
 「あっ!隊長!お帰りなさいませ!!」
兵士の一人が敬礼しつつ、急いで挨拶する。
「『お帰りなさいませ』ではない。どうしたのだ?何かあったのか?」
「す、すみません。実は、隊長を訪ねてお客様がいらっしゃいまして。総督室にて、お待ちしております」
「何?誰だ?」
近方は怪訝な表情を浮かべる。
来客の予定など、無いはずだからだ。
 「まさか・・・佐々原か?」
近方は思わず嫌そうな表情を浮かべて、尋ねる。
アポも取らずに来るような失礼な輩といったら、まず思い浮かぶ相手だからだ。
「いえ、佐々原様ではありません。実は・・・」
兵士の一人が、恐る恐る近方に、来客の名を告げる。
「何!?まさか・・・冗談では無かろうな!?」
「そ、そんな・・滅相も無い!!本当です!!」
近方の問いに、兵士は必死に答える。
「おやおや?どうしたのです?随分と・・騒がしいようですが・・・」
近方と兵士達のやり取りを聞きつけたのか、近方達とは別の声が、人影と共に現れた。
 現れたのは、近方と同年代の少年。
天然パーマ気な艶のある緑髪と、同色の瞳が印象的な、おっとりさと高貴さのない交ぜとなった雰囲気の持ち主だ。
おっとりげな感じが余計に中性的な美しさを、強調している。
 「入雲宮様!!」
少年の姿に、近方は思わず敬礼する。
少年は、扶桑国の王家である人皇(じんのう)家の一人、いわゆる皇族だ。
名は入雲宮(いるものみや)。
扶桑国開拓地の主要都市・大順(だいじゅん)に数年前に創建された、契遼神宮(きつりょうじんぐう)の神主を務めている。
契遼神宮は、開拓地の総鎮守として創建され、また人皇家の祖先神を祀る国家的な宗教施設の為、皇族の一人である入雲宮が、神主に任命・派遣されている。
 「何故このようなところに・・・!?神宮の方はどうされたのですか!?」
近方は思わず尋ねる。
少年ながら、入雲宮には、神宮の主として、様々な務めがある。
ここに来る余裕など、無いはずだ。
 「ああ・・・。それですか・・・。実はその・・・・」
入雲宮は、気まずそうな表情を浮かべ、語尾がはっきりしなくなる。
近方は部下の方を振り向くと、二人だけにするように命令する。
部下達が出てゆき、二人きりになると、近方は厳しい表情で、入雲宮と向き合う。
 「入雲宮様・・・・務めをサボって、出て来ましたね?」
「す・・すみません・・!!その通り・・です!!許してください!!」
入雲宮は必死に頭を下げて、謝る。
 「やはり・・・。何故、そんなことをされたのです!?」
近方は出来るだけ声のトーンを抑えつつ、尋ねる。
「ごめんなさい・・・。あまりにも公務が忙し過ぎて・・・本当に・・すみません・・・」
「宮様が大変なのは、よくわかっております。しかし・・・公務を放棄するのは・・いかがなものでしょう。それに・・・・その為に、迷惑を蒙る者もいるのですよ?」
「わ・・わかっています・・。少ししたら・・・ちゃんと戻ります・・・」
「わかっていただければ、よろしいです。神宮の方には、私の方から、うまく説明しておきますから」
「ああ・・。いつもすみません・・。感謝します」
近方の言葉に、入雲宮は、安堵の表情を浮かべる。
 「ですが・・・。入雲宮様のしたことを、見逃すわけにはゆきません。お仕置きは・・受けていただきますよ」
「わ・・わかり・・ました・・・・」
入雲宮は、自分でズボンを降ろして、お尻を出すと、おずおずと近方のもとへとゆく。
近方は、椅子に腰を降ろすと、お尻を出した入雲宮を、自身の膝の上に乗せた。
 「では・・・始めます。しっかり・・・反省して下さい」
近方はそう言うと、ゆっくりと手を振り上げた。


 バッシィィィンンン!!!
「あ・・・!?」
お尻を叩かれ、入雲宮は、思わず声を漏らす。
 バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!
「あ・・!う・・・あぁ・・!い、痛・・」
続けてお尻に落とされる平手に、宮は、苦しげな表情を浮かべる。
 「入雲宮様・・・・。全く・・貴方は何をしているのですか・・・」
宮のお尻に平手を落としながら、近方はお説教を始める。
バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!
「大変なお立場なのは、わかっております。時には・・全て、投げ出したくなるのも、無理からぬことでしょう」
宮のお尻を叩きながら、近方は察するように言う。
バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!
「う・・・ひぅ・・・!痛・・・!うう・・!痛あ・・・!?」
お尻を叩かれる苦痛に、宮は脂汗を流す。
 バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!バシッ!バアンッ!バシッ!バシンッ!バァンッ!
「されど・・・宮様のしたことは、許されることでは・・ありません!!宮様が、こうして職務を投げ出したことで、多くの者に迷惑がかかるのです!!それを・・おわかりですか!?」
近方は平手の勢いを強めつつ、入雲宮に、お説教する。
 「ひぃう・・・!ご、ごめんなさい・・・!!皆には・・ちゃんと・・謝ります・・!!」
入雲宮は、涙を流しながら、近方に謝る。
「謝るだけでは、不足です!一番大事なコトは、何ですか?」
宮のお尻を叩きながら、近方は問いかける。
「ひっう・・・!も、もう・・務めを投げ出したり・・しません・・!!約束・・・します!!」
「その言葉・・・嘘ではありませんね?」
「もちろんです!神かけて・・・誓います!!」
「わかっていただけて・・何よりです・・。ですが・・・」
近方は一旦、言葉を切ると、思いきり手を振り下ろす。
 バッシィィィぃンンンン!!!
「うわああああ!!!!!!」
とびっきりの一撃に、入雲宮は背をのけ反らせて、絶叫する。
 「もし、約束を破った際には・・この程度のお仕置きではすみませんよ。よく・・覚えておいて下さい」
近方の言葉に、宮は必死に頷く。
それを見ると、近方はようやくお尻を叩く手を止めた。


 「宮様・・・。大丈夫ですか?」
真っ赤にお尻に氷嚢を載せた宮に、近方は思わず声をかける。
「大丈夫です。それより・・貴方には、迷惑をかけました。すみません」
「いいのです。まぁ・・・宮様、どうしても・・・というときには、私にご相談ください。私で出来ることなら・・・力になります」
「ありがとう、その気持ちに感謝します。しかし・・・私も、もう戻らねばなりません。皆に迷惑や心配をかけましたしね」
「では・・私もお供します。宮様お一人で行かせるわけにはいきませんから」
近方はそう言うと、お尻を仕舞った宮を支えつつ、共にその場を後にした・・。


 ―完―

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