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王国軍中尉ルチア・ルヴェル6 大喧嘩



 その日もいつものようにマウロ少尉はムスッとした、不機嫌そのものといった表情だった。
マウロが座っているテーブルのあたりだけ、空気がマイナスレベルまで低下してしまっているような雰囲気だった。
 「あ・・あの・・ご注文は・・・」
オドオドした様子で、バイトらしい店員がマウロに尋ねてくる。
マウロは市内のさるイタリアンレストランにいた。
昼時なので食事に出てきたのだ。
司令部内の食堂でも食べられるのだが、最近はどうやら司令部の食堂のパスタには飽きたらしく、近辺のイタリアンレストランを回って食事をしているようだった。
 「カルボナーラ・・・」
ムスッとした声でマウロは呟くように言う。
「カルボナーラですね・・・」
「そうだ。わかってんならさっさと行けよ・・・」
マウロはそう言うと睨みつける。
注文を聞いていたバイトはブルッと震え上がると慌ててテーブルから去っていった。
 (ふん・・・いけるじゃねえか・・・)
運ばれてきたパスタを口に運びながらマウロは満更でもない様子で評価をしていた。
彼はかなり好き嫌いが多く、イタリアン料理以外はろくに手もつけない。
しかも結構味にうるさい。
だから、本当にうまいと思っていなければ、こういう姿は見せなかった。
(また・・・来ても悪くはねえな・・・)
マウロはそう呟きながら食事を終えると勘定を済ませようと席を立った。
 店を出たマウロが司令部に戻ろうとしたそのときだった。
不意に向こうから数人の男達が固まってやってくる。
一番端にいた男とマウロの肩がすれ違いにぶつかった。
 「おい!どこ見て歩いてんだ!気をつけろ!」
どう見ても堅気ではないその男は振り返るなり、マウロにそう怒鳴りつける。
「あぁ!!」
マウロはそう声を上げるや、キッと睨みつけて振り返った。
「テメェこそぶつかってきたんだろうが!そっちこそ気をつけろ!」
「んだとぉ!このアマァ!黙ってりゃあいい気になりやが・・・」
ヤクザ者らしい男達が凄みかけるや、いきなりマウロの拳が飛んできた。
マウロの目の前にいた男は衝撃でクルリとコマのように回るや、そのままぶっ倒れる。
 「俺は男だ!よく見ろこの野郎っ!」
癇癪を起こしマウロは怒鳴りつけるように叫んだ。
絶世の美貌が災いしてマウロは女と間違われてしまうことがあった。
マウロにとってそれは非常に我慢ならないこと。
そのため、女呼ばわりされると無意識に相手をぶん殴ってしまうのであった。
「この野郎・・・やっちまえっっ!!!」
仲間がやられたのを見るや、ヤクザ連中も激昂し、懐からナイフや拳銃を引っ張り出した。


 それからしばらく経った頃・・・。
サイレンの音が響き渡ったかと思うと軍用車が通りに近づいてくる。
車はルゥ少尉が運転しており、助手席にはルチアが座っていた。
 「全く・・どこの誰でしょうねぇ・・喧嘩なんて・・」
ルゥ少尉は憤慨した声で言う。
二人は司令部への通報で、若い軍人がヤクザ者と街中で喧嘩しているという知らせを受けて現場へ出向いてきたのである。
 車を停めて降りると、二人とも拳銃を構える。
銃を手にし、緊張した面持ちで二人はゆっくりと通りを進んでいった。
しばらく進むと、やがて喧嘩の当事者達が見えてきた。
ヤクザ達の方は2人が路上に転がっている。
死んではいなかったが、手ひどくやられたのは明らかだった。
しかも、周囲をよく見てみるとレストランの窓ガラスが割れており、店内に柄の悪い男がぐったりして気絶している。
投げ飛ばされたか何かでレストラン内へ叩き込まれてしまったのだと想像できた。
 「先輩・・・!!」
ルゥ少尉が何かに気付いて指さした。
指さした先にはもう一人の喧嘩の当事者である若い軍人の姿。
その姿を見るや、ルチアにもマウロだと言うことに気がついた。
 「また・・・あの子ですよ・・。全く・・懲りない子なんだから・・」
ルゥ少尉は呆れたように呟く。
以前にも二度ほど出会った事があったが、トラブルに巻き込まれ、しかも癇癪を起こしたマウロに突っかかられるなどしたため、あまりいい感情を持っていなかった。
「とにかく・・行くわよ・・やめさせないと・・・」
「はい」
二人はそう言うとマウロを説得しようと歩き始めた。
 「ひぃっ・・・」
ただ一人残っているヤクザ者は咽喉元に突きつけられたサーベルを見つめながら脂汗を滴らせていた。
「おい・・・よくも人のこと女呼ばわりしてくれたな・・」
マウロはまるで般若か夜叉のような凄まじい表情を浮かべている。
声も低く怒りが籠っており、斬ってしまう気なのは間違いなかった。
マウロがグッと腕を後ろに引き、まさに突きを繰り出したそのときだった。
 銃声が一発轟いたかと思うや、マウロのサーベルが半ばから折れ、刃が弾け飛んだ。
ハッとしたマウロが振り返ると、銃を構えたルチアの姿が目に入った。
「何すんだよ!」
自分を侮辱した者に落とし前をつけさせてやろうとしたのを邪魔され、マウロはルチアに叫ぶように言う。
「やめなさい!」
ルチアは銃を構えて命令する。
「うるせえっ!邪魔すんなあっっ!!このオバンっっ!!」
激昂したマウロはサーベルの代りに拳銃を引き抜く。
だが、ルチアが引き金を引くと同時に銃が跳ね飛んだ。
 マウロは落ちてくる銃を掴み取ろうとするが、ルチアは数度発砲し、マウロの手に届かないところへ銃をやってしまう。
「まだ・・・やる気かしら?」
ルチアは冷ややかな声で言うとマウロに銃口を向ける。
マウロは悔しそうな表情を浮かべ、今にも飛びかかろうとする。
だが、ルチア中尉達以外にも軍の車が駆けつけてくるのを見て、これ以上はマズイと思ったのか、渋々降参した。


 ブスッといういかにも不機嫌極まりない表情で、マウロ少尉はメッシナ大佐の執務室の来客用ソファに座っていた。
(クソッ!クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソッッ!!)
心中で激しく罵りながら、マウロはマグマのように怒りをフツフツと煮え立たせていた。
 彼にとっては今日は最悪の日だった。
どこの馬の骨だかわからない奴等に女呼ばわりされた挙句、最後の一人をとっちめようとして愛刀を銃で撃ち折られてしまった。
しかも、自分の剣を折った上に連行したのはルチアとかいうあのいけ好かない女中尉。
(あの・・疫病神っ!?)
マウロは怒りに表情を歪めると、ルチアに八つ当たりするかのように心の中で吐き捨てる。
マウロが心中で怒りにとぐろを巻かせていると、メッシナが入ってきた。
 「ちゃんと待ってたのね。いい子だわ」
メッシナはからかうように笑みを浮かべるが、マウロは無視する。
「さぁて・・・マウロ少尉・・何故呼び出されたかわかるかしら?」
「フン・・知るかよ・・・」
マウロはブスッとして答える。
「マウロ少尉・・・街中で喧嘩沙汰を起こしたそうね?」
「あ?それがどうかしたかよ?」
「反省してないのかしら?」
「何で反省しなきゃなんねえんだよ!向こうからぶつかってきやがったんだぞ!」
マウロは咬みつくように言う。
彼にしてみれば先に因縁をつけてきたのは向こうだ。
自分はそれを買っただけだと思っていた。
「だからってあんな大怪我させていいとでも思ってるのかしら?」
「うるせえよ。たかがチンピラのくせにかかってきた向こうが悪いんだよ!」
「それに・・・あなた・・・一人を本気で斬ろうとしたそうじゃないの?」
「な・・何馬鹿言ってんだ・・」
マウロは平静を装うとするが、声がかすかに震えていた。
幾らマウロだって任務でもないのに人を斬るような所業が決して許されないものであることはわかっていた。
しかし、激昂に駆られた末に抜いてしまったのは否定しようのない事実。
さすがのマウロもヤクザ者を斬ろうとしたり、邪魔されてカッとなってルチアに銃を向けようとしたことは悪いと思ってはいた。
だが、それを認めることとは別だった。
 「信頼できる証人もいるのよ?」
「う・・・うるせえよ・・。い・・幾ら・・俺だって・・そんな馬鹿・・・」
マウロは震える声で必死に否定する。
「いい加減にしなさい。私を誤魔化せるとでも思っているの?」
ルキウス大佐は厳しい声で詰問するように言う。
 「だ・・だったらどうだってんだ!」
「ふふ。決まってるでしょ。悪い子はたっぷりお尻をぶってお仕置きしてあげるわ。さぁ、お尻を出しなさい」
「ふざけんなぁっ!何で俺がてめぇなんかにケツ出さなきゃなんねんだよ!」
「何を言っているの?悪いのはあなたでしょう?さぁ、神妙にすれば多少は手加減してあげてもいいわよ。早くお尻を出しなさい」
「ふざけんなぁ!俺は悪くねぇ!向こうがぶつかった上に女呼ばわりしたのが悪いんだよ!」
本当はマウロとて自分に非があるのはわかっていた。
しかし、この女にそれを認めるのは癪だった。
それに、そうしようものならまたこの女にお尻を叩かれてしまう。
それだけは絶対に嫌だった。
 「本気で言ってるのかしら・・?」
不意にメッシナの声のトーンが変わった。
マウロは風向きが自分にとって悪くなったのを本能的に感じ取る。
 「黙れよ・・・・・」
だが、もはやマウロの忍耐は限界だった。
「いつもいつも人のこと馬鹿にしやがって!!もう勘弁ならねえ!!」
怒ったマウロは再び右腰の軍用拳銃を引き出す。
だが、マウロが引き金を引くより早く、メッシナの片足が上がった。
マウロは下から手首をしたたか蹴り上げられ、拳銃を跳ね飛ばされてしまう。
次の瞬間、マウロは顔と顔がくっつくくらいの距離まで接近され、腕を掴まれる。
腕を掴むと同時にメッシナはマウロの腕のツボを押す。
 「く・・・ぅ・・・・」
同時に全身に電撃のような鋭い痛みが走った。
マウロは声を出すまいと必死に口を閉じる。
 「マウロ少尉・・・・」
メッシナが今まで比べ物にならない冷ややかな声で呼びかけた。
「上官に銃を向けるなんて・・・覚悟があってやったのかしら?」
メッシナの口調にさすがのマウロもゾッとしかける。
だが、ビビっているのを見せてしまうのは嫌だった。
「だ・・だったら何だってんだ!?ああん?」
「そう・・・わかっててやったのね・・。だったら・・・」
 突然、床がマウロに目の前に迫ってきた。
マウロはソファに座ったメッシナに膝に載せられたことに気付く。
「くそっ!何すんだ!離せよっっ!」
マウロは怒りの声を上げるが、メッシナは無視して上着を捲り上げ、いつものようにお尻を出す。
 「喧嘩して・・・怪我させて・・・しかもサーベルや銃まで抜いて・・・そんな悪い子には・・うんときつい・・お仕置きが必要ね・・」
そう言ったかと思うと、メッシナはゆっくりと手を振り上げ、思いっきり振り下ろした。


 バアッシィィンンンン!!!
「・・・っっっ!!!」
容赦の無い強烈な一撃にマウロは思わず息が詰まりそうになる。
(い・・・痛・・え・・ぇ・・・・)
声が出そうになるが、マウロは必死に押し殺そうとする。
バアッシィンッ!ビダァンッ!バアジィンッ!ビシャアンッ!
「おい!何しや・・っ・・・ぅ・・・く・・・・」
マウロは抗議しようとするが、余りの衝撃にそれどころではない。
ビダァ~ンッ!バアジィ~ンッ!バジィ~ンッ!ビッダァ~ンッ!バア~ンッ!
「・・っ!・・ぅ!・・かっ!・・・あっ!・・ぐっ!」
一打ごとにマウロの身体は硬直し、苦痛の表情が浮かぶ。
 「おいっ!やめろっ・・・やめろよっ!」
マウロは後ろを振り向くと殺気を込めた目で睨みつける。
だが、メッシナはそれを無視して叩き続けた。
 「おい・・!てめぇ・・こんな真似・・しやがって・・・俺が・・ただで・・済ませると・・思ってんか・・・」
バアジィィンッ!ビダァアアアンンッ!バアジィィンンッ!
「絶対に・・・絶対に・・・許さねえ・・からなっ!」
マウロは憎々しげに睨みつける。
お仕置きが始まってまだそんなに経っていないにも関わらず、既にお尻は真っ赤に染め上がっていた。
 「まだそんな言葉が出てくるのね。全然反省してないのかしら?」
「あん?何寝ぼけたこと言ってんだよ!?どうして俺が反省しなきゃあならねえんだよ!?」
こんなお仕置きを受けさせられているのが癪で、思わずマウロは反抗してしまう。
「自分が悪いことをしたと思っていないの?」
メッシナは厳しい目で見つめてくる。
(そ・・そりゃあ・・・・大人気ない真似はしたけどよ・・・・。だからって・・・だからって・・・この年頃の男の尻叩くかよ!?普通?幾ら何でもひどすぎるだろうが!)
疚しい気持ちを持ちつつも、マウロの心中にはメッシナの行為に対する反感が生じる。
そのためか、素直に自分の非を認めるのが嫌だった。
 「ふん・・・俺は悪くねえって言ってるだろう!さっさと降ろせよ!この馬鹿女ァ!」
「本当に・・・呆れた子ねぇ・・・・」
メッシナはマウロの態度にため息をつく。
「うるせえよ!暴力サド女!デロデロ化粧ババア!」
マウロはカチンと来たのか、大人気ない悪口を言う。
「だったら・・もっときついのをあげるわ・・・」
そういうとメッシナは今度は足を組みだした。
同時にマウロは天井に向かってグッとお尻を突き出した体勢になる。
 「おいっ!何しやがんだよ!」
さすがにマウロはやや慌てた声を出す。
この体勢だともっと痛くなることを知っていたからだ。
「あら?まさか怖いのかしら?」
不意にメッシナが嘲笑するような響きの声で尋ねてきた。
その声に思わずマウロはカッとする。
「ふざけんな!こんなのが怖いわけねえだろ!」
「それなら大人しく受けられるわよねぇ?」
「ざけんなぁ!何で俺がこんなの受けなきゃならねえんだよ!離しやがれっっっ!!!」
マウロは叫ぶや、全身をフルに活用して暴れだす。
 「こらっ!大人しくしなさい!」
メッシナは必死に押さえつけようとするが、マウロは人の手から逃れようとするウナギのように凄まじい勢いで暴れる。
(仕方・・・無いわね・・・こうなったら・・・)
メッシナはマウロの背中の数箇所をついた。
 「ぐっ・・・!!」
マウロの全身を電流が駆け抜けたような感覚が駆け抜ける。
気付いたときには手足がぐったりとし、どこか感覚もおかしかった。
「な・・・何・・しやがった・・・」
「ツボを突いて手足を痺れさせたわ。お仕置きが終わるまでは動けないわよ」
そう言うとメッシナは再び手を振り上げた。


 (ぐっ・・・あ・・熱い・・・)
マウロは唇をギュッと噛みしめながらお尻の熱さを感じていた。
メッシナの右手が叩きつけられるたびにお尻が熱くなり、電撃のような痛みが走る。
今や、お尻は熟したリンゴのような色に染まり、表面もボコボコになっていた。
「う・・ぁ・・・くぅ・・・・ぅ・・・・」
お尻の上で火が燃え盛っているような状態にマウロは苦痛の声を漏らす。
 「ふふ・・・ふふふ・・・うふふふふふ・・・・・」
突然、メッシナが嘲笑を含んだ声で笑い出した。
「な・・何がおかしいんだよ!」
マウロは思わず咬みつくように叫ぶ。
「あら。ごめんなさいね。だって君があんまりなものだからねぇ・・・」
「何・・だと・・?」
「フフフ・・マウロ少尉・・恥ずかしくないの?いい年して・・・お尻ぶたれて・・」
メッシナはマウロの自尊心を逆なでするかのように言う。
「う・・うるせえよ・・・」
「まぁそもそもが恥ずかしいわよねぇ。些細なことで喧嘩して・・・相手に大怪我させた上に・・・止められたら逆ギレして銃まで抜いて・・・・」
「だ・・・黙れ・・・」
マウロはブルブルと震えながら言う。
自分自身でも冷静になって振り返ってみれば、余りにも大人気なくて恥ずかしかった。
自分で自分にバカヤロウと叫びたくなる。
「本当に・・身勝手で・・自己中で・・・恥ずかしいったらないわよねぇ・・?」
「・・・・・・・・」
マウロはもはや何も言わなかった。
代りに目に光る物を滲ませていた。
 (俺の・・・俺の・・・馬鹿・・・)
今さらだが、マウロは自身の行為を大きく後悔していた。
余りにも自分勝手で恥ずかしい。
「どうしてそんな恥ずかしいことしたのかしらねぇ・・」
「やめ・・やめろ・・・・」
疚しさと恥ずかしさを鋭く抉るメッシナの言葉にマウロは制止の声を出す。
だが、メッシナはお尻を叩きながら容赦なくマウロの恥ずかしさを煽り立てる。
「や・・やめてくれよっっっ!!!!!」
突然、マウロが叫んだ。
同時にマウロは両肩を大きく震わせ、床に涙を滴り落とす。
 あまりにも自分の馬鹿さ加減が情けなかった。
メッシナの言葉が鋭く心に突き刺さってたまらない。
「も・・もう・・言うんじゃねぇよ・・・くぅ・・ぅぅぅ・・・」
恥ずかしくて恥ずかしくて顔は赤くなり、穴があったら入りたい。
もう、これ以上聞いているのは地獄だった。
 「それじゃあ反省したのかしら?」
「し・・・した・・・」
「聞えないわよ?はっきり言いなさい」
「し・・したって言ってんだろ!」
メッシナの言葉に思わずマウロは咬みつく。
「ちょっと乱暴だけど・・まぁいいわ。それじゃあ言うべきことはわかってるわよね?」
メッシナはマウロにそう言って促す。
だが、マウロは黙ったままだった。
 (く・・・・奴の言いたいことは・・わかるけどよ・・・)
マウロはメッシナが自分に『ごめんなさい』を言わせたいことはよくわかっていた。
だが、幾ら自分に非があるとはいえ、ごめんなさいだなんて恥ずかしい。
(でも・・どうする?このまま言わなきゃ・・ずっとケツ叩かれる・・。いや・・ケツ叩かれるだけじゃすまねえ・・・)
メッシナのことだ。
マウロのお尻を叩きながら、自分が仕出かした大人気ない行為を詳しくネットリと聞かせてくれることだろう。
お尻を叩かれる苦痛と屈辱も辛いが、自身の恥ずかしい振る舞いを聞かされるのはもっと辛い。
 「仕方ないわねぇ・・・。それじゃあもっとしっかり反省出来るように・・・君がしたことを話しながらお尻に躾けてあげるわ」
フフフフフと意地悪げな笑みを浮かべながらメッシナはマウロの腰を再びしっかりと押さえつける。
そして、これから叩くことをわざと教えるかのように聞こえがしに息を吹きかける。
 (どうする・・?どうするどうするどうするどうするどうする!?)
マウロはごめんなさいを言うかお仕置きと同時に自分の所業を聞かされるかの板挟みにさらされる。
様子を見ているのか、メッシナは中々手を振り下ろそうとしない。
 (何してやがんだよ!?叩くなら叩けよ!?)
マウロは心の中で毒づく。
(でも・・尻叩かれたら・・嫌味ったらしく聞かせるに決まってる・・・)
自分のお尻を叩きながら己の恥ずかしい行為を聞かされるという苦しみが待っているかと思うと、タラタラと冷や汗が流れ出した。
(そんな・・恥ずかしい真似に・・耐えられるか・・?)
マウロはお仕置きを待ちながら自問する。
中々答えが出なくてマウロは苦悶する。
いつ、メッシナが平手を振り下ろすか、そして口を開くか、それを想像するとまるで巨大な鉄板の上であぶられているかのような気持ちだった。
(無理だ・・・絶対・・耐えられねぇ・・・)
煩悶した挙句、マウロはそう考えた。
謝るのは屈辱だ。
だが、お尻を叩かれながら自分の振る舞いを聞かされるのはもっと屈辱的だ。
 「わ・・わかった・・・」
震える声でようやくマウロは口を開き始めた。
「お・・俺が・・・わ・・悪かった・・・ご・・ごめん・・ごめん・・なさい・・・・・。あ・・謝・・る・・から・・もう・・やめろ・・よ・・・」
「やっと言えたわね。全く・・手のかかる子なんだから」
そう言ったかと思うとメッシナは振り上げていた手を降ろした。


 ―完―
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